三井不動産レジデンシャル裁判と企業コンプライアンス
あいかわらず、本業以外の時間は、生成AIによる動画制作・音声制作に没頭しておりまして、ブログの更新が滞っております。ただ、多大な時間と資金をAI動画制作に費やすことで、いろいろと見えてきたこともありますね。私が成果品作成のために1000回失敗を繰り返している労力を、おそらくAIエージェントは数秒でこなしてしまうという現実。ただ、おそらくAIエージェントに任せていては、米国のGPTの(そのときどきの)倫理ポリシーをクリアしたものしか作れませんが、私が手作業でプロンプト(ネガティブ・プロンプトを含む)を(恥ずかしい失敗を繰り返しながら)試行錯誤すれば、その倫理ポリシーをかいくぐって、独自の成果品ができてしまう。もちろん、成果品を商業ベースで活用する場合の著作権等の問題は別にありますが、倫理とAIの利活用との両立・調和をどう考えるか・・・という重要課題において、「手作業でかいくぐれば競争相手に勝てる」ということへの企業コンプライアンス上の経営判断にどう向き合うか、という論点が出てきそうです。
さて、企業コンプライアンスを考えるうえで、とても重要な判決が最近出ましたが、6月30日の毎日新聞ニュース「マンションくい打ち不正訴訟 原告の事業主が控訴 地裁判決不服」によりますと、
マンション施工時のくい打ち工事の不正で建て替えを余儀なくされたとして、事業主の三井不動産レジデンシャル(東京)が施工3社に約505億円の損害賠償を求めた訴訟で、レジデンシャル側は30日、計約14億円の賠償を命じた東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。判決は、建て替えは過剰な対応だとして請求額の大半を退けていた。
とのこと。事業主の三井不動産レジデンシャル社と、そのマンション下請事業者との間では、コンプライアンス経営を「安心思想」で捉えるか「安全思想」で捉えるか、考え方の違いが明確になっていました(このあたりの解説は、2016年4月の拙ブログ「横浜マンション傾斜事件-難問山積の三井不動産求償権問題」をご覧ください)。一審判決文を読んでおりませんので、正確なことは申し上げられませんが、判決は「建て替えは過剰な対応だ」と判断しているとのことですが、BtoCでマンションを販売する立場にある三井不動産レジデンシャル社の立場からすれば「過剰な対応ではない」と当然主張しますよね。このあたり、企業のコンプライアンス経営と、企業(及び企業経営者)の法的責任とが交錯する問題として、とても興味深いところです。
しかし、事件が発覚してから13年、裁判開始から10年で、ようやく地裁の判決。しかも、これから高裁、最高裁と延々と確定までは時間を要する裁判です。司法的解決が、企業のコンプライアンス経営の在り方を考えるにあたって、どれほどの実効性を持つのでしょうか?世間ではいろいろと批判される対象かもしれませんが、いわゆる「第三者委員会」というものが、企業社会で重宝されるのは、このような(法的責任の追及までは不要、経営責任まで明らかになれば足りる、といった)現実も、要因のひとつだと思います。



