2025年2月10日 (月)

MBO時の企業行動規範改訂へ-目に余る「指針ウォッシング」

2月7日の日経ニュース「その買収大丈夫? 東証の新ルール、少数株主保護に一石」において、東証はMBO時における対象上場会社の行動規制強化策(少数株主保護強化策)を2月中にも公表することが報じられています。おそらく企業行動規範の中で、(MBO対象企業は)MBOを行う際に特別委員会を設置して意⾒を聞くよう義務付けることや、株式価値を算定する前提条件の開示を充実させることなどが想定されているものと思われます。

2019年に経産省「公正な M&A の在り方に関する指針」が策定されて、構造的な利益相反状況にあるMBO時における少数株主保護のための行動規範がかなり整備されたわけですが、近時のMBO事案をみておりますと、この指針に形式的に準拠してはいるものの、実体は少数株主保護が徹底されていない事案が散見され、機関投資家からも「指針ウォッシング」と揶揄される傾向にありました。2019年前後に出された価格決定申立事件でも、プロセス重視で「会社寄り」と思われる決定が続いたことも影響しているのかもしれません。

そのような状況で2023年には経産省「企業買収行動指針」が示されて、2019年の行動指針はやや時代遅れの感が否めず、ここ5年の間にも社外取締役の数が(各取締役会の構成比率において)急増してきたことから、特別委員会を設置する環境も変化してきました。さらには上記日経記事にもあるように特別委員会の審議過程が裁判所で厳しく問われ、MBO価格が修正されるような決定も(下級審ながら)出るようになりました。

もともと東証では「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」において、親子上場における子会社株主の保護について広く検討されていましたが、このたびはとりわけ「MBO・支配株主による完全子会社化に関する企業⾏動規範の⾒直し」が昨年から議論されてきた経緯があります。議論の目的に

「資本コストや株価を意識した経営」の要請等を踏まえ、今後MBOや支配株主による完全子会社化の更なる増加が⾒込まれることも前提に、⼀般株主の利益を適切に確保する観点から、追加的な手当ての必要性について速やかに検討すべき

とあるのを見れば、近時の東証の市場政策とも密接に関係する「行動規範の見直し」であることが理解できると思います。詳細については、また正式に見直し案が公表された時点でご紹介したいと思いますが、アクティビストの抬頭によって、今後は(価格に不満を持つアクティビストによって)社外取締役を含めた対象企業の役員の法的責任が問われる事例が増えるものと予想しております。

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2024年11月29日 (金)

社外取締役急増によって変わりつつある企業法務の風景

まだまだ本業における苦悩が続いておりまして(笑)、ブログ更新も週一くらいになりそうです。ブログといえば、若き女性社長さんの「ワタシってこんなにすごいの!」といったエントリー(note)が随分と世間を騒がせておりますが、私もときどき苦情が入って「こっそり」修正したり削除しているので、あまり偉そうなことは言えません。ブログを書き始めてもうすぐ20年になりますが、やはり細心の注意をもって文章を書くしかないと思います。

さて、ほぼ100%の東証プライム企業で社外取締役が3分の1以上を占める時代となりまして、企業のコーポレートガバナンス回りの景色も変わりつつあるように思います。そこで、社外取締役の急増によって、風景が変わってきたと感じている点について指摘しておきます。

ひとつは(不祥事発覚時における)日弁連ガイドラインに準拠した第三者委員会が減っているのではないか、との実感です。きちんと調べたわけではないのですが、ボードに社外取締役が増えたことで、社外取締役が委員会メンバーに入って積極的に調査活動に関与する、という傾向が強まっています。ステークホルダーの納得感が得られているかどうかはさておき、おそらく調査委員会の費用も低く抑えられることになっているのではないでしょうか。

つぎに「指名委員会等設置会社」の建付けを見直す機運が高まっていることです。2000年代初頭に委員会設置会社(現指名委員会等設置会社)の機関設計が認められたわけですが、少ない社外取締役でも、法定の三委員会(指名委員会、報酬委員会、監査委員会)の過半数を社外取締役で占めることでモニタリングモデルのガバナンス構築を図る道が作られました。しかし、取締役会自体に社外取締役の数が増えたので(つまりモニタリングは委員会ではなくても取締役会で図られるので)、今度は三委員会の権限が強すぎる・・・という短所が(やたら)目につき始めました。

そして最後が「取締役会における取締役の行為規範」です。当ブログでも過去に何度か話題にしたところですね。重要な取締役会上程事項の審議において、賛成や反対の意思表示以外に「中立」という意思表示は許されるか、とか、業務執行報告は半年に1回でもよいか、業績連動報酬の決定において対象取締役は審議に加われるかといった、企業統治改革が進む中での新たな法的論点(取締役の善管注意義務に関する論点)が浮上してきた、ということです。

まだ、あまり世間では注目されていないものばかりですが、いずれも結構企業実務への影響はあるのでは・・・と思っております。また時間的な余裕ができればひとつひとつ検討したいと考えております。

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2024年10月23日 (水)

やはり(企業価値向上のために)社外取締役が持つべきは「時間軸」だと考える

10月22日の日経ビジネスのWEB記事「哲学者が監査役、僧侶が社外取、本質射抜く『心の時代』のガバナンス」を興味深く読みました。臨済宗派の寺院の副住職の方(東証プライムのIT企業の社外取締役、日経ビジネス「次代をつくる100人」にも選出されている方)が、取締役会に出席して重視していることは「時間軸を持つ」とのこと。「目先の利益にとらわれ、本質的なものを見失っているようなときに、目線の変えるように促す」そうです。

先日(10月7日)のエントリー「社外取締役評価において注目すべきは『時間軸でモノが言える人』」でも述べましたが、私もまったく同感でして、自分の発言したこと、相手が発言したこと、取締役会で意思形成したことを客観的にメタ認知できるかどうかが重要だと思います。ダニエルカーネマンの「ファスト&スロー」で喩えれば、経営執行部がファスト思考(97%は直感が正しい)で物事を判断するところで、社外取締役や監査役はスロー思考(直感が間違える3%を正す)で判断を行うということです。「ファスト思考」のなかで弁護士資格を持つ社外取締役が(法律的視点から)アレコレ発言してもあまり効果的ではありませんが、時間軸を意識した「スロー思考」における発言であれば取締役会の意思形成にも影響を及ぼすことができます。

なお、この「時間軸を持つこと」をもう少し具体的に申し上げると(あくまでも「私の場合」ではありますが)、①社員の方々とコミュニケーションを図るなかで企業理念(パーパス)、企業文化の浸透度を理解する、②業界への知見を深めて目の前の課題を外部の目で理解する(中期経営計画との関係で)、③過去の意思決定と現在の議論との整合性を吟味する、といったところでしょうか。発言できるレベルまで、このような作業が日頃から求められるとするならば、やはり社外取締役の兼務は2社くらいが限界のような気がします。

企業不祥事だけでなく、セブン&アイや富士ソフトのように、いつ社外取締役にとって「有事対応」が求められるかわからない時代となりましたので、善管注意義務の視点からも兼務は少な目のほうがいいですよね(ちなみに最近は取締役会改革の一環として、このような(最適解としての)社外取締役の関与を意識した審議事項を取締役会に並べる企業も増えてきたように思います)。

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2024年10月 9日 (水)

社外取締役が増えると取締役会の審議が形骸化する(ように思う)

本日(10月8日)某社適時開示では、9月の定時株主総会において、会社法上社外監査役にできない人を社外監査役にしてしまった、とのことで、監査役会に欠員が生じてしまったことがリリースされています。会社法上の社外監査役→社外取締役の横滑りはできても、その反対はできないのですよね。選任決議がなされた後に気づくと結構手続きが煩雑となりますのでお気をつけください。

さて、今週はガバナンス関連のエントリーばかりですが、ダイヤモンドオンラインで八田進二先生による「社外取締役はオーナーと刺し違える覚悟を持て!」なるインタビュー記事が掲載されていて、毎度のことながら胸のすくような思いで拝読いたしました。「それだけの気概を持った社外役員がどれほどいるだろうか」「本当に刺し違える気概をもって刺し違えたら、おそらく他社からはもうオファーが来ないだろう」などツッコミを入れたくなるところもありますが(^^;)。

ただ、的を得ていると感じたのは「社外取を増やすほど取締役会内に重要な情報が入りづらくなります」とのご意見。まさにそのとおりであり、社外取締役が3名、4名となればなるほど取締役会の性格(場の雰囲気)は変わりますね。たとえ社外取締役が半数に満たなくても、全員が反対に回れば事実上、審議案件は通らないです。これをおそれて(? というか面倒なことにならないように)重要な案件に関する実質的な意思決定は「専務会」「常務会」といった要職の取締役、執行役員のみで構成された任意の機関でなされていて、取締役会は重要戦略の「お見立て会」「お披露目会」になってしまうことが多いように思います。

取締役会への上程事項についても、事実上、このような専務会・常務会で選別されてしまうので、不祥事案件を社外役員が知る機会もなくなるというわけです。唯一、社外取締役が取締役会議長を務めている企業では、この弊害から免れることができるかもしれません(取締役会の性格を変えるという意味では、やはり社外取締役が議長を務めることの意味は大きいと思います)。

ガバナンスを「見える化」しても、この専務会・常務会は目に見えるものではありません(機関投資家の方々も、あまり気づかないと思います)。集団浅慮からの脱却を図る良い機会であるにもかかわらず、取締役会が「とりあえず社外の意見も聞きました」で終わってしまうのはかなりもったいないように思います。社外取締役の数が増えるほど、上記の傾向は強くなっているので、社外取締役だけの意見交換の場を設けることも必要になると考えます。

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2024年10月 8日 (火)

不祥事続発-監査役員の復権に不可欠なシステムについて

10月10日から開催される日本監査役協会の監査役全国会議が満員御礼の大盛況ということで、誠におめでとうございます。対面形式による会議が普通に開催されるようになり、リアルでの講演ならびにシンポはやっぱり楽しいですよね。「激変するビジネス環境と監査役等の役割」がメインテーマということで、妥当性監査も含めた監査役員の活動に期待を寄せております。

さて、10月7日の日経ビジネス「実践コーポレートガバナンス」欄において、松田千恵子教授が「企業不祥事続発、監査は機能しているか 支える人材なしが過半数」なる記事を執筆されておられます。企業不祥事が頻発する中で、監査役員や内部監査の役割が注目されているが、現実には社内の人的資源が十分に配分されておらず、なかなか機能が発揮されていないことを危惧されており、私もまったく同感です。内部監査部や監査役スタッフが将来有望な若手社員のキャリアパスの一環になっていない、という現実があり、あいかわらず往査中心の監査職務に頼っているところがありますね。

ところで、私は監査役員のスキル向上や頑張りに期待するまえに、どうしても監査環境を整備することが重要と考えておりまして、なによりも監査役員就任者については社内の人事制度からの切り離しが不可欠と痛感しております。最近、監査役員の任期である最低4年間務めることなく、途中で退任して後継者にバトンタッチする会社が実に多い。この傾向は任期2年の監査等委員(監査等委員会設置会社)が急増するようになってから、ますます顕著です。監査役員の復権を阻む最大の壁は「同期の取締役が退任する時期に併せて監査役も退任する」という会社の人事慣行にありそうです。

つまり、監査役が社長の指揮命令から独立してその職務を果たすためには、当然のことながら職務の独立性が保障される必要があり、同期の社長が辞めようと、執行役員が辞めようと、(監査役であれば)最低4年は職務上の地位が保障されていることが前提です。「ウチの会社は以前からそうなっているので」ということで何の疑問もなく任期途中で辞任されてしまうのであれば、もはや社長に厳しい意見を述べることも期待できないと思います。監査役員の方々も、さまざまなスキルを学ぶ機会が多いとは思いますが、監査役員の役割を果たすためには、まず監査役員の独立的職務を尊重する会社の姿勢を人事制度の改革で示す必要があります。

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2024年10月 7日 (月)

社外取締役評価において注目すべきは「時間軸でモノが言える人」

土曜日(10月5日)は私が理事を務めております日本ガバナンス研究学会の年次大会が開催され、いつもながら自由論題、統一論題において様々な気づきがありました(お世話いただいた追手門学院大学の藤原先生、そして大学関係者の皆様に厚くお礼申し上げます)。そのひとつではありますが、金融庁企業開示課の方による特別講演の中で「まだあまり話題になっていませんが」との前置きで、10月2日に東証から公表された「アクション・プログラム2024を踏まえたJPXプライム150指数構成銘柄の状況」に注目してほしい旨のお話がありました。ガバナンス改革が企業価値向上に有意な影響力があるかどうか、今後様々な検証・分析がなされる際に参考になるのでしょうね。

さて「有意な影響力がある」といえば、一週間ほど前に、ブルームバーグニュースで「掛け持ち社外取締役は株価にマイナス、形式主義に投資家が厳しい視線」と報じられており、SBI証券のチーフアナリストの方の分析結果によれば、東証プライム指数を構成する1600社余りのうち、3割程度の約500社で兼任社外取締役を抱えているが、兼任社外取締役の存在する企業のほうが有意にパフォーマンスが悪いとのこと。「経営者に忖度(そんたく)せず、異なる常識を持ち込むことが大事とされる社外取締役で、掛け持ちを入れているのはガバナンスの弱さに関連している可能性がある」と分析のうえで、株価低迷の背景には取締役会の多様性確保で後手に回り、社外取締役の争奪線に加わらざるを得なくなったことがあると指摘しておられます。

私も(これだけ企業統治改革の実質化が叫ばれている環境であれば)兼任は2社までであり、それ以上の兼任は(本職をもつ社外取締役としては)むずかしいのではないかと考えております。なぜなら、私は「社外取締役は平面軸ではなく、時間軸で物事を考えることができる人」こそ、企業価値向上のために役に立つと思っているからです。これは私の社外取締役としての失敗経験や周囲で素晴らしい社外取締役から学んだ経験からであります。

たしかに取締役会評価において「スキルマトリクス」が重要視される時代となれば、取締役会の審議において自身の専門的知見をもとに、様々な角度から意見を述べることは期待されていますし、それなりに有識者となれば期待に応えることができるかもしれません。しかし、「3か月前の決議に至るプロセスからみたら今回の議論はおかしいのではないか」「半年前に条件付きで承認とされたあの案件の進捗(条件は成就されたかどうか)はどうなっているのか」「1年前に『継続審議』とされたあの案件は、なぜ再度上程されないのか」といった時間軸を前提とした議論を行うためには、過去にさかのぼって何度も勉強しなおす時間が必要であり、本業を持つ人がそのような考察に時間を割くことができるのは多くて2社まで、と考えています(経営判断に責任をもつ、というのはこういったことではないでしょうか)。

取締役会改革が進んでモニタリングモデルの取締役会が主流となった以上、監督責任を果たすためには事務局からの「議題に対する事前説明」だけでは足りません。本当に経営理念に沿った判断を行うのであれば、取締役会における審議は「言いっぱなし」に終わらず、過去の発言に責任を持ち、時間軸に沿って動的に判断を下す必要があると思います。

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2024年9月18日 (水)

経営判断原則と信頼の原則を「よき意思決定」に活かす-倉橋論文は秀逸(と思う)

9月9日のこちらのエントリーや8月14日にこちらのエントリーで、JR九州グループ会社はさすがにマズイのでは?と書きましたが、やはり予想どおりマズかったですね。コメント欄で「門外漢」さんに詳しく紹介いただいておりますが、国交省から海上運送法に基づく安全統括管理者への解任命令が出されたそうで、海運会社としては厳しい処分となりました(読売新聞ニュースはこちら)。さらに刑事告訴の可能性もありますね。ちなみに鉄道では2014年にJR北海道にも(鉄道事業法に基づく)解任命令が発出されていました。しかし、グループ会社社長がどうしてここまで安全軽視の行動に至ったのか、そこまでしなければならなかったのか、ぜひ真相を知りたいです。

さて、旬刊商事法務の最新号(2369号)における倉橋雄作弁護士のご論稿「経営判断原則と信頼の原則を『よき意思決定』に活かす」を拝読しました。社外取締役がどのように経営判断に関われば「稼ぐ力を取り戻す」ための良質な意思決定が可能となるのか、今、私自身が思い悩んでいる課題へのヒントが本論稿にはたくさん詰まっており、大いに参考になりました。ちょうど9月18日から経産省の新しいガバナンス研究会が始まるそうですので、絶妙のタイミングですね。

これまでの経営判断原則に関連する重要判例(誰もがよく知っている、とまでは言えない玄人好みの裁判例も含む)などを検討されて、意思決定の向上のための「取締役の行動規範」を導き出すわけですが、単純に「敗訴リスク」(安全領域)を語るのではなく、指摘された内容は「提訴リスク」(安心領域)にまで反映させることが可能なので、「攻めのガバナンス」の実践にも応用できそうな視点が掲示されています。かなりわかりやすく書かれていますが、弁護士以外の社外役員の皆様に理解してもらうには、もうひといき通訳的な解説が必要かもしれません。

ただ、私も社外役員として「おぼろげに」迷っていたことが、裁判例の分析・検証・比較などからきちんと取締役の行動規範に「昇華」させている点は秀逸。もちろんご異論・ご批判もあるかもしれませんが問題提起としては素晴らしいと思いました。旬刊商事法務も、定期購読者でないとなかなかお目にかかれない雑誌ですが、なんとか多くの人に読まれて「よき意思決定」に活かすための視点については企業実務家、とりわけ社外取締役の皆様に理解していただくことは有益ですね。今まで「経営判断原則とはこんなもの」と当たり前に考えていた論点に、新たな気づきを得ることができました。

ちなみに続編は「信頼の原則」を「よき意思決定」に活かす内容かと思われますが、こちらも楽しみです。

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2024年9月10日 (火)

週刊現代、ガバナンス界隈の「パンドラの箱」を開けてしまう

週刊現代(講談社)の9月9日付け現代ビジネス記事「小林製薬の経営に関わって11年…なぜ彼は口を閉ざすのか『ミスター社外取締役』伊藤邦雄氏を直撃した」の前編・後編を読みました。ちなみに後編の見出しは「『彼が社外取締役を務める企業では不祥事が相次ぐ』…金融業界で危険視される『伊藤銘柄』の正体」というかなりとんがったものです。今まで伊藤教授への(不祥事関連での)突撃レポートって「やりたくてもやれない」といった雰囲気がガバナンス界隈の常識だったはず( ;∀;)。

私はセブン&アイのケースではカリスマ会長さんに解任要求を出し、小林製薬のケースでは創業家会長の退任を決断させたという意味では、伊藤氏は有事に力を発揮する「ガバナンスの雄」ではないかと考えております。経済界の重鎮に退任を迫り、結果を出した人はそんなにいないはず。もちろん顧問料月額50万円を交渉の末に200万円で「手打ち」をして社風を変えようとしたわけですから、それなりにご苦労はあったのではないかと推察します。

ただ、やはり世間では「小林製薬には4人も社外取締役がいて、いったい何をしていたのか」といった批判が渦巻いているのも事実。上記記事における八田進二先生のように「社外取締役がリスク情報に受け身ではダメ。自ら情報を取りに行くべきではないか」とのご意見も多くの方が抱いていたはずです。さらに事件公表後、社外取締役らが執行部に対して「これからはすぐに報告せよ」と厳命したことも報じられましたが、依然として関連死亡者数の変更等で世間から信頼を失う事態が続いています。ただ、なんとなく「伊藤レポート2.0」などが世間でもてはやされておりますと、「なぜ伊藤先生がいるのに・・・」と口にはなかなか出せないもの。そのような中で、前記の「突撃レポート」はなかなかの趣が感じられます。

上記現代ビジネス記事における伊藤邦雄氏の発言でひとつ気になったのが(記者)「伊藤さんが社外取締役を務めながら、なぜ情報が上がってくる仕組みづくりをしなかったのか」に対して(伊藤氏)「マンスリーレポートで監査役に情報が行き、そこから我々(社外取締役)に情報が来るようになっていた。今の仕組みが悪いとは思わないし、他社と比べても劣っているところはない」と回答されています。

本当に伊藤氏がそのように発言したのであれば、監査役(監査役会)が社外取締役に重要情報を伝達しなかった、もしくは監査役(監査役会)の情報感度が悪かった(だから情報が届かなかったのだ)といった意味の弁解にとれます。たしかに常勤監査役さんは今年2月中旬ころまでにはサプリメントの服用者に腎疾患症状者が出ているリスク情報は認識していたことが調査委員会報告にも出ていましたね。ちなみに「事実検証委員会の調査報告を踏まえた取締役会の総括について」(2024年7月23日付け)29頁では、

2月 21 日付監査役会においては、常勤監査役から本件問題の概要について説明を行い、社外監査役との間で質疑応答が行われた。2 月 21 日付監査役会における本件問題についての総括は、監査役会としても本件問題を注視していく必要があることが確認されるとともに、事案の性質上、小林製薬としてのアクションが遅くなってはいけないというものであった。

との記載がありますが、公表1か月前の時点で監査役会として、どのような行動に出たのかは明らかになっていません。

ところで仮に監査役が社外取締役に情報を伝達していたとすれば、社外取締役の皆様は何か行動を起こし得たのでしょうかね?うーーん。現に、おひとりの社外取締役の方は熱心に「重要情報はすぐに届けよ」と社員に伝えており、社員がそのとおり早期に重要情報を届けていたにもかかわらず、何の行動も起こしていなかったことが調査報告書で明らかになっています(上記7月23日付け報告書28頁)。私は、他の社外取締役さん方も、同様に早期に重要情報を入手していたとしても、何ら行動には出ていなかったのではないかと推測します。←このあたり、とても重要なポイントですよね。

せっかく週刊現代がパンドラの箱を開けたのですから、小林製薬の監査役会はご自身方が(社外取締役に情報を伝達していなかったとしても)善管注意義務を尽くしていたこと、および社外取締役が(自ら情報を取りに行くことがなかったとしても)善管注意義務を尽くしていたことを、根拠事実をもって表明することが必要ではないでしょうか(いずれも監査役としての職責に関する話であります)。そのあたりが私はずっと気になっております。創業家の力から解放された小林製薬のガバナンスを世間に示すには絶好の機会ではないかと。

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2024年9月 2日 (月)

(続)セブン&アイへの買収提案-株主に迫られる困難な判断

8月29日に「セブン&アイへの買収提案-日本株式会社の本気度が試されている」において経産省「企業買収行動指針」の運用に関する素朴な疑問を呈しておりました。やはり世間的にも注目されている事件ということで、8月30日に日経ビジネス(有償記事)「カナダ社のセブン買収提案で注目の指針 『生みの親』が語る論点」なる記事にて、同指針の「生みの親」(研究会座長)でいらっしゃる神田先生がセブン&アイの初期対応に対するご意見を述べておられます。

詳細は上記記事をお読みいただきたいのですが、神田先生としては「行動指針は参考にしてほしいが、具体的なケースは千差万別。ただ、現状ではセブン&アイは企業買収行動指針に従っているようにみえる。企業価値を高めるいい買収なのか、それとも損なう悪い買収なのか結論を出すのは難しい」とのこと。

たしかに①企業価値向上に資する買収かどうか、②買収による企業価値向上分の利益は株主に公正に分配されるかどうか、③最終判断を下すべき株主が合理的な判断が可能となるだけの情報が(双方から)開示されるかどうか、といったあたりをセブン&アイの取締役会や特別委員会が検討しているものと思われますので、神田先生のご意見のとおりかと思います(外為法関連の対策は別として)。

ただ、セブン&アイが反対するパターンとして挙げておられる2つの場面というのは、なかなか取締役会としても判断が困難に思えます。ひとつめは「今の株価は当社の企業価値を正しく反映していない。提案価格は安いので高くしてほしい」との要望を出すこと。しかし、これは企業買収行動指針に沿えば、買収されたほうが企業価値が上がるということを認めたうえでの要望ということになるのでしょうね。現経営陣ではこれ以上株価を上げることはむずかしい、だから買収されれば株価ひいては企業価値が上がるということを認めることはちょっとむずかしそうです。

そしてもうひとつは「今の経営陣で続けた方が企業価値がプラスになる。これまで培った社員や顧客基盤などがあるのに、買収されて変わってしまえば、これらを失う可能性がある」と訴える方法。ローランドに対してブラザー工業が買収提案をしてきたときに、いくら買収価格が高いといっても「ディスシナジーが発生する」との理由で拒絶した事例もこれにあたるのでしょうか。しかし、神田先生が「日本企業はこのパターンが多い。ただ本当にそうなるのかは分からない。結局、それを信じるのか信じないのか。株主は難しい判断を迫られる」とおっしゃるとおり、これって経営に関与していない株主(しかも30%以上が外国人株主)が判断できるような内容ではありませんね。そもそもステークホルダーの利益を害することは株主の価値を毀損するので、現経営陣でないと価値を上げることはできないと言っているに等しいので、誰でも語れる内容ではないかと。

バックに膨大な数の実質株主が控える機関投資家からすれば、米国の訴訟リスクを負わないためにも「わかりやすい説明」にのっかるのが筋でしょうから、やっぱり提案された買収価格(対抗価格も含めて)に依拠せざるを得ないように思えます。短期的利益を求めて買いたたこうとするアクティビスト向けには企業買収行動指針は有益かとは思いますが、本気で買収企業のシナジーを上げようとする海外の大手企業に対しては、あまり有効策ではないような気がますますしてきました。

今後、企業買収行動指針が「あって良かった!」と思える場面とすれば、9月以降本格化すると思われるM&A対応取締役に対するアクティビストからの株主代表訴訟、第三者損害賠償請求訴訟の被告となった場合の敗訴リスクを低減する、ということではないかと。ポピュレーションアプローチではなく、ハイリスクアプローチによって企業統治改革を実現しようと舵を切ったのであれば、当然起きる結果ですね。ホント、日本企業が本気で資本効率を上げるための施策を進めれば進めるほど、海外大手企業による本気度の高い買収提案が増えますね。←この傾向を(企業統治改革の行く末として)政府は歓迎するのかしないのか。

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2024年7月17日 (水)

「MBO不全」で取締役らに勝訴するのは(かなり)ハードルが高い

7月9日にアップしましたエントリー「日経『女性社外取締役育成講座』への違和感」には、たくさんのコメントをいただきました(どうもありがとうございます)。私と同様に違和感を抱いた方もおられますが、「いやいや身の処し方を学ぶことも貴重な経験」ということで講座は必要との意見もあり賛否両論でしたね。願わくば66万円を支払って、実際に受講された方のご意見もお聞きしたいです。以下本題です。

すでに甲南大学教授の梅本先生がブログでアップしておられる話題ですが、7月14日の日経WEBニュース「大正製薬MBO『公正価格』申し立て 複数ファンド」の記事がたいへん興味深いものでした。

2023年11月にMBOを発表した大正製薬HDですが、24年1月にオーナー家が代表を務めていた会社によるTOB(株式公開買い付け)を成立させ、3月には2700万株を1株とする株式併合が臨時株主総会で承認可決されました。当該MBOについては、米投資ファンドのキュリRMBキャピタルと香港のオアシス・マネジメントが東京地裁に価格決定を申し立てたことが14日に判明したそうです。「価格が不当に低く抑制され、一般株主の利益が損なわれている」、「経済産業省が19年に策定した『公正なM&A(合併・買収)の在り方に関する指針』に反している」と指摘しているようで、伊藤忠・ファミマ価格決定申立事件決定の流れからしますと「想定内」といったところかと。

ところで、上記ニュース記事で興味深いのは、米国運用会社カナメキャピタルが、MBOを推奨した取締役、特別委員会委員を提訴することを検討している、と報じている点です。「問題を広く世の中に問うために損害賠償請求訴訟を検討している。取締役個人の責任を問う事例を作ることで、特別委員会や取締役の責任の重さを周知することにもつながるだろう」(調査責任者)とのこと。本当に提訴するのであれば、今後MBOの対象となる上場会社の役員の皆様、とりわけ特別委員会に就任する取締役や監査役の皆様は大きな提訴リスクを抱えることになりそうです。

ただ、不公正なMBOが少数株主に損害を与えたとして会社役員を提訴するにあたっては、かなり高いハードルがあるように思います。まず提訴の根拠として挙げられるのが会社法429条に基づく責任追及ですが、こちらは第三者(少数株主)に損害が生じたとしても、取締役や監査役の職務執行に関する「悪意」または「重過失」を立証しなければなりません。たとえプロセス違反が認められたとしても、それが役員の重過失を根拠づける事実となりうるのかどうか。

重過失ではなく「過失」であれば・・・と考えますと、民法709条に基づく不法行為責任の追及、または会社法423条に基づいて株主代表訴訟を提起することも検討されます。ただ、民法709条責任は「職務行為」ではなく「加害行為」への故意・過失の存在が求められるので、429条責任の追及以上にむずかしそうです。株主代表訴訟については、株式併合によって株主の地位を喪失してしまうと(原告適格がなくなってしまうので)株主代表訴訟を起こすことはできない、というのは今年3月の東芝元経営陣に対する株主代表訴訟に関する東京高裁の判例が示しています。「株式交換」によって株主の地位を喪失するケースでは、会社法上原告適格は維持されるとの条文がありますが、株式併合については同様の規定がありません(立法論としては手当てが必要ではないかと思うのですが)。

なお、上記は私の第一印象としての意見なので、とことん争えば勝訴の道も見えてくるかもしれません。いずれにしても証券市場の健全性を願う野次馬的第三者としては、MBOプロセスの公正性確保のためにも、提訴はひとつの選択肢ではないかと思います。

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