世間が大目に見てくれそうな企業不祥事3選
令和7年改正公益通報者保護法が運用された際、通報妨害行為の禁止とか通報者探索禁止とか、さらには通報者情報の範囲外共有禁止等、通報者保護の徹底に向けた事業者への行動規範がうまく機能するかどうか、真剣に考えてみると、かなりグレーゾーン領域が想定されるように思います。事業者が通報対象事実の調査を熱心に行えば行うほど、こういったグレーゾーンに直面するケースが出てくるのではないでしょうか。
そんなことを考えると、世間には「企業不祥事」と評価できそうな行動でも、もろもろの事情で世間が大目に見てくれそうなものが存在するようにも思えます。もちろん以下で述べるところは主観的な考えなので、「いや、違うだろ!」との意見もあるかもしれませんが・・・
①サイバー攻撃を受けた企業の労基法違反:システムが停止すると「手作業」で再開まで頑張るしかしかたがないのですが、その場合、当該事業者だけでなく協力を要請される取引先も「昭和時代の手作業」で対応するしかないのですが、そうなると法令順守も昭和時代のコンプライアンスに戻りそうです。平時なら明らかな労基法違反であっても、(善い悪いは別として)世間も事業の復旧のためにはやむを得ない・・・といった気分になるのでは?サイバー攻撃を受けた企業は「被害者」という意識が世間にはありますね。
②会計不正事件が発生した企業の社外取締役・社外監査役の責任:もちろん会計不正事件自体は社会的信用を失墜させてしまうわけですが、「ガバナンス不全」とか言われながら、誰も社外役員の責任を問わない(たまに代表訴訟を提起されることはありますが)。企業統治改革の進む時代背景はありますが、世間は昔と同様、社外役員はお客さんというイメージが強く残っているからでしょうか。
③中小株式会社の会社法違反:会社法上の大会社の要件を満たしているのに会計監査人を設置していない、定時株主総会を年1回開催しなければいけないのに開催せずに書類だけ作って法務局に提出している(みなし決議のプロセスも経ていない)、会社法公告もしていない、という実務。全国に250万もの株式会社が存在するわけですから、まあいいか、といった風潮はそのまま放置していてよいのでしょうか。会社法の改正において、誰も罰則規定の改定を言い出さないのはなぜでしょうか。
ほかにも救済色の強いM&Aにおける独禁法違反(企業結合規制違反)や金商法上の開示規制違反、環境関連法の規制違反等にも見受けられるようにも思うのですが、法令違反の疑惑を、疑惑のままに放置していても、それほど世間から文句をいわれない(したがって、行政もコスパの観点から厳しい姿勢で臨まない)不祥事が存在することは現実です。所詮、企業不祥事は社会が作り上げるところがありますので、企業の危機対応を支援する立場としては、ひごろからどのような準備をしておけば、不幸にして不祥事が表面化してもレピュテーションリスクを顕在化させずに済むか、検討しておきたいところです。

