2021年9月16日 (木)

会計監査に「健全なリスクテイク」はないのか-会計監査の品質向上とは?

本日は会計監査に詳しい常連の皆様からお叱りを受けそうなネタです(笑)。令和3事務年度の「会計監査の在り方に関する懇談会」が本日(9月15日)から開催されたようで、資料(事務局資料)が公表されています。2016年懇談会の振り返りとともに、今後議論すべき課題が掲載されておりまして、たとえば・・・

監査品質の向上に向け、監査市場の仕組み・構造を踏まえ、監査法人のマネジメント/ガバナンスに関してどのような点を検討すべきか。特に、能力ある中小監査法人が上場会社の監査の担い手として品質の高い監査を行うために検討すべき点は何か。また、企業不正を見抜く力の向上に向け、公認会計士の能力向上・能力発揮について、どのような取組みが考えられるか。さらに、コーポレート・ガバナンス改革に向けた取組みと歩調を合わせる形で、“監査”機能の更なる向上を促すために検討すべき事項は何か。

といったあたりが今後新たに議論されるそうです。たいへん興味ある論点が含まれておりまして、メンバーの皆様には忌憚のないご議論を期待しております。ただ、会計監査人と監査役会との年数回開催される監査報告会などで、

(監査法人社員)「今年度、金融庁の当法人への評価は『妥当でない点が認められる』でした」

(監査役会)「妥当でない点が認められる、ですか?」

(監査法人社員)「あ、はい。いやいや、『概ね妥当であると認められる』という評価は実際のところはないのですよ(笑)だから実際には『問題ありません』、つまり1番上、ということです、ハイ(^-^;」

(監査役会)「あ、そういうことですか(^-^;」

(監査法人社員)「(^-^;;;」

といった会話が繰り返されている様子を拝見しておりますと、「いったい誰が会計監査の品質向上を真剣に考えているのだろう」といった疑念が生じます。

私は「会計不正事案への対応」という狭い範囲でしか監査法人さんとは連携したことがありませんが、その経験から、監査の品質向上に必要なのは次の2点ではないかと考えております。あまりに極端な意見なので、おそらく考慮されることはないでしょう(笑)。

ひとつは「不正を見抜くのも能力だが、もっと大切な能力は『不正の疑いあり』と声を上げることである」というもの。監査の品質向上のためには「声を上げる能力」は必須でしょう。見抜くことは訓練できますが、声を上げるためには「クライアントをひとつ失ってもよい」といった度胸と上げた声に会社が従う環境整備が必要と考えます(AIの活用などもそのひとつでしょう)。

そしてもうひとつが「失敗しなければ監査の品質は向上しない」という割り切りです。リスクをとらないで、なぜ監査の品質が向上するのか、私は不思議でしかたありません。コーポレートガバナンス・コードでは企業の健全なリスクテイクが要請されています。社外取締役も、資本コストを意識しながら、経営者が失敗をおそれずにリスクをとることを後押しする経験が増えました。機関投資家の立場からすれば「〇〇監査法人は会計不正に強いから安心だね」とか「監査法人▽▽の監査を受ける経営者はどういうわけか財務経理感覚が向上するようだ」といった評価がされるようになればおのずと監査の品質も向上するように思うのですが・・・

IPO企業の会計監査を準備段階から担当する会計士さんは、その経験を積む過程のどこかで監査に失敗することがありますよね(典型例が「会計不正の監査見逃しの責任を背負い込む」といったところでしょうか)。私はそのような会計士の方々と(コンサル業務をされるようになってから)仕事をご一緒することがありますが、ご自身の失敗を、これからIPOにチャレンジする新興企業の役に立てようとされていて、そんな姿を私はいつもリスペクトしています。概ね失敗を機に大手監査法人は退職されるのですが「こんなスキルを持っている会計士さんが退職されるとなると、大手監査法人も大きな損失ではないか」と思えるのです。

上場会社の経営者は「会計監査人は100点とってあたりまえ」「安くて100点くれる監査法人はどこ?」といった感覚で成果品に接しているのではないでしょうか。となれば監査の品質にあまり興味を示さない。むしろ成果品にいたるまでのそれぞれの監査法人のストーリー(上場会社にとっての付加価値)を売り出すほうが監査の品質も向上するのかもしれません。監査の品質を上げるためにも、ダイバーシティを意識して多方面から意見を集約する時期にきているのではないでしょうか。

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2021年5月17日 (月)

企業監査を社会インフラにするためには「協働」が不可欠と考える

5月14日の日経朝刊の社説「リスク直視した企業監査を」を読みました。2021年3月期から金商法監査にKAM(監査上の主要な検討課題)開示が導入されることをきっかけに、リスクを向き合う企業監査の実現を目指せ、との内容です。新しい制度の導入によって、会計監査への関心が高まることはとても有意義なことで、社説においてKAMが取り上げられることは喜ばしいと思います。

ただ、2008年に施行されたJ-SOX、2014年3月期決算から採用された監査における不正リスク対応基準のときもそうでしたが「会計監査に携わる方々が頑張ることによって、より価値の高い監査制度が導入できる」と誤解されてしまうのではないかと危惧します。会計監査の品質が高まれば(それだけで)ディスクロージャー制度の向上につながる、というのは幻想にすぎないと断言します。

なぜなら、会計監査が社会インフラとしての有用性を高めるためには、(企業側:ガバナンスの向上)→(監査人、監査役等:新しい制度の運用)→(情報利用者:会計リテラシーの向上)という連鎖が不可欠だからです。とりわけガバナンス改革が進み、機関投資家と企業とのコミュニケーションが促進される現時点では、J-SOX、不正リスク対応基準が策定された頃にもまして、上記のバリューチェーンが重要になります。

ちなみに平成16年以来、いくつかの上場会社で社外役員を務めてきた当職として、「KAMが社会インフラとして有用性を高めるための必要条件」と考えているのは、①ステークホルダーがKAMを投資判断に活用することで「エージェンシーコスト」を低減できるような実務慣行が形成されること、②社長が管理会計だけでなく制度会計への関心を高めること(最低でも会計監査人から提案される「有報提出時の確認書」の中身について「なぜ、この項目について確認しなければならないのか」理解すること、③経理部門が(課税や損益について)1円でも会社に貢献する意欲を持ち、会計監査人と正々堂々と渡り合える気概と能力を持つこと、であります。

ちなみに上記②の「経営者の制度会計への関心」ですが、将来見積もりや引当金計上、費用と収益の時間的対応関係等、いずれも役員会では「正常性バイアスの塊」になっていますよね(笑)。社内で「職業的懐疑心」を持つ人が声をあげられるかどうか・・・、ここが海外企業との「経営哲学の違い」のような気もしております。

間違っても「会計上のリスクを詳細に開示することが、不正リスクの高い企業であること、損失の可能性が高い企業であることを示す」といった誤解だけは生じさせないためにも、ガバナンス×企業監査制度×投資家の会計リテラシーの三位一体でKAMの活用を図る必要があります。そうでなければ、私はJ-SOXの二の舞になってしまう(会計監査人と内部統制部門、監査役等だけの関心事、現場のルーチンワーク化、開示情報の「金太郎飴化」、内部統制の有効性に関する「後だしジャンケン開示」など)と思います。

なお、最近の会計監査の話題としては会計監査人のローテーション制度の導入問題もありますが、そちらへの当職の考え方はまた別エントリーで書かせていただきます。

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2020年12月 3日 (木)

会計監査に関連する近時の重要裁判2題

当ブログ開設以来、会計監査に関連する裁判例には思わず反応してしまうのですが、とりあえず備忘録として概要のみご紹介させていただきます。まずは最高裁のHPに公表された令和2年11月27日付けの最高裁判決(第二小法廷)です。いつもコメントをいただくKazuさんから教えていただきました(ありがとうございます!)

上場会社監査事務所名簿への登録を認めない旨の決定を受けた公認会計士らにつき,その実施した監査手続がリスクに対応したものか否か等を十分に検討することなく監査の基準不適合の事実はないとして当該決定の開示の差止めを認めた原審の判断に違法があるとされた事例

会計監査に従事する登録事務所(被上告人)と日本公認会計士協会(上告人)との間の紛争事例ですね。某上場会社(すでに上場廃止)の監査にあたって某会計事務所(被上告人)が(某上場会社では、もろもろ問題が発生したにもかかわらず)無限定適正意見を出していました。

協会(上告人)では、登録申請事務所の品質管理レビューによって「基準不適合事実」が認められた場合には、被上告人の品質管理委員会が上場会社監査事務所名簿等抹消リストに記載して開示することになっています。このたび、上告人(監査事務所)は上記品質管理レビューにおいて限定付き結論に至ったため、協会(上告人)としては被上告人事務所を抹消リストに記載することになりました。しかしながら、上告人側はこれに異議を唱え「基準不適合事実はない、監査は適切に行った」「このまま抹消リストが開示されてしまえば、協会による当事務所への名誉毀損、信用毀損行為であり違法である」として(抹消リストの)開示の差止めの決定を求めた裁判です。

原審(東京高裁)は「不適合事実なし」と判断して抹消リストの開示差止めを認容しましたが、最高裁は原審判断は是認できないとして破棄差戻しを命じています。法廷意見は(「品質管理基準」の解釈を通じてではありますが)監査手続きにおけるリスク・アプローチに基づいて、どこまでの監査手続きをとるべきか・・・という点にまで踏み込んで再度の審理を求めているところが興味深い。

なお、3名の裁判官から補足意見が出されており、概要「被上告人の判断は専門性・(公的機関に準じた)独立性が要求されるので、その裁量権は広い」との理由、「リスク・アプローチに基づく監査手続きにおいては、ここに注目して差戻し審理を行うべし」との理由など、こちらも会計監査への司法的アプローチを知るうえで参考になります。

そしてもうひとつは(金商法監査ではありませんが)「内部統制の有効性の評価等を引き受けた監査法人に債務不履行はないとされた事例」(東京地裁判決令和2年6月1日 金融・商事判例2020年12月1日号42頁)です。原告と監査法人である被告との間で、原告会社(非上場)の内部統制の有効性評価および原告会社株式評価を行うことを内容とする契約が締結された場合において、原告会社で横領事件が発生したことにより、適切な監査がなされていなかったことを債務不履行として「見逃し監査」の責任を被告に追及した事例です。

監査法人、公認会計士の倫理規程等から直ちに不正発見の注意義務が発生するのではなく、あくまでも個別の契約の解釈として(監査法人の)注意義務の内容を判断するというものです。結論は至極当然のように思えますが、内部統制の有効性監査の内容として、きちんと範囲に関する合意ができていたかどうか、監査終了後の結果の報告内容と実際の監査手続きとの間に齟齬が生じていないかどうか・・・といったところはかなり詳細に認定がされています。監査上の「期待ギャップ」は、こういった任意監査の作業においても契約前に解消し、契約中は説明責任を果たすことがなによりも大切だと思います。

いずれも判決全文を一読した程度なので、まだ理解していない論点もあるかもしれません。今後は他の参考判例などとも比較しながら、上記裁判例の意義について十分に検討しておきたいと思います。

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2020年8月11日 (火)

「会計不正」に強い企業であることを示すための工夫とは(その1)

今朝(8月10日)の日経新聞1面に「国内会計不正 5年で3倍-粉飾や資産流用・統治実効性に課題」なる見出し記事が掲載されていました。日本公認会計士協会の調査によると、2020年3月期は前年から比べて不正会計が7割増し、5年前と比べると3倍もの会計不正事件が発覚した、というもの(おそらく会計監査人が設置された上場会社の調査結果でしょう)。

2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症の影響により、さらに会計不正事案は増えることが予想されます。2200億円もの架空預金の存在が判明し、ドイツ最大の会計不正事件に発展しそなワイヤーカード社でも、昨年1月の内部告発を契機にフィナンシャルタイムズが報じたニュースに対しては「全くのナンセンスな報道」と平然と構えていました(その後、株価も回復しました)。日本企業も「会計不正など全く関係ない」と考えておられる上場会社も多いと思いますが、今後、会計不正の疑惑などが報じられる可能性が皆無とは言い切れません。

では、その自信を「見える化」してみてはいかがでしょうか。おそらく機関投資家の皆様にも、御社の「うちは会計不正とは関係ない」との宣言を形で示す姿勢に安心してもらえるはずです。そんなに費用を要することではありませんので、中小規模の上場会社でもヤル気次第で実践できるはずです。

会計不正とは無縁、との自信を「見える化」する手法として、私は御社の内部通報制度の規定を改訂して、内部通報の窓口に御社の会計監査人(監査法人)を加えることをお勧めします。現行の公益通報者保護法では、会計監査人への公益通報は「労務提供先」への通報には該当せず、「被害拡大の防止のために必要とされる第三者」への通報に該当します。つまり、通報者は通報事実の「真実相当性」を証明することができなければ(労働契約法上)保護されません(消費者庁の公式見解では、株主や会計監査人への通報は、いわゆる「3条3号通報」と解釈されています)。

しかし、会社が内部通報の窓口として会計監査人を追加していれば、通報者は「会計不正」の確証となる資料を持参していなくても「3条1号通報」として保護の対象となります(公益通報者保護法2条1項本文参照)。つまり通報者は「誤謬」なのか「不正」なのかわからないけど、ともかく不適切な会計処理が行われた、もしくはこれから会計処理が行われる可能性が高い、と思えば、当該事実を会計監査人に伝えることで公益通報者として保護の対象となります。従業員による通報のハードルを下げることは、まさに経営者の「会計不正根絶」の自信を示すものと言えます。

したがって、対外的に「当社は会計不正とは無縁であります」と宣言して機関投資家に信用してもらうためには、会計監査人と協議のうえで、会計監査人を内部通報の窓口として追加すること(「労務提供先等」の「等」に含めること)がひとつの工夫となります。ただし、通報事実については秘密を守ることが必要となりますので、通報後の調査体制についても、どこまで会計監査人が主体的に関与すべきなのか、あらかじめ協議をしておく必要があると考えます。

まだまだ「会計不正に強い企業であること」を機関投資家に示すための工夫はほかにもありますが、また別の機会に述べてみたいと思います。

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2020年7月31日 (金)

KAM(監査上の主要な検討課題)の決定に経営者が関与することのメリットについて

今週号の週刊経営財務(7月27日号)では、KAM(監査上の主要な検討課題)の早期適用を行った上場会社の事例分析が特集されておりまして、会計監査や経理・財務に関わる方々の間ではKAM開示に関する運用実務の検討が進んでいるものと拝察いたします。私も会計・監査実務には素人ながら、このKAMの運用についてはとても興味を持って勉強しております。

2021年3月期決算から強制適用となるKAM開示は、監査報告書の品質を向上させ、経営者と投資家・株主との建設的な対話を促すための新しい制度として期待されているところです。ただ、先日も、こちらのエントリー「KAM(監査上の主要な検討課題)導入は監査法人と監査役等だけで盛り上がってはいけない」において申し上げた通り、監査役等(監査役、監査委員、監査等委員)や会計監査人の間で盛り上がってはいるものの、経営者ご自身が、本気で理解しようとされているのかどうかは疑わしいのが現状です。

そこで、上場会社の経営者がKAMの決定に関与することには、経営者自身にもそれなりのメリットがある、ということを考えてみたいと思います。もちろんKAMを決定するのは会計監査人ではありますが、これまでの早期適用の事例をみておりましても「特に重要であると判断した事項」としては、決算において見積りが必要となる事項が圧倒的に多い。たとえば固定資産の減損、関係会社株式の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金の計上等が代表例です。これらの事項については、どうしても経営者の将来予測や過去から現時点までの財務報告の分析を必要とするものであり、会計監査人がKAMを決定するにあたっても、原則として経営者の考え方を知る必要があります。

ところで、「会計上の見積り」について事後的に異なる結果を生じた場合には「誤謬」に該当するケースもあり、過年度に遡って見積りの変更が必要となる場合があります(なお、今回のコロナ禍における会計上の見積りについては4月10日付「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」参照)。そのようなケースでは上場会社役員の虚偽表示責任(金商法上の損害賠償責任)が問われるケースもあるわけですが、たとえ誤った見積りが行われたとしても、そこに経営者の過失はなかった、と認定されれば責任は否定されることになります。

当ブログでは、過去に何度も申し上げておりますが、取締役の注意義務違反の有無を判断するにあたり、会計基準の選択や解釈については、広い裁量が認められており、合理的なプロセスに沿って会計上の見積りがなされているのであれば、当該裁量の範囲内にある、もしくは公正な会計慣行に反するとしても過失までは問えない、とされる裁判例が圧倒的に多いと思われます(たとえば関係会社株式の減損に関する大阪地裁判決平成24年9月28日、大阪高裁判決平成25年12月26日-いわゆる三洋電機株主代表訴訟、工事進行基準と総原価発生見通しに関する東京高裁判決平成29年2月23日、貸倒引当金の計上不足に関する宇都宮地裁判決平成23年12月21日等)。

このたびのKAM決定事項(とくに監査人が重要と判断した事項)についても、有価証券報告書の記述情報を充実させなければならない現状において、経営者の見積りに関する考え方が(会計監査人に対して)明確に示される必要があります。「KAMに関する監査人との交渉は経理担当者や監査役がやればいい、結果だけ知らせてくれたらいい」といった気持ちで誰かに任せるのではなく、経営者自身が見積りの合理性を支える考え方を示すことが求められます。そのような「経営者のKAM開示に関与するプロセス」こそ、(誤った見積りによって)後日「財務報告の虚偽表示」が認められたとしても、経営者の裁量権逸脱もしくは過失(注意義務違反)による損害賠償責任は認められないという結論に導けるものと考えられます。

なお、以上は全くの試論にすぎませんし、いまだ法的な議論が(有識者の皆様の間で)なされているわけでもありません。ただ、今度こそ、投資家との建設的な対話を促す有価証券報告書、監査報告書が作成されるように、経営者の皆様にもKAM開示の議論の中で盛り上がっていただきたい。そこで、上記のような議論が少しでもお役に立つのであれば幸いです。なお、会計・監査に関連した記述に誤りがございましたら、またご指摘いただければ幸いです。

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2020年3月19日 (木)

令和元年改正会社法における「補償契約」を会計監査人に適用することの違和感

某会計雑誌の「会社法改正特集」を読んでいるときに、ふと思ったのですが、このたびの会社法改正には「補償契約制度」が新設されており(会社法430条の2)、たとえば粉飾決算によって会計監査人が第三者から「監査見逃し責任」を追及された場合(会社法、金商法等を根拠として)、会計監査人が負担する賠償金とか弁護士費用を会社が負担することも、会社との補償契約締結によって可能になります(ただし上場会社の場合には、契約締結にあたり取締役会の承認決議が必要です)。

「健全なリスクテイク」を会社法制度の面からも支えよう、ということで「補償契約制度」が設けられたわけでして、取締役や監査役の防御費用、対第三者損害賠償(損失)を会社が負担することについては理解できます。しかし、会計監査人と会社との関係で補償契約を締結する積極的な趣旨はどこにあるのでしょうか。すくなくとも「健全なリスクテイク」とは関係なさそうです(いくらリスクをとれ、といっても、監査の失敗まで奨励できないはず)。

会社と会計監査人は委任に関する規定に従う、ということなので(会社法330条)、これまでも民法の規律によって会計監査人に必要な費用を会社に請求できることになりますが(民法649条、同650条)、この必要な費用の範囲が明確でなかったので、これを明確にする趣旨である、ということになるのでしょうか(そもそも、これまで監査見逃し責任が問われた事例において、監査法人の訴訟遂行費用や賠償金を会社が代わりに支払った、という例などあるのでしょうか?)

しかし、会計監査人には職務の独立性が求められるわけであり、いくら会社との関係が「委任契約」に基づくものであったとしても、実質的には株主、投資家、会社債権者(たとえば金融機関)のために監査業務を行う立場にあります。会計監査人の負担する賠償金や弁護士費用まで会社が支払ってくれる、ということになりますと、補償契約を締結していない会社の監査には厳格だが、締結している会社には甘くなる、ということになりませんかね?補償契約やD&O保険の会社法規律に会計監査人が含まれることに、やや違和感をおぼえるところです。

少なくとも「外からみたら利益相反状況にある」ということで、このあたり、会社法監査を担当される監査法人さんは、補償契約は(職務倫理上)一切締結しない、といった申し合わせとかあるのでしょうか?

仮に会計監査人も補償契約を締結する場合、通説では「補償契約を締結していても、個別の事情によって補償しない、という判断は可能」と言われています。また、モラルハザードに陥らないように、「通常要すべき費用」の解釈や実際の支払の可否は健全性を担保するための措置(たとえば監査役会の判断)によって支払いを拒否する運用になると思いますので、会社としても難しい判断が迫られそうです。

会計監査上の「二重責任の原則」(財務諸表の作成に関する責任は経営者にあり、監査意見に関する責任は監査人にあるという責任分担原則)といったことは、そもそも会社法改正の際に検討されていたのでしょうかね?実務上の混乱が生じないように、令和元年改正会社法が施行されるまでに、このあたりの法的な整理が必要だと思います。

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2020年3月11日 (水)

日本郵政に巨額減損処理の危機?-経営陣にちらつく三洋電機株主代表訴訟大阪高裁判決

3月10日の日経と朝日の朝刊に、日本郵政が2020年3月期に保有株(ゆうちょ銀行株)の減損処理をする可能性が出てきた、と報じています。ゆうちょ株の時価はコロナ・ショックで急落、簿価の半額以下になっているからだそうです。

減損の処理を行うとなりますと、対象が子会社株式なので連結財務諸表には影響ありませんが、単体では利益剰余金がマイナスとなり、配当に影響が出てきます。現行の会計基準だと、子会社株式の時価が取得価格の50%程度下落し、取得価格程度まで回復見込みが合理的に認められないかぎり減損処理が必要になります。つまり、例外的に子会社株式の時価に回復可能性が認められれば減損しなくてもよい、ということで、子会社株式の上場の有無によって時価算定方法は異なりますが、おそらく「5年以内に取得価格まで回復可能性があるかどうか」といった判断基準は(上場・非上場に関係なく)同じと考えられます。親会社経営者としては、当然のことながら、子会社の株価には回復可能性があると考えたいところです。

このたびのコロナ・ショックで、日本郵政だけでなく、子会社株式や持合い株式を保有している他の上場会社にも、子会社株式の減損処理の可能性があると思います。そこで、減損処理の必要性を考えるにあたり、思い出されるのが「三洋電機減損ルール」の是非が問われた三洋電機不正会計事件に関する株主代表訴訟判決です(平成24年9月28日)。当時、三洋電機は金融庁から「不正会計」と判断されて課徴金処分が下ったものの、役員の法的責任(違法配当に関する責任追及)が問われた株主代表訴訟では、大阪地裁が「三洋電機の会計処理に違法性は認められない」として原告株主の請求は棄却されました。当ブログでも、この大阪地裁判決は何度も取り上げましたね。

この大阪地裁の判決では、子会社の業績が将来的に回復が見込めるかどうか(回復可能性)、これを合理的に判断できるのは裁判官ではなく、三洋電機の経営陣であるとして、会計基準の適用や会計処理の方法については、経営陣に広い裁量権があるとされました。会計基準の適用、会計処理の方法については、経営者の経営判断の合理性が尊重された、といっても良いと思います。

さて、ここまでは結構ご存知の方も多いと思うのですが、実はこの大阪地裁判決は控訴され、1年後に大阪高裁判決が出ています(平成25年12月26日)。そして、三洋電機の減損ルールを適法とした地裁判決とはまったく異なり、「会計処理は違法である(不正会計である)」と、大阪高裁は判断しています。この大阪高裁判決は、たいへん重要な判決にもかかわらず、刊行物未登載のままになっています(その後の最高裁では「判決」ではなく「決定」で終結していますので、おそらくこの大阪高裁判決が確定したものと思われます)。

たしかに経営者は子会社の事業の将来性について、合理的な説明ができるのかもしれないが、減損処理を回避するための「回復見込み」というのは、もう少し短期的な見込みを指すのであり(相当期間内に取得価格まで回復する見込みのことであり)、単なる「事業の将来性の判断」とは自ずから異なるものである、ただ漠然と中長期で回復の見込みがあるとする立証では事業の将来性についての証拠にはなりえても、相当期間内における回復可能性を証明するには足りない、これを証明しえていない以上、会社法上の計算書類は公正なる会計慣行によって作成されたものとはいえない(つまり配当は違法である)というのが大阪高裁の判断理由のようです。

したがって、子会社株式が取得価格の50%を割るような状況にある場合、会計監査人と減損処理の必要性について協議をすることになるのかもしれませんが、安易に三洋電機株主代表訴訟の大阪地裁判決だけを念頭において「会計処理については経営判断に合理性さえ認められればよい」と認識すべきではない、と考えております。三洋電機の経営陣の方々は、「違法配当の責任」をなんとか「過失なし」ということで免除されましたが、このように大阪高裁判断が下った以上、これからは減損の可否判断の前提となる「将来見積もり」の合理性判断においては、十分な資料と十分な議論に基づき、経営陣として善管注意義務を尽くす必要があると思います。

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2020年2月17日 (月)

会計不正事件の王道「架空循環取引」は増えることはあっても、減ることはない

2月14日、東芝は連結子会社の東芝ITサービスなど複数のIT(情報技術)企業が関与した架空取引についての調査結果を公表しました。これに先立ち、2月13日に、従業員が同取引を主導したとされるネットワンシステムズが、特別調査委員会の中間報告書を公表しましたので、こちらの報告書を一読いたしました。

まず、取引に関与していたいずれの会社においても、国税によって取引の疑義を指摘されるまで、架空循環取引が行われていたこと(取引に関与していたこと)は知らなかった(わからなかった)と発表しています。さらに、会計不正事件を起こさないために、徹底的に内部統制システムを見直しておられたネットワンシステムズでさえ、5年以上にわたる架空循環取引を発見できなかったのですから、多くの上場会社において架空循環取引を許容する環境が構造的に存在しているのであり、今現在でも、多くの会社で架空循環取引が繰り返されていることは間違いないでしょう。

これは私の経験からですが、日本企業において、架空循環取引は今後増えることはあっても、減ることはないと思います。商品・サービスの現実的な移転を伴わないが、経済的合理性はあるとされている商流(商慣行上の介入取引)はいくらでもあります(カネボウ事件の「備蓄取引」、IXI事件の「紹介取引」、福岡魚市場事件の「ダム取引」等)。今回のネットワンシステムズの事例でも経済的な合理性のある取引(商流取引)と架空取引との境界線はあいまいです。

平成25年の「監査における不正リスク対応基準」の開発の際、会計監査人による取引先へのヒアリングの可能性が議論されましたが(結局、「取引先監査人との連携」が審議されたところ、多くの問題があるとして「継続審議」とされましたが)、取引先担当者も協力、関与することが架空循環取引の特色となりますと、もはや一企業の社内調査で発見することは困難です。

そして、私が「架空循環取引はなくならない」と考える最大の理由は「営業社員への会社の評価方法」です。架空循環取引を主導する営業社員は、いずれの事件でもチームリーダーだったり、各グループ会社、各部門、各支店の売上に多大な貢献を残してきた人が多いのです。では、なぜ彼らは結果を残し、会社から評価をされてきたのか・・・。

私事ではありますが、近日、架空循環取引が発生する根本原因の解明と、これを前提とした再発防止策・早期発見策について、某会計専門誌に論稿を掲載する予定です。詳しくはそこで述べますが、上場会社が「架空循環取引」の防止、もしくは早期発見を本気で検討するのであれば、日本企業が直視したくない「不都合な真実」に真剣に向き合う必要があると考えます。そうでなければ、いつまでたっても第三者委員会報告書に出てくるような「上司のプレッシャー」だとか「内部監視機能の不全」だとか「売上至上主義の体質」といったお決まりの発生原因への対策でお茶を濁すだけで終わってしまうように感じます。

 

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2019年12月25日 (水)

注目度が増す「自己創設のれん」に対する上場企業の法務・会計リテラシー

今朝(12月24日)の日経新聞では、1年間にわたって日経が特集してきた「Neo Economy」の総まとめ記事が掲載されていました。私の場合は3月15日の「経済教室」(日本経済研究センターの研究員の方の論稿)、6月8日の米国MITのヒダルゴ准教授のインタビュー記事などがとくに興味深く、中長期的な企業価値を重視する機関投資家が、企業の「有形資産」ではなく「無形資産」を評価する時代になったことを痛感しました。

今朝の特集記事に添付された図表でも、世界企業の時価総額のうち、77%が非開示の無形資産とされ、米国では61%の無形資産がGDPに計上されていないことが掲載されています。

また、「無形資産」は「情報化資産(ソフトウェア、データベース)」、「革新的資産(R&D、知財、デザイン)」そして「経済的競争力(人財、ネットワーク、組織変革)」に分類されるわけですが、前の2つは一年で20%ずつ陳腐化していくので、もっとも注目される無形資産は「経済的競争力」です。日本企業の生産性向上のカギを握るのも、この経済的競争力です。

しかしながら民間GDPに占める無形資産投資の内訳をみますと、プリンストン大学の清滝教授が憂うように(9月18日日経朝刊参照)、日本は他の先進諸国と比較して極端に「経済的競争力」への投資が少ないことがわかります。AIやIoTによって問題解決能力のコモディティ化が進む中で、経済成長に必要なのは問題発見能力(独創性と社会的なつながり)と言われることに強く賛同します。まさに「自己創設のれん」への注目度が高まるものと思います。

ではこの「自己創設のれん」に日本の法務(会社法、金商法、経済法、労働法、情報法)や会計(会計基準、監査基準)はどう対応していくのでしょうか?無形資産(とりわけ経済的競争力)への投資活動が高まる中で、今後の法務、会計の有用性(発展性?)に関する、企業実務上の重要な課題ではないかと思います。

「無形資産」の担保評価は難しそうなので、金融法や市場法なども研究対象となりそうですね。来年はこのあたりの問題について、ブログでいろいろと綴ってみたいところです。

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2019年10月 4日 (金)

投資家の会計リテラシーを高めるKAMの導入について

関西電力の複数の監査役の方々が、今年6月の総会前に「経営陣が高浜町元助役から3億2000万円の金品を受領していた」事実を知り、疑問を呈していたことが、複数の関係者の証言により判明したそうです(共同通信 3日午後9時)。結局、当該事実は監査報告で明らかにされなかった、ということですが、また深刻な問題が浮上してきました(以下、本題です)。

資料版商事法務の最新号(2019年9月号)に「『監査上の主要な検討事項に相当する事項』の作成を実施して」と題する公認会計士の方(EY新日本有限責任監査法人)のご論稿が掲載されています。EYさんは三菱ケミカルホールディングスに対して「KAMに相当する事項の報告」を提出し、この6月三菱ケミカルさんは自身のHPに当該報告を公開されています。最近は話題にもなっていますので、私も講演等でご紹介しています。ちなみに「KAMの開示」は2021年3月期(連結会計年度)から適用されますので、現在は「KAMに相当する事項」ということで任意に開示されたものです。

三菱ケミカルホールディングス社とEYさんが前向きに対応したからこそ、他社の参考になるような内容の報告書(KAMは4項目)が作られたものですが、実際には前年度のKAMを元に、限られた時間内で今年度のKAMを選定しなければならなかった経緯などを読みますと、他社も経営陣を巻き込んで、けっこう早めに準備をしておく必要がありそうですね。執筆された会計士の方も最後におっしゃっていますが、ガバナンスがしっかりしている上場会社でなければ適切にKAM開示はできないわけで、いま機関投資家から要望の高い「リスク管理能力の見える化」に資する制度になりそうです。

ただ、実際に三菱ケミカルホールディングスのKAM(相当事項)の内容を拝見しますと、(公認会計士協会によるKAM試行のときから言われておりましたが)産業ガス事業の企業結合(PPAによって分けられた顧客価値に関連する無形資産とのれんの測定)、耐用年数を確定できない無形資産の評価、繰り延べ税金資産の評価など、いずれも経営者の将来見積もりや経営判断に依拠する項目が並んでいて、会計数値によって会社の実態を示すとしても、どんな計算に基づくのはよくわからないものばかりです。

私のような素人からすると「これって、ホンマに会社の実態を数値で反映できるの?」「経営者の言ったことをどこまで信用するの?」といった疑問も湧いてくるわけですが、監査人としては、おそらく専門家に逐次依頼をして評価してもらう必要がありそうですし、経営者の将来見積もりの合理性を、同業他社の過去事例などをもとにAI分析で判断することも必要になると思います。機関投資家の投資判断が、今後ますます「人財とネットワーク」なる無形資産を重視する時代になりますので、(監査のプロセスが表示される)KAMの開示はさらに注目されるのではないでしょうか。

ひとつ心配なのが「内部統制報告制度と同じ道をたどること」です。リスクを開示する、ということは、内部統制報告制度と同様、基本的には経営者には嫌なこと(やっつけ仕事?)です。経営者にとって嫌なことを「私がやりますから!お忙しい社長は黙ってみててください、つつがなく制度対応をしますから」と一手に引き受けて出世したい人はたくさんいます(笑)。「そうか!じゃ、よしなに」ということで、12年ほど前はJ-SOX対応が「金太郎飴」状態になってしまいました(むずかしくいうと「ボイラープレート化」)。KAM開示についても、企業、監査人、投資家全てが「市場の信頼性向上」にとって必要なものという意識を持たないと、どうもJ-SOXと同じ道を歩いていくような気がいたします。

このたびの企業統治改革がある程度「実効性があった」と評価されるに至ったのも、機関投資家の活動によるところが大きいと思います。ぜひ企業のリスク開示の場面においても、投資家の皆様に会計リテラシーを向上させていただき、「KAM開示に積極的な姿勢の企業は資本コストを下げてもよい」といったスタンスで新たな制度に臨んでいただければ「金太郎飴」状態は回避できるかもしれません。

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