住友信託・MUFG統合判決(予定日)
いよいよ月曜日(2月13日)は地裁レベルでの判決日だそうです。(朝日ニュース)ちなみに、昨年9月末ころに私が和解の行方として関連エントリーを立てましたが、当事者としましては、いちおう判決内容をみてから、ふたたび和解協議を行うことも十分予想されます。
私のような「ごくごく平凡な弁護士」からしますと、合意書の法的拘束力や、損害賠償額の算定方法といった争点がどう判断されようと、その結論はどちらでもよいのですが、せっかく今後のM&A実務に指針を与える判決になるのでしたら、一般の法務担当者や経営者にも将来の予測可能性が容易に認識できるような「わかりやすい判決」であってほしいですね。双方当事者の詳細な言動や、合意書の文言、破棄された時期などを仔細に検討したうえで、その法的拘束力が決定されるものなのかもしれませんが、できるだけシンプルな法的構成をとれないものでしょうか。
先日、読売新聞ネットの見出しが勝手に(営業目的のサイトで)引用されていたことで、引用した企業のほうが不法行為責任を問われる、という判決が出ましたが、あの判決ではネット上の新聞見出しには「著作権」は認められないけれども、新聞社のサイトが、営業目的で勝手に引用されない利益というものは、法的保護に値するといった理由付けがなされていました。著作権の範囲やその算定額の硬直化を防ぎつつ、微妙に当事者の利害調整を図り、なおかつ同種事案に関する将来見込みを提案しているように思います。将来における同種事案を解決するための指針としては上手な判決だなぁと、感心しておりました。今回の裁判でも、民法556条(売買一方の予約完結権)や同557条(手付による解除)あたりの条文の法理を引用して、独占交渉権によって相手を制約する期間としては2年はあまりにも長いので、そんな長い期間を付した合意といったものには法的拘束力はない、とか独占交渉権を破棄する権利が(UFJ側に)留保されていたものと解釈すべきとか、そのあたりで結論が出てくると、とてもわかりやすいと思うのですが、いかがでしょうか。そのうえで、先の読売新聞ネット事件のように、もし事実経過からみて、原告被告双方の利害調整が必要だと考えるのであれば、別の法理、たとえば交渉に伴って(付随して)発生した住友信託銀行側の独占交渉期待権(あるいは契約締結期待権)侵害を一種の不法行為責任とみて、そこで住友信託側に一部損害金の発生を認めるとか、そういったあたりで検討していただくと、将来の同種事案への予測可能性が比較的高まるように思えますし、個々の事案における利害調整も可能になってくるのではないでしょうか。(この程度の判断であれば、明確に原告側が主張していなくても、弁論主義には反しないものと考えられますし、裁判所の判断の自由度も確保されるかもしれません)
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