小林製薬「事実検証委員会」調査報告書の感想(その3-さすがに「会見」は必要では?)
7月24日の朝日新聞朝刊(経済面)にて、日本ガバナンス研究学会で理事職をご一緒している遠藤元一弁護士が、事実検証委員会報告書を読んだうえでたいへん鋭いご意見を述べておられます。ここで遠藤先生のご意見をご紹介いたしませんが、(小林製薬の企業価値回復を目指すのであれば)さすがに委員会の調査報告書の開示と取締役会総括の開示だけでは済まない状況のように思います。
おそらく様々な立場の関係者の方々やリーガルアドバイザーの意見なども踏まえて「記者会見はしない」と判断されたのだと思いますが、世間はすでに①3月以降、なぜ6月まで関連死亡者数の変更を公表しなかったのか(厚労省と協議しなかったのか)、それは誰の判断だったのか、といった問題を知っていますし、また②辞任する会長さんがなぜ社内規範以上の顧問料を受けとることができるのか、といった疑問も(報道によって)抱いております。さらには③創業家会長・社長さんのリーダーとしての資質に問題があるとのことで交代するのであれば、新社長さんにはその資質があるのか(ひょっとして院政を敷くからではないか)、といった素朴な疑問も生じます。
これらの疑問は、消費者が普通に抱くものと思いますので、これからの小林製薬が被害者の皆様と真摯に向き合い、厚労省や消費者庁と協働して原因究明にあたり、さらには再発防止に向けた工程をステークホルダーに示すためにも、記者会見を開催のうえで指名委員会・報酬委員会の委員長(いずれも社外取締役)と新社長さんは上記①から③を説明し、質疑に応じる必要があるのではないでしょうか(ひょっとして、すでに準備をされているのかもしれませんが)。
このままメディアに「報じられっぱなし」の状況では、誠意をもって事業を立て直していたとしても、なかなか同社の社会的信用を回復することは困難だと思います。部分入れ歯洗浄剤「パーシャルデント」をはじめ、長年の小林製薬製品の愛用者のひとりとして、同社は「あったらいいな」ではなく「なくてはこまる」会社と理解しておりますので、ぜひこの正念場を(泥臭くても堂々と)乗り切っていただきたい。