2005年10月31日 (月)

明治安田のコンプライアンス委員会(4)

(31日正午 追記あります)

ひさしぶりに、セレッソの試合を観戦しました。5月の大阪ダービー以来です。首位のガンバ大阪がFC東京に敗れたために、ますます混戦になってきました。29日現在で2位の鹿島と3位のセレッソの試合ということで、長居スタジアムもたいへん盛り上がってましたが、後半ロスタイム、セレッソMFファビーニョの「誰もが決まったと思った」シュートがポスト横にそれ、選手も観客も「ずっこけた」状態のまま試合終了(0-0)となりました。

ceresso-kasima2005

Jリーグの選手協会とは、実はすこしばかりご縁がございまして、もう10年ほど前のことですが、Jリーグ発足後、私は選手協会設立準備委員会の顧問をしておりました。当時の代表世話人の柱谷哲さん、都並さん、信藤さん(ベルマーレ平塚)とは、よく打ち合わせをいたしました。いよいよ組織が出来上がり、選手協会が設立され、井原さんも代表役員に選任されたあたりで、大阪の弁護士では協会サポートは事実上困難になり、私の司法研修所時代のクラスメートである小林弁護士(東京)にバトンタッチをいたしました。したがいまして、正確には小林弁護士が初代のJリーグ選手協会の顧問弁護士です。(その後たしか小林弁護士は、日本サッカー協会からの要請もあって、日本で初めてのFIFA公認代理人に認定されたように記憶しています。)ただ、そういったこともあり、セレッソ大阪とは、その後もおつきあいをさせていただき、一昨年は大阪弁護士会館で森島選手の講演会なども開催させていただきました。よく、プロスポーツ選手と弁護士、という関係では、契約交渉の場に現れるかっこいい一流選手のエージェント、というイメージが連想されますが、私の実際の経験からすると、毎年「大量解雇」される若いサテライトの選手たちの第二の人生を支援してあげる仕事、というイメージが強いですね。そういった意味では、スポーツ選手の「人材派遣業」を手がける企業と弁護士が提携するようなシステムが、もっとも適切かな、と思います。(このあたりは、行政書士さんもプロスポーツの契約交渉業務が可能となりました現在においては、弁護士法72条問題とも関係して、まだまだ問題点が多いところです)

さて、表記の「明治安田生命の行政処分」のエントリー、じつは(3)で終了しようと思っていたのですが、この週末、予想以上にたくさんの方にアクセスしていただきました(土日にもかかわらず平日と同じ程度のアクセスを頂戴しました)ので、若干の補足をエントリーさせていただきます。

イチローさんから、丁寧なコメントをいただきましたが、私のブログよりも「つぶやきイチロー」のエントリーをお読みいただいたほうが、保険業界の実態も理解されやすいのではないか、と思います。(もちろん、私にも、イチローさんにも誤解している部分があるかもしれませんし、そういった点がご指摘いただければ・・・とも思います)こういった企業の問題は、「報道の宿命」として、あと数ヶ月もすれば報道価値がなくなってしまって、世間の目からは離れてしまいます。しかしながら、そんな数ヶ月で「企業の社風が変わる」ということはありえない話です。私もイチローさんと同様、おそらくトップが変わろうとも、企業統合があろうとも、システムが出来上がろうとも、企業の社風が変わるのは、少なくとも10年はかかると思います。西武鉄道やカネボウ粉飾事件のように、トップが明確に「違法行為を助長」していたと思われる事件であれば、その原因を追及して、企業が変革をとげるのはまだ容易かと思いますが、金融庁が今回の処分理由で掲げていたような理由、つまり経営管理態勢(ガバナンス)自体に問題があった、とされるケースでは、「それでは、こういった体制に変えましたよ」ということで、すぐに不適切な行為が防止できるかというと、それはムズカシイのではないでしょうか。私は明治生命を弁護するつもりは毛頭ありませんが、今回の不適切な不払いに至った原因は、けっして「お客様」を無視した結果ではないと思っています。むしろ「まじめに保険料を払っていただいている契約者の皆様に不公平があってはならない、不正は許してはいけない」という根本の精神があったはずで、ただそういった企業の業務方針の実践方法に重大な誤りがあったはずです。したがいまして、企業の社風そのものが「悪い」わけではないため、「どこを変えれば改善されるのか」今後時間をかけて、十分検討しなければならないほどに困難な仕事が待っているはずです。

たとえば、今年2月、初めて明治安田生命の異常な不払い事件が発表されました。この不祥事については明治安田が自ら発表したと思いますが、それではいったい、なぜ発覚し、これを発表しなければならない状況に追い込まれたのか。自社のコンプライアンス機能が働いたために公表に至ったのか、これ以上は隠匿できない、といった後ろ向きの理由から公表に踏み切ったのか。ひょっとすると、前者だとすれば、今回の金融庁から受けた処分というものも、「変革途中の挫折」だったのかもしれません。コンプライアンス委員会からの調査報告書で触れられているのかどうかは不明ですが、こういった点も今後「企業が早期に自主的に変わりうるのかどうか」を判定する材料になります。

また、今回の「不適切な不払い」という対応、「がん保険の契約者」への対応というものが、時の流れによって世間の価値基準の変化があったとしても、常に非難に値するものかどうか、そういった点についても検討しておくべき課題です。改善に長年月を要する場合、たとえば10年もすれば、世の中の「企業責任」に対する考え方も変化します。私はそういった世間の企業に向けられた倫理規範の変化を「目ざとく」認識することも重要なリスク管理のひとつだと思っていますし、そういったバランス感覚を社内で涵養する必要性が今後ますます高まっていくのではないか、と予想しています。「こんな社内規則があるんだけど、なんで?」といった相談を企業から受けることがありますが、それは過去の重大な事件を風化させてしまい、誰もそのときの「おそろしさ」を記憶していないことに起因します。これでは、企業の精神が次第に変容してしまう「リスク」を認識する土台は作れないと思います。まずは今回の事件を10年間、風化させない仕組み、その仕組みをどうすれば作れるのか、今後の社内体制の改革のなかで十分に意識して取り組まれることを期待したいと思います。そして、どうかこのたびの被害者となった契約者の方々へ、謝罪に代えて、わかりやすい言葉でその取り組みを説明していただきたい、と思います。

なんか随分とえらそうなことを書き連ねましたが、やはり保険会社には株主によるガバナンスが機能しない分、その自浄作用に期待せざるをえないところが大きいわけですから、そのあたり、復活への期待も込めて、勝手なことを述べさせていただきました。

(追記)

今朝のニュースをみると、子会社ではありますが「100件ほどの保険契約書の偽造が判明」とのこと。なんか、昨日のセレッソの試合同様「ずっこけ」た感じがします。。。。

10月 31, 2005 明治安田のコンプライアンス委員会(4) | | コメント (1) | トラックバック (0)