2024年10月24日 (木)

今年の「会計監査界隈」で注目すべき事件(サンテック事案を追加)

Img_20241023_215704950_512 本日発売の竹内まりや「プレシャス・デイズ」を入手いたしました。デビュー45周年記念アルバム、前作から10年ぶりということで、学生時代からずっと「杉真理(まさみち)&竹内まりや」を追いかけてきた者としては、新曲「Days Of Love」をはじめ、ナミダモノの18曲です。69歳にして衰えない「まりや節」を拝聴できました。全曲解説付きの豪華44頁ブックレットを「老眼鏡」で読んでいる私はすっかり高齢者であることを実感します(笑)。

さて、10月17日に「今年の『会計監査界隈』で注目すべき三大事件について」なるエントリーを書きましたが、匿名さん(開示は控えてください、とのことでコメントは載せておりません)から「これも重大事件では」とご教示いただいたのがサどうもありがとうございます!)。たしかに第三者委員会報告書を読むと、中堅規模の上場会社や中堅監査法人では笑えないお話ですね。

会計監査人が意見不表明の報告書を提出するケースは、財務諸表に対する意見表明ができないほど会計記録等が不十分な場合や、監査証拠が入手困難である場合等に限られるわけでして、2024年3月末決算の上場会社においては当該1件のみです。電気設備工事などを手掛けるサンテック(東証スタンダード)において、前々事業年度に受注した特定の特殊工事に係る見積り工事原価の増額等について、監査人が適切な監査証拠を入手できなかったことで意見不表明となりました。

当該意見不表明により、第1・第3四半期財務諸表等に対して公認会計士等による期中レビューを受けることが義務付けられましたが、監査人の退任後、新たな監査人と監査契約が締結できず、監査人が不在状態になりました。そして、同社は、四半期末後45日以内に第1四半期決算短信を開示できない旨を適時開示していましたが、ようやく9月9日付で別の監査法人を一時会計監査人に選任した旨を公表しています。

意見不表明を出した監査法人は、監査を受託した初年度の監査だったわけで、会社との信頼関係が構築できなかった様子が報告書からうかがわれます。また、それまで40年も監査を担当していた監査法人の監査を「伴走型」と解説されていますが、会計監査人の監査の在り方として、何が正しいのか、ぜひこの案件から勉強してみたいと思いました。また、おそらくまじめな会社だとは思うのですが、上場会社としての会計監査との向き合い方にかなり大きな問題があったのではないかと(上場廃止リスクとかって、どんな風に社内で感じておられたのでしょうかね?)。このあたりは(私も存じ上げている)「てりたまさん」のブログをお読みいただいた方がわかりやすいと思います。

なるほど、本件はまさしく「会計監査界隈」では今年注目の案件ですね。以前は(わりと時間的余裕があったので)適時開示もマメにチェックしていたのですが、最近はサボっておりまして見落としておりました。マスコミやSNSで話題になっていないけれども「マニア受け」のする案件を見出すには、やっぱり自分で適時開示をチェックしないといけませんね。

| | コメント (0)

2024年10月17日 (木)

今年の「会計監査界隈」で注目すべき三大事件について

一昨日のエントリーについては、熊本市保健所の記者会見記事をもとに修正をしております。賞味期限の改ざん問題はけっこう根が深いことがわかりました。もしお時間がございましたら、そちらもご覧ください。

さて、まだ今年も2か月以上残しておりますが、2024年に会計監査関連の注目案件を挙げるとすれば、下記の三つではないでしょうか。もちろん自分的に会計監査の素人的な立場から興味があったものなので「これはおかしい」とか「他にこんなのもありますよ」という事件がございましたらご教示いただけると幸いです。そもそもこのような事案は何が正しい解決策なのか、どなたか持論を展開して「たたき台(たたかれ台?)」が登場してこないと議論が深まらないと思います。

まずなんといっても「エネチェンジ会計粉飾疑惑事件」ですね。これはおそらく当ブログにお越しの皆様にも異論のないところかと。最終的には会社側が会計監査人の適正意見をもらうために妥協をするわけですが、会社が設置した第三者委員会と会計監査人とで「会計不正(粉飾)」該当性で意見が分かれた、という問題は、ぜひ法律業界と会計監査業界で議論をしていただきたい、と強く願うところです。会計監査人が「見解書」を提出した、社外取締役や監査役から「誓約書」をとりつけた、といったビックリ事実も公表されていて、ガバナンス的にもとても興味深い事案です(ちなみに会計監査人に対する外部からの情報提供にて発覚)。

つぎに「レーザーテック株式空売り騒動」です。アクティビスト(スコーピオン?)によって「粉飾だよね」と300頁を超える報告書が開示され、これにレーザーテック社が調査委員会報告書によって「会計不正は見当たらない」と対抗したもの。株価は一時急落したものの、アクティビストによって指摘された疑惑を一つ一つつぶしたことで市場からは好感されました。風説の流布に該当するのではないか、といった意見も出て、ややグレーゾーンが残ったような雰囲気もありましたが、事後的に円満解決になったということであれば、今後同様の会計不正疑惑に関する意見開示の事案も出てくるのではないでしょうか(ちなみにレーザーテックさんとは関係ありませんが、エンロンの巨額粉飾事件を最初に指摘したのも米国大手ヘッジファンドでした)。

そして最後に環境経営総合研究所(ERI)の会社更生事件です。事実関係はまだ今年いっぱいくらいまで新事実が出てくるのかもしれませんが、ESGの時代にふさわしいビジネスモデルとして世間が注目するなかで、15年も前から虚偽の売上が計上されていたということで驚きの倒産劇です。資本金は24億を超えていますので、当然会計監査人による会社法監査は受けていたはず。しかし会計監査人が誰なのか、どんなガバナンスだったのか(取締役+監査役+会計監査人、という機関形態も可)謎に包まれたままであります。もし懈怠があるとすれば、会社法違反の罰則があまりにも緩いので、会社法を改正すべき論点だとは思うのですが。金融機関や格付け機関は同社のガバナンスをどのように評価していたのか、とても関心があります(金融機関からの会社更生開始申立によって発覚)。

| | コメント (1)

2024年7月16日 (火)

空売りファンドの戦略-監査役員こそ見習うべきでは?

7月14日の日経ビジネス有料記事「狙われたレーザーテック CFO交代に勢いづく空売りファンド」を読みました。レーザーテックに空売りを仕掛けたファンド創業者へのインタビュー記事ですが、実際にレーザーテック社のCFOの方が交代したことで、空売りレポートの信ぴょう性が増したのではないか、との話題も出てきています。

レポートは330頁ほどにのぼるのですが、このインタビュー記事を読み、「不正会計の疑いあり」と合理的な疑問を抱くには、会計リテラシーは当然の前提として、企業の財務情報と、業界を取り巻く経営環境への勉強が必要だと痛感しました。そのなかで、開示情報の不自然な変化に注目して「普通だったら、こんな変化にはならない」といった推論で会計不正の疑惑を掲示するというもの。会社側は即時に反論するのですが、当該反論と空売りファンドの推論のどちらを信用するかは投資家の自己責任ということで。

私個人の感想でいえば、ファンドの推論はそれなりに合理性がある、と思料される箇所もあるので、会計不正はないと主張する企業側がきちんと説明できるかどうか、というところに注目してしまいます。ただ、(読み物としての面白さは別として)このファンドの努力は本来企業自身の監査役員がやらなければならないのではないか、と感じました。会計リテラシーと自社ビジネスモデルへの理解があれば、「これっておかしいのではないか」との疑問も出てくるかもしれません。

そういえば6月26日にリリースされた(伊藤邦雄座長による)経産省「持続的な企業価値向上に関する懇談会(座長としての中間報告)」を読みましたが、「経営者を支える経営陣」の重要性のなかに、監査役というフレーズは一度も出てきませんでした(社外取締役はとても重要、とのことでしたが)。かなり悔しいですが、監査役員が経営に関与するためにも、「これって外から見ておかしいと思われないか」という点こそ、監査役がきちんと(学習成果を)社長に投げかけるべきではないかと。

| | コメント (0)

2024年7月12日 (金)

エネチェンジ会計不正疑惑事案-注目したい「あずさ監査法人の見解書」

7月11日夜に産経新聞ニュース記事-知事疑惑の告発者死亡、消極論も上がる百条委の行方 専門家は「解明しないと禍根残す」ーが掲載されました。私と奥山俊宏さん(元朝日新聞記者、上智大学教授)のコメント、淑徳大学の日野勝吾教授の解説も入っており、事案とともに公益通報者保護制度の現状を知っていただきたく、ぜひお読みいただければ幸いです。この件については別途エントリーを書かせていただきます。以下本題です。

さて、7月8日に「エネチェンジ社の会計不正疑惑-『あずさ』も『第三者委員会』もどっちも正しい」なるエントリーをアップして、たくさんのアクセスをいただきました。また、有益なコメントも頂戴しております。ただ、翌日である7月9日にエネチェンジ社のリリース「2023 年 12 月期有価証券報告書の提出完了に関するお知らせ」において、同社有価証券報告書を拝見しましたが、ちょっと前エントリーで書いたところとは異なり、会計監査人であるあずさ監査法人の「不正がある」との判断は確信的に強めであることがわかりました。

私は「不正があったとの合理的な疑いを払拭する程度の証憑はえら得なかったと判断した」といった監査法人の心証かと思っておりましたが、同有価証券報告書169ページ以下の監査法人のKAMの記載は会社が設置した調査委員会に厳しく反論する内容であり、かなり興味深いものです(軽々に推測エントリーを書いてしてしまい、失礼いたしました)。

調査報告書においては、上記の新たに把握された事実について、隠蔽の意図はなかったとする経営者の供述は信用できるとして、これらの事実(当監査法人に説明を行わなかった事実等)は意図的なものではなく、経営者による不正は認められないと結論づけている。しかし、当監査法人は、経営者のslackの内容やメールを削除した事実など、存在する多くの証拠に照らして経営者の供述は信憑性を欠くものと判断し、以下の事実のとおり、重要な虚偽表示の原因となる不正が存在したとの結論に至った。なお、当監査法人による認定に当たっては、当法人外部の複数の法律専門家の意見も聴取した。

(中略)また、上記の手続の結果に関して以下のコミュニケーションを実施するとともに、2024年6月25日に、取締役会及び監査役会に対して、調査報告書の内容を踏まえてもなお、当監査法人としては経営者の関与による重要な虚偽表示の原因となる不正が存在したと判断する旨の「見解書」を提出した。

とのこと。また「監査役会が経営者に対して問題点の是正等の適切な措置を求めているか否か及び是正措置等の評価とその実施状況について質問した。」社外取締役に対しては「見解書」を提示して報告し、問題点の是正措置等の実施状況について質問した、との記載があります。つまり「土俵が違う」ということではなく「同じ土俵で勝負をしたが、やっぱり不正だった」として「見解書」を監査役会と社外取締役に提示したそうです。

あずさ監査法人が注目した会計不正を裏付ける事実および証憑については、「外部通報」(おそらく内部告発)によって入手されたようですが、そもそも監査役会は(あずさ監査法人が認識する前に、内部通報によって)知り得なかったのでしょうか。また、この「見解書」を会計監査人から提示された監査役会と取締役会(とくに社外取締役)は、会社側と監査法人との意見の対立については、どのような判断をしているのでしょうか。うーーん、これは知りたい。

いずれにしましても、KAMの記載に「見解書」が明示されていますので、東証や金融庁もこの「見解書」は見ているはずです。となれば、あずさ監査法人は無限定適正意見は出しているものの、同社のガバナンスが上場会社レベルで機能していることを、同社は対外的にどのように説明するのでしょうか(定時株主総会の継続会は7月30日)。別々の土俵なら「どっちも正しい」で済ませることもできますが、同じ土俵で調査委員会と監査法人(しかも法律専門職による意見を聴取しているとのこと)の判断が異なるとすれば、とりわけ監査役会や社外取締役の判断が重要になってくるものと思います。

もちろん、私は単なる野次馬的感覚で眺めているだけなので閲覧することはかないませんが、この会計監査上異例ともいえる「見解書」の中身については、ぜひ読んでみたいです。

| | コメント (1)

2024年6月28日 (金)

パナソニックHDの不正厳罰化方針と「不正調査2.0の時代」

一昨日のエントリーでは「(渦中にある)元大阪地検検事正だった方を社外役員に選任した、および選任予定の上場会社は(逮捕により)どうするのだろう?」と書きましたが、やはり各上場会社の動きは速かったようです。翌日に定時株主総会を控えていた会社は候補者から急遽はずす、という対応となり、逮捕当日に役員に選任した会社は、ご本人からの辞任の意向があったために(これを受けて、代わりに)補欠監査役の方が就任されるそうです。いずれも予想されたとおりですが、とりわけ「ご本人から辞任の意向があった」という点は特筆すべき点かと。

なお、私はといいますと本日(6月27日)、某社定時株主総会のお手伝いをして、個人的には今年の株主総会関連のお仕事は終わりました(昨年6月27日のドキドキ感のあるイベントのような総会に参加することもなく、ほぼ1時間で終了。危機対応とは無縁のまま事務局懇親会でランチをいただいて終わり)。たしか6月総会では91社ほどに株主提案がなされたと報じられていましたが、フタを開けてみると株主提案が(事実上)可決された会社、会社側提案が株主の反対によって否決された会社はほとんどなかったように思います。

さて、朝日新聞ニュース(6月27日)「パナソニックHDが点検で厳罰化方針 子会社の認証不正受け」なる有料記事を読みました。パナソニックHDの子会社が、米国の安全性認証を不正取得していた問題(同不正により、子会社に対する国際規格の認証は次々と取り消されている)を受けて、同HDのトップは、社員が不正を知りながら会社に申告しない場合も処分対象とする「厳罰化」の方針を明らかにしたそうです。いわゆる「見て見ぬふり」も不正として厳しい対応で臨む、とのこと。この「見て見ぬふりも厳罰ルール」は、かなり本気度の高い再発防止策だと私は認識しております。

私の本業である不正調査の実務においても、デジタルフォレンジックス調査によって「不正行為を疑わせる重要メールのccに執行役員が入っていた」「グループチャットのメンバーに某取締役も含まれていた」といった事実が把握されます。このような証拠をもってヒアリングを行いますが「毎日たくさんのメールがccで入ってくるのだから、目を通していないものもある(だから知らなかった)」「内部統制上、私が責任者だから、とりあえず名前だけグループメンバーに入っているにすぎない」と言われてしまえば、なかなか不正行為を認知していたこと(故意)を立証するのはむずかしい。さすがに調査報告書には厳しい判断は書けないですね。

しかし、社内ルールとして「見て見ぬふりも厳罰」ということが周知されるとなれば、役職員自身による自助努力、つまり「見て見ぬふりは許されないことを念頭においた社内コミュニケーションの方法」が浸透するはずです。そのうえで、上記のような疑惑を示すメールがフォレンジックス調査で見つかった場合、執行役員さんや取締役さんのほうで「私はccには入っていたが、知らなかった」もしくは「メールやチャットの内容は読んだが不正ではないと信じるについて合理的な理由があった」ということを示していただかないと「見て見ぬふりをしていた」との判断(事実上の推定)にならざるを得ないように思います。こうなりますと、品質不正事案の不正調査における「組織ぐるみ」「経営者関与」を認定するハードルが低くなりそうです。

デジタルフォレンジックス調査が当たり前の時代となり、そこに「不正を申告しない社員も厳罰に処する」というルールが(文書として)明確になれば、たとえ不祥事は発生したとしても早期発見・早期是正につながるのではないでしょうか。まさに不正調査2.0の時代です。

| | コメント (0)

2022年6月24日 (金)

不適切な会計処理-社内調査の結果を公表いたしました。

当職が社外取締役を務めております大東建託が「当社連結子会社等における不適切な会計処理に関する調査報告書(要旨)」を公表いたしました。このたびは株主、投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様には多大なご迷惑とご心配をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます(適時開示は23日17:00)。

丸ノ内の総合電機メーカーのレビュー委員会の仕事に、この40日ほど、こちらの調査チームリーダーの仕事が重なりまして、本当に気苦労が多かったのですが、とりあえず調査報告書を提出(ただし開示版は要旨のみ)に至り、すこしホッとしております(まだこれから再発防止策の検討などは残っておりますが)。

しかし、(自分のことを棚に上げて申し上げるのもナンですが・・)私が当ブログで2年以上前に予想しておりましたとおり、本当に企業不正案件が増えていますね(「増えている」は正確ではなく、「発覚している」が正確かと。しかも大手の監査法人が会計監査を担当している上場会社が多いですね)。

新型コロナは、多くの上場会社の「監査」を直撃しました。ようやくその影響が出始めたようですが、「監査の脆弱化」にいまだ気が付いていない上場会社はまだまだ多いので、おそらくもっと「不適切な会計処理」を公表する上場会社は増えるはずです。

なお、このたびの調査には多くの弁護士、会計士の方々にお世話になりました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。

| | コメント (1)

2022年2月16日 (水)

急速に増え続ける不適切会計事案(まだまだ増える可能性あり)

1月29日リリースのこちらのエントリーでも書きましたが、予想どおり2月に入って上場会社における会計不正事案(不適切会計事案)が次々と公表されております。最近1週間で6社、すでに2月に8社の不適切会計事案が公表されていますね。ここまで急速に増えますと、不正調査を担う専門弁護士、会計士の数が不足してしまうのでは、と危惧しております。さすがに掛け持ちはできません。

2年前から当ブログでも警鐘を鳴らしておりましたが、コロナ禍において会計監査(会計監査人による監査及び監査役監査)が明らかに傷んでしまったので当然といえば当然です。ここ2年ほどご相談を受けていた状況からしますと、今後はさらに規模の大きな上場会社の会計不正事案が発覚することになりそうです。2020年に無理して定時株主総会を6月に断行してしまった会社が多かったので、「ツケ(しわ寄せ)が監査に回ってしまった」結果だと思います(これは「株主への配慮から総会を延期できなかった」ことによりますので、やむを得ないところかと)。

これから社内で会計不正事案が判明する上場会社としては、素直に会計監査人に報告・相談をして、東証の指示どおりに開示すべきです。無理な解釈をしたり、会計監査人に黙ってコソっと修正することで傷口を広げないことが重要です。「経営者関与」「組織ぐるみ」の会計不正事案となりますと、株価への影響が大きく、株主に多大な迷惑をかけることになります(提訴リスクも高まります)。社外役員(社外取締役、社外監査役)さんにも、青天の霹靂とならないように、タイムリーに不正判明の事実を伝えて、できれば対応を主導していただいたほうが「株主受け」は良いと思います。

本件はいろいろと書きたいことがありますが、まだまだ(私が委員長を務めております)委員会の活動が続いておりますので、また少し時間ができたときに自説を述べたいと思います。

| | コメント (1)

2021年9月27日 (月)

不正発見ではなく不正予防にある「抜き打ち検査」の実効性

9月24日の読売・朝日のニュースによりますと、囲碁の日本棋院は、棋士がAI(人工知能)を使って不正に着手するのを防ぐため、対局中の棋士に対してスマホなどの電子機器を持っていないか、抜き打ちで身体・手荷物検査を初めて実施した、と報じています(たとえば朝日新聞ニュースはこちらです)。抜き打ち検査を行う側の理事の方は「本当にいやな仕事。できたらやりたくないが、やむを得ない」とおっしゃっておられますが、「性悪説」に基づく抜き打ち検査は本当にやりたくないです。

大手のジェネリック医薬品メーカーの相次ぐ不正発覚を契機に、厚労省でもジェネリック医薬品メーカー46社に対して「抜き打ち検査」を行ったそうですが、おそらく表向きは「不正発見のため」ですが、実質的には「不正予防のため」ではないでしょうか。本業の不正調査で過去に何度か抜き打ち検査(正確には抜き打ち調査ですが)をやったことがありますが、そもそも抜き打ち検査で不正が発見できるほど甘くないというのが実感です。「不正の発見」が目的というのではなく、「こんな調査があるからやめとこう」と不正の機会を収奪する目的で行うのが正しい姿勢だと思います。「できればやりたくない」と思っている監査部の人たちも「社内から犯罪者を出さないために行うのであり、決して疑いが前提ではない」と自分に言い聞かせておられました。

なお、過去の経験からいくつかコメントを申し上げると、①内部通報者を特定させないためには有効である(一定頻度で本当に抜き打ち調査が行われる、という認識が社員に広まると「誰かが通報したのでは?」といった詮索が行われない傾向にある)、②「不正調査の目的からみて、抜き打ち調査は(社員に対する過度のプライバシー権の侵害ではないか」と誰かがクレームを言い出す(だからこそ、抜き打ち調査があることについてあらかじめ同意してもらう、「不正」ではなく「不正のおそれ」自体が調査の対象であることを伝えておくことが大切。なお、記事のように調査で発見されたモノがあれば、その所持自体をペナルティの対象とすることも一案です)、③抜き打ち調査といいながら実施すると、「抜き打ち」にならないことがときどきある(誰かが先に「抜き打ち調査を行う」という情報を現場に流す・・・これ自体、懲戒モノですが・・・)。

いずれにしても、調査対象となる現場の皆様への説明と協力要請がとても大切です。よほどの重大不正の疑いが存在するのであれば納得されるかもしれませんが、そうでなければ、平時からの「抜き打ちあるよ」といった広報とルール作りは必須かと思います。

余談ですが、最近はフォレンジックス事業者から「テレワーク環境でも抜き打ち調査が可能な情報漏洩防止システム」が発売されています。情報漏洩事件がテレワーク中にVPNを通じて起きるということが増えていて(たとえばこちらの記事ご参照)、情報漏洩事件における被害の重大性にかんがみると、このようなシステムも必要なのかもしれません。

| | コメント (1)

2021年6月23日 (水)

フォレンジック調査の有効性はチームとのコミュニケーションが最も重要と考える

6月10日に開示された(株主への圧力問題に関する)東芝の調査報告書はいろいろなところで話題になっています。その調査報告書では、AIを活用したメール分析が威力を発揮したことが6月12日の日経朝刊で報じられていました。東芝の調査は会社法316条に基づく調査委員によるものですが、一般の第三者委員会調査においても、もはやフォレンジック調査はあたりまえですし、テキストマイニングによる分析も、多くのフォレンジック事業者が行っているものと思います。

昨日まで私が委員として調査をしていた案件でも、大手のフォレンジック事業者のチームとともに2カ月間の調査を進めましたが、いくらAIを活用したとしても、一番重要なのは調査委員とフォレンジックチームとのコミュニケーションです。フォレンジックチームの方々に、調査委員会がどのような対象事実に関心を持っているのか、どのような事実が出てきたら委員会のヒアリングが前に進むのか、といった委員会活動全体の流れを理解していただけるかどうか。いくら委員会から重要な検索ワードをフォレンジックチームにお伝えしたとしても、いくらワード間の関連性をAIで分析したとしても、調査委員会の局面が大きく変わるということはむずかしいと思います。

今回の我々の調査委員会では、ほぼすべての委員会にフォレンジックチームにも参加してもらって、ヒアリングの進捗状況なども理解をしていただき、いまどんなメールが出てくれば、どんな事実が明らかとなるのか、たとえば今から10年前までメールを時系列に並べると、その時系列の流れはどんな重要事実を推認させることになるのか、といったことも、委員会からの指示なくしてフォレンジックチームの判断において調査を進めていただいたので、「このメールをヒアリングで出すことで、もはや言い逃れはできないだろう」と自信をもってヒアリングに臨めました。

もちろんフォレンジックチームの方々はプロとはいえ法律の専門家ではありません。したがって、委員会とのコミュニケーションはとても苦労されることと思います。ただ、100個探し出してくれたメールの中から、たとえ1個でも「お宝メール」が出てくれば、委員会も元気が出てきます。そういった貴重な経験を今回は何度もさせてもらいました(調査委員のほうでも、現時点でフォレンジックチームに何ができるのか・・・といったことへの理解が必要ですね)。

現時点での第三者委員会調査にはフォレンジック調査は不可欠、と言われており、データ解析やAI活用といった最先端の技術を駆使することに光が当たります。ただ、実際に調査に携わる者からすれば、フォレンジック調査にも技術的な限界はあるわけで、むしろ限りある資源を最大限に利用するためには、生身の人間どうしの意思疎通がどれだけできているか、意思疎通を図るスキルをお互い持ち合わせているか、その意思疎通のための時間をどれだけ作ることができるか、というところが大切だと思います(とりわけ今回の調査委員会では、そのようなコミュニケーションの重要性を痛感いたしました。事業者名を出すことは控えますが、本当にお世話になりました)。

| | コメント (2)

2021年1月18日 (月)

コロナ禍における会計不正事件が発覚するのは3~5年後と考える

1月16日の朝日新聞朝刊7面に「不適切会計 高止まり-昨年JDIなど58社60件」と題する記事が掲載されておりました。コロナ禍においても上場会社の会計不正事件の発覚が高止まりしている、とのことで、監査法人などのチェックが厳しくなっていることも発覚の高止まりの要因であると分析されています。

ただ、記事では会計不正事件は発生してから発覚するまで、どの程度の期間を要するか・・・という点は明らかにされていません。記事で紹介されているJDI事例も、またエフオーアイ事例も、そしてUMCエレクトロニクスの事例も、(調査期間の選定理由にもよりますが)少なくとも発生から4~5年ほど経過した後に発覚しています。

昨年、私が第三者委員会の委員長を務めたハイアス&カンパニーも2015年ころから不適切な会計処理が行われていたことは報告書記載のとおりです。つまり、不適切な会計処理が開始されてから3~5年ほどは(経営者が認識しているかどうかは別として)投資家は「過去の決算数値」についても、また「将来の会計不正リスク」についても騙され続けている、ということです。赤字なのに黒字決算であったり、公募増資が行われていたり、優良企業として資本提携の対象になっていたりすると、もう目も当てられないことになってしまいます。

ところで、当ブログで何度も申し上げているとおり、コロナ禍の監査は会計監査にせよ監査役監査にせよ、かなり問題を抱えているのが現実です。私が相談を受けているかぎりにおいては、まず監査役監査は平時からの監査自体が手薄になってしまった(監査が不十分であった)企業が多く、また、会計監査においては、経理部や監査役から(財務報告の信頼性の疑義を払しょくするために)必要な情報が会計監査人に届いていない企業も多いようです。そのうえで新型コロナに起因した業績悪化が明確になってきた企業も出てきており、海外子会社だけでなく、国内グループ会社を含めて不適切な会計処理が行われている件数は間違いなく増えているはずです。

不正が発生しても、発生からそれほど時間が経過していなければ社内で(とりあえず適正に)処理できる場合も多いので、会社も株主もそれほど大きな損失を被ることもないでしょう。ただ、さすがに「あやしい」と思っても「会計処理に問題あり」と声を上げることができる環境は築かれていないはずです。上記朝日の記事で紹介されていたUMCエレクトロニクスの事例では、5件もの公益通報(申告および内部通報)によって不正疑惑が定時株主総会の直前に発覚しましたが、役職員の誰一人として総会で「粉飾の疑義」を指摘できる人がいませんでした。

昨年同様、今年も「定時株主総会は6月に開催すること」にこだわる上場会社が多いと思いますが、そうなると、とても監査の不十分性は総会でも有報でも語られませんから、不正会計のリスクはますます高まることになります。今年の6月総会では令和元年改正会社法が施行されますので「社外取締役が期待された職務を果たしたのであれば、その内容」を事業報告に記載することになりますが、ホント、大丈夫でしょうかね(^^;?

また、架空循環取引における取引相手の破たん(相手方にトラブルが発生すること)や国税による調査、株主からの調査要請などの「不正発覚の端緒」も、おそらく不正開始から数年内に偶発的に発生する可能性が高いと思われます。そうしますと、コロナ禍における会計不正事件は、これから3年~5年ほどで社会的に認知される(会社もしくは第三者から公表される)ことになるのでしょうね。

1月16日の日経朝刊3面記事では「今年の上場見通し 100社規模」と報じられており、相変わらずコロナ禍でもIPO企業の数は高い水準で推移するようです。ただ、3~5年後に上場前からの不正が発覚する、たとえ後悔して不正会計を途中で(コソっと)止めたとしても、過去の不正を東証は許してくれない、ということを前提としますと、これからIPO企業に投資をされる方はガバナンス評価を怠らないことが肝心だと思います。

| | コメント (1)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

fiduciary duty(信認義務) iso26000 IT統制とメール管理 M&A新時代への経営者の対応 MBOルールの形成過程 MSCBと内部統制の限界論 「シノケン」のリスク情報開示と内部統制 「三角合併」論争について 「乗っ取り屋と用心棒」by三宅伸吾氏 「会社法大改正」と企業社会のゆくえ 「会計参与」の悩ましい問題への一考察 「会計参与」の有効利用を考える 「公正妥当な企業会計慣行」と長銀事件 「公開会社法」への道しるべ 「内部統制議論」への問題提起 「執行役員」「常務会」を考える 「通行手形」としての日本版SOX法の意義 すかいらーくのMBO関連 だまされる心 なぜ「内部統制」はわかりにくいのか ふたつの内部統制構築理論 アコーディアゴルフの乱 アット・ホームな会社と内部統制 アルファブロガー2007 インサイダー規制と内部統制の構築 ウェブログ・ココログ関連 カネボウの粉飾決算と監査役 カネボウTOBはグレーなのか? グレーゾーン再考 コンプライアンス体制の構築と社外監査役の役割 コンプライアンス委員会からの提案 コンプライアンス実務研修プログラム コンプライアンス研修 コンプライアンス経営 コンプライアンス経営はむずかしい コンプライアンス違反と倒産の関係 コーポレートガバナンス・コード コーポレートガバナンス関連 コーポレート・ファイナンス コーポレート・ガバナンスと株主評価基準 コーポレート・ファイアンス入門 サッポロHDとスティールP サンプルテストとコンプライアンス ジェイコム株式利益返還と日証協のパフォーマンス スティールパートナーズVSノーリツ スティール対日清食品 セカンド・オピニオン セクハラ・パワハラ問題 セレブな会社法学習法 タイガースとタカラヅカ ダスキン株主代表訴訟控訴事件 テイクオーバーパネル ディスクロージャー デジタルガレージの買収防衛策 ドンキ・オリジンのTOB ドン・キホーテと「法の精神」 ニッポン放送事件の時間外取引再考 ノーリツに対する株主提案権行使 パワハラ・セクハラ パンデミック対策と法律問題 ビックカメラ会計不正事件関連 ファッション・アクセサリ フィデューシャリー・デューティー ブラザー工業の買収防衛策 ブルドックソースの事前警告型買収防衛策 ブルドックソースvsスティールP ヘッジファンドとコンプライアンス ペナルティの実効性を考える ホリエモンさん出馬? モック社に対する公表措置について ヤマダ電機vsベスト電器 ヤメ検弁護士さんも超高額所得者? ライブドア ライブドアと社外取締役 ライブドア・民事賠償請求考察 ライブドア・TBSへの協力提案の真相 ライブドア法人処罰と偽計取引の関係 リスクマネジメント委員会 レックスHDのMBOと少数株主保護 ロハスな新会社法学習法 ワールド 株式非公開へ ワールドのMBO(その2) 一太郎・知財高裁で逆転勝訴! 三洋電機の粉飾疑惑と会計士の判断 上場制度総合整備プログラム2007 上場廃止禁止仮処分命令事件(ペイントハウス) 不二家の公表・回収義務を考える 不動産競売の民間開放について 不当(偽装)表示問題について 不正を許さない監査 不正リスク対応監査基準 不正監査を叫ぶことへの危惧 不正監査防止のための抜本的解決策 不祥事の適時開示 中堅ゼネコンと企業コンプライアンス 中央青山と明治安田の処分を比較する 中央青山監査法人に試練の時 中小企業と新会社法 事前警告型買収防衛策の承認決議 井上薫判事再任拒否問題 企業の不祥事体質と取締役の責任 企業不正のトライアングル 企業不祥事と犯罪社会学 企業不祥事を考える 企業会計 企業価値と司法判断 企業価値研究会「MBO報告書」 企業価値算定方法 企業法務と事実認定の重要性 企業秘密漏洩のリスクマネジメント 企業買収と企業価値 企業集団における内部統制 会社法における「内部統制構築義務」覚書 会社法の「内部統制」と悪魔の監査 会社法の施行規則・法務省令案 会社法の法務省令案 会社法を語る人との出会い 会社法改正 会社法施行規則いよいよ公布 会計監査の品質管理について 会計監査人の内部統制 会計監査人の守秘義務 会計監査人報酬への疑問 住友信託・旧UFJ合意破棄訴訟判決 住友信託・UFJ和解の行方 住友信託・UFJ和解の行方(2) 佐々淳行氏と「企業コンプライアンス」 債権回収と内部統制システム 元検事(ヤメ検)弁護士さんのブログ 八田教授の「内部統制の考え方と実務」 公正な買収防衛策・論点公開への疑問 公益通報の重み(構造強度偽造問題) 公益通報者保護制度検討会WG 公益通報者保護法と労働紛争 公認コンプライアンス・オフィサー 公認コンプライアンス・オフィサーフォーラム 公認不正検査士(ACFC)会合 公認不正検査士(ACFE)初会合 公認会計士の日 内部監査人と内部統制の関係 内部監査室の勤務期間 内部統制と「重要な欠陥」 内部統制とソフトロー 内部統制と人材育成について 内部統制と企業情報の開示 内部統制と刑事処罰 内部統制と新会社法 内部統制と真実性の原則 内部統制と談合問題 内部統制における退職給付債務問題 内部統制の事例検証 内部統制の原点を訪ねる 内部統制の費用対効果 内部統制の重要な欠陥と人材流動化 内部統制の限界論と開示統制 内部統制を法律家が議論する理由 内部統制を語る人との出会い 内部統制システムと♂と♀ 内部統制システムと取締役の責任論 内部統制システムと文書提出命令 内部統制システムの進化を阻む二つの壁 内部統制システム構築と企業価値 内部統制報告制度Q&A 内部統制報告実務と真実性の原則 内部統制報告実務(実施基準) 内部統制報告書研究 内部統制報告書等の「等」って? 内部統制実施基準パブコメの感想 内部統制実施基準解説セミナー 内部統制支援と監査人の独立性 内部統制構築と監査役のかかわり 内部統制構築と経営判断原則 内部統制理論と会計監査人の法的義務 内部統制監査に産業界が反発? 内部統制監査の品質管理について 内部統制監査の立会 内部統制監査実務指針 内部統制義務と取締役の第三者責任 内部統制限界論と新会社法 内部通報の実質を考える 内部通報制度 刑事系 労働法関連 原点に立ち返る内部統制 反社会勢力対策と内部統制システム 取締役会権限の総会への移譲(新会社法) 同和鉱業の株主安定化策と平等原則 商事系 商法と証券取引法が逆転? 営業秘密管理指針(経済産業省) 国会の証人喚問と裁判員制度 国際会計基準と法 国際私法要綱案 報告書形式による内部統制決議 夢真 株式分割東京地裁決定 夢真、株式分割中止命令申立へ 夢真による会計帳簿閲覧権の行使 夢真HDのTOB実施(その2) 夢真HDのTOB実施(予定) 夢真HDのTOB実施(3) 夢真TOB 地裁が最終判断か 夢真TOBに対抗TOB登場 大規模パチンコ店のコンプライアンス 太陽誘電「温泉宴会」と善管注意義務 太陽誘電の内部統制システム 委任状勧誘と議決権行使の助言の関係 学問・資格 定款変更 定款変更議案の分割決議について 専門家が賠償責任を問われるとき 小口債権に関する企業の対応 工学倫理と企業コンプライアンス 市場の番人・公益の番人論 市場安定化策 市場競争力強化プラン公表 帝人の内部統制システム整備決議 常連の皆様へのお知らせ 平成20年度株主総会状況 弁護士が権力を持つとき 弁護士と内部統制 弁護士も「派遣さん」になる日が来る? 弁護士法違反リスク 弁護士淘汰時代の到来 情報システムの内部統制構築 情報管理と内部統制 投資サービス法「中間整理」 掲示板発言者探索の限界 改正消費生活用品安全法 改正独禁法と企業コンプライアンス 改訂監査基準と内部統制監査 敗軍の将、「法化社会」を語る 敵対的相続防衛プラン 敵対的買収と「安定株主」策の効果 敵対的買収への対応「勉強会」 敵対的買収策への素朴な疑問 敵対的買収(裏)防衛プラン 断熱材性能偽装問題 新しい監査方針とコーポレートガバナンス 新会社法と「会計参与」の相性 新会社法における取締役の責任 日本内部統制研究学会関連 日本再興戦略2015改訂 日本版SOX法の内容判明 日本版SOX法の衝撃(内部統制の時代) 日経ビジネスの法廷戦争」 日興コーディアルと不正会計 日興コーディアルの役員会と内部統制 日興CG特別調査委員会報告書 明治安田のコンプライアンス委員会 明治安田のコンプライアンス委員会(3) 明治安田のコンプライアンス委員会(4) 明治安田生命のコンプライアンス委員会(2) 書面による取締役会決議と経営判断法理 最良のコーポレート・ガバナンスとは? 最高裁判例と企業コンプライアンス 未完成にひとしいエントリー記事 本のご紹介 村上ファンドとインサイダー疑惑 村上ファンドと阪神電鉄株式 村上ファンドと阪神電鉄株式(その2) 村上ファンドの株主責任(経営リスク) 東京三菱10億円着服事件 東京鋼鐵・大阪製鐵 委任状争奪戦 東証の「ガバナンス報告制度」の目的 東証のシステム障害は改善されるか? 架空循環取引 株主への利益供与禁止規定の応用度 株主代表訴訟と監査役の責任 株主代表訴訟における素朴な疑問 株主代表訴訟の改正点(会社法) 株主総会関連 株式相互保有と敵対的買収防衛 検察庁のコンプライアンス 楽天はダノンになれるのか? 楽天・TBS「和解」への私的推論 構造計算偽造と行政責任論 構造計算書偽造と企業コンプライアンス 構造計算書偽造問題と企業CSR 民事系 法人の金銭的制裁と取締役の法的責任 法人処罰の実効性について考える 法令遵守体制「内→外」 法務プロフェッショナル 法律事務所と情報セキュリティ 法律家の知名度 法科大学院のおはなし 海外不祥事リスク 消費者団体訴権と事業リスク 消費者庁構想案 無形資産と知的財産 無形資産の時代 特別取締役制度 特設注意市場銘柄 独占禁止法関連 独立取締役コード(日本取締役協会) 独立第三者委員会 王子製紙・北越製紙へ敵対的T0B 環境偽装事件 田中論文と企業価値論 痴漢冤罪事件 監査役からみた鹿子木判事の「企業価値」論 監査役と信頼の権利(信頼の抗弁) 監査役と買収防衛策(東証ルール) 監査役の報酬について 監査役の権限強化と会社法改正 監査役の理想と現実 監査役の財務会計的知見 監査役制度改造論 監査法人の処分と監査役の対応 監査法人の業務停止とは? 監査法人の法的責任論(粉飾決算) 監査法人ランク付けと弁護士専門認定制度 監査法人改革の論点整理 監査法人(公認会計士)異動時の意見開示 監査社会の彷徨 監査等委員会設置会社 監査論と内部統制報告制度(J-SOX) 相次ぐ食品表示偽装 相続税9億8000万円脱税 破産管財人の社会的責任 確認書制度の義務付け 社内文書はいかに管理すべきか 社員の「やる気」とリスクマネジメント 社員は談合企業を救えるのか? 社外取締役と株主価値 社外取締役に期待するものは何か 社外取締役・社外監査役 社外役員制度導入と体制整備事項の関係 社外監査役とゲーム理論 社外監査役と監査役スタッフとの関係 社外監査役の責任限定契約 神戸製鋼のデータ改ざん問題 神田教授の「会社法入門」 私的独占と民事訴訟 税理士の妻への報酬、「経費と認めず」 第1回内部統制ラウンドテーブル 管理部門はつらいよシリーズ 管財人と向き合う金融機関そしてファンド 粉飾決算と取締役責任 粉飾決算と罪刑法定主義 粉飾決算に加担する動機とは? 経営の自由度ってなんだろう?(会社法) 経営リスクのニ段階開示 経営統合はむずかしい・・・・ 経営者のためのサンプリング(J-SOX) 経済・政治・国際 経済刑法関係 経済法 経済産業省の企業行動指針 耐震強度偽造と内部監査 耐震強度偽造と内部統制の限界 自主ルール(ソフトロー) 蛇の目ミシン工業事件最高裁判決 行政法専門弁護士待望論 行政系 裁判員制度関連 裁判員制度(弁護士の視点から) 裁判所の内部統制の一例 製造物責任とCSR損害 製造物責任(PL法)関連 親子上場 証券会社のジェイコム株利益返上問題 証券会社の自己売買業務 証券取引の世界と行政法理論 証券取引所の規則制定権(再考) 証券取引所を通じた企業統治 証券取引等監視委員会の権限強化問題 証券取引等監視委員会・委員長インタビュー 証券業界の自主規制ルール 課徴金引き上げと法廷闘争の増加問題 課徴金納付制度と内部通報制度 議決権制限株式を利用した買収防衛策 財務会計士 買収防衛目的の新株予約権発行の是非 買収防衛策の事業報告における開示 買収防衛策導入と全社的リスクマネジメント 辞任・退任の美学 迷走するNOVA 道路公団 談合事件 重要な欠陥」と内部統制報告書虚偽記載 野村證券インサイダー事件と内部統制 金融商品取引法「内部統制」最新事情 金融商品取引法と買収防衛策 金融商品取引法案関連 金融商品取引法関連 金融専門士制度の行方 関西テレビの内部統制体制 阪急HDの買収防衛プラン 食の安全 飲酒運転と企業コンプライアンス 黄金株と司法判断 黄金株と東証の存在意義 ACFE JAPAN COSO「中小公開企業」向けガイダンス CSRは法律を超えるのか? IFRS関連 IHI社の有価証券報告書虚偽記載問題 IPO研究会関連 ISOと内部統制 ITと「人」の時代 JICPA「企業価値評価ガイドライン」 LLP(有限責任事業組合)研修会 NEC子会社幹部による架空取引 PL法 PSE法と経済産業省の対応を考える TBS「不二家報道」に関するBPO報告書 TBSの買収防衛策発動の要件 TBSは楽天を「濫用的買収者」とみなすのか(2) TBSは楽天を「濫用的買収者」とみなすのか? TBS買収と企業価値判断について TOB規制と新会社法の関係