2024年6月26日 (水)

定時株主総会前後における社外役員の逮捕-企業の有事対応の視点

元大阪地検検事正であり、企業の危機管理・コンプラ対応でご高名な弁護士の逮捕が6月25日午後にメディアで報じられました(たとえば読売新聞ニュースはこちら)。関西在住の同業者の一人としてたいへん驚きましたが、この方は6月25日の午前中に開催された上場会社A社の定時株主総会において社外監査役として選任されたばかりであり、また来る27日に予定されている上場会社B社の定時株主総会でも社外取締役候補者として選任される予定となっています。

不正行為はこの方が検察官だった時代に起きたものと報じられておりますが、このようなケースにおいてA社、B社はどのような対応をとるのでしょうか。まず27日に再任議案が上程されているB社は早速リリースを出しており

在任中の当社社外役員が逮捕されたことは誠に遺憾であり、お取引先企業様や株主の皆様をはじめ、当社に関係するすべての方々に多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。現在事実関係を確認中ではございますが、当社はこの度の事態につきましては厳粛に受け止め、新たな事実関係が明らかになり次第、情報開示いたします。

とのこと。「事実関係を確認中」とのことですが、検察は事件内容を「被害者保護のため」公表しないとしています。ということは被疑者弁護人から確認をとるか、もしくは「弁護人になろうとする者」を派遣することで確認するしか方法はありません。しかも、確認できたとしても自社判断で事実関係は公表できないと思います。とりわけ被疑者が事実関係を否認している場合などは対応がむずかしいですね。なお、この方の所属法律事務所は早々に「オプカウンセル契約を解消いたしました」と公表しており(ずいぶんと早い!)、ご本人と面談をした可能性がありますので、事務所経由で事情を聴いて会社としての対応を検討するのかもしれません。

すでに本日の定時株主総会で選任(こちらも重任)されてしまったA社についてはいまだなんのリリースも出ておりません(6月26日午前0時40分現在)。いくら個人的な犯罪疑惑とはいえ、6年から7年も前の行為ですから、「疑惑を知りながら社外役員に就任してもらっていたわけではない」ということはリリースしておく必要はあるでしょうし、未だ逮捕段階であり、無罪の可能性があるかもしれませんが、(所属法律事務所の判断にならって)辞任を求めることになるのではないかと推測されます(あくまでも個人的な意見です)。なおA社においては監査役会、B社においては監査等委員会としての判断も必要かもしれません。

かつて大手電機メーカーの会長さんによる個人的な不正行為が直後に発覚し、社外役員を務めていた5社すべてにおいて辞任をされた事例がありました。しかし今回は直前の不正行為ではなく、かなり以前の行為が立件されるということなので、任意の捜査も進んでいたのではないかと推測されます。そうであれば、もっと早くに「候補者辞退」とかの協議を会社と行うことはできなかったのでしょうか(せめて、一身上の都合により、といった理由で辞退するとか)。このあたりもよくわからないところです。いずれにしても、有事にあるA社、B社の今後の対応について注目しておきたいと思います。

 

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2020年7月22日 (水)

日本版司法取引第1号事件(MHPS海外贈賄事件)に対して、高裁が検察に厳しい一撃

すでに各メディアが報じているとおり、日本版司法取引制度(刑訴法上の「協議・合意制度」)が初適用されたタイの発電所建設に絡む贈賄事件におきまして、7月21日、東京高裁が二審判決を下しました。不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の罪に問われた三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の元取締役の方に対して、懲役1年6月(執行猶予3年)だった一審東京地裁判決を破棄し、罰金刑(250万円)を言い渡したそうです(たとえば毎日新聞有料版記事はこちらです)。これは検察だけでなく、司法取引を行った法人側も驚愕の判決ではないでしょうか(たぶんノーコメントだと思いますが)。

上記記事によれば、「(東京高裁の)朝山裁判長は、被告人が供与を了承したとする部下の証言は信用できないと指摘。(被告人は)『代替手段の検討を促すなど終始贈賄に対しては消極的な姿勢を示しており、共謀を認定した1審判決は合理的に疑問がある』と述べた」とのこと。ただし、その上で、取締役として(贈賄を)阻止すべき地位にあったのに事実上黙認したとして、不正競争防止法違反行為のほう助罪に当たると認定したそうです。(産経新聞ニュースによれば)「被告人はプロジェクトを管理する立場で、違法行為を阻止すべき義務があったことは明らか。明確に反対しなかったのは、一種のお墨付きに等しく、部下らに賄賂を渡しやすくした」とのこと。

たしか一審では「贈賄もやむをえない」との当取締役の承諾がいつなされたのか、関係者の証言に食い違いがあるために、実行者の証言の信用性が争点になっていたはずです(検察は「ザックリ言って〇〇ころ」と特定しましたが、一審判決では「そんなザックリな特定はダメ、しかし関係証拠からみて△△日に承諾があった」と認定していました)。共同正犯を認定するには、高裁では、このあたりの客観的な証拠に乏しかったものと思われます。

2018年11月7日の当ブログエントリー「日本版司法取引の運用は本当に客観証拠中心主義か?」において懸念していたとおりの結果になりました。日本版司法取引の実施にあたっては、日弁連あたりからも「無実の第三者を冤罪に巻き込む危険性がある」と指摘されていましたが、第1号案件から、(無実ではありませんが)この懸念が現実のものとなってしまったようです。贈賄の実行者の証言を積み上げる中で、どうしても経営陣まで摘発したい、との正義感から(?)、司法取引の合意に至る前の法人であるMHPSと検察とのコミュニケーションに無理が生じたものと思われます。

おそらく最高検察庁を中心に、急いで対応を検討しているものと思いますが、元取締役側の弁護人としては「してやったり」というところはないでしょうか。もし、今後のグレッグ・ケリー被告人の刑事事件で同様の事態となれば、もはや検察の威信はかなりヤバいことになってしまいます(いや、検察だけでなく日産もヤバいことになりますよね)。

ところで本論からは逸脱しますが、(仮に共同正犯とは認められなかった場合に)海外公務員への贈賄の可能性(将来的に、自分の部下が外国公務員に賄賂を提供する可能性)を知った取締役が「見て見ぬふりをした」だけで犯罪(実行者への精神的な支援を行ったこと)になるのでしょうかね?

もちろん、実行犯と取締役との関係性なども考慮されるものと思いますが(本件では実行者は執行役員や部長さん)、不正を見て見ぬふりをしただけで「ほう助犯」(犯罪)が成立するとなれば、取締役は通常「不正を阻止すべき義務ある者」なので、多くの役員の方々へ脅威となるのではないかと(A取締役、B監査役は、私が不正に走ることをうすうす知っていながら何も言いませんでした。ということは、会社のために不正をあえて犯す私を後押ししてくれているのだ!と思いました・・・等)。

ましてや、当該取締役の方は(実行犯とされる部下の方々に対して)「大型クレーンを使って資材を陸揚げするなどの代替手段を提案したり、会議の後に自分自身でタイに精通している社員に相談に行ったり」していたので、むしろ違法行為を回避するための努力をしていたそうですが、それでも「ほう助」に該当してしまうのでしょうか。判決全文を読まないと正確なところはわかりませんが、果たしてこういった場合に「ほう助」の故意があるとされるのかどうか疑問ですし、そもそも「見て見ぬふりをすること」が、不正行為を容易にするための「ほう助」という実行行為と評価できるのかどうか疑問も残ります。

本件では、検察と司法取引を行った(合意内容書面を締結した)のは法人であるMHPS社です。立件されたのは上記取締役のほかに執行役員と部長(いずれも判決確定で懲役刑-執行猶予)です。法律的には様々な論点がありますが、いずれにしましても、これは早く判決全文が読みたいところです。おそらく「最近の下級審判決」として、最高裁のHPに近々掲載されることが予想されますね。

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2019年12月18日 (水)

積水ハウス地面師詐欺事件-社内調査報告書は「公開される」と心得よ

本日(12月17日)、ジェンダーギャップ(男女格差)の大きさを国別に順位付けした世界経済フォーラム(WEF)の2019年の報告書が発表され、日本は153カ国中121位で、過去最低だったそうです。ESG経営と言いつつ、胸にSDGsのバッヂをつけている役員(執行役員含む)さんを忘年会でたくさん見かけますが、この結果ヤバくないですか?SDGs達成度ランキング上位国だからこそ、意見をお持ちの方も多いと思うのですが。

「いや~、まだ女性は部長も育ってないからなぁ」と言い訳するくらいならクオータ制を導入して「執行役員を2名以上」御社の女性職員から登用してみてはいかがでしょうか。女性役員を育てる土壌があれば「地位が人を創る」ことになるのではないかと。そのうちAIで「なんちゃってSDGs」ランキングとか公表される時代が到来しそうな気がします。(以下本題です)

地面師詐欺事件により、代表取締役の方々を被告とする株主代表訴訟に発展している積水ハウス社ですが、同社がどうしても公開したくなかった社内調査報告書を(閲覧制限がなくなりましたので)閲覧させていただきました。私はもっと「社内力学に関わるような生臭い記述」とか「役員の法的責任をズバリ指摘する記述」があるからこそ(会社は)公開を拒絶していたのかと思っていましたが、とくにそのような記述は見当たりません。

ネットニュース等によりますと、この社内調査報告書には「更なる(社内調査報告書の)原案文書」があり、そちらこそかなり衝撃的な内容だと報じられています。今後、世間の注目はそちらに集まるかもしれませんが、当ブログとしては株主代表訴訟が係属している以上、あまり「善管注意義務」の中身に踏み込むことは控えておきたいと思います。

ただ、社内調査報告書を読む限り、私個人としては「不祥事が発生した場合に、どこの会社でも作成されるような、ごく普通の社内調査報告書」でも開示されてしまう、ということのインパクトは大きいと感じます。社外役員のみで調査委員会が構成されていて、内容も個人のプライバシー権侵害に該当するような記述がみられず、おおよそ公開されることを念頭に事実が記載されていることから、「単なる内部文書」とはいえない、と裁判所に判断されたものと思われます。

2016年、東証の「企業不祥事対応のプリンシプル」が公表され、さらにどこの上場会社でも社外役員が急増している時代において、不祥事が発生した際に「第三者委員会」ではなく「社内調査委員会」を(とりあえず)設置する企業が増えています。しかし公開を原則としない社内調査報告書でも、公開される、つまり裁判所の文書提出命令の対象になる(閲覧制限もできない)ことは他社も肝に銘じておくべきでしょう。

これを回避するために、社外役員に調査を委ねることをせずに調査を進めるとなりますと、今度は「隠ぺい目的の社内調査」などと批判をされ、レピュテーションリスクが高まるわけで、企業としても悩ましいですね。

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2019年12月12日 (木)

業務上横領事件に日本版司法取引3例目-取引を行った社員も解雇されるのは必然か?

すでに報じられているとおり、東京都内のアパレル会社の社長らが業務上横領(会社資金の私的流用)容疑で逮捕されました。逮捕されたのは同社代表取締役(すでに解任)と同社取締役の2名ということで、同社の経理担当社員が(11月に)東京地検と司法取引の合意を行ったそうで、不起訴になることが予想されます。ちなみにこの経理担当社員は(朝日新聞ニュースによると)取締役からの指示で虚偽の帳簿を作らされていた、とのこと。

ところで12月5日の産経新聞ニュースによると、司法取引を行った経理担当社員は強制捜査の後に解雇されたそうです。司法取引は他人の犯罪事実を申告して自己の犯罪事実の免責を受けるという制度なので、会社にとっては不正行為の片棒を担いだ社員には変わりはなく、就業規則違反を根拠に厳しい懲戒処分(懲戒解雇)を行った、というところでしょうか。

しかし、代表取締役から指示を受けて不正に加担する経理担当社員としては、おそらく指示を拒絶しても退職勧告(事実上の解雇)、指示どおりに動いても(今回のように)解雇、さらには内部通報をしない(見てみぬふりは就業規則違反)という不作為についても、そもそも会社の代表者の不正であれば通報しても退職勧告(不正を握りつぶされて退職強要)、という状況だったかもしれません(あくまで推測ですが)。

つまり、経営者から違法行為の実行を依頼された経理担当社員は、どんなに会社に残りたくても残れないというのはどうなんでしょうか。もちろん「そんな会社、自分から辞めたほうがマシ」ということで退職する分には良いとしても、解雇となりますと退職金の支払いにも影響するはずです。

また、「代表者から『不正の手助けをしろ』と強要されて困っている」と相談できる監査役のような方がおられれば(つまり日産事件の司法取引と同じ状況であれば)別ですが、おそらく社長の不正を自ら調査し、社長を糾弾できるガバナンスは同社には期待できなかったものと推測します。

以前、大阪市環境局の職員が、自らも不正に加担していたところ、大阪市に内部通報を行いました。大阪市は懲戒解雇としましたが、当該職員が裁判で処分の取消を争い、「たしかに不正に加担していたが、彼の通報がなければ不正を根絶することはできなかった」という理由で勝訴(解雇処分の取消し)しました。

内部通報と司法取引とは明らかに性質は異なりますが、この経理担当社員の取引によって当該アパレル会社は不正を根絶できたのです(彼が取引をしていなければ、司法捜査の可能性も乏しいため、今後も何倍もの会社資金が失われていたものと推測されます)。ということで、懲戒処分は当然としても、解雇処分以外に方法はなかったのかどうか。個別案件にはそれなりの特殊事情があったのかもしれませんが、一般論としてはやや疑問を感じるところではあります。

 

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2019年11月25日 (月)

東電事故(強制起訴)刑事無罪判決-見送られた津波対策

今年9月24日に、こちらのエントリー「東電事故刑事無罪判決-内部統制構築の虚しさを感じました」において、当時のNHK特集をもとに東京電力の組織的な課題について自説を述べました。私自身は未だ同判決は読めておりませんが、朝日新聞の奥山記者が同判決要旨を読み、東電元幹部の方々への新たな取材を通じて連載記事を書いておられます(「見送られた津波対策」朝日新聞有料記事より)。ちょうど24日に3回目の連載記事がWEB上にアップされましたが、奥山さんらしいツッコミの鋭い記事であり、やはりいろいろと考えさせられます。

前回のエントリーでも書きましたが、企業の内部統制や有事対応に関心を持つ者として、やはり東日本大震災に至るまでの東電と原電(日本原子力発電)との津波対策の差(実行力の差)に注目してしまいます。原電の2011年当時の社長さんは東電出身の方だそうですが、「できるところからやろう」ということで現実の津波対策に組織横断的に取り組んだ原電と、専門家チームが出した答えを経営判断で覆してしまった東電組織の差はどこにあるのでしょうか。

原電の組織は東電の数十分の一の規模なので、現場と経営陣との距離感が近く、現場の声が経営者に届きやすかった、ということが大きな理由かとは思いますが、9月24日のエントリーにコメントを寄せていただいたJFKさんが述べるように「想定しがたい高さの津波対策に数百億を投じるということについて、当時の国民から納得は得られなかったのではないか」ということも重要な指摘かと思います。たとえ津波の専門家から危険性を指摘されていたとしても、「原発は安全であり、天下の東電が安全対策最優先で取り組んでいる以上は事故など起こらない」と認識していた国民の前で「想定外の事態への対処」に高額の資金を投じる合理的説明ができなかった(その結果として、裁判所は経営者に法的責任ありと評価することはできなかった)ということかと。

ただ、奥山記者の記事を読んでいると、原電は「できるところからやろう」「たとえ津波が防波堤を超えたとしても、事故の被害を最小限度に抑えよう」ということで「事故は発生する」ことを念頭に置いた総合的な安全対策をとっていることがわかります。決して「完璧な防波堤を作るためには多額の投資を惜しまない」という発想ではないのです。

一方の東電は「事故は発生しない」「絶対に発生させてはならない」ことを念頭に安全対策を考えているので、津波が防波堤を超えた場合の次善の安全対策ということは念頭になかったのではないでしょうか。つまり東電の場合、原電とは異なり「事故は起きる」ことを前提として安全対策を考えてはいけない、という思想が組織に思考停止を蔓延させたようにも思えます。

もちろん、こうやって重大な事故が発生し、「原発でも重大事故が起きる」という事実を目の当たりにして「社会の常識が変わった」からこそ指摘できる点もあるかもしれません(いわゆる「後だしジャンケン」の発想)。当時の国民世論からみて「東電が『事故は起きる』ことを前提として安全対策をとることなど決して許さない!」との声を無視できなかったこともあったと思います。

しかし、リーマンショックにせよ、原発事故にせよ、「起きないと思っていたことが起きる」のであれば(最近はVUCAの時代と言われます)、どんなに社会的に批判を受けるとしても「起きたときにどうするか」という思想で経営リスクに向き合うことも大切であり、また不可能ではないことを、今回の刑事無罪事件を通じて認識しなければならないように感じます。また、企業のリスクマネジメントの在り方を変えるためには、企業自身だけでなくステイクホルダーの意識も変えていかねばならないのかもしれませんね。

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2019年9月24日 (火)

東電事故刑事無罪判決-内部統制構築の虚しさを感じました。

9月19日、東京電力の福島原発事故の刑事責任を問う裁判(東京地裁)で、元経営陣3人に対する無罪判決が出されました。いわゆる「指定弁護士」が検察官役となって訴追する強制起訴事件ですね。東電の経営陣が津波襲来を予想して安全対策をとっていれば、福島第一原発事故を防ぐことができ、双葉病院の患者ら44名が(避難活動によって)死亡する事態には至らなかった、というのが業務上過失致死傷被疑事実の要旨です。

被害者、ご遺族の方々にとっては到底納得できない判決だと思いますが、経営者に有罪判決が出たパロマ工業事件、無罪判決が出たJR西日本脱線事故などの判決に至る論理過程をみておりますと、「予見可能性」「結果回避可能性」を立証するにあたり「経営者の刑事責任を問うハードルは高いなぁ」と感じており、今回の強制起訴事件でも同様の印象を持ちます。なお、このように新聞等で大きく報じられた下級審判決は、もうすぐ最高裁のHPで紹介されますので、またぜひ判決全文を読みたいところです。

現時点で、この東京地裁判決を(裁判の経過も含めて)詳しく知ることができるのはNHKニュースWEB「詳報 東電刑事裁判『原発事故の真相は』」ではないかと思います。判決文が公開されていない現時点で、この裁判の内容を把握したい方にはご一読をお勧めいたします。私は、判決を紹介する20日の日経朝刊記事を読み「なぜ、経営陣(東電の取締役)に情報収集義務が認められないのか?政府機関の長期評価で15メートル以上の津波が襲来する可能性があると指摘されており、当該指摘を経営陣が知った時点からは情報収集義務が発生するのではないのか?そのための内部統制構築義務違反が認められるのではないのか?」との疑問を抱いておりました。

そして上記NHKの詳報を読んだところ、たしかに指定弁護士側は、そのような主張を展開していたようです。経営陣に当時の原子力部門の責任者が政府機関による評価結果を伝えていたそうです(メールも残っています)。このあたりの供述調書は、強制起訴事件になって初めて明らかになったので、やはり強制起訴制度には一定の意義がありますね。しかしながら、裁判所は「経営者が直ちに動かねばならないほどの問題として伝わっていたわけではない、長期評価の信用性を学会に問い合わせるために(安全性に関する)判断を保留にしていたことは、安全対策を後回しにしていたというものではない」として(事故の予見可能性を根拠付ける)経営者の情報収集義務はないと評価しています。

同様の情報を責任者から聞き、経営者がすぐに安全対策に乗り出して事故を回避できた日本原子力と比較した場合、1200名の従業員の電源開発とは比べ物にならないほど東電の組織は巨大であるため、組織にとっての不都合な事実が経営者に届くことは至難の業だと思います。だからこそ「情報と伝達」に関する内部統制システムをきちんと構築しなければなりません。平成20年当時といえば、東電はおそらく日本一素晴らしい内部統制システムを整備していたはずです。

しかしながら、①経営幹部としては、トップには不都合な情報を伝えたくない、②かといって第三者に伝えると、誰が伝えたかわかってしまって人事評価に響く、③たとえ有事であっても「有事ではない」とトップに伝えて、自部署で解決することがトップからの評価につながる、④(これは前にも書きましたが)仮に有事と伝えても、トップとの議論の中で「有事ではない」と修正させられてしまう、⑤議論することがトップにとって面倒であれば「監査役のお墨付き」「都合の良い外部有識者のお墨付き」で修正させられてしまう、というのが「タテ組織、タテ社会の掟」です。そもそも「情報収集義務」は経営トップが有事であることを認識しうるような情報が伝達された時点で発生するわけですが、このようにトップには(巧妙に)有事とは判断しかねる情報としてのみ伝わるシステムになっているように思います。経営トップの「知らぬが仏」を防ぐための内部統制システムであるにもかかわらず、その内部統制が機能しない知恵がタテ社会の組織では垣間見えます。

勇気ある東電の元経営幹部数名の供述調書および公判における証言の存在が強制起訴事件で明らかになりました。しかし、そこで判明するのは、経営者に責任が及ばないための組織としての知恵(また、そのようにふるまうことで経営者から評価を受ける経営幹部の知恵)であり、やはり経営者の法的な責任(民事も含めて)を追及することの難しさを認識いたしました。

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2019年3月 6日 (水)

日産前会長の裁量保釈はなぜ許可されたのか?(冷静に考える)

昨年12月21日および一昨日のエントリーで予想したとおり、日産の前会長さんの裁量保釈が三回目の請求により許可されました。5日深夜の報道によると検察の準抗告を裁判所が棄却したということで、これでようやく前会長弁護人は検察と対等に攻撃・防御ができる地位に立ったと思います。

これまでのエントリーをお読みになればおわかりのとおり、三回目の保釈請求は「機が熟したから」許可されたのであり、交代前の弁護人の方でも許可された可能性はあったと考えています。①司法制度改革の時代における保釈の在り方(とりわけ公判前整理手続きとの関係)を現役裁判官が示した、いわゆる「松本論文」(2006年)の存在、②証拠隠滅のおそれの解釈指針を提示した平成26年、27年の最高裁決定、③「日本版司法取引」という検察の新たな武器に対応して「裁量保釈の解釈指針」を示した平成28年刑事訴訟法改正と参議院附帯決議、そして④実質的な余罪捜査の終結(と評価されたこと)が、今回の裁量保釈が許可された大きな要因だと考えています。

では、新しい弁護人の弁護方針は保釈に影響がなかったのか・・・といいますと、けっしてそんなことはありません。たとえば新しい弁護人の方は、前会長との協議によって、自宅に監視カメラを設置したり、携帯・PCの使用を制限するなど、(前会長が証拠を隠めつするおそれがないことを示すために)厳格な条件を自ら裁判所に提案したといわれています。3月4日のエントリーでも書きましたが、裁判所がこの時点で保釈を却下した場合には、日本の刑事司法に対する国際的な批判が一気に高まることが予想されます。しかし、裁判所はこれを理由に保釈を認めることは(主権国家の司法機関としては)できません。

また、「無罪の他人を巻き込むおそれ」が日本版司法取引には懸念されるなかで、否認を続ける被告人への勾留には、裁判所は最大限のデュープロセスを保障しなければなりませんが、一方で事件の背景にある「日産・ルノーの政治力学」の存在も、裁判所は忖度(そんたく)せざるをえないのかもしれません。そこで弁護人は「裁判所の逃げ道を作ってあげる」必要があります。このような条件なら現行法の解釈によって保釈を許可することができる・・・といえる道を新しい弁護人は裁判所に示したものだと思います。とかく優秀な弁護士は「法解釈」によって裁判所を説得したくなるのですが、「新たな事実」を提示することで裁判所の解釈を助ける手法をあえて採用した点にとても感銘を受けます。

この「裁判所に逃げ道を作ってあげる」という発想は、元検察官の弁護人にはなかなか思いつかないものであり、長年、(被告人の利益のために全力を傾ける)刑事弁護に携わってきた弁護士だからこそ考え抜かれたものではないでしょうか。この点は「さすが」と言わざるを得ません。国連に人権侵害を申立てつつ、保釈審査の最中に外国特派員協会で会見を行うことで裁判所を追い込みながらも、一方で逃げ道を用意するという手法は、したたかな手法であり、私も見習わねば・・・と思うところです。ともかく、これでようやく「10年間の日産のガバナンスはどのようなものだったのか」明らかになる道が見えてきたようです。

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2019年3月 4日 (月)

日産前会長の(3度目の)保釈請求は認められるか

ひさしぶりの日産前会長・会社法等違反容疑事件に関するエントリーです。2月27日(木)、日産前会長の弁護人が3度目の保釈請求を行った、と報じられました。1回目、2回目の保釈請求時には、いまだ検察側の余罪捜査が続いているために「無理だろうなあ」と思いましたが、今回は裁判所が保釈を認める可能性があると推測しております。以下はその理由です。

1 マスコミのリーク記事の枯渇

ここ数週間はマスコミの検察リーク報道も影を潜めました。これは検察による余罪捜査や裏付け捜査がほぼ終了したため、検察側からマスコミに提供するネタがなくなってしまったことによるものと思います。検察側がほぼ立件に必要な証拠は収集したものとみて、今後は(たとえ否認をしてるとしても)被告人には証拠隠めつのおそれは乏しいと判断される状況になりました。少なくともゴーン氏が逃亡や罪証隠めつに出る「具体的危険性」を裏付ける事実は乏しいのではないでしょうか。

2 公判前整理手続きの決定

昨年12月のこちらのエントリーでも書きましたが、公判前整理手続きを被告人側(弁護人側)が維持するためには、検察と対等の立場で弁護人が対峙しなければならず、そのためには被告人の早期身柄解放が大前提です。2月21日にゴーン氏、ケリー氏、そして法人としての日産いずれの被告人の事件も公判前整理手続きを行うことになったそうなので、ゴーン氏は検察だけでなく、ケリー氏や法人としての日産との間でも利害が対立する可能性があります。ケリー氏や日産が十分な準備ができるのにゴーン氏だけが準備にハンデを背負うとなりますと、国際的に「人質司法」との批判がさらに高まるものと思います。

3 繰り返される日産側からのメッセージ

前会長さんの金商法、会社法違反事件を裏付けるようなニュースが影を潜めた一方で、最近は日産トップの方のインタビュー記事や特別ガバナンス委員会による審議内容などが出てくるようになりました。これはゴーン氏が保釈された場合には、おそらくゴーン氏の発言に社会の注目が集まることを想定して、日産側が機先を制するための広報作戦ではないでしょうか。日産側も「保釈される日は近い」と考えているように思います。

もちろん刑事弁護に詳しい同業者の方から「早くても(保釈が認められるのは)今年の年末くらいではないか・・・」との意見も出されていますので、上記は私の勝手な推測であります。ただ、今回の保釈請求が却下されることになりますと、本当に身柄勾留の長期化が予想される事態となります。そうなりますと、さすがに国際世論を敵に回すことにもなりかねず、もっと大きな刑事司法制度改正に向けた意見形成につながる可能性が出てくるのではないでしょうか。

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2018年11月 7日 (水)

日本版司法取引の運用は本当に客観証拠中心主義か?

5日の日経法務面での記事に続き、6日は読売朝刊に日本版司法取引に関する詳細な記事が掲載されています。さすがMHPS事例を最初にスクープした読売だけあって、「初の司法取引 証拠80点 免責企業 贈賄工作資料提出」との見出しで、約束内容を書面化したMHPS(三菱日立パワーシステムズ)社と東京地検特捜部の「(6月28日付)合意内容書面」の中身までスクープしていて、たいへん参考になります(担当検事、弁護人、社長の署名があるそうです)。

この合意内容書面にしたがって、MHPS側は贈賄工作の資料を含む80点超の証拠を提出したそうで、その中には贈賄資金を捻出した際の資料も10点ほど含まれているようです。なお、上記読売記事によりますと、今回の捜査協力は、司法取引の運用で懸念されていた「無実の第三者を冤罪に巻き込む危険性を極力回避するため」、供述ではなく、客観的な資料の提出が中心だった、とのこと。なるほど、(日本版司法取引については)国民が納得できるような運用を目指す、というのが検察庁の考え方なので、そういった配慮もあったのかもしれません。

ただ、FACTA2018年10月号(36頁以下)の記事によりますと、そもそもMHPS社員による2015年2月の内部通報をきっかけとして、MHPS側は東京地検に経緯を報告、その後の地検の内偵捜査には(なんらかの情状酌量を期待して)全面的に協力をしてこられたそうです。しかし2017年12月に地検から(半年後に施行予定である)司法取引の適用をほのめかされ、司法取引を前提として捜査協力を続けてきた、とあります。

つまり、たしかに「合意内容書面」を作成する時点では客観的な証拠提供が中心だったのかもしれませんが、それまでの約2年半の間、MHPS役職員は、地検に様々な供述を行い、その供述をもとに検察側が客観的証拠の存否を確認し、合意内容書面を交わすかどうか、つまり司法取引を行うかどうかを判断したのではないでしょうか。そもそも合意内容書面の締結に至るまでの経緯をみれば、やはり供述に依存するところはあったのではないかとの疑念を抱きます。

最近の日本版司法取引に関する記事を眺めておりますと、「他人の犯罪」を申告する被疑者側がイニシアティブをとって検察と交渉できる制度、そしてその制度運用に関わるリスクが語られているように思われるのですが、そもそも今回のMHPSさんの事例は(FACTAの記事でも触れられているように)検察側の特殊な事情があって適用された可能性が高く、かなりレアな適用事例ではなかったか・・・と考えております。

つまり、司法取引と言いますが、被疑者側から持ち掛けて検察と容易に合意できるようなものではなく、まずは(供述等をもとに)検察側が十分に立件の可能性を判断し、その間は「アメ」もちらつかせず、取引することへの検察側のメリットが確認されて初めて取引が行われるというものであり、たとえば取引を持ち掛ける企業側としても、「持ち掛けて失敗する」デメリットも十分にあるということを認識しておくべきと考えます。上記FACTAの記事では、検察から司法取引を持ち掛けられたMHPS側が、「司法取引は自社のレピュテーションリスクを毀損する」としていったん断った・・・という点も、(おそらく弁護人候補者と相談して決めたとは思いますが)経営判断としては十分ありうるのでは・・・と。

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2018年10月 4日 (木)

日本版司法取引第1号は否認事件へ-求められる刑事弁護人の力量

本日(10月3日)の毎日新聞(朝刊社会面)のみが報じているところですが、MHPS社と検察官との間で、他人の「特定犯罪」の立件に協力し、自らの犯罪に関する不起訴等を求める、いわゆる「日本版司法取引」第1号案件について、起訴された同社元取締役が公判で起訴事実を否認する方針であることが明らかになりました(「関係者への取材で」とありますが、誰がそんなことしゃべるのだろう・・・いつも疑問に思うところです)。MHPSさんの不正競争防止法違反事件の内容については、こちらの7月のエントリーをご参照ください。

MHPS社の役職員による外国公務員への贈賄(不正競争防止法違反)について、法人であるMHPS社が、(たとえ違法ではあったとしても、会社のために不正に手を染めた)社員を売った・・・ということで、本事例での司法取引の適用については「これって司法取引制度の趣旨とはかけ離れているのでは?」と、世間からはかなり批判(異論?違和感?)を受けておりました。そういった声も反映されたのか(?)、不正行為を実行した現地社員については立件されず、ターゲットとされていた(指示をしていたとの疑いのある)経営陣のみの立件ということで決着がついたものと思われました。しかしながら、司法取引で立件のターゲットとされていた元取締役の方が否認をする・・・ということで、今後は舞台を裁判所に移し、刑事公判活動にも注目が集まることになりそうです。

司法取引制度については、立案当初から「無実の他人を巻き込むおそれあり」として批判されていましたので、否認事件となりますと俄然裁判官の公判での運用に関心が向くのは当然と思われます。報道では「当初、起訴内容を認めていたが、U被告人のみが否認に転じた」とあるので、刑事弁護人とのやり取りの中で、否認する方針を固めた、ということでしょうか。起訴前の弁護活動から同じ弁護人がついていると思われるのですが、こういったマニュアルのない世界で被告人に有利な判決を勝ち取るには相当な力量が求められるものと思います。まずなんといっても法人側証人は検察側の「(司法取引に関する)合意の離脱」や虚偽証言罪のプレッシャーがありますので、検察官に話したことは絶対に曲げないはずです。この供述の信用性を反対尋問で弾劾するのはかなりむずかしいと思います。

ただ、元取締役の共謀や指示がなかった(評価しえない)ことを立証するメール等についてはフォレンジックによって判明する可能性はあります。とりわけメールについてはクラウド上に残されているものを含めれば膨大な文書数であり、検索ワードの掛け方の巧拙によって重要メールを発見できる場合もあると思います。それらの調査を弁護人が丁寧に行うことによって起訴後に否認に転じるということもありうるかと。また、そもそも「法人」が司法取引の当事者である、という点にも課題があるかと思います。「他人の犯罪」を立証する証言について、どこまで真実を知り得たのか、検察のストーリーに沿って、なんとなくこれに応じて証言してしまったのではないか、というあたりにツッコミどころがあるのかもしれません。

そもそも司法取引制度を創設した検事総長の「勇退のはなむけ」として立件されたMHPS事件とのことで(ちなみにFACTA10月号36頁によると、嫌がるMHPS社に検察側から司法取引への協力要請があり拒否できなかった、とのこと)、万全の状態で立件できたのかどうかはわかりません。9月27日、法務省の検察長官合同会議では、稲田検事総長が「(司法取引制度は)国民の理解が得られるような事案でのみ利用すべき」と述べたそうですが、次は刑事裁判官がこの制度に基づく第一号事件をどう取り扱うのか、たいへん興味が湧くところであります。しかし、こういった刑事弁護人をやれるというのは(どなたが弁護人なのかは存じ上げませんが)正直うらやましい・・・笑。

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