2020年6月30日 (火)

天馬社の否決元取締役の「執行役員」即時復帰で勃発する(?)第2ラウンド

6月26日に開催された天馬社の定時株主総会では、創業家出身者を含め、海外贈賄事件に関与したとされる3名の経営陣の再任が否決されました。機関投資家は企業不祥事に関与した経営陣の再選には厳しい姿勢で臨む時代になったと(昨日のエントリーにて)申し上げましたが、総会終了直後の取締役会では、私もまったく予想していなかったような驚くべき事態が発生したようです。

本日(6月29日)の日経ビジネスオンラインの有料記事によりますと、当該取締役会では執行役員人事が諮られ、さきほど総会で取締役選任議案が否決されたばかりのK氏を執行役員に選定する決議が通ったそうです(ちなみに、元CFOの方を含め、他の否決された2名の方々も執行役員として返り咲いたのでしょうかね?天馬社のHPが総会後に更新されておりませんのでよくわかりません・・)現状の取締役会の構成は、会社側6名・株主側3名ですが、当該K氏の執行役員選定議案については(紛糾の末)賛成5、反対3、棄権1ということでギリギリ可決された、とのこと。(棄権されたのは弁護士の新任社外取締役の方で、第三者委員会等でもご活躍の方ですね)。

上記日経ビジネス記事によりますと、当該取締役会はK氏の執行役員選定にあたって紛糾したそうですが、たしかに紛糾するでしょうね。いくら取締役と執行役員は違うと言っても、天馬社の重要な業務執行に関わる点では同様でしょう。天馬社は監査等委員会設置会社です。定款がどうなっているのかは調べておりませんが、今回の定時株主総会で社外取締役が過半数となったので、重要な業務執行権限を(取締役会決議で)取締役に委ねることができます。ということは、K氏も(委任された取締役からの再委任によって)重要な業務執行の決定権限を持てることになります(もともと社長候補者だった方ですから、当然といえば当然ですが)。

多くの株主が「役員にふさわしくない」として否決したにも関わらず、その直後に「取締役としてふさわしくない」とされた元経営者を執行役員に選定するということが、果たして株主の意思に沿う行動、もしくは株主から信認を得られる行動と言えるのかどうか。上記のとおり、天馬社は過半数を社外取締役で構成される監査等委員会設置会社ですから、いわゆるモニタリング型のガバナンスを採用することになると思いますが、果たして社外取締役に適切な監督機能が期待できるのかどうか。ちなみに、天馬社の臨時報告書によって公表された「総会における16名の取締役候補者の得票数」をみても、株主側候補者である執行役員の方々よりも、K氏は得票数が少ないようです。

とりわけ会社の有事における社外取締役は、株主共同利益のため、ステークホルダーの利益のために、経営陣と緊張関係をもって行動することが要求されます(このあたりは令和元年改正会社法施行後の社外取締役を見据えて、6月30日頃に公表される経産省CGS研究会(第2期)「社外取締役の在り方に関する実務指針」でも経営陣への監督機能が強く求められています)。諸事情あるかもしれませんが、外部からどうみえるか、ということを、社内人事権の行使の場面でも尊重すべきでしょう(←これは令和元年改正会社法によって「社外取締役の1人以上の設置の義務付け」が立法化された理由とも関係します。この点はまた別の機会に)。私なら、会社側候補者として選任されたとしても、この弁護士の社外取締役と同様に反対票(すくなくとも棄権票)を投じると思います。

ところで天馬社の経営権争いは、総会で決着がついたわけではないように思います。というのも、監査等委員会が元経営陣の責任の有無および訴訟提起の是非を判断するための「責任調査委員会」を設置して、現在その審議が継続しているからです。当該委員会の報告書次第ではありますが、元経営者の方々の責任が認められるような事態となれば、監査等委員会は(取締役会とは並列関係に立つものであり、議事録さえ取締役会に見せることを拒絶できる立場にありますので)元経営陣を提訴する、ということも十分予想されます。

もちろん監査等委員会と取締役会との意見の相違は「経営権争い」とは言えませんが、経営の正常化を図るためには大株主側と手を結ぶことは考えられます。一方の会社側も、経営の正常化を図るために監査等委員である取締役の改選や監査費用の締め付け等によって対抗する可能性もあります。多くの方の興味とは少し視点が異なるかもしれませんが、監査等委員会設置会社の有事対応に関心を抱く私としては、本件はたいへん興味深い事件であり、今後も注視しておきたいと思います。最後に(今更ながら、の感想ですが)大株主側も社外取締役の候補者を増やしていたらどうなっていたのだろうか・・・と、天馬社の臨時報告書を読んで若干の疑問が湧いてきました。

最後になりますが、渡邊彩香プロ、5年ぶりのツアー優勝おめでとうございます!「いい部屋ネットレディース」は残念ながら中止となり、凱旋のお姿を拝見することはできませんが、スポンサー企業の末席の役員として、心よりお祝い申し上げます。ものすごく元気と勇気をもらいました。

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2020年6月 5日 (金)

監査等委員会の「抜かずの宝刀」ついに抜かれる!-天馬社の株主総会人事案に意見陳述権行使

公益通報者保護法の改正法案が、いよいよ6月3日から参議院で審議入りとなり、同日に開催された委員会では参考人意見陳述と質疑が行われました。2時間20分の審議を中継で拝見しましたので、また来週にでもその感想を述べたいと思います。

さて、本日(6月4日)のベトナム系ニュースによりますと、天馬社の外国公務員贈賄事件について、ベトナム当局が遂に動き出したことが報じられています(日本側に情報提供を要請している、とのこと)。日本における捜査当局の動きは不明ですが、株主総会を目前にして、経営陣の皆様は本当に厳しい状況と拝察いたします。

そして「厳しい状況」といえば、天馬社の経営陣にとっては、支配権争いを繰り広げる大株主(創業家元名誉会長側)との関係も厳しさを増しております。本日、大株主側のHP(天馬のガバナンス向上を考える会)に、天馬株式会社の監査等委員会による報道発表資料が開示されました。その後、深夜には会社側から「当社監査等委員会に関する一部報道について」と題するリリースが出され、意見陳述権を行使した当社監査等委員会の行動には中立性・公正性に疑義がある、との主張が示されました(こちらもぜひ参考にしていただきたく)。

なるほど、6月2日付けの監査等委員会による報道機関向けのリリースがメディアに投げ込まれていたことから、日経新聞の報道が先行していたわけですね(誰かが秘密裏に情報を記者にリークしていたのかと思っておりました)。しかし監査等委員会が報道機関向けに資料を提供する、というのはかなり異例です。おそらく会社側の開示姿勢に疑問を抱いておられたのではないかと。

上記資料(会社側リリースを含めて)を読みましたが、先週木曜日(5月27日)のエントリー「天馬社の経営権紛争-注目される監査等委員会の動向」で予想していたとおり、天馬社の監査等委員会(取締役監査等委員3名で構成)は、6月の定時株主総会に現経営陣(会社側)から上程される取締役選任議案に対して、創業家出身者を含む候補者3名の「選任は不適切」とする意見(意見の内容の概要)を示しました(会社法342条の2第4項、会社法施行規則74条1項3号。なお、陳述については、監査等委員会が選定する監査等委員が株主総会にて行うことになります)。

6月3日の日経新聞朝刊記事でも報じておりましたが、1000社を超える上場会社の監査等委員会が、会社側取締役選任議案において「会社側が推薦する取締役候補者は不適切」とする意見を陳述するケースは初めてであります。まさに「抜かずの宝刀」が遂に抜かれましたね。監査等委員会のリリースを読みますと、監査等委員会が「不適切」とする意見と並べて、取締役会側の意見(監査等委員会の意見への反論)も詳細に開示されていることが注目されます。監査等委員会が「一枚岩」ではないこともリアルに開示されています(3名のうち1名の監査等委員は意見陳述に反対意見)。

しかしファンドさんが現経営陣側に与しているとはいえ、会社側が深夜に開示したリリース内容を読みますと、現経営陣としては、社外の敵対する大株主だけでなく、社内の監査等委員会の動きにも配慮しないといけない、というのは、たいへんな状況です。取締役会側からも「監査等委員会は中立・公正な立場で意見を述べておらず、極めて遺憾である」とのリリースが出され、その根拠事実も示されていますので、あまり事実関係の真偽には踏み込まず、監査等委員会制度に関心のある者として、以下の点だけコメントさせていただきます。

まず「監査等委員会」というのは指名委員会等設置会社に準じた機関形態である、という「会社法の建付け」から、本当は「絶大なる権限を持っている」という点です(たぶん1000社を超える上場会社の経営者の方々は、そういったことを知らずに移行しているものと思います)。さらに、監査役制度と異なり、組織的監査が原則なので、今回のように2:1で意見が分かれてしまった場合には、その少数側の監査等委員の意見はどこにも反映されない、ということになります。したがって会社が有事に至った場合の監査等委員会の行動を止めることは、かなりむずかしい。つまり取締役会からすれば「けしからん」と言えるかもしれませんが、いっぽうで監査等委員会からも「取締役会はけしからん」と堂々と言えることになります。監査等委員会からすれば、取締役会から「君たちの委員会活動を報告しろ」と言われても、「は?そっちから我々の権限行使のために報告しろよ」と反論できるわけです。

以前、こちらのエントリーにてご紹介した神田秀樹先生のご論文(「会社法・金商法 随想-立法事実からみる、近況・課題その1-上場会社の期間設計と監査等委員会設置会社」判例時報2020年1月11日号 №2425号 4頁)でも述べられているとおり、実は取締役会の妥当性監督、妥当性監査の権限と、監査等委員会の妥当性監督、妥当性監査の権限の振り分けというのはよくわかっていないし、これまでもあまり整理して議論されてきませんでした。本件では取締役会の意見と監査等委員会の意見が真っ向からぶつかった実例であり、こういった議論を真剣にしなければならないことがわかります(なお、最新の神田秀樹著「会社法(22版)」267頁以下でも、取締役会と監査等委員会との権限の割り振りに関する問題-難問?が解説されています)。

日ごろは監査等委員会の経営評価機能(取締役人事や報酬に対する意見陳述権)はそれほど目立たないものの、このたびの天馬社のように「まさに会社が有事の場面」であれば、監査等委員会は前面に出る必要があると思いますし、むしろ意見陳述権を行使することが監査等委員である取締役の善管注意義務の実践場面だと(私的には)考えております(監査等委員会設置会社に任意の指名・報酬諮問委員会が存在する場合には、もっと複雑なことになりますが、とりあえずこれは私個人の見解です)。指名委員会等設置会社の場合は、指名委員会しか役員指名権を持たないわけで、これに準ずる立場にあるとすれば、かなり取締役会に対してモノが言えると考えるべきでしょう。

なお、本事例においては、監査等委員会の意見陳述権ばかりが注目されているように思われるかもしれませんが、天馬社の監査等委員会は、意見陳述権のほかに、取締役の責任追及委員会を設置し、さらには会社法344条の2第2項に基づき、監査等委員である新任の取締役選任議案を(取締役会に請求したうえで)上程している点にも注目したいところです。同社の監査等委員会は、会社法が監査等委員会に期待しているところを、そのまま実施している点において評価できますし、他社の監査等委員会を構成する取締役の皆様にも(会社の有事には、ここまでやるべきではないか・・・という意味において)参考になるのではないかと。

さて、このような監査等委員会の活発な活動、および大株主・会社双方の主張を前にして、今度は天馬社の株式を保有する機関投資家の方々の動向が注目されます。ご承知のとおり、今年3月にスチュワードシップ・コードの再改訂版が施行され、金融庁のHPを確認しますと、すでに多くの機関投資家が、当該再改訂版を遵守することを宣言しています(宣言期限は9月末まで)。ということは、会社側、大株主側どちらの取締役候補者にマルをつけるのか、その結果だけでなく判断理由まで開示されることになります(もちろん、機関投資家は、議決権行使場面のすべてにおいて理由を開示するわけではありませんが、これだけ注目される案件なので、間違いなく判断理由は開示されるでしょう)。

国内外の大手機関投資家の場合、短期的な利益よりも責任投資、つまり中長期の持続性を重視して議決権行使に及ぶことが考えられますが、いったいどのような事実を重視して、どのような判断基準に基づいて賛否を決定するのか、今後の責任投資の在り方を占ううえでも大きな試金石になる予感がします。自動車メーカーのグローバル展開には欠かせない商品を製造する天馬社なので、おそらく国内需要よりも海外需要に今後の業績は依存することになるはずですから、海外展開する企業として、何が不可欠なのか、ぜひ多くの機関投資家の判断理由を聞いてみたいものです。

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2020年5月28日 (木)

天馬社の経営権紛争-注目される監査等委員会の動向

5月27日の日経ニュースでも取り上げられていましたが、プラスチック成型大手の天馬社の(株主総会を前にした)経営権争いが厳しさを増しているようです。当ブログでは、当初は天馬社の外国公務員贈賄事件に注目しておりましたが、どうも(このたびの海外贈賄事件については)従前からの創業家間における経営権争いが表面化する契機となった意味のほうが大きかったようです。

27日は会社側、大株主側双方からリリースが出ていますが、私的に注目したのは大株主側(前名誉会長側)の立ち上げたHP「天馬のガバナンス向上を考える会」のリリース内容です。海外贈賄の事実を知った経営陣が、会社対応を協議する場に監査等委員である取締役らを除外していたという事実が読売新聞で報じられ、私的にはとても悲しい気分になりました。

しかし、その監査等委員会は「取締役責任追及委員会」を設置していたのですね(資料4シート参照)。3名の監査等委員の方々が創業家出身者を含めた取締役の責任追及に動くとは。。。うーん、これは驚きました(といいますか、こんな重大な事実については適時開示の対象にならないのでしょうかね?実務の詳しいところは存じ上げないのですが・・)。

ひょっとすると、これだけ監査等委員会に独立性、中立性があるからこそ、不祥事対応の場面で疎外されていたのかもしれません(勝手な推測ですが)。しかし天馬社が定時株主総会を控えて、現経営陣および大株主のいずれの側からも取締役選任議案が上程されているわけですから、監査等委員会として、さらに果たすべき職責があるはずです。そうです、平成26年会社法改正以来「抜かずの宝刀」とされてきた監査等委員会の経営評価機能の発揮であります。具体的には会社法342条の2、第4項に基づく取締役選任議案に対する意見陳述権の行使です。

ちなみに、会社法342条の2、第4項の条文とは、

監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができる。

というものでして、監査等委員会設置会社には指名委員会、報酬委員会が設置できないので、そのかわりに(指名委員会等設置会社における委員会に準ずる役割を果たすために)監査等委員会が取締役の人事議案や報酬議案に関する意見を形成し、意見があればこれを株主総会において陳述する権利があることを規定しています。

なお、平成26年改正会社法制定当時の立案担当者(法務省大臣官房参事官)の方の解説によれば、

・・・そして、監査等委員会が選定する監査等委員が、株主総会において業務執行者を含む取締役の人事についての監査等委員会の意見を述べることによって、監査等委員会の意見が広く株主に知らされ、株主による議決権行使に影響を与え、株主総会における業務執行者を含む取締役の選解任および報酬等の決定を通じた株主による監督も実効的に行われることになります

とのこと(坂本三郎編著「一問一答平成26年改正会社法」42頁)。そしてこの趣旨を受けて、会社法施行規則74条1項3号により、監査等委員会の意見の内容(正確には「意見の概要」)は、株主総会参考書類において開示されることになっています。

大株主と現経営陣との間で経営権紛争が表面化した以上、一般の株主にとってはまさに監査等委員会の意見を聴取したい場面です。少なくとも、社内の業務執行を担当してきた会社側提案の取締役候補者については、選任されることが妥当かどうか、監査等委員会としては意見を陳述すべきではないでしょうか。もちろん「意見陳述権」なので、監査等委員会から選定された監査等委員は意見を述べる法的な義務はありません。ただ、こういった場面のためにこそ、監査等委員会には経営評価機能を果たすことが期待されているわけでして、今後の天馬社における監査等委員会の動向には注目が集まるものと思われます。

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2020年3月 5日 (木)

監査等委員会の眠りを覚ます改正会社法の「取締役報酬規制」

一昨日(3月3日)、某会計専門誌が「監査等委員会設置会社に関する特集記事を掲載する」ということで、当職が取材を受けました。この2月時点で監査等委員会設置会社は1020社に上るそうで、上場会社の3割が「監査役さんがいない会社(監査役会が存在しない会社)」になったのですね。もはや取締役監査等委員の方々も「少数派」とは言えない時代になりました。

ところで、取材の際には話題になりませんでしたが、このたびの令和元年会社法改正(おそらく2021年4月か5月に、一部項目を除き施行予定)の主要改正項目に「取締役の報酬規制」があります。上場会社の場合、金銭報酬については個人別報酬の内容に関する決定方針を取締役会で決定し、株式や新株予約権による報酬についてはその数の上限や政省令で定める事項について株主総会で決議をする、ということになります。さらに株主総会前に開示される「事業報告」には代表取締役への再一任の方法を含む重要事項について記載する必要があります。

会社法制(企業統治等関係)部会の神田秀樹座長が「今回の改正の目的は、今まで形式的だった報酬ルールの改善」とおっしゃるとおり(「企業会計」2020年3月号95頁)、報酬規制の目的が「お手盛り防止」(経営陣が勝手に高額報酬を決めることを防ぐ)から「インセンティブ付与」「監督機能の促進」へと移るわけです。報酬規制に関する会社法361条の条文も大きく変わり、定時株主総会で、報酬に関する議案が上程される頻度も高くなることが予想されます。

そこで問題となるのが監査等委員会の「経営評価機能」の発揮です。監査等委員会は、監査等委員ではない取締役の報酬に関する議案が総会に上程された場合には、(選定監査等委員を通じて)委員会としての意見を陳述する権利があります(会社法361条6項、同399条の2、3項3号 なお、意見陳述義務はありません)。もちろん、総会に報酬議案が上程されずとも、意見を述べることができるというのが通説的見解ですが、このたびの会社法改正によって、報酬議案が上程される頻度が高まれば、どうしても監査等委員会の意見陳述権に光が当たります。

これまで、会社法上の取締役報酬規制は「形式的なルール」でしたから、監査等委員会の報酬に関する意見形成職務は(ほとんど)問題になりませんでした。しかし、報酬規制がインセンティブ付与、監督機能の充実にあるとすれば「当社の報酬制度が取締役のインセンティブとして妥当なのか」「当社の個別取締役の報酬決定方針に問題はないのか」「社長に再一任している報酬決定が、当社決定方針に合致しているといえるのはなぜか」「当社の任意の報酬委員会と監査等委員会との関係に問題はないのか」「譲渡制限付き株式は、なぜ一部の取締役にだけ報酬として付与されるのか」「監査等委員である取締役にも業績連動報酬が付与されるのは妥当ではないと思うが、どう考えているのか」等々、株主の方々には様々な疑問が湧いてきて当然かと思われます。

さらに、定時株主総会の前に、株主の目に留まる「事業報告」には詳細な役員報酬に関する事項が記載されることになります(詳細は、政省令よって決まります)。おそらく監査等委員の皆様に対して、(事前に事業報告を読んできた)出席株主から意見陳述権の行使を促す質問が飛んでくるのではないでしょうか。当然、意見陳述義務はありませんが、職務としての「意見形成義務」はありますから、質問されれば改正法の趣旨に沿った合理的な説明をしなければなりません(おそらく回答するのは常勤の監査等委員の方だと思います)。

平成26年改正会社法で生まれた監査等委員会設置会社ですが、このたびの令和元年会社法改正によって、いよいよ監査等委員会の「指名」「報酬」に関する意見陳述権が長い眠りから覚めるのではないかと期待しております。先日、武田薬品工業は、役員の業績連動報酬部分にクロ―バック条項を導入することを決めたそうですが、それは昨年の株主提案への賛成票が52%集まった結果に配慮したものです。このような株主による報酬監視を補完する(情報を提供する)機能こそ、監査等委員会の意見陳述権の役割なのです(平成26年改正法の立案担当者の解説)。令和元年会社法改正により、報酬規制が形式から実質へと移行する中で、監査等委員会の意見陳述権は、もはや「抜かずの宝刀」では済まされないはずです。

平成26年会社法改正の折、当時の改正法立案担当者のご説明では「監査等委員会設置会社は、指名委員会等設置会社への移行過程にある機関設計」(残念ながら1020社のうち、まだ1社も移行した上場会社はありませんが)、「監査役会設置会社と制度間競争を期待している新たな制度」と語られていたことを記憶しています。私はそのような制度であるならば、監査等委員会の取締役人事、報酬への意見陳述権の積極的な行使が今こそ求められていると考えています。

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2020年2月19日 (水)

「監査等委員会設置会社のベストプラクティス」について考えるべき時期では?

今年から、神田秀樹先生(学習院大学教授、東大名誉教授)が、判例時報に「会社法・金融法、随想-立法事実からみる、近況・課題」なる連載論稿を執筆されています。現時点で読めるものは1月11日号(2425号)における「上場会社の機関設計と監査等委員会設置会社」のみですが、会社法(上場会社関連)→会社法(中小会社関連)→金融法、と続く「随筆」はとても楽しみです。

第1回は「監査等委員会設置会社のベストプラクティス」をメインに語られていますが、すでに1000社を超える上場会社の監査等委員の皆様の中で、どれくらいの方がお読みになっているのでしょうか?神田先生の問題提起は、ご自身で「今後のベストプラクティスにゆだねられた課題である」と述べておられますが、私からみると「(広い裁量は認められるものの)善管注意義務の実践」のお話ではないかと思えるのです。

「妥当性監査」ないし「妥当性監督」の権限行使の局面において、指名委員会等設置会社における監査委員会と取締役会とは「共同・連携」して行うことは理解できるのですが、監査等委員会設置会社における監査等委員会(監査委員会と異なり、監査等委員会には、監査役のような独立性が制度上確保されています)と取締役会では、この権限行使はどちらが担当すべきなのか、実は明らかにされていないし、監査等委員会(監査等委員)の行動のモノサシとなるべき実務指針や監査基準でも明らかになっていません。

(ここからは私の推論ですが)おそらく監査等委員会設置会社というのは、限りなく監査役会設置会社に近い状況でガバナンスを機能させることも(たとえばマネジメント・モデルによる取締役会構成を採用する)、限りなく指名委員会等設置会社に近い状況で機能させることも(たとえばモニタリング・モデルの徹底も)可能なので、監査等委員の行動規範の中身も明確にできないのかもしれません。そして、仮にモニタリング・モデルに近い(取締役会の)運用を目指すのであれば、「監査等委員会設置会社のベストプラクティス」を平時から検討しておく必要があるのだろうな、と思います。

ただ、これだけ東証ルール(ガバナンス・コード)を遵守している上場会社が多いのであれば、実質的にみれば監査等委員会設置会社を選択したすべての上場会社が「モニタリング・モデル」のガバナンスを実施すべき(少なくとも目指すべき)とは言えないでしょうか?単に社外取締役を増員する目的だけでなく、迅速果断な経営判断を実現する目的のために監査等委員会設置会社に移行した上場会社でも、「監査等委員会の経営評価機能」をきちんと機能させている会社はほとんど見当たらないのは、私には「会社法違反」に映ります。

ということで、神田先生は、監査等委員会は、取締役会の定めた「経営の基本方針」に基づいて、一定の時期ごとに業績の評価を実施することが考えられる、と述べておられます。その評価の報告は「指名・報酬に関する意見陳述の理由説明」もしくは「監査報告」で行われる、ということになります。江頭教授の「株式会社法」では監査等委員会の意見陳述権は「経営評価機能」のひとつとして分類されていますが、いずれにしても、個々の監査等委員会設置会社としては、妥当性監査(効率性監査)ないし妥当性監督(効率性監督)を取締役会と監査等委員会でどのように分担しているのか、とりわけ監査等委員会の分担する妥当性監査、監督の結果は、どのように株主に対して報告されるのか、という点を対外的に説明する必要があるのではないでしょうか。

「裁判規範」から離れて、会社法を「行為規範」として捉えると、実務に及ぼす影響がいろいろと出てきます。監査等委員会設置会社の監査等委員の方が会長になられた日本監査役協会も、いまこそ監査等委員会(および機関を構成する監査等委員)の業績評価の役割について、取締役会と何をどのように分担すべきなのか、どのように株主に報告すべきなのか、「形式から実質へ」深化させた実務指針を示す時期に来ているものと思います。

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2019年7月22日 (月)

監査等委員会設置会社も「形式から実質へ」と向かうべきではないか

7月20日、21日の日経朝刊の記事、社説では、7月18日に東京で開催されたICGN(国際コーポレートガバナンス・ネットワーク)年次総会の様子が紹介され、大手投資グループから「日本の企業統治改革は、形式から実質を重視する段階になった」との意見が述べられたそうです。重点課題としては、①有価証券報告書の株主総会前公表、②最高経営責任者の個別報酬開示、③株式持合いの削減方針と期間の明示、ということだそうで、日本企業として「はい、そうですか」とすぐに対応することが困難なものが並んでいますね。

「形式から実質へ」というフレーズも、かつての「バブル崩壊」なるフレーズと同様、よくわからない概念です。たとえば、ガバナンスの整備が「形式」であり、運用が「実質」なのか、それとも目に見えるものが「形式」であり、見えないものが「実質」なのか、コードにおいて遵守しやすいものが「形式」で、遵守がむずかしい事項を実施することが「実質」なのか、語る人によって込めている意味が異なるようです。いずれにしても、何がどう変われば「形式から実質へ」といった流れが実現した、といえるのでしょうか。

ところで、上場会社において、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した会社がついに1000社を超えたそうです(三井住友信託銀行調べ、7月13日の日経WEBより)。3739社(6月末時点での上場会社数)のうちの1000社ですから、全体の27%が監査等委員会設置会社になりました。「こんなもの、使い勝手が悪いから増えませんよ」と予想した私は完全に「敗軍の将」ですが(笑)、もうそろそろ、監査等委員会設置会社も、本来の趣旨でガバナンスが運用されているのかどうか、精査してもよいころではないでしょうか。いわゆる「形式から実質へ」と向かっているのかどうか、という課題です。

まず、使い勝手が良いのであれば、監査等委員会設置会社から指名委員会等設置会社に移行する会社が出てくるはずですが、これまで1社も移行した気配はありません。また、日本監査役協会の取締役監査等委員の皆様へのアンケートの結果によると、定時株主総会にて「取締役の指名および報酬に関する意見陳述権」を行使した会社さんはそれなりに増えていますが、「執行部の決めたことに異存ありません」なる意見陳述のみで、執行部もしくは任意の指名・報酬諮問委員会と異なる意見を陳述した監査等委員会は一切ありません。

監査等委員は、他の取締役とは別議案で株主が選任するわけですが、一人一人の監査等委員が適任かどうか(誠実に職務を遂行しているか)は、個々の監査等委員の情報が開示されなければ(再任の適否について)株主には判断できません。監査役は独任制であり、一人一人が個別に監査報告を提出するのですが、監査等委員会の場合は組織監査なので、たとえ意見陳述は選定監査等委員が行うものであったとしても、せめて意見形成過程くらいは明示されなければならないはずです。しかし、そのような明示がなされた会社も皆無です。ということで、負け犬の遠吠えのように聞こえるかもしれませんが、やはり監査等委員会設置会社は(社外取締役の複数選任という形式を整えるための機関形態であり)実質的には機能していないのではないか(機能しているとしてもごく一部の会社だけではないか)・・・といった疑念が残ります。

「いやいや、とんでもない!権限委譲を進めて経営判断の迅速化が実現しているし、経営に緊張感が出ている」といった反論もあるでしょうし、本当に機能させるようにご努力されておられる会社もあると思うのですが、それならば何か監査等委員会が活動している状況を株主総会参考書類で開示できるようにしたほうが良いと思います。会社法施行規則74条4項3号では、(公開会社の)社外取締役を再任するにあたり、現任時に(重要な)不祥事が発生した場合には、その不祥事が発生した事実、当該不祥事を予防するために、その候補者(現任社外取締役)が行った対応事実、当該不祥事発生後にその候補者が行った対応事実を明示しなければならない、とされています。会社が当該不祥事を公表していない場合にはどうするんだろうか?(虚偽記載という法令違反をあえてするのだろうか)と悩むこともありそうですが、これは社外取締役がどのように活躍していたのか、再任にあたって株主に有益な情報を提供するための開示規制です。

これと同じように、監査等委員会の意見によって経営執行部の指名・報酬に関する判断が変更された場合にはその旨を(なければ記載不要)記載する、意見形成の過程で別の意見を有していた監査等委員がいる場合にはその旨を記載することで、当該監査等委員会の活動状況を開示すべきです。金商法上の「関連当事者取引」に該当する程度の利益相反取引にあたり、監査等委員会が事前承認手続を行ったような事例も、監査等委員会に期待される中立・公正な職務の遂行なので、開示してもよいのでは。このような開示があってこそ、株主総会での「取締役の選任、報酬について異存ありません」なる意見陳述が意味を持つと思います。

有価証券報告書の記載事項として、2020年3月決算から監査等委員会の活動状況の開示が必要になりますが、そこで記載するのでも良いと思います(ただし総会前の有報開示が前提ですが)。そうでもしないと、なんの意見表明もしない監査等委員をどうやって株主が再任できるのか疑問です。ちなみに指名委員会等設置会社の監査委員会委員は取締役会が選定・解職しますので、監査等委員会とは全く状況が異なります。

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2018年6月25日 (月)

続・取締役監査等委員→社外監査役の「横滑り」はあり?

今週は、株主総会のピークに加えまして、運命のポーランド戦もあるため、当ブログも少し更新がむずかしいかもしれませんが、どうかご容赦ください(2-2の壮絶な戦いは、ひさしぶりに感動いたしました)。

さて、ひさびさの監査等委員会設置会社に関する話題です。6月24日の日経朝刊2面に「監査等委員会設置会社への以降 上場会社4分の1に」との見出しで、あいかわらず監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行する上場会社が増えている(900社弱に上る)、との記事が掲載されていました。

地方の上場会社では、社外取締役候補者がなかなか見つけにくい、という現状もあり、監査役に就任されている方が社外取締役にそのまま「横滑り」で就任するケースが多いようです。議決権行使助言会社の指針が今後も厳しくなるかもしれませんが、とりあえず2名以上の社外取締役は確保できるわけですから、それなりに移行のメリットはあるのかもしれません。

なお、「監査役から取締役監査等委員」への横滑りはアリですが、取締役監査等委員から監査役への横滑りはむずかしいので要注意です。今年2月のエントリー「取締役監査等委員→社外監査役の横滑りはあり?」において、少し疑問を呈していたところでしたが、某社が監査等委員会設置会社から監査役会設置会社へ戻すにあたり、取締役監査等委員の方が、再び社外監査役に戻る旨のリリースを出されておられたので、少し心配しておりました。私の思いつかない何か裏技があるのかな・・・とも考えたりしておりました。

しかし、当該上場会社さんは4月中旬にリリースを訂正し、これまでの取締役監査等委員の皆様は6月の総会で退任され、新任3名の方が取締役監査等委員に就任されることになったようです(おひとりは常勤監査等委員)。やっぱり会社法違反になってしまうことになるのでしょうね。私のところに相談に来られる企業さんの様子をみておりますと、今後も監査等委員会設置会社から監査役会設置会社に戻る上場企業さんが増えると思われますが、その際には新たに社外監査役候補を2名以上必要とすることにご注意ください。

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2017年6月26日 (月)

敗軍の弁護士、急増する監査等委員会設置会社を語る

いよいよ日本でも監査報告の長文化が実現するようですね(監査基準の改正作業が始まるそうです)。情報開示や「株主との対話」における会計監査人の責任が重大となるだけでなく、連携を図るべき監査役や監査委員の方々の役割にも光があたることになります。

さて、すでにご承知の方も多いかもしれませんが、6月24日の日経夕刊一面に「監査等委員会設置会社、3割増-企業統治を強化、社外取締役確保」と題する記事が掲載されていました。監査役という制度が海外からわかりにくいこと、監査を担当する社外取締役を増やすべきとの投資家の要望が強いことから、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行した(移行予定を表明した)会社が800社程度に上ったと解説されています。

平成26年改正会社法が施行された頃から、私は「監査等委員会設置会社への移行なんて、役員の責任が怖くて、とても500社なんて増えないですよ(笑)。まぁ、移行にあたって監査委員の社外取締役の報酬を(社外監査役と比べて)2倍くらいにしてくれたら増えるかもしれませんけどね(笑)」と(いろんなところで)話まくっておりました。その間、東京の大手法律事務所の先生方は「けっこう、監査等委員会設置会社は使い勝手が良いのではないか。おそらく700~800社程度は移行するものと思われる」と予想を立てておられました。そして結果として、私の予想は当たらず、東京の先生方の予想がズバリ的中ということになりました。とりあえず、私なりの敗因を以下のように分析してみました。

ひとつは、なんといってもコーポレートガバナンス・コードへの上場会社の実施率が極めて高いという点です。とりわけ複数の社外取締役を選任すべき、との原則を多くの上場会社が遵守することになり、結果として社外監査役さんが「横滑り」によって社外取締役さんに就任されることが急増しました。ただ、これは担当役員さんの一存で決定できるものではなく、社長さん自身が決定したものと思われますので、ガバナンス改革への上場会社の本気度を高めるという意味ではかなり効果があったものと評価できます。

ふたつめは、これはかなり私の「負け犬の遠吠え」的な言い訳になりますが、議決権行使助言会社が「監査等委員会設置会社では、社外取締役を4名以上選任しなければ、取締役の選任議案について反対を推奨する」といった方針を先送り(様子見)したことが大きいと思います。たしかISSさんは、日本法人代表の方が、このあたりを旬刊商事法務の論文でも説明されていたようです。社外取締役4名以上もしくは取締役会構成員の3分の1以上という条件を方針として決定していれば、移行を検討していた上場会社さんも断念されていたのではないかと思います。

そして最後が「攻めのガバナンス」というガバナンス改革の流れです。成長戦略を推進するためのガバナンス改革ということで、監査等委員会設置会社のメリットとされる迅速な意思決定、モニタリングモデルの推進(執行と監督の分離)という点だけが強調され、デメリットである監査機能の衰退の懸念という点がほとんど語られてこなかった点です。日本監査役協会のアンケートでも、「監査等委員会の意見によって取締役会の意見が変更されたことはあるか」「株主総会において、取締役の選任議案や報酬議案について、監査等委員が(株主から)質問を受けたことがあるか」との質問に対して、「はい」との回答は0または1でした。リスク管理の面で、監査等委員会の適切な運用がなされている形跡はほとんど見受けられないといえます。

以上のとおり、私の読みが甘かったといえばそれまでですが、ただ「監査等委員会設置会社の不正リスクへの脆弱さ」という点では、3年前と今とでは全く意見は変わっておりません、といいますか(相談案件などを通じて)ますます確信を強めております。ガバナンス構築に熱心な企業が増えることによって1000社を超える上場企業が監査等委員会設置会社に移行するのであれば、それは好ましい傾向だと思います。ただ、そうであるならば、監査等委員会設置会社に移行した800社のうちの80社程度はすでに指名委員会等設置会社に移行しているはずです。しかし、800社のうちの1社も指名委員会等設置会社へ移行する企業がないということは、やはり「ガバナンスは実質よりも形式」という企業が多数を占めていることの証左ではないか・・・と思うところです。

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2017年3月 6日 (月)

移行後に試行錯誤する監査等委員会設置会社

日本の上場会社約3600社のうち、昨年末時点で732社が(監査役会設置会社から)監査等委員会設置会社に移行した(移行予定を開示した)そうで、今後も大規模な上場会社を含め、まだまだ監査等委員会設置会社は増加傾向にあるようです。

ただ、監査等委員会設置会社の中でも、①監査役会設置会社に戻したい、②監査等委員のメンバーを入れ替えたい、③指名委員会設置会社に移行したい、といった計画を実行に移そうとしておられる企業も出てきましたね。私自身もガバナンスの改訂支援を行っていますし、また旬刊商事法務の最新号(某議決権行使助言会社日本法人代表の方のご論稿)を読むと、実際に社外監査役からの横滑りでは、社長が想定していたガバナンスが発揮できないとして、すべての監査等委員を変更した企業さんのお話も出ています。

おそらく監査等委員会設置会社は今後「二極化傾向」が進むのではないかと予想します。ガバナンス改革に熱心で「もっと良いものに作り上げよう」と試行錯誤を繰り返す企業と、とりあえず「緊急避難的に」監査等委員会設置会社で落ち着く(特になにもしない)企業です。試行錯誤を繰り返す企業さんは、真剣に取締役会改革(モニタリングモデル、執行部門への権限委譲)に向けて、監査等委員会の人選、非常勤取締役(会社法上の社外取締役ではなく業務執行に関与する社外取締役)の選任など、他社との差別化を実践するための工夫を取り入れるところも出てくるように思います。

私が相談を受けている某社でも、たとえ監査役会設置会社に戻すことになったとしても、「なんだ、そんなことなら監査等委員会設置会社への移行などやめとめばよかった」ということではなく、あらためて自社経営組織の強みに気が付いて、どうすれば「強み」を事業に活かすことができるか真剣に検討する契機になりました。そういった意味では監査等委員会設置会社への移行もかなり意味のある行動だったのかもしれません。

ガバナンスを変えるということはとても準備が必要な作業ですが、あれこれ考えるよりも、まずは実行してみて「試行錯誤」を繰り返すほうが、(回復可能な)失敗を実感できる分、組織の活性化のためには有効だと思います。そのような意味では監査等委員会設置会社への移行が「ガバナンス・コードへの対応といった必要に迫られて半強制的」に行われた企業であったとしても、今後は機動的に対応する機運が社内に高まれば、それなりに効果があったのではないか、と考えたりしております(ただ、そもそも監査等委員会設置会社というものが、どういった機関なのか、社長も監査等委員もまったくわからずに移行していた会社は多いですよね)。

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2017年1月 4日 (水)

株主上程議案に対する監査等委員会の意見陳述権行使

昨年から注目しております某上場会社(東証マザーズ)の支配権争い事案ですが、予想どおり、年末に募集株式の発行等について差止め仮処分の決定が出されたそうです(大阪地裁決定)。会社側は債務者審尋もなく突然決定が出されたことから、1月4日午前9時に保全異議を申し立てるそうですが、仮の地位を定める仮処分において債務者審尋なしに決定を出すというのも、年末の要急事案としての特別事情が認められた、というところでしょうか。

一昨年のアルファクス・フード・システムさんの事例あたりから、この支配権争いが顕在化している時期の第三者割当増資については、主要目的ルールはかなり後退してきている(原則として不公正方法による株式発行と推定する)方向にあるように感じますし、社外役員は「有利発行」か否か、著しく不公正な株式等の発行か否か、という点への判断と情報開示が強く求められるようになってきているように思います。

ところでこの某上場会社さんは監査等委員会設置会社です。過半数の社外取締役さんで構成されている監査等委員会には、経営評価機能を発揮するために株主総会における役員の選任・解任に関する意見陳述権が付与されており、定時株主総会だけでなく、臨時株主総会においても権限行使が期待されています。この某上場会社さんは、大株主の要求に応じて臨時株主総会を開催するそうで、そこでは大株主さんの上程議案(大株主から提出された取締役選任議案)が審議されます。この場合、会社側は株主上程議案に対する意見を表明することになると思いますが、そもそも監査等委員会は意見陳述をする立場にあるのでしょうか。

会社法の条文上は何らの制限もありませんから、株主上程議案による取締役候補者への意見形成も監査等委員会の職責に含まれるようです。しかし、そもそも指名委員会類似の監督機能を果たすために監査等委員会の意見陳述権が認められたわけですから、取締役選任に関する株主上程議案にまで意見を述べることは制度趣旨を超えるものではないか、とも思われます。つまり株主側から「監査等委員会としての意見を聴きたい」と質問されても、そのような意見を述べる立場にはない、として説明義務を果たさなくてもよい、ということになるのかどうか。最近の有力な見解では、意見陳述権といえども、述べるべき時に述べないというのは取締役監査等委員の善管注意義務違反に該当するそうなので、このあたりはきちんと整理しておくべきではないでしょうか。

ちなみに監査等委員会設置会社の「現実」を知るうえで、月刊監査役最新号の別冊付録に「選任等・報酬等に対する監査等委員会の意見陳述権の実務と論点-中間報告としての実態整理-」なる報告書が掲載されておりまして、ここに監査等委員会設置会社のアンケート結果が集計されていて、とても参考となります。愕然としたのは監査等委員会の意見によって経営執行部の意見が修正されたと回答した会社がわずか1社(67社中)。また意見を開示した会社においても、監査等委員会がどのようなプロセスで代表取締役の人事や報酬の妥当性を判断したのか、開示情報から把握できる企業はほとんど存在しないというのが現実です。

いまガバナンス改革のフォローアップは形式から実質へと移っていますが、このままだとガバナンス・コードの改訂において「監査等委員会設置会社は指名委員会等設置会社への段階的プロセスである」とか「監査等委員会設置会社の取締役は過半数を社外取締役にすべき」という流れに移行するのではないでしょうか(冗談ではなく、本当にそのように移行する可能性があるように感じます)。監査等委員会設置会社に移行した会社は今年が正念場であり、監査等委員会の実質的な機能発揮、つまり社長人事や社長の報酬に積極的に監査等委員が関与しているという実態を各社とも形成・開示することが不可欠かと思われます。

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