2023年6月 5日 (月)

会社法の「会社債権者保護」の考え方はむずかしい・・・うっかり違法配当事案に思う

もうすでに各種SNS等でも話題になっておりますが、京都市に本社のある世界企業N社において、2022年10月に決定した1株35円の中間配当が、会社法と会社の規則により算定した分配可能額を超過していた、という事案について思うところを一言。ちなみに会社法上の財源規制に違反することは狭義の違法配当であり、これは俗に「タコ配当」と呼ばれています。「これはタコが食べ物のないとき自分の足を食うといわれることによるが、残念ながらその現場を目撃したことはない」と会社法の大家は説明しておられます(龍田節・前田雅弘著「会社法大要」第3版449頁)。

ロイターの記事によりますと、N社としては配当規制違反によって株主に配当された剰余金についての返還は求めない方針、とのこと。ちなみに当ブログでも、過去にタカチホ社のケースについて議論していましたね。今回は日本のカリスマ経営者が君臨する世界企業といえども、経営者の法的責任はどうなるのか、同社の財務報告内部統制は有効といえるのか、ぜひとも忖度なしに(とくに最近はマスコミの忖度が話題になっておりますので)議論していただきたいと思います。

配当規制違反に責任を有する取締役と超過配当金を受領した株主とは(会社に対して)不真正連帯債務の関係にあるので、取締役会に議案を上程した取締役(剰余金処分について取締役会に決定権限がある場合)に注意義務違反が認められますと、(株主には返還義務を免除するとはいえ)当該取締役は会社に戻すべき相当金額を自身で弁済しなければなりません(違法な剰余金処分自体が無効ということであれば、いったん配当金全額の返済になるのでしょうか?)。これは青ざめますよね(^^;)。私も社外取締役を務める会社が自己株式取得を行う際、インサイダーリスクに震えながらも相当時間をかけて分配可能額の計算を監査法人さんと協議したことを覚えております。

ちょっと前までなら「こんなものは配当を払えないような赤字会社の問題であって、ウチのような日本を代表する優良企業では関係ないでしょ」と高をくくっていてもよかった。しかしモノ言う投資家の抬頭で株主還元策が脚光を浴びるようになり、多少無理をしてでも株価を上げたいと思う上場会社が急増しているわけですから、「うっかり違法配当」も他人事ではなくなってきました。N社のような事態は他の優良企業でも起こり得ると考えておいたほうがよさそうです。

数年前のHOYAさんの分配可能額超過配当事件のケースと同様、N社についても第三者委員会が事案の経緯について調査を行うそうです(HOYAさんの委員会も、今回の委員会も、委員長はよく存じ上げている方です)。このような重大な法令違反が起きたことについて、取締役には注意義務違反となる事実は認められなかったという結論になるのかどうか・・・、そのあたりは定かではありませんが、いやいや会社法上の会社債権者保護の考え方はむずかしいと思います(神田先生も「配当と自己株式の取得」の項目で、会社債権者保護はむずかしいと述べておられます-岩波新書「会社法(第3版)」164頁)。先日のクレディスイスのat1債の取扱いをみても、株主と債権者の優劣をどう定めるか・・・、関係者が納得できそうな落としどころを探ることは一筋縄ではいかないことがおわかりになるかと。

(追記)6月6日の日経ニュース「ユニゾ、買収防衛ありきで迷走 誰が会社の(敵)なのか」を読みましたが、短期的な利益を追求する株主の背後で、金融機関や従業員という債権者の利益が事実上無視されるのはいかがなものか・・・との問題提起がありました。

もし、違法配当議案を上程した取締役には返還責任がないとして、さらに善意の株主からも返還を求めないとなれば、では会社法上の債権者保護はどうするのでしょうか?会社法上、債権者は直接に株主から配当金の返還を求めることができますが、民法上の債権者代位権と同様の要件が必要なので無資力でないと追及できない、とする有力説もあります。ません(通説)。※会社債権者自身に固有の損害が発生しない以上、会社法429条による責任追及もむずかしいでしょう。損をしていない株主からの代表訴訟も機能しないはずです。第三者委員会の報告次第ですが、おそらく取締役の注意義務も認められない可能性があります。誰も違法配当分の補填責任は生じないが、会社に法令違反状態(会社法上の債権者保護ルール違反)だけが残るということになるのでしょうか。しかしそれはコンプライアンス上はマズイような気もします。

※・・・大杉先生からのご指摘を受けて、内容を修正いたしました。江頭先生の「株式会社法」を参考とした記述です。

ということは、法令遵守のためには中間配当の根拠となる計数上の処理を修正して(遡及的に)違法配当がなかったことにするしかないのでは?そうでないと「法令違反を放置する会社」ということになってしまうのでは?さらに、いくら会計監査人に「見落とし」があったとはいえ、J-SOX上の内部統制には開示すべき重要な不備があった(つまり全社的内部統制に重大な不備があったので内部統制は有効とはいえない)という結論になるのでは?このあたり、とても気持ちの悪い難問が横たわっているように思えるのですが、いかがでしょうか。

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2020年1月16日 (木)

役員報酬と債権法改正における「成果完成型委任契約」

120年ぶりに改正された民法(債権法)が、いよいよ4月1日に施行されます。改正民法では、「契約その他の債権(債務)の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」という用語が頻繁に使われてるのが特色です。なので、企業の一般的な常識をもって改正民法を解釈したいと思うのですが、会社法上の役員報酬制度と委任契約との関係がよくわかりません。

会社と取締役(役員)との関係は民法の委任に関する規定に従う(会社法330条)わけですが、その「委任契約」の内容が今回の債権法改正で変わります。これまでの委任契約(準委任契約)とは別に「成果完成型委任契約」に関する規定があります。

一方で、最近はガバナンス改革の流れにおいて、上場会社の取締役の報酬に「業績連動型報酬制度」を採用することが当たり前になりました。そこで疑問が生じるのが、この業績連動型報酬制度を採用した企業の取締役については、単なる委任事務の処理だけではく、成果完成型の委任事務の契約も含まれているのではないか?というものです。

請負契約における「仕事完成義務」とは異なり、この「成果完成型委任契約」は、受任者に成果完成義務は発生しない、とされています。そうであるならば、業績連動型の報酬制度を採用している会社では、「取引上の社会通念に照らして」成果完成型委任契約が会社と取締役との間で締結されたとみるのが当事者の合理的な意思解釈のように思えます。

私、このたびの債権法改正の経緯についてはあまり詳しい弁護士ではありませんが、民法に「成果」という用語が使われるのは初めてではないでしょうか。「請負契約」に「仕事の結果」という用語はありますが「成果」なる用語は出てきません(間違っておりましたら訂正いたします)。法務省の立案担当者の方が執筆された本(「一問一答民法・債権関係改正」商事法務)を読んでも、「成果」の定義は出てきません。

もちろん役員報酬における「業績連動型報酬」は一定の結果を残せば報酬がもらえるわけですが、これを「成果完成型委任契約」だとすれば、たとえ一定の数値目標をクリアしていなくても、「請負契約」の改正民法634条の準用によって「おれはここまでの成果は残した」として業績連動型報酬の一部を会社に請求することもできそうな気がします。また、そう考えるのが「取引上の社会通念に従った」解釈ではないかと(ある日突然、業績が達成できた・・・ということはないと思います)。

【改正後民法】
(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第634条
 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

同様の問題は会社法上の役員ではありませんが「執行役員」についても生じるかもしれません。債権法改正が企業法務に及ぼす影響は、まだきちんとわかっていないところが多いと聞きます。強行法規が多い会社法と異なり、民法は任意法規が多いので、その交錯点にはまた様々な学者、実務家の論点となりうる問題が潜んでいるように思います。

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2018年2月15日 (木)

改正民法(債権法)と改正会社法は同じセミナーで学ぶべきでは?

会社法改正に関する法制審の審議状況について、多くのマスコミが報じています。会社法改正の試案が正式にとりまとめられ、パブコメに付した後に要綱案となり、来年の通常国会に提出される(予定)とのこと。また、すでにご承知のとおり、昨年6月に公布された改正民法(債権法)も、公布から3年以内に施行されますので、企業実務への影響がいろいろと議論されています。

会社法や民法(債権法)の改正となりますと、企業実務家の皆様も「勉強しなくちゃ」という気になりますよね。法律専門職の方々によるセミナーもたくさん開催されることが予想されます。

ところで、せっかく会社法と民法の改正時期が重なる(ほぼ重なる)のですから、いっそのこと会社法と民法のセミナーを一緒にやってみるのも有意義ではないかと思います。その理由としては、①強行法規と任意法規の違いを理解できる、②会社法の適用範囲を理解できる(マスコミの報道は、なんだか大規模な会社を念頭に置いた改正のように聞こえますが、小さな会社にも基本的には改正法の影響が及ぶということを知る)、③会社にとっての「提訴リスク」と「敗訴リスク」の違いを理解できる(会社法は「提訴リスク」、民法は「敗訴リスク」を重視すべき)、④法律事務所の活用方法を知る(社内のシステムの補完として活用すべきか、あくまでも社内組織のアドバイザーとして活用すべきか)といったところでしょうか。いずれも法律専門職にとってはあまり関心はないかもしれませんが、企業担当者や役員の(費用対効果を念頭に置いた)法務戦略にとってはとても重要なポイントかと思います。

ただ、民法改正に関するセミナーというのも、私的にはやや懐疑的です。今回の改正法の条文を読んでおりますと、とりわけ企業実務への影響は、その業界ごと、その会社ごと、そしてその担当業務ごとに違いますよね。「ここが変わった」ということを知るだけでは到底使えないなぁと思います。つまり(基本的には)企業ごとに改正法対応を検討しなければ影響は語れないのかなぁ・・・というのが実感でございます。

また、「俺が会社法だ」といえる自信満々の弁護士は少ないでしょうけど、「(裁判官が何と言おうと)俺が民法だ」と自信満々の弁護士は全国に4万人いるわけですから(笑)、120年ぶりの法改正による企業実務への影響は、ただ改正法を読んでいるだけではなかなか把握できないと思います。顧問弁護士も「俺は会社法は詳しくないから。。。」で逃げることはできても、「俺は民法詳しくないから・・・」では逃げられませんよね(笑)。

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2017年12月14日 (木)

地面師詐欺事件と売主側に関与した専門家の法的責任-最高裁の判断下る

積水ハウスさん、アパホテルさんの事件報道をもとに、このところずっと注目しておりました地面師詐欺における専門家責任(弁護士過誤)に関する裁判についてのご報告です。こちらの経済系ジャーナル記事でも取り上げられているとおり、本人確認情報を提供した弁護士の法的責任に関する判断が、一審と二審では分かれておりました。一審では本人確認をした弁護士が敗訴したものの、控訴審ではその責任を否定する逆転判決が出されておりました。ちなみに、私が11月に取り上げたエントリーはこちらこちらです。

そして本日(12月13日)、事件関係者の方からご報告いただきましたが、地面師詐欺の被害者(なりすまし本人からの不動産買主)による上告受理申立てを棄却する最高裁決定が12日付けで出されたそうです。新証拠が上告人から提出されていたようですが、やはり私の予想どおり「なりすまし本人」に本人確認情報を提供した弁護士の過失(ミス)は最高裁で否定されたことになります。なお、本件裁判については、訴訟代理人から判例時報社に判決文が持ち込まれているようなので、追って逆転判決となった控訴審判決、そして昨日の最高裁決定が判例時報に掲載されることになるものと思います。

地面師詐欺事件で専門家責任が容易に認められるようになりますと、ゲートキーパーとしての法律専門家としての仕事を誰もやりたがらなくなり、また一部の悪質な法律家の暗躍の場を拡大することになってしまって、地面師詐欺被害を増幅しかねないといった危惧を抱いておりましたので、私個人としては結論には納得しております(なお、本件では真の所有者から当該弁護士に対する損害賠償請求訴訟も提起されていますが、こちらは未だ裁判係属中だそうです)。

ただ一方で、これまでのエントリーで述べているように、たとえ売主側に法律専門家の関与があるとしても、とりわけ買主が法人の場合には売主確認に関する内部統制システムを適切に整備・運用する必要があるということが言えそうです。ほしい物件であればあるほど、「相手方が本人であってほしい、いや、本人に違いない」といったバイアスが買主側に働いてしまうので、冷静に売却を決定するためのプロセスをあらかじめ社内ルール化しておく必要がありそうですね。

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2017年11月15日 (水)

地面師詐欺事件と売主側に関与した専門家の法的責任

大手ホテルチェーンのアパホテルさんが土地取引で12億円もの地面師詐欺に遭遇した事件で、11月8日、関係者が逮捕された旨の報道が出ておりました(たとえば毎日新聞ニュースはこちら。ちなみに売主側に立つ司法書士も共犯だったそうです)。以下、当ブログはビジネス法務を扱うものなので、あくまでも企業が買主側に立った場合の注意義務に注目して論じるものです。

先週も、こちらのエントリーで弁護士が売主側の立会人として本人確認情報を提供した場合の専門家(資格者代理人)の注意義務(買主側の過失割合4割が認められた)についてご紹介しました。私はそこで「資格保有者(資格者代理人)には真正な所有者に対する注意義務は発生しても、取引相手方である買主に対する注意義務は直接的には発生しない」「買主に対する資格者代理人の注意義務が認められるかどうかは、控訴審ではわからない」と書きましたが、先週ご紹介した地裁判決の控訴審判決が、実は今年6月に出ていたようです。ここでその控訴審判決の内容をご紹介することは(関係者の方とのお約束により)控えますが、たいへん興味深い判決になっており、ぜひ法律判例雑誌等に掲載していただきたい内容です(ちなみに本件は上告審が係属中です)。

また、上記地裁判決が掲載されている判例時報(2343号 2017年11月1日号)では、解説記事として、同じく地面師詐欺事件の被害買主会社が本人確認情報を提供していた司法書士の方(売主側)を被告として提訴していた裁判例(東京地裁平成28年9月2日判決)を紹介しています。そこでは被告司法書士さんに対する損害賠償義務が認められたと記されています。しかし、この判決全文を判例秘書データベースで確認したところ、判例時報の解説が間違っており、当該司法書士さんはたとえ地面師詐欺事件に気づかなかったとしても、本人確認義務を尽くしたことについて注意義務違反は認められないとされ、買主会社の賠償請求は棄却(勝訴)されております。

弁護士や司法書士など、アパホテル詐欺事件に関与した悪徳法律家であれば言語道断ですが、たまたま業務の一環として本人確認情報の提供を請け負った場合に、安易にその責任を認めてしまいますと、この地面師詐欺全盛の時代、誰も資格者代理人をやりたがらないことになってしまいます。そうなりますと円滑な不動産取引に支障を来すことにもなりかねません。最近の判例の傾向は、本人確認作業を行った専門家がどこまで最善を尽くしたのか、その事実関係を緻密に検証しており、安易に結果責任を専門家に認めるものではないように思われます。

もちろん、本人確認のための高度な専門家責任を尽くすためには、たとえば個人識別のための書類に関する知識や会社法の知識(特例有限会社、閉鎖会社の機関設計等)にも精通していなければなりませんが、やはり買主会社としても、本人確認のための内部統制システム(リスク管理体制)をきちんと構築しておく必要があります。地面師詐欺に関する裁判例をかなり読みましたが、いずれの案件でも買主側(個人でも法人でも)は「喉から手が出るほど欲しい」物件で事故に遭遇しています。おそらく「真正な売主であってほしい、いや真正な売主に違いない!」というバイアスが働くために、疑う気持ちも含め、対処がおざなりになってしまうのでしょうね。だからこそ「内部統制」が必要だと思う次第です。

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2017年11月 7日 (火)

企業が高額不動産を購入する際の内部統制について

昨日はゲートキーパーとしての会計士さんのお話でしたが、本日はゲートキーパーとしての弁護士さんに関連するお話です。今年8月、大手ハウスメーカーである積水ハウスさんが、五反田のマンション用地を購入するにあたり地面師に遭遇し、支払った63億円余りが回収困難になっている、と報じられました。不動産取引が活発化するなかで、最近は地面師による被害が頻発しているようです。

当ブログは「ビジネス法務」を取り扱っているので、あくまでも不動産を購入する法人側の視点でお話しますが、判例時報の最新号(2343号)に、売主(地面師)側に弁護士が関与している高額不動産の売買において、買主が売主側弁護士作成に係る本人確認情報を信頼して被害を被った場合に、売主側弁護士の損害賠償義務は認められるものの、買主側にも本人確認義務の懈怠があったとして4割の過失相殺が認められた判決(地裁判断)が掲載されていました(東京地裁平成28年11月29日)。

売主が権利証(登記識別情報通知)を紛失しているとはいえ、買主側に弁護士が関与していることを信頼して(弁護士が本人確認を行ったことの証明書を提出して)安心して取引を行ったとしても、被害者である買主側に4割もの過失が認められる・・・との判断は、おそらくナットクできない方も多いのではないでしょうか。これが大きな企業が買主であれば、被害額について買主側企業の役員の善管注意義務を問われる「提訴リスク」につながるおそれがあります。

ところで、上記判決を読みますと、買主側として注意すべき点がいくつかあるように思いました。ひとつは売主側弁護士が本人確認情報を作成する場合の注意義務は、私法上の注意義務ではなく、あくまでも不動産登記法上の「ゲートキーパーとしての」注意義務だという点です。つまり、登記申請代理人として弁護士が関与するケースでは、真正所有者の所有権を保護することが資格保有者としての公法上の義務であり、取締法規上の行為規範だということです(だからこそ不動産登記法160条には虚偽の本人確認情報を提供した資格保有者の罰則規定があります)。したがって、資格保有者には真正な所有者に対する注意義務は発生しても、取引相手方である買主に対する注意義務は直接的には発生しない、ということになります(ただ、裁判所は「そうはいっても、相手方関与弁護士が提供した確認情報を買主が信頼するのが通常であろうし、そのことの予見可能性が弁護士側にも認められるので、本件では民事上の不法行為責任は発生する」としています-この点は上記裁判は現在控訴中なので、控訴審でどうなるかはわかりません)。

そしてもうひとつが、取引に関与した弁護士とはいっても、当該弁護士は不動産取引の代理人を務めるものではなく、あくまでも「立会人」であり、売主側の登記申請(法務局に対する)の代理業務だけを行っていた、という点です。もし売主側弁護士が、売買契約の代理人も務めていたとなれば、買主側の本人確認義務も免除されていた(売主側代理人弁護士の買主に対する注意義務違反も容易に認められた)と思われますが、弁護士の関与が私法取引上は「立会人」にすぎないために、買主側が本人確認の責任は果たさねばならない、と判断されています。

これだけ地面師の暗躍の脅威が報じられている現在、不動産を購入する法人の取締役は、地面師による詐欺被害を予見する必要があります。つまり高額不動産の購入時に地面師被害に遭わないように、買主側企業としては自己責任を果たす必要がありますが、登記識別情報通知が存在しないケース、とりわけ売主側に弁護士が関与しているケースでは、当該弁護士が不動産取引における売主を代理しているのか、登記申請のみ資格者として代理しているのか(契約については立会人にすぎないのか)という点を確認しておく必要があります。もし弁護士が単なる立会人にすぎない、というケースであれば、本人確認のための対策を買主側でも検討することが不正リスクを低減させるための内部統制の構築義務として法的に求められると考えます。

最後に(ここからは個人的な見解ですが)上記判例の事案では、買主側の不動産紹介者の報酬が5000万円、売主側の仲介者手数料が750万円であるにもかかわらず、損害賠償義務を負った弁護士の報酬は、わずか30万円でした。「あまり経験がない」ということで、この弁護士さんは何度も拒否したのですが、それでも関係者から執拗にお願いをされたので受けた仕事であり、また「急いで取引をしたい」といった関係者の無理な日程調整にも、必死になって時間調整をして間に合わせたのですから、たしかに不注意な点はいくつか指摘できるものの、おそらく「誠実な弁護士」「依頼者に優しい弁護士」だったと思います(ちなみに関係者から申し立てられた当該弁護士さんに対する懲戒請求について、単位会、日弁連とも請求を棄却しています)。

でも、ゲートキーパーとしての弁護士の業務であるがゆえに、お金の問題は別として「確認作業が完了しないので、契約締結が延期になってもしかたがない。これはお国のための業務だからどうしようもない」といった冷酷かつ毅然とした態度が必要だったと思います(まあ、そのような弁護士さんだったら、そもそも地面師らが依頼しないのかもしれませんが・・・)

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2017年11月 1日 (水)

社長のパワハラ発言による被害者は叱責を受けた者だけではない

最近、投資判断のための基準としてESG指数なるものが脚光を浴びておりますが、その構成銘柄(ESGに力を入れている日本のリーダー企業)に神戸製鋼さんが入っております。皮肉でもなんでもなく、神鋼さんは普段からESG経営にとても力を入れていて、それなりに評価されています。ただ、そういった評価を受けている会社は不祥事に強いもの(打たれ強い?)と思われがちですが、実際にはレピュテーションリスクの顕在化とはあまり関係がないということでしょうか。

さてESGといえば、少し前(10月19日)の日経朝刊に「パワハラ賠償 同僚にも-東京高裁、間接被害を認定」と題する記事が掲載されていました。某医療機器メーカーの販売子会社で働いていた女性従業員の方々が、社長から実際にパワハラを受けている同僚と同じように精神的被害を(間接的に)受けていたとして、慰謝料が認められたそうです。判決文を読んでおりませんので、記事からの感想のみ書かせていただきます。

当ブログでも、過去に何度か「セクハラは被害者からの通報が多いがパワハラは職場の同僚によるものが5割」と申しておりましたが、その分析については私の認識が少し甘かったようです。パワハラは「ハラスメントが横行している職場で同じ空気を吸いたくない」とか「被害者がかわいそう」といった現場目撃者の感情から内部通報がなされるものと思っておりましたが、この記事のように「明日は我が身」といった被害者感情から第三者による通報がなされることもあるのですね。ちょっと私の想像力が不足しておりました。

ときどきパワハラに関する調査をしますが、「これってパワハラをされる側にもそれなりに問題があるのかも・・・」と思い、再発防止策(職場環境配慮義務の履行方法)の検討に迷うことがあります。しかし、このように職場の第三者に対しても不法行為が成立する、ということになりますと調査範囲を広げたうえで判断しなければなりませんし、また「パワハラを受ける側の問題」といった事情をあまり斟酌しないほうが良いのかもしれません。働き方改革の副作用として、今後もパワハラやマタハラ、パタハラといった人権侵害が社内に横行する可能性が高まるように思います。「労働者への人権侵害を助長する企業」というイメージは、企業のレピュテーションリスクを顕在化させることに留意すべきです。

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2015年1月13日 (火)

JA全中改革-監事監査の重要性を忘れていませんか?

年明けから多くのブログ等で取り上げられているJA全中(全国農業協同組合中央会)の農協監査権限廃止問題ですが、全中の会計監査権限が廃止され、公認会計士監査に移行することだけが専ら話題になっています(たとえば毎日新聞ニュースはこちらです)。一方で業務監査権限も廃止されることになりそうですが、こちらはあまり話題になっていません(農林中金さんが外部監査としての業務監査権限を受け持つ、という報道もされています)。このあたり、やはり監事監査(監査役監査)というものが、世間では話題になりにくいことを如実に物語っていますね。

平成4年の農協法改正により、農協組織のガバナンスは会社法上の株式会社組織とほぼ同じようなものになりましたので、会社法上の監査役に匹敵する常勤監事(常勤監査役)、員外監事(社外監査役)さんが各農協にいらっしゃいます(もちろん規模にもよりますが・・・)。私は過去にいくつかの都道府県JA中央会のお手伝いをしたことがありますが、農協監事監査の指導なども熱心になさっておられて、これが廃止されると各農協の常勤監事さんはお困りになられるのではないかと懸念しております。農協さんの中にはコンプライアンス意識にやや問題がある理事さんがいらっしゃるところもありそうでして、監事さんのレベルが高いのであればよいのですが、そうでないところは外部監査としての中央会監査にも意義があると思います。

農協監事といえば、当ブログでも2009年にご紹介したとおり、監事さんの監査見逃し責任を厳格に認めた大原町農協事件最高裁判決が有名です。農協理事長の暴走を止められなかった監事さんの損害賠償責任を認めた判決(逆転判断)です。会社法上の監査役と同等の監査権限を有するものといえども、「監事とは何をしたらいいの?昨年までの恒例どおりに監査をしておけばいいの?」といった方もいらっしゃるので、最高裁判決は農協監査実務に一石を投じるものとなりました。ということで、各農協の監事の皆様にとっては全中の(指導を伴う)業務監査には(批判はあるものの)現実的には助かっていたのではないでしょうか。

今後、全中の業務監査が廃止されるとなると、監事監査は一体どうなるのでしょうか?会計監査を担当する公認会計士の方々も、監事さんと連携をする必要があると思いますが、はたして連携するだけの能力が監事さん方にあるかどうか・・・・・、農協ガバナンスの将来を真剣に検討しなければ、ただでさえ不祥事が多いところへ、今後ますます関係者の責任が問われるような金融不祥事が増える気がいたします。ぜひとも全中改革においては、会計監査だけでなく、今後の業務監査の行方にも注目していただきたいと思います。

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2014年11月 6日 (木)

不祥事が企業ブランドに及ぼす「負のストーリー」

ノーベル物理学賞を受賞され、また文化勲章を受章された中村教授の関係改善の申出に対して、中村教授が勤務されていた日亜化学さん(中村さんと裁判で争っていた会社)は「深謝の言葉だけで十分」として、これを事実上受け入れませんでした。この日亜化学さんの対応については賛否両論あるようですが、事実関係を正確には知らない私はここで「どっちが正しい」といったことを申し上げるつもりはありません。ただ、日亜化学という会社が日本企業である以上、「中村さんはどうして関係改善を記者会見の場で提案したのだろう。なぜ根回しをしなかったのだろうか」と素朴な疑問が湧きます。「根回し」をしていれば、もう少しうまくいく可能性はあったのではないだろうか、と。

根回しもなく、グループ会社含め8300人もの社員を擁する企業のトップが「おお、そうでしたか。私も関係を改善したいと思っていました。過去は水に流して握手しましょう」と言えるでしょうか。そんなことをすれば、中村教授との関係は改善できたとしても、社長に後ろからいろんな弾が飛んでくるでしょうし、なによりも「共同研究がしたい」という中村教授の提案を、果たして社員が望んでいるかどうかもわかりません。日亜化学の経営トップの懐の深さというものは経営者個人の問題ですが、ここでは日亜化学という組織マネジメントの在り方が問われる場面であり、昨日の日亜化学さんのコメントが、いま組織としてなんとかギリギリ可能なコメントだったのではないでしょうか(あくまでも私個人の考えですが)。

さて、ここからが本題ですが、本日(11月5日)の日経朝刊に「アジアブランド調査」の結果が集計されており、アジア各国で日本メーカーの商品について「買いたいブランド」としての地位が相対的に低下している、と報じられていました。とくに自動車についてはアジア諸国ではやはりドイツ車(ベンツ、アウディ、BMW)のブランドイメージが突出しており、トヨタのレクサスすら「買いたい車」の第11位だそうです(でも実際には予想営業利益2兆円、ということですから売れてることは間違いないと思いますが・・・)。

Goritekinanoni私がご紹介するまでもなく、ただいま売れに売れているルディー和子氏の「合理的なのに愚かな戦略」(日本実業出版社 2014年)の中で、レクサスが高級ブランドになれない理由が、ルディ-さんの持論をもって書かれていて、たいへん納得させられます(私、ルディ-さんのことはセブン&アイホールディングスの社外監査役に就任されるまでは存じ上げませんでしたが、マーケティングの世界では著名な方だったのですね)。

とりわけ「消費者の購買選択、意識的選択は無意識のうちに準備される」というのはそのとおりだと思います。消費者は論理的に購買商品を選択しているのではなく、意識的選択は無意識のうちに準備されていると思います。このあたりは東京大学大学院准教授の池谷裕二氏の著著「ココロの盲点」(朝日出版社 2013年)120頁以下で、認知バイアスの代表例としても挙げられていて、常々脳心理学はおもしろいなぁと感じます。ルディ-さんも、レクサスにブランド価値が付与されるためには、この無意識的選択に訴えるような「ストーリー」がなければドイツ車にはかなわないのではないか、と(これはルディーさんの意見ですが)述べられています(同書138頁以下)。たしかに「なんば花月」で吉本の漫才を見に行っても、人気のタレントが登場すると、まだ漫才が始まる前から観客はみんな笑う準備をしていますよね。新人のタレントさんはえらいハンディを負ってるな・・・と感じます。

ところで、ルディ-さんの同書では、いくら人間の脳にある「報酬系」が活性化され、買いたいものを選択する意識が出てきたとしても、これを打ち消すような感情が湧いてくると選択からはずされてしまうことも記されています。商品や企業に対する悪いイメージが残っているとこの購買意欲に関わるということですが、これは企業不祥事等が代表的な例ではないかと思います。不祥事が繰り返し報じられるなかで、人間は不祥事発生企業に対する悪い感情が増幅されていき、無意識のうちに選択からはずされてしまうということもあり得るのではないでしょうか。まさに報酬系を減退させてしまうような「負のストーリー」です。

L13687拙著「不正リスク管理・有事対応~経営戦略に活かすリスクマネジメント」の107頁以下(レピュテーションリスク)でも詳しく書かせていただきましたが、誰でもわかりやすいような企業不祥事を発生させてしまうと、消費者の頭の中に当該企業の悪いイメージが刷り込まれてしまい、レピュテーションを毀損してしまいます。企業不祥事の中でストーリー性に富んでいるのは明らかに一次不祥事(たとえば社員の不正)よりも二次不祥事(たとえば組織ぐるみで社員の不正を長年放置したり隠したり、発覚して虚偽報告をすること)です。二次不祥事には、消費者や国民の利益をないがしろにしている、という企業の意思表示がはっきりと出ているところにストーリー性を感じます。だからこそ二次不祥事は経営者自らそのリスクを把握して絶対に回避しなければなりません。

不祥事を発生させても顧客がそのまま顧客でいてくださる・・・というのは、平時のブランド戦略からですが、不祥事を発生させても自浄能力を発揮する・・・というのは、負のストーリーを顧客に抱かせないという意味において経営者が心がけるべきクライシスマネジメントの一環だと思います。

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2014年8月20日 (水)

不正行為ガイドライン・世の中の紛争を回避する「重過失」の魅力-その2

STAP細胞騒動が激化した4月3日、当ブログで「STAP細胞-世の中の紛争を回避する『重過失』の魅力」と題するエントリーを書きました。文科省や理研の不正行為ガイドラインに「重過失」の文言がなぜ加えられていないのだろうか、「重過失」概念が明記されていれば、このような紛争をもっとソフトに終わらせることができるのに・・・と(感想を)述べました(4月3日のエントリーはこちらです)。

ところで、8月14日に読売新聞が報じたところですが、STAP細胞の論文問題など相次ぐ研究不正を受けて、「日本学術会議」(会長=大西隆・東京大名誉教授)は、不正行為の具体例や発覚時の対応方法について、初の統一基準を作ることを決めたそうです。基準には、論文の盗用や画像の切り貼りなどを不正の具体例として挙げ、故意でなくても「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務」を怠った場合は、不正と判断するとのこと(読売新聞ニュースはこちらです)。文科省HPにおける議事録要旨にも、不正行為ガイドラインに「重過失」概念を採り入れるべき、と明記されています。

私のブログをお読みになったから・・・では(もちろん)ないと思いますが、不正行為の認定にあたり、当然「重過失」概念を導入すべきだと思います。たしかに「限りなくクロに近いグレー」と断定される方は不満が残るかもしれませんが、とりあえず早期に紛争を収束させるメリットは組織にも研究者にもあります。ましてや先端技術のように専門的分野における「クロかシロか」という問題は、事実認定や法律解釈だけではっきりするものではないと思います。いわばクロかシロかはっきりさせることができない(もしくははっきりさせるのにたいへんな時間を要する)という場合には、「重過失認定」でとりあえず決着をつける・・・という手法はとても魅力的ではないでしょうか。

ちなみに8月中旬に出版されました商事法務「会社法コンメンタール機関(3)」では、会社法429条1項(役員等の損害賠償責任)の解説として「悪意・重過失」の解説がなされています(吉原和志東北大教授によるご解説)。取締役の第三者責任を論ずるにあたり、結局のところは個別具体的な事案ごとに重過失の有無を検討しなければならないのですが、最近の民法学における過失責任主義の考え方の変遷に伴い、会社法429条1項の悪意・重過失の理論上の意味を再考する価値はありそうだ・・・と述べらています。実務家としても、なかなか興味深いところです。

※ 本文とは全然関係ありませんが、この「会社法コンメンタール機関(3)」に私の論文が初めて引用され、名前が登載されました(*^^)v

「重過失」がなかったということを、取締役のほうが積極的に立証(反論?)しなければならないとすると、結構むずかしい局面が考えられます。過失よりも悪質性の高いものが重過失という考え方から出発すると、取締役に有利に働きそうですが、「悪意に準じるものが重過失」というアプローチからすると、けっこう取締役に不利な場面も想定されそうです。いずれにしても、あまり学術的にも研究がされてこなかった「重過失」概念は、上記不正行為ガイドライン策定の場面のように、実務的には魅力的な活用が考えられますので、さらに研究課題とすべきではないかと考えています。

以前、取締役はどのような場面でどのような行動をとると重過失ありと認定されるか、ということを「企業不祥事」から学ぶ役員セミナーを募集させていただいたところ、おかげさまであっという間に限定5社のご応募をいただき、すべて対応させていただきました。好評でしたので、(テーマは同じものですが)また秋から冬にでも、あと5社程度ですがやらせていただこうかと思っていますので、また9月下旬ころに募集させていただきます。<m(__)m>

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