公認コンプライアンス・オフィサー
諸事情がありまして、11日公認コンプライアンス・オフィサーの二次試験を東京まで受験にまいりました。今年3月に第一期生の方が誕生されたばかりの、まだ歴史の浅い資格試験ですが、おそらく企業法務担当者の方々や、これから企業管理部門へ就職を希望されている方が中心になって受験されていらっしゃるのではないか、と推察いたします。一次試験は4時間半で3科目マークシート150問、二次試験は総合問題の論文形式ということでして、私のような40を越えたオッサンにはかなりハードな試験であります。
ビジネス実務法務のように問題が公開されませんので、あまり詳しくは論文問題の内容を述べることは差し控えますが、今回の二次試験は①企業コンプライアンスの整備、内部統制システム構築に向けて、取締役、企業行動規範、そしてオフィサーがどのように関わっていくべきか、を問う理論問題と、②ある企業に実際に従業員による財務的な不正問題が発生した具体的な事例を想定して、その問題発生に至った経緯と、その企業の現実の倫理綱領やコンプライアンスルール、販売規約などを資料として利用して、オフィサーとしての問題点の洗い出し、およびその問題点克服へ向けた具体策の提案、という非常に実務的な事例問題でした。
良問か悪問か、など私が感想を述べるだけの実力はありませんので、けっして試験自体を評価するつもりは毛頭ございませんが、私が二次試験を受けた印象として申し上げますと、まずこの試験では2問とも「模範回答」的なものは要求されていない、ということです。企業統治やコンプライアンス、そして内部統制という言葉自体が一義的に統一されていない以上、その言葉の使用方法によってはいろんな議論が可能なわけです。この資格は(たいへん失礼な物言いではありますが)「持っているだけでは」いまのところはなんの価値もないわけですから、現場で実際に「持っている人が」使える資格でないと意味がないのです。結局のところ、コンプライアンス・オフィサーという仕事はなんでも不正防止を解決できるスーパーマンとしてのパフォーマンスを要求されるものではなく、(むしろ、そのような役割を期待されることはたいへん危険です)企業のコンプライアンス経営を支える最終責任者に対して、どういった指導ができるのか、そのために企業のなかでどのようなポジションに立つべきかという「身の処し方」と、「小さなことからコツコツと」実際の場面における問題処理ができる能力(素養)の有無こそ、もっとも試験委員の方々が知りたいところだと思われました。したがいまして、回答内容はマチマチであっても構わないわけで、むしろその回答に至った判断過程から、そういったオフィサーとしての立ち居振る舞いをわきまえているか、不正防止へ対処するための現実問題を自分の頭で解決できるか、というあたりが合否の分かれ目になってくるのではないか、との印象を持ちました。
大阪会場で一次試験を受けて、東京で二次試験を受験された方が10名ほどいらっしゃったようですが、みなさんどんな目的でわざわざ東京まで来られていたのか、そっちのほうもたいへん興味があるところでした。
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