2022年11月 8日 (火)

ガバナンスや内部統制を語るとき・学ぶときに大切なこと

11月5日、日本ガバナンス研究学会(旧日本内部統制研究学会)におきまして、私は従前同様の理事に就任しましたが(もう4期目?)、ひさしぶりに法曹界出身の会長が選任されました。久保利英明弁護士が新会長となり(一同どよめく・・・、いや、そのいで立ちで誰もがすぐに覚りましたが)、これからの3年間の学会は「久保利丸」での船出となりました。ひさしぶりにいろいろとお話しましたが、相変わらず頭脳明晰、体調万全のご様子でした。

ちなみに退任される橋本前会長は証券取引等監視委員会での大役が待っておられるそうです(もちろん衆参両院での同意が必要となります)。ということで、私はガバナンス・ネットワークでは牛島理事長の下で、ガバナンス研究学会では久保利会長の下で、それぞれ「番頭格」のような立ち位置になってしまいました( ;∀;)

さて、本業はと言えば、ようやく普段の業務体制が戻ってまいりまして、ガバナンスや内部統制の支援業務も再開しております。昨日は東京近郊の某社のコンプライアンス経営のお手伝いをしておりました。自分がかかわったことのない業界の会社さんなので、私が抱いている「コンプライアンス経営」のモデルがそのままでは通用しないようで、「腹落ち→実践」のためにはかなりの工夫が必要と感じました。

ところで、某審議会の委員として会議に出席して、他の委員の方々のご発言を拝聴している際に「この委員の方の頭の中には、どれくらいの規模の上場会社をイメージしておられるのだろうか?」との疑問が湧いてきます。ガバナンス、内部統制を語るにあたり、50人規模の上場準備会社と1万人以上の社員を抱える上場会社では、当然違うことを言わなければ説得力はありません。私はいつも「それって、どのくらいの上場会社をイメージしたものでしょうか?」と質問したくなります。事業の効率性を向上させるためのガバナンス、内部統制は「100社あれば100通りのガバナンス、内部統制がある」というのが正解だと確信しています。

ハードローである内部統制報告制度だけでなく、ガバナンスコードやCGS研究会ガイドラインのようなソフトローも、さらには人的資本開示に関する指針も、「日本株式会社」の価値向上のために作られたものであり、個々の企業のガバナンス、内部統制のベストモデルを示したものではないはずです。最近はVUCAの時代(不確実性の時代)と言われて、経営環境の変化への柔軟性が求められるようになりましたが、まず経営環境よりも先に、自社組織の強み、弱みをきちんと共有する(共有できる)ことが大切です。しかしこれがなかなかむずかしい。だからこそ「株主出身の非常勤取締役歓迎」のような「リスクを共有した外部の目」がけっこうモテているのではないでしょうか(いわゆる「ボード3.0」ですね)。

時事ネタを少しずつインプットする時間もできてきて、ようやく新聞記者さん方からの取材にも応じることができるようになりましたので、このあたりの具体例はまた追ってブログで述べたいと思います。

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2021年4月27日 (火)

ガバナンス・コード改訂版に対応する日本の上場企業を機関投資家はどうみるか?

本日も日帰りの東京出張で、帰阪後もまとまった時間がとれませんでしたので、自分用の備忘録としてガバナンス関連の話題をひとつ。備忘録なので、私個人の意見などはあまり記載しておりませんのでご了承ください。

先週末、金融庁Gコード&Sコード・フォローアップ会議のメンバーの方と、ある団体の会合で意見交換を行う機会がありました。ガバナンス・コード2021がもうすぐ適用されますが、ガバナンス・コードに対応する日本企業についての当該メンバーの方のご意見がとても興味深い。

まず「日本企業はエクスプレインする(コードに従わない理由を説明する)企業が少なすぎる」とのこと。「日本企業はガバナンス・コードへの誤解があるのではないか」とおっしゃっておられました。自社にとって最適なガバナンスはどのようなものか、企業理念に沿った考え方が、ます自社で確立していることが前提。だからこそ、投資家はエクスプレインを期待している。これほどコンプライする、ということは、そもそも自社のビジネスモデルに沿ったガバナンスの理想形が存在しないのではないか。だからあまり考えることもなくコードができれば従う・・・ということになるのではないか。

たしかに英国では「コンプライ」が基本であり、エクスプレインは例外的かもしれない。しかし、それは英国が2008年のリーマンショックの際に改訂した「守りのガバナンス」に関するコードが中心だからであり、また、国家ではなく「シティ」が主導で策定されたソフトローだから(人から押し付けられた規制ではなく、自分たちで決めたルールだから従うのが当たり前)。攻めのガバナンスのためのガバナンス・コードを国から要求されて従うとなれば、日本と英国と背景事情が全く異なる(よって、堂々とエクスプレインすればよい)。

役員からみてコードへの対応として重要なのは取締役会の実効性を評価することであろう。しかし、自己評価ができているとは思えない。とくに社外取締役の評価はどうしているのか。日本では「健全なリスクテイク」のために社外取締役が果たすべき役割があるはず。ではそのような役割を果たす社外取締役は、誰がどのように格付けしているのか。

私の聞き間違いもあるかもしれませんので正確性は保証できませんが、ご意見には共感するところが大きいです。やはり「成長戦略を後押しするガバナンスなど掲げているのは日本だけ。ガバナンスは不正防止、社長の暴走抑止、エージェンシーコストの低減、といったところが目的」という点はとても重要ですよね。ガバナンス・コードへの対応は二の次として、まずは自社の持続的成長のための最適なガバナンスを考えることが最優先ではないか(←これが2013年以来、ガバナンス改革に一生懸命取り組んできた日本が得た知見では?)といった考え方が次第に浸透するような気もします。

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2020年12月 8日 (火)

ガバナンス改革の進展-ますます理想と現実のギャップが問われる「独立社外取締役の役割」

12月6日(日)の日経朝刊1面に「社外取締役3分の1以上に-企業統治改革「新1部」基準厳しく」と題する「コーポレートガバナンス・コード改訂2021」に関する記事が掲載されています。12月8日にも「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第22回)が開催されるそうですが、上記記事によりますと、金融庁及び東証は「22年4月の東証市場再編における「プライム市場」に上場する企業には、取締役の3分の1以上を独立した社外取締役から選ぶことを要請する」そうです。

なお、会議の様子は12月8日午前9時30分からこちらのyoutubeチャンネルでリアル傍聴ができるそうです。

私が世話人を務めるCGN(コーポレートガバナンス・ネットワーク)の関西勉強会(12月5日にリモート会議によって開催)でも、このような議論がなされました。具体的な個々の会社の状況はお話しできませんが、現役の独立社外取締役のメンバーが多くを占める我々の勉強会(参加者25名ほど)では、「社外取締役の数をいくら増やしても、また多様性に配慮したとしても『社長のお友達』では意味がない」との意見が強く、参加されている役員人材紹介会社の社長さんですら「現実は社長の知っている方が優先的に候補者になる」とのことでした。また、「社長の好き嫌い」によって(社外役員の)情報共有の範囲も異なる、といった発表もなされました。まさに「理想と現実とのギャップ」は大きいのです。

機関投資家の要望に配慮したガバナンス改革を推進するのであれば、この「理想と現実のギャップ」を埋める努力が必要です。一昨日の関西研究会では、次期社外取締役候補者の選定権を誰が持っているのか(社長?指名委員会?社外取締役?)、さらに選定の基礎となる「候補者リスト」は誰が作成しているのか、という点を開示したほうが良いという意見が多く出されていました。今後は、このような開示がなされない場合には、議決権行使助言会社による独立社外取締役への審査にも影響が及ぶようにすべき、との意見もありました。

指名・報酬諮問委員会の委員としての職務や社外役員間の連絡会の協議等、独立社外取締役の職務内容は増えています。さらに独立社外取締役にとっては資産効率向上のための事業再編(子会社売却や事業の分離、MBO等を含めたM&A)、情報管理(営業秘密漏えいや個人情報漏えい事件の頻発)、不祥事対応、アクティビストファンドからの重要提案への対処等、上場会社が有事対応をとらねばならない場面が急激に増えていることは心得ておかねばなりません。社外取締役にとって、約1か月から2カ月ほどは、他の仕事を切り捨てて専心しなければ善管注意義務を尽くせない場面が増えています。忙しいからといって「片手間」に有事に臨むのであれば、当然のことながら社内執行部の有事対応を「なぞるだけ」の仕事になります。

ここに「理想と現実のギャップ」を埋めて取締役会の実効性を向上させる意義があるものと考えております。旬刊商事法務の最新号(2248号)のスクランブル「新たな時代に入る社外取締役の選任のあり方」でも述べられていますが、経営トップの覚悟とともに、選任される側の独立社外取締役自身も「ガバナンス改革の転機に立つこと」の覚悟が求められるところだと思います。

 

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2020年11月24日 (火)

独立社外取締役に求められる「人の問題」と「仕組みの問題」への対応

11月21日(土)、第13回日本内部統制研究学会の年次大会がリモート会議で開催されました(参加者は関係者を含めて120名前後だったようです)。午前の自由論題から午後の統一論題討論まで、休憩をはさんで8時間の長丁場でしたが、テーマ「内部統制報告制度導入後10年が経過した実務上の課題」にふさわしい、たいへん有益な学会発表でした。

とりわけ金融庁参事官I氏の「10年のふりかえり」と「今後の検討の可能性」に関する特別講演でのお話は、(もちろんI氏の個人的な見解を述べられたものですが)これからの内部統制制度への取組みを検討するうえではとても参考になるお話しでした。ちなみに英国ではカリリオン社事件、ドイツではワイヤーカード社事件を契機に、いずれもSOX法(米国)や監査品質の向上に関する基準等の研究が進み、法改正が検討されているようです。ただ、結局のところ、どこの国でも大きな会計不祥事が発生しなければ内部統制報告制度への関心も高まらない、というのが現実ではないかと。

上記金融庁参事官の講演を拝聴して痛感しましたが、この10年の市場規制の流れの中で、内部統制とガバナンスの議論の関係をどう整理するか、という問題への回答は、ますます重要になりつつあります。たしかに、年次大会の各発表を拝聴していても、現状の問題を解決するためには、全社的内部統制を問題とすべきなのか、それともコーポレートガバナンスを問題とすべきなのか、明確には詰め切れていない議論がなされていることが垣間見えたように思います。

そのような中で、日本公認会計士協会のT会長が語ったエピソードがなかなか興味深いものでした。T会長が、某上場会社の会計監査人をされていた頃、当該会社に独立社外取締役としてN氏(著名な元経営者の方)がいらっしゃったそうです。監査委員でもあるN氏とは、定期的な監査委員会との報告会で意見交換をしておられたそうですが、T氏が監査上の問題点を当該N氏にお伝えするたびに、「その問題は『人の問題』なのか、それとも『仕組みの問題』なのか、どちらで解決できる問題ですか」と質問されたそうです。大きな組織のトップとして、経営上の責任を担ってこられた方らしいN氏の質問が、当時はとても印象的だったとT会長が語っておられました。

(ここからは私の意見ですが)独立社外取締役として「人の問題」だと認識した場合には、取締役会の監督機能を発揮して経営者の交代、つまりコーポレートガバナンス上の問題として対応する必要があります。いっぽう「仕組みの問題」だと認識した場合には、経営管理の手法、つまり(事業戦略の実行、もしくはリスクマネジメントの実践のための)内部統制の問題として対応する必要があります。

少し前までは、「ガバナンスと内部統制の関係整理」といった話はやや「青臭い」「実務とは遠い」「原理的な」議論ではないか、といった「空気」が日本の上場企業に漂っていましたが、10月20日に再開された金融庁「SSコード、CGコードのフォローアップ会議」の議論の中身などから拝察しますと、真剣に「独立社外取締役に期待される役割」が取り上げられ、もはや「原理的」などとは言っておれない雰囲気になりつつあります。ESG経営が推進されるなかで、数値化することがむずかしい「G」のレベル感を上げるためには、独立社外取締役の役割と期待を明確に打ち出さねばならない風潮が高まっていることは事実です。

先が読めないVUCAの時代、企業の持続可能な生産性を向上させるためには、いかに変化に対応できるかという点が重視されます。その変化への対応は、経営管理の視点から臨むこともあるでしょうし、そもそも人の交代によって臨むこともあるのでしょう。私は独立社外取締役に必要なスキルとして、「人への評価」だけでなく「仕組みへの評価」つまり内部統制の整備・運用に関する基本的な理解も不可欠ではないかと考えています。

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2020年2月27日 (木)

マーケットバリュー(証券市場の効率性)を高めるための国策-事業再編実務指針を策定へ

今朝(2月26日)の日経朝刊5面では「政府、新成長戦略に明記-事業再編促進へ指針」との見出しで、企業のデジタル化、グローバル化に対応して、政府として事業再編を促進するための指針を策定することが報じられていました。具体的には(未来投資会議における議論を通して)東証コーポレートガバナンス・コードの実務指針の形でまとめて、経営陣や社外取締役の判断基準として活用されることが予定されているようです。

「経営陣と機関投資家の対話ガイドライン」はコードの附属文書という位置付けでしたが、「企業統治指針」の「実務指針」という位置付けなのでしょうかね?(指針の指針?なんかややこしい・・・)ともかく、狙いを定めた上場会社に対して事業再編を迫るアクティビストファンドにとって、またひとつ有力な武器を手に入れることができるわけで、「ガバナンス改革3.0」(全上場会社にルールを適用して、望ましい方向に動かすだけでなく、ピンポイントで特定の上場会社に狙いを定めて、投資家にとって望ましい要望を出し、応じなければ「見せしめ」として損をさせ、恥をかかせて、その脅威によって他の上場会社を動かす、いわゆる「ポピュレーション・アプローチからハイリスク・アプローチへ」)の方向性は揺るがないものと予想しております。

実は、この「企業統治3.0」の流れが進むなかでの会社の有事(とりわけ株主総会、取締役会における有事)において、監査役、監査等委員(監査委員)の皆様が、どう対応すべきか・・・というのが(私が講師を務めます)今年の日本監査役協会におけるリスクマネジメント研修の「設例1~設例12」だったわけですが、すでに告知のとおり、大阪2会場以外の5会場分が中止となりました(*´Д`)。これ、上場会社の取締役、監査役の方々にとって、ものすごく重要なポイントだと思うのです(裁判規範ではなく、行為規範として会社法が「上手に」活用されるようになった意味は大きい)。

前にも述べましたが、昨年末のM&Aonlineの調査結果によりますと、上場会社に対する「敵対的買収」の勝敗について、2000年~2013年の13年間は、買収者側が3勝11敗でしたが、アベノミクス以降(2014年)~2019年には6勝3敗のようです(私が図表をもとに集計)。ブルドックソース事件最高裁判決の時代(2007年)とは、上場会社を取り巻く経営環境は大きく変わりました。社外取締役さんに本気で活躍してもらうためにも、事業の撤退や売却に関する社内ルールは明確にして、さらに開示することが、今後は普通に投資家から要求されるようになるのかもしれませんね。

なお、次回のエントリーでは、上記のような「企業統治3.0」の問題意識にピッタリの新刊書が商事法務さんから近日出版されるそうなので、コッソリご紹介したいと思います。どうかご期待ください(ちなみに私の著書ではなく、大手法律事務所の皆様が執筆されたものなので、安心して読めますよ)。

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2019年7月12日 (金)

コーポレートガバナンス・コード補充原則3-2②ⅳの条項は本当に実施されているのか?

先日、ある研究会で、某社の経営企画・IRを担当されている方(Aさん)の発表を拝聴する機会がありました。某社はガバナンス強化にも熱心で、世間的にも極めてクリーンなイメージで知られたメーカーさんです。当社に中途入社で採用されたAさんは、IRを担当される中でガバナンス・コードも熱心に勉強されたそうですが、A氏曰く「そういえば補充原則3-2②のⅳでは外部の会計監査人から不正を発見したり、不備や問題点を指摘された際の会社側の対応体制の確立が求められているが、そんなことを会社で議論したところを一度も見たことがない」とのこと。当該研究会では、もっと実務的に重要な論点に聴講者の質問が集中していましたが、私はどうも、Aさんの当該発言にひっかかっておりました。

某社のガバナンス報告書を確認しましたが、この補充原則はエクスプレインしていないので、間違いなく実施しているはずです(ただ、コードでは実施状況の開示が要請されていないので、どのように体制を確立されているかは外部からはわかりません)。補充原則で示されている「会計監査人が不正を発見して、会社としての対応を求めた場合」というのは、金融商品取引法193条の3に基づく是正要求通知がなされた場合よりももっと広くとらえるべき、というのが立案担当者の説明ですが、某社に限らず、実際に会社がどのような対応体制を確立しているのか、よくわかっていないのが実態ではないでしょうか。会社として対応が求められる「不備や問題点の指摘」というのも、いったいどのような指摘を指すのか、これもよくわからないところです。

「実施している」と公表しながら、実施していなければ東証の規則違反であり制裁の対象となります。もちろん、これを放置しておりますと、取締役の職務執行上の善管注意義務違反となりますから、この点はおそらく監査役、監査委員の皆様も確認はされているはずです。たとえば①「不正を発見して会社としての対応を求めた場合」「不備、問題点の指摘を受けた場合」とは、具体的に会計監査人からどのような指摘があった場合なのか、②これに対して対応が必要かどうか判断する機関はどこなのか(取締役か監査役等か、それとも取締役会か)、③対応が必要と判断した場合、具体的にどのような対応をするのか、といったところは最低限度、平時から確立していなければならないと思います。このあたり、他社ではどのようにされているのでしょうか?また、監査役等の皆様も、対応体制の確立がどの程度まで行われていれば善管注意義務を尽くしている、と判断されているのでしょうか?

最近の会計不正事案において、外部の会計監査人に情報提供があるものの、ずさんな社内調査のためにうやむやとなり、その後監督官庁に内部告発がなされて発覚するケースが散見されます。私の感覚では、高額な費用を伴う第三者委員会調査に至るよりも、件外調査を含めた徹底した社内調査で発見するほうがよほど会社のためになると思います。そのためには、ガバナンス・コード補充原則3-2②の当該条項を、きちんと遵守することが近道です。2021年3月期から、金商法監査にはKAMが導入されますが(2020年3月期から早期適用)、監査役等と会計監査人で(個社固有の)監査上のリスクを真剣に協議する機会が増えるわけですから、このあたりも整理をしておくべきではないかと。また、補充原則3-2②(とりわけⅳについて)きちんと対応体制を確立しておられる上場企業さんがいらっしゃいましたら、どの程度確立されているのかご教示いただければ幸いです。

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2019年5月31日 (金)

日本企業の労働慣行とサクセッションプラン(後継者育成)の親和性を考える

5月29日の日経夕刊「十字路」では、CEOの解任に関する判断基準の明確化、透明化への「取締役会の覚悟」が語られていました。会社の有事には、本気でCEOと向き合う気概を持て、とのこと。ガバナンス・コード改訂版が上場企業の浸透する中で、取締役会改革の実質化が今まさに求められています。ただ、取締役会はCEOと本気で向き合うだけで企業価値向上が果たせるかというと、そんなに簡単なものではないようです。

コーポレートガバナンス・コードのなかでも、コンプライの一環として後継者育成計画やCEOの選解任の明確化・透明化を図る企業が増えています。私がガバナンス構築の支援を担当している某上場企業さん(甲社)も、2年ほど前からサクセッションプランを実施しております。最近の経営陣主導の不祥事例や支配権争いに関する事例などをみておりますと、早い段階から後継者を育成することが大切ではないか、うまくいかなければ社外取締役が中心になってCEOの選解任を進めるべきではないか、と思うわけですが、実際にやってみると、「やらなきゃよかった」と思えるような場面に遭遇しますね。

甲社では、これまで社長が次期社長を指名するシステムで後継者が実質的に決まっていましたが、2年ほど前に後継者育成システムを導入し、社内でも後継者候補が早い段階で決まりました。しかし、この後継者候補の周りには「将来の社長に認めてもらいたい」ということで、後継者を支える会のようなものができて、これがまた現経営陣からみると「優秀だが現社長にかわいがられなかった不満分子」のような方々が、候補者を取り巻いておられます。候補者に吹き込まれる情報は、現経営陣を批判するようなものばかり。そうなりますと、現社長を支えている経営陣との間に派閥の対立ができてしまい、肝心の本業の効率性がとても悪くなりました。

GEの著名な経営者ジャックウェルチの著書などを読むと、3名ほどの後継者候補をあらかじめ社内で競わせて、最終的に現CEOが決定し、上手にCEOの地位を引き継ぐことが自慢話のように書かれています。しかし、こういった後継者育成計画や社長の選解任ルールの透明化、といった指針は果たして日本企業の労働慣行に合致するものかどうか、よく見極める必要があります。

同期入社制度、年功序列、終身雇用といった労働慣行があたりまえで、職務よりも人に対して給与が支払われる企業社会だと、やっぱり経営幹部にとっては「誰についていくか」はとても大切です。なので、早々と後継者候補が明らかになりますと、現社長に批判的な「取り巻き」現象が発生してしまい、現経営陣とうまくいかなくなってしまうケースも出てくるように思います。後継者を3名ほど指名して競わせるのは良いとしても、人に対して給与が支払われる慣行がありますので、後継者に指名されなかった方はどうされるのでしょうか?(米国のように、職務で転職できるのであればよいのですが、日本ではそんな甘くないと思います)。

CEOの選解任手続の明確化、透明化の実施についても同様です。たとえば社外取締役が主導して現CEOの退任を求めたとします。社外取締役が一番苦労するのは「現CEOとの対決」ではありません。現CEOに家族と自分の人生を賭けておられる経営幹部の方々からの厳しい攻撃です。日本の労働慣行が前提であれば、これは当然かもしれません。このあたりは機関投資家の方々にはなかなか理解していただけないと思います。

組織がひとつになって後継者計画を遂行しようとすると、結局は現CEOが退任後も相談役や顧問としてにらみを利かせて(?)社内抗争を防止し、企業活動の効率性を確保する、といった笑えない事態もありえます(なるほど・・・相談役・顧問制度はよく考えられた-日本の労働慣行にマッチした-仕組みなのだなぁと感心します)。よく企業統治改革2.0は「形式から実質へ」と言われますが、その「実質」とは企業だけではどうにも変えることができなくて、日本政府が(どんな選挙結果になろうとも)本気で労働慣行を変える政策を断行しなければ限界があるように思えてきます。

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2018年10月24日 (水)

ガバナンス・コードへの対応は「引き算」で考えたほうがうまくいく

昨日(10月22日)の日経法務面では、コーポレートガバナンス・コンサルティング会社の名誉会長に就任された前経団連会長さんのインタビュー記事が掲載されていました。日本企業では、まだまだ社外取締役は十分に機能していないが、「ようやく先進的な企業も出始めた」とされています。社外取締役が中心になって、いわゆるサクセッションプラン(後継者計画)を作り、複数の候補者をインタビューして決めるのだそうです。また、社外取締役にふさわしい人物としては「経験豊富な元経営者で、企業統治の知識も備えた人が望ましい」とのこと。

このたびのガバナンス・コードの改訂でも、後継者計画の作成やCEOの選解任手続の透明化が要請されているので、企業が前向きに取り組むこと自体は賛成です。ただ、社外取締役が中心になって社長を選任することでかならずしも「中長期的な企業価値が向上する」ことはありません。当然のことながら人選に失敗して企業価値を低下させてしまうこともあります。要は様々な取締役会改革が機能して「健全なリスクテイク」を繰り返せばランダム性が高まって業績の変動幅も大きくなります。株主が歓迎するのは、こういったサクセッションプランに社外者が関与することで、企業価値の向上と低下の変動率が大きくなり(ボラティリティが高まり、これをオプションでコントロールすることで)、その期待値が株価に反映するからではないかと。

ただ、この株主の「期待値」は、あくまでも「国家の政策として、企業の持続的成長を歓迎している」ことが前提です(成長性が見込めない企業は早めにつぶして、資源の流動性を高めるほうが国策としては良い・・・という意見もありますので)。そうだとすると、持続的成長を阻害する要因を企業自身が排除する仕組みが強く求められます。

以前、「社長解任手続など、社内でルール化できるのだろうか」と、批判的な意見を述べましたが、よく考えてみると、業界に精通していない社外取締役が活躍するのはこっち(解任)だと思います。どんな人が社長に向いているか・・・というのは、正直言って社外取締役にはわからないし、「この人がふさわしい」と判断しても、それは認知バイアスによる後付けの理由で決めているケースが多いはずです。解任とちがって、選任のケースでは、現社長は退任の意向を固めているわけですから、社内取締役の方々には格別のデフォルト値はありませんので、社内の意見を尊重することも大切かと思います。もし選任手続に社外取締役が関与することに長所があるとすれば、「社長が勝手に後任を指名することは許されない」という会社の姿勢を社内外に示すことにあるわけで、そうであるならば、社外取締役が積極的に人選に関与することまでは求められていないようにも思えます。

しかし解任となると、やる気満々の現社長の顔色をみる社内取締役にとっては「解任する」という選択肢はデフォルト値ではないはずです(人は考えることが困難な問題では、考えることを放棄して現状維持の決断を下すことが多いので)。だからこそ社外取締役の判断が大きなウエイトを占めることになります。また、なんといっても、「この人は適任」と判断することよりも、「この人が社長を続けると結構ヤバイかも・・・」と判断することのほうがダイバーシティ(多様性)を確保した取締役会の構成員にとっては正確な判断に至るのではないでしょうか。不祥事を起こしたときの行動、健全なリスクテイクに及び腰でROEなど考えない、政府の役割を肩代わりするような「公益の番人」としての企業責任を何ら果たそうとしない、といったことで、「CEOとして顕著にふさわしくない」という場合には、手続が明確であるかないかを問わず、社外取締役の方々の行動に大きな期待が寄せられるのではないでしょうか。

会社の中を見渡すと、現状維持のバイアスが効いて、なかなか社内の人たちでは削減することができないシステムがたくさんあります。ガバナンス・コードへの対応において、なにかを付け足すことについては社内の合意が得られても、なにかを差し引くことについてはなかなか合意が得られないケースが多いように見受けられます。そういったところにこそ、業界の常識にとらわれていない人たちの意見が反映されるべきではないかと思いますね。

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2018年10月15日 (月)

企業統治改革-後継者計画の前に労働慣行の見直しが必要

10月10日の朝日新聞朝刊「経済気象台」に、「後継者計画の客観・透明性」との見出しで近時のコーポレートガバナンス・コード改訂に関する解説記事が掲載されていました。「後継者計画」との見出しですと、中小会社の事業承継を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、記事は上場会社向けのいわゆる「取締役会改革の一環としての後継者計画」に関するお話です。

企業の持続的成長のカギはなんといっても経営者ですが、その経営者の後継は現経営者が不透明な手続きで決めている、という点に投資家が不満を述べていました。そこで改訂コードでは、社外取締役らが中心となって任意の指名委員会等が(計画の初期段階から)関与すること、また経営者の選解任手続きを規約化することなどが求められています。記事では「長期的な企業価値向上のための合理的人選が、現状の指名委員会で可能かどうか」と疑問を呈しています。そもそもそういった後継者計画が、果たして中長期の企業価値向上につながるのかどうか、根本的に疑問を投げかけています。

14年ほどにわたる私自身の社外役員の経験(指名委員会やガバナンス委員会の委員長等)や、改訂コード対応への上場会社さんからのご相談事例など、ホントに狭い経験に基づく個人的な意見しか申し上げられませんが、私も後継者計画(サクセッションプラン)自体が企業の持続的成長につながるのかどうかは、やや懐疑的です。大きな理由は、日本企業の労務慣行が後継者育成計画を許容する土壌とは言えないからです。

職能ではなく、マネジメント能力(修羅場をどう乗り切ってきたか)の視点から「ふさわしい人」を育成プログラム候補に推薦するわけですが、年功序列・終身雇用の性格が強いタテ組織の「360度評価」は本当の実力者が選別されるのかどうか不安が残ります。「あの部署(カンパニー)から候補者を出さなければ部署の士気が下がる」「とりあえず〇〇君を候補者にしないと相談役は黙ってない」「あくまでも『候補』なんだから、女性もひとり入れないとマズいんじゃない?」など、いろんな忖度やしがらみがノイズとして入ってきます。職能による労働の流動性が高まり、「上司よりも仕事」「社長よりも会社」といった労務慣行が成り立たないと、ちょっと今のままでは制度の運用が成り立たない(選定者が厳しい責任のもとで権限を行使できない)気がします。

さらに(これも自身の経験からですが)、後継者計画に従い、育成プログラムの最終段階になりますと、優秀な幹部候補者数名から経営者候補が1名に絞られます。つまり、優秀な幹部の数名は「レースに敗れる」わけです。たしか米国では後継者選任手続きで指名されなかった人たちは、さっさと他社に移って自らの実力を存分に発揮する場を求めるそうですが、日本だとそんな風にはいかないようです。「レースに負けた人」として、そのまま組織に残るのは(敗者復活戦のムードが高い組織なら良いのですが)、相当に厳しいでしょうし、モチベーションも上がらない。もし、後継者計画を実践するのであれば、このあたりの労働慣行についてもケアが必要と思います。

投資家からすれば、企業業績の変動比率(ボラティリティ)を上げることが好ましいわけですから、真の実力者を(透明性のある手続きのもとで)次期経営者に選任したいのは当然ですし、私自身も、サクセッションプランとそれに紐づいた選任・解任プロセスの透明性自体に反対というわけではございません。ただ、その前にやることがあるのではないか、と。自身の組織を見つめ直して、果たして後継者計画や選任・解任プロセスの透明性(ひいては社外取締役が主体となって選任・解任に関与すること)を実践するにふさわしい組織風土なのかどうか、そこをまず役員全体で審議したうえでコンプライ・オア・エクスプレインを決するべきではないかと思います。

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2018年7月24日 (火)

コード対応の指名・報酬委員会と監査等委員会との関係について

数は少ないのですが、本則市場に上場している監査等委員会設置会社の方々から、このたびのコーポレートガバナンス・コード改訂への対応に関するご相談を受けております。ご相談の中で、よくわからないのが監査等委員会設置会社と任意の指名・報酬委員会との関係(補充原則4-10①)ですね。

具体的には、①監査等委員会は(コードが要望する)任意の指名・報酬委員会に代替しうるか、②監査等委員会とは別に任意の指名・報酬委員会を設置する場合、人事・報酬決定プロセスに監査等委員会をどう関与させるか、という点です。

私は、上記①について、監査等委員会設置会社が任意の指名・報酬委員会を設置しない場合には、補充原則4-10①は実施しない、としたうえで、当社の監査等委員会は指名・報酬といった重要事項を審議するに十分な体制があることをエクスプレインすべし、と回答しておりました。

しかし、最近の旬刊商事法務(2171号)に掲載されている(コード改訂に関わった方々の)解説を読みますと、代替させる気があるのなら「コンプライしている」と回答してもよいみたいですね。つまり理由の開示は不要となり、ただし監査等委員会が社長人事や個別取締役の報酬決定を可能とするだけの体制を充足しないと「コンプライ」にはならないそうです。私の回答のほうを訂正しといたほうがよさそうですね(^^;

しかし、そもそも監査等委員会は監査権限とは別に経営評価権限を行使しなければならず、人事や報酬に関する意見決定義務を(善管注意義務の一環として)尽くす必要があるので、そもそも監査等委員会設置会社の機関形態を選択した時点で(コードが求める任意の指名・報酬委員会の機能を具備することは)当然に要求されているのではないかと思います。

②については、任意の指名・報酬委員会による素案が決まった後に、監査等委員会に委員会案が提示され、同意が得られれば取締役会で委員会案が審議・決議されるといった流れが一般的のようです。ただ、このたびのガバナンス・コード改訂により、後継者計画や具体的な社長さんの選解任手続については具体的なルールを作って開示することが要請されており、また個別取締役の報酬決定プロセスについても(開示までは要求されていないものの)客観的な社内ルールが策定・運用される必要があります。監査等委員には人事・報酬に関する意見決定義務があるので、この社内ルールの策定関与も含めて、監査等委員がどのように重要な経営判断に関与するのか、明確にする必要があると考えます。

なお、監査等委員は、重要な人事、報酬決定過程のプロセスを事後チェックすることで意見決定義務を尽くしたものと解する、という考え方もありますが、そもそも人事・決定過程のプロセスチェックは、監査等委員の「監査権限」に基づくものであり「経営評価権限」に基づく職務ではないと思われます。コードの改訂により、ファイナンス思考(資本コストを意識した経営)に基づく経営戦略、経営方針が取締役会で議論され、P4Pによる報酬制度の更なる改革が求められるなかで、取締役会の在り方は「重要事項の決定への積極的関与によるモニタリング」という方向性が強くなりつつあります。株主に対して人事・報酬決定に関する法的な説明責任を負う監査等委員の役割は極めて重要になるはずです。

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