「共謀共同正犯」を立件する検察庁の意図
猪瀬直樹さんを「名誉毀損だ」と非難しながら逮捕されてしまった内田道路公団副総裁に対して、検察庁は異例の独禁法違反の「共謀共同正犯」容疑で起訴することを検討している、と各報道機関で発表されています。
そもそも身分犯である独禁法違反被告事件(事業者のみが刑罰の対象)に、事業者ではない内田副総裁が「正犯」となるわけですから、よっぽどの理由があると思われます。(ちなみに、身分犯であっても、非身分者が身分者と共同で行う場合には、共同正犯が成立する、というのは最高裁でも認められております。たとえば女性が犯行に加わった強姦罪など)とくに「共謀共同正犯」といいますのは、犯罪の実行には加担せず、たんに「犯行の謀議に加わった」というだけで、正犯と同じ価値がある、と認定するわけですから、社会政策的にみれば、自分は犯行に手を染めないで指示するだけの「首謀者」的な者を捕まえる要請があるときに用いられることが多いわけでして、今回の内田副総裁が談合の首謀者的立場にあったか、というとこれはすこし疑問を感じるわけであります。それでは、検察庁はなぜ、これまで官製談合の際に用いられてきた刑法上の「談合罪」や独禁法違反の従犯(ほうじょ犯)よりも「共謀共同正犯」による立件をめざすのでしょうか。
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