2023年6月29日 (木)

社外監査役の独立性と在任期間12年ルール

6月27日開催の定時株主総会において、会社でさえ「なぜ否決されたのかわからない」と驚いた総会ドラマがあったそうです(時節柄、議決権行使の賛否結果を話題にする当事者能力が私にあるかどうかはわかりませんが・・・ともかくコッソリご紹介します)。28日の夜に日経ニュースで知りましたが、計測機器等を手掛ける東証プライム上場会社において、これまで12年間社外監査役を務めてきた方(弁護士)の再任議案が否決され欠員が生じたため、9月に臨時取締役会を開催する、とのこと。会社側は否決の理由について「議決権行使の内容を精査中でありコメントは差し控える」そうですが、総会で諮った監査役選任議案への賛成比率は49.62%にとどまっていたことが明らかになっています。なお、会社側は当該社外監査役さんが勤める法律事務所に弁護士報酬などの支払いがあるようで、その旨定時株主総会の招集通知には記載しておられたようです。

社外監査役さんが60%程度の賛成比率で冷や汗をかいたというのは、主に(出身母体組織と当社との)利益相反のおそれがあるとの理由で反対票が増えたケースに見受けられますが、否決にまで至るケースは異例です。株主構成にもよりますが、おそらく今回の事例では利益相反問題よりも在任期間が12年を超えるために、「もはや独立性なし」として機関投資家の議決権行使基準に抵触するところが大きかったのではないでしょうか。

そういえば機関投資家の議決権行使基準の中に、社外監査役(社外取締役監査等委員)の独立性基準として、在任期間が12年を超える場合は反対票を投じるというものがポピュラーになってきましたね。この点を会社としても監査役さんとしても、開催前には少々楽観的に考えておられた可能性があるかもしれません(ふつうは事前の議決権行使結果によって、今年はアブないかも、とわかりますし、会社側としても賛成可決に向けて何らかのお手伝いをしますよね)。まさに青天の霹靂だったかも。

当社株主総会には30名程度の株主の方々がリアル出席されていたようですが、株主総会当日は「会社側からなにも説明がなかった」とヤフー掲示板では報告されています。株主総会終了時点では監査役選任議案が否決され、定員割れで再度総会を開ねばならない事態は、本当に予想していなかったのかもしれません。事前の議決権行使状況から「これは監査役選任が危ないのではないか」と気がつかなかった、ということが、全社的なリスクマネジメントとして大丈夫だったのか、一抹の不安を感じます。それにしても日本の上場会社において、社外監査役さんが選任議案上程時にすでに3期12年の任期を全うしておられる会社も結構あるのでは、と思うのは私だけでしょうか(日本監査役協会あたりは統計データをお持ちではないかと)。ちょっとコワいなあと感じた次第です。

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2023年5月18日 (木)

最近の監査役員に関する話題(備忘録程度ですが・・・)

ブログを更新する時間があれば書こうと思っておりました話題をいくつか備忘録として書き留めておきます。どれも関心のあるテーマです。2013年に始まったコーポレートガバナンス改革の流れの中で、「監査」と「監督」の境界線があいまいになり、機関投資家も「監督」には興味があるのに「監査」には興味を示しません(常勤の監査役員を置く日本企業においては、資本コストの判断やサステナビリティ経営への本気度を評価するにあたっては「監督」よりも「監査」のほうが可視化できるのに-つまり効率的に評価できるのに-、そこに気づかない投資家が多いのは残念です)。いかにして「監査役員の監査環境を構築していくか」という問題は切実です。

1 常勤監査役の解任のための臨時株主総会の開催

東証スタンダードに上場する某社において、常勤監査役解任議案を付議案件とする臨時株主総会の開催に関するお知らせがリリースされております(5月9日付け)。ふつうは経営陣と意見が合わない監査役さんは「一身上の都合により辞任」という方向で退任されるケースが多いと思いますが、これは常勤監査役さんが辞任はできないという意思をお持ちなのでしょうか。招集通知に添付される参考書類には解任の対象とされる監査役の意見や他の社外監査役さんの意見が表明される機会がありますので、そちらに関心が向きますね。なお、以前当ブログでもとりあげた某監査役の方(株主提案で監査役解任議案が出された)は、みずからホームページを立ち上げて解任理由への反論を株主向けに開示しておられました。

ところで会社側が解任理由で述べておられるような事情があるとすると、そもそも「常勤性」は解消しないのでしょうか。監査役3名の決議によって「常勤監査役」を解職できますので(ともかく別の監査役さんを常勤に選定する)、そちらのほうはなぜしないのでしょうか。

2 粉飾決算で上場会社に「株価下落」分の賠償責任認容(堺支部)

5月16日付け朝日新聞ニュースによりますと、上場前から(中国子会社にて)粉飾が行われていた某上場会社(東証プライム)に対して、一般株主が粉飾発覚によって株価が下落したことによる損害の賠償を求めていた訴訟で、大阪地裁堺支部は一部会社の賠償責任を認めた、とのこと。なお、監査法人や主幹事証券会社の責任は認めなかったようですが、これを不服として株主側は控訴する意向のようです。

本案件は内部通報への対応が問題とされた案件でもあり、また2019年に詳細な調査委員会報告書が公表されていることから、私も当時報告書を読んだのですが、「監査役(監査役会)は何をしていたのか・・・」という点が報告書からはよくわかりませんでした。監査法人や主幹事証券会社の責任が否定されたことと、当時の監査役会(現在は監査等委員会設置会社)の行動との関連性はどうなのか・・・そのあたりはぜひとも判決文を確認しておきたいところです(おそらく法律雑誌に掲載されるでしょう)。

3 会計監査人による非保証業務の同時提供に関する監査役会・監査等委員会の取扱い

公認会計士の倫理規則の改訂により、非保証業務の同時提供に関する独立性が強化されたことはご承知のとおりですが、監査人が非保証業務を提供するにあたっては(監査法人からの事前説明を経て)個別承認もしくは包括承認という形で監査役会が同意をする実務が始まりました。私が支援している会社では、監査役員間で真摯に協議を行い、「原則、同時提供は禁止。ただし、同時提供が必要である理由および監査役が(監査法人による)同時提供によって監査人の独立性を阻害することがないと確信できる合理的な理由がある場合にかぎり、例外的に同時提供ができる」という取扱い要領を作り、監査法人側の了解を得ました。また、経営陣にも「監査人から同時提供の申出があったとしても、まずは非保証業務は別の監査法人を探すように」と伝えました。

会計監査人の利益相反問題への対処ということで、監査の結果および方法の相当性を審査する監査役員にとっては重大問題です。ただ、これを重大問題と意識しておられる監査役、監査等委員の方が意外と少ないのではないでしょうか。

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2023年4月20日 (木)

有事における監査役員の活躍は話題性に乏しくなったのか?

2005年4月から書き始めた当ブログ(最初はniftyのココログではなく、ドリコムでした)も、すでに開設から丸18年が経過しました。この18年の中で「モノ言う監査役」に関する話題を何度も提供し、有斐閣「ジュリスト増刊号」等の論稿でも、モノ言う監査役さんに関する事例を取り上げて、そのご活躍を奨励してきました。私自身も裁判手続きの内外で、常勤監査役、社外監査役の方々の支援をしておりました。しかし、最近は「モノ言う監査役さん」の話題はほとんどメディアにも登場しなくなったような気がしております(直近では2018年ころの日産社員から内部通報を受け取った同社監査役さんの件、2020年ころ、支配権争いの中で委員会としての独自意見を述べておられた天馬社の監査等委員会の件くらいでしょうか。。。)。それとも、いろいろと他にもあって、私がきちんと情報を入手できていないだけなのでしょうかね?

いつも拝読している甲南大学の梅本教授のブログにおいて、梅本先生は「フジテックの事例こそ監査役(監査役会)が意見を述べるべきではないか」「監査役に関心が向かないのはなぜなのか」とおっしゃっていますが、まさにその通りでして、関係者の関心が向けられている「関連当事者取引の妥当性」や役員報酬開示の問題は、まさに監査役会が中心となって調査すべき事項のように思われます。当然、有事における監査役(監査役会)の活動が期待されるところですが、なにゆえ監査役(監査役会)の意見もしくは行動が開示されないのか不思議でなりません。機関投資家が監査役には関心を示さないという現実はわかりますが、たとえ投資家の関心が示されなくても、監査役(監査役会)としての意見は開示されるべきではないかと。「監査役は何をしているのか!?」と世間から問われるたびに、なぜか悔しい気持ちになります。

今週号の経営財務(4月17日号)では、さきごろ開催された日本監査役協会の監査役全国会議の様子が紹介されています。そこではサステナビリティ経営への関心、内部監査と監査役監査との連携強化が話題になっています。しかし、近時の監査役員の存在感が失われつつあることへの危機意識を共有するような話題は出ていないようです。私から言わせてもらえば、サステナビリティ経営(平時のガバナンスを含む)について監査役が意見を述べることを学ぶのであれば、その前に有事における取締役会の機能不全の有無に関する意見を陳述する(開示する)、監査等委員会が個別取締役の人事や報酬についての独自の意見を述べる(総会で説明する)ことを学ぶほうが先ではないでしょうか。監査役員の存在意義は常に具体的な形として企業社会に発信を続ける必要があり、会計監査人も、何か財務報告上の懸念を抱いた際には、経理部や執行部よりも先に監査役員と懸念事項を共有すべきです。

いまこそ、監査役員を支援する団体が「有事における監査委員のガバナンス上での役割」に危機感を持たねばならないと考えます。2013年のガバナンス改革の進展とともに、監査等委員会を含めて「監査役員」の影が薄くなってしまいました。もし公表されている報告書等において「元気な監査役員さん」の活躍事例をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えていただければ幸いです(すいません、最近、適時開示をきちんと読めていないもので・・・)

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2021年9月29日 (水)

機関投資家からみた「不祥事懸念企業」と「監査役等に期待する働き」

昨日(9月27日)はANAホテル(大阪)にて、監査役全国会議のシンポジウム 個別テーマⅢ「中堅・中小規模会社における監査役・監査等委員の職分」の収録が行われました(ご登壇者の皆様はこちらのHPからご覧になれます)。私が進行役を務めたのですが、ご登壇者は中堅上場会社の監査役、取締役(監査等委員)の方々と機関投資家の方ということで、たいへんおもしろい内容のシンポが開催できたのではないかと(ひそかに)思っております。

中堅・中小会社監査役向けの分科会行事とはいえ、いずれの会社も任意の指名・報酬委員会を設置していて、社外取締役・社内取締役の構成比が1:1と2:1ということで、大規模会社と全く引けを取らないガバナンス構成です。そのようなガバナンス構成の企業において、監査役員がどのようにアイデンティティを維持しながら「発見力」と「発信力」を高めているのか、その具体的な行動内容をご披露いただいているので、プライム市場に上場する企業の監査役員の皆様にも十分参考になる内容だと思います。

「これって、大規模上場会社でもなかなかできない行動ですよね?」「なのに、なぜ中堅規模の上場会社でこんな監査活動ができるのだろう」という(進行役の)素直な疑問(素朴な疑問)をおふたりの監査役、取締役監査等委員の方々にぶつけてみました。おそらく答えにくい質問も多々あったかたとは思いますが、個々の企業の歴史なども踏まえて語っていただきました。

そして「あくまでも個人の意見ですが」という前提付きではありますが、三井住友DSアセットマネジメントの上席参与の方が「一投資家として、不祥事を懸念する企業のパターン」として、懸念される企業の部類、なぜ懸念されるのか(その理由)、さらに特に懸念が大きいのはこういった企業」として、ご自身の見解をご披露いただきました。パッシブ投資が主流となる中で、こういった考え方が対話(エンゲージメント)及び議決権行使基準の判断のモノサシになるのかも・・・と思いますと、とても興味深い。

さらに「監査役等に期待する働き」として、平時と有事に分けて「機関投資家からみた監査役等のこのような行動こそ大切ではないか」といった行動パターンも整理していただきました。おそらく責任投資分野でのこれまでのご経験を踏まえた整理と思われますので、監査役全国会議に参加される方はぜひとも個別テーマⅢの収録動画をご覧いただければと思います(なお、全国会議へのご参加申し込みはすでに終了しております)

機関投資家からみて、まだまだ監査役等の活動状況の開示は不足しているそうです(監査役等の活動方針の開示内容から、どのような事実を推論するのか、その過程についてもご披露いただきました)。それぞれの監査役会、監査等委員会自身の言葉で活動状況を開示することが大切ですね。ちなみに、私自身は今回は調整役に徹しましたので!(^^)!、ご登壇者のおもしろいお話、監査役員に有益なお話をどこまで引き出すことができたか、ご視聴される皆様の評価にお任せしたいと存じます。私自身もたいへん勉強になりました。ご登壇いただいた方々、運営していただいた日本監査役協会関西支部の方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

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2021年4月19日 (月)

日産元会長逮捕劇の端緒は常勤監査役の覚悟にあった-日産クーデターの真相より

4月17日までの5日間の連載記事「日産クーデターの真相」(朝日新聞・経済プラス)は、先週のエントリーで述べた通り、監査役・監査等委員の皆様には本当に必読の内容でした。どこまでが裁判での証言で、どこからが記者独自取材の内容なのかはわかりませんが、日産元会長が逮捕されるまでの社内調査の経緯が克明に描かれていて、とても参考になりました。

お読みになった方はおわかりのとおり、日産の常勤監査役(当時)のI氏が悩みを専務執行役員のK氏に打ち明け(役員食堂での雑談)、その後K氏から紹介された弁護士(元検事)の勧めで司法取引を活用する環境を整備し、最後にS社長(当時)に調査の全容を説明したうえで引き継ぐ(その1か月後に元会長逮捕)。検察官と交渉した際、I常勤監査役が「もし情報が洩れるようなことがあったら、検察は手を引く」と断言されたこと、司法取引の当事者となる法務担当執行役員や秘書室長らが「司法取引」を行うことによって「自分もあぶないのではないか」と衝撃を受け、冷静さを失っていた状況も描かれていました。

ルノーとの統合に反対していたK専務執行役員と出会ったこと、正義感から元会長の行動を阻止したいと考えていた法務執行役員が存在していたこと、内部通報制度の活用だけでは壁を乗り越えられないと感じていたときに「日本版司法取引制度」の施行が開始されたこと、「裏報酬」に光をあてて検察庁が金融商品取引法違反による起訴を決断したこと等、クーデターが起きた要因は複合的だったことがわかります。ただ、I常勤監査役が「日産のものつくり」をこよなく愛していて、「このままでは日産の技術が失われてしまう」といった危機意識を持ち、元会長と対峙する勇気がなければ日産の事件は表面化しなかったと言えます。

他社の監査役、監査等委員の皆様への教訓としては、常勤監査役I氏が法務担当執行役員に悩みを打ち明けるシーンでしょう。法務執行役員の方が「この人は本気でゴーン氏と対決するつもりだ」と驚き、その後、I氏に対して元会長の不正事実を克明に説明をしますが、やはり監査役、監査等委員が本気で監査権を行使する気概を示すことで、経営執行部側から情報が届く、ということだと思います。逆に言えば「監査役」「取締役監査等委員」とは名ばかりで、本気で社長と対決する覚悟のない監査役、監査等委員に対しては、経営者が関与する重大な不正情報は耳に届かない、ということです。

この連載記事は「日産事件は、ルノー統合を良しとしない日産幹部のでっちあげではない」(日産元社長のS氏が裏で動いていた、というものではない)と締めくくられています。ただ、ルノー統合の動きが加速していなければ、元会長は退任後に莫大な「裏報酬」をもらいながら、今もルノー・日産の統合会社のトップに君臨していたのではないでしょうか。そう考えますと、日産の技術畑を歩み、こよなく日産を愛しておられたI常勤監査役の調査権行使(社内調査の指揮・先導)と違法行為差止権限の行使(監査役自ら元会長と対面することを避けて、内部通報者に司法取引を勧めて、外部から元会長の動きを制止させること)は称賛に値するものと考えます。

もちろん「何が正義なのか」といった広い意味で本件をとらえるならば「元会長は日本の刑事司法制度の被害者である」「裁判を受けていれば無罪の可能性があり、クーデターは正当化されない」といった意見もありましょう。ただ、会社法上の監査役制度を前提とすれば、監査権の実効性を確保するために検察や金融庁との連携が必要な場面も当然に出てくるわけで(改正公益通報者保護法施行後は、監査役による公益通報という手段も出てきます)、このような常勤監査役の監査権の行使は善管注意義務、忠実義務の実践の「あるべき態様」ではないかと思うところです。

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2021年4月14日 (水)

監査役・取締役監査等委員の皆様にお勧め-日産クーデターの真相(朝日けいざい連載記事)

4月14日午前 追記あり

4月13日の朝日新聞朝刊「けいざい+(プラス)」で連載が始まった「日産クーデターの真相」ですが、なかなか興味深い内容です。グレッグケリー氏の裁判における証言や、新たな取材によって判明した「ゴーン氏逮捕までの経緯」を連載記事で再現する、というものです。第1回は「監査役は不審に思った」とサブタイトルで、日産の常勤監査役のI氏がゴーン氏の不正疑惑を抱くに至った経緯が記されています(当該経緯はまだ第2回にも続きます)。

I氏は実名、写真入りで登場です。I氏の実名は、当時日産元会長逮捕劇を扱った週刊文春2018年12月6日号でも掲載されていましたが、朝日の著名記者の方が新たにI氏に取材をされたようで、上記記事ではI氏が元会長の不正疑惑に迫る要因となった新事実が明らかにされています(第2回はI氏の違和感が不正疑念へと変わるきっかけとなる「社員食堂での後輩との会話」が掲載されるそうです)。

I氏は日産の副社長から監査役になった方ですから、積極的に社内の情報を収集できる立場にあったのかもしれませんが、カリスマ経営者に対峙する監査役(取締役監査等委員)の「職業的懐疑心」を理解するには貴重な題材ですね。監査役・監査等委員は職業的懐疑心をもって監査職務にあたることは善管注意義務、忠実義務を履行する者として「あたりまえ」のことですが、その「あたりまえ」のことが経営者の不正疑惑を前にするとできないことが多い。社長の違法行為を差し止める権限があるとしても、まずは「違法行為」「著しく不当な行為」である確証を得なければ権限行使の決断はできないでしょう。

3年前の文春記事では、たしか法務担当の執行役員(今回の記事にも登場します)らと意思を通じて、最終的には司法取引(刑事訴訟法上の協議・合意制度の活用)に至ったものと記憶しており、I氏が直接ゴーン氏と対峙した、ということではなかったと思います。たしかに監査役、監査等委員が司法取引の当事者となる場面というのは想定しにくいです。ただ、今後は(公益通報者保護法の改正によって)、一定の職務行為を行うことが前提となりますが、監査役も公益通報者となり、たとえば金融商品取引法違反事実の疑惑については証券取引等監視委員会や公認会計士・監査審査会等へ通報することが監査役としての正当な職務行為とされます(正確には監査役、取締役としての守秘義務が「正当理由」によって解除される、といったほうがよいかもしれません)。

つまり、監査役として経営者と強硬姿勢で対峙するだけの勇気がないとしても(※)、「強硬姿勢で対峙すること」と同視しうる程度の作為義務(経営者による違法行為の是正措置義務)は認められるようになると考えます。少なくとも、是正措置が必要かどうか、その判断の前提となる情報収集は必要だと思います(常勤監査役、監査等委員から情報を共有された社外監査役、監査等委員も同様の注意義務が発生するはずです)。もちろん、社長の不正疑惑を抱くきっかけとなる最初の「違和感」は、会社の業務全般に精通していなければ湧いてこないかもしれません。しかし、その「違和感」を監査役会(監査等委員会)を構成する他の監査役、監査等委員と共有することで、疑惑→確信に発展します。

※・・・監査役さんが裁判で敗訴した事例では、「見なかったことにしましょう」と他の監査役に勧めていた例、社長に違法行為の即時停止を求め、停止しなければ監査役を辞任する、と申し入れたものの、社長解任を提案する取締役会の招集をしなかった例、社長の行動に違和感を感じつつも、それ以上何もしなかった例など、もう少しの勇気があれば敗訴しなかったものと思われます。

冒頭の朝日新聞の連載は、おそらく「日本版司法取引」に至る経緯に最も関心が寄せられると予想します。ただ、監査役が経営者の不正を追及する決断に至る経緯については、あまり世間的に公表されることがありません。当該連載では、そのあたりが明らかになることを期待しております(本件とは関係ない話ですが、私が第三者委員会の委員長を務めた過去の報告書では、監査役の権限行使に至る経緯を詳細に開示しております。有事に直面する監査役、監査等委員の皆様への有益な参考例としての「公共財」として残したい、という気持ちからです)。

4月14日午前追記;今朝の連載2回目「危ない橋を渡る」もなかなかおもしろい!この続きがとても楽しみです。

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2021年4月 5日 (月)

企業統治改革が進む中で、「社長レース」に敗れた方の処遇はどうなるのか?

先週金曜日のエントリー「監査機関の一元的統合に関する課題にどう答えるか?」にはコメントやメールを多数いただきまして、どうもありがとうございました(リモートでフォローアップ会議を公聴されている方もおられるのですね)。監査役制度や内部監査の在り方など、様々なご意見をお持ちの方が多いことをあらためて知りました。

ところで、週末に、当ブログのエントリーをお読みになった某経営コンサルタント会社の社長さんや人材開発会社の社長さんとお話しする機会がありまして、たいへんおもしろいお話を拝聴いたしました。監査役制度を廃止して監査等委員会や監査委員会に統合することはマズい、そもそも統合は無理ではないか・・・といった意見をお持ちでした。

「監査役は社長レースに敗れた人たちの最適なポジションである」「山口先生のブログで『監査役制度の統合』が検討されていたが、実務的にはナンセンス」「有望な人材による社長レースが繰り広げられ、最終的に敗れた役員は常勤監査役として待遇面で厚遇しつつ、議決権を持たない立場であれば最も波風が立たない」「敗れたほうの候補者を支援してきた優秀な幹部候補が会社を辞めずに済むことにもつながる」「プロ経営者の市場があれば別だが、日本企業の場合には監査役制度が緩衝材として活用されるのはやむをえない」とのこと。

「監査役の任期4年には意味がある、任期途中で退任してもらう、といった考え方は問題だ」「取締役会改革が進む中で、監査役は妥当性監査も当然に行うべきであり、監査報告を活用すべきである」といった意見を私が述べますと、上記のような答えが次々と返ってきました。うむむむ、なるほど。。。

上記経営コンサルタントの方のお話では「最近は資源の最適配分ということで、グループ会社の統合、切り出し等も推奨されているようだが、グループ会社のトップについても監査役制度と同じ役割を担っている」「優秀な人材に競わせて、最終的にトップになれなかった人を厚遇して『会社の敵を作らない』ためには『グループ全体の業績にそれほど影響を及ぼさないグループ会社』の存在は必要。人材流出を防ぎ、社内外における人的ネットワークを失わず、社内融和を図ることはまさに守りのガバナンスとして必須」「おそらく経営者OBの独立社外取締役が指名委員会の委員であれば、そのあたりの組織力学はよくわきまえているだろう」とのことでした。

上記経営コンサルタントの方は、大きな会社のガバナンス構築に長年関わっておられるので、そのような意見をお持ちなのかもしれません。ただ、たしかにサクセッションプランが策定されたり、指名委員会・報酬委員会が設置されることが増えるとなると、早い時期から次期社長候補者を選定することになります。その際、敗れた候補者に対しては、会社はどのような待遇で臨むのでしょうか。これまで会長、相談役といった方に事実上の社長指名権限が残っていた時代であれば上記経営コンサルタントの方のような考え方も妥当していたと思うのですが、ぜひガバナンス改革に熱心な企業、とりわけ社外取締役さん方が社長の選解任の中心的役割を果たしておられる会社の対応方針については知っておきたいところです。

なお(上記のお話とも関連しますが)「守りのガバナンス」という意味では、社長と意見が対立した社外取締役として、「辞任」という選択肢をとることに躊躇しない人もいらっしゃいますが、「攻めのガバナンス」という意味では、社長と意見を対立させる勇気のある社外取締役っていらっしゃるのでしょうか?とくに社外取締役が2名以下の場合であれば、「とりあえず反対意見を述べておく」で済むかもしれませんが、今後は3分の1とか3名以上の社外取締役が役員会の構成員になるわけで、そうなりますと社外取締役の意思決定が会社の業務執行を決定する可能性が高まるわけですよね。

6月に施行されるガバナンス・コード2021を実施するためには、まだ1000人ほどの社外取締役が不足していると報じられていますが、「攻めのガバナンス」つまり健全なリスクテイクを決断する場面で、(報酬1000万円をもらえる地位を捨てる覚悟で)本気で社長と異なる意見を述べることができる人って、どのくらいいるのか・・・。あまりそのあたりって、議論されていないような気がいたします。

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2021年4月 2日 (金)

監査機関の一元的統合に関する課題にどう答えるか?

昨日(3月31日)、金融庁のHPにて、3年ぶりの改訂となるコーポレートガバナンス・コード改訂(案)が公表されました。日経や読売の事前報道でほぼ全容を知っておりましたので、内容は予想どおりでした。

ただ、よく存じ上げている方からメールでいただいた意見(感想)として「フォローアップ会議では3つの統治機構を一元化するべしとの意見が何人かの意見から出ました。方向としては委員会設置に向かうと思いますが・・・」といったコメントが気になりました(私は審議経過について、あまり知りませんでした)。監査役制度に関するフォローアップ会議での議論がかなり薄かったことは理解しておりますが、監査役制度はもはや不要(会社法上の機関形態を指名委員会等設置会社に一本化して監査委員会制度に移行すべき)、という方向性なのでしょうか。

もし機関投資家からみて「監査役制度」に魅力がないのであれば、広い意味で(会社法の理屈は抜きにして)監査役も取締役会の監督機能を担う一環として捉えて、取締役会の多様性の構成要素として説明する工夫をしてみてはいかがでしょうか。月刊監査役4月号では、MHM法律事務所のM先生が「監査役とスキル・マトリックス」なる論稿で、監査役も(新たなガバナンス・コードで開示が要請されている)スキル・マトリックスの対象とすべきか、といった問題提起をされていますが、ぜひガバナンス・コードへの対応として、常勤、社外を問わず監査役の特性(属性)についても積極的に開示すべきと考えます。

また改訂ガバナンス・コードでは、取締役や監査役の情報入手の重要性との関係で「内部監査部門の充実」に光が当たっていますが、なぜ監査役専属スタッフの活用については記載がないのでしょうか。キャリアパスの一環として監査役室に専属勤務するスタッフの存在は、監査役制度の実効性を高めます。たとえば私が社外監査役を務める会社では、現在4名の監査役会専属スタッフが在籍していますが、そこから見える監査役の役割は明らかに(内部監査部門と連携する監査役の役割とは)異なります。そのようなガバナンスの状況が開示されないことは、投資家にとってはとても「もったいない」と思います。

社外取締役に経営者の監督機能を果たしてもらうことでエージェンシーコストをできるだけ少なくしたい、会計監査人や内部監査人が別に存在するのだから、それ以外の監査コストはできるだけ低減したい、という機関投資家の気持ちからすれば、「監査は取締役・監査委員の会合で代替できるのではないか」「情報収集は優秀な内部監査部門と連携すればよいのではないか」といった素朴な疑問が湧いてきても不思議ではないでしょう。といいますか、最近のガバナンス改革の流れからすれば、そういった意見が今後も強くなるような気がします。

しかし内部監査部門に優秀な人が集まれば集まるほど、人事評価の対象は「指導機能」であり、「保証機能(不正を探すこと)」から離れることになります(優秀な社員が集まる経営管理部が不正を全く見抜けなかったことは、東芝事件の第三者委員会報告書でも記載されていました)。監査役へのダブルレポートと言われますが、そもそも監査役が欲しい情報とCEOが欲しい情報とは当然異なるわけですから、監査役専属スタッフの収集する情報とは明らかに異なるわけです。

社外取締役が期待された役割を果たしているか、対話の際に説明する会社の業績情報に信用性があるといえるか、そういった市場に参加する競争条件に問題がないガバナンスであることを担保できるシステムとしては、年に数回開催される米国のような監査委員会ではなく、年16回程度開催される監査役会のほうが適切ではないか。そして監査役会制度のあり方は(もちろん実効性が評価されなければならないわけですが)最終的には投資家のエージェンシーコストを下げることにつながるものと考えます。

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2021年2月 9日 (火)

会計士協会・監査役協会共同声明-3月期決算への対応はむずかしい(と思う)

2月4日、日本公認会計士協会と日本監査役協会の連名で「2021年3月期決算への対応について」と題する共同声明が出されました(たとえば日本監査役協会HPより)。①新型コロナウイルス感染症拡大が企業業績に及ぼす影響から「監査リスク」を適切に把握すること、②在宅勤務が推奨されるご時世、直接訪問や対面による監査手続きに代わる手法を検討すること等が強く要望されています。

以前から申し上げているとおり、コロナ禍における監査手続き(とりわけ会計監査)が十分に実践できない状況はやむを得ないものなので、まちがいなく上場会社(およびそのグループ会社)における会計不正事件は増えているはずです(ただし顕在化するのは3年~5年後)。そのような会計不正の兆候を早期に把握するためにも、この時期に監査責任者の団体が共同声明を出されることについてはまことにタイムリーなものと考えます。

ただ、リアルな監査手続きの代替手法であるリモート監査や電子化書類の閲覧が、往査手続きと比較して監査リスクを低減させるに十分な手法であるかといえば、かなり厳しい見方をせざるをえないでしょう。その理由を以下3つ述べたいと思います。

まずひとつが五感で認識できる往査と画面越しで言葉、視覚、聴覚で認識できるリモート監査は不正の兆候を把握するには格段の差があるという点です。たとえばアイ・エックス・アイ事件(架空循環取引)の際、同社の監査役が「どうもおかしいなあ」と感じたのは、同社の開発したソフト(無形資産)が記録されていたCDが「廊下や倉庫のあちこちに転がっていた」という現状を往査で認識したことによるものでした(同社監査役の法廷証言より)。ホントに完成前の成果物であれば、もっと機密保護のための対策がなされているはずなのに・・・という素朴な監査役の疑問から、これは真剣に監査しなければとの思いが浮かんだのです。リモート監査では、このような状況は期待できません。

ふたつめが「会計監査人と監査役との協働」です。これはコミュニケーションという意味ですが、私はコロナ禍でも可能な限り、監査役と会計監査人とはリアルにコミュニケーションを図る時間を作るべきと考えます。たとえば昨年、私が第三者委員会の委員長を務めた事件(会計不正)では、同社の監査役と会計監査人との間で同じ不正を見つめながらも、その認識に齟齬が生じました。

1通の「取締役不正に関する提訴請求書」が監査役のもとに届くわけですが、その書面をみて、監査役3名は「某取締役の不正支出」(資金流出)の疑惑に関心を持ちました。その後のリモートによる会計監査人との協議会において、この提訴請求が話題に上りましたが、当該協議会では監査役の問題意識を共有しただけで終わってしまいました。もし、この協議会がリアルに開催されていれば、会計監査人は書面をみて「これは費用の項目に問題があり、計上すべきでない費用に計上されているために資産が不当に増えている(ソフト開発)、つまり虚偽記載が問題ではないか」との認識を早期に監査役と共有することができました(実際は会計監査人が指摘した事項が大問題でした)。監査担当者の問題意識の共有は、リモート会議ではむずかしいことを痛感しました。

そして三つめが電子化書類の閲覧の限界です。先日、こちらのエントリーで、ポーラオルビスHDの経営者が「株式譲渡契約書の有効性」を争う裁判(東京地裁)で敗訴したことを紹介しましたが、裁判所が「契約書は偽造」と判断する根拠となった証拠は、原告側(元社長側)が執念でつきとめた「作成日付けを遡らせた株価算定書」の存在が決め手のようです(ダイヤモンドオンライン記事転載のこちらの記事参照)。原告側は公認会計士らが使用した相続税申告書作成ソフトウェアを特定し、作成日付以降にしか当該ソフトは販売されていないので、物理的にバックデートでしか(当該株価算定書は)作りえないということを証明したそうです。

「ん?これってなんか変じゃない?」といった最初の疑惑は、用意された紙ベースの書類の綴じ方だったり、印刷の不自然さだったり、担当者の対応への違和感です。この違和感がなければ、上記のような執念の調査に及ぶインセンティブが生じません。あたかもチェックリストに丸を付けていくような定型的な監査手続きなら問題ありませんが、不正を発見するための監査には電子化書類のチェックでは限界があるのも当然かと思います。

もちろん、会計監査人によるAI監査の手法なども代替ツールとして考えられます。ただ、「おかしい」と声を上げるために必要な疑惑を抱けるところまでAI監査は進んでいるのでしょうか。もしそのような事例がありましたらご教示いただければありがたいです。

コロナ禍でも業績が回復してきた企業であれば誘因は少ないと思います。しかし、なかなか出口が見えない企業では、なんとしても業績を良くみせたい、と考えるのが経営陣の気持ちです。そのような状況で、たとえ不正が発見できなくても「おかしい」と声を上げるためには、ふだんよりも監査手続きが重要だという社内の共通認識が必要ではないでしょうか。つまり監査する側だけが熱心になるだけでなく、監査される側も歩み寄る姿勢がなければ会計不正事件の早期発見は到底困難、というのが私の意見であります。

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2020年12月29日 (火)

社外取締役だけでなく社外監査役にも光を当ててほしい(願望・・・)

本日(12月28日)の日経朝刊法務面に「都内でガバナンスサミット2020-社外取締役の役割を議論」という見出しにて、「企業統治関係者が一同に会した『ガバナンス・サミット2020』」におけるシンポジウムの様子が報じられていました。主に取締役会の在り方、機能、権限が議論されたそうで、関係者のお立場から有益な意見が多数披露されたそうです。

「攻めのガバナンス」として改革が進み、株主もこれを推奨しているわけですし、東証のプライム市場に上場する会社は取締役会構成員の3分の1以上を社外取締役が占めるようにソフトローで要請する、ということなので、社外取締役に光が当たるのは当然であります。その一方で(金融庁のコード検討会では今後議論されるのかもしれませんが)最近あまり監査役制度が話題に上らないのは少し寂しいところです。とくに上場会社の7割程度は監査役会設置会社であり、そこには2人以上の社外監査役さんがおられるわけですが、なんだか最近の話題から取り残されてしまった感があります。社外取締役が少ない時代には「独立社外役員」として、社外取締役とその機能においては同列に扱われていたと思いますが、各社に複数の社外取締役が就任する時代になった頃から、どうも社外取締役の「補完機能」的に扱われるようになったのではないでしょうか。

一般的には社外取締役よりも報酬額が低いにもかかわらず、会計不正事件等が発覚した際には、セイクレスト事件や(先日、最高裁判決が出た)エフオーアイ事件などのように社外監査役に「監査見逃し責任」が認められ、多額の損害賠償責任を負うことになります。平成20年に最高裁で確定したダスキン事件株主代表訴訟でも、社外監査役さんだけに損害賠償責任が認められています。不正に関する情報は「監査役会」で共有するのが通常ですから、「知らなかった」とは言えない立場にある以上、やむを得ないのかもしれません。ただ、今後は社外取締役さんも増えたので「不正リスク」については社外取締役さんとも共有していただき、社外役員全員で(セイクレスト事件のように)不正に関与した代表取締役の解任を求めるための取締役会の招集義務を尽くす必要があると思います。

(以前も書きましたが)ときどき海外の製薬会社の日本法人のお手伝いをするのですが、日本法人の社長である外国人経営者は(日本人の)監査役さんたちや内部監査部の方々のことをとてもリスペクトしているのです。「オオカミ少年ウェルカム」ですし「利益を生まない部署だから軽くみている」といったことは決してありません。

このままだと来年の株主総会では、さらに「監査等委員会設置会社」に移行する上場会社が増えて、監査役制度がさらにガバナンス改革の中で影が薄くなりそうで(私的には)やや不安であります。「こんな社外監査役さんがいるから不正が早期に発見できた」「二次不祥事を防止できた」といった事例はいくつか経験したのですが、私の職務上の守秘義務からお伝えできません。このあたりが「守りのガバナンス」の実効性を語るうえでむずかしいところですね。

最後にガバナンス改革との関係でひとことだけ個人的な意見を言わせてもらえば、KAM開示を含めた情報開示項目の急増やESG経営重視の傾向が強まる中で、社外監査役にはかならず(現行コードの「財務会計的知見」という甘いものではなく)「会計監査の経験を有する者」を選任するように改訂すべきです。平時において会計監査人のチェックをしたり、業績連動型の役員報酬の評価過程の合理性を判断したり、有事において会計監査人と意思疎通を図る場合には、本当にガバナンスの要として活躍するのは会計監査の実務を知っている監査役だと確信します。

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