2015年5月19日 (火)

東芝不適切会計事件への雑感(その2)-ガバナンス・コードとの関連で

私が何度も読み返している本に伊丹敬之教授の「経営を見る眼」(2007年 東洋経済新報社)があります。伊丹先生のご著書は「日本型コーポレートガバナンス」「経営戦略の論理」など愛読しているものも多いのですが、とりわけ上記「経営を見る眼」は私のような経営の素人にもたいへんわかりやすく読める好著です。

ところで、同書84頁には「会計測定という写像」について「会計測定という写像の結果は、会計数値として独り歩きを始めることがある。利益が独り歩きを始めて、ROEが企業経営の行動に影響を与えるように、写像が実体を動かすことすらある。本来写像は実体を反映するだけのものであるはずなのに、写像を気にして人間が行動を変えてしまうのである。」と記されています。会計基準の適用に裁量の幅があるとすれば、やはり自社を一番きれいに写す方法を選択するのは当然ですが、あまり気にしすぎると「粉飾」リスクが生まれる、ということでしょうか。

また、同じく226頁には、人間の管理システムのむずかしさが語られています。管理システムの一環として、上司の(部下に対する)情報収集は大切ですが、「そのような管理のための上司による情報収集は、高次の経営判断のためであり、現場の実態を知る必要がある。・・・しかし、どのような目的で情報が収集されるにせよ、情報を集めれば、それに部下は反応してしまう。意図して集めている情報を焦点に行動を変えさせたいと思っていなくても、情報を集めればその情報をお化粧する方向で部下は反応することが多い。」とも述べられています。組織の管理システムは、上司がいかに部下の行動に影響を及ぼすかが大切だそうですが、不可避的に部下の「お化粧インセンティブ」にも影響を及ぼすことがあります。いずれもコンプライアンス経営にとって名言であり、実務上不正防止や不正発見に活かしたい内容です。

しかし、私的にたいへん尊敬する伊丹教授が、このたびの東芝社の社外取締役であり、とりわけ指名委員会等設置会社における監査委員会の委員である、という事実は、なんともショッキングです。ご承知の方も多いと思いますが、会社法上で認められている機関設計のうち、執行と監督の分離が最も進み、コーポレートガバナンスの理想型とみられているのが指名委員会等設置会社です。東芝社の場合、取締役5名(うち社外取締役3名)で構成される監査委員会が設置され、なんと監査委員会専属のスタッフも5名いらっしゃるとか。まさにスピード経営とモニタリングの充実を兼ね備えたガバナンスのお手本ではないかと思います。

そのような理想のガバナンス体制を具備した東芝において、かなり規模の大きな会計不正事件が発生(発覚)した、というのは、ガバナンス・コードの適用を間近に控えた証券市場にとってはかなりショックな出来事ではないでしょうか。今回の件は東芝社固有の事情によるものだと信じたいところですが、第三者委員会報告書の内容次第では、これだけのガバナンス体制を備えた東芝でも起きたのだから、これは東芝社だけの問題ではない深刻な課題と評価せざるをえないのかもしれません。

このたびのガバナンス改革は「攻めのガバナンス」の実現であり、会計不正の未然防止や早期発見を主たる目的とする「守りのガバナンス」の実現とはやや異なります。しかし適切なリスクテイクを図る前提として、機関投資家はリスク管理能力にも関心を向けているはずであり、そこに問題があれば資本コストは上がるはずです。やはり、ガバナンス評価は(これまでのような)組織の仕組みの問題にとどまらず、たとえば社外取締役はどのよう行動によって中長期の企業価値向上に役に立つのか、といった将来のストーリーの問題であり、またこの1年、どのように貢献したのか、という過去の業績評価の問題こそ重要な要素になるものと考えます。

もちろん、昨日のエントリーでも書いたように、どのような経緯で会計不正が発覚したのかはいまだ不明ですが、「攻め」に強い社外取締役さんは「守り」にも強い、というのが私の持論なので、このような工事進行基準の不適切適用に基づく会計不正の発見は、取締役会における報告や議論によって、その予兆は見出せたのではないかと考えています。後だしジャンケンによる想像ではなく、定例の取締役会での議題審議や報告において、なにか違和感のある話が出ていたのではないかと。もし、そのような違和感すら感じられないほどに巧妙な会計不正事件だったとなれば、社外役員の存在は企業不祥事の予防や発見には無力ということになってしまいます。適切なリスクテイクのために社外役員が活用される時代だからこそ、どうすれば守りのガバナンスも機能するようになるのか、そのあたりも今後のガバナンス・コードの実施の中で検討されるべき課題だと思います。

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2013年5月10日 (金)

会計監査人の過失は「会社の過失」と評価される?

おかげさまで拙著「法の世界からみた会計監査」が本日(5月9日)第4刷の発行(3回目の増刷)が決定いたしました。どうもありがとうございます。<(_ _)>

さて、あまり大きく報じられておりませんが、昨日(5月8日)の日経ニュース、時事通信ニュース等で、名古屋鉄道から出向していた社員が、出向先である愛知高速交通社の会社資金を横領した事件に関する判決が出ております。

この出向社員は、愛知高速交通の会社資金6,360万円を横領したそうですが、愛知高速と出向元の名古屋鉄道との間では、もし出向社員が不正によって出向先企業に損害を与えた場合には、その補償を行う旨の合意が締結されていたようです。刑事事件に発展した横領事件により、愛知高速交通さんは名古屋鉄道さんに6,260万円の損害補てんを求めて提訴したところ、名古屋地裁は損失補てんに関する両社の合意の存在は認めたものの、愛知高速鉄道さんにも「監査を怠り、会計監査人にも落ち度があった」として、結局は請求額の半分の3,150万円程度の損害賠償のみが認容されたそうです(時事通信ニュースはこちら

ニュース記事だけでは、どのような法的構成によって請求額の半分だけが認容されたのかはわかりませんが、おそらく契約責任として、法人である名古屋鉄道さんの責任が認められたように読めます(ちなみに日経ニュースのほうでは、裁判官が判決理由の中で、元社員は愛知高速交通における実質的な出納責任者としての立場を悪用した、名鉄の責任については、出向中の社員が損害を与えた場合補償するとした契約の有効性を認めたが、愛知高速交通にも「経理業務を元社員に任せ、十分な監査を行わなかった」と過失を認定した、と報じています)。

(時事通信と日経のニュースを併せ考えまして)愛知高速交通さんの過失の内容として、会計監査人の過失が認められたとすると、会計監査において、社員の横領の事実を見逃したことが、会計監査人の過失とされているようです。これが会計監査人の過失(落ち度)ということになりますと、愛知高速交通さんとしては、「ちゃんと会計監査をしてくれていれば、満額の損害賠償が名古屋鉄道さんからとれたではないか」といった主張につながり、今度は愛知高速交通さんが会計監査人を訴えることになるのではないでしょうか?(もちろん、愛知高速交通さん自身の監査にも問題あり、ということですから、全額求償、というわけではありませんが)。

愛知高速交通さんは非上場大会社(資本金29億円)なので、会社法上の会計監査人設置会社(会計監査人を設置しなければならない株式会社)にあたります。プロの会計士さんがリスク・アプローチによって計算書類の監査を担当されていたわけですが、この裁判の中で、ご自身の注意義務違反の有無について、防御の機会が与えられていたのかどうかは不明です。ひょっとすると、当事者だけが裁判に関与して、その攻防の中で会計監査人のミスが指摘された、という構図なのかもしれません。いずれにしても、会計監査人は社内の人間ではありませんが、過失評価の対象としては会社の過失と同等に評価される、というのはこれまであまり考えてこなかったところではないかと。

私的な意見ですが、契約責任を論じるにあたり、会計監査人のミスは会社のミス、と評価することには、やや違和感を覚えるところもございます。会計監査人というのは社内の従業員でもないし、会社の機関といえるかどうかも微妙です。ちなみに江頭先生の「株式会社法」第4版560ページでも、「会社法は会計監査人を『機関』とみているようでもある(会社法326条2項)」と記されており、うーーん、どっちなんだろう?といった印象が残ります。講学上の興味からではありますが、この名古屋地裁の判決、どなたか関係者の方が当ブログをご覧になっておられましたら、こそっと見せていただけないかと(まぁ、無理でしょうね・・・笑)

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2012年10月15日 (月)

金融庁・不正対応監査基準を法的に考える(その2)

さて素案が出ております金融庁・不正対応監査基準を法的に考えるシリーズは、今回が実質的には3回目のエントリーでございます。今回は、もっとも私的に関心の高い不正リスクの評価と不正の端緒との関連性についてであります。これを法的に検討するにあたっては、ナナボシ監査見逃し事件の大阪地裁判決(平成20年4月18日)と、大原町農協監査見逃し責任の最高裁判決(平成21年11月27日)が参考になろうかと思われます。なお会計監査人の方にとりましては、法的責任とは別に行政処分(懲戒処分や課徴金処分)についても関心が高いものと思いますが、ここではあくまでも民事上の法的責任を念頭に置いていることをご理解ください(監査基準はあくまでも監査人の行為準則であり、ダイレクトに民事上の責任の根拠となるものではございません)。

不正の端緒(不正による重要な虚偽表示の端緒)というのは、この監査基準素案によりますと、これを示す状況を監査人が認識した場合に調査対象となります。通常の監査計画に基づいて監査を行っていたところ、不正の端緒を示す状況を知った場合には、そこから一気に緊張関係が高まり、法的には結果回避義務が具体的に特定されるようになるものと思います(ここまでは、比較的わかりやすい議論かと思います)。

しかし、ボーっとしていた監査人、手抜きをしていた監査人は、不正の端緒に気付かないので、結果回避義務が発生せず、むしろ有能な監査人ほど不正の端緒に気付いてしまうために、法的に求められる経過回避義務のレベルが高くなる(つまり過失が認められやすくなる)というのも、なんだかおかしくないでしょうか?いや、たしかにおかしいですよね。こういったことについて、監査役(正確には監事)の法的責任を認めた大原町農協事件判決の考え方が参考になろうかと。

つまり不正の端緒という概念は、監査基準上のものではありますが、法的にみると不正の端緒が一般的な水準の注意義務を有する監査人にとって明白な場合と、そうでない場合とに分けて考えることができるものと思います。たとえば、監査人にとって不正リスクが高いものと評価せずに監査計画を立てて、その計画に従って監査手続きを履行しているケースでは、この不正の端緒の存在が「明白な場合」にのみ監査人の注意義務違反が問われることになります。また、不正リスクが高いものと評価していた場合もしくは高いものと評価すべきであった場合には、そもそも監査手続きが「不正による虚偽表示は見逃さない」といった注意モードに入っているわけですから、たとえ不正の端緒が監査人にとって「明白な」ものとは言えない場合でも、直ちに注意義務違反の認定が可能になってくる、というものです(現に、ナナボシ事件大阪地裁判決は、このたびの監査基準草案に出てくる「不正リスク評価の例」のうち、経営者に対する極度の売上向上のプレッシャーや絶対的支配者たる地位など、いくつかの事実を認定して、そこから監査人の不正発見義務を導きだしています)。

不正対応監査基準が出されたからといって、一気に不正監査の手順を厳しくしなければならない、ということになりますと、監査法人としては報酬額を上げざるをえないことになり、経済団体からも反対が表明されることになろうかと思われます。また、投資家保護のための監査という制度監査の趣旨からみても、過剰な監査になろうかと思われます。ただ、不正を許さないための監査基準ということなので、監査人としては、どこかでシフトチェンジしなければなりません。したがいまして、監査計画策定の段階であれば不正リスク評価(ただし、これはいまでもリスク・アプローチ監査のなかでは当然のことかと思いますが)、そして期中であれば不正の端緒(もしくはこれを示す状況)によって、監査人と会社側との緊張関係の高まり(もしくは更なる監査への協力関係)が必要になってくるわけであります。

法的に見ましても、監査人を訴える側において不正の端緒(もしくは不正の端緒が明らかであること)を主張・立証し、監査人側においてこれに反論する、という流れになろうかと思います(膨大な監査調書を原告側で精査する必要はないかと)。そして不正の端緒が存在するケースにおいては、これを見逃したことについて監査人側に落ち度がなかったことについては監査人側で主張・立証する、ということになるのでしょうか。これが訴訟における双方の負担という意味においてもバランスがとれていると思われますし、当事者対等主義による民事訴訟法での真実解明にも役立つものになります。

このように考えますと、今後はこういった不正対応監査基準を拠り所として、公認会計士・監査法人の法的責任が問われる事例が増えてくることは間違いないところかと思います(とくに金商法24条の4を根拠としたものが増えるのでは・・・)。ただ、訴訟を起こされる件数が増えることと、監査人が訴訟で敗訴することとは別でありまして、むしろ争点の形成が上で述べたような形になりますと、被告である監査人側も反論がしやすくなり、結局のところは監査人が勝訴する裁判が増えるように思います。その増えた裁判例から、おそらく一般の投資家にも「監査人の職務とはこういったものなのか」と理解されるようになり、次第に「期待ギャップ」は埋まることになるものと期待しております。そして最終的には裁判結果について監査人側にも投資家側にも予測可能性が生じますので次第に裁判は減ってくるのではないでしょうか。つまり、投資家も期待ギャップの意味を知る努力をしなければならないのですが、いっぽうで監査人側も、数々の裁判を通じて、期待ギャップを埋めていく努力が必要だと思います。

いろいろと私的な見解を述べてみましたが、いずれにしても会計基準や監査基準の改訂は不正のあぶり出しにはたいへん効果がございます。オリンパス事件も金融商品会計基準の改訂が「あぶり出し」のきっかけになりましたし、またアイ・エックス・アイ事件につきましても、メディア・リンクス事件の教訓を活かしたソフトウェア取引の売上計上基準の改訂(総額主義→純額主義)が発覚の要因であります。このたびの議論が、不正会計の早期発見に資するものとなるよう、関係者の皆様方のご尽力に期待する次第であります。

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2011年4月11日 (月)

「便乗V字回復企業」への危惧

東証の決算発表予定一覧表によりますと、いよいよ来週あたりから3月決算会社の開示が本格的に始まるようであります(まだ未定の上場会社さんも結構多いようですが)。このたびは「(発表は)時期にとらわれる必要はない」そうですが、震災が業績に与える影響がどの程度なのか、投資家は注目しているので、できるだけ正確な開示がなされるよう努力していただきたい、というのが世間の期待するところです。

ただ、こういったことを申し上げるのは不謹慎であることを承知のうえでありますが、今回の震災は(被災地だけでなく)全国の上場会社の業績に影響があることはすでに報道されているところでして、そうなりますと「震災に便乗する」情報開示も出てくるのではないか、というのが懸念されるところであります。

便乗の動機づけとして最も強いのが「粉飾隠し」だと思います。これまで簿外債務や循環取引等によって、表に出ていなかった「不適切な会計処理案件」を、今回の震災による業績悪化のなかで一気に解消させてしまうというパターン。監査人も、会社側から「損失はできるだけ保守的に見積もって計上した結果です」と言われれば、(その中に過去の不適切処理案件が含まれていても)文句がいえないのではないでしょうか。また、そもそも業績が悪い、と開示するわけですから、税務調査等によって粉飾が発覚する可能性にも乏しいわけです。

さらにもっとスゴイのが「便乗V字回復」志向ではないかと。業績が今後飛躍的に伸びる可能性はないけれども、今回の震災関連の損失で一気に落としておいて、次年度以降に一気に回復したことを演出する(たぶん、このような手法は過去にも実際にあったような・・・)。経営手腕による業績悪化が株主や投資家から指摘されにくい今こそ、企業業績が向上していないにもかかわらず、企業価値が上昇したかのような外観を作出することを企図する企業経営者も出てくるような気がします。

会計不正事例を学ぶにあたり、私はよく年配の会計士の先生方から

以前から粉飾はたくさんあったんだよ。あんまり問題にならなかったのは、どこの会社も右肩上がりで業績が良かったからだよ。上場のときに無理しても、そのツケを好調な業績に紛らせることで何もなかったことにできたんだよね

と教えられました。ということは、今回のように誰もが業績の一時的な悪化はしかたがない、といった風潮のなかで、過去のツケを紛らせることも、やはり可能ではないかと思われます。また、それは「不正のトライアングル」的な言い方をすれば、「正直に開示しても誰も喜ばない。みんながハッピーになれるウソならば許容されるし、気がついた人がいても黙認してくれる。『企業倫理』という言葉は、事業を継続できる会社こそ言えるのだよ」ということになるのでしょうか。

こういった事態でもまじめに被害状況の把握に取り組み、誠意をもって情報開示する企業と、こういった事態を利用して、さらに不適切な開示をもくろむ企業とを、今後どうやって見分けることができるのか、とりわけ会計監査に携わる方々やアナリストの方々の御意見を拝聴してみたいものであります。そういえば、先の年配の会計士の方々いわく、

僕たちの時代は、経営者と飲みに行ったり、遊びに行ったりしていたから、「こいつ、悪いこと考えとるな」と顔見たらわかった。だから、「社長、ここまでは目をつぶるけど、これ以上の粉飾はダメですぞ」と念押しできた。今は遊ばんから、わからんし、念押しする機会もなくなったなぁ。

ということは、やはり経営者の資質によるところが大きいのでしょうかね。

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2005年9月20日 (火)

不正監査を叫ぶことへの危惧

昨日も中央青山監査法人の理事長らが東京地検特捜部に事情聴取を受けた、などカネボウ(元担当)社員の個人責任とは別に、「虚偽報告」に関する法人責任追及へ向けた捜査が進んでいる、との報道がありました。ここのところ、会計士さんのブログを中心に、不正監査に関するエントリーをたくさん読ませていただきました。会計監査人に「不正追及」を目的とする職責を規定しようとする金融庁の動きや、東証から会計士協会へ「不正監査防止への取り組み」の申し入れ、会計士協会から会員への「粉飾への関与防止のメッセージ」など、とりわけ監査を担当する会計士さん方の仕事の質が変わるのではないか、と思わせるような風潮が感じられます。

「不正監査の糾弾」が、ここまで社会問題化しますと、ちょっと怖い気もします。若い会計士さんが、(職員というのでしょうか、社員というのでしょうかね?)一生懸命に新しい会計基準を勉強され、これに基づいて企業の会計担当者と監査内容について審議することは結構なことですが、不正経理への関与を恐れるあまり「杓子定規」な運用以外は認めない、という硬直化した態度になってしまって、経理マンさん方を困らせるという事態になってしまわないか、という危惧があります。たとえば、つい先日のエントリーで問題となっておりました「連結はずし」の問題などについても、基準でいけば、どこまでなら「連結」からはずしてよいか、という判断は本来非常に難しいもののようです。そこで誰がみても基準をクリアしているような要件を具備した場合しか「連結はずし」を認めない、それが「粉飾決算に関与してはいけない監査人」としての立場上やむをえない、という態度が今後浸透していくとしたら、これは少し専門家として問題が出てくるのではないか、とも思ったりします。

もちろん、監査法人が今後自身の内部統制のための統制環境として、「すこしでも粉飾と疑われるような態度をとってはならない」という企業倫理綱領を社員全体に伝播させることは、立派なものであって、否定するわけではありません。しかし、先に述べたような専門家の態度は、その職務をまっとうするにあたって「頭を使う必要がなくなる」「思考が停止する」ものとなって、専門家としての社会で期待される「実力」が伸び悩む結果を招来してしまうんじゃないでしょうか。

弁護士の仕事をしておりますなかで、一般民事事件を扱う弁護士のほとんどが「破産開始決定」の申立代理人、というのを経験いたします。いわゆるサラ金破産というものを念頭に置いていただくとわかりやすいと思いますが、代理人弁護士が就任している申立ですと、裁判所が発行しております「申立定型書式」というものを用いることが可能でありまして、ここに破産相談者から聴取した必要事項をツラツラと書き連ねますと、「一丁出来上がり」になるわけです。それで、「この人は誰がみても免責を得て当然」と思える相談者の場合には、あまり苦労もせずに申立に至り、そのまま数ヵ月後には免責されるということで、ほとんど「思考を巡らす」こともなく報酬を頂戴することとなります。しかしながら、現実にはそういった相談者ばかりではありません。ギャンブル、高価品購入、遊興、アコギな金貸しに騙されて一般サラ金から詐欺まがいでの借り入れ経験など、一見すると「あんたは追い込みかけられたほうがええんとちゃうの?」と思わせる事情をお持ちの方もいらっしゃいます。まあ、それでも刑事事件の「執行猶予」のような感覚で、「今回だけは破産決定をもらえるように努力してみましょう」ということで仕事を請け負うわけです。「裁判所にウソの申立」をすれば免責不許可となりますし、弁護士としての責任問題に発展しかねませんので、ウソの陳述はできません。しかしながら、一生懸命その相談者の「免責許可が出ることに有利な事情がないか」を探します。その事情がみつかったら、その事情があることを立証できる書類がないか、考えます。そういった仕事はまさに思考と経験に基づくものでありまして、だからこそ「代理人弁護士」としての報酬に見合うものとなります。

最近のエントリーにいただいたコメントを拝見して、会計士さんの現場における仕事についても「会計基準」を杓子定規に適用すれば「一丁あがり」でなく、いろいろな判断を迫られるケースがあることを知りました。足利銀行の件で中央青山監査法人の監査が問題となっておりますが、そこに出てくる「繰り延べ税金資産」計上にかかる「将来収益の見込み」などというものもそうですし、エントリーでいただいた「K」さんのコメントにありましたように「どういった事情があれば連結はずしが可能か」ということも同様です。企業自身のためでなく、投資家のためにこそ「監査」があることは当然ですし、そのために「監査は確実な根拠に基づいてなされなければならない」という原則も理解はできます。しかし会計の作成者が会社であって、監査はその「相当性」を判断するにすぎないとしたら、会計監査人に1から5までの裁量の幅があるとして、監査人は1、経理担当者は5という結論を出したいと考えている場合に、まず「5」という結論も「裁量を逸脱した結論ではないかどうか」を考え、裁量の範囲であるならば、5の結論を出せる可能性をいろいろと考えてあげることも「相当性判断」のために必要ですし、そこに専門家としての思考と経験がまことに要求される仕事ではないかと思います。そこで意見がどうしても食い違って、不適正意見を出すのか、辞任するのか、それとも不正に手を貸すのかはまた別問題ではありますが。

新会社法のもとでは、監査役は会計監査人の報酬についても決定権を持ちます。したがいまして(あくまでも理想論ではありますが)監査役は自社の会計監査人の仕事ぶりから、その適正な報酬額を決定しなければなりません。企業会計の相当性判断にあたって、いかなる裁量の幅で、どういった事情により、どういった監査証拠を重視して、どういった結論に至ったのか、「監査役自身に株主への会計監査の説明責任」がある以上は、会計監査人に説明義務を十分尽くしていただいて、その報酬適正の是非についても検討する必要が出てきます。ついこの間まで、私は「会計監査の仕事というものは、100点とって当たり前の仕事。100点とっても誰も褒めてくれないのはツライだろうなあ」と考えておりましたが、法律で第三者が適正な報酬を判断することになる以上は、そうも言っていられませんし、株主に合理的な説明ができない以上監査役の責任に跳ね返ってくる、ということであれば、会計監査人の方のお仕事を評価する基準自体も検討されなければいけない時代になってきたように思われます。

今回の一連の会計不祥事が、どのような社会現象を招くことになったとしましても、そういった専門家としてのバランス感覚だけは見失わないでいただきたい、と(とりわけ)若手の優秀な会計士の方には期待をする次第であります。

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