2019年3月22日 (金)

企業不祥事による信用毀損に保険金が出るそうです

3月21日の日経朝刊に「企業不祥事に保険」との見出しで、東京海上日動さんの新しい保険開発について報じられています。企業不祥事発生時における企業のブランド価値の毀損を保険で賄う、とのこと(4月から販売開始)。食品への異物混入や情報漏えい、施設内事故、従業員による不適切行為などが保険の対象のようですが、組織的な違法行為は除外とされています。

補償限度額は約1億円で、具体的には第三者委員会の費用や弁護士、コンサルタント会社への相談費用等が想定されているようです。新聞が報じるように、こういった保険の開発が予防意識の向上につながればよいと思います。ただ、第三者委員会がまじめに仕事をすればするほど、保険を使いたい会社側の意思とは離れていきますね。件外調査を含めてフォレンジックス調査を厳格に行えば費用は著しく増えますし、また新旧にかかわらず「経営陣による指示があった」と第三者委員会が認定すれば保険会社が免責される可能性が高まります。そうなりますと、「なんちゃって第三者委員会」(会社側の意思を上手に忖度して「第三者委員会」のふりをする委員会)が出現する可能性がこれまで以上に高まるのではないでしょうか。

また「ブランド毀損を防ぐ」ことが目的であれば、たとえば世間に公表していない不祥事などはどうなるのでしょうか。公表しないための危機対応などにもかなり費用は要しますし、公表されずとも内部告発対応の支援なども「ブランド毀損の防止」といえそうです。いずれにしましても、保険金が出るための要件というのも、かなり微妙な場面が予想されるのではないかと思います。


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2019年1月12日 (土)

日産前会長特別背任事件-適時開示の訂正と法人の「損害」

1月11日、東京地検特捜部が日産の前会長さんを会社法違反(特別背任)で追起訴した、とメディアで報じられています。また、併せて処分保留とされていた金商法違反(有価証券報告書の虚偽記載)についても、法人としての日産とともに追起訴したそうです。日産は、前会長さんを告訴したこと及び法人としての日産が追起訴されたことを受けて、同日、適時開示のリリースを出しました。

しかしながら、どういうわけか日産は午後4時30分のリリースを、わずか40分後である5時10分に訂正しています。この訂正について、同日の日経新聞ニュースは

「有価証券報告書に虚偽の内容を記載したことは証券市場における開示情報の信用性を大きく損なう」「事案の背景に存在するガバナンスの不全を重大な問題ととらえている」などの記載を削除した

と報じています。この報道から、私は日産自らの民事賠償責任の追及を容易にするような記載は好ましくないとして慌てて訂正されたのではないか、と推測いたしました。

しかし、ある金融関係の方から、当ブログにコメントをいただきました。その方は、別の箇所が訂正されていることに着目して、この告訴内容(≒起訴事実)では、そもそも新生銀行との契約上の地位を(前会長資産管理会社から日産へ)移転したとしても、日産には損害が発生する余地はないので前会長さんは無罪である、との意見をいただきました。意見を頂戴した方が特定されないように配慮して、やや長いのですが、以下にご紹介いたします。

日産自動車が東証の適時開示サイトに、2019年1月11日付で「本日の起訴について」というリリースを行っています。内容は起訴と同日付で刑事告発を行ったというものです。16:30にリリースを行い、17:10にその「訂正」を行っていますが、見比べると「訂正」というより「情報隠ぺい」と言うべき内容になっています。16:30版では何について刑事告発を行ったかが記載されていますが、17:10版では刑事告発の詳しい内容が全て削除されています。株式市場では情報で相場が乱高下するので、情報を流す会社には重い責任があるのですが、これでは、訂正前と訂正後のどちらが本当なのか分からない状況です。是非見比べていただきたいと思います。

さて「訂正前」によれば、特別背任の対象となるデリバティブ取引は「クーポンスワップ契約」とありますが、これでは「日産に損失は発生しなかった」ばかりでなく、「どう転んでも日産に損失が発生する余地はなかった」ということになります。

「クーポンスワップ契約」とは「毎月一定額の円を一定額のドルに固定レートで交換することを一定期間(12か月とか24ヶ月とか)行う契約」で、ゴーン氏が言っていた通り「給料をドルで受け取るため」であって、投機のためではなかったことを裏付ける内容となっています。そしてクーポンスワップ契約の「評価損」とは、「円高になった場合、もっと少ない円で同額のドルを買うことができたのに、それができず儲けそこねた金額」のことを言い、「儲けそこねた金額」ですので、単なる「評価上」「観念上」の金額です。1ドル=100円のスワップを組んだ後、相場が1ドル=80円になった場合、「80円でドルを買えるのに、100円で買うことになって20円損したね」というのが「評価損」です。「評価損」を支払う必要はなく、満期まで毎月の交換を行えばそれで終わりです。もちろん「1ドル=100円で満足しているので、20円損したとは思わない」と言えばそれまでの話で、クーポンスッワップの「評価損」というのは「気もちの問題」「評価上の問題」です。

では、銀行がなぜ「評価損」を問題にするのかというと、「中途解約」をされた場合、銀行に損失が発生するためです。1ドル=80円のときに、ゴーン氏に1ドル=100円でドルを売れるなら、銀行としては20円儲かっているのですが、中途解約されると20円が消えてしまいます。このため「中途解約」は禁止になっていて、解約した場合「違約金」として1ドル当たり20円を払わせることになっています。つまり「違約金」が「評価損」と同額になっているのです。銀行としては「中途解約しないこと」の保障が欲しかったのであって、そのために日産の名前が使われたのです。

日産から見れば、「中途解約がなければ、違約金=評価損の支払い義務はない」「ゴーン氏が中途解約しないことを知っている」ので、「何のリスクもない取引」「どう転んでも損が出ない取引」となります。検察が「中途解約すれば日産に損が出る可能性があった」と主張したところで、ゴーン氏が「給料をドルに変える取引なので、中途解約するつもりは一切なかった」と証言すれば、無罪判決になるとしか思えません。

いままで、日産前会長さんの事件で、新生銀行さんと締結していた契約が「クーポンスワップ契約」と特定されていた報道記事をグーグルで検索しましたが見当たりませんでした。たしかに日産の訂正リリースでは、この告訴事実に関する文言は削除されています。私は金融実務に精通しているわけではありませんが、上記に解説されている内容や契約の経済的合理性は理解いたしました。前会長さんが日本円で受け取る報酬をドルに換える契約ということなので、そもそも前会長さんが中途解約を申し出る動機はないかもしれません。また、損害の発生する余地がないのであれば、①当時の日産の取締役会において利益相反取引に関する承認決議がなされなかったこと、②日産への契約切り替えについて、新生銀行が悪意なく契約上の地位変更手続きを進めたことも納得がいきます。

もちろん、特別背任に関する二つ目の起訴事実(中東の知人への16億円の拠出)については別の議論が必要だと思いますが、一つ目の起訴事実について損害の発生可能性さえないとなりますと、特別背任の実行行為の面でも、また主観的要件の面でも検察側の立証のハードルは(予想どおり?)相当に高いように思えるのですが、いかがでしょうか。

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2019年1月 9日 (水)

日産前会長特別背任事件-デジタルフォレンジックの進展と「罪証隠めつのおそれ」

1月8日、日産前会長さんの特別背任に関する勾留理由が公開の法廷で示されました(憲法34条、刑事訴訟法82~86条)。前会長さんの意見陳述の全文も日経ニュースで報じられています(あまりブログを書いている時間がないので短めのエントリーで失礼します)。

勾留の理由(刑事訴訟法207条1項、同60条1項)は、①被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ②住所不定、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由、逃亡すると疑うに足りる相当な理由のいずれかが認められる場合とされています。「理由開示」といいましても、裁判所は勾留状に示された理由を読む程度しか開示しませんが、これに対して前会長さんは「私は罪は犯していない。一点の曇りもない!」といった意見を述べたそうです。

しかし保釈実務だけでなく、勾留請求への判断実務にも大きな影響を与えたとされる(2003年に出された)松本論文(現役裁判官による論文)、勾留の必要性を厳格に判断して勾留を取り消した平成26年と27年の二つの最高裁決定の傾向からしますと、果たして前会長さんには勾留の必要性、とりわけ前会長さんが特別背任事実を裏付ける証拠を隠ぺいすることを疑う相当な理由はあるのでしょうか。松本判事は、先の論文で「たとえ否認事件であったとしても、予想される罪証隠滅行為の態様を考え、被告人がそのような行為に出る現実的具体的可能性があるか、そのような罪証隠滅行為に出たとして実効性(筆者注・・・実際に証拠隠滅行為に出たとして、実際に隠滅できるか)があるのかどうかを、具体的に検討すべきである」と述べています。「被告人」ではなく「被疑者」である前会長さんの事例にも、この意見はあてはまるものと考えます。

たしかに検察側は、未だ前会長さんの知人である中東の実業家の証言を得ていない模様であるため、証拠収集前の時点で前会長さんの身柄を解放してしまえば「アリバイ工作」とか「つじつま合わせ」の可能性があることは否めません。ただ、これだけデジタルフォレンジックやITを活用した捜査が発達した日本において、社会的身分のある人が罪証を隠滅する行動に出ることは可能でしょうか。さらに、たとえ罪証隠滅行為に出る可能性があるとしても、これを実行すれば、おそらく他人を証拠隠滅罪や犯人蔵匿罪に巻き込む可能性が高いわけですから、隠ぺい行為に「実効性」は認められるのでしょうか。そもそも現実的具体的可能性があるとすれば、いったいどんな可能性があるのでしょうか・・・・・かなり疑問です。本日の前会長さんの意見陳述は、弁護人側の戦略に沿って行われたものかもしれませんが、そもそもの刑事訴訟法上の勾留要件から考えると、罪証隠滅のおそれがないことが問題となるように思いました。

昨年12月、前会長さんが使っていた日産所有の高級マンションの保管物を巡り、ブラジルで法的紛争が発生しましたが(たとえばこちらの時事ニュースなど)、これも勾留事実と直接関係するものではないので、相当な理由にはならないように思います。先日、前会長さんらの勾留延長請求が却下された際には、裁判所は異例の理由説明を行いましたが、日本の刑事司法制度の運用が海外から注目される中で、捜査に支障が出ない範囲でもう少し勾留理由を示すべきではないかと(刑事司法の素人としては)考えるところです。

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2019年1月 7日 (月)

日産前会長特別背任事件-焦点となる三越事件高裁判決の判断基準

(7日午前 追記あり)

1月8日は日産前会長さんの勾留理由開示が予定されていますので、前会長さんの特別背任事件はまたまた大きな話題となりそうです。ということで(?)、今年もこの事件についての私的な意見を述べておきます。

1月5日の日経朝刊、6日の朝日朝刊などでは、前会長さんが私利目的で日産子会社から知人の経営する企業に約16億円ものお金を送金したことを問題視しています。上記朝日の記事では、子会社幹部社員の証言として「16億円の送金の必要性は認められなかった」と証言していることが報じられています。これに対して前会長さん側は、会社のために使ったものであって、私利目的の送金ではないと反論していますので、とりわけ日経の記事では「私的流用かビジネスか」との見出しが付されています。

繰り返しになりますが、特別背任事件の立件はとてもハードルが高いのです。そもそも(JFKさんもコメント欄で述べておられるように)取締役の任務違背行為については、経営判断を過度に委縮させることがないように、一次的にはガバナンスや民事ルールによってコントロールされるべきものです。刑事制裁が期待されるのは、法人の財産保護や事業活動の秩序維持のための最終局面なので、ハードルの高さはやむをえないものと考えております。したがって、裁判官の心証として、ビジネスのために支払ったとの疑いを払しょくできなければ任務違背行為を認定できず、「私的流用かビジネスか」といったレベルの心証であれば当然のことながら前会長さんは無罪です。

たとえば三越の元会長だったO氏、その愛人T氏の(三越を食い物にしたと言われる)特別背任が問われた平成5年11月29日東京高裁判決を読みますと、O氏は検察官面前調書で第三者への図利目的をほぼ認めていたにもかかわらず、一部有罪、一部無罪の判決が出されています(上記東京高裁判決はネット上に公開されています。追記:こちらからご覧になれると思います。たいへん長いですが参考になります)。海外ブランドと三越の取引が開始されるにあたり、愛人とされたTが経営する会社の貢献があったのか、三越の信用力が全てだったのか、非常に微妙なところではありますが、裁判所は「Tが経営する会社の影響がまったくなかったとまではいえない」として、三越から支払われた裏コミッションの正当性を認め、O氏、T氏の任務違背を否定しています。

上記三越事件の東京高裁判決で、今回の日産事件の参考になると思われるのが「任務違背」の判断基準です。裁判所は、まず容疑の対象となっている三越から相手方への支払いの「有用性」を審査します。その支払いは三越のためになっているのかどうか・・・という点です。そして、この「有用性」をクリアした場合、次に問題となるのが「対価の相当性」です。つまり、有用性が認められるとしても、その支払い金額は三越の業績向上への有用性とつりあったものかどうか・・・という点です。三越事件では、上記の有用性と対価相当性のいずれにおいても、裁判所は「(T氏もしくはT氏の経営する会社の貢献が)まったくないとはいいきれない」「コミッション料程度の対価が相当ではないといいきれない」といった心証をもって特別背任は無罪との結論に至っています。

ところで今回の日産前会長の件では、前会長は三越事件のO氏とは異なり、図利目的は完全に否認しています。また海外案件であり、しかも10年も前の事実ということですから、裁判官の心証形成に及ぼす証拠についてはよほど司法取引で有力なものが出てこないかぎりはむずかしいのではないかと(ちなみに司法取引による証拠は金商法違反容疑に関するものだけであり、会社法違反容疑に関するものは存在しない、といった報道がありました)。加えて、中東諸国の王室へのロビー活動の対価の相当性について、「安い、高い」などといった議論を尽くすこと自体、裁判所ができるようには思えません。ということで、「CEO予備費」からの16億円、35億円(オマーンの知人経営会社)、18億円(レバノンの知人経営会社)の「有用性」がまったく否定されるかどうか・・・といったところが最大の争点ではないでしょうか。もちろん「損害論」も争点になりうると思いますが、近時の判例・通説は損害に関する抽象的危険説が主流となっておりますので、前会長さん側がここで戦うのはかなりしんどいような気もしております。

ただ「CEO予備費」からの支出となりますと、過去の税務調査の結果などが気になります。70億円もの子会社からの使途不明金となりますと、当局から贈与認定を受けるはずです。日産と税務当局との過去の交渉経過はどうなっていたのでしょうか(これまで新聞報道では明らかになっていないと思います)。また、紛争の解決金として数十億円を要したのであれば、子会社からの支出という「支払方法」も含めて(親会社の)取締役会で議論をしているはずです。その議論の経過はどうなっているのでしょうか。会社法違反(特別背任罪)を問う事件では、いったい何が取締役会で議論され、決議もしくは報告されたのか、という点が明らかにならなければ刑事事件の結論は見えてこないと思います。日産前会長さんの任務違背行為について、なぜ刑事処分で対応しなければならないのか、ガバナンスや民事ルールは機能しえなかったというプロセスが明らかにされなければ裁判官の有罪心証は得られないと思うところです。日産さんの10年前のガバナンスがどのようなものであったのか、今後報道等で明らかにされることを希望します。

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2018年12月25日 (火)

日産前会長・会社法違反事件-特別背任罪の成否と経営判断原則

会社法960条1項違反、つまり特別背任罪には有価証券報告書虚偽記載罪(金商法違反)のような法人処罰規定がありません。それは法人(会社)は加害者ではなく被害者(損害の発生は法人)だからです。しかし特別背任罪には未遂処罰規定がありますので、たとえ会社に損害が発生していなくても特別背任の実行行為の着手があれば処罰可能です。なお、過去の判例等を調べてみましたが、特別背任罪の未遂で処罰された人はいないようです。現実には、特別背任罪の立件というのは、マスコミでもさかんに報じられているとおり、法人に「損害」が発生したのかどうか・・・という点が明確に立証される必要がありそうです。

ところでこの週末三連休の間、(おなじみ「関係者によると・・・」なる記事ですが)マスコミでいろいろと日産前会長の会社法違反容疑に関する新事実が報じられています。そのうち目にとまったのは

①前会長の資産管理を委託されていた新生銀行の外国人幹部社員が日産への損失付け替えの提案を(前会長に)していた事実(22日産経夕刊)、②前会長と日産社との利益相反取引について、曖昧な表現をもって取締役会決議をとっていた事実(多数のマスコミ記事)、③実際に日産から数千万円、新生銀行に金銭が支払われていた事実(後日、前会長が自費で解消した 24日毎日朝刊)、④新生銀行から(利益相反取引なので)取締役会での承認要求があったが、「これは報酬の範囲内で処理できるからだいじょうぶだ」と前会長が述べた事実(24日朝日朝刊)⑤信用保証料30億円を前会長のために前会長の知人が支払ったという事実(24日読売朝刊等)、そして⑥ケリー氏の妻が「主人は25日に保釈され帰国する予定。関係者の皆様ありがとう!」と述べている事実(ブルームバーグ)

あたりでしょうか。②と④とはやや矛盾しているような気もいたしますが、ともかく(10年前とはいえ)前会長と新生銀行とのやりとりに基づき、外国人報酬の管理のために、日産の取締役会において何らかの審議事項が決議されたことは間違いないようです。

金商法違反事件では金融庁(SESC)による行政処分というクッションがあり、これまでも不公正取引等において課徴金処分が活用されてきました。刑事処罰は社会的に大きな影響を法人に及ぼすので、「クッション」を最大限活用することは、法人に自浄能力を発揮させるためにも望ましい運用です。しかし、業法違反的な規制を除き、会社法違反(とりわけ特別背任罪)には行政処分はありません。したがって、法人の事実上の告訴をまって刑事手続きが開始されるわけですが、その社会的な影響は極めて大きいだけに、事実上未遂処罰例はなく、また主観的要件である「図利目的」についても(判例は消極的動機説といわれますが)ほぼ積極的な自己もしくは第三者の利益目的が証拠上明らかな場合のみ立件される運用になっています。

では、特別背任罪による立件への「クッション」の役割は何かというと、ガバナンス、つまり法人の取締役会を中心とした自浄作用が発揮されていたかどうか・・・という点だと考えます。たとえば日産事件の場合ですと、前会長が絶大な権限によって取締役会の事前承認を経ず、また事後に何らの報告もなされずに利益相反取引を行ったのであれば、そもそもガバナンスが機能しえないので、いきなりの刑事手続(事後厳罰によるエンフォース)もやむをえないのかもしれません。

しかし、取締役会で何らかの意思決定がなされていたのであれば、取締役会における経営判断に是正が期待できるわけで、その経営判断の内容次第では「特別背任罪の成立に合理的な疑いをはさむ余地」が出てくると思います。また、そのような経営判断に問題があるとすれば監視義務違反や内部統制構築義務違反等に基づき、株主代表訴訟や第三者損害賠償請求なる会社法の規制によってクッションは機能するものと期待されています。

いままでのマスコミ報道を読むかぎり、いったい10年も前の日産の取締役会で何が決議されたのか、どういった審議がなされたのか、とても微妙です。日産前会長がどのような説明を行ったのかはわかりませんが、出席している取締役や監査役が意味もわからずに承認することはありえないと思います(日産のような日本を代表する企業の役員の方々が、意味も分からず議案に賛成した、といったことはおよそ考えられません)。しかし、この審議内容次第では、損失付け替えについて「損害」どころか前会長の違法性の意識(特別背任罪においては「会社に損害を及ぼすことの容認」)は否定されてしまいますし、また中東日産会社を通じて海外の知人に16億を払ったことも「損害」ではなく「費用」や「報酬」として適正に支払われたことになってしまう可能性もありそうです。

私も過去に何件か特別背任罪の告訴手続きを(会社側で)経験しましたが、会社と検察が一緒になって協働しなければ立件は困難ではないかと思います。司法取引を端緒とする立件ではありますが、日産自身が有価証券報告書の訂正を行う気配もなく、また、前会長さんに損害賠償請求訴訟を提起することを急がない状況をみるにつけ「会社はだいじょうぶなのだろうか・・・」と危惧いたします。有価証券報告書の虚偽記載罪以上に、特別背任罪による刑事立件には、コンプライアンス経営に関心を持つ者として目が離せません。

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2018年12月21日 (金)

日産前会長の再逮捕劇-大事件化の予感(?)

仕事中なので一言だけですが・・・

いままでタイトルを「日産前会長・金商法違反事件・・・」と書いてきましたが、ついに「特別背任容疑で再逮捕」ということで会社法違反がテーマとなりました。

12月8日の東京新聞朝刊に、日産さんが社内調査報告書を公表する検討に入ったことを報じておられましたので「これはひょっとして会社法違反の立件もあるかも・・・」と思っておりました。本日(12月21日)の日経朝刊でも同様の記事が掲載されましたので、勾留請求却下が引き金になったとはいえ、法人としての日産を巻き込んで、検察の立件準備はすでに整っていたのかもしれません。

3回目の逮捕の容疑は二つあるようですが、二つ目は週刊文春12月13日号の記事にも、また11月27日の朝日新聞一面トップ記事にも掲載されていない「新事実」ですね(朝日新聞の記事は「関係者」の存在を匂わせていましたが・・・)。「関係者」にお金が流れっぱなし・・・ということのようです。

しかし、本件が会社法の世界で注目されるということは・・・、ガバナンスや内部統制に関する視点から、多くの関係者を様々な法的責任問題に巻き込むような大きな事件になる予感がいたします。2008年に金融庁が問題を最初に指摘した事件ですから、金商法違反でうまく立件できるのであれば検察も問題化したくなかったのではないでしょうか(背に腹は代えられない?)

とりあえず直近の関心は、日産さんが社内調査報告書をいつ公表するのか、という点と前会長の再逮捕の事実がケリー氏の保釈申請にどのような影響を及ぼすか・・・という点かと。

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日産・金商法違反事件-前会長らへの勾留請求却下と裁量保釈について

(12月21日午前 一部訂正しました)

日産の前会長らに対する(被疑者としての)勾留延長請求が却下され、前会長らには(追起訴予定分を含む被告人としての)裁量保釈が認められる可能性が出てきたと報じられています。20日の夜には検察の準抗告も棄却された、とのこと。これに対し、フランス政府がこの展開に驚いている、検察幹部が「そんなバカなことがあるか!」「裁判所は何を考えているんだ!信じられん!」との声が上がっている、「ほらみろ、これで無罪の可能性が濃厚だ!」といった有識者の声が出ているといった報道もみられます。大きな事件の動きではありますが、ちょっと冷静に考えたほうがよいと思います。

司法制度改革が始まった2000年以降、とりわけ令状部裁判官の論文(いわゆる「松本論文」)がジュリストに掲載された2006年ころから、検察官による勾留請求の裁判所における却下率はきわめて高くなっています(たとえば2003年と2016年を比較しますと、勾留請求の却下率はなんと8.6倍も増加!)ましてや今回は勾留延長請求ということなので、却下される可能性が(そこそこ)高いことは検察も前会長らの弁護人の方々もご存じのはず。裁判員裁判は事前の争点整理が必須であり、早期に被疑者・被告人と弁護人との意思疎通が確保される必要性が高まったため、従来の勾留や保釈の運用を見直そうという機運が裁判所で高まったわけです。

この流れは裁判員裁判だけの問題ではありません。平成26年、27年と、最高裁は痴漢事件や横領事件の被疑者勾留(刑事訴訟法60条1項、同207条1項)についても、勾留請求を認めない決定を立て続けに出しています。その理由としては、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれについて、被疑者に具体的な危険性が認められなければ勾留の必要性(ひいては勾留理由)は認められないから、というものです。つまり、それまでの実務運用は「証拠を隠すようなことをする抽象的な危険性が認められれば勾留する」というものでしたが、もっと具体的な危険性が必要になりました。たとえば検察側で「この被疑者は●●の事実があるので証拠の隠滅の具体的な危険性が高い」ということを令状裁判官に示してナットクしてもらわなければ勾留は認められないのです。このような事情も、特捜部検察官や前会長らの弁護人の方々は当然認識されているはずです。

そして(なんといっても)今回の刑事事件は、今年6月に施行された日本版司法取引(改正刑事訴訟法上の協議・合意制度)を検察が活用している、という点です。この改正の根拠である「刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成28年6月3日法律第54号)では、刑事審理における証拠開示の拡充を図り、それとともに裁量保釈(刑事訴訟法90条)の判断にあたって斟酌すべき事情を明確化する改正がなされています。同法には国会の附帯決議もなされ(たとえば参議院附帯決議四)、保釈の判断にあたっては被告人が否認していることや、証拠価値を認めないことをもって不当に不利益を与えるような運用がないように(政府および最高裁は)努めよ、と立法府が政府や司法に要請しています(これは重い!)。

もちろん、この点は裁量保釈に関する論点ですが、日本版司法取引の運用において(先に述べた裁判員裁判の争点整理と同様に)、「他人の犯罪」(本事件では前会長らの犯罪)に関与する弁護人は、日本版司法取引による「他人を不当に犯罪へ巻き込むことを防止するため」に、早期に迅速な防御権行使が要請されています。したがって、日本版司法取引が制度として開始された以上、弁護人と被疑者との十分な意思疎通を可能とするため(たとえば合意内容書面に基づく証拠の信用性を吟味するため)、早期に被疑者や被告人の身柄を解放する必要性が高いことは、裁量保釈に関する運用だけでなく被疑者勾留の運用についても同じだと考えられます。そこで、勾留請求に関する裁判官実務の運用にも変化が生じて当然ではないでしょうか(これも関係者の皆様には釈迦に説法のようなお話かとは思いますが・・・)。

このような事情から、一般事件でも保釈率は極めて高くなっており(こちらも勾留請求却下と同様、平成26年、27年に「罪証隠滅のおそれが高い」として保釈を却下した高裁決定をひっくり返す最高裁決定が出ています)、そこに平成28年の刑訴法90条改正(保釈の運用)、同350条の2以下の改正(日本版司法取引)の施行開始という事情が重なるわけですから、(外国人が被告人であるため、一定の条件が付されることは当然としても)特別背任や横領といった別理由による身柄拘束がなされない限り、追起訴後の裁量保釈が認められる可能性は高いと思料いたします。すべては中立・公正な刑事審理のため、ということだと思います。

このように考えますと、(特捜部による)勾留延長請求が却下されるのは異例とか、日本の刑事手続制度に諸外国が驚愕とか、裁判所の予想外の判断に検察幹部が憤っているといった報道は「ちょっと違うのでは・・・」と思いますし、むしろ司法制度改革の下での最高裁の判断の明確化や刑事訴訟法の改正といった流れの中で、普通に勾留請求が却下され、裁量保釈が容認されやすい環境が整った、というだけのことかと。また逆に、上記のような流れなので、起訴された有価証券報告書の虚偽記載罪が認められにくくなったとか、裁判所の心証が伺い知れた、といった判断もちょっと違うような気がいたします。本事件への私の関心は、もっぱら有罪か無罪か・・・という点にありますが、刑事手続に関する世間の関心が高まりましたので(刑事法には素人ながら)コメントさせていただきました。

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2018年12月13日 (木)

日産・金商法違反事件-会計実務家の常識的判断を尊重せよ(その2)

昨日のエントリー「日産前会長金商法違反事件-会計実務家の常識的判断を尊重せよ」にはたくさんのコメントをいただき、どうもありがとうございました。本日は続編として、いただいた会計専門家の皆様(私の存じ上げている方もいらっしゃいますが)のご意見を紹介させていただきます。もちろん、事件関係者の方ではありませんので、新聞等の公開された情報のみに基づいたご意見ばかりであることを念のため申し添えておきます。(なお、メールでも公認会計士の方からいくつかご意見を頂戴しましたが、コメント欄にお書きいただいた方以外は紹介を控えさせていただきます)。

(Xさんのご意見)ゴーンさんのようなケースであれば(現在までの報道を見る限り)費用計上して開示するのが、実務に携わる一会計士としては常識的判断だと思います。法的な意味で確定している必要はありませんし、probable であれば会計的には費用&債務です。従業員の退職給付債務も確率論で推定されたものに過ぎず、確定しているものではありません。有価証券の評価損も受注工事損失引当も、法的な意味で確定してはいないので、法的に確定していなければ処理不要という理屈が通れば、オリンパスも東芝も不適切会計では無くなってしまいます。有価証券や長期請負工事の損失も、売却や完了までは評価・見積に過ぎず確定したものではありません。重要な記載事項かどうかも、監査対象ではありませんが重要であると言うのが一般的な認識かと思います。重要なので導入されたわけですし、導入時の経緯を見ても、当初から重要視されていました。また虚偽記載があった場合の心証としては、利益におけるそれよりもさらに悪いと言えます。会計は膨大な作業と時間の積み重ねなので、間違える事や間違いに気づかない事はあります。東芝のケースも、金額的には大半が原発工事ですが、ああいった海外の大規模工事になると経営者も正確な数字を掴めなくなる事は、まだ理解できます。しかし、役員報酬は自分自身の報酬ですから、掴めていないはずがなく、100%故意で悪質です。・・・(中略)中途退職したらほぼ0円になるような退職給付でも債務認識と費用認識はされますし、デリバティブなんてトリガーが引かれなかったら0になるものばかりでしょう。現在の会計基準は必ずしも確定未確定を問題にしません。一老さんが費用収益対応という言い方で言及されていますが、この報酬が実態として何の対価なのかという事の方が決定的要因でしょう。実質的な報酬の後払いなのか、本当に顧問料相談役料なのかです。それは私のような外野ではなく裁判所が判断することなのでしょうけど。

どうもありがとうございます。おっしゃるとおり、最後は裁判所が判断することになります。ちなみに、2017年に青林書院から出された「法律家のための企業会計と法の基礎知識」の中で、長銀事件最高裁審理を担当された裁判官でいらっしゃった古田祐紀先生(検察出身)が「法的な観点から会計処理を見る場合の留意点」をお書きになっておられます(同書31頁以下)。今回のようなケースでは、やはり退職慰労金の会計処理が参考になるものと私的には判断いたしました。

(会計士さんのご意見)「報道」情報が、媒体で違うのだろうし、「事実」かどうかわからないので、推測含みですが。退任後報酬なら、費用計上しない。大企業トップに対して、退任後2年間顧問あるいは相談役で年3000万払うなんていうのは、よくありますが、これは、払った年の費用です。その年に執務して、その年の報酬ですから。現役時に費用計上することはないし、確定債務ではありません。わかりやすく言うと、この方が退任直後病気で亡くなったケース。その場合、払いませんね。よって、費用計上しないのです。仮に亡くなった場合も遺族に払うのだとしたら、それは確定債務で事前の費用計上が必要です。・・・(中略)確たるスキームや金額を既知としているわけではないので。小出しにいろいろ出ているどの情報が正なのかがわからず、そこはおいておいて。退任時に、お亡くなりになったというような前提で。その際には相続人に払われないものだとしたら、費用計上されていないことは正しいと思うのです。何らかスキームに「インチキ」あって、「実質を仮装」している事実があるとすれば、それは別の論点で。退任後に顧問で年10億なり払って、今後のCG報告書で会社が開示していくような流れであれば、それはそれで「会計」側では問題がないと思います。

どうもありがとうございます。上記の「企業会計と法の基礎知識」の中で、東京大学の佐伯教授(刑法学)が「評価的要素と会計基準違反(刑事関係)」を担当執筆されています(拙著も一部引用していただいております)。会計士さんご指摘のとおり、会計処理の問題とは別に、たとえば会計処理は正しくても、実質的に見れば「おかしいじゃん!」という場合に虚偽記載で刑事処罰を与えてしまおう・・という流れもありえます。米国のGAAP遵守⇒有罪という例も紹介されています。企業会計法の大家でいらっしゃる弥永教授の「片面的実質主義」(ここでは説明しませんが)に、佐伯先生も賛同されているようですが、やはり課徴金処分が使えるところではまず課徴金でいくべきとのことで、刑事処分に実質主義を用いることには謙抑的であるべきとのご指摘があります。

(一老さんのご意見)会社は「一般に公正妥当と認められる会計の基準」に準拠した会計処理を行うべしという点に関して、会社法と金融商品取引法で異なる解釈は有りません。また、法的に確定していないから会計処理されていないが、会計的には会計処理すべきであったという、「法解釈」と「会計解釈」のダブルスタンダードは何処にも存在しません。日産ゴーン事件は虚偽記載を争う展開ならば、そういう意味において、初の「会計裁判」となるのでしょうか。会計的に「簿外未払金」または「簿外引当金」が存在したかどうかが争点です。ゴーン氏に支払われるべき報酬が(隠されていたかどうかに関係なく)客観的に存在していたか、その報酬が支払われる蓋然性が高く認められるか、その金額は(ゼロサムではなくて)概ね確定していたか、さらに、その費用(金額)は過去該当各期の会計期間に費用化(反映)されるべきであったか等の全ての点が明確に立証されるかどうか議論されなければなりません。報道情報から考えるに(ゴーン氏らは、手の込んだテクニックを駆使して事実の表面化を避け、会計的な「未確定取引」を殊更に強調できるスキームを構築してきたようですが、であれば、尚の事)会計事実として会計処理の対象とすべき要件(の一部)を具備していると思います。・・が、しかし、その金額はいったいいつの決算に費用化されるべきだったのでしょうか?「収益費用対応の原則」は会計原則の基本の基本です、これを適当に判断する事はできません。ここに関しては今の自分に結論が出ません。「ライブドア事件」では会社が金銭を授受したその科目が収益ではない事が虚偽記載とされたものですが、日産事件では未払の金額ですから、これとは決定的に異なります。これほど難しい「会計判断」の領域に今回“特捜部”が踏み込み、「会計処理を糺す」として大上段に構えたのでしょうか?・・・(中略)このコメント欄に投稿して直ぐに日経新聞朝刊に目を通しましたが、「某月某日?において、後日支払いされるべき(支払い予定である)報酬の金額が決定していた・・」とする内容記事が掲載されています。会計の専門家ならば常識的に理解するのですが、報酬の金額が決定していたことと未払債務(もしくは引当金)が「確定していた事」は同義ではありません。収益費用対応原則と発生主義原則という会計の大原則に照らせば、その費用(未払金計上費用もしくは引当金繰入額)はそれに対応する期間の収益獲得のために用されたものかどうか、ゴーン氏が受け取る報酬に見合う「役務の提供」がいったい、いつ行われたのかが重要なキーとなります。ゴーン氏が、報酬を<貰うつもり>であり、<間違いなく貰える環境>にあり<その額も決定していた>としても、それだけでは、報酬として『確定』していた事にはならないのです。

一老さんがおっしゃるように、収益費用対応原則、発生主義原則というところは、金商法違反を問うわけですから「法律上の記載義務」を考えるにあたっては避けて通れない論点だと考えております。「報酬」と言われていますが、実は「顧問料」だったり「競業避止承諾料」の可能性があり、東京新聞が関係者の取材から描いた3文書(12月11日朝刊に掲載)から読み取りますと、どうも開示規制施行前は純粋な20億の確定報酬だったものが、施行後は10億の確定報酬と10億相当の顧問料、承諾料として支払われるストーリーになっていたようです。そうなりますと、収益に見合う職務執行はゴーン氏退任後ということになり、費用計上も退任後ということになるような気がいたします。なお、純粋に20億の報酬が確定したとしても、通常は取締役会で決算書の承認決議が必要で、会計的にはこれを確認したうえで費用計上されるのではないかと思うのですが、そのあたりがやや疑問です。

ところで役員報酬の開示制度を導入した責任者でいらっしゃる亀井静香さんがAERAでこのようなことをおっしゃっています(AERAニュースはこちらです)。経済界の反対を押し切って制度を導入された方がこのようなことをおっしゃるということは、本当に役員報酬の重要性(つまり役員報酬の虚偽開示が当然に金商法違反になるということ)を感じておられるようには思えないのですが。。。昨日のエントリーで書いたように、企業統治改革が進むなかで重要性が増してきた、ということも言えそうな気がいたします(ただし、それは罪刑法定主義に反する考え方と認識しております)。

本日(12月12日)の日経朝刊に、青山学院大学大学院の町田教授のご意見も掲載されていましたが、取り上げておられる論点こそ異なるものの、同大学院名誉教授である八田進二先生とは立件の成否に関する見立てが違っておりました。重要性の論点、収益費用対応原則の論点など、会計専門家の方々の意見が反映された刑事訴訟手続きが進まなければ、またまた会計・監査業界に大きな波紋を投げかけることになりかねないと思います。

(これは本日の論点とは関係ありませんが)東京新聞12日付け朝刊「ゴーン事件の底流(2)」はなかなか読み応えがありました。事件関係者の実名がボンボン出てきます(今回の日産金商法違反事件について、東京新聞の取材姿勢はなかなか迫力ありますね)。この記事と12月6日付けの週刊文春の記事、そして今月号の文藝春秋論稿を重ね合わせますと、やはり前会長逮捕・立件の背景に、大きなうねりのようなものがあったことがわかります。米国の新聞(WSJ)では「事情に詳しい関係者」の話として、前会長が逮捕前、経営不振を理由に西川社長の更迭を計画していた、米国市場の不振や日本で相次ぐ品質検査不正問題で西川社長の手腕に疑問を感じていて、11月下旬の取締役会で解任の提案をするつもりだったとも報じられていました。ミクロの論点だけでなく、マクロの視点も把握しておかなければ、本事件の真相には迫れないと感じた次第であります。

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2018年12月12日 (水)

日産前会長金商法違反事件-会計実務家の常識的判断を尊重せよ

12月11日、日産の前会長さんの起訴・再逮捕が大きく報じられていますが、新事実を報じる記事よりも、今後の法廷闘争に向けた争点整理に関する記事が目立ちました。とりわけ興味深い記事として、12月11日付け東京新聞朝刊「退任後報酬示す3文書」は、検察が金商法違反で前会長さんを立件するにあたり重要なカギを握るであろう3つの文書の詳細を紹介していました。この3文書に、司法取引を行った2名の役職員の証言がプラスされれば、検察側の立証方法としてもかなり有力なものが集まったように思えます。

ただ、私は依然として金商法違反容疑で前会長らを有罪に持ち込むには(まだまだ)壁があるのではないか・・・と考えています。多くの報道において「前会長が退任後に受領する予定の報酬は『確定報酬』と言えるかどうか」といった問題提起がなされていますが、以前のブログエントリーでも述べたように、金融庁の定めたルールの解釈が問題となるはずでして、

現行の会計基準や同じ建付けの会社法を踏まえた実務動向等に照らせば、基本的に、最近事業年度に係る役員退職慰労金繰入額及びストックオプションの費用計上額は最近事業年度に係る報酬等に該当することが考えられます。

なる金融庁の考え方に沿って「受ける見込みの額が明らかとなったもの」に、退任後報酬(そもそもこれが「報酬」といえるかどうかも問題です)が含まれるかどうかを考える必要があります。

役員退職慰労金のように引当金を負債として積み、また慰労金繰入額のように一部費用化しているからこそ「明らかとなったもの」に該当するわけで、そのあたりは法律家ではなく、公認会計士の方々の常識的判断による解釈が尊重されるべきです。そうでないと10年前の長銀事件最高裁無罪判決の二の舞になりかねません(そもそも会計士の皆様の常識的判断として「退任後報酬が確定している」といった概念は普通に受け入れられるのでしょうか?確定・不確定というのは会社法の世界の話ですが、金商法の世界でも使うのでしょうかね?)。開示規制の世界の話ですから「相対的真実」が妥当する場面も多いと思います。「確定している」というのも正解だが「確定していない」というのも正解・・・といったことにならないでしょうか?

そしてもうひとつ、多くの新聞記事において、前会長の報酬過少記載が「有価証券報告書の重要事項に関する虚偽記載」にあたるかどうか、という論点を取り上げています。重要事項か否かという点は、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす項目にあたるかどうか・・・といった判断基準で考えるべきことはもちろんですが、「現在ではガバナンス改革のもと、経営トップの報酬に重大な関心が向けられるようになった」という「社会常識の変遷」を根拠にしてしまっては罪刑法定主義に反する可能性が高まります。

要は役員報酬が有価証券報告書に開示させるようになった2010年3月度の時点から、すでに役員報酬の過少記載は重要事項に関する虚偽記載に該当していたことが必要です。これまで役員報酬の虚偽記載で課徴金処分が一度も下されたことはないのですが、2010年当時から役員報酬は重要な記載事項としての共通認識は持たれていたのでしょうか。(監査対象となる)財務諸表の一部ではありませんが、有価証券報告書とふだんから接しておられる会計士の方々にこそ、実務上の常識的な判断をお聞きしたいところです。

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2018年12月11日 (火)

JICの取締役辞任問題-「ファンド」の仕事はアートである。

本日(12月10日)の日経夕刊トップ記事によりますと、産業革新投資機構(JIC)の社長ら9名の取締役の皆様が辞任をされるそうです。高額報酬の件、経営への行政関与の件などが端緒となって経産省とJIC経営陣との信頼関係が毀損されたものと報じられています。辞任を決意された社外取締役の方々のコメントがこちらに掲載されておりますが、約束を守らなかった経産省へのご批判が強く、なかなか厳しいご意見ばかりです。

私も今年6月まで約4年間、官民ファンド(大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社)の社外役員を務めていましたので、経産省とJICの対立について、守秘義務に反しない範囲で(私の個人的な)感想だけを述べたいと思います。

私も自分が官民ファンドの仕事をしていなければ「役員の基本報酬5,500万円は高いなぁ」と感じたと思います。ただ、ファンドの仕事は「引き受け仕事」ではなく、「モノを作る仕事」なのです。決して「モノ作りのお手伝いをする仕事」ではありません。それは伊藤忠ご出身の阪大ベンチャー初代社長の仕事ぶりをみていて痛感しました(恥ずかしながら、私の認識不足で関係者にご迷惑をかけたこともありました)。投資ファンドの仕事は、過去の経歴やスキルによって「国策を引き受ける」仕事ではなく、過去の経歴やスキルを参考にしながら「自ら仕事を作ることによって有望企業を世に生み出す」仕事だと認識しています。

ハンズオンによって人間関係を調整し、シーズから現実世界における利用可能性を発見し、その汎用性や流通可能なコスト低減の手法を生み出すという、総合力が必要とされる仕事だと思います。運がよければそこから上場を目指すことのできる(つまり投資回収を図ることができる)ビジネスが誕生するわけで、損を承知で試行錯誤を繰り返すことは不可欠です。また、結果にコミットしなければならない人たちが集まっていますので、職員の離合集散は激しく、これを束ねるプレイングマネージャーとしての中間幹部の人たちは激務です。ファンドのガバナンスということが言われますが、実際にはその運用はむずかしい。

経産省とJICは「投資事業という金融機能を活用し、将来の産業競争力を強化し、新事業を創出する」という理念を共有するとことでは一致していたものの、ファンドという仕事が「引き受ける仕事」なのか「作る仕事」なのか、という点において認識に不一致があったのではないでしょうか。アートに近い仕事なので、そもそも代替できる人を探すことは困難ですから高額報酬は当たり前ですし、アートに行政が関与するということであればファンド関係者が拒絶反応を示すことも当然ではないかと思います。また、アートであるがゆえに関係者の「情熱」が失われれば仕事は頓挫すると思います。今回の一件は、官民ファンドの性格を一定の枠に閉じ込めてしまうものであり、ファンドの「モノ作り」としての仕事を否定することにつながりかねないものと危惧します。

私は、経産省の上記理念自体を否定するつもりは全くありません。ただ、それであれば(ファンドによる投資事業にこだわることなく)企業が仮想通貨建てでお金を集めるような、いわゆるICOなどの最新資金調達方法のインフラを整備して、その普及を図るような政策を推進すべきではないかと。もしくは、今後も官民ファンドを産業競争力強化のために活用するのであれば、「国民の納得が得られない」などと言い訳をするのではなく、ファンドの仕事を国民に理解してもらえるように広く説明をすることから始めるべきではないでしょうか。

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