2026年1月30日 (金)

日経ビジネス(電子版)に論稿を掲載していただきました。

少し本業が忙しかったので遅くなりましたが、1月28日(水)に日経ビジネス(電子版)に、「自浄なき企業は淘汰へ」と題する論稿を掲載していただきました。主に改正公益通報者保護法の解説を中心としたものでして、少しでも改正法の周知にお役に立てれば幸いです。なお、日経ビジネス誌面での掲載は2月9日号(来週号)となりますが、こちらは電子版の記載を縮めたものとなっております。

ここのところ、内部通報対応の実務に関わる機会が多いので、改正公益通報者保護法の解説とは別に、内部通報や外部からの情報提供がなされた場合の企業側の運用実務についてお話したいところです。うまくいくこともあれば「がっかり」することもあって、毎回反省するばかりです。

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2025年10月14日 (火)

監査役員の子会社調査権と公益通報者保護法の遵守

先週、ある監査役員の方からご質問を受けて、やや不明瞭な回答をいたしましたので、あらためて当ブログで解説させていただきます。

「グループリスクマネジメントとの関係で公益通報者保護法関連のご質問が圧倒的に多い」ということは前にも述べましたが(たとえばこちらのエントリーご参照)、たとえば子会社社員から(親会社の正規のグループ通報窓口ではなく)親会社監査役員のところへ(直接に)子会社経営陣の関与する不正事実の通報がなされた場合、親会社監査役員は子会社より「対応業務従事者指定」を受ける必要があるのか、といった質問です。会社法上、親会社監査役員には子会社調査権が明記されていますので、当該調査権行使が公益通報者保護法によって規制されるのか、といったご疑問からだと思います。

私の当日の回答は、正規通報窓口への内部公益通報(グループ通報制度の窓口が親会社のみの場合も含む)がなされた場合のみ、事業者には従事者指定義務がある(法定指針に基づく)ので、子会社調査権を行使する親会社監査役員は従事者指定の対象とはならない、というものでした。この回答自体は間違ってはいないと思うのですが、ただ、解説が不足していたのは、たとえ従事者指定を受けずに子会社調査権を行使するとしても、その場合の親会社監査役員の子会社調査では、当該子会社の「公益通報対応業務」に配慮する必要がある、という点です。

当該子会社からみると、親会社監査役員へのイレギュラーな通報は(少なくとも)3号通報には該当しうるので(「解説改正公益通報者保護法-第2版」山本隆司ほか著 2023年弘文堂 123頁参照)、当該子会社(ただし300名以上の常用雇用者が存在する子会社)は公益通報対応体制整備義務を尽くす必要があります。なので、たとえば親会社監査役員が安易に子会社経営者に調査を委ねたり(調査の独立性確保への配慮不足)、子会社社員の特定につながるような情報を共有すること(範囲外共有、通報者探索の禁止)は避けなければならないと考えます。これに違反した親会社監査役員には「子会社の法令遵守体制整備義務」への配慮不足による「善管注意義務違反」が認められる可能性が出てくると思います。

親会社の監査役員に認められた会社法上の子会社調査権は万能のようにも思えますが、やはり公益通報者保護法の趣旨に反してまで権限行使の裁量は認められない、ということでしょう。改正公益通報者保護法では、このグループ通報制度やグループリスクマネジメントとの関係で、いろんな疑問点が出てきますね。これからも実践を通じて疑問点をひとつひとつ解消していく地道な努力が必要ですね。

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2025年9月 4日 (木)

令和7年改正公益通報者保護法の施行前に留意しておくべき企業集団内部統制

サントリーHD元会長の違法サプリメント疑惑やニデック経営陣の関与が疑われる会計不正事案など、また話題となりそうな不祥事が報道されています。いろいろブログで意見を述べたいのですが、諸事情ございまして(?)、取材に応じることもなく静観をしております。

さて、来年に施行が予定されている令和7年改正公益通報者保護法ですが、このところ多くの企業にお邪魔して「当該改正法が企業実務に及ぼす影響」について講演をさせていただいております。そして、本当にご質問が多い事項として真っ先に挙げられる項目が「グループ会社における公益通報対応体制整備義務」ですね。以下は、私の個人的な意見として書かせていただきます。

おそらく真剣に実務対応について検討している企業ほど企業集団としての内部統制(親会社側の公益通報対応およびグループ会社側の対応)について悩むことが多いと思いますし、これまであまり検討されてこなかった法律上の課題です。

そもそも「グループ内部通報制度」は、親会社から見ればソフトローの世界(法定指針の解説や経産省グループガバナンス・ガイドライン、ビジネスと人権に関するガイドライン、東証のガバナンス・コードなど)の話であり「企業集団内部統制を実践するうえでのベストプラクティス」を実践するか否か、という問題です。つまり広い裁量権を持つ経営判断の問題であり「(親会社役員の)善管注意義務違反」という概念があまり入る余地はありません(もちろん、グループ内部通報制度の存在を前提とした「イビデン最高裁判決」のように、「信義則上の義務」が法人としての親会社に発生するケースもありますが、ごく例外的な事例です)。

しかし「グループ内部通報制度」をグループ会社側からみればハードローの世界(公益通報者保護法対応)の話であり、仮にグループ内部通報制度が定められていて、親会社だけにグループ共通の内部通報窓口が設置されているケースでは、グループ会社(常用雇用者300名超)には(公益通報への)対応体制整備義務が重要な(法による強制力のある)内部統制の一環として要求されます。たとえばグループ会社自身の責任者を決定しなければならず、また、当該グループ会社の不正事実が親会社に通報されるケースを想定した場合、親会社の社員に対してグループ会社責任者から「対応業務従事者」を指定しなければなりません(つまりグループ会社社員が親会社社員に命令を下すことになります)。

とくに令和7年改正法では、対応業務従事者の指定義務違反には行政処分や刑事罰が科されることになりますので、グループ内部通報制度を運用しているグループ企業の場合、親会社の社員にとってはそれほど重い課題ではなくても、グループ会社社員にとっては重大問題が生じることになります(このあたりの課題は、これまであまり意識されてこなかったのでは?)。この「重大問題」は、令和7年改正法施行後は、通報を行ったグループ会社の社員自身が、「指定義務違反行為」だけを取り上げてさらに公益通報として2号通報、3号通報ができる、という点からみても「重大性」がおわかりになるかと。

さらには「対応体制」というのは「窓口対応」だけでなく、調査業務や是正措置も含む概念なので、たとえば親会社にグループ会社社員から公益通報がなされた場合、当該通報事実の調査や是正措置をグループ会社に任せるとなると、令和7年改正法が(法文上で)範囲外共有や通報者探索の禁止、通報妨害の禁止などを定めているので、果たしてどのように通報事実を調査し、是正措置を執って良いのか、かなり悩むケースも増えると思います。また、グループ会社の通報者(グループ会社社員)が本気になれば、親会社を含めた「公益通報対応体制整備義務」の違反を指摘できる機会が増えることになります(たとえば情報の範囲外共有違反、通報者探索禁止違反、通報妨害禁止違反を根拠に、親会社やグループ会社に「違反者の処分を要求する」等)。またグループ会社側としても濫用的通報に該当するかどうかの判断にも困難が生じることもあるでしょうね。

企業が自浄作用を発揮して、グループ全体の信用を守るためにはグループ内部通報制度を導入することをお勧めしますが、その際にはグループ内部通報指針(規程)の策定、グループ企業と親会社との合意書の作成等を通じて、グループ会社の役職員に過度な負担となるような運用を避ける対策が必要だと考えています。

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2025年8月15日 (金)

一定規模の企業に内部通報(外部窓口)設置義務を-大川原化工冤罪報道に思う

8月14日の毎日新聞ニュース(特報)によりますと、警視庁公安部による冤罪(えんざい)「大川原化工機事件」で、逮捕された大川原化工機社長らが起訴される5日前の2020年3月、公安部の捜査員が警視庁の監察部門に対し、捜査の過程で違法行為があったと内部通報していたことが判明したそうです(別のニュースによると「捜査員の3分の1が起訴に反対していた」そうです)。しかしながら監察部門はこれに何らの対応もしなかった、とのこと。本日付けでは毎日新聞の特報ですが、これが事実であればきわめて重大な組織不祥事であり、他のメディアでも大きく取り上げられるべき問題案件ではないでしょうか。

本日、「たかさん」から別のエントリーに(本報道を受けて)以下のとおりコメントをいただきました(どうもありがとうございます)。

2025年8月14日付の毎日新聞報道によれば、「大川原化工機事件」において、起訴前に複数の警部補クラスの警察官が上層部に対し、良心に基づき重大な問題点を内部通報していたにもかかわらず、その声は握りつぶされ、証拠の廃棄やもみ消しが行われた疑いが浮かび上がっています。この事案は、現行の公益通報者保護法が「通報を守る」だけでなく、「通報を活かす」仕組みを欠いていることを如実に示しています。現行制度では

•通報を受けた組織が調査や是正を行う義務の実効性が弱い

•通報が握りつぶされることを防ぐ独立ルートが脆弱

•捜査機関内部の通報制度が十分に整備されていない

といった問題があることが記事から読み取れます。今後、次のような制度強化が議論されるべきではないでしょうか。

1.調査・是正義務の強化と外部検証制度の導入

2.独立した外部通報窓口の常設(司法・警察内にも設置)

3.不利益取扱いの厳格な禁止と違反時の制裁強化

4.証拠保全義務の明文化と刑事罰化

今回、公益通報を行った複数の警察官は、職務倫理と市民の安全を守るため、組織内の圧力やリスクを承知で勇気ある行動を取りました。このような人達こそ「真の警察官」であり、国民は賞賛の声を上げるべきです。さらに、行政府を担当している国家議員や立法府を構成している国会議員に対し、こうした人材を警視や警視長など警察組織における管理監督者の立場に抜擢し、組織の立て直しを担わせるよう求めることは、今を生きる私たちの権利であり未来の世代のための責務でもあります。公益通報者を守り、活かし、評価することができる社会こそ健全です。更なる制度改正と国民的意思表示の両輪で、二度とこうした事案を繰り返さない仕組みを築く必要があります。

本件は「指揮命令系統の機能不全が原因だった」と発表されていますが、このような事実が明らかになると、もっと担当者の個人的な責任が追及されるべき原因があったのではないかと思います。もちろん上記毎日新聞ニュースの報道内容が真実であることが前提ですが、本件は次の公益通報者保護法改正に向けた立法事実として記憶に残しておく必要があります。

また、私の印象では内部通報のもみ消しは普通の企業でも発生しているものであり、たとえばオルツの事例(ただし通報者が存在したかどうかは明らかにされず)やいわき信用組合の事例でも、独立した通報受領機関があれば全く異なる状況に至ったはずです。たかさんも指摘しておられますが、一定規模の企業に対しては、高い費用をかけて不正予防措置を構築するよりも、不祥事が起きた場合を想定して(つまり早期発見を重視して)外部に内部通報の窓口を設置することを義務化すべきではないでしょうか。人的資本経営が謳われ、労働人口の流動化も進んでいる中で、もうそろそろ内部統制構築義務の具体的な内容を法制化すべき時期に来ているように思います。

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2025年6月11日 (水)

最近の公益通報関連の事件について(具体的事例)

おそらく今年後半の法律雑誌の特集も「改正公益通報者保護法」に関連するものがたくさん出てくると思うのですが、改正法の理解と並ぶほど重要なのが具体的事例のご紹介です。近時に事例紹介、みたいな論稿も、特集記事の中にあればいいなぁと思います。

兵庫県の内部告発文書問題では、公益通報対応体制整備義務が1号通報だけでなく、2号通報や3号通報にも適用される、という消費者庁の公式見解や第三者委員会の見解が話題になりました。経営者が監督官庁やマスコミへの(誰かによる)情報提供の事実を知ることが多いわけでして、そこで通報者探しが行われる、という事態にも遭遇します。

粉飾疑惑に揺れるオルツ社では、YouTube動画で著名な株主のもとへ社内情報が提供されて、証券取引等監視委員会の強制調査に至りました。上場前から粉飾決算が行われていたのではないか、との疑惑がありますが、最近はSNSを活用した外部への情報提供が多いですね。先日ご紹介したいわき信用組合の巨額不正融資事件もX(旧Twitter)への元信用組合職員による情報提供です。消費者庁のアンケートでも、20代、30代社員の多くは内部通報はせずに、正義感からSNSで拡散します、と回答した方が多いです。

広島県の災害復旧工事における補助金不正受給については、4年ほど前に職員が内部通報をしましたが、十分に調査もなされずに放置されていました。ここから先は推測ですが、おそらく(最近になって)中国新聞社に社員が外部公益通報を行い、世間が知るところとなり、広島県としても虚偽公文書作成の事実を認めざるを得なくなった、とのこと。なぜ広島県がきちんと内部通報に向き合わなかったのか、そこは明らかにすべきでしょうね。

和歌山県のハラスメント案件では、是正措置があまりにもまずかったために通報者保護が図られず、その結果として最悪の事態を招きました。つい最近、第三者委員会の報告書が出ましたが、公益通報への対応の拙さを指摘しています。その他、ここではご紹介しませんが、近時公表されているいくつかの調査委員会報告書でも、内部通報や外部公益通報が端緒となって不正が明るみになった事例に遭遇しました。

すべての事件に共通することは、対応しなければならない立場の人たち(ある事件は経営者、またある事件は窓口担当者やコンプライアンス室長)が「有事対応」が求められているにもかかわらず、「平時対応」しかなしえなかった、という点です。どうしても「平時対応でよい」と自分を安心させる(自分に言い聞かせる)理由ばかり探すのですよね。正常性バイアスは本当におそろしい。この平時バイアス、正常性バイアスをどう断ち切ることができるか・・・、リスクマネジメントを担当している方々にとって重要なポイントです。

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2025年4月26日 (土)

公益通報者保護法改正法案-衆議院可決法案の附帯決議が明らかに

第217回国会(閣法第32号)「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」は、衆議院で修正可決されて参議院で審議されることになりましたが、衆議院可決法案の附帯決議の内容が公表されています。消費者庁における検討会や衆議院消費者問題特別委員会で意見対立のあった論点が、ほぼすべて検討課題として明記されています。地方公共団体で発生した具体的事例を意識した検討項目も並んでいます。

なぜ私が「附帯決議」に注目するかと言えば、令和2年の改正法成立時の附帯決議の検討項目の一部が、今回の改正法案に含まれているからです。漸進主義で公益通報者保護法を改正することが重要であるため、附帯決議によって検討項目を明示する意義は大きい。参議院審議でも別の附帯決議が出されると思いますが、今後の法改正にあたっては注目すべき決議です。

仮に今国会で改正法が成立して法定指針も改訂され、成立後1年6カ月以内に施行された場合、改正法の運用や附帯決議の立法事実の集積のためには、改正公益通報者保護法の運用を支える法曹(法律実務家及び研究者)が多数必要になります。なぜなら今回の改正法の運用には民事法、商事法、刑事法、行政法(いずれも手続法を含む)、そして国際法における専門的法解釈の知見や公益通報者保護法が成立する平成16年以前から現時点までの裁判例分析(生成AIが活躍する分野でしょうか?)が、今までにも増して不可欠だからです。法案修正によって「施行後5年以内の見直し」が「3年以内の見直し」になるので、とりわけ「濫用的通報者」の立法事実も含めて、企業側を支える法曹の役割も大きいものと予想します。

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2025年4月24日 (木)

速報版:「公益通報者保護法改正法案」衆議院(消費者問題特別委員会)でまとまる(追記あり)

さきほど(4月24日正午)、衆議院消費者問題特別委員会において、公益通報者保護法の一部を改正する法律案が委員の賛成多数でまとまりました。ほぼ内閣提出の原案どおりですが、「附則第九条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、新法の施行の状況を勘案し、新法の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」の「五年」が「三年」に修正されました。

また、立憲民主党の修正案が要望していた事項の多くが「附帯決議」として10項目(9項目?)示されました。大きなところでは「不当な配置転換」も不利益処分とすべきかどうか検討すること、社内資料の持ち出し等の「公益通報に付随する行為」についても保護対象とすべきか検討することなど、おおよそ想定されていたところです。また、話題になりそうなところは兵庫県における告発文書問題を念頭に、消費者庁による地方公共団体への技術的助言の在り方も検討することが含まれている点です。

以上は私がライブ中継を視聴したうえでの報告なので、正確なところは衆議院のHPでの公表内容をご確認ください。上記特別委員会において、公益通報者保護制度検討会の山本座長(東大教授)が参考人として述べておられたとおり、私も「公益通報者保護法の改正は『漸進主義』で対応すべき」と考えます。改正法施行後3年での見直しや附帯決議における検討事項に鋭意配慮すること、さらには公益通報者保護法の運用を支えることができるだけの消費者庁の人的・物的資源を整備することを強く希望します。

本法律案については速やかに衆議院本会議にかけられ、参議院でもご審議いただきますようお願いいたします。

(2025年4月25日追記)公益通報者保護法の一部を改正する法律案は昨日(24日)、附則第9条の一部を修正した原案が本会議で可決され、24日付けで参議院に議案が受理されました。

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2025年4月 8日 (火)

公益通報者保護法の改正法案どうなる?(廃案のピンチ?)

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4月7日の朝日新聞ニュース(こちらです)によりますと、ホンダの副社長さんが「業務時間外の懇親の場における不適切行為」によって辞任されたそうです。どのような状況だったかはわかりませんが、フジテレビと同様に「業務の延長線上」の不適切行為だったのでしょうか。刑事告訴がなされていた事態なので、重大な人権侵害があったのかもしれません。

さて、兵庫県知事文書問題に関する第三者委員会報告書が3月17日に公表されましたが、その判断過程ならびに結論においては、当職が百条委員会の参考人として述べたところとほぼ同じものでした。その節にたいへんお世話になった参考書のひとつが中野真弁護士による「公益通報者保護法に基づく事業者等の義務への実務対応」なる書籍でした。そして、2月末ではありますが、公益通報者保護法に見直しや内部通報対応に関する近時の議論等を踏まえて大幅刷新された「第2版」が発売されました。もちろんお勧めの一冊であります。

ところで中野弁護士も注目している(3月4日に国会へ提出された)公益通報者保護法の改正法案ですが、その後全く進展がみられません。某情報筋によると1週間遅れで提出された下請法の改正法案(下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案)のほうが先に実質審議にかかる、ということのようで(まぁ、国の経済政策への影響力という意味では当然かもしれませんが)、ちょっと心配しております。

参議院選挙のために通常国会の会期延長は見込めず、このままだと廃案の可能性もありそうです。消費者庁の情熱のもとで(検討会委員としても頑張りまして)やっと改正法案が作られたのですが、与党・野党の後押しがないと、ここから先に進めません(公益通報者保護法の改正法案成立は選挙にあまり関係ない?)。今回、廃案になってしまいますと「次はもうない」ということになりかねません。ぜひぜひ、議員の皆様になんとか国会審議を進めていただけますよう、切にお願いいたします。

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2025年3月 5日 (水)

公益通報者保護法改正法案が国会へ提出されました

すでにニュースで報じられておりますが、本日(3月4日)、閣議決定を経て公益通報者保護法の改正法案が国会に提出されました(消費者庁HPより、概要や条文の新旧対照表がご覧になれます)。

検討会委員の立場で改正作業に携わった者としては感慨深いです。もちろん改正内容について100%満足しているわけではありませんが、施行されれば事業者の内部通報制度や内部告発(外部公益通報)への対応実務に与える影響は多大なものです。消費者庁長官だけでなく、消費者庁の担当職員の皆様の「早期改正」に向けての熱意がなければここまで来れなかった、というのが正直な感想です。

今後、国会で「積み残し」にならないように速やかに審議が行われ、今国会で改正法が成立すること、さらには指針のすみやかな改訂が行われることを願うばかりです。後半国会は重要法案が目白押しですし、与野党の審議が長引くことも予想されますので、廃案にならなければよいのですが。。。

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2025年1月27日 (月)

公益通報者保護法改正案の内容が明らかに(読売新聞ニュースより)

先週の一連のフジテレビ「ふてほど問題」についてはたくさんのコメントをいただき、ありがとうございました。ご質問の内容がむずかしかったり、現時点では将来予測が困難なこともあり、まだお返事ができておりませんが、気になったものについては追ってエントリーの中でご紹介させていただきます(以下本題です)。

1月26日の読売新聞ニュースでは「斎藤元彦知事のパワハラ疑惑・贈答品・内部告発への対応…大詰めの兵庫県議会百条委、焦点は3つ」という見出しで、私が百条委員会の参考人として述べた①3月の内部告発文書は「公益通報」に該当する旨の主張、および②通報者探しは法令違反に該当する旨の主張をとりあげていただいております。ちなみにFacebookやXなどでは「私が反省して意見を変えた」といった噂(?)も流れておりましたが、もちろん意見を変えたことは一切ありません(なぜそのような風説が流れるのか不思議でなりませんが)。

同じく26日の読売新聞ニュースでは「告発者を懲戒処分とした組織と個人に刑事罰、3000万円以下の罰金など…公益通報者保護法改正案」として、このたびの通常国会に上程される予定の公益通報者保護法改正案の内容が判明したことが報じられています。ざっと記事を読むかぎりでは刑事罰の内容(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、法人重課3000万円)や行政処分に従わない場合の刑事罰新設の話が特筆すべき点です。ただ、石破首相の施政方針演説では(公益通報者保護法改正に関する)具体的な方針は述べられなかったので(会社法改正については触れておられましたね)、まだ本当に今国会で上程されるのかどうかはわからない…というのが私の現時点での意見です。

なお、改正法案の中身がさらに明らかになりましたら、また拙ブログでも解説させていただこうかと思っております。ただ、改正の重要項目が多岐にわたるため、企業実務にも大きな影響を与えることは間違いないはずです(なお実際にどのような影響が出るか・・・という点は改正法成立後に議論される「法定指針」の策定以降、ということになると思います)。

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