2025年2月25日 (火)

当職にときどきご相談のある「セカンドオピニオン」とは?

2月24日の日経朝刊(法財務面)に「法務もセカンドオピニオン-有事対応で企業の4割『経験あり』」なる興味深い記事が掲載されていました。不正や不祥事などの有事対応について、弁護士に「セカンドオピニオン」を求める企業の動きが広がっていて、データ分析支援企業の2024年調査によると「求めたことがある」とした回答が4割以上になった、また大半が(求めたことに)「満足している」とのこと。なお「セカンドオピニオン」を求めるのと「オピニオンショッピング」とは似て非なるものと理解しておりまして、私も注意をしております。

不正、不祥事などの有事対応に関するセカンドオピニオンのご相談は、当職事務所にもありますね。ただ、当職は個人事務所なので、企業側として「どっちの事務所にしようか」といったご相談ではなく、「大手法律事務所からこのような方針で対処する、との話があったが、それって妥当なものなのか」といった、いわば「大手法律事務所の対応に関する『通訳』の役割」がほとんどです。「なるほど、だからこれくらいの時間が必要で、金額もこれくらいかかるのですね」と法務担当者も経営トップも納得されて、結果としてファーストオピニオンを出した大手法律事務所が仕事を進めることになる…というケースが多いのが事実(ちなみに私は相談料のみ)。

ちなみに最近、有事対応に関する「セカンドオピニオン」を求められる事案としては(わかりやすいように、ややデフォルメしておりますが)、①サイバー攻撃で業務に支障が出ただけでなく、個人情報も漏えいしてしまったおそれのある事案で「身代金要求が来ているが支払ってよいか」、②海外に多額の設備投資を行い、いよいよ事業開始という時期に当地の公務員から(アドバイザー事業者の手数料名目で)わいろ提供を要求されているが支払ってよいか、③監督官庁からは「公表するな」と言われたが、文春や朝日新聞に匿名通報がなされる可能性が高いので、その前に公表を予定しているが大丈夫か、といった類のものが増えております。いずれも「経営判断原則」の適用が微妙、下手をすると取締役の善管注意義務違反として法的責任が問われる課題です。とくに最近はアクティビティ活動として責任を追及されるので「セカンドオピニオン」までとった、というプロセスを経ておきたいですね。

なお、個人的な意見としては、こういった経営判断に関わる有事対応については(外部弁護士の意見だけでなく)社外取締役の方々のご意見もきちんととりまとめておくべきです。いまだに社内経営執行部だけで(外部弁護士と相談のうえで)判断されようとする企業も多いのですが「なんのための社外取締役ですか」と言いたくなります。

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2025年2月21日 (金)

組織トップのパワハラ認定について思うこと

2月14日に関経連より「会社法改正等に関する意見書」が公表されました。これは、法制審議会で今後議論される会社法改正の検討項目において、追加して議論すべき点を掲示したものですが、会社法改正の方向性を理解するうえではとても参考になります(私も基本的には賛同したい項目が多いです)。法制審議会の委員に経営経験者を増やすべき、という意見にも同調いたします(以下本題です)。

さて、どの事件・・・とは申しませんが、最近組織のトップのパワハラ言動がときどき話題になり、また報道もされているので、少しだけ不正調査に携わる私なりの意見を述べたいと思います。以下の3点については、世間で誤解されているのかもしれませんが、かなり重要であるにもかかわらず、あまり話題に上っていないのではないかと。

ひとつはパワハラ認定に関する厚労省基準の解釈。パワハラの言動の違法性判断にあたっては「必要性」と「相当性」が問題になりますが、裁判で争点となる可能性が高いのは「相当性」ですね。つまり「教育のため、指導のためだった」という弁明は「必要性があったこと」の理由にはなりますが「相当性があったこと」の理由にはなりません。指導のためだったとしても、その態様がどうみても職場環境を著しく害する程度ものであればパワハラ認定に傾きます。

もうひとつは同じ言動でも、被害者と加害者との立場によってパワハラになるケースもあればならないケースもある、ということ。こちらで東京の著名法律事務所の弁護士の方が解説しておられるとおりです(このポイントはあまり話題にならないようですが、立場の優越性が基準となる以上、当然に問題になりうるかと)。最近は通報窓口に通報してこられるのは同じ職場の第三者の方から・・・というのが圧倒的に多いので、被害者がどう感じるか・・・ということよりも、客観的に職場環境が著しく害される程度の言動かどうか、という点への考慮がなされます。

そして最後が「たとえ裁判所で認定されるかどうかわからないグレーゾーンのケースでも、組織のトップであれば企業行動規範違反で処分される」という点です。組織には規範性の高い(つまり違反にはペナルティが課される)企業理念や行動規範、もしくは役員倫理規程が存在して、パワハラと疑われる行為については、そもそも疑われる行為自体が●●社の役職員の品位を害する行為に該当する、として処分されうる、ということです。

先日のオリンパスの社長さんの薬物疑惑についても、司法機関が動く前に、会社として「疑い」を辞任要求の根拠にしていました。この点も、実務では重要な手続きではありますが、あまり話題になっていないのではないかと思います。

 

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2025年2月14日 (金)

日産子会社-下請法違反(無償金型保管)疑惑について

日産の話題といえばホンダとの経営統合撤回のニュースばかりですが、本日(2月13日)の読売新聞朝刊一面に掲載されていた「日産系の部品製造会社、下請5社に金型を無償で長期保管させる」の記事が目にとまりました。以下、日経ニュースにコメントさせていただいた内容とほぼ同じでございますが、備忘録程度に記しておきます。

日産本社では昨年3月に下請代金減額事件が発生し、さらにはトヨタ系企業では金型保管で公取委から指導を受けていたにもかかわらず、なぜ日産子会社で昨年12月まで下請企業に(無償で)金型保管をさせていたのか、私には理解できません。トヨタ子会社が指導を受けた昨年7月の時点で、すくなくとも子会社サイドで「これ、マズイんちゃう?」という声は絶対に出ていたはず。それでも12月まで保管委託を継続していた、というのはどういった正当化理由からだったのでしょうか。

たしか下請代金減額事件の際には、日産の弁明として「相手先と協議の場をもって、きちんと割戻金に関する合意は得ていた」というものだったように記憶しています。しかし公取委は客観的な資料もないままでの合意は優越的な地位によるものであり弁明にならないと一蹴していたはずです。この経緯からすると、金型保管に関する文書での承諾を得ていた、というものでしょうか。おそらく、今後日産側の主張が明らかになると思いますので、またそのときに追加のコメントをしたいと思います。

なお、本業の忙しさはほぼ収束したのですが、講演準備とか論文執筆の締め切りが迫っておりまして(すでに締め切りが過ぎているものもありますが)、ブログ更新も不定期とならざるをえませんので、どうかご了解ください(^▽^;)。

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2025年1月17日 (金)

「下請け」は差別用語か?-法律名の変更に思う

貸金庫事件で揺れる三菱UFJ銀行は記者会見で「貸金庫事業から撤退することも選択肢のひとつ」と述べておられます。こんなむずかしい作業が必要となれば撤退したくなる気持ちもわかります。では他の事業者に貸金庫事業が務まるかというと、ちょっと安全面では格段に落ちるように思います。やはり富裕層をつなぎとめるためにも、金融機関にとっては必要なサービスとして存続させていくのでしょうね。

本日(1月16日)の日経ニュース「下請けを『中小受託』に名称変更へ 公取委・中企庁」を読んで(恥ずかしながら)初めて知ったのですが下請法(下請代金支払遅延等防止法)の名称が、次の法改正時に変更されるそうです。下請け業者という言葉は使わずに「中小受託事業者」なる名称を使用するとのこと(どのような法律名称になるのかはわかりませんが)。

半年前の産経ニュースでも「下請けという用語は差別的ではないか」との国会議員からの意見も出されていた、とのことですが、物価高のなかで価格転嫁がなかなか進まないことや知的財産の無償譲渡を強要されるといった弊害が生じていることから、発注側と受託者とが対等のパートナーである意識を高めて、ともに悪しき商慣習をなくしていくための施策として法律名変更も検討されたることになったようです。

私も「下請先」という言葉はよく使っていますが、もし「差別的表現」として法律的な呼称が変わるとすれば、そこに「倫理的な匂い」がしますので実務の上でも気を付けないといけないかもしれません。発注者と受注者とのコミュニケーションだけでなく、発注者の社内のコミュニケーションにおいても「受託事業者」とか「受託先」という用語を使用しないと「人権感覚が疑われる」という人物評価を受けるかもしれませんね。このあたりは世の中がどのように受けとめるのでしょうか(受託事業者の方々のご意見もお聞きしたほうが良いかもしれません)。1989年に「セクハラ」なる言葉が流行語大賞(新語部門)に選出された頃は、なにか無機質な言葉の響きだったと記憶していますが、具体的な事象が重なるにつれて倫理的表現を当然に含む言葉として浸透しています。

なお、大企業であったとしても昨今、減資するところも出てきていますので、中小受託事業者の定義自体も変わりますし(従業員数で適用範囲を定めています)、特定受託事業者(フリーランス)法との領域の区別も必要です。サプライチェーンにおけるコンプライアンスの浸透が求められる時代なので、このたびの法改正については全体像を再度見直す必要がありそうですね。

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2025年1月15日 (水)

パッシブ運用、クオンツ運用の増加と企業不祥事による競争ハンデ

三菱UFJ銀行の元行員による貸金庫不正流用事件に大きな動きがあり、当該元行員が逮捕されたそうです。貸金庫を舞台とした犯行ということで被害の特定には相当に手間取ったのでしょう。報道によれば、当該元行員は(勤務態度を評価されて)「一般職」から「総合職」にキャリアアップした、ということですから銀行員としては信頼が厚かった人だったようです(こちらの毎日新聞ニュース参照)。ただ、それでも貸金庫責任者に就任したとたんに悪事に手を染めてしまったわけで(なお多額の借金を抱えていたことは朝日新聞ニュースを参照)、やはり不正予防には「性弱説」に基づく施策が必要であることを痛感します(以下本題)。

さて、当職が現在担当している事案とも若干関連する話題でありますが、パッシブ運用やクオンツ運用の責任者の方々とお話をしていて、「株主エンゲージメント」についてはあまり興味を示さなくても、さすがに「(取締役の選任に関する)議決権行使への情報収集」については強い関心を寄せておられることに気づきます。なかでもコーポレートガバナンスと企業不祥事については、効率的な運用に資する判断基準であり、またインベストメントチェーンを通じた資産運用立国の形成にも寄与するとあって、不祥事発生の原因やガバナンス評価に関する情報収集には熱心なのですね。

最近のM&A事例など、報道されるところからは「アクティビストによるエンゲージメント」に関心が向きがちですが、ご承知のとおり日本の証券市場ではパッシブ運用が多くを占めています。さらに、HFT(High Frequency Trading)による取引が6割にも及ぶとなると、パッシブファンドの運用責任者はいちいち個々の上場会社とエンゲージメントを行うことは(費用対効果という意味において)相当困難です。よって(水面下での交渉が不調に終わった)アクティビストによる「ガバナンス不全」などの問題情報に関する提供や報道による企業不祥事に関する情報提供があれば、パッシブファンドとしても効率的に議決権行使の判断に有用な情報が得られるわけですから、代表取締役の選任(再任)議案への賛否も熱心に判断することになります。まさにアクティビストファンドとパッシブファンドとの役割分担が功を奏して共存共栄の時代です。

ところで、このあたりは上場会社(およびグループ会社)の経営者及び担当役員の皆様はどのように感じておられるのでしょうか?企業不祥事が発覚しても代表取締役の選任に反対票を投じられないようにするためには、①不祥事を原因としてアクティビストから株を買い占められない、②不祥事を原因とする「ガバナンスの不全」の評判を拡散させない、といった方策を検討する必要がありそうです。以前であれば株式の持ち合いによって、ここまで考える必要はなかったのかもしれませんが、持ち合い解消が進み浮動票が増えるなかでは、会社提案への反対票、株主提案への賛成票が増えて、どちらかというと「守りのガバナンス」に注力せざるを得ない状況に追い込まれるのではないかと危惧いたします。「攻めのガバナンス」に注力できない、ということになれば、上場会社にとっては相当な競争上のハンデを背負うことになりそうです。

企業不祥事を契機として(さらにファンドや金融機関の儲けを通して)業界再編が進む、というストーリーも、これからは当たり前になるのかもしれません。

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2024年11月22日 (金)

損保ジャパン-不祥事忘れない(伝承室の設置とリマインダーセッション)

今年の10大企業不祥事のひとつ(と勝手に思っている)であるJR九州高速船浸水事故の第三者委員会報告書が本日リリースされましたね。最近は社外役員さんが調査委員に含まれるケースが多いので、純粋に外部有識者のみによる「日弁連ガイドラインに準拠した第三者委員会」の報告書は久しぶりに出会えたような気がします。たいへん興味深いのですが、まだ読み込む時間がないので、追ってご紹介いたします(以下本題です)。

少し前の記事になりますが、11月7日の日経記事によりますと、損害保険ジャパン社は旧ビッグモーター社の保険金不正請求や企業向け保険料の事前調整、さらに情報漏洩問題を受けて、社員に教訓を伝える展示室(伝承室)を新設するそうです。行政処分の内容や顧客からの声を資料や動画で残し、毎年11月を全社員が一連の問題を反省する月間と定め、記憶の風化を防ぐ、とのこと。調査報告書なども閲覧できるようです。

事故の風化を防ぐといえば、以前コンプライアンス研修の講師を務めさせていただいた名古屋のパロマ(当時はパロマ工業)さんの事故記念館が有名です。こちらの記事等、何度もご紹介したパロマ工業の給湯器事故を忘れないための「一棟の建物」ですが、私も見学させていただきました(本社に来られた営業上のお客様にも閲覧していただくそうです)。事故を起こした給湯器が当時のまま「生々しく」展示されていますし、社会的批判を浴びたメディア記事なども閲覧できます。社会的な非難を受けて20年が経過し「当時を知る社員」もかなり少なくなったのではないでしょうか。(パロマ社は非上場ですが)健全なリスクテイクが求められる時代となりましたが、消費者の安全を第一に考える姿勢をいつまでも維持するために「パーパス」を具現化したものと言えます。

毎度申し上げることですが、不祥事の早期発見・早期是正は自助努力でできますが「不祥事予防」はステークホルダーとの連携がなければ困難です。せっかく「伝承室」を作るのですから(一般には非公開であったとしても)、取引先や顧客、代理店の皆様には広く展示物をご紹介してはいかがでしょうか。新しい社長さんが「売上至上主義からの決別」を宣言されていましたが、不祥事を疑似体験していただくことによって「損保ジャパンの再発防止に協力しよう」との意識を持っていただく契機とすべきです。

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2024年11月 1日 (金)

損保大手カルテルの再発防止-「早期発見」は可能でも「予防」はむずかしいのでは?

10月31日に各メディアが報じるところでは、損保大手4社が「企業共同保険」でカルテルを結んでいた問題で、公取委が大手損保4社における独占禁止法違反(不当な取引制限)を9件を認定し、課徴金計20億7164万円の納付と、再発防止を求める排除措置を命じたそうです(たとえば毎日新聞ニュースはこちらです)。

カルテル・談合が違法行為であることは間違いないわけですから、相応の課徴金処分が課されることは当然かもしれません。ただ、再発防止を求める排除措置の実効性については(私は)疑問を持っています。昨年来、この企業保険カルテルが長年「悪しき慣行」として存続していた原因分析を眺めてみると、損保側が100%悔い改めたとしても①契約相手方である企業側の保険代理店の調整活動についてはなんらおとがめなしであること、②契約相手方である企業側が主幹事を決める基準として入札金額以外にも「営業協力度」や政策保有株式数にも重きを置いていることからみて、「(損保大手の悪しき慣行が長年継続したことには、相手方保険契約企業側の姿勢にも起因するところは大きい」と思われるからです。

したがって、損保と企業保険を締結する企業自身も損保のコンプライアンス経営を(一緒になって)支える意識がなければ「予防」はむずかしいと思います。もちろん監督官庁が検討中の「保険仲立ち人制度」など、中立公正な第三者が損保と企業の間に入って「そもそもカルテルができない仕組み作り」が模索されていることは認識しておりますが(「保険仲立ち人制度」については、本日のこちらの朝日新聞ニュースで解説されています)、その実効性についてはまだ未知数です。損保が(自助努力による)再発防止策によって変えることができるのは、今後もカルテルは起きるけれども(つまり「再発」はあるけれども)、いかに早期に発見し、早期に是正できるか、という事後規制策ではないでしょうか(これだけでも「自浄作用の発揮」を示すことができるのですから、大きな進歩です)。

ところで、この損保大手4社の企業保険カルテルが騒がれる発端となったのは「東急グループによる『共同保険』に関する主幹事(東京海上)への問い合わせ」です。いままでも入札金額はおそらく「横並び」だったと思うのですが、なぜ東急グループは2022年~23年の段階で「見積もりの根拠および決定過程を教えてほしい」と損保大手に申し向けたのでしょうか。今年3月のダイヤモンドオンラインの記事(有料版)から推測するに、自然災害の激甚化や再保険料の大幅アップなどに基づき、損保大手への支払い保険金額が大幅にアップ(年間20億⇒32億)したことが要因となったように思われます。その後、問い合わせへの東京海上の回答経緯については自浄作用が発揮されて金融庁にも報告がなされた、ということのようです。この一連の経緯を見るに、本件はもう少しソフトランディングの方法があったのではないか・・・という疑問も生じます。

コンプライアンス経営という視点からは、とても興味深い案件であります。

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2024年10月 3日 (木)

関西送配電社の虚偽報告発覚と「自浄能力」

すでに昨日報じられているように、関西電力グループの関西電力送配電社において、過去の柱上変圧器の不適切事案に関する国への虚偽報告が問題となっております(詳しく伝える朝日新聞ニュースはこちら)。。10月1日付けにて、虚偽報告を指示したとされる同社副社長さんが辞任されたこともリリースされています。

なお、同社のリリースを読みますと、昨年11月に(おそらく電気事業法違反の事実を伝える)公益通報が窓口に届き、社外の弁護士が調査を行い、報じられているような虚偽報告の事実も明らかになったとのこと。同社はこれを自ら公表し、責任者である副社長さんが辞任されたとあるので、おそらく関電グループとしての自浄作用を発揮されたものと推測いたします。

ただ、通報があったのは2023年11月ということで、公表まで11カ月を要しています。まだ全容は解明されていないようですが、そもそも国民の安全に関わる不正を申告してから11カ月もの間、通報者としてはじっと調査結果を待っておられたのでしょうか?私が同様の調査を行っている経験上、通報者が会社の調査結果を待っていられるのは3か月程度が限界であり、もし通報者の目に見えるような対処が認められない場合には、通報者は監督官庁やマスコミに内部告発(いわゆる「外部公益通報」)を行うことが多いです。ということは、今回公表に至ったのは、果たして自浄作用を発揮したのか、それとも外部公益通報によって発覚してやむを得ず公表したのか、やや疑問が残るところです。

本件リリースにおいては、もし自浄作用を発揮して公表したのであれば、内部通報の実効性が高いことを示す好事例となりえます。したがって、なぜ11カ月を要したのか、そのあたりをもう少し詳しく説明されたほうが良いのではないかと感じました(ひょっとすると、通報者も副社長の関与を知ったうえで通報していたのかもしれませんが、そのあたりも不明であります)。

しかし大阪に猛威を振るった2018年の「台風21号」がなければ、そして同社社員による勇気ある公益通報がなければ、国民の安全に関わる問題が明らかになることもなく、そのまま放置されていた可能性があると思うといろいろと考えさせられるところがありますね。

 

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2024年10月 1日 (火)

危機管理ビジネスの高額化に伴い不祥事未然防止対策への関心高まる

ある雑誌にも寄稿したところですが、危機管理ビジネスの成熟化に伴って、最近は(経営コンサルタントからの示唆もあり)不祥事をいかに防止するか、という「未然防止対策」への関心が高まっています。私も危機管理ビジネスの恩恵(?)にあずかっている者の一人ではありますが、不祥事が発覚して大きく社会的信用を毀損することになりますと、調査委員会だけでも数千万円から数億円の経費を要するだけでなく、(上場企業の場合には)代表取締役の再任も危うくなるわけでして、その代償は大きいです。よってこのような風潮にも「なるほど」と思うところがあります。

企業不祥事防止対策として、よく「企業風土を変える」とか「経営者のコミットメントが大切」「内部統制を整備する」と言いますが、それだけでは抽象的であり、なかなか実現困難なものであります。そこで、実際には以下のような対策がとられます。

まず事業者団体、業界団体による「不祥事撲滅活動」ですね。健康食品の安全性確保のために民間団体による認証制度を創設する、人権リスクの顕在化を防ぐために万博協会自身が点検作業を実施する、といったところが今年の典型例です。今年は大手損保の情報流用問題などもありましたが、損保協会が先頭に立って代理店出向指針を策定することも想定されていますが、このような部類の施策です。特徴として、業界トップの企業が音頭をとらないと実現は困難、ということです。

つぎにAI、DXの利活用による未然防止策です。以前であれば「全件調査」など不可能だったわけですが、AI、DXの高度化によってこれが可能となり、不正をやりたくてもできない体制を構築するというもの。情報に関する銀証分離に問題があり、金融庁から業務改善命令を受けたMUFGではAI録音検査によって従業員の会話を分析してアラームを鳴らすというものであり、たしかに未然防止の実効性は高そうですが、かなり費用は高額化するでしょうね。品質不正の防止にも品質管理のDX化が図られ、会計不正にもAI監査が導入され、いずれも不祥事の芽の段階での捕捉を狙いとしています。

さらには「ステークホルダーとの協働」も指摘できます。カスタマーハラスメントなどは被害を受ける側の協力がなければ未然防止はむずかしいですし、独禁法違反は下請先や取引先、業法違反は監督官庁、そして労働法違反は従業員の協力がないと未然防止は不可能です。お金はそれほどかからないかもしれませんが、人的資源は投入する必要がありそうです。自社の不正を予防するためにステークホルダーに協力を要請するというのは、リスクマネジメントの発想を転換しないと実現できないかもしれません。

なお、これらの施策が不祥事未然防止という結果に向けて実効性を維持するためには、「リスクマネジメントの失敗を許容する経営陣の姿勢」が不可欠です。当然のことながら、最初からうまくいくはずもなく、失敗と反省を繰り返しながら、ようやく実効性が高まるというわけでして、そのあたりの環境作りにガバナンスの機能発揮が求められるところだと考えています。ちなみに、私は不祥事防止のために巨額の投資ができる企業からのご相談はあまりないので、平時から(有事を想定して)自浄能力を高める仕組み作りを目指す企業を応援することが多いですね。

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2024年9月26日 (木)

現場に余裕のある企業では不祥事は起こらない(ように思う)

Img_20240925_204019294_512 9月26日午後2時より、袴田さんの再審判決が下されます(静岡地裁)。事件を語れるほどの知識もありませんので、事件の内容には触れませんが、最初の死刑判決が下された昭和43年9月11日、新聞では左の写真のように報じられていました(毎日新聞昭和43年9月11日夕刊記事より)。写真の下には「うす笑いを浮かべて法廷に入る袴田被告」と記載されています。世間の袴田さんへの「見立て」も、おそらくこの記事と同じだったのでしょう。実態は闇の中かもしれませんが、誰かがプロセスで無理をしたことで被害者のご遺族と袴田さんを長く苦しめたことは間違いありません。

最近、いくつかの上場会社の内部統制見直し作業に関わって再確認したことは、「現場に余裕のある日本企業は、ルールなどなくても不祥事は起こらない」ということです。もちろん、海外企業と同様、私利私欲のための不正は起きますが、いわゆる「会社のため」に不正に至ることはない、という意味です。

よく不祥事を予防するためには「組織風土を変えよ」と言われますが、そんな簡単に組織風土は変わりませんし、もし(表面的に)変えることができたとしても、それに伴って間違いなく稼ぎの原動力(現場の活力)も失うはずです。コンプライアンス経営で有名なジョンソン&ジョンソンですら、残念な不祥事は起こしているのです(たとえばこちらのNHKニュース)。したがって、どんな組織風土でも不祥事は起きるわけでして、課題は役職員に仕事を進めるうえで余裕があるかどうか、ということです。

過去の他社不祥事を題材に、双方向でケーススタディ研修を行うこともありますが、「リスクへの想像力」はほとんどの方がお持ちです。ただ、それは平時の冷静な頭で考えているからであり、これが有事となれば頭の思考方法が変わります。納期のプレッシャーやノルマの達成、コストや返品率の削減、社長特命業務の推進等、無理をしないと対処できない場面では、コンプライアンス経営よりも優先順位が高い課題が浮上してリスクへの想像力は後退します。結局のところ、売上を伸ばす、コストを下げるためには生産性を高めるしか方法はなく、現場が無理をしていることを幹部が把握していなければ「不祥事の芽」は容易に「一次不祥事」に発展します。

ということで、私自身は「企業は不祥事と上手につきあいながら事業を推進することが肝要」と思っておりますが、なかなか世間には納得してもらえず「不祥事予防思想」があいかわらず主流です。今のところ、不祥事防止の特効薬のようなものは見出せていませんが、経営幹部はできるだけ現場に余裕があるかどうか、部門横断的に状況を把握することが「不祥事事前防止」への早道ではないかと思っています(この「部門横断的に」というところが日本企業の場合には難問になりますが)。ちなみに表層的な監査では、現場社員は心理学上の認知不協和によって(不正が恒常化していても)けっこう元気に仕事をされているので留意する必要があります。私は、現場の実務をよく知る「第2線」の管理部門の働きに期待しています。

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