2024年10月28日 (月)

セクハラ事件の調査とサプライチェーン・コンプライアンス

10月23日の東洋経済記事「VC大手『ジャフコ』のセクハラ事件に業界は沈黙-スタートアップ業界『セクハラ横行』報道の中で露呈」を読みました。こういったセクハラ疑惑事件の社内窓口支援を長年しておりますが、他社でも対応に苦慮する事件です。セクハラ加害者、被害者間の民事的解決方法や懲戒処分の在り方についても、最近は慎重な配慮が必要だと感じています。

5271 ただ、この記事でも取り上げられているように、最大の課題は企業自身による「セカンドセクハラ」だと思います(最近は「セカンドパワハラ」も深刻な問題です。ただし労働人口の流動性が高まるなかで「退職勧奨」自体はかならずしもハラスメントには結びつかないようにも思います。)。こういった「疑惑」が取引先に知られるようになりますと取引先から「ビジネスと人権」の問題として「疑惑を解明して報告せよ」と要求することが増えています。取引先にとっても「人権方針」に相いれない取引によってハンディを背負いたくないわけでして、まさにサプライチェーン・コンプライアンスの一環です。左にご紹介した新刊書「グローバルサプライチェーン再考-経済安保、ビジネスと人権、脱炭素が迫る変革」(2024年9月30日発売)は、経済安保や人権問題、気候変動などがビジネスに及ぶ影響の最新情報を伝えていますが、VUCAの中身として「ビジネスと人権」問題への対処が企業に強く要請されることを痛感します(私の常識が米国やEU諸国ではもはや通用しない可能性があることを実感しました)。

とりわけ「こういった疑惑があるようなので、きちんと報告してください。可能な限り、会社とは利害関係のない専門家による調査を行ってください」との要請があって、私が(疑惑のある企業から)ご相談を受けるケースも増えてきました(私の仕事的にはありがたいことですが)。「当社のセクハラ問題でまさか取引先から調査要請が来るなど、考えてもみなかった」・・・そうなんです、だからVUCAの一つなのです。そこに気づきながら対処するか、気づかずに対処しないかは、企業のレピュテーションだけでなく攻めのビジネスにおけるハンディにもなりうる問題であり、日本企業にとっては深刻ですね。

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2020年12月11日 (金)

誠実な企業における「パワハラ事件」はなくならない-予防よりも解決に注視せよ

不謹慎なエントリーにならないように、まじめに取り上げたいと思います。ご承知の方も多いかとは存じますが、私が社外役員を務めております2社で(ほぼ同時に)大手メディアで取り上げられるパワハラ事件が発覚しました。以下は「言い訳」に聞こえるかもしれませんが、「パワハラ」をコンプライアンスの視点から考えているところの意見です。

役員(社外取締役、社外監査役)としての守秘義務がありますので、個別の案件に関するコメントは控えます。ただ、私が本業としております「内部通報に基づく通報案件の調査支援業務」を通じて、「国内外の同業他社と競争している以上、パワハラは一種の病理現象であり、予防は困難。むしろ早期発見のうえでいかに対処するか、その職場環境への配慮が不可欠」と思います。

よく企業不祥事発生の要因として「社内の常識と社外の常識との乖離」と言われますが、社内にも「世代間における常識の乖離」があることに留意すべきです。パワハラ加害者と通報者(被害者の場合もあれば、同じ職場の第三者の場合もある)双方の話をとことんまで聴いておりますと、20代・30代の常識と40代以上の常識は明らかに違う。

「自分がミスをしているのになぜ謝らないのか」「自分のミスであることをわからせるために、彼のためを思って叱責しているのに」と課長クラスの方々は悩みます。しかし20代社員の方々は「自分のミス」であることはわかっている。今後気を付ける気持ちもある。ただ、それを「謝る」行動につなげる習慣がない。「謝らない、ということは自分が悪いとは思っていない」という40代・50代の常識と、「自分に悪いことを認めるのに謝ることが必要とは思わない」という若い世代の常識とは相当に隔絶したものがあります(もちろん、若い方々にも「悪いときはとりあえず上手に謝る」という世渡りを、きちんと認識している人も結構いらっしゃいますが)。

最近「多様性」という言葉を企業社会でも耳にしますが、「世代間ギャップ」を理解できない企業が「多様性」を受け入れることは(自分への反省もこめて)なかなかむずかしいのではないか、と考えてしまいますね。私も還暦なので、どちらかというと40代以上の常識に親和性を持ちますが、通報の約8割に及ぶパワハラ案件に関わっておりますと、どんなに元気で誠実な組織でも、日本的な雇用慣行を維持するかぎりにおいてはパワハラはかならず起きる。頭ではわかっていても、自分の「常識」は変えられない。したがって、なくすよりも職場において解決することを通じて「多様性」を受容できる組織環境を形成する必要がありそうです。

 

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2020年3月 6日 (金)

社長さんのセクハラ疑惑行為と企業のコンダクト・リスクへの対応

今朝の朝日新聞朝刊1面に、大手服飾メーカーの社長さんのセクハラ疑惑を報じる記事が掲載されていました。「これは、会社側からの反論をまって第2弾の記事が出るのでは?」と思っていたところ、3月5日の夜に第2弾の記事が朝日新聞WEB版に出ましたね。

私も現在進行形で、似たようなセクハラ事案の調査を行っていますが、第三者からの通報に基づくセクハラ・パワハラ調査というのは、被害者とされる方の(調査を進めることに対する)意向を確認しながら、また関係者の秘密を徹底的に守りながらの調査になりますので、認定は困難を極めます。職場の同僚の方に調査への協力を要請しても、(協力に向けての)いろんな条件を出されるために「真実追及と関係者保護のどちらを優先すべきか」と悩むことが多い。通報された第三者の方が、いろいろな思惑をもって通報するケースもありますので、調査する側は「職場環境配慮義務を尽くすため」とはいえ、複雑な心境になるときもあります。

このたび報道された事件について私はコメントできる立場にはありませんが、過去の査問委員会の結論(厳重注意)という点に、少し関心を持ちました。セクハラに関する調査によって、最終的にセクハラがあったと断定できないケースはよくあります。ただ、「セクハラと疑われても仕方がないような事実」については認定できることが多いのです(加害者とされる方も、これを認めるケースは多いと思います)。そのあたり、査問委員会は認定できなかったのでしょうか。

パワハラ調査と異なり、セクハラ調査の場合には、「セクハラ行為はなかったかもしれないが、セクハラと疑われてもしかたのない行為」については、ミスコンダクト、つまり企業行動規範や倫理規範に違反する行動になることが多いと思います。法的根拠としては、就業規則上、制裁条項にある「会社の品位を害する行為」とか「職務誠実義務違反」に該当する、というものです。「セクハラと疑われる行為」については、一般の社員ではなく、社長という立場にある方だからこそ「会社の品位」と密接に関係します。

なお、「セクハラと疑われる行為」は社内の業務とは一切関係ありませんから、比較的処分が出しやすいのですが、「パワハラと疑われる行為」については、上司の適切な指揮命令と密接な関係を持ちますので、簡単には処分は出せません。

このあたり、この会社では企業行動規範や倫理規程がどうなっていたのか、就業規則の「制裁条項」はどのような内容だったのか、という点がもう少し深く知りたいところです。

最後に「大きなお世話」と言われそうなことですが、査問委員会の厳重注意がなされた後に、この社長さんは内閣府の男女共同参画会議のメンバーに就任された、とのことで「これはヤバイかも。。」とは思わなかったのでしょうかね?第三者通報の結果として、処分が甘いとなりますと、今度は通報が社外(マスコミや行政当局)に向かいます。このような要職に就く、ということは内部告発者の意欲を掻き立てることは必至です(現に朝日新聞や週刊新潮の記事が出てしまいました)。そのあたりのリスク感覚はどうだったのだろうか・・と。

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2017年3月13日 (月)

経営者のパワハラは経営責任だけでなく法的責任にも至る

先週の東京での3日間にわたる講演も終えまして、今年も日本監査役協会における合計8回(4会場合計)の研修会講演全日程が無事終了いたしました。合計2200名以上の監査役の皆様にご来場いただき、誠にありがとうございました。今年はご来場いただいた方の約1割が取締役監査等委員の方々だったことが印象的でした。

Mitukosiisetan さて、3月11日土曜日の朝日新聞朝刊では、三越伊勢丹の社長さんの辞任騒動を「業界の顔 社内孤立」と題する記事で詳細に取り上げています。三越ご出身の会長さんと伊勢丹ご出身の社長さんとの信頼関係の悪化という点も記されていましたが、辞任勧告の引き金になったのは業績の悪化と社内でのパワハラだったと報じられています(社長ご自身によるパワハラ問題は、何度も社外取締役に通報があったようですね)。社長さんは事業の選択と集中をスピード感をもって実行していたのですが、労組からの不満が噴出して周囲からは支持されなくなったとのこと(左のチャートは三越伊勢丹さんの株価チャートです。構造改革を打ち出した社長さんの姿勢を市場は好感していたようですが、3月4日を起点として株価が下落しました)。

社長さんのパワハラ問題というのは大きく分けるとふたつあります。ひとつは社長さんご自身が執行役員や幹部社員に対して人格権侵害に及ぶ叱責等を繰り返すものです。三越伊勢丹さんと同様、最近はこのような社長さんのパワハラ疑惑が社外役員のところへ通報されるケースが多くなっています。とくに常勤監査役さんも、これを取締役としての職務執行上の違法行為とみて監査報告で株主に開示することを検討することが増えています(ただし会社法上の監査報告の対象となるかどうかは争いがあります)。サラリーマン社長さんの中には、意外とご自身のパワハラに関する認識が甘い方も多いように見受けられます(成功体験からでしょうか・・・)。たとえ法的責任に発展せずとも、経営責任を問われることになります。

そしてもうひとつが社長さんの「セカンドパワハラ」です。社内のパワハラ問題を(問題を認識していた、もしくは認識しえたにもかかわらず)放置している社長さんは、いわゆる「セカンドパワハラ」に及んだとして、会社とは別に社長個人として民事賠償責任を負うリスクがあります。社長さんが民法709条責任(不法行為責任)もしくは会社法429条責任を負う法的根拠は、職場環境を適切に維持するための内部統制構築義務違反(注意義務違反)です。たとえば厳しい叱責によって長時間労働を強いられた社員が精神的疲弊に至って自死しば事件で、裁判所はそのような経緯を知りつつ、長時間労働を放置していた社長さんに対して、会社と連帯して社員のご遺族の方々に損害賠償責任を負うことを認容しています(平成28年3月16日東京地裁判決判例時報2314号129頁以下)。最近はこのように社長自身もセカンドパワハラとして損害賠償責任を負う旨を判示した裁判例が増えています。

前にも述べましたように、セクハラとは異なり、パワハラは適切な指揮監督権の行使と隣り合わせの領域にある問題なので、社内に「グレーゾーンを残すこと」は許されません(そんなことをすると、現場が萎縮してしまって同業他社との競争に負けてしまいます)。だからこそ社長さんは「上司の許される指揮監督権の行使」と「許されない人格権侵害としてのパワハラ」のどこに線引きをすべきか、真剣に検討する必要があります。働き方改革や労働人口の流動性といった社会の流れによって線引きも変わります。自身によるパワハラとともに、社内の職場環境配慮義務を尽くすための内部統制への関心も求められるところです。

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2010年8月12日 (木)

「ちゃん」付けメールはレッドカードか?(イマドキのセクハラ・パワハラ判断)

(セクハラ関連の話題が続きますが・・・すいません、どうしてもこういった話題には敏感に反応してしまうのです・・・)福井大学は8月9日、50代の幹部職員が20代女性職員に対して数ヶ月間、40件ほどの私的メールを送っていたことを「非違行為」に該当するとして2カ月の停職処分としたことを発表しております。朝のワイドニュースなどでもとりあげられておりましたが、比較的詳細に報じているのが こちらの日刊スポーツニュースのようです。

各局ニュースの論調は

「『ちゃん』付けメールでセクハラに該当してしまうのか?」

「『ちゃん』付けメールで停職2カ月ってどうよ?」

といった印象を与えるものばかりであります。たしかに上記日刊スポーツの記事を読みますと、この50代男性職員は女性職員を飲食に誘うわけでもなく、性的な文言を書き連ねるわけでもなく、仕事のことをとやかく中傷するようなものでもない、ごく普通のたわいない話しか書いていないようであります。フジテレビの得ダネで解説をされていた山田秀雄弁護士の書籍「弁護士が教えるセクハラ対策ルールブック」(日本経済新聞出版社)を読みましても、「ちゃん付けで(職場で)女性を呼ぶのはグレーゾーンであり、イエローカード」と記されております。

たしかに男性上司が、誰かれかまわず職場で「○○ちゃん、そっちの仕事を先にお願いね」という感じでしたら、グレーゾーンかもしれませんが、閉鎖空間であるメールの世界で「○○ちゃん、きょう元気なかったみたいだけど、なんかあったん?」というのは、私個人の考えでは限りなくレッドカードに近いのではないかと思うのでありますが、いかがなものでしょうか。ちなみに2007年4月施行にかかる人事院規則10-10-1第2条によりますと、セクハラとは「他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動」と定義されております。たとえば職場では「山口さん」と普通に呼んでいる上司が、職場外のメールで(たとえば由加里さんだとすると)「ユカちん、何してる?」などと書いてきたときには、若い女性職員に「疑似恋愛」を想起させるものとして、やはり性的な言動に該当するものと思います。

過去に何度か申し上げたように、セクハラに該当するかどうかの基準は、セクハラが人格権侵害であるがゆえに、被害者の主観的な判断に大きく依存するところであります。つまり「通常人であればどう考えるか」ではなく、「その女性がどう感じたか」に重きを置いて判断されるわけでして、だからこそセクハラ的言動を防止する職場環境配慮はむずかしいコンプライアンス対策のひとつであります。極論すれば、たとえば「裕美」さんという20代の女性に対して同年代の男性職員が公然「ヒロミ」と呼び捨てにしてもセクハラに該当することはないでしょうが、私のような者が香水の匂いを感じとれる距離から「ロミちゃん」などと呼ぼうものなら、「きっしょー!」ということでセクハラの対象になるわけであります。この「香水の匂いを感じとれる距離からの囁き」こそ、福井大学の事件における午後8時から10時ころの「ちゃん」付けメールではないかと思いますが。

企業や自治体の職場環境配慮としましては、こういったセクハラ判断の「危うさ」ゆえに、グレーゾーンを含めて禁止することをお勧めしておりますが、懲戒処分という不利益処分を加害者に課す、ということであれば話はまったく別であります。同じ行動をとったとしても、Aという男性だから懲戒、Bという男性によるものは該当しない、ということは懲戒処分ではありえない話ですし、また被害者の主観的な判断のみで懲戒処分が決定される、ということもありえません。当然のことながら、加害者がどのような行動に出たかという客観的な事実認定に被害者の主観的要素を加味して決定する、というのが原則であります。今回の事件でむずかしいところは、おそらく男性上司がメールを送りだした最初のころは、たとえ午後10時の「ちゃん付けメール」であっても、被害者女性は返信をしていたのではないか(もちろん義理で、ということです)、と思われる点であります。この返信がなければ、加害者男性が「ちゃん付けメール」におぼれていくことはなかったように推測されます。そうなりますと、セクハラ判断だけで懲戒対象となる「非違行為」を推認するにはちょっと客観的な根拠が弱かったのかもしれません。

そこで今回のケースでは、セクハラ・パワハラの合わせ技で懲戒処分に結びつけている、という配慮がうかがわれます。つまり、「ちゃん」付けメールは女性の主観的な不快感を推認させる理由ではあるが、懲戒処分を正当化する最も大きな理由は、同様のメールを執拗に送り続けたこと、および職場における上司と部下の関係にあって、拒否できない関係にあったこと、そして「きのう返信なかったね」とリアルの世界でメールを返信することを事実上強要していたこと、あたりをパワハラとして認定したことではないかと思われます。たとえば「『ちゃん』付けメール」を男性が送ったとしても、3回から4回くらいのところで「あれ、これは迷惑だったかな」と思ってやめておけば懲戒処分にもならずに済んだはずですし、セクハラとして申告されることもなかったのでありますが、女性が義理で返信していたことをよいことに、疑似恋愛におぼれてしまった、断りきれない関係に気付かずにメールを送り続けてしまったところに問題があったように思います。

皆様、あまり笑ってはおれないですよ。メールの閉鎖性がドキドキ感を生むのかもしれませんが、この疑似恋愛型セクハラ、非常に増えております。被害者が男性、加害者が女性というパターンも増えております。セクハラ・パワハラ混在型の職場環境悪化要因のひとつであります。

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2009年11月 2日 (月)

セクハラ事件と企業の内部統制構築義務(その2-判例編)

今年7月29日に「セクハラ事件と内部統制構築義務(コンプライアンスの視点)」なるエントリーをアップしておりますが、そこでは会社自身による職場環境配慮義務に焦点を宛てて検討したものでありました。前回は大学内の問題でもありましたし、また漠然と組織自身の債務不履行に関する問題でしたが、このたびの裁判例は、もうすこし企業経営者にとって深刻な問題なのかもしれません。

知的障害者の女性に対するセクハラ事件につきまして、大阪地裁は平成21年10月16日、セクハラ行為に及んだ男性だけでなく、当事者らが勤務する会社に対しても不法行為責任を認めたようであります(裁判所のHPより)。もちろん、これまでもいわゆる「二次セクハラ」として加害者男性だけでなく、その男性の勤務する会社が民法715条(使用者責任)または職場環境配慮義務違反(債務不履行責任)として、加害者男性と連帯して損害賠償責任が認容されたケースは多いと思います。しかしながら、今回の判決では、会社の責任は二重構造になっておりまして、一部は使用者責任であり、残る部分は会社社長の任務懈怠(内部統制構築義務違反)による不法行為責任(会社法350条)で構成されております。つまり会社代表者としては、セクハラ事件が発生した場合には、事実確認をして、加害者男性には毅然とした対応をとり、そして被害者女性にはメンタル面を含めた配慮措置が必要であるにもかかわらず、そのような措置をとらなかったことに会社代表者としての任務懈怠があるものと認定しております。(ちなみに、加害男性の被害女性に対する慰謝料は50万円程度、会社代表者がセクハラ苦情を放置していたことに関する被害女性への慰謝料は30万円程度、ということだそうであります)この判決の流れからしますと、たとえ社長自身がセクハラ事件の発生を知らなかったとしても、対応責任者のところへセクハラ苦情が寄せられ、具体的な相談に応じているようなケースにおきましては、その対応のまずさによって女性に多大な被害が生じますと、会社代表者自身の任務懈怠が問われることになる、ということだと思われます。これはセクハラ被害を受けている側とすれば、非常に効果的な争い方が可能になったものと思われます。なんといっても、会社の代表者が被告になる、もしくは代表者の「任務懈怠」の有無が争点となる、ということですから、会社側としても無視できない問題に発展するでしょうから、加害男性への訴訟効果は絶大なものとなる可能性があります。

最近は男女雇用機会均等法の2007年改正(セクハラ防止は会社の義務、と明記)によりまして、どこの会社にも「セクハラヘルプライン規約」のようなものが策定されていると思われますが、実際にはセクハラ被害の相談を受けた上司が、正規のルートによらずに加害男性とされる社員に対して注意をして終わり・・・という場合もあるかもしれません。しかし、上記のように、セクハラの加害男性と会社自身が不法行為責任を追及される場面であればまだしも、会社の代表者自身の不法行為の有無まで審理の対象となる(ひょっとすると、上記判決の理屈からしますと、セクハラ訴訟においては、今後会社代表者個人までが被告となる可能性も出てきます)のであれば、加害男性だけでなく、被害女性から相談を受けた上司や、セクハラ相談窓口担当者のような方々にとりましても、手続きは慎重に進める必要があるでしょうし(当然のことながら、相談を受けたにもかかわらず放置することは大きな問題であります)、被害者の人格権侵害・・・という極めて主観的な訴えを、懲戒処分という極めて客観的な判断にどのように「乗せ替える」のか、その工夫を検討しなければならない場面に遭遇することも多くなるように思われます。また、上記判例を読んでの感想でありますが、こういったセクハラ防止に関する内部統制構築義務を尽くしている・・・、つまり社長さん自身が、法的な責任を免れるためには、単にセクハラ防止のための規約や組織を整備するだけでなく、情報滞留などがないかどうか、通報に対して事実確認がなされたかどうか、などいわゆる規約や組織の運用に関する評価までをきちんと行っていることに尽きるのではないでしょうか。

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2009年9月 7日 (月)

明治安田生命集団パワハラ訴訟

明治安田生命さんのコンプライアンス問題には、ことのほか思い入れがございまして、これまで「かっこいい」部分と「かっこ悪い」部分に触れてきた会社であります。当ブログにおきましても、2005年に「明治安田のコンプライアンス委員会」なるエントリーを4回にわたりリリースいたしまして、「契約金不払い」事件をテーマに「社風は10年程度経過しないと変わらないけど、期待しております」と申し上げておりました。

ちょうど土曜日に社外取締役ネットワークの関西勉強会で「企業からみたセクハラ・パワハラ問題の現状と課題」を報告させていただいたところでしたので、日曜日の毎日新聞社会面で大きく報道されていたこのパワハラ集団訴訟(予定)の記事が目を引きました。(注-「パワハラ」とは、一般には職場におけるいじめ、と定義されています)記事の内容は(おそらく)原告側当事者の方から取材されたものだと思いますので、現時点では公平な見方かどうかは不明でありますが、もしこの報道内容が事実だとすれば、第一次パワハラ、第二次パワハラ、そして第三次パワハラと、対象者にとってはかなり厳しい現実がそこに横たわっていたものと想像できます。今回は集団パワハラ訴訟ということでありますが、なるほど記事にもありますように、立証方法の強化という点からしますと、たしかに集団訴訟という方法をとることは原告側にとりましては有利かもしれませんね。またこういった訴訟を続けているのには相当の精神的疲労もあるでしょうから、集団で訴訟を続けることが、そういった疲労を和らげる意味があるのかもしれません。記事では、こういった訴訟は異例ということですが、先日のエントリーでも書きましたように、パワハラ通報は急増しており、労働審判事件まで含めれば紛争が現実化しているケースはかなり増えているのではないでしょうか。

セクハラ問題も難しい面がありますが、企業側からみたパワハラ問題の難しさについては独特のものがあります。先日もご紹介したとおり、パワハラのグレーゾーンを曖昧なままにしておくことは許されず(グレーならばとりあえず禁止・・・では、上司の適切な指揮命令権を過度に委縮させてしまって、業務に支障を生じさせる)、上司を知る社員の間で意見が分かれることがあり(熱意のある指導と受け取る社員もいれば、パワハラと断定する社員もいる)、さらにそもそもパワハラを行った者に対する懲戒処分の根拠が明らかではないケースがある、ということであります。(したがいまして、企業側からすれば、加害者と被害者をとりあえず離す、つまり配置転換等によって、あいまいなままで終わらせたい・・・という気持になってしまう場合があります。なお、これは一般論でありまして、本事例がそうだ・・・という意味ではございません)このあたりが通報窓口から事実認定を行う調査上の課題ではないかと思います。さらに、本件を例に考えるならば、パワハラに該当するか否かは(これも以前書いたところですが)行為要件と属性要件の総合的判断をもって検討すべきでしょうから、たとえば属性が「生命保険会社の営業所長と保険営業員の関係」とすれば、そこには営業所長の指揮監督につき比較的広い裁量権が存在することが認められます。そこで、このような裁量権が広く認められる(つまり上司の恣意的な判断の余地が入りやすい)上下関係では、パワハラを推認させる行為もかなり広く(緩やかに)認められる可能性があり、誰がみても常識を逸した奇異な命令ではなくても、パワハラと認定される場合もあるのではないでしょうか。

なお、パワハラ認定につき、(人格権侵害を理由に)被害者の主観的要素を重視する立場もあるかもしれませんが、企業側から見た場合には、加害者への懲戒処分の正当な理由をたてなければならないことや、あいまいな理由で加害者とされる社員に対して調査活動を継続することにより、かえって加害者側から会社が損害賠償請求訴訟を提起される可能性もあることから(現にそのような裁判で会社側が敗訴した事件もあります)、やはり客観的な根拠を重視してパワハラの該当性を判断すべきではないかと思います。

しかし、本社コンプライアンス室での対応につきまして、会社側としてはどう反論されるのかが興味深いところであります。大きな会社ですから、当然内部通報ガイドラインは規定されているでしょうから、事務手続きに反するような対応はしていないのではないか、と推測いたします。つまり、口止めにしても、所長へ通報者の存在を告げたことも、対応に時間を要したことも、おそらくガイドラインに沿った手続き遂行上のものとして、何らかの合理的な反論が考えられます。しかしながら、もしそういったガイドラインに沿うことなく、恣意的に内規に反した行動が採られていたとすれば、それは間違いなく「二次パワハラ」に該当することになるでしょうし、また仲間内での通報に対する事実上の制裁(三次パワハラ)を惹起せしめたことに対しては、「社員による内部通報者への制裁禁止」に関する周知徹底がなされていなかったものとしての非難は免れないところではないでしょうか。(しかし通報者はなぜ外部窓口を活用しなかったのでしょうかね?)あの事件から4年、またまた明治安田生命さんのコンプライアンス経営に対する姿勢が問われるような事件となり、今後の訴訟の行方が気になるところであります。

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