上場子会社の独立社外取締役に就任しての感想
本日、株式会社ニッセンホールディングスの第44回定時株主総会におきまして、取締役に選任されました(2期目)。役員の体制は社内取締役6名、社外取締役5名(うち、独立役員届出は3名)です。なお、総会ではなく会社説明会のほうでしたが、「女性の活用状況」に関する質問が出たのはダイバーシティの認知度が高まったことからでしょうね。
ご承知の方もいらっしゃるかとは思いますが、今年1月、ニッセンはセブン&アイホールディングスグループの子会社(50.7%)となり、このたびの総会では、セブングループからは副社長(社内)と社外取締役2名が選任されました。セブングループ出身の社外取締役のお二人は、日本のネット流通(オムニチャネル戦略構想)のカギを握る有名な方々なので、これからも良い刺激を受けたいと思います。
ただ(これは一般論として、ですが)、親会社が存在する上場子会社の独立社外取締役というのは、かなり難しい立ち位置ですよね。49.3%の一般株主の利益の代弁者という地位を忘れず、かといって今後は大株主の経営を自社に活かしながら、株主総体としての利益向上を考えなければならないということになります。
もちろん業績が良ければ親会社の経営方針との軋轢は少ないものと思います(親会社と潜在的な利益相反にある一般株主の利益を不当に親会社が吸収するような行動について意見を述べることは当然ですが)。しかし業績が芳しくない場合には、微妙に社外取締役の立場と親会社の経営判断との間に意見の食い違いが生じる可能性が高くなります。東証のコーポレートガバナンス報告書で開示しなければならない「支配株主との取引に関する少数株主保護の指針の履行状況」ではちょっとわからないような、微妙な問題も含まれることになるのでしょう。理屈の上では、いつも仲良くさせてもらっている会社の顧問弁護士の方に相談できない状況・・・ということもあるのかもしれませんね。
会社法改正論議の中で、社外取締役の役割、機能というものが話題になっていますが、現実の世界では各社それぞれに社外取締役の役割、機能は異なるものだと確信しています。親会社を含め、会社側が求めるものを理解しつつも、社内で実務を積んで、社外取締役としての立ち位置を考えること、この制度を「お飾り」や「投資家へのアリバイ」にしないためには、どちらの立場からも「社外取締役の活かし方」を真剣に考えることが求められていると思います。
自社の状況について、ここで具体的に書くことはできませんが、ここ2,3カ月、長年築き上げられた企業文化の中に、他の企業文化が導入されることの驚きを目の当たりにしています。「外の風」がどのように社内の暗黙知に風穴を開けるのか、これをきちんと洞察することこそ、今の自分に課せられた社外取締役としての役割だと認識するところです。
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