2021年9月22日 (水)

顔認証カメラの防犯活用はコンプライアンス違反か?

今朝(9月21日)の読売新聞社会面の記事を読んだとき「これ、JR東日本のコンプライアンス経営の視点から大丈夫なのかな?」と疑問視しておりましたところ、やはり夜の読売新聞ニュースで「出所者の顔認知、JR東が取りやめ-社会の合意形成不十分、と方針転換」なる記事が出ておりました(朝日新聞ニュースでも報じられています)。賛否両論ではありますが、「読売新聞の報道を契機に」ということで、JR東経営陣の素早い対応はさすがです。

朝日新聞の記事内容も含めて申し上げますと、JR東日本は今年7月から「顔認証機能付き防犯カメラ」の作動を開始して、その利用目的も明示していたところ、検知対象者(誰の顔を認証するのか?)については明示していなかったそうです。その検知対象者に「過去にJR東の駅構内で重大犯罪を犯して服役した人(出所はや仮出所者)を含んでいる、ということで、これは不当なプライバシー侵害あるいは不合理な差別に該当するのではないか、といった問題が今朝の読売新聞で提起されました。なお読売新聞の記事ではJR東関係者からの情報提供によるものだそうです(社内でも問題視していた方がおられたのでしょうね)。

JR東は個人情報保護委員会に相談をしながら顔認証システムの設置に踏み切ったそうなので、おそらく国内法(個人情報保護法)に関する法令違反はないと思います。しかしながら「読売新聞の報道内容および外部有識者の意見を参考に、いまだ社会的な合意形成が十分でないと判断したのでとりあえず延期する」とのこと。まさ社会の要請への適切な対応をとる、という意味でコンプライアンス上の経営判断です。

EUのGDPRでは、顔特徴データについては「特別な種類の個人データ」として本人の同意がない限り取り扱いを禁じていること、英国では犯罪多発地域での顔認証データの取り扱いについて「対象が不明確」として違法とする判決が出ていること、米国でも複数の州で顔認証カメラ規制法が成立していること、そしてなによりも「AIと人権」という近時のビジネス上の人権配慮の社会的風潮等から、おそらく日本でも「緊急性」と「最小限度の人権侵害行為」という2点から顔認証カメラの利用に関する法規制が必要、というところが現時点での最大公約数的な意見なのかもしれません。

そういえば6~7年前にJR西日本でも「梅田駅前歩道橋の歩行者顔認証システム」が「きしょく悪い~」ということでいったん中止となりました。たとえ法令違反はなくても社会的な批判を受けることはビジネス上のハンデを背負うことになりかねず、とりあえずレピュテーションリスクを回避する、ということだったと記憶しています。あの問題よりも今回のほうが悩ましいです。最近は「職場におけるワクチン接種の強制問題」も悩ましいですが、「ビジネスと人権」を取り巻く問題は、単純な「法令順守」では割り切れないところでして、本当にむずかしい経営判断が要求されます。

もちろん、「被害者の人権保護」も尊重する必要がありますし、犯罪抑止の視点からは服役を終えた人の顔認証データを例外的に取り扱うことへの合理性も認められるように思います。そのような意味では今朝の読売新聞の記事は有識者の見解を賛否両論取り上げていて、かなり公正なものだったようにも思いますが、それにしても(コンプライアンス問題を取り上げて大企業の経営判断を一瞬で変えてしまう)内部告発(JR東関係者からの情報提供)の威力はスゴイと感じました。

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2021年9月 7日 (火)

上場会社には競争法関連に強いCLO(法務担当責任役員)が必要な時代になったと思う

9月6日の日経朝刊(法税務面)では「米贈賄規制に高まる警戒 バイデン政権が摘発再開、各国でリスク-企業、内部統制強める」と題する記事が掲載されていました。DOJが7月に「腐敗防止に関するメモランダム」を公表し、腐敗防止を国家安全保障の中核的な問題と捉えたことから、今後のFCPA執行の厳格化が予想されることが示されています(現に執行事案も出てきた、とのこと)。

記事の中で、米国のFCPA事案に詳しい北島先生が「(海外での贈賄問題を防ぐ方法として)中長期でプロフェッショナルな法務人材を育成することが大事だ」と述べていますが、私もまったく同感です。これだけSDGsや「ビジネスと人権」に関する課題への関心が高まるなかで、カルテルも、営業秘密侵害も、マネロンも、海外腐敗防止もすべて「法の支配」を阻害することへの加担行為と指摘されるようになりましたので、競争法への企業対応は重大な経営課題です。私は(せめてGAFAの100分の1程度の規模でも良いので)日本企業にもCLO(チーフリーガルオフィサー)の選任も検討されてよいのではないかと思っております(マネロンでも腐敗防止でも「日本は劣等生」と世界では烙印を押されていますので、日本企業がピンポイントで摘発されても不思議はないわけです)。

なぜそのように申し上げるかというと、とりわけ不正競争防止法関連(海外贈賄、営業秘密保護、品質偽装防止等)は「自分の身は自分で守らないと、誰も守ってくれない」からです。法違反への法的効果は(日本の場合)刑事罰か民事訴訟だけであり、行政処分は規律が存在しないのです。また海外の不正競争防止法関連でも、司法ではなく行政と闘うのが通例であり(米国では司法取引はDOJとの間で交渉)裁判所の後見的機能には期待できません。競争法対応で躓きますと、そもそもビジネスの競争の舞台にすら上れないことになります。つまり多額の法対応資源を活用することがビジネスの推進に欠かせないからであります。

そもそも日本は「贈賄天国」です。おそらく「贈賄によって相手国の法体系を崩して侵略を図ろう」といった侵略行為を経験したことがないからだと思われます。国連の腐敗防止条約に署名したのは2003年ですが、これを承認したのは2017年です。それもOECDから「もっと熱心に腐敗を摘発せよ」と言われてようやく重い腰を上げたところです。つまり政治家も官僚もマスコミも誰も贈賄が人権侵害につながるという理屈を紹介してくれないため、「ファシリテーションペイメントはあたりまえ」と思っておられる企業が多いのです。先日の総務省幹部への接待問題すら、もはや報道されなくなったことが何よりの証拠です。

また、コンプライアンス・プログラムの実践にしても、マニュアルどおりにやっておけば足りると考えている企業がほとんどかと思います。しかしプログラムの実践がいざという時に効果を上げるためには、どのような目的のためにコンプライアンス・プログラムを実践するのか、そのストーリーが明確に示されていなければ捜査当局には共感されません(発展途上国の人権保護のため?テロを防止するため?犯罪収益の移転を阻止するため?相手国の法の支配を実現して経済安保を実現するため?あるいは海外政府の権力の一部を代替行使して民主国家の支援を行うため?等)。このストーリー作りは、小手先でうまくいくわけがなく、中長期の戦略として実践する必要があります。

私のようなマチ弁は、悔しいですが海外政府との交渉をまとめるようなスキルはありません。しかしカルテルやFCPAの摘発で苦しんでいる法務担当者と社長さんとの「10年以上に及ぶ二人三脚」での対応を近くでみておりまして、もう少し(法務にお金をかけて)予防に力を入れるべきではないかと痛感しております。このような物言いは同業者の方から怒られるかもしれませんが、GAFAがやっているように、大手法律事務所の著名パートナーを高額報酬で引き抜いて「副社長クラス」として法務チームを率いてもらうくらいの会社が出てきてもおかしくないと思っております。

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2021年8月25日 (水)

不祥事企業を救うコンプライアンス行動指針のススメ

少し前になりますが、8月19日の日経朝刊2面に「原発不祥事 再稼働阻む-敦賀2号機、データ書き換え」なる見出し記事が掲載されています。同記事によれば、再稼働を目指している日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機の地質データ書き換え問題で、原子力規制委員会は再稼働に向けた安全審査の中断を決めたそうです。東電柏崎原発の不祥事も重なり、脱炭素社会に向けたエネルギー政策の行方を左右する原子力発電が、委員会の信頼を得られないことでピンチに立たされています。

詳しいデータの説明は省略しますが、規制委員会側は原電に「改ざんがあった」と指摘していますが、原電側は「記載を充実させるための上書きであり改ざんにはあたらない」と反論しています。また、同日の朝日新聞記事(8月19日朝刊3面)では「書きかけは現場の判断であり、現場には書き換えてはいけない、という認識はなかった」と反論しているそうです。過去に自分が関わった案件でも似たようなケースがありまして、「品質偽装」なのか、現場の品質管理部門による「テスト結果の補正」なのかが相当揉めたことがありました。

活字になってしまうと「改ざん」「ねつ造」「やらせ」「偽装」「粉飾」といった犯罪を想起させる単語になってしまいますが、不正が起きたとされる現場では「記載の充実」「数値の補正」「許容された演出」「おもてなし(メニュー偽装の事件)」「未修正の誤謬」など、違法性の認識なく現場社員が事業を継続しているケースが散見されます。ただ、不正調査案件に関わる私たちからすれば、違法ではないと現場社員が思いこむように、上司から指導を受けていることもあり、真実を知ることはとてもむずかしい。

ただ、最近は「法令遵守」を超えて「コンダクトリスク」への対応が、誠実な企業に求められる時代となりました。そもそも「改ざん」や「やらせ」が疑われる行動自体、企業として何らの対処も行っていないとすれば、その姿勢は強く批判されてもしかたがないと考えています。不正リスク管理に熱心な企業の場合、このように改ざんや偽装等が疑われかねないケースを想定して、現場における行動指針を策定しています。「疑わしい行動」が現場で認められた場合、当該指針に沿って対応することで、「故意による不正行為」と認定されるリスクを低減する、というものです。上記原子力規制委員会の反応にも如実に現われていますが、故意による不正行為と過失による不正行為とでは、規制当局との信頼関係の破綻という意味では大きく異なります。

某自動車部品会社では、海外でのカルテル防止のため、価格カルテルや環境カルテルなど、カルテルの疑いが生じた現場に立ち会ってしまった現地社員は、すぐに事実を記録しておいて、日本の本社法務部に相談する、ということを励行しています。もし海外当局から疑われたとしても、こういった記録や行動が身を守ることにつながる可能性もあるでしょう。

自分たちは企業行動規範に反するような商売はしない、と宣言しているのであれば、疑惑のある行動自体も品位を害する行為に該当するおそれがあります。上記敦賀2号機の件でも、現場におけるデータ書き換え行為を堂々と「記載の充実であった」と反論するのであれば、何が記載の充実で、何が改ざんにあたるのか、自社のリスクをきちんと把握しておいて、行動指針を策定しておくべきだったと考えます(当初は原電に「指針」があったのではないか?だから堂々と反論しているのではないか?とも思いましたが、上記朝日新聞の記事を読んで「現場は知らなかった」とあるので、指針は存在しなかったものと推察いたしました)。

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2021年8月19日 (木)

三菱電機検査不正事件-社内リニエンシー制度は機能するか?

三菱電機検査不正事件をうけて、拙ブログでは「性能偽装事件-三菱電機は社内プロベーション制度を導入すべきである」と題するエントリーを7月1日に書きました。三菱電機社内でも同様のことは検討されていたようで(厳密にはプロベーション制度ではありませんが)、未だ検査不正が行われている部門において自主申告をすれば懲戒の対象にしないという、いわゆる「社内リニエンシー制度」を導入したそうです(7月14日のYahooニュースはこちら)。モラルハザードを惹起させるという理由で反対意見も多いのですが、私は「組織における構造上の不備」を見出すためにも、こういった処分猶予は最善の策ではないかと考えております。もちろん、三菱電機内において、果たして社内リニエンシー制度が機能しているのかどうか、私自身は関心を寄せておりました。

本日も各紙で新たな検査不正事案が報道されていますが(たとえば毎日新聞ニュース)、こういった不正事案は社内リニエンシー制度が奏功したものなのでしょうか?発覚端緒に関する報道がないので断定はできませんが、そろそろ自主申告による検査不正事例が、いくつか発覚するのではないかと予測しております。発覚当初の記者会見では「長崎製造所が」といった説明を繰り返しておられたので、縦割り組織の弊害が不正の真因であるかのような印象を持ちましたが、今回は四国の製作所で25年にわたって検査不正が続いていたということなので、やはり全社的な組織風土に真因があると思料されるからであります。

ところで、昨日(8月17日)の日経X-TECHの記事「品質不正の陰に『枯れた製品』-経営者が大胆な決断を」は、品質不正事件の根本原因に迫るものとして、かなり秀逸な記事でした。ノルマに対するストレス、納期を守るためのプレッシャー、順法精神の欠如等がしばしば理由に掲げられますが、上記記事は少し視点が異なります。品質不正に走ってしまった企業の同業他社に対して「いまこそ、顧客を奪うチャンスでは?」と取材したところ、同業他社は「あのような利幅の薄い製品はいらない(ウチでは作らない)」と言われた、とのこと。昔はドル箱商品だったものも、諸事情によって「枯れた製品」になってしまい、だからこそ(出荷先との間で)取引条件の改善交渉もせずにズルズルと検査不正を続けていたことに大きな問題がある、という見立ては「なるほど」と思いました(私の見立てとは若干異なりますが、部門間における力学的バランスの崩壊に目を向けている点は斬新です)。

ただ、だからといって日本の大手メーカーにおいて、今まで何十年も成長を支えてきた部門を「資本の最適配分」「非効率な事業はいらない」という理由で簡単に切り捨てることはできないでしょう。上記日経記事風にいえば「枯れた製品はもう作らない」といった決断を大胆に実行できる企業はあるのでしょうか(私はなかなか実行できないように推察いたします)。

また、逆からみても、経営者を外から連れてくるのではなく、社内のマネジメント上がりの人から選ぶ「社長人事システム」の中で、「枯れた製品はもう作らない」と社内外に宣言し、これを実行できる人は、そもそも組織の論理として社長になれないのではないかと。とりわけ4年くらいで交代する上場会社の社長さんであれば、出荷先との取引条件の見直し交渉を行ったことで「日銭が入る」部門の取引を縮小させてしまうリスクは背負いたくないでしょうし、先輩方が作り上げてきた部門を簡単に切り離すということはむずかしいように思えます。さらに「こういったときこそ社外取締役の活躍が必要」と言われるかもしれませんが、(意見としては言えても)執行部を実行させるだけの力をもった社外取締役など皆無でしょう。

日本企業特有の労働慣行・人事慣行が変わらなければ「品質不正事案」はどこの企業からもなくならないように思います。やはりコンプライアンス経営は「いかにして不正を予防すべきか」よりも「いかにして不正を早期に発見すべきか」に注力するほうが現実的です。ぜひ、このたびの三菱電機検査不正事件が報じられるなかで、どれくらい社内リニエンシー制度が機能したのか、明らかにしていただきたいところです。

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2021年7月12日 (月)

ガバナンス改革で品質不正は間違いなく急増する(日経ものづくり調査より)

三菱電機の事件をきっかけとした記事だと思いますが、7月9日、日経ものづくり調査アンケートの結果が日経ニュース(会員記事)に掲載されました。アンケート回答企業641社の中で、なんと256社が「うちの会社もしくは取引先」の品質不正を見聞きしている、と回答しています(さらに641社のうち1割程度の回答では「当該不正はいまだ発覚していない」とのこと)。「自社もしくは取引先の品質不正」とありますので、4割の会社で発生しているとまでは言えませんが、相当多くのメーカーで品質不正が常態化していることがわかります。

「日本の製造業の高い品質」は本当に誇れるものですが、一方でこれほど多くの企業において品質不正が日常茶飯事になっていることも「負の一面」として直視する必要があります。当ブログで過去に何度も申し上げているとおり、これは当然の数値です。製品が販売される地域においては明らかに過剰な要求仕様であるにもかかわらず、納品先に何もモノが言えない、納品先企業の購買担当者も(うすうす不正に気付きながら)サプライチェーンの製品化スピードを下げるようなクレームはつけない、コストに見合う品質改良をしようにも人的資源が存在しない、ということから、「安全性に問題がないかぎり、要求仕様を満たしていなくても問題はない」「社内ルールには反しているが、違法行為ではない」といった「自己正当化」が横行してしまいます。

そして、7月6日のエントリーでも申し上げましたが、企業統治改革が深化すればするほど、日本企業とりわけメーカーでは品質不正が急増するはずです。まず一つが「社外取締役の増加」との関係です。私が過去に対応した事案でも、社外取締役が自社の不正に真摯に立ち向かう姿勢を示すケースはとても増えています(マスコミでは「役に立たない社外役員」ばかりがおもしろおかしく取り上げられていますが、現実には社内役員と対決することのほうが圧倒的に多いです)。品質不正の事実を知った社外取締役は、これを糾弾し、是正を促します。さすがに複数の社外取締役から「過去からの決別」を促されると対応せざるを得ません。したがって品質不正は是正されるわけです。

しかし、是正はされますが、過去の5年、10年の不正については顧客にも、監督官庁にも、ましてや消費者にも開示しません。社外取締役も含めて「過去には安全性に問題のある事件が発生したわけではないし、これからは要求仕様どおりの製品を納品するのだから、是正さえきちんとすれば(過去の問題について)報告や開示までは必要ないではないか」といった空気が取締役会に漂います。私がダスキン事件を例に挙げて「過去の不正についても開示が必要」との意見書を出しても、さらに内部通報や内部告発のリスクを示唆したとしても、ほとんど役員会では通りません。そのときに挙げられる理由が「社外取締役も納得しているから」というもの。社外取締役が増えることによって、この「お墨付き効果」が上がるわけです。つまり現場における品質不正は減るかもしれませんが、組織ぐるみの品質不正(過去の不正の隠ぺい)は増えると考えます。

※なお、社外取締役が増えるとレピュテーションリスクを顕在化させるような重大な不祥事が増える、という実例もありますが、長くなりますので、本日は割愛いたします。

つぎに、すでに7月6日のエントリーでも述べましたが「攻めのガバナンス」が重宝されれば、事業における選択と集中が社内で促進されます。上記日経ものづくり調査結果からも明らかなとおり、ただでさえ既存事業の技術者が新事業の研究開発に振り分けられている中で、既存事業の品質見直し(故障率の低さ、歩留まり率の向上)に向けて割くべき人的資源は不足しています。したがって、コストを下げるために要求仕様を見直すことに関する(取引先との)協議など到底できないのであり、その結果として「切り捨て事業」の対象となることを避けるためには(現場では)品質不正に走るしかないわけです。

その結果、「誰にも迷惑をかけてないし、そもそもどこが悪いの?」といった感覚が事業部門やグループ会社に浸透します。「こうやって世間から騒がれて『不正』と言われれば『不正』かもしれないけど・・・」といった感覚です。企業統治改革の一環として経産省からは「事業再編実務指針」や「グループガバナンス実務指針」が出されているわけですが、資源の最適配分を促すこれらの指針が日本企業の現場感覚と大きなズレを生じさせてしまうわけですから、品質不正に拍車をかけるのは当然の結果となります。

こういった問題への打開策を私は3つほど講演等で提言しておりますが、その内容についてはまた別の機会に申し上げたいと思います。なお、先に述べた

「過去には安全性に問題のある事件が発生したわけではないし、これからは要求仕様どおりの製品を納品するのだから、是正さえきちんとすれば報告や開示までは必要ないではないか」

といった考え方について、御社では平時に取締役会で議論をしておいたほうが良いと思います。有事のために、ひとりひとりの取締役の考え方を述べてもらうべきです。

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2021年7月 6日 (火)

三菱電機性能偽装事件-機関投資家は「オオカミ少年」はお好きでしょうか?

ブログを熱心に更新するようになったため、三菱電機の件についてメディアの方から取材を受ける機会も増えてきました。その際、これまで社内調査が何回も行われていたにもかかわらず、なぜ今回の空調機器の性能偽装を発見できなかったのか(どう思いますか)といった質問を受けます。しかし、これは難問です。

一般論として、たとえば株主(機関投資家)の方は「オオカミ少年的社内監査」を歓迎しますでしょうか?つまり、「社内の不正は絶対に見逃さない」という思想で、たとえ不正事実が見つからない場合があったとしても「不正あり!」と声を上げて調査を行い、不正は100%発見する会社を希望しますか?その代わり副作用として「ガセネタ」も多くなりますので、監査の失敗が表面化して社内外が混乱することで株価が下落する可能性はあります。「お騒がせ監査役さん」などと揶揄されることもあります。

一方「社内外を騒がせないように、本当に不正の確信がある場合のみ声をあげよ」という思想で、つまり、たとえ不正を見逃すことはあっても、不正が明らかな場合にのみ(現場に迷惑をかけない範囲において)監査部門は摘発せよ、との方針の会社があります。事業部門と監査部門との力の差が大きい会社ではこのような傾向があると思いますが、その副作用として不正が長年放置された後で、突然大きな不祥事となって発覚する、その結果、ステークホルダーの信頼を失う可能性が生じます。

よく「二つの要請をいかに調和させるかがポイント」などと書かれたマニュアル本がありますが、現実的には(私の経験に基づくものですが)「調和を図る」ことは困難であり、オオカミ少年を称賛する経営者がいるかいないか、という点で分かれると思います。「調和させる」ことが可能であるとすれば、オオカミ少年の監査部門を許容したうえで、なんども失敗を重ねて、不正の兆候をいかに効率的に見つけることができるようになるか、その訓練によるスキルアップに期待するくらいではないでしょうか。

ところで企業統治改革が進み、2019年のグループガバナンス(システム)実務指針、2020年の事業再編実務指針、社外取締役の在り方に関する実務指針などに基づき、さかんに「事業ポートフォリオの再編」が促され、どこの企業グループにおいても「資本の最適配分」が金科玉条のごとく経営者に求められています。ということは、事業部門の強い企業であればどこでも「会社よりもわが事業部の存続」ということが関心事となりますので、今後は三菱電機のような性能偽装、品質偽装事件は(どこの上場会社でも)当然に増えるはずです。「攻めのガバナンス」が強調される以上、その代償として「守りのガバナンス」に支障を来すことはやむをえないでしょう。

そうであるならば、私個人の意見としては「オオカミ少年を許容する組織風土」が(株主保護のために)求められるべきではないかと思っております(日本の企業ではかなりむずかしいですが・・・)。

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2021年7月 1日 (木)

性能偽装事件-三菱電機は社内プロベーション制度を導入すべきである

(7月1日午前 花輪さんから有益なコメントをいただきましたので、たいへん参考になるご意見として追記させていただきました。ありがとうございます)

昨日も取り上げた三菱電機の性能偽装事件ですが、本日(6月30日)、三菱電機HPに性能偽装事件の概要が公表されていましたので閲覧いたしました。鉄道車両向け空調設備の出荷にあたり、実際には試験を実施していないのに、自動的に数値を偽装するプログラムを作成していたことや、車両のブレーキや扉の開閉に使う「空気圧縮機」でも不正検査が判明したことなど、新たに判明しているそうで、不正の原因はかなり根の深いもののようです。

ところで三菱電機の対応でひとつ気になるのが「安全性に問題はない」という釈明です。これは少し論点がずれています。同じ不正競争防止法違反行為であったとしても、国の安全基準を(満たしていないにもかかわらず)満たしているかのような表示をしている場合には「安全性は確認されている」という釈明も成り立ちます。しかし、三菱電機の場合は取引先から要求されている仕様を満たしていないのに満たしているかのような表示をしているわけですから「まじめに仕様を満たす検査をしている同業他社との公正な競争が害されたこと」が重大な問題です。したがって釈明するのであれば「我々の性能偽装によって同業他社との公正な競争が害されていないことを確認した」ということを合理的な理由によって開示すべきです。かりに「安全性」を釈明として持ち出したとしても、本件では最終利用者の「安心」には何ら結び付きません。

そして、本日報道されているところによると、三菱電機は外部弁護士による第三者委員会によって原因究明を図る、ということのようです。しかし(昨日述べた通り)これだけ多くの性能偽装事案が社内で見つかるのですから、時間的な制約のある第三者委員会では件外不正も、そして根本原因も解明することは困難であり、最低2年程度は調査を継続する外部有識者による再生委員会を社内に設置する必要があると考えます。そして、その再生委員会を有効に機能させるために、社内にプロベーション制度を導入することを提言いたします。

ちなみにプロベーション(英: Probation)とは、アメリカ法の用語であり、有罪の宣告を受けた者に直ちに刑罰の言渡しをせずに、一定の地域から離れることを禁ずるなどの何らかの制約を課しつつ、一定期間、公的機関(probation officer プロベーション・オフィサー)の観察の下に置くことをいいます。法人に対する措置としても、法人を一定期間保護観察処分として、その期間中の動向や社会的な信用の毀損状況等によって処分の猶予を決定する、とういうものです。

たとえば取締役や執行役員が担当する部門において、当該取締役や執行役員の責任において徹底的に性能偽装案件の調査を行い、その結果として不正が判明してすべて報告された場合には社内における責任は問わない(たとえ問うとしても厳罰は適用しない)。ただし、不正の申告をせず、その後内部通報等によって新たに性能偽装が発覚した場合には取締役や執行役員は退任をしなければならない、というルールを導入します。

当該ルールが適正に運用されているかどうかは、外部有識者によって構成される再生委員会がチェックをして適時適切に開示する、というものです。誠意をもって調査結果を申告すればペナルティを問われない・・・というのは一見するとモラルハザードのようにも思えますが、これまでの三菱電機の度重なる不祥事の発覚からすれば、まずは個人責任よりも組織の構造的な欠陥に着目する、つまり組織としての自浄作用を発揮することに光をあてるべきです。

昨日も申し上げましたが、三菱電機としては、もはや自社のリスクマネジメントとしての対応に固執することなく、業界全体の信用回復のための行動まで「自身の意思で」断行することが「日本を代表する名門企業としての矜持」として要請されていると考えます。

(7月1日午前:追記)

以下は花輪さんからいただいたコメントです。たしかに論点がひとつ欠けていたと思いましたので、追記させていただきます。

いつも興味深く拝見し、いろいろな点で勉強させていただいております。さて、本件は2017年に発覚したN社の検査偽装に続く、K社やM社グループの品質偽装に類似し、顧客要求検査を勝手に省略するものと思われます。従って、論点を一点追加する必要があると感じます。

当時、K社やM社の件は、こちらのブログでも頻繁に取り上げておりましたし、世の中でも騒いでおりましたので、各種業界でも自己調査を行いました。私も、同業の監査部員として自社グループの再確認を2018年に実施いたしました。それが当たり前だったと記憶しております。つまり、今回の当該社も同様に、2018年頃に自社内の調査したがどうかが、当該社の組織体質を問う論点になりうると思います。していたとしたら、見つからなかった理由。していなかったら、しなかった理由。

品質偽装が関係する組織は、ISO9000の自己監査と定期監査を受けますが、それらは会計監査のような精度ではありませんので、しっかりと設計したうえで監査をしないと見つからないかもしれません。この点からも、山口先生が常にコメントしているように、内部通報を活発化することが早道かもしれません。

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2021年6月30日 (水)

三菱電機の性能偽装(不正検査)事件はかなり罪深い(と思う)

6月30日の深夜に各メディアが報じた三菱電機の性能偽装(不正検査)事件。毎日新聞ニュースによりますと、「三菱電機が鉄道車両向け空調機器の製造過程で、長年にわたって出荷前に必要な検査を怠ったり架空のデータを記入したりしていたことが関係者への取材で判明。不正な検査は35年以上前から繰り返されていたとみられる。同社は『安全性に問題はない』としているが、詳しい社内調査や顧客への説明に着手した。」とのこと。

6月17日の日経朝刊に沢井製薬の社長さんのインタビュー記事が掲載されており、「小林化工の品質偽装によってジェネリックの信頼が大きく毀損された。時間を要することになるが、これから業界挙げて後発薬の信頼の回復に努めていきたい」と述べておられました。

三菱電機では、今年2月の自動車業界への性能偽装事件に続いて、今度は鉄道業界への性能偽装事件の発覚ということで、おそらく大きな不祥事に発展するものと思われます。ただ、三菱電機の偽装事件でもっとも罪深いのは(上記インタビュー記事と同様)「おそらく他の電機メーカーでも似たようなことをやっている」という業界全体の信用問題に発展することです。名門企業であるがゆえに、おそらく今回の性能偽装は「日本企業はどこでも性能偽装をやっている」という印象を世界に広げてしまうことになると思います。業界挙げて信用回復に努める必要があるという事態はとてもマズい。

こちらの記事が三菱電機の過去の不祥事をまとめていますが、それにしても同じ会社でなぜこんなに不祥事が次から次へと発覚するのでしょうか。おそらく組織としての根本原因があると私は確信します。普通の第三者委員会のようなものではなく、2年間程度の時間をかけて外部有識者で構成する「ガバナンス改善委員会」による調査と改善策の実践・検証(最終的には活動報告書の開示)は不可欠ではないでしょうか。会社法上の「社外取締役」ではなく、業務執行にまで手を突っ込める「非常勤社外取締役」(たとえば法律参与)を導入することも検討すべきです。今回の性能偽装事件の詳細が明らかになった時点でまたコメントをしたいと思います。

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2021年6月 8日 (火)

トヨタ自動車パワハラ事件にみる「ビジネスと人権:行動計画」の重要性

6月8日10:45 最終更新

第三者委員会の業務もあと2週間、ということで、まだ時間的な制約がある中、本日も短めのエントリーで失礼します。今朝(6月7日)の朝日・毎日新聞の1面記事で「男性社員の自殺 パワハラが原因と認定 トヨタ社長が謝罪 遺族と和解」とありましたが、トヨタ自動車の社長さんが(和解の席で因果関係を認めたうえで)上司のパワハラで自死された社員のご遺族に(2度にわたって)パワハラ事件の再発防止策を説明されたそうです。

お恥ずかしい話ですが、企業側のパワハラ調査を担当する者として、大きな企業の社長直々にご遺族との面談に出向き、陳謝をして再発防止策を誓うというのは経験したことがないので、この報道にはたいへん驚きました。政府の「ビジネスと人権に関する行動計画」(令和2年10月)ではハラスメント対策が重点項目とされていますし、ガバナンスコード改訂2021版でも「人権尊重」が補充原則の中に盛り込まれることになりますので、パワハラ撲滅は企業のリスクマネジメントにおいて優先順位が上がってきたことは間違いないと思います。

少し話は違いますが、5月28日の朝日新聞朝刊(東京版10面)に「投資信託保有者2万人アンケート」の結果として、ESG経営に対する投資家の意識が示されていましたが、50代~70代の投資家が「環境問題の改善、再生エネルギーの普及に取り組む企業」を投資対象とする、という回答が圧倒的に多かったのに対して、20代~30代の投資家は「貧困・飢餓問題、教育格差の是正、ジェンダーフリー、女性活躍推進に取り組む企業」を投資対象とする、という回答が圧倒的に多かったことに関心が向きました。若い方はESGの「S」に関心が高いことが示されています。ハラスメント問題への世代間ギャップは、経営層にとって要注意です。

パワハラを生む企業風土を変えるための一番の特効薬は、やはり社員に共感されるストーリーです。トヨタ自動車のトップ自ら和解の場に出向き、再発防止を誓う、というのは大きな「ストーリー」になりうるものかもしれません。トヨタ自動車の上記記事では、多くの社員が「見て見ぬふり」だったことが報じられていますが、ストーリーによって変えなければならないのは(パワハラ行為そのものよりも)「見て見ぬふり」に徹する多くの社員の意識ではないか、というのが実際にパワハラ調査業務に携わっている者としての心境です。

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2021年5月24日 (月)

もはや「レピュテーションリスク」では語れなくなったコンプライアンス経営の姿勢

少し前までは「もはやコンプライアンスは『法令遵守』の時代ではない。社会からの要請への適切な対応こそコンプライアンスの要諦である」と語られていました。そして、その「社会からの要請」への不適切な対応は企業の社会的評価(レピュテーション)を毀損する、ということで、レピュテーションリスクへの対応こそコンプライアンス経営の神髄であると言われていました。

もちろん、これは間違いではありません。しかしながら「では、いったい何が企業にとっての『レピュテーションリスク』なのか」というと、たとえば1990年代に「企業の業績悪化の理由」として語られていた「バブルがはじけて・・・」というフレーズと同様、中身がフワッとしていて、世の中が移ろいゆく中で、意味が変遷しうるようなあいまいな概念です。私の関心分野で申し上げるならば、企業のレピュテーションを毀損する原因は「企業不祥事の発生」なのか「発生した不祥事の発覚」なのか「不祥事隠ぺい」なのか、それとも「不祥事隠ぺいが経営者を含んだ組織ぐるみであること」なのか。「レピュテーションリスク」なる言葉を用いると、語る人によって意味するところはマチマチなのです。

ただ、ポストコロナに向けて、コンプライアンス経営を語るにあたっては、そのようなフワッとした「レピュテーションリスク」なる言葉で説明できる時代ではなくなってきました。5月23日の日経朝刊「文化時評」の特集記事では「企業広告は政治を語るべきか-企業が自らを守るには表現することが必要。その根底にあるべきは自律した倫理観だ」との見出しで、これからの企業のリスクマネジメントの姿勢について語られています。私も「政治を語るべき」とは言いませんが、議論の方向性についてはそのとおりであり、「企業は自らのビジネスにおける哲学を語ること」がコンプライアンス経営にとって不可欠になると考えています。

まず、「ガバナンス・コード」(企業統治指針)の浸透です。comply or explainは「事実上の行動規範の強制」だと言われてきましたが、今年の改訂内容をみれば、上場企業にとって粛々と従うには相当ハードルが高くなったと言わざるを得ないでしょう。粛々と従うのではなく、「無理なものは無理」「従いたくないことは従わない」とハッキリ明言しなければ企業価値を失ってしまう企業も出てくるはずです。もちろんコードを策定する側からすれば、市場全体での資本の最適配分が実現すればよいわけですから「労働の流動性及びM&A法制さえ確保されていれば、そもそもつぶれてしかるべき企業はつぶれてもよい」という思いはあるはず。しかし個々の企業にとってはたまったものではありません。そこで、企業はきちんと自社のモノサシを明示して、そこから逸脱するものは従わない、という姿勢を示す必要があります。

つぎに「共助の精神」の必要性です。近時「ビジネスと人権」について語られる機会が増えたことは皆様ご承知のとおりです。そもそもグローバルな視点でみても、「人権」を擁護するのは原則として政府の役割であり、私益を追求すべき企業の役割ではありません。しかしながら、政府よりも強大な権限によって人権を制限しうる巨大企業、一国の主権だけで自国民の人権を擁護しえない(または課税の公平性を実現できない)ようなグローバル企業が登場したことから、企業は政府の仕事の一端を担う必要がある、といった思想が、各国政府で共有されるようになりました。

日本国内において、この5月から「誹謗中傷動画の削除」に向けて法務省とグーグルが官民連携で対策を練ることになりましたが、これは典型例だと思いますし、官民連携だけでなく、大企業がサプライチェーン全体の人権侵害の排除に取り組むことなども民民連携として不可欠になります。官民連携に積極的に取り組む企業としては、今後ルールメイキング、ロビー活動、ペナルティ付与等において、他社とは異なるアドバンテージを持つわけで、もはやコンプライアンス経営は「守りの経営」ではなく「攻めの経営」と親和性を持つことになります。「共助の精神」を発揮するためには、当然のことながら社内外への御社の企業哲学を発信し、共感してもらうことが必要となります。

そして最後が「経済安保への向き合い方」です。上記日経「文化時評」で取り上げられたテーマです。御社は欧米のほうに向いて事業を展開するのか、それとも中国、ロシアのほうに向いて展開するのか。沈黙は許されず、きちんと企業としての方針を明示しなければならない時代になった、ということでしょう。どのような発言をしてもレピュテーションは毀損されるのですから、たとえ毀損したとしても、御社の長期的な企業価値を向上させるためには、あえてレピュテーションリスクをとりにいかなければならないと思います。

たとえば私が日本企業にとって来年、再来年あたりに直面するコンプライアンス問題として「ワクチン接種」の課題を想定しています。上司Aが部下Bに対してワクチン接種を推奨し、もし接種を拒否した場合には同じチームからはずす、と申し向けた場合、会社はどう対応すべきか、かりに部下Bが女性社員であり「ワクチンの母性に及ぼす影響がある程度判明する2年後までは接種は控える」と言われた場合はどうか。海外のグループ会社の現地社員の場合はどうか。消費者の安全に配慮して「お客様と接触する当社社員は、全員ワクチン接種を済ませております」との広告を打った場合、この表現には世間がどう反応するか。世界の多くの企業で既に発生している難問ですが、御社としての企業哲学をきちんと示さなければ、日本国内のみならず、世界のNPO団体等から「ブラック企業」「ESGに後ろ向きの企業」と名指しで攻撃されるかもしれません。

これまでレピュテーションリスクを低減するためには「沈黙は金」としていたかもしれません。しかし、沈黙はレピュテーションリスクを顕在化させる時代となりそうです。企業哲学を語れるCEO、またはCEOの傍らで企業哲学を語れる人材が「攻めの経営」にとって必要な時代になると考えます。

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