2023年9月25日 (月)

大阪・関西万博と一連の東京五輪汚職・談合事案

最近はガバナンス関連で注目すべき事案が多すぎて、何をブログで書けばよいのか迷うところです(個人的には日大アメフト部員薬物問題がもっとも関心が高いですね)。

さて、前も書きましたが、私は大阪・関西万博推進派ですが、いまの状況をみると東京五輪汚職・談合事案を想起させます。東京五輪では組織委員会の関係者と大手広告代理店の幹部の方々の刑事事件に発展したことは皆様もご承知のとおりですが、なぜ東京オリパラに汚点を残してしまったのか・・・と考えてみますと、やはり「絶対に成功させなければならない」という国家的機運に由来する関係者の使命感、そこに関係する諸団体の責任の曖昧さ、実務を仕切る人たちの行動の聖域化(「餅は餅屋」による丸投げに基づくブラックボックス化)、事前規制よりも事後規制の対応重視というところで不正リスクをあらかじめ特定できなかったことが問題だったと考えます。

このたびの大阪・関西万博の準備状況をみますと、東京五輪の様子とよく似ています(まだ汚職・談合事案の刑事裁判は続いています)。さらに大阪・関西万博では、大手広告代理店の力が発揮できる領域が限定的であること、「ビジネスと人権」に関連する責任がパビリオン建設を発注する諸外国にも及ぶことから、東京五輪のとき以上に不正リスクは高まるはずです。この点、事前規制的な発想で対処しなければ、日本は海外諸国にも後日、多大な不正リスクの顕在化を招くことにもなりかねず、とりわけ汚職、談合、人権侵害はあらかじめ徹底的に予防する体制をとる必要があると思います。これはまさに「日本の威信をかけて」検討すべき課題ではないでしょうか。

どんなに「成功させなければならない」という機運が高まったとしても、不正リスクを堂々と責任者に主張し、リスクマネジメントを実行させるだけの人物が現れなければ、東京五輪以上に大きな不正リスクの顕在化を招くことになるような気がいたします。

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2023年9月14日 (木)

ジャニーズ事務所問題-さすが欧米企業の対応だと思います(P&G、アフラックの人権リスクへの対応)

花王の元法務担当執行役員(現 KADOKAWA社外取締役)の杉山さんからコメントを頂戴しました(ご無沙汰しております)。

今日の朝日新聞Webの記事です(記事はこちらです)。このPG社長は、欧米の倫理対応の一つの見識、すなわち逃げるのではなくステークホルダーとして監視していく、を代表していると思いますが、山口さんの意見を是非お聞きしたく。

私はこの記事で示されているP&G社長さんの見解、およびさきほど報じられていましたアフラック生命保険の見解については前向きに捉えています。前のエントリーで述べたことを再掲しますが、

私は企業によって判断が分かれることはサステナビリティ開示にとっては良いことだと思っていますが、単純に横並びで他社の様子をうかがって、世間の空気に従うようではもはやどんなに立派なESG開示情報を並べていても、投資家やステークホルダーからは「自社の利益のためには噓八百並べても平気な企業」と冷静に評価されるだけに終わってしまうと思います。

日本企業の場合、自社の対応を検討するにあたっては、①自社の人権方針、②ビジネスと人権の指導原則(Ⅱ第3項)、③(上場、非上場にかかわらず)東証・不祥事予防のプリンシプル(原則6 サプライチェーンを展望した責任感)を尊重すべきと考えています。そのうえでジャニーズ事務所との契約を解消すべきか、継続すべきであればどのような行動をとるべきかを自身で考えて開示すべきです。私自身は逃げるのも、逃げずに取引先ガバナンスに積極的に関与するのも、これらの人権ルールへの遵守を真摯に検討したうえでの決断であれば説明責任は果たせると思います。ここ数日で、「新たな契約は締結しない」という方向で「契約解消ドミノ」になっていますが、私からしますと(本当に人権ルールへの対応を検討したのだろうか・・・と懐疑的になっておりまして)やや残念な気持ちです。もちろん、ジャニーズ事務所の性加害問題自体、本当にこれで事実関係は明らかになったのかどうか、まだまだ新事実が出てくるのではないか・・・という懸念もあり、そのあたりで対応を決めかねている企業もあるかもしれませんが。

P&Gの場合、契約を継続したうえで自社の行動指針に沿った対応を積極的にジャニーズ事務所に要望し、その変革に関与するわけですから、真剣に検討したうえでの判断ではないでしょうか。ただ、変革に関与するとしても、ジャニーズ事務所のビジネスモデルはきわめて複雑ですし、ガバナンス再構築にはプロ級のスキルが求められると思いますので投入できるリソースが必要かと。また、アフラックについても、事務所との契約は解消しつつもタレント個人との契約を締結する(ことを検討中)ということも、(個人的にはエンターテインメント業界の慣行からすれば、事務所に所属しつつ個人契約を結ぶというのはきわめて困難な部分があるとは思いますが)ひとつの判断と考えます。いずれも世間から批判を浴びるリスクはあるのですが、風向きもなかった最初に「契約更新は見送る」と開示した東京海上日動、JALと同様、人権リスクから逃げない姿勢は尊敬すべき態度と考えます。宝飾のカルティエは、広告タレントに直接辞退勧告を行ったと報じられており、これもなかなか日本企業ではできないかなぁと感じています。

ただ、ステークホルダーの逃げない姿勢を当のジャニーズ事務所が歓迎するかどうかは別の問題ですね。ステークホルダーの意見を尊重する姿勢があるならば、もっと根本的な改革姿勢をジャニーズ事務所が示しているようにも思います。番組出演料を1年間中抜きしないという見解が事務所から出されましたが、それでは出演に要する経費はどうするのか、そもそも出演料は誰が決めるのか、出演の可否もタレントが決めるのか等、検討すべき課題は多いわけで、その課題解決の方法次第では「それは将来の事務所収益へのコストにすぎないのでは」と言われてもしかたないように思われます。まだまだジャニーズ事務所問題は今後も急展開があるかもしれませんので、「ビジネスと人権」の視点から注目をしたいところです。

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2023年9月11日 (月)

ジャニーズ事務所問題-サントリー、日本生命、日産もタレント広告使用を見送りへ(ビジネスと人権の視点)

(9月12日13時20分追記あり)(9月12日16時追記あり)

中古車大手の上場会社ネクステージ社も、社長さんが辞任された、とのこと(ネクステージ社は第三者委員会は設置せずにどう危機管理をされるのでしょうか?)。いろいろとブログで書きたい事件がありますが、やはりジャニーズ事務所問題を取り上げます。8月30日のこちらのエントリー以来、当ブログでは企業のESG経営の一環である「ビジネスと人権」への対応に焦点を当てて、ジャニーズ事務所問題を取り扱ってきました。そして東京海上日動社の「ジャニーズ事務所とは新たな契約はしない」旨の宣言以降、多くの企業から宣言が出されています。予想どおり、各社の対応は分かれていますね。

サステナビリティ開示が求められる中で、自社のESG方針に則って「ジャニーズ事務所とのタレント広告に関する契約を解除、もしくは(条件付きも含めて)将来的に新たな契約は締結しない」と宣言している企業は東京海上、日航、アサヒ、キリンと報じられていましたが、本日、サントリーホールディングス、日本生命も同様の宣言に至っています(たとえばこちらのニュース)。また、ロート製薬、大正製薬、日産※、コーセー、日清オイリオ、サッポロホールディングスのように「(当面は続けるが)検討中」との企業も多数あります。さらにモスフードサービスや大阪市のように「契約解除は検討していない。いかなる性加害も許されない。今後については、被害者救済と再発防止の実施状況を確認しながら適切に対応する」「タレントは誇りを持って活動を続けており、一緒に大阪を盛り上げていきたい」と宣言する企業、自治体もあります。

(追記:9月11日21時の日経ニュースでは、日産が今後のジャニーズ事務所所属タレントとの契約は見送る旨、公表しています。現在出演中の大物タレントとの契約は継続し、満了時にまた検討する、とのこと)

契約解除もしくは新たな契約見送りを宣言している企業については「ビジネスと人権」に関する自社の取組みとの齟齬は生じないので、その本気度について議論する余地はないと思います(アサヒグループホールディングスのトップの方が朝日新聞のインタビューに答えておられますが、まさにこのとおりかと-アサヒ社長「ジャニーズ起用継続すれば人権侵害に寛容ということに」)。

一方「検討中」の企業および「今後も継続する」という企業については、現時点では何も理由を示していないのが残念です。所属タレントには(不利益を甘受すべき)問題はないのであり、ファンのためにも広告として使用したい気持ちはみな同じです。ただ、理由として示さないといけないのは「(契約を継続することで)児童虐待を容認してきた企業の収益にこれからも寄与することが、自社の掲げた企業行動規範となぜ矛盾しないのか。世界的には『児童虐待を容認する企業』と指摘されるリスクに対して、将来的にどう反論するのか」という点です。ESG経営を標榜していることの「本気度」は、このような疑問にどう正当な理由を示すのかということに尽きると思います。

ちなみにジャニーズ事務所のビジネスモデルは単純なタレントプロモーションとは言えないですよね。小学校低学年からjuniorとして育成して、そこから素質ある者を選抜してデビューさせるというビジネスモデルです。これからも児童との接触は切っても切れないわけですから、再発防止策はかなりむずかしい提言になるのでは。そこを取引企業はどう考えるのでしょうか。

前のエントリーでも書きましたが、私は企業によって判断が分かれることはサステナビリティ開示にとっては良いことだと思っていますが、単純に横並びで他社の様子をうかがって、世間の空気に従うようではもはやどんなに立派なESG開示情報を並べていても、投資家やステークホルダーからは「自社の利益のためには噓八百並べても平気な企業」と冷静に評価されるだけに終わってしまうと思います。たとえば検討中、契約継続を選択している企業であれば、①どのようなガバナンス、再発防止策、被害者救済が外から判断できた場合には契約継続(もしくは解消)となるのか(具体的な判断基準の開示)、②判断基準を明確に開示できないのであれば、自社による監査・調査権限の行使を主張して、ジャニーズ事務所にこれを承諾させることができるか(米国ではよく取引相手方への監査のために公認不正検査士が活用される場面)、③ジャニーズ事務所を経由せずに、自社と(事業主としての)タレントとの契約を締結できるか、というあたりを模索して自社の企業行動規範との整合性を検討する必要があるのではないでしょうか。

9月12日13時20分追記:本日もマクドナルド、第一三共が「事務所との新たな契約はしない」という方針を開示しています。検討中とされていた企業が、やはり人権方針の徹底を示したものと思われます。

9月12日16時追記:これまで「検討中」としていた花王も、いよいよ「可及的速やかに広告契約を中止します」とのこと。ただし事務所との契約は継続して、今後の事務所の対応を見守るとのこと。なお資生堂は会見以前に早々に「特定のジャニーズタレント広告起用の予定白紙撤回」を表明していました。カネボウ化粧品、コーセーはどうされるのでしょうか?

※ ちなみに9月7日時点でジャニーズ事務所の所属タレントが広告出演している企業は127社もあるのですね(福島県、大阪観光局含む)。まだまだ方針を表明している企業は少なく、大手企業でも様子見をしているところが多いようです。私の個人的な意見は、「契約解消」「契約継続」いずれについても、きちんと理由を述べて開示している企業はESG経営の本気度が高い、様子見の会社は「なんちゃってESG」の可能性がある、あるいは営業部門とコンプライアンス部門との力関係のバランスが崩壊している、というところです。すでに機関投資家は私以上に敏感にそのあたりを検証している模様です。サステナビリティ開示はこういった場合にたいへん有用、ということでしょうか。

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2023年9月 7日 (木)

東京海上日動、ジャニーズ事務所との広告契約の更新を停止(ビジネスと人権の視点)

8月30日のエントリー「ジャニーズ事務所問題-「ビジネスと人権」に対する日本企業の本気度はいかに?」でも書きましたが、いよいよ事業者の「ビジネスと人権」への対応が明らかになりつつあります。

本日(9月7日)の株式会社ジャニーズ事務所の新体制発表会見(過去における創業者による児童虐待の事実を正式に認める)、そして主要テレビ局の「今後もタレントを使い続ける」との宣言により、今度はジャニーズ所属タレントが出演する番組に広告料を出す側、ジャニーズ事務所のタレントをイメージブランドとして活用する側の事業者の対応が問題となります。いち早く、東京海上日動社がジャニーズ事務所との広告契約については今後更新しないことを決定、事務所タレントを使用している現契約の即時解除を検討と報じられています(朝日新聞ニュースはこちらです)。

東京海上日動社の広告に出演しておられる方は、世間的にはとても好感度の高いタレントさんですが、やはり「児童虐待を容認してきた企業(ジャニーズ事務所)の収益に寄与することは、国内だけでなく海外にも説明がつかない」ということで毅然とした対応を決断した、ということかと。今後は、主要メディアが制作するジャニーズ所属タレント出演番組への広告や、企業が契約するタレントとの契約について、個々の事業者が東京海上日動社と同様、どのような経営判断に至るのか、多くの国民が注目することになりますね。まさに「ビジネスと人権」への企業の姿勢の本気度が試されるところです。私としては、むしろ「使い続ける正当な理由」「広告料を出す正当な理由」のほうを知りたい。それが日本および海外の人たちに受け入れられるものかどうか。

なお、個々の事業者の経営判断なので、主要テレビ局の対応についての個人的な意見は控えますが、今後もジャニーズ事務所の収益獲得に寄与するわけですから、なぜ「児童虐待の被害拡大を助長してきた主要テレビ局として、今後もジャニーズ事務所の収益寄与に貢献することが企業理念に反することにならないのか、人権侵害を絶対容認しないと宣言することとなぜ矛盾しないのか」合理的な説明が求められるはずです(おそらく、その説明がなければ海外メディアからは大きな批判を受け続けるでしょうし、今後、児童虐待を批判する報道は困難となると思います)。

 

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2023年8月31日 (木)

BM事案-損保ジャパンは「組織ぐるみの不正」と言われてもしかたないかも・・・

よく「バッドニュース ファースト」と言われ、コンプライアンス経営を実現するためには、現場から経営トップに悪い情報が迅速に届く体制作りが必要との解説を見かけます。しかしバッドニュースを伝えても、経営トップがこれを握りつぶしてしまうともはやブラック企業の仲間入りです。8月30日21時現在の共同通信の特報ですが、

中古車販売大手ビッグモーター(東京)による自動車保険の不正請求問題で、損害保険ジャパンの白川儀一社長がビッグモーターとの取引再開を協議した昨年7月の役員会議の数日前に、不正を否定したビッグモーターの自主調査結果は同社に都合よく改ざんされたものだと部下から報告を受けていたことが30日、分かった。

とのこと。ちなみに「都合よく改ざんされた」という内容は、ビッグモーターの自主調査結果は当初「工場長による不正の指示があった」というものでしたが、その後「ヒューマンエラー」と書き換えられたことを示しています。これまでのニュースでは損保ジャパンの社長さんが不正請求の可能性を認識しつつ・・・とされていましたが(おそらくこちらのニュースなどのトーンからでしょう)(*_*;、もはや不正請求の事実を認識しながら取引を再開した、と断定できそうなニュース内容です。←追記:31日午前1時現在、上記共同通信が伝える事実について他のメディアは追随していませんが、共同通信さんはいったいどこから情報を入手したのでしょうかね?

上記役員会議(取締役会なのか経営会議なのかはわかりませんが)では、社長が取引の再開を促していた、ということなのでもし上記共同通信のニュースが事実だとすれば損保ジャパンさんはかなりヤバいことになりそうです。社長さんはこの事実をお認めになるのでしょうか、それとも不注意にも誤解をしていた、との釈明をされるのでしょうか。ただ、BM社との取引再開によって停止時よりも損保ジャパンさんの売上が10%ほど伸びていたそうなので(こちらの産経ニュース参照)、取引再開はかなり切実な経営問題だったことは間違いなさそうです。

おそらく(損保ジャパンさんの親会社である)SOMPOホールディングスさんは事情を知らなかったものと推測しますが、損保ジャパンさんとしては組織ぐるみ、もしくは経営者関与の不正隠しが行われていたと言われてもしかたないのでは(役員会議に出席されていた社長さん以外の役員の皆様も、結局は取引再開に賛同されていたようですし)。いや、一番おそろしいのは監督官庁に対して故意に虚偽報告を行っていた場合です。これは大問題に発展しそうな予感がします。

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2023年8月18日 (金)

ガバナンス改革は「敗者のゲーム」である(と思う)

1692271607441_512 このお盆休みに「敗者のゲーム」を読みました(「敗者のゲーム(原著第8版)」チャールズ・エリス著 日本経済新聞出版 税別2,000円)。初版が1985年ということで、世界で読まれている(投資家向けの)ロングセラーであり、最近の改訂版を読まれた方も多いのではないでしょうか。個人投資家の資産形成方針に一石を投じたこの本の内容を論評する能力はありませんが、これを読んでおりまして日本のガバナンス改革にも通じるところがあるなぁと感じた次第です。

そもそも「攻めのガバナンス」と言われるところを上場会社が実践したとしても、その効果を業績に結び付けることができるのは(私の勝手な想像ですが)3900社中の30社から50社くらいではないかと。つまり「攻めのガバナンス(健全なリスクテイクによって稼ぐ力を取り戻すためのガバナンス)」に求められるところ(たとえば人的資本-ダイバーシティや社外取締役が過半数を占める任意の指名報酬委員会の活用等)は「ガバナンスのプロが活躍する世界」であり、市場でこれを実践できるプロ経営者、プロ社外取締役と評価できる人は(今の日本で)ほんのわずかしか存在しない、ということです。ガバナンスの素人にとっては、どう頑張っても(仕組みを整えることはできても)実践の効果を業績に結び付けることはできない。

3900社のうちのほとんどの上場会社はガバナンスについての「素人集団」です。そうであるならば、同業他社に勝つためには「いかにして凡ミスをなくすか」「いかにして失点を防ぐか」ということにガバナンスの活躍領域を設けたほうが得策であり、そこにガバナンス改革を実践する意味を見出すべきです。トッププロが集うテニストーナメントでは、見る者を魅了するスピードと技によって勝敗が決まりますが、町のテニス大会ではできるだけミスをしない、できるだけサーブをネットにかけないということで勝敗が決するという「敗者のゲーム」の理屈はガバナンス改革にもあてはまるように思います。

攻めのガバナンスの「好事例集」などが経産省や金融庁から公表されます。しかし、好事例集をマネしたからといってガバナンス改革が業績に結び付くような「甘い幻想」は抱かないほうがいいですね。そのガバナンスが機能しうる土壌(組織風土)は組織によって千差万別です。いくら好事例をマネできても組織風土はマネできません(当然ですが)。それよりも好事例集には掲載できないこと、たとえば平時からの知財管理によって営業秘密の侵害を最小限度に抑えることができた(不正競争防止法上の保護要件をきちんと整備できたので知財戦略において同業他社に勝てた)とか、愚直にJ-SOXを運用していたことで会計不正発生時に「ミニ第三者委員会」による調査で済むほどに調査範囲が限定された(その結果、期日どおりに監査人から無限定適正意見をもらえた)といった実践効果を積み重ねるほうが、最終的には無形資産の形成につながるのではないでしょうか。

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2023年8月 7日 (月)

国連人権理事会ステートメントを読んで関西万博について考えたこと

すでに皆様ご承知のとおり、ジャニーズ元経営者によるセクハラ被害事件について、国連人権理事会(ビジネスと人権に関する作業部会)の中間報告(作業部会ステートメント)の内容が報じられています(たとえば読売新聞ニュースはこちら)。ただ、正式なステートメントを読んでみたところ、もちろんジャニーズ事務所問題にも触れていますが、これは関西万博の開催についてもかなり影響を持つ文書と受け止めました。ビジネスと人権に関心のある方は、ぜひご一読ください。

建設・物流業界における残業規制(労働時間規制)に関する2024年問題をコンプライアンス経営としてクリアするためには、少なくとも「人権DD(デューデリジェンス)の方針説明、実践、実践報告」と「人権救済の措置(たとえば改正公益通報者保護法に準拠した公益通報対応体制の構築や国際人権救済窓口の周知徹底、裁判外における労働者の人権救済機関の設置)」が元請業者にとっての大前提となるはず。このような対策が不十分なまま(日本の)労働者の人権侵害が発生した場合には、建設事業者以上に、パビリオン建設を委託した海外諸国の担当機関がOECD諸国やNGO団体から多くの批判を受けることが予想されます。しかも第三次、第四次下請事業者で発生した場合でも大きな問題として捉えられる可能性がありそうです。

組織不祥事が発生する原因として「納期のプレッシャー」がよく挙げられますが、まさに日本全体で「納期は守られねばならない」という空気(プレッシャー)が漂うなか、「納期よりも労働者の人権が大切だ」「命輝く未来、というスローガンのもとで、万博開催にあたっては人権よりも大切なものはない」という正論を開催時期の判断に結び付けにくい雰囲気が次第に大きくなっています。それでも国や地方自治体、万博協会等が「開催時期を延ばすことなく、期限どおりにパビリオンを完成させること」を至上命題とするのであれば、上記のとおりの国際的なルールを遵守することと、人権侵害が発生した場合の責任の所在を明確にしておくことが、関係者の理解を得るためにも不可欠と考えます。

「今までも、これでなんとかやり遂げてきた」という日本の過去における成功体験があることは否定しません。しかし過去の成功は多くの日本人・外国人労働者による献身的かつ自己犠牲的な労力によるもの。今回、少なくともこの理屈は海外諸国には通用しないでしょう。なお、上記ステートメントは中間報告であり、最終報告書は2024年6月に国連に提出されるそうです。最終報告においては、すでにパビリオン建設に向かって事業が走り出した頃なので、(ジャニーズ事務所問題と同様に)ぜひ個別の案件へのコメントを掲載してほしいと思います。

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2023年8月 1日 (火)

BM事案-損保ジャパンの調査委員会には社外窓口は設置されないのだろうか

ビッグモーター社の保険金不正請求問題において「馴れ合い」疑惑を持たれている損保ジャパンさんですが、7月26日に「ビッグモーター社による自動車保険金の不正請求への当社の対応を検証することを目的とし、社外弁護士のみによる社外調査委員会を設置」します、とのリリースがありました。さらに、28日にはBM社との保険代理店契約の解消、損害賠償請求の準備に取り掛かることもリリースされました。当社としては「馴れ合い」疑惑を自力で解消するために動き出したと言えそうです。

詐欺罪で刑事告訴や民事賠償請求となれば、第三者によって「損保ジャパンは本当に騙されたのか・・・」という点が厳密に審査されることになります。したがって、裁判の上では相当の覚悟をもってBM社と向き合うことになると思いますが、ひとつ疑問に感じているのが「誰が社外調査委員会の委員なのか」という点が明らかにされていない点です。社外の弁護士が構成員ということですが、設置目的が「不正請求への当社の対応を検証する」とありますので、公明正大な調査であれば委員名を公表すべきではないでしょうか。

昨年11月から今年3月まで私が委員長を務めたアイアールジャパン社の第三者委員会は「マッチポンプ疑惑」の解明が主たる目的でした。損保ジャパンさんと同様、対象会社の利益相反行為の適正性を調査するものなので、社外の顧客や取引先からの情報提供も不可欠と考え、内部通報窓口とは別に、委員会独自の社外通報窓口を設置して、会社のHPからリリースしました(実際、社外からの情報提供があり、真摯に調査をして、報告書を作成しました)。損保ジャパンの関係者がどれほどBM社の不正を認識していたのか・・という点を検証の目的とするのであれば、損保ジャパン内部だけでなくBM社の社員も含めて社外関係者からも(独立した調査委員会に)有力な情報が届く可能性がありますし、そこまで情報提供を求めた上での検証結果を示すことが現在の損保ジャパンには必要ではないかと考えます。

そのためには、まず調査委員会のメンバーが誰であり、どこに情報提供先があるのか、明らかにする必要があります。もう少し先になって通報窓口が設置されるのかもしれませんが「客観性、透明性を確保した調査をします」と公表されているのであれば、社外関係者からの情報提供を促す仕組みを検討する必要がありそうですね。

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2023年7月26日 (水)

関西万博(大阪万博)を前に「ビッグモーター事件」を他人事とは思えないのですが・・・

ビッグモーターの社長さんの記者会見が炎上しています。少し前まで「さすが創業家資産管理会社の100%子会社、黙っていれば逃げ切れるかも」と思っていた方も多いのではないでしょうか。しかし損保大手や国交省・金融庁が動き出したことで、説明責任を果たさざるをえない状況に至りましたね。長い間、孤軍奮闘でビッグモーター社の不正を追い続けてきた東洋経済さん(記者さん?)は、感慨ひとしおではないでしょうか。

同社の調査委員会報告書では社長さんが不正事実について申告を受けながら「工場内の内輪揉めが申告の原因だろう、大げさな話だろう」ということで、調査もせずに現場で問題解決を図らせたということが記載されています。ただ、そうであるならば、本日の記者会見で「私は不正を知らなかった」「報告書を読んで愕然とした」という回答にはならないはず。「ああ、あのとき、甥っ子(従業員)から申告があった不正疑惑は本当だったんだな、調査をしておけばよかったなぁ」が正しい回答ではないでしょうか。

メディアで大きく取り上げられ、誰もが「これはビッグモーター社で起きたこと。そもそもガバナンスも内部統制もしっかりしている他社では起こり得ない」と思っておられるかもしれませんが、いま、大阪万博・関西万博を目の前にして、多くの会社がビッグモーターのようになりそうな予感がします。

ともかく関西万博を期限通りに開催することが「日本の至上命題」といった空気が蔓延しています。そのような空気が漂う中で、資源、人件費の高騰もさることながら、2024年問題を控えて、どうやって人権侵害を防止しながら工期を間に合わせるのでしょうか。国連の人権理事会がヒアリングのために来日していますが、これだけ「ビジネスと人権」が厳しく問われている中で、労働者の人権侵害が発生したら、経営者は「私は知らなかった」「そのような事案が発生したということで愕然としている」では済まないはず。現に、先日、カナダの政府代表から「日本は万博開催のためには働き方改革の例外は認めてくれるのか」という打診がありましたよね。パビリオン建設を真剣に検討している国だからこそ、ビジネスと人権への配慮を日本に求めるのは当然です(例えば読売新聞ニュースはこちらです)。

私は関西万博推進派ですが、もし労働者の人権侵害(年次有給休暇、時間外労働規制、賃金差別規制)のおそれがある場合には、延期になってもやむを得ないと考えています。「なんとしてでも工期に間に合わせたい、という従業員の心意気で、彼らは自主的に休暇返上で頑張ってくれた!」は通らないはずです。ここまでSDGsの意識が世界的に高まっている経営環境を認識しつつ、労働者の人権侵害を黙認するような経営者の物言いを許すとすれば、それはもはやビックモーター社の社長さんと同様です。また、万博開催用地には南北から道路が一本しかないので、そもそも突貫工事をやろうと思っても渋滞のために物理的に困難のようにも思われます(この点について関係者の皆様はどのように対処されるのでしょうか)。

現場では違法行為(人権侵害)が平然と行われているにもかかわらず、「納期は間に合わせなければならない」というプレッシャーのために、SDGsのバッチを誇らしげに付けている関係者全員が「人権侵害について見て見ぬふり」をするような企業にだけは成り下がってはいけないと強く警鐘を鳴らしたい。関西万博は、これに関わる企業の品格が問われるものと考えます。

 

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2023年7月18日 (火)

東証・不祥事予防のプリンシプルとビッグモーター事案への対応

(7月18日午後 更新)

ずいぶんと前から東洋経済さんが報じていたビッグモーター社(BM社)の自動車保険不正請求事件ですが、ここへきてマスコミ各社が報じるようになりました。外部へ公表されていない調査委員会報告書の中身もちらほら報じられています。たとえば7月17日の時事通信ニュースによると

中古車販売大手ビッグモーター(東京)が事故車両の修理による収益として工場に1台当たり14万円前後のノルマを課していたことが17日、分かった。作業は多くの未経験者や見よう見まねで働く外国人が担っていたことも判明。

とのことで、かなり戦慄を覚える内容です。しかしBM社自身は非上場会社ということで調査報告書も公表せず、記者会見もなしとの経営判断のようです。BM社はあいかわらずラジオCM等は元気に流しており、コアな顧客の皆様にとってはあまり影響はないのかもしれません。

ところで私として興味を持つのはBM社に保険契約の代理を依頼したり、修理を依頼している大手損保の動向です。SOMPOホールディングス社をはじめ、東京海上HD社や三井住友海上の親会社であるMS&AD社などは、東証の企業不祥事予防のプリンシプル(2018年2月公表)に沿った行動は意識されているのでしょうか。プリンシプルの原則6は

業務委託先や仕入れ先・販売先などで問題が発生した場合においても、サプライチェーンにおける当事者としての役割を意識し、それに見合った責務を果たすよう努める

とあります。BM社が非上場会社であり、保険契約者がどれほどの損失を受けたのか公表もされないとなれば、BM社に代わってサプライチェーンのトップである各損保会社(またはその上場親会社)が保険契約者に真相を説明することこそ「それに見合った責務」となるのではないでしょうか。また、再発防止策が確実に実施されるかどうか、その監視の役割も果たすことで不祥事の予防を図ることも必要かと。

大手損保会社はBM社に対して更なる調査を求める、ということのようですが、この不祥事予防のプリンシプルを意識した対応となるのか、それとも各社の責任回避に向けたリスクマネジメントとしての対応にとどまるのか、かなり注目をしておきたいと思います。

なお、本日(7月18日)の各種報道によるとBM社の社長さんが報酬1年間分を返上する方針であること、さらに国交省が「道路運送車両法違反の事実があるかどうか、今後ヒアリングを行う」(大臣会見)ことが報じられています。いずれにせよ事実関係が明らかにならなければ解決にはならないわけでして、個人の責任問題よりも、組織の構造的な不備について光をあててほしいですね。

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