当職にときどきご相談のある「セカンドオピニオン」とは?
2月24日の日経朝刊(法財務面)に「法務もセカンドオピニオン-有事対応で企業の4割『経験あり』」なる興味深い記事が掲載されていました。不正や不祥事などの有事対応について、弁護士に「セカンドオピニオン」を求める企業の動きが広がっていて、データ分析支援企業の2024年調査によると「求めたことがある」とした回答が4割以上になった、また大半が(求めたことに)「満足している」とのこと。なお「セカンドオピニオン」を求めるのと「オピニオンショッピング」とは似て非なるものと理解しておりまして、私も注意をしております。
不正、不祥事などの有事対応に関するセカンドオピニオンのご相談は、当職事務所にもありますね。ただ、当職は個人事務所なので、企業側として「どっちの事務所にしようか」といったご相談ではなく、「大手法律事務所からこのような方針で対処する、との話があったが、それって妥当なものなのか」といった、いわば「大手法律事務所の対応に関する『通訳』の役割」がほとんどです。「なるほど、だからこれくらいの時間が必要で、金額もこれくらいかかるのですね」と法務担当者も経営トップも納得されて、結果としてファーストオピニオンを出した大手法律事務所が仕事を進めることになる…というケースが多いのが事実(ちなみに私は相談料のみ)。
ちなみに最近、有事対応に関する「セカンドオピニオン」を求められる事案としては(わかりやすいように、ややデフォルメしておりますが)、①サイバー攻撃で業務に支障が出ただけでなく、個人情報も漏えいしてしまったおそれのある事案で「身代金要求が来ているが支払ってよいか」、②海外に多額の設備投資を行い、いよいよ事業開始という時期に当地の公務員から(アドバイザー事業者の手数料名目で)わいろ提供を要求されているが支払ってよいか、③監督官庁からは「公表するな」と言われたが、文春や朝日新聞に匿名通報がなされる可能性が高いので、その前に公表を予定しているが大丈夫か、といった類のものが増えております。いずれも「経営判断原則」の適用が微妙、下手をすると取締役の善管注意義務違反として法的責任が問われる課題です。とくに最近はアクティビティ活動として責任を追及されるので「セカンドオピニオン」までとった、というプロセスを経ておきたいですね。
なお、個人的な意見としては、こういった経営判断に関わる有事対応については(外部弁護士の意見だけでなく)社外取締役の方々のご意見もきちんととりまとめておくべきです。いまだに社内経営執行部だけで(外部弁護士と相談のうえで)判断されようとする企業も多いのですが「なんのための社外取締役ですか」と言いたくなります。