2017年10月13日 (金)

必見!会計・監査・ガバナンス-ジャーナリスト・記者の視点

10月24日に東芝さんの臨時株主総会が開催されますが、株主送付書類の中に監査委員会による「計算関係書類及び会計監査報告に係る監査報告」が掲載されています(東芝さんのHPで閲覧できます)。

会計監査人であるPwCあらた監査法人さんは、(予定どおり?)計算関係書類について「限定付き適正意見」を表明しているので、東芝さんの監査委員会としては「会計監査の方法及び結果については不相当」という意見を表明するのでは、と予想していました。しかし、相当性審査の結果は「(監査の方法も結果も)限定付き相当意見」です。つまり、限定付き適正意見の根拠とされる部分については相当ではないが、その部分を除外したところでは相当である、とのこと。

ちなにに日本監査役協会「監査役監査実施要領」(平成28年度版)152頁~156頁あたりの「会計監査人監査の方法と結果の相当性判断」に関する記載を読みましたが、監査委員会による相当性判断は「相当」とみるか「不相当」とみるかというもので、条件付きとか限定付きの相当性判断という類型はありませんでした。うーーん、私の解釈では、上記の記載は「監査委員会と会計監査人の見解が一致している場合」には該当せず、結論としては会計監査人の監査は方法及び結果とも相当ではない、と読めるのですが、いかがでしょうか。。。

さて、(まったく話は変わりますが)来週10月19日ですが、東京日本橋の書店「丸善」にて、読み手と作り手をつなげる本の祭典(ニホンバシ・ブック・コンベンション)が開催されます。そこで、たいへん興味深い企画を見つけました。私も過去に出版でお世話になった同文館出版さんの企画です。

<対談>同文舘出版の本からみる会計・監査・ガバナンスのいま―ジャーナリスト、記者の視点と編集者の視点<16:00~17:00 丸善日本橋店3Fギャラリー>

※定員50名(先着順にご案内させていただきます)

ゲストの経済ジャーナリストや新聞記者と編集者が、それぞれどのような視点で会計、監査、ガバナンスに関するテーマを追い、記事の執筆や本作りをしているかを語り合います。

むむ!?これは気になる。。。ということで、同文館出版さんに問い合わせたところ、トークショーに登壇されるのは磯山友幸氏(経済ジャーナリスト、元日経新聞記者)、伊藤歩氏(経済ジャーナリスト)、加藤裕則氏(朝日新聞記者)という、いわば会計・監査・ガバナンスの世界を良く知る「大御所」の方々だそうであります(このブログでお名前を出すことについては、皆様のご了解を得ております)。

私もちょうど午後3時半まで丸の内で仕事をしておりますので、「帰阪の時間を遅くしてでも、これだけは行かねば・・・」ということで出向いてみようと思っております(先着50名って、遅れたら入れないってことかな?)。漏れ聞くところでは、あの企業会計審議会の委員でもいらっしゃる某著名学者の方も見に来られるとか?(そういえばこの方の還暦記念「21世紀会計・監査・ガバナンス事典」を頂戴していたことを思い出しました)。

会計・監査の世界をおもしろく世間に紹介する「通訳」「橋渡し」の役割は重大であり、ジャーナリストの方々へ期待するところは大きいのです(このトークショーを盛り上げるためには編集者の力量も重要です)。参加可能人数に限りがありますが、もしお時間がございましたら10月19日木曜日午後4時~5時、日本橋丸善3階ギャラリーでのトークショーをご一緒に堪能しましょう!(^^♪

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2017年9月16日 (土)

当事務所の移転のお知らせ

大型台風が近づいている三連休、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、平素は当ブログをお読みいただき、ありがとうございます。当事務所は下記のとおり移転いたしましたのでお知らせいたします。新事務所での業務は9月19日からとなります。

〒530-0047 大阪市北区西天満2丁目5番12号 大阪堂島大山ビル301(電話・ファックス等の番号に変更はございません)

Photo_2

最寄りの駅は地下鉄・京阪淀屋橋駅(徒歩6分)となります。積水化学さんの本社正面玄関の向かい側で、とてもわかりやすいかと。新幹線(新大阪駅)からタクシーの場合は「梅新東で(新御堂筋を)降りて、そのまま御堂筋をまっすぐ行って堂ビル前で」と伝えていただき、堂ビル前から徒歩(1分)が一番近いと思います(事務所前の道路は一方通行のため御堂筋からは進入できません)。

クライアントの皆様や一緒に案件に取組む有識者チームの方々のご要望に最大限応えるために、ワンフロア・ワンテナント、きわめて高いセキュリティ設備のビルに新事務所を構えました。

当事務所にとって大きなイベントでしたが、本当にたくさんの方の支援を受けて、なんとか事務所移転を無事済ませることができました。移転作業に関わっていただいたすべての方々に、いまは感謝の言葉しかありません。本当にどうもありがとうございました<m(__)m>

心機一転、これからも質の高いリーガルサービスを提供できるよう尽力してまいりますので、当ブログのほうもなにとぞよろしくお願いいたします!

 

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2017年9月12日 (火)

今週はブログの更新をお休みさせていただきます。

本日は司法試験の合格発表日ですね。「4人にひとり」の順番が回ってきた人と、回ってこなかった人の差はごくごくわずかですが、この「ごくごくわずか」をどう意識するか・・・。私も不合格の時期が長かったので、いろんなことを考えました。

さて、今週は事務所の移転作業で忙しいので、ブログの更新はお休みさせていただきます。南森町から淀屋橋へ移ります。いやいや、23年も同じビルで事務所を構えていましたのでたいへんです。荷物のない事務所開設のときのほうがよっぽど楽です。とりわけ紙の資料を「移動」「廃棄」「溶解」に分類するのに時間がかかりますね。昔の裁判記録や依頼者からの手紙なんかが出てきて感慨にひたっていると、さらに時間がかかります。

また移転が完了しましたら、当ブログで告知させていただきます。

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2017年8月30日 (水)

ダンロップスポーツ社(東証1部)の第三者委員会委員長を務めました。

本日(8月29日)15時にリリースされましたが、住友ゴム(吸収合併存続会社)とダンロップスポーツ(同消滅会社)との吸収合併手続きにあたり、ダンロップスポーツ側の第三者委員会委員長を務めさせていただきました。他の委員の方々(会計士の方と、ダンロップスポーツ社の社外取締役の方)と3カ月間、真摯に取組みました(本業なのであたりまえといえばあたりまえですが・・・)。

M&Aにおける第三者委員会の委員長はこれが2回目です。前回は日経さんのフライングニュースで冷や汗モノでしたが、今回は開示されるまで報じられることもなく、またインサイダーを疑わせるような株価の動きもなかったようなので、少し安心しております。個別案件の中身については守秘義務があるので何も申し上げられませんが、構造的な利益相反状況にある親子上場解消例では、第三者委員会が設置されるのはもはや「あたりまえ」になっているのではないでしょうか。

企業不祥事対応の第三者委員会も同様ですが、案件は100あれば100とも様相が異なりますので、マニュアルがないところでの仕事です。どんな案件でも、ファイナンスとガバナンスの知見は欠かせませんし、組織力や人財といった財務諸表に表れない無形資産への関心(興味?)も必要だなぁと思います。さらに、近時は相手方企業にも複数の社外取締役さんがおられる、ということを常に意識しておいたほうが良いですね。

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2017年8月22日 (火)

ESG投資のキモとなる「非財務情報」の役割を考える

東芝さんの有価証券報告書に「限定付適正意見」を表明したPwCあらた監査法人の代表者インタビュー記事が掲載されていますね(ロイターさんの記事はこちらです)。個別の案件について監査法人の代表者の方がマスコミで説明する、というのも異例ではないかと。当ブログで盛り上がっている話題にも少しだけ触れられています(以下本題です)。

先週金曜日(8月18日)の日経朝刊の特集記事「ESG指数 米英算出会社に聞く」を読みましたが、予備知識が乏しいせいか、あまり内容を理解できませんでした。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資に乗り出し、銘柄の選別にあたって3つのESG指数を採用した、とのことですが、財務情報とは全く別個に非財務情報の開示も重要になりつつあるのかな・・・と考えておりました。

しかし企業会計9月号の特集「株価を動かす!非財務情報のチカラ」を読みますと、ようやく上記記事の内容を少しばかり認識することができました。また、非財務情報の取扱いについても、財務情報の延長線上にある、つまり財務諸表に乗らない企業価値をどう財務情報のように取扱うべきか・・・といった意識で議論されていることにも気づきました。統合報告書などにみる「非財務情報の取扱い」は、財務情報とは全く異なる考え方で議論されている・・・というわけではないのですね。

スチュワードシップ・コードが改訂される中で、①これまでの企業会計の考え方では把握しきれない無形資産の存在や、その将来的な見積もりといったことが企業価値を把握するにあたっては重要になりつつあることや、②社会問題の解決力や環境適応能力といった「ほんの少しの優越的地位が、グローバルネットワークが発達した時代においては独り勝ちを収める」といった時代背景からすると、ESGへの企業の取組に大きな関心が寄せられていることも当然かもしれません。

なかでも、時々お世話になっているニッセイアセットマネジメントの井口譲二さんの「非財務情報が将来業績予測・投資判断に与える影響」は、非財務情報がどのように企業価値と結びつく(と考えられる)のか、その道筋がとてもよくわかりました。コーポレート・ガバナンスが良好と判断されると、投資家にとってどのような安心感を生むのか、という点も(井口氏の個人的な意見も含みますが)とても参考になります。

また、青山学院大学の北川教授の「非財務情報の先進的開示例-アニュアル・サスティナビリティ・レポートの重要性高まる」も、投資家への説明に必要なKPIについて、先進企業の工夫が感じられて参考になりました(味の素さんの開示事例では、先の日経記事でも取り上げられていたESG指数算出会社の基準などにも言及されています)。先進企業の開示事例を読むと、ESGに力を入れて将来的にどう企業価値を向上させていくか、そのストーリーを描くだけでなく、その前提としてのファクトをどれだけ投資家に見せることができるか、現実問題として真剣に取り組まないと説得力は出てこないだろうな・・・と感じました。

8月 22, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年7月 7日 (金)

産地米偽装問題-週刊ダイヤモンドに「大逆転」はあるのか?

京都の米卸業者が中国産の米を「南魚沼産」として販売しているとして、週刊ダイヤモンド誌が実名報道を行った件で、ついに農水省の調査結果が公表されました(JA京都中央会のHPに掲載されています)。中国産米が混入した形跡はないとのことで、ようやく米卸業者としては風評被害から脱することができそうです(おそらく従前の取引先との取引も再開することになると思います)。

ダイヤモンド誌がスクープを報じたときは、あれだけ「とんでもない業者がいたぞ!」と(瞬間的に)話題になりましたが、こうやって農水省の調査結果が出たにもかかわらず、どこも米卸業者の名誉を回復していただけるような報道をしてくれるマスコミが出てこないのはなんとも寂しいところです。結局のところ、社会不安をあおるほどの記事にはなりえず、小さな米卸会社の信用毀損をもたらすにとどまった、ということかと。企業不祥事報道のおそろしい現実を垣間見ました。

民事裁判が係属していますので、ダイヤモンド誌側は「記事内容には自信がある。真実だと確信している」との主張を繰り返されるのでしょうが、自ら依頼した鑑定研究所が「以前の鑑定結果とは違った結果が出た」との再鑑定結果を出し、さらに農水省の調査結果まで出ましたので、かなり苦しい立場に立たされたものと思います。私は公平な立場でこの問題を取り扱っていますので、これ以上、ダイヤモンド誌を批判するつもりはありません。ただ、米卸業者さんの「泣き寝入り」状況をみるにつけ、どこかで不祥事報道の出し方を間違ってしまったのではないか、裁判で決着をつけるだけの問題では済まないのではないだろうか、と疑問を抱かざるをえません。

そして、私がこのブログで言い続けてきた「不祥事を取り扱った雑誌スクープは、他紙(他誌)の後追い記事が掲載されないかぎりは大きな不祥事にはなりえない」という事実については、さらに確信するものになりました。ときどき内部告発を本業で取り扱う者として、事実を基礎付ける確固たる証拠がなければ多くのマスコミに取り上げてもらうことはできない、かえって企業の信用を毀損するだけでなく、いたずらに社会不安をあおることになってしまいかねない、と自戒するところです。また、マスコミのスクープネタへの対応としては、今回のJA京都中央会側の冷静なマネジメントがとても参考になります。

公益通報者保護法の改正審議がこれから続きますが、本件の一連の騒動は、法改正推進派にとっては有利にも不利にも働きそうな立法事実が詰まっています。

 

 

7月 7, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年6月 6日 (火)

相談役・顧問制度の廃止が経営の停滞を助長する

毎月第一土曜日に20数名の会員が集まり、白熱した議論が展開されるコーポレートガバナンス・ネットワークの関西勉強会ですが、今回も、大手製薬会社の元役員の方によるご発表は、会員からの活発な意見がたくさん飛び出す見事なものでした(大手食品メーカーの元社長さんのガバナンス改革に関するホンネの厳しいご意見なども拝聴できました)。ちなみに今回のテーマは「企業価値創造とコーポレートガバナンス」。

なかでも発表者の「相談役・顧問制度を廃止し、その代わり役員経験者を社外取締役になってもらうことは、有効活用につながり、総論としては賛成だが、経営の停滞を招くおそれがあり注意すべきことがある」との意見に関心が湧きました。理由のひとつめは、相談役・顧問制度を廃止することで、社長として居座る人が出てくる、つまり社長在任期間が長くなりはしないか、結果として経営が停滞しないか、という点です。社外取締役が本当に社長退任を要求できるほどの役割を果たせるのであればよいのかもしれませんが、相談役・顧問による目付がないと社長は「後継者がいない」といって居座ってしまうおそれがあるそうです。

そしてもうひとつが、「社外取締役に経営経験者が増えれば増えるほど、持ち合い取締役が増える」ということで、こちらもやはり経営の監督機能が薄まり、現経営陣に対する安定をもたらすというものです。以前、当ブログでも問題視しましたが、日本取締役会協会が公表しているガバナンス指針からすれば、「持合い取締役(相互選任取締役)」は独立取締役ではない、とされています。しかし、実際の株主総会での議決権行使結果を観察してみますと、持ち合い取締役さんの選任については機関投資家の方からも全く反対票が投じられることはないようです(招集通知を見れば、持ち合いかどうかはわかるのですが・・・)。社外取締役が増えたとしても、相互に就任しあっている会社同士で現経営陣が安定基盤を持つわけですから、これもほかの独立社外取締役さんが異議を留めなければ今後は次第に増加していくことになりそうですね。

社外取締役制度にたいへん厳しい意見が毎回出されるのですが、そんな厳しい意見をお持ちの方々も、「監査役制度をもっと活用したらいい、監査役こそ、社長がリスペクトする気概を持てば機関投資家が期待する役割を発揮できるのに」という意見でまとまり、個人的には元気が出ました。グループ会社を歩き回って(往査して)、非業務執行者として社長が知らない事実をたくさん知っている監査役が存在することは脅威だそうです。元CFOといった肩書で監査役に就任している方、監査役室で部下をたくさん持てる方であれば別ですが、社内の人事政策で監査役に就任された方が、社長にモノを言えるようになるためには、やはり「歩き回る監査役」としての評判が必要かもしれません。

 

6月 6, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2017年5月23日 (火)

パワハラが公益通報の対象となる日は来るか?ー厚労省検討開始

昨日は、インサイダー取引規制関連のエントリーにおきまして、誤った情報を提供してしまい、関係会社にご迷惑をおかけいたしました(すでに該当箇所は訂正しております)。申し訳けございませんでした。同じようなミスを繰り返さぬよう、刑事事件を取り扱う際には注意をしてまいりたいと思います。

さて、(本日は短いエントリーですが)厚生労働省は、職場でのパワーハラスメントを防ぐため、パワハラ行為を法律で禁止することなどを視野に入れた検討を始めたそうです(5月22日の日経ニュースより)。私もニュースで初めて知りました。規制手法については、ガイドライン行政となる可能性もありますが、もし本当に法律でパワハラ規制が実現するとなれば、さらに法違反や行政処分違反に刑事罰が盛り込まれることになれば、いよいよパワハラ行為も公益通報者保護法上の「公益通報」に該当することになります。

もちろんパワハラ行為といっても、刑法犯に該当するような悪質なものは現在でも公益通報事実に該当しますが、精神的ないじめや事実上の嫌がらせといったものは対象外です。民事賠償の対象だけでなく、取締り規定による規制が厳しくなれば、それだけパワハラ行為の明確性も要求されることになります。そうなるとパワハラ認定もさらに難しくなりますが、企業の関心が高まることは間違いないと思います(内部通報窓口の業務において、悲惨な状況を目の当たりにしている私としましては、ぜひとも法規制を推進していただきたいと願っております)。

一昨日のNHKスペシャルでは「発達障害」の三形態が紹介され、その実態に私も衝撃を受けました(紹介記事はこちらです)。外見的には普通であるがゆえに、職場では「性格が悪い」とか「能力が乏しい」といった評価を受けてしまう方々がたくさんいらっしゃるそうです。「普通」であることを強要するのではなく、いろいろな考え方を許容できる企業社会がなければパワハラもなくならないだろうなぁと感じた次第です。

5月 23, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2017年5月15日 (月)

ウラから眺める日本郵政の野村不動産HD資本提携報道

本日のエントリーは勝手な推測が入っておりますので、「ああ、こんな見方もあるもんなのか…」程度に割り引いてお聴きください(お忙しい方はスルーしていただいて結構です)。

先週、日本郵政さんが、野村不動産HDさんと資本業務提携を進める(もしかしたら買収まで?)といった報道がありました。驚いたことに、日経さんがスクープしたのではなく、なんとNHKさんのニュースが第一報スクープとして取り上げました。提携するのが郵便屋さんと不動産屋さんという組み合わせの妙とは別に、

「スクープで日経が抜かれたって!?」

「日経の担当の記者さん、えらい面目まるつぶれじゃない!?」

といった話があちこちから聞こえてきました。私も以前なら同じような印象を持ったはずです。

ただ、これだけ大きな上場会社さんどうしの資本業務提携話に日経さんが絡んでいない、ということはないと思います。こういったM&Aは情報管理や情報収集のためにも日経の記者さん、あるいは記者さんとつながりの深いキーマンの方がいらっしゃるはず。インサイダー取引のリスクもあるので、日本郵政さんとしては、自社及び野村不動産さん周辺の情報漏えいリスクには細心の配慮をしていたはずです。したがって、当然のことながら日経の記者さんは情報を持っていたはずであり、提携や買収を決める取締役会の開催日の早朝に第一報が日経スクープとして出てくるというのが通常の流れではなかったかと思います。

ところが今回はNHKさんが第一報を出したわけですから、(かつて公企業的な立場にあった)日本郵政さんとお付き合いが深いNHKさんに誰かが情報をリークした、ということが考えられます(もちろん推測にすぎませんが・・・)。したがって、とくに日経の記者さんが「どんくさかった」というわけではなく、情報をコントロールできなかったということが事実だとすれば、むしろ日本郵政さんのガバナンスや内部統制にどこか問題があったのではないでしょうか。もちろんNHKの記者さんが熱心だったことを否定はいたしませんが、こういったことは社内が一枚岩になっていないことを推測させたり、インサイダー取引を誘発させたりしますので、とても注意が必要です。

さらに、もし情報管理、情報収集のために日経記者さんのお世話になっていたとしたら、「江戸の仇を長崎で討たれる」ようなことにだけはならないように心がけておきたいところです(すいません、私自身の失敗経験、後悔、反省から得た教訓であります・・・)。

5月 15, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2017年4月26日 (水)

産地偽装米騒動-マスコミはなぜ消費者の食の安心に無関心なのか?

週刊ダイヤモンド誌に産地偽装米スクープ記事が掲載された2月以降、ずっとこの問題に関心を寄せておりましたが、先週金曜日(4月21日)、JA京都中央会の特設HPに、記事の信用性に影響を及ぼす重大な鑑定結果が公表されました。ダイヤモンド誌が、京都の米卸業者の販売する産地米に「中国産が混じっていた」と報じる根拠となった鑑定書を作成した研究所が、JA京都中央会からの再鑑定依頼に対して「すべて国産米」という鑑定結果を出したそうです(鑑定書も添付されています)。同研究所は、たしか最初は再鑑定を拒絶しておられたようですが、最終的には鑑定をされたのですね。

「中国産が混じっている」からといって、決してお米の安全性に問題がある、とは申しません。ただ、日本産ということだけでなく、産地をきちんと明記してお米を販売することは、お米の流通に関わる方々にとって、ブランドを守る事業者の経営問題を越えて、消費者の「食の安心」に関わる重大な責務です。したがって、経済誌のスクープ記事は(このシリーズの最初のエントリーで申し上げましたとおり)消費者に与える影響が大きい以上、他のマスコミはよほどのことがない限りは後追い記事を書かないのでありまして、その点においては私の想定通りでした。

ただ、実際には農水省も行政調査に動き、ダイヤモンド誌も翌週号に第2弾の記事を掲載したことから、この米卸事業者は、未だに関西で100店舗以上の販売店から販売停止処分を受けており、経営面に深刻な打撃を受けたままです。もちろん、米卸事業者側としても刑事、民事の法的手続きを進めているそうですが、ご承知のとおり最終結論が出るまでには相当の年月を要するのであり、この米卸事業者には法的な結論を待つだけの経営上の余裕は残されていない可能性があります。今回のダイヤモンド誌側が依拠した鑑定結果が再鑑定によって別の結果となった以上、事業者としてやれることは全てやり尽くしたと評価できます(とりあえず、コンプライアンス経営という視点からの私の関心はここまでです)。

ところで、本来ならば行政調査の結果が速やかに出されるべきとは思いますが、JA京都中央会側の問い合わせに対して、未だ農水省からの回答はないそうです。ダイヤモンド誌といえば、経済誌として信用されているブランドですし、その記事も真実性が高いものと評価されています。この状況のままですと、どう考えても(世間的には)当該米卸業者の産地偽装疑惑は払しょくされないまま「グレー企業」としての烙印を押されてしまいます。また、ダイヤモンド誌が信用性の高い記事を書くメディアだけに、世間的には産地偽装米が、農水省の調査もあいまいなままに世間に流通している、と認識された状況が継続します。

この状況を受けて、せめてダイヤモンド誌と同じくらい信用性の高い記事を書かれているマスコミの方々が、「ファクト」(事実経過)だけでも報じるべきではないでしょうか?これは、米卸事業者の信用を回復するために、というわけではなく、消費者に及んでいる「食の安心」への脅威を少しでもなくすためです(おそらく2月以降「ファクト」をこれまで報じているのは大阪ローカルの毎日放送さんだけだと思います)。たとえば著名な経済誌がスクープとして「食の安全・安心」に関する記事をアップしたとしても、消費者としてはこの記事を冷静に受け止めることが必要、鑑定といっても、結論はファクトではなく意見にすぎない・・・その教訓だけでも「自己責任を問われる時代」の消費者教育の一環ではないでしょうか。

4月 26, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2017年4月23日 (日)

消費者庁・民間事業者向けガイドライン説明会に登壇します。

富士フイルムHDさんが決算発表を延期されることが日経ニュースで報じられています。グループの富士ゼロックス社の海外販売子会社で、過去の会計処理について妥当性を調査する必要が出てきたために、決算発表を延期を決定したうえで第三者委員会を設置したそうです。

上記日経ニュースによりますと、2015年に、不適切な会計処理があると内部通報があり、これに対して富士ゼロックス社が対応していましたが、2016年11月、富士フイルムHDさんの監査法人から(たぶんHDが)問題があると指摘を受けたそうです。第三者委員会の報告を待たないと正確なことは言えませんが、(通報から監査法人の指摘まで長時間要したことから推測しますと)おそらく会社の対応が遅々として進まないので、内部通報者が監査法人に内部告発をした、ということだと思われます。

ただ、富士フイルムHDさんは、今期に監査法人が交代していますので、ひょっとすると前の監査法人さんが問題視していなかった通報事実について現在の監査法人さんが問題視している、ということかもしれませんね。これも監査法人版ガバナンス・コードの影響かもしれません。いずれにしましても、内部通報への企業側の対応が不十分だと、通報者はためらわずに第三者へ情報提供する、といった典型例かと。

さて、今年前半は改正個人情報保護法に関する解説書が、そして今年後半は「内部通報制度」に関する解説書が、多くの著者から発刊される模様ですが、昨年12月に改訂されました「内部通報制度に関する民間事業者向けガイドライン」の説明会が、いよいよ大阪でも開催されることになりまして、不肖私が前座を務めさせていただくことになりました(消費者庁HPでも公表されています。東京では前回あっという間に満席になりましたので、東京での追加説明会の開催も公表されていますね)。消費者制度課の方による①11年ぶりの改訂ガイドラインの説明、②近時の公益通報者保護制度の解説がメインイベントです(私はあくまでも「前座」でございます)。

会場は(たぶん大阪の方はすぐにおわかりになると思いますが)OMMビルの会議室ですが、募集人員が80名ということなので、ひょっとしたら満席になるかもしれません。私の感覚では、民間事業者向けガイドラインは、先日公表されました行政機関向けガイドライン(外部労働者等からの通報)とセットで理解をしておく必要があると思いますし、また公益通報者保護法と内部通報制度との関係性についての理解も必要かと思います。そのあたりを私なりに解説させていただきたいと思いますので、ぜひお時間のある方は天満橋までお越しいただければと思っております。

 

4月 23, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年4月12日 (水)

ココログ・アクセスランキング46位(どうもありがとうございます)

(4月13日午前11時30分最終更新)

ブログを開設して早13年目に突入いたしましたが、ここ2日ほど「東芝問題」に関するエントリーをアップしたことでアクセス数が急上昇いたしまして、ココログのアクセスランキングでも46位(4月12日現在)となりました(13日は35位)。往年の著名ブログよりも上位、というのも驚きです。はやりすたりの激しいブロガー業界(?)において、企業法務を扱う「お堅い」ブログが多くの方々にお読みいただいていることはとても嬉しいですし、私自身も励みになります(ちなみにアクセス解析では、ほぼ60%が40代、25%が30代、10%が50代、男女別だと男性70%、女性30%ということでして、この傾向は数年来変わっておりません)。

ご承知のとおり、このブログはBLOGOS(ブロゴス)に転載されておりますので、実はそちらでお読みの方のほうが圧倒的に多いのですが、毎日、ブックマークからこちらのアドレスにお越しの方はコメント欄をご覧いただけるという「特典」がございます。ぜひとも、有益なご意見がてんこもりのコメント欄のほうもご覧いただければ幸いです(すいません、最近なかなかお返事を返しておりませんが、きちんと拝読させていただいております)。

今後とも、当ブログを御贔屓によろしくお願いいたします。 山口利昭

4月 12, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月30日 (木)

弁護士ドットコムBusiness Lawyersに当職のインタビュー記事が掲載されました。

産地偽装米騒動の件、またまたJA側が攻勢をかけています。JA側が依頼した鑑定人が「シロ」と判断したお米(全く同じお米)を、今度は週刊ダイヤモンド側が依頼して「クロ」と判断した鑑定人に鑑定依頼をするという、まさに「闘うコンプライアンス」の究極行動に出ました。さて、どのような鑑定結果が出るのか、ますます興味が湧くところです。ただ農水省は本当に検査を行っているのでしょうか?1か月以上経過しても何の経過報告もないというのはいったいなぜなのでしょうか。

さてここからが本題ですが、本日はどなたでもご覧になれるWEB記事のご紹介です。弁護士ドットコム社が主催するBusiness Lawyersに、東芝事件の総括に関する当職と郷原信郎弁護士のインタビュー記事(前篇)が掲載されました(こちらからどうぞ)。とりあえず「前篇」ということで、「後篇」はまた後日ということです。よろしければご一読ください。

半導体事業の売却決定、ウエスチングハウス社のチャプター11申請ということで、すべてカタが付いた・・・というわけではありませんが、東芝さんにもオジャマして、いろいろと考えたこともありましたので、ここまでの総括という意味でお話いたしました。会計不正問題から再生問題へと世間の関心は移っていますが、東芝問題にはいろんな見方があっても良いのではないかと思います。でもやっぱり郷原さんの切り口はおもしろいですよね。。。

 

3月 30, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月18日 (土)

原発避難者訴訟(前橋地裁判決)と東電の(津波の高さに関する)予見可能性

全国で集団訴訟が展開されている原発避難者訴訟において、前橋地裁が最初の判決を下したそうで、多くのマスコミで報じられているとおり、原告(避難者の方々)の東電、国に対する賠償請求の一部を認容したそうです。

私も東日本大震災の3か月後、商事法務さんのNBL956号(2011年7月1日号 28頁以下)に「原発事故にみる東電の安全体制整備義務--有事の情報開示から考える」と題する論文を掲載いただき、そこで「津波の高さについては、東電は想定外と説明しているが、結局のところは想定したくなかったというだけではないか」との論調で平時の東電社の内部統制構築について考察したので、とても興味のある判決です。

前橋地裁の判決要旨が今朝(3月18日)の毎日新聞に掲載されていましたが、2002年7月に策定された国の地震調査研究所本部による「長期評価」が(東電社の予見可能性ありとする)根拠とされたのですね。そこから想定される津波の高さを東電自身が算定することは可能だったとのこと。私は2008年ころに研究者の方々が東電に想定される津波の高さに修正が必要との要望を出していたことの評価及びたとえ津波の高さが予見できるものではないとしても、最終的に電源を確保する対策の有無が争点だと書きましたので、ここでは私の主張どおり、というわけではありませんでした。

当時東電は、2002年にとりまとめられた「原子力発電所の津波評価技術」なる報告書(土木学会作成)に基づく「予想される津波の高さは5.7メートル」を根拠に安全対策を講じておられたと思います。経営判断としてはこれ以上の津波を想定して安全対策することも可能だったかもしれませんが、過失を基礎付ける「予見可能性」を認定することはできない、といった主張が東電側から出てきているのではないでしょうか。

ただ、2002年といえば東電による「原発ひび割れ事故」隠ぺい事件が発覚した時期です。安全対策工事に従事したGE子会社社員の内部告発によって発覚した事件であり、当時の東電の複数の経営陣が責任をとって辞任しました。原発の安全性に関わる情報を国民に隠していた東電が、この時期の経営判断から「津波の高さは予見できなかった」「想定外だった」と主張するとなると、別件の事故とはいえ、かなり信用性が乏しいように思います。裁判官の心証として、そのような東電社の不祥事も影響していたのではないでしょうか(あくまでも推測にすぎませんが)。

私も上記論文では原発事業の公共性(1955年11月以降「日米原子力協定」が締結されて日本の原子力発電が常に官民協力の下に推進されてきた歴史)をもとに、国の責任も問われる可能性があるとしていただけに、今回の判決はとくに違和感はありません(ただ、控訴審でどうなるかは不明ですが)。単純に世の中の流れに沿った判決ではなく、東電側と原告の主張の合理性を詳細に検討したうえでの判断だったのではないかと思います。

3月 18, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年2月17日 (金)

ANAの「重要な経営課題」騒動と「なんちゃって行動経済学」

本日、ANAHD(全日空ホールディングス)の社長さんが出席して「重要な経営課題」に関して記者会見を開く、との広報がなされ、ANAHDの株価が大荒れとなりました。一時は前日比7%も下落したとのこと(毎日ニュースが詳しく報じています)。フタを開けてみると重要事業会社の社長交代に関するリリースだった・・・とのことで「え?、重要な経営課題って、これだったの?」と一気に株価が急上昇しました。

「重要な経営課題」ということですから、M&Aなどの前向きな経営判断の決定もあれば、提携解消や不祥事の発覚といった後向きの判断や発生事実もありえます。もちろん重要事業会社の人事問題も立派な「経営課題」です。しかし、「重要な経営課題」を悲観的なニュースと捉えて、約7%も株価が下落するというのは興味深いですね。いえ、私も「またブログネタが増えるかも?」と、不謹慎にも考えてしまいました(笑)。

私は経済学は素人ですが、米国のノーベル経済学者ダニエル・カーネマン氏のご著書「ファスト&スロー」の発想からすると、証券市場に詳しければ詳しいほど、いわゆる「利用可能性ヒューリスティック」によって不合理なバイアスが働いてしまうものと思います。いま、世の中は東芝問題で揺れていることもありますが「重要な経営課題」と聴くと、「ああ、そういえば過去にも同じようなテーマの会見で悪いニュースが多かったよな」との認識がバイアスを生み、悲観的な結果を(楽観的な結果よりも)強く認識してしまいます。また、とくに証券市場に利害関係のない人たちからすると「他人の不幸は蜜の味」といった「感情ヒューリスティック」が機能して、悲観的なバイアスを生み出すことも考えられます。

そして「プロスペクト理論」ですね。合理的に考えれば確率が同じであったとしても、利益を得る結果と損失を生む結果を比べると、人間は損失回避の選択を優先する、という不合理な方向に動いてしまう行動法則です。こういったヒューリスティックスもプロスペクト理論も、何万年も人間が種を残していかねばならない動物である以上、制御不能な脳の働きだからしかたがない、ということなのでしょうね(ちなみに1か月後、もう一回ANAさんが「本日、重要な経営課題について会見をします」と広報したら、今度はどんな株価になるのか興味があります)。

しかし人工知能だと、こういったバイアスや思い込みといった脳の働きはなくなるのでしょうかね?だとすれば、やっぱりAIを活用した投資活動は儲けを生みやすい、ということになるのでしょう。あと、ガバナンス改革で求められている「健全なリスクテイク」なる概念もプロスペクト理論で考えるとコワいですね。このままだとドンジリになることが経営者にも確実にわかったので、リスクテイクを選好する、という結果になったと考えるのが(認知心理学、行動経済学的には)筋ではないかと。

2月 17, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2017年1月19日 (木)

企業不祥事対応のトレンドから考える監査役等の行動規範

昨日(1月18日)は、東芝グループ会社の会合(二水会)にお招きいただき、浜松町の本社ビルにて監査役等の皆さまに向けた講演をさせていただきました。「外からどんな会社に見えているか、再生に向けてこれから何をすべきなのか、忌憚のない意見を遠慮せずに述べてほしい」と言われておりましたので、ホントに失礼ながら、私なりの東芝さんの問題点や課題についてお話しいたしました(たぶん気分を害された方もいらっしゃったと思います)。

事前打ち合わせの際にも感じましたが、、予想どおりビジネスパーソンとして優秀な方が多い組織ですね。でも組織が大きすぎて全体が見えにくいことも間違いないですね。経営トップだって全体を把握することは困難だと感じました。そんな組織の中で、社員はどんなモノサシで人事評価されるのだろうか・・・と思いを巡らせますと、いろいろと発見するところもありました。私自身も、グループ会社の監査役さんや本体の取締役監査委員の方々と意見交換をさせていただいて、たいへん勉強になりました(どうもありがとうございました)。意見交換の内容はとうていブログでは書けませんが、厳しい状況の中、ぜひとも難局を乗り切っていただきたいと思います。

さて、今年も恒例となりました日本監査役協会「全国行脚」が始まります。今年は例年よりも1回増えまして合計8回講演となります(大阪が増えて2回→3回)。「企業不祥事対応のトレンドから考える監査役等の行動規範-自浄能力を発揮した企業と評価されるための具体的な視点」と題するセミナーでして、ほぼ資料も出来上がりました。新聞等であまり騒がれていませんが、監査役や監査等委員の皆さまが検討しておくべき最新の事例を中心に、平時から考えておくべきこと、有事に考えねばならないことを解説していきたいと思います。とりわけグループ会社の監査役、独立系企業の監査役等、「会社の人事政策の関係で監査役になっちゃった、4年も監査役をやる予定はないけど・・・」といった非上場会社の監査役の皆さまにも参考になるように工夫をいたしました。

本日の日経産業新聞でも花王さんの事例が紹介されておりましたが、取締役会の実効性評価の中に監査役会の実効性評価を開示している例も出始めました。実際にバイサイドアナリストの方々はESG投資の一環として「監査役の力」を評価しているところも出ているのでありまして、「ガバナンスには攻めも守りもない」といったあたりも事例で紹介したいと思います。「モノ言う監査役」でなければ監査役の力を発揮できない時代ではないのです。有事にならないと企業が自浄能力を発揮できない時代では(もはや)ありません。さらに、後半では「社長に一目置かれるための監査役」になるために、どうしても知っておきたい平成20年代の最高裁判決(決定)を「監査役の着眼点」という切り口から4つご紹介いたします。ちなみに大原町農協事件最高裁判決、セイクレスト事件判決(最高裁不受理)はここに含まれておりません。

監査役さん方が敗訴した最新のエフオーアイ事件損害賠償事件の地裁判決も、監査役さんの行動規範を考える題材としてご紹介する予定です(ただし現在控訴審係属中で確定はしておりません)。すでにお申込み受付が開始された大阪でも、まだ若干余裕がありますので、ご興味がございましたら日本監査役協会のHPからお申込みいただければ幸いです。

1月 19, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2017年1月17日 (火)

関経連共催コーポレートガバナンス・シンポでコーディネーターを務めました

Dsc_0031_4001月16日、私が理事を務めております日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークは、関西経済連合会との共催企画を開催いたしました。タイトルは「コーポレートガバナンス改革で日本企業は変わったのか?-ガバナンス・コードと向き合う企業の理想と現実-」。タイトルでほぼおわかりのとおり、企画及びシンポのコーディネーターを担当させていただきました。企業不祥事ネタは一切出さず、「稼ぐ力」としてのガバナンスだけに焦点を当てましたが、盛会だったのはひとえに関経連さんの(プロと申し上げて良いほどの?)ご準備によるものでした。

大阪弁護士会館2階ホールは通路に椅子を追加するほど満席となりまして、JR西日本さん、読売新聞さん、日本生命さんほか、企業の社長、元社長の方々にも多数ご出席いただきました。日経、朝日の記者さんにもお越しいただきましたが、記事になるかどうかは不明(たぶん好学上の目的でお越しになられていたかも・・笑)。ガバナンスネットワークの牛島信理事長による基調講演の後、「関西企業はガバナンス改革にどのように向き合うか」といったテーマで、帝人相談役の長島さん、関経連企業法制委員会の主査でいらっしゃる積水ハウス常務の中田さん、機関投資家代表のニッセイアセットの井口さんといった方々に登壇いただきました。大発会の鐘をたたきながら「成長戦略のためには企業統治が最重要」と担当大臣がおっしゃる東京では語れない内容でも、みなさん、雪で遅延する新幹線に乗って関西にお越しになると「口が軽くなる」ようで(?)、ガバナンスの理想と現実をホンネでお話いただきました。

シンポが盛り上がった要因は、まず関経連さんが昨年公表された「わが国企業の持続的な企業価値向上とコーポレートガバナンス整備のあり方に関する調査研究報告書」がなかなか他の経済団体では出せない内容だったから、という点が挙げられます。「四半期報告制度は、そもそも中長期の企業価値向上にはそれほど効果的ではなく、一方報告書作成に要する企業の負担が増すばかりなので、最終的には廃止すべき」といった提言も、「株主との建設的な対話」の中で議論させていただきました。すでにガバナンス改革に乗り出して20年近く経過した帝人さんの歴史から、社外取締役制度やアドバイザリーボード(取締役会の諮問機関)はどのように価値向上に結び付くか、といったこともお話が聴けましたし(やはりガバナンス改革の実効性検証にはまだまだ時間が必要ですね)、ショートターミズムから中長期の企業価値評価へと舵を切る運用機関のアナリストがどれだけ厳しい状況に置かれているか・・・といった話題も(スチュワードシップ・コード改訂直前の時期でもあり)興味深いものでした。

どんなにガバナンス・コードにコンプライしても、またコンプライしなくても、自社のガバナンスのベストを真剣に模索する企業こそ持続的成長を図ることができる、またどんなに辛口の意見であっても、真剣に自社の成長を支援してくれる株主と目的ある対話を続けることが大切だということを、私自身も認識いたしました。対外的には新大統領の経済・金融政策との関係で、また対内的には「働き方改革」というガバナンスの根幹を揺るがす課題との関係で、とても良いタイミングでシンポができたと思っております。登壇者の皆様、ご来場された方々、ガバナンスネットワーク事務局の方々、そして関経連の事務局の皆様、本当にお世話になりました。

1月 17, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月 3日 (火)

謹賀新年2017

みなさま、あけましておめでとうございます!<m(__)m>本年も拙ブログをよろしくお願いいたします。

大阪は例年になく穏やかな気候の年末年始でした。短い正月休みでしたが、いちおう目標としておりましたふたつの判決文の熟読も終えまして、なにかの形でまたフィードバックしたいと思っております。

1月 3, 2017 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月30日 (金)

今年もお世話になりました(年末のご挨拶)

例年この時期は家族旅行ですが、今年は諸事情ございまして私個人の仕事納めが本日になってしまいました。事務所の入っているビルがおそろしいほど静まりかえっております。

本業については一切ブログではお話できませんが、いろいろと社会的にも騒がれた事件に関与できて充実した一年でした。また、これはブログでも書きましたのでご承知の方も多いとは思いますが、代理人としてではなく、当事者として訴訟リスクを背負う事態となりました。株主代表訴訟リスクというものを、自分のこととして実感することができました(まだまだリスク顕在化のおそれはありますが・・・)。当事者になってみると、やっぱり「有能な代理人」の支援を受けることがどんなに精神的な安定につながるか、身にしみますね(笑)。あ、あとD&O保険の存在も(笑)。

まだまだブログで書き足らないことが多いのですが、ひとまず今年はこれでお休みさせていただきます。どうか良いお年をお迎えくださいませ。

山口利昭 拝

12月 30, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月13日 (火)

経済誌「企業不祥事特集」の記事投稿の件

この時期は懇親会が続き、なかなか更新する時間もないので執務中ではありますが、経済誌の特集記事への投稿をお知らせいたします。

現在発売中の週刊エコノミスト(12月20日号)「粉飾-ダマし方、見抜き方」におきまして、「監査役の覚醒-増えるモノ言う監査役」なる論稿(2ページ3000字)を掲載いただきました。私の論稿の隣に掲載されている(公益通報者保護制度検討委員会でご一緒している)光前幸一弁護士の「内部通報者保護-制度充実で試される財界の本気度」も併せてお読みいただければ幸いです。しかし私以外はホントに豪華な執筆陣で驚きました。

もうひとつ、これも現在発売中の日経ビジネス12月12日号「謝罪の流儀-夜明ければ社会の敵に」におきまして、「思考停止がもたらすマニュアルの罠」でコメントを掲載いただきました。この特集で掲載されている企業不祥事は、私はこの1年間にブログで掲載したものばかりで、現場での新たな取材内容から、新たな事実を発見できて興味深いところです。

また、来週も雑誌掲載論稿のお知らせがひとつございますが、発売されてからご紹介させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

12月 13, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (1)

2016年12月 3日 (土)

内部通報制度の最新情報(直前ですがセミナーのお知らせ)

DeNA創業者の南場智子さんのご著書「不格好経営」では、独禁法違反(優越的地位の濫用事案)を指摘した公正取引委員会とガチで闘った経験から「そもそもグレーゾーンで事業を行うこと自体に当社の問題があった」と自戒をこめて回想しておられます。モバゲーサイトの「援助交際目的使用」撲滅作戦の経験なども含め、ビジネスモデルを展開するにあたり、今後同社はコンプライアンス経営の意識を強く持つ会社に発展するものと期待しておりました。

しかし、このたびのキュレーションビジネスにおける同社の不適切行為については、徳力基彦さんがご指摘のとおり、かなり悪質なもののように見受けられます。ただ、徳力さんも述べておられるように、私もDeNA社員の方による内部告発記事が掲載されたことが不祥事発覚の大きな端緒になったように思います(DeNAさんも、この記事が公開された翌日に問題サイトの非公開に踏み切りました)。従来からビジネスモデルに疑問を感じていた社員の方が、社会的に火がついたことをきっかけとして記者さんの取材に応じたものと推測されます。このような取材記事が掲載されるまで、今回の医療情報に関するキュレーションビジネスが社外からどのように受け止められるのか、DeNA社内で議論する機会はなかったのでしょうか。社内におけるレポートラインの在り方やヘルプラインの機能不全に関心があります。

さて、(ここからは広報ですが)年内の内部通報制度に関するセミナーに私も登壇しますので、(本当に直前となりましたが)お知らせいたします。今回は、リスクマネジメント・コンサルタントのエス・ピー・ネットワークさん主催(レクシスネクシス社後援)の出版記念セミナーに、私はゲスト的な立場で登場します。「あまり出しゃばらないほうがいいのでは・・・」と思いまして、ブログでの広報も控えておりました。ただ、「東京も大阪も、お席にまだ若干余裕がある」とのことなので、当ブログをご覧の方々で、内部通報制度や内部告発への社内対応に関心がございましたらお越しいただければ幸いです。ちなみに大阪は12月6日、東京は12月20日で、いずれも午後2時開演でございます(大阪のみなさま、ホンマに直前になりまして申し訳ございません)。

内部通報制度の最新事情~有効に機能する制度の運用と今後のあり方について

講演内容は上記HPにてご確認ください。私は第Ⅰ部の基調講演(60分)と、第Ⅲ部のパネルディスカッションに登壇いたします。公益通報者保護法改正に向けた審議状況の最新状況や今後の動向、11年ぶりに改訂される公益通報制度に関する民間事業者ガイドラインの改訂等についても若干触れたいと思います。企業不祥事を端緒とする役員のリーガルリスクという視点では、内部通報や内部告発への社内対応の巧拙が大きな影響を及ぼします。中小事業者を含め、ビジネスを円滑に進めることに役立つリスクマネジメント手法として、ヘルプラインを活用する時代が到来したと言えるでしょう。運用する会社側にも、また活用する社員側にも「密告制度」などといった10年前の暗いイメージはなくなってきたことを実感していただきたいと思います。なお、レクシスネクシスさんの上記HPからお申し込み可能でございます。

12月 3, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2016年11月18日 (金)

ガバナンス、コンプライアンス経営にとって重要なリリース(3本)

さて、本日は珍しく2本目のエントリーとなりますが、コーポレートガバナンスや企業コンプライアンスのトレンドを語るために重要なリリースがいくつか出ましたので(私自身の備忘録の意味もあり)お知らせいたします。また来週あたりから、個々のリリースを取り上げていきたいと思います。

ひとつめはコーポレートガバナンス関連ですが、未来投資会議構造改革徹底推進会合「企業関連制度改革・産業構造改革―長期投資と大胆な再編の促進」会合(第2回)配布資料が公開されました。構造改革の徹底推進とあるように、今後ますます国策としてのガバナンス改革が推進されるようで、注目は「法律上の取締役会以外の事実上の意思決定機関への関心」ですよね(たとえば相談役、顧問等)。

ふたつめはコンプライアンス経営の関連ですが、私が委員を務めております消費者庁公益通報者保護法実効性向上検討委員会ワーキンググループ報告書が公表されました。4月~11月のワーキンググループの会合を終えまして、(検討会親会の審議を通じて)法改正への提言が中心になっております。今後は経済団体さんや関係省庁さんの関心が(おそらく)向けられるものと思います。ちなみに一昨日の検討会親会では「そもそも公益通報者保護法を消費者庁が担う意味はあるのか?個人情報保護法のように、別途委員会形式に権限を委譲したほうが良いのではないか?」といった根源的な議論も行われました。

そして三つ目が、やはりコンプライアンス経営に関するものですが、お待ちかね、デロイト・トーマツさんが「企業の不正リスク実態調査2016」の結果を発表しました。いやいや、この実態調査の結果はなかなかおもしろいといいますか興味深いものになっております(不正が発覚した企業の多くが「当社では不正を公表しなかった」と回答されていますね)。回答数も300社を超えていますが、企業が不正とどのように向き合っているのか、今後また分析して当ブログでコメントさせていただきます。

11月 18, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年10月21日 (金)

経団連主催の企業倫理セミナーにて講演をさせていただきました。

本日(10月20日)、経団連主催の関西企業倫理セミナーにおきまして「コンプライアンス経営の推進に向けて-精神論ではなく実践論としての企業倫理」と題する講演をさせていただきました。毎年10月は経団連の企業倫理月間ということで、東京と大阪でほぼ同時に開催されるものです。大阪国際会議場の特別会議室に250名ほどご来場いただきまして厚くお礼申しあげます。いままで(講演や本業で?)お世話になった企業の関係者の方々ともひさしぶりにお会いできて楽しかったです。

講演の要旨は後日、写真とともに経団連ニュースにてネット上でご覧いただければ幸いです。こういった講演では、会場からの質問はあまりいただかないのが通例なのですが、本日は多数の方にご質問をいただきまして、こちらも新たな「気づき」をいただきました。「答え」になっていない回答もあったかもしれませんが、ご勘弁ください。なお、国際会議場の一番大きなホールでは「日本監査役協会監査役全国会議」が開催されていてビックリいたしました(^^;。

10月 21, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年8月23日 (火)

岸監査役とのお別れ

本日は予定を変更しまして、関係者かぎりのさみしいお話で失礼いたします。

私が取締役を務めているニッセンHDの社外監査役、岸秀隆氏が逝去されました。岸さんは長く監査法人トーマツの代表社員を務められ、退所後に当社の監査役(社外)に就任されました。岸さんとは役員仲間であること以上に、ある研究会で長年ご一緒させていただき、拙著「法の世界からみた『会計監査』」の執筆時にも、有益なご意見を頂戴しておりました。また、グループ会社経営の「全体最適、部分最適」の考え方等も教えていただきました。私は参加しておりませんが、経営者の方々を集めて自主勉強会も定期的に開催されていました。

ここのところ、お身体の調子が良くなかったのですが、当社の役員会にも精力的に出席され、(電話会議ではありましたが)先週までご出席いただいておりました。会社自身が厳しい状況に置かれている中で、財務会計的知見から貴重なご意見をいただいておりました。まだまだお若かっただけに、このような訃報に接することは非常に残念でなりません。

岸さんからは、「会計士の職業倫理」を含め、まだまだ教えていただきたいことが山ほどありましたが、たいへんわずかではありますが、私がこれまでに学ばせていただいた知見を実務に活かすことで、岸さんへの感謝の気持を示したいと思います。謹んでご冥福をお祈りいたします。

8月 23, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年8月18日 (木)

ガバナンス改革時代におけるコンプライアンス経営(セミナー告知)

さて、本日はひさしぶりの私のオープンセミナーのご紹介です。自ら企画し、レクシスネクシスさんにご協力いただきまして、法務、コンプライアンス関連業務ご担当の役員、社員の皆様向けに「ガバナンス改革時代におけるコンプライアンス経営~役職員はどう動くべきか」と題するセミナーを東京(9月20日)、大阪(9月6日)で開催することとなりました(レクシスネクシスさんのセミナー告知はこちらです)。

セミナー概要を引用しますと、

コーポレートガバナンス・コードの施行、会社法改正等により、企業が稼ぐ力を取り戻すためのガバナンス改革が本格化しています。一方で、外向けの制度対応のみに終始している上場企業も中には見受けられ、「ガバナンスの優等生」と評価されていたはずの企業で、次々とマスコミが大きく報じる不祥事が発生しました。ガバナンス改革への形式的な取組みは、かえって不祥事の原因となる「構造的欠陥」を抱えることにつながるといえるでしょう。本セミナーでは、ガバナンス改革が進む中で企業が留意すべき不正リスクを検証し、昨今の企業不祥事に顕著な「構造的欠陥」を露呈しないための、全社的取組みについて提案します。

というものです。主に法務・コンプライアンス部門ご担当者向けと申しましたが、もちろん経理、総務、監査、経営企画等ご担当の皆様、士業の皆様も大歓迎でございます!

ガバナンス云々・・と紹介しておりますが、セミナーの内容はコンプライアンス経営の実践的なお話が中心です。どこかの本で仕入れてきたようなガバナンス論のお話はせず、自らの体験に基づくお話を中心にさせていただきます。ブログでは到底書けないような話も含めて(?)、オフ会感覚で講演をさせていただきますので、ぜひともブログをご愛読いただいている皆様方にもご来場いただければ幸いです。最近はブログで書きたくても、忙しくてなかなか書けないネタも多いので、そういったネタについても披露させていただきます。もちろん、ただ楽しめる講演ではなく、今後の皆様の実務に参考になるところを3時間バージョンでお話するつもりで用意しています。

いつも講演で心掛けていることは、聴講される方に「なるほど~」と唸っていただくのではなく、「このオッサンの言ってることはもっともらしく聞こえるけど、ホンマかいな?どっかおかしいような気もするな・・・、よし、会社に帰って誰かに尋ねるか、調べてみよっと」と懐疑心満載でお帰りいただくことです。また、ブログは「問題提起型」「問題発見型」なので、問題解決の処方せんについては触れておりません。せめてセミナーくらいは、具体的な事案などを取り上げて、私なりの問題解決の処方せんをいろいろと述べてみたいと思っています。

参加費用が「そこそこ」なので、やや心苦しいところではございますが、その分ご期待に応えられるよう準備してまいりますので、どうか皆様、東京もしくは大阪での講演にご参集くださいませ(セミナーといえば、最近は役員セミナーや経済団体での講演が多く、ブロガーであることを知らない方ばかりの中でお話をしておりますので、できれば「ブログ読んでますよ!」とお声をかけていただければたいへんうれしいです)。お申し込みは上記レクシスさんのHPからよろしくお願いいたします。<m(__)m>

8月 18, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2016年8月 5日 (金)

本日のエントリーに関するおわびと訂正 

いつもご愛読いただき、ありがとうございます。

本日付けエントリーにおきまして、不適切な表現がタイトルおよび本文中に含まれている、と複数の読者の方から指摘を受けました。私自身は差別的表現ではないと考えておりますが、放送禁止表現であることは間違いないところでありますので、安易にそのような表現を使ったことにつきまして、深くおわび申し上げるとともに、該当箇所を訂正させていただきました。

今後はブログ作成にあたり、表現にも細心の注意をしてまいる所存でございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

8月 5, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2016年8月 3日 (水)

関係者になってしみじみわかる「鬼より怖いマスコミのリーク記事」

昨日は三菱自動車燃費不正問題に関するリーク記事についてお話をいたしましたが、今朝も日経一面に三角株式交換による完全子会社化に関するリーク記事が出ておりまして、たいへん驚いた次第であります。かなり前ですが、加ト吉さんを日清食品さんがグループ会社化することをリリースする直前に、詳細なスキームまで日経一面で解説されており、「一体だれがこんなこと漏らすのだろうか」と批判的にみておりましたが、いざ自分が関係者になってみますとこんな情け容赦のないリークはあるのだろうか・・・と呆れてばかりです。

たとえば非上場会社のトップに某有名経営者が就任するとか、「●●社、いよいよ上場を検討」といった記事であれば「こりゃおもしろいネタだわ、ひょっとしてフライング?」で笑って済む話かもしれません。しかし上場会社の場合には一般投資家に混乱を生じさせることもあるわけでして(まぁ、それも投資家の自己責任だ、とか、情報管理ができていない会社側が悪いのだ、と言われればそうかもしれませんが)、市場にとっては悪い影響を及ぼす可能性が高いと思います。たしかに三菱自動車さんの公表した第三者委員会報告書を読みますと、すでに読売新聞の一面記事に出ていた内容のとおりでありまして「なんで調査委員会関係者以外知らない事実が漏れるの?ひょっとしてリークをさせて世間の反応を確認しているのかな?」と勘繰りたくもなります。

不祥事対応や支配権争い、不正調査等、企業の有事対応の仕事をしておりますので、マスコミの方々がレアな情報にアクセスしておられる(アクセスする努力をしておられる)ことは当然だと認識しております。しかし、保有している情報を記事化するタイミングというのは十分な配慮が求められると考えます。たとえば本日のフライング記事にしても、会社が正式に発表する時間まで、極めてインサイダー取引リスクが高まるわけでして、とりわけ昨日報じられた某上場会社の元会長さんのように「情報伝達者」の刑事立件が行われる時代になった今、犯罪を誘発する可能性も高まります。

大手の新聞社・通信社では、リークのタイミングは重要会議で検討されるわけでありまして、そこには経営陣も介入できない「編集権」の壁が存在することは承知しております。ただ、偉そうに言える立場でもありませんので「お願いベース」ではありますが、どうかリークされた方の苦しみも少しは理解していただきたいと思うところでございます。

8月 3, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2016年6月 8日 (水)

東京都知事の第三者委員調査についての雑感

政治に絡むエントリーは過去に苦い経験がございまして(たとえば田中文科相の大学認可拒否問題のときは行政法の理解不足を皆様からご指摘を受けてボロボロになりました)、あまり書かないようにしていますが、東京都知事の政治資金規正法違反疑惑に対して「第三者調査」というものが行われましたので、ひとこと。もちろん、私個人の意見であることを付記しておきます。

企業法務に詳しい方々のように、ふだんから企業不祥事発生時の第三者委員会等を知っている方からしますと、「あるべき第三者調査」のイメージも認識できると思いますが、企業法務の世界など、本当に狭い世界です。都知事の会見で初めて「第三者調査」というものを聞いた世間の多くの皆様は、第三者による調査といっても、どんなものかイメージが湧かないのが当然です。ほんの一握りのマニアックな世界で有名なオリンパス事件、東芝事件の第三者委員会といったものを知らない多くの方々が、今回の「第三者調査」をみて、「新聞で時々出てくる第三者調査というのはこういったものか」とイメージをもたれたのではないでしょうか。とくに法令に基づくものではありませんが、私の抱く第三者委員会調査と今回の東京都知事第三者調査との比較を図表にまとめてみました(まぁ、私のブログを閲覧される方々も、マニアックな方だけかもしれませんが・・・)

Toshijihikaku

いろいろ批判されていますが、第三者調査の費用は批判の対象とされている人(法人を含む)が出すことが前提です。したがって、第三者といいましても、どうしても利益相反状態は起きてしまうわけです。だからこそ、公正独立な立場で調査を行うということを、ほかのいろいろな点からステークホルダーに示す必要があります。表で示した項目はそのうちの一部だとお考えいただければ結構です。

フォレンジック(電子調査)があたりまえの時代なので、東京都知事と秘書とのメールでのやりとりなどを調べて、依頼事項以外にもフォーカスを広げないと第三者調査とは言えないでしょうし、とりわけステークホルダーは都民の皆様でしょうから、調査報告書の開示は必須ではないかと(私はある議員さんのブログから調査報告書の全文を閲覧しましたが、中間報告ということでもないようです)。ただ、こういった調査を「やりますよ」と都知事に説明した第三者委員候補者の方には「そこまでやるならもう結構です、依頼しません」と都知事側からお断りした可能性もありそうですね。ここは調査開始時点で委員の氏名開示がなかったので、かなり可能性は高いのではないかと思います。

第三者委員会による調査については、報告書が作成されるまでは依頼者(委嘱した者)にお見せすることは少ないのではないかと(ただし、金融庁や取引所などには中間報告的に見せることはあります)。なぜなら、予定された結論に対して依頼者から横やりが入ったり、(結論が依頼者にとって不都合だとわかった場合には)その時点で第三者委員会を解散させるような事態になってしまうからです。

最も違和感を覚えたのが記者会見です。都知事の横で第三者委員が座っているというのはどうみても都知事の代理人にしか見えないですね。記者の皆様からすれば取材が一回で済むという利点はあるかもしれませんが、ちょっと不自然ですね。法律家の意見をもらったとき、依頼者は「法的な問題がクリアできれば全てオッケー」と誤解して、コンプライアンス違反に気付かないケースがあります。政治資金規正法違反とはいえない、という結論はあくまでも法的意見であり、都民の方々がもっとも知りたい都知事としての品格・見識問題は残されたままと考えるべきです。

話は変わりますが(私は大阪府民なので単なる野次馬にすぎませんが)、都知事はなぜ公費を(間違って)自腹で払っちゃった領収書を出さないのでしょうか?公費もプライベートも「プール金」から出していて、プライベートも領収書をもらっている、という会見の内容を前提とするならば、自腹で払った領収書も会計責任者にお渡しになっていたのでは?仮にご自身で保管されていたとしても「ほら、本来なら公費なのに、まちがえて自腹で払っちゃった領収書もいっぱいありますよ!こんな感じで私も会計責任者もときどき処理を間違えていたのです。だから逆に自腹で払うべき分を公費と記載してしまったミスが生じてしまうこともあるんです。だって、公費になるかプライベートかはハッキリわからないものもあるんですから・・・」と説明すればよいのでは?・・・と素朴に思います。すべて公費である、という理由で押し通すほうが、「まちがっちゃった」と言って違法性(虚偽記載)を疑われるよりマシだという判断があるのでしょうか。しかし家族同伴旅行については「会議費」と記載されていたわけですから、どうみても「虚偽記載」の疑念は晴れませんよね。このあたりは興味があります。

6月 8, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2016年4月24日 (日)

公益通報者保護制度検討委員会WGが開催されます。

以前、ご紹介したとおり、消費者庁の公益通報者保護制度検討委員会はいよいよ法改正の是非を検討するWG(ワーキングチーム)の議論が4月28日より始まります(消費者庁HPにも公開されています。検討項目は開示されておりますが、委員の氏名はまだ公表されていません。)8月末まで、おおむね8回程度の検討会議が予定されています。

私もWGの委員に就任しましたが、あの著名な会社法学者の方、あの日本を代表する刑法学者の方なども委員に就任されたようなので、これで商事法、刑事法、労働法、行政法の第一人者の学者の方々がそろい、そこに裁判官ご出身の著名な民事法の教授、消費者側支援で有名な実務家(弁護士)2名という錚々たるメンバーで構成されています(著名でも有名でもない私を含めて合計8名)。

ぜひ実りの多い検討会(作業部会?)になればいいなぁと考えています。関西から唯一の委員なので、ぜひとも部会の雰囲気をリアルタイムで関西でもお伝えできるように頑張ります。

4月 24, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年4月13日 (水)

第82回監査役全国会議にてコーディネーターをさせていただきました。

4月12日、第82回の監査役全国会議が開催されまして(パシフィコ横浜・国立大ホール)、6年ぶりにコーディネーターをさせていただきました。今回はカルビー社の松本会長兼CEOによる基調講演と「企業不祥事防止と監査役-会計監査人等との連携の在り方を巡って-」と題するパネルディスカッションです。

まいどのことながら、1900名の監査役の皆様の前でお話するのは緊張いたしますが、「連携と協働」についてこれほど真剣に考えたことがなく、私自身が一番勉強になったのではないかと。ご来場者の皆様との懇親会では、いろいろと改善すべき点などもご教示いただいたので、個人的にも有益でした。進行については正直、パネリストの皆様のキャラクターに助けられました。

ところで終了後の懇親会で、西山芳喜先生(九州大学名誉教授)と少しばかりお話させていただく機会があり、日本監査役協会の歴史とともに、監査役制度の歴史についていろいろと教えていただきました。①戦前の企業は取締役6名に対して監査役は4名程度であり、取締役も含めてみんな「独任制」の機関だったため、監査役もいわば「経営者」であったこと、②25年ぶりに会計監査だけでなく業務監査権限を復活させた昭和49年商法改正のころは、大企業では取締役が50名ほどのところに監査役は1名だったこと、③だからこそ、日本の監査役を商法学者は支援する必要があり、鈴木竹雄先生が初代会長、大隅健一郎先生が初代副会長として日本監査役協会を発足させたこと、④多くの有能なビジネスマンが監査役に就任してほしいとの願いをこめて「適法性監査(監査役は適法性だけをみればよい、という解釈)」という概念を推し進めたこと等。ちなみに学説は違えども、文化勲章を受章された大先生おふたりはとても仲が良かったそうです。

コーポレートガバナンス改革の中、監査役制度は海外から批判的にとらえられていますが、長年この制度が活用されてきた商法の歴史をふりかえりますと、時代にあった監査役の権限を考えてみるのもおもしろいかもしれません(まぁ、その一つの回答が監査等委員会設置会社かもしれませんが・・・)。しかし取締役が50名もいる時代の取締役会とは、いったい何を審議していたのか・・・昔日の感があります。むしろ「閑散役」と揶揄されながらも、多数の取締役の中に一人だけ監査役が存在していたことを想像しますと、逆に会社内ではそれなりの存在感があったのではないかと。

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2016年4月 7日 (木)

異動のご挨拶の季節ですね。(今日はほとんど中身はありません)

当ブログもおかげさまで12年目に突入いたしました。11年ほど前のブログを読み返しますと、ずいぶんと尖がったことを言っていたのですね。最近は内容証明をいただくこともなくなり平穏無事に更新できておりますが、この11年の間に、いろんなところで「しがらみ」ができてしまって、その分、おもしろみが薄らいできたような気がします。とりあえず私自身が懲戒処分を受けたり、刑事処分を受けることなく、つまりこのブログが「閲覧不可」の状況に追い込まれることなく、ここまでやってこれました。これからも、皆様方にアクセスしていただいたときに「404 file not found」とならぬよう、地味に更新していきたいと思います(^^;;

ということで(?)、世界を震撼させているパナマ文書事件やLINE社の資金決済法違反疑惑、サードポイントから要求を突き付けられている「あの会社」の件、オプト社定時総会の委任状争奪戦の結果等、いろいろとブログで書きたい話題が山積しておりますが、微妙に利害関係があったり、ここで持論を述べることが本業に影響を及ぼすおそれがあったり、ということで差し控えざるをえません(ネタを選ばねばならない・・という状況は、実名ブロガーとしてはかなり残念です。しかし、いずれも興味深いです)。

ここ数年、ガバナンス改革といえば政府主導といいますか、法律主導といいますか、「上からのガバナンス改革」が主流だったように思います。しかしこうやって事件が報じられるものは(くわしくは書きませんが)下からの(地下からの?)ガバナンスが機能したケースばかりです。内部統制が機能しない場面において、組織の改革を促す力が発揮される別のシステムが機能するわけでして、いわば「もうひとつのガバナンス改革」が始まっているような気がします。

4月 7, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2016年4月 1日 (金)

コーポレートガバナンス・コードの今後の運用と社外取締役の有効活用-大阪開催のお知らせ!

昨日定時株主総会が開催されたK社(C社?)では、予想どおり「なぜ当社はあの監査法人を再任するのか?きちんと説明してほしい」との株主質問が出たそうですね。2月から3月にかけて、全国2500名以上の監査役の皆様に、私なりのモデル回答をお示ししましたが、富士フイルムさんのように会計監査人を変更する事例も出てきましたし、監査役の皆様は、きちんと準備をしておく必要がありそうですね。

さて、本日はお知らせでございます。来る4月25日(月)午後3時~6時、大阪弁護士会館2階ホールにおきまして、「コーポレートガバナンス・コードの今後の運用と社外取締役の有効活用-『社外取締役ガイドライン』を使った課題と活動-」なる公開講座を開催いたします。社外取締役就任を希望される皆様、またガバナンス・コードの運用や社外取締役の有効活用にお悩みの(?)企業様向けに、日弁連が主催するものでして、不肖私が企画させていただいたものです(ですので、ぜひぜひ多くの皆様にお越しいただきたい!)。東証さんにも後援していただいております(大阪弁護士会、近畿弁護士連合会共催)。

日弁連の広報ページはこちらでございます。リード文をご紹介しますと、

社外取締役は既に多くの上場会社において選任されており、さらに、独立した客観的な立場から経営陣に対し実効性の高い監督(モニタリング)を行う役割・責務を果たす独立社外取締役2名以上を選任すべきであると提示するコーポレートガバナンス・コードの適用を受け、多くの企業がこの独立社外取締役の選任について検討しています。しかし、社外取締役の職責と活動範囲はいかにあるべきか、これらを含むコーポレートガバナンス・コードの具体的運用はどうあるべきかについては、今後、掘り下げて議論をするべき課題が数多く残されています。世界的潮流としても、投資家を中心に、社外取締役には人事・報酬等各方面での活躍が期待されているところです。

上場企業にとって、社外取締役をいかに有効に活用できるかが、ガバナンスの観点から喫緊の課題であり、さらに、これらの有効な活用が競争力や市場評価に直結することになります。本公開講座では、当連合会の「社外取締役ガイドライン」(2015年3月改訂)を基に、社外取締役とその活用方法について、企業の持続的成長と企業価値向上の観点から、企業関係者および投資家とのパネルディスカッションを行います。

というものです。

上記広報ページをご覧いただきますとおわかりのとおり、(これって本当に大阪開催!?東京じゃないの?と疑いたくなるほど)たいへん豪華なご登壇者の顔ぶれです。基調講演は、元新生銀行社長、元エッソ石油社長でいらっしゃる八城政基氏、そして東京証券取引所取締役専務執行役員でいらっしゃる静正樹氏です。日米における経営実務の中で、コーポレートガバナンスの歴史を体験されてこられた八城氏から、コーポレートガバナンス・コードをいかにして上場企業が理解すべきか、その道筋を示していただく予定です。また、ガバナンス・コードの運用主体である東証の静氏から、まさにコード運用の現状と今後の課題について語っていただく予定です(今後の打ち合わせにより、内容は変更される場合がございます)。

また、第2部のパネルディスカッションでは、上記基調講演者お二人に加え、木村祐基氏 (一般社団法人スチュワードシップ研究会代表理事/元金融庁総務企画局企業開示課専門官)、弁護士・公認会計士の資格をお持ちの中野竹司氏、上場会社の社外取締役を務める弁護士市毛由美子氏らに、社外取締役をどのように有効活用すべきか、社外取締役とは何をすべきか、といった議論を中心にガバナンス・コードの運用課題について語っていただきます(モデレーターは中西和幸弁護士に務めていただきます)。ちなみに地元大阪での開催ですが、私は(先日の東京開催のほうで登壇させていただいたこともあり)今回は完全に企画側でございます。

八城さんと先日、打ち合わせをさせていただきましたが、やはり「社外重役」の時代からガバナンス戦略を実践されてこられた方の話は違います!多くの「気づき」を頂戴いたしました。上場会社の皆様には東証さんから広報されているものと思いますが、とりわけ中部、西日本を基盤とする企業の皆様、社外を含む役員の皆様、会計士・税理士等士業の皆様、そして同業者(弁護士)の皆様、参加無料でございますのでぜひともご参加くださいませ(事前申込が必要なので、お申し込みは上記日弁連の広報ページよりお願いいたします。追記 なお大阪弁護士会の会員の皆様には会員専用ページ内でも告知しております)。なお、静様の肩書を訂正させていただきました。失礼いたしました。

4月 1, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2016年1月29日 (金)

テレビ会議システムにみる消費者庁地方移転問題への危惧感

本日(1月28日)、公益通報者保護法の実効性検討委員会(消費者庁)の第7回会合が開催されまして、私も委員として出席しました。今回から「試運転」としてテレビ会議が導入され(マスコミの方がたくさんお見えになっていましたので、またニュース等でも報じられるかもしれませんが)、河野担当大臣もテレビ会議でご挨拶をされました。

本日の委員会では公益通報者保護法の要件・効果の改正に関する議論が白熱しておりまして、議論の内容はまた別途お話したいのですが、おそらく消費者庁の地方移転に伴って委員会や有識者会議で多用されるであろうテレビ会議について気になることを述べたいと思います(日弁連の意見とは全く関係ございませんので、あらかじめ申し添えます 笑)。なお、私も日弁連の委員会にはときどき大阪弁護士会館のテレビ会議室から参加しておりますし、某社の取締役会議長として、テレビ会議出席の取締役さんの発言意欲を高める工夫もしておりますので、ある程度はシステムについては存じ上げているつもりです。

今朝の日経新聞(4面)でも報じられているとおり、政治家の方々は省庁の地方移転に積極的であり、官僚の方々は静観している状況だと聞き及んでおります。ただ正直申し上げて、テレビ会議を活用した委員会運営はかなりむずかしいのではないでしょうか。もちろん、「テレビ会議には故障が多い」といった物理的な問題ではございません(産経ニュースでは こんな記事もありますが、とくに私が出席した会議の進行に物理的な支障はありませんでした)。私が「むずかしい」と危惧するのは「コミュニケーションツールとしてのテレビ会議」です。

公益通報者保護法実効性検討会議は、座長の目を見ながら必死で手を挙げないと(笑)、発言の機会が与えられないほど活発な議論が展開されています(本日、私は2時間で3回しか発言できませんでした・・・(^^; )。委員会に直接出席していてもそのような状況なので、カメラの前に座っている出席者におかれては相当な努力をしないと発言の機会は付与されないのではないかと。とくに座長さんは(あいつ、何度も手を挙げているな・・・)といった「場の空気」を読んで発言者を指名することが多いでしょうから、そのような「場の空気」を共有できないテレビの向こう側の委員は大きなハンディを背負うことになります。

また、「人は見た目が9割」とまでは申しませんが、コミュニケーションをはかるためには言葉だけではなく、発言者の表情や話し方の認知も重要かと。とくに消費者庁の委員会等は、それぞれ立場の違う方々が出席して議論を重ねるわけでして、情報を単に伝達するのではなく、他の委員や座長、当局関係者を説得しようと努力するわけです。そのような重要な説得の場において、話し方や表情等がわからない(少なくとも遠くてわかりづらい)テレビ会議はほとんど機能しないと思うのです。現にテレビに映って挨拶されていた河野大臣が、その後、委員会に直接お見えになって再度挨拶をされたのですが、額に汗して黒光りするニコニコ顔で話をされている大臣を目の前にすると「ああ、やっぱりこの方は本気で移転を考えてるんだ・・・」と感じました。

そして、なんといってもテレビ会議では(良い意味での)「場外バトル」がないということですね。立場の違う人が根回し(意見のすり合わせ)をしたり、場外で「誤解を正す」、言い過ぎたことの反省をする、といったことは絶対に必要です(会議時間には限りがあるのです)。本日の委員会終了後も、いろいろと委員会ではバトルがありますが、それぞれ意見のすり合わせや誤解部分を確認しあったりするための「談笑の時間」が委員数名ずつ集まって盛り上がっておりました。みなさん、公益通報者保護法をよりよくしたい・・・という気持ちは一緒なのですよ。しかしテレビ会議参加者にはこのような機会が付与されないのですよね。コミュニケーション不足がそのまま人間としての信頼関係の補修不足につながってしまわないかと心配になります。

有識者会議の運営方法くらいで省庁移転の是非など論じることなどナンセンス、とお叱りを受けるかもしれません。しかし、消費者庁は消費者の意見、有識者の意見を国政・行政に反映させることも重要な役割ではないかと思いますし、その消費者の意見を聴く重要な場である有識者会議がテレビ会議中心になる・・・というのは、かなり危機的状況ではないかと考えるところです。帰り際「あなた、テレビ会議システムのカメラの前にひとりぼっちでも、この会議に委員として参加したいですか?」と、委員おひとりおひとりにお尋ねしたい衝動にかられました。

1月 29, 2016 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2015年12月25日 (金)

2016年、光があたる企業法務の話題とは?

25日が仕事納め・・・という方もいらっしゃるようなので、年末恒例のエントリーでございます。昨年の年末(12月29日)のエントリーにて、「2015年は『市場の番人・公益の番人』に光があたる年になる」と予想しておりましたが、最後になって大きな監査法人さんの行政処分が日経新聞の一面で報じられるに至り、見事的中(?)となりました。「第三者委員会の在り方」などにも関心が寄せられましたが、まだまだこの「市場の番人論」は来年以降も注目されるものと思います。

さて、来年(新たに)光があたる企業法務の話題をひとつ挙げるとすれば「社外役員の支援体制」ですね。 「攻めのガバナンス」「企業不祥事とガバナンスは関係ない」「不祥事にガバナンスは機能しない」「なんといっても社外役員候補者は現役経営者・経営者OBが最適」といった意見がかなり強くなってきました。意見が正しいのかどうかは論じませんが、コーポレートガバナンスに関する上記のような意見が強くなってきますと、「攻め」も「守り」もなにか問題が生じたときには「社外取締役の期待ギャップ」が問われることになるわけです。おそらくこれから社外役員、とくに社外取締役に就任される方々の役割には、投資家や消費者からの要求レベルが相当に上がるだろうな・・・と感じています。ガバナンス・コードにも「上場会社は(費用をかけてでも)取締役・監査役の支援体制を整備すべき(原則4-13)」「その役割を全うするためトレーニングを積むべき(原則4-14)」といったことも要請されています。

「官製ガバナンス論」がさらに加速する中で、制度対応として「形だけは統治機構を整えた」上場企業さんが実際には多いように思います(私などは、「自社の企業価値を高めるためには社外取締役など邪魔だ!」と堂々と公表する会社が増えることを期待しているのですが・・・)。攻めの議論においても、また守りの議論においても、社外取締役さんに向けられた期待は非常に高いようですが、次期社長を決める手続きや個々の社内取締役さんの報酬を決める手続き、中長期企業価値向上を図るためのインセンティブ報酬体系の策定手続きなどにどれだけの社外取締役さんが本気で関わるのかは未知数です。しかし、今後は「当然に関与している」と世間的には認識されるのではないでしょうか。この「期待ギャップ」を埋めるためにも、社外役員の方々への(自己研さんの支援を含む)支援体制は喫緊の課題です。

たとえば監査等委員会設置会社においては監査等委員による(監査等委員以外の取締役の)人事・報酬への関与が法律上要求されているにもかかわらず、指名委員会や報酬委員会を任意で設置している会社は極端に少ないですね(移行もしくは移行を表明した上場会社300社中15社くらいでしょうか)。冗談抜きで、監査等委員会における社外取締役を支援する体制をどのように作るのか、機関投資家に説明できるようにしておかないとマズイのではないかと思います。また、今年高裁判決の出たサントリーホールディングス損害賠償請求事件のように、通報を受け付けた社員が「パワハラに加担した」として被告になってしまう時代ともなりますと、「社外役員が内部通報の窓口になることも検討すべき」とガバナンス・コードで要望される中で、社外取締役の訴訟リスクも高まることになろうかと思います。これをガバナンスの問題とみるかどうかは識者次第ですが、リスク管理の面でも支援体制は不可欠かと。

今朝(12月24日)の日経新聞の社説では「監査法人はなれ合い排し虚偽を見抜け」としてCFE(公認不正検査士)の存在も紹介されていました。私にはありがたい話ですが、これも社外役員の支援体制として話題になりつつあります。ただしCFEの一人として、また資格団体であるACFEの理事として申し上げると、監査法人さんや不正検査の専門家だけががんばっても(ビジネスモデルを熟知していない以上)不正を見抜くのは困難です。実際、今回行政処分を受けた監査法人さんには、とても優秀な会計不正の調査専門組織があります。また東芝さんの(旧)経営監査部にも優秀な不正検査の資格をお持ちの方がいらっしゃるそうです。しかし残念ながら不正を見抜けたとは言えません。

日本企業がスピード経営と効率経営を最優先せざるをえない以上、経理や監査部門はITシステムの中で統合され、優秀な社員がコモディティ化しています。以前のように「ミスター経理」と呼ばれるような、自社の経理の全体像を熟知している社員が激減しているように感じます。つまり優秀な経理社員が経理システムのパーツしか担当していないのです。したがって我々が経理社員の方々にヒアリングをしても経理処理の全体像は把握できず会計不正の端緒は容易には探れません。また、監査法人や社内の監査部門が「疑惑」を知ったとしても、四半期決算実務が優先されるなかで、「疑惑」を深堀りする時間的余裕もないのが現実です。

本当に「虚偽を見抜け」と監査法人に期待されるのであれば、会社側も「見抜ける」ように協働する体制を整備する必要があるわけで、これは中期経営計画や年度計画において数字目標だけでなく、その数字目標を達成するための具体的な道筋を取締役会で議論することが最低限求められると考えます。そうです、昨年拙著でも述べているように「攻めのガバナンス」の実効性を上げることがそのまま不正防止にも役立つことになるはずです(そのことによって、法律に詳しくない社外取締役の方々でも、会計不正の「違和感」をようやく抱けるようになると思います)。社外役員の支援体制が整備され、このような「違和感」が伝えられることにより、公認不正検査士の役割が機能することになります。会計不正を見抜くというスゴ技は、監査側と会社側の協働作業があって初めて発揮できる、ということを忘れてはならないと思います。

さて、本年のエントリーはこれが最後となります。今年も多くの皆様に拙ブログをお読みいただき、ありがとうございました。今年は日本年金機構の情報漏えい事件、某会計不正事件等、いくつかの重大事件の危機対応に関与できて、とても充実していました(まだ現在進行形の事件もありますが)。そのためにブログの更新回数はかなり減りましたが、来年もできる範囲で更新したいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。では皆様、良い年末年始をお過ごしください<m(__)m>。

12月 25, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年9月30日 (水)

ACFEカンファレンスの内容変更のお知らせ(と、おわび・・・)

ブログを書く時間があまりとれず、ブログネタばかりが手帳に山積みになっておりますが、この告知だけは本職を投げ打ってでも(?)書かねばなりません。

以前、当ブログでも告知しておりました2015年度ACFE(日本公認不正検査士協会)のカンファレンスですが、お知らせとおわびがございます。本日の東洋経済WEBの伊藤歩さんの(あまりうれしくない)記事のとおり、エンロン事件で刑期を終えた同社元CFOファストゥ氏の来日が困難な状況になりまして、ファストゥ氏はビデオによる出演に変更させていただきました。当ブログをご覧いただき、「生ファストゥが見れるとは・・・これはスゴイ」と思ってお申し込みをされた皆様、本当に申し訳ございません。<m(__)m>上記記事のとおり、日本国への入国が許可されませんでした。

直前の入国拒否について、その可能性への配慮を欠いておりました者(ACFE理事)としては、上記記事のように「アホ」「まぬけ」と指摘されてもしかたないところであります。とくに私のブログでのご紹介内容からしますと、法律家である私は「主犯格」と言われてもしかたないかも・・・です。(>_<)ホントニゴメンナサイ・・・

2015_6th_jconf_mainsitesponsors0925いままでのACFEでしたら、ここで下を向き、ひたすら謝罪していたかもしれません。しかし、最近のACFEは違います!ACFE組織はとても元気なので「ピンチをチャンスに変えるべく」火事場の馬鹿力でがんばって企画を立ち上げました!そうです、ファストゥ氏はビデオ出演となりますが、エンロン事件を内部告発したあの女性、エンロン元副社長シェロン・ワトキンス氏をお招きすることとなりました!ワトキンス氏はエンロン事件で崩壊したアーサーアンダーセン会計事務所からエンロン社に転職した方であり、同事件を告発し、2002年にはTIME誌においてパーソン・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。おかしいと思いながらも黙っていた関係者が多い中、どのような心境で「エンロンはこのままでは崩壊する」と告白するに至ったのか、ぜひともお聴きしたいところです。13年前、ワトキンス氏がエンロンを退社することを報じた時事通信ニュースはこちらです。なお、このシルエットはご本人とはかなり・・・。

ACFE第6回カンファレンス「シェロン・ワトキンス氏緊急来日!」

ファストゥ氏の講演に続き、今度はエンロン社を内部告発したワトキンス氏の講演となります。その後は青学の八田進二教授にワトキンス氏と対談していただく、という流れに修正されました(その後のシンポの内容には変更ございません)。おかげさまで、HPでもお知らせしておりますように、企画変更後、懇親会参加者は満席となりました(ありがとうございます!<m(__)m> なお、会場参加はまだ募集しております)。「えっと、エンロン事件ってどんなストーリーだったかな?」という方も心配ご無用です。ファストゥ氏の講演の前に青学の町田祥弘教授によるエンロン事件のご解説がありますので、そこで概要をおさらいできるようになっております。

まだ若干、会場参加が可能とのことですので、この修正企画にご興味をお持ちの方は、ぜひともACFEカンファレンスにご参加ください。10月9日(金)御茶ノ水ソラシティホールにて午後1時開演です。また、午前中は協賛会社様によるプレカンファレンスも開催しております(詳しくはこちらです。ただし午後のカンファレンスに参加される方のみとなります)どうか多数の方のご参集をお待ちしております!!

9月 30, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年8月28日 (金)

サイバーセキュリティには国が総力を挙げて取り組むべきである

ブログでは本業についてほとんど書かない(書けない?)のですが、本日は少しだけコメントさせていただきます。6月初めから約3カ月、本業(危機対応)として日本年金機構の個人情報流出事案に関与させていただき、昨日も当局側と検討協議をさせていただきました(なお、私がどのような立場で関わっているのかがわからないように、以下では専門用語は使用しておりませんので、若干不正確な表現がありましたらご容赦ください)。

ご承知のとおり、日本年金機構による情報流出事案について、先週末に3つの報告書が公表されまして(NISC、年金機構、検証委員会)、なかでもNISCさんの報告書は(指揮命令系統が異なるためか)他の報告書とは「公開」の基準が違うので非常に興味深いです。よく読むと、ほかの報告書ではわからない情報が出てきています。なお、マスコミでは主に厚労省や年金機構の組織上の問題点が批判されており、国民の重要な個人情報を管理する立場として責任感があまりにも欠けている・・・といった主張は妥当なものだと思います。しかし行政がしっかりするだけではなく、以下の課題における民間の意識向上を含め「国家総動員」でサイバーセキュリティのレベルを上げなければ同様の事故の再発防止は不可能だと確信いたします。

まずは情報セキュリティ関連会社の能力の有無を(委託する民間事業者にもわかるように)明確にすべきです。医療過誤、弁護過誤と同じく「情報セキュリティ過誤」についてもう少し世間の関心を高めるべきです。経産省の指針等に従って注意義務を尽くしていたかどうか、裁判で問われる例も出てきています。委託者側にも、WEBサーバーの構築や管理をどこの企業に委託するか、その委託責任まで問われる時代がやってくると思います。

つぎにサーバーを提供する企業のセキュリティレベルの向上です。サーバー提供会社は固い契約によって「どんなウィルスによる損害についても責任を負わない」とされています。このことによって、提供会社のリスク対策が後手に回り、サーバーの脆弱性を突いた攻撃が後を絶ちません。先日(8月22日)、産経新聞にようやく(たぶん情報セキュリティ会社、またはセキュリティ診断事業者による内部告発かと思いますが)この点に関する批判記事が出ました。

そして最後に自社の保有情報を漏えいされたり、他社への攻撃の道具にされないための民間企業の自己管理の必要性です。率直に申し上げて、マルウェアによる攻撃に対する未然防止及び「検出」や「感染」の早期発見のためのツールはお金がかかります。しかし、このたびの事案によって、情報セキュリティの甘さは、もはや自社の損失を超えて、国家レベル・国民レベルでの損失につながるほどの大問題に発展することが明らかになりました。つまり企業としての信用を大きく毀損するリスクといえます。これまでのリスク管理であれば「重大性のレベル3」だったものが「レベル1」くらいに上がっているのではないでしょうか。

日本年金機構の事件を契機に「サイバーセキュリティ基本法」が改正されるそうですが、企業としても「費用対効果」の「効果」には、自社の情報管理上の安全だけでなく、国民や国家の情報の安全(もしくはこれを毀損したときの多大な風評被害からの予防)も含むものである、といった意識が必要だと考えます。フォレンジックによって標的型ウィルスによる攻撃の全容を明らかにするためには断片的に残された情報だけでは不十分です(これは超一流の日本の情報セキュリティ会社の能力をもってしても困難だということがよくわかりました)。早期に重要情報の流出を阻止するためには、多くの情報を多くの組織から集めることが必要です。そのためには行政、専門業者、大手通信会社、そして民間事業者が協働してクライシスマネジメントに努める以外にはないと考える次第です。

8月 28, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2015年8月19日 (水)

元CFOとエンロン事件を総括する-ACFEカンファレンスのお知らせ

Kv_bann_20150716_6th_jconf近い将来、機械が奪ってしまう職業の第2位に「公認会計士」がランクインされているようです(ダイヤモンドの記事)。一定の範囲で会計士さんの仕事が機械化(効率化)されることはあるのかもしれません。ただ、東芝さんの第三者委員会報告書の「G案件」の顛末(ウェスティングハウス社の見積工事原価総額の計上処理における費用見積りの「変更」と「誤謬」の狭間における人間臭い交錯状況)を読み、そこでの東芝さんと監査法人さんとの供述内容の食い違いに思いを馳せますと、会計監査などはとても機械によってできる仕事ではないと確信いたします。

さて、今年は日本でも会計不正事件が大きな話題となっておりますが、今年のACFE年次カンファレンスでは、あの巨大なアーサー・アンダーセン監査法人が解散に追い込まれたエンロン事件の首謀者の方をスピーカーとしてお招きいたしました。エンロン社の元CFOであるアンドリュー・ファストウ氏です(もちろんプラチナスポンサーさんは新日本有限責任監査法人さんです!お忙しい中、どうもお世話になります!<m(__)m>)。ご承知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ファストウ氏は粉飾決算の罪で禁固100年の言渡しを受け、最終的には6年の刑期を終えて社会復帰されました。当時ファストウ氏と一緒に仕事をされていたエンロン社の財務コンサルタントの方は「あの事件は意図的な不正ではなく、盲目的希望によるものであった」と今でも語っておられるそうですが(ダン・アリエリー著「ずる-嘘とごまかしの行動経済学」11頁以下)、おそらくファストウ氏もそのようにおっしゃるのではないかと。法務省が彼の入国を許可することが確実となりましたので、当ブログでも告知させていただきます。ちなみに開催は10月9日(金)、御茶ノ水ソラシティホールでございます。

会計不正ふたたび-第6回ACFEカンファレンス

ファストウ氏の講演後はご存じ青山学院の八田教授がファストウ氏にツッコミを入れる対談が開催され、最後は「経営トップによる企業不正、だれが止められるのか?」といったテーマで豪華パネリストによるパネルディスカッションが行われる予定です(いや、ホントに豪華メンバーです)。いまこそエンロン事件とは何だったのか、その総括を行い、経営者による企業不正にガバナンスは機能するのか、内部統制は機能するのか、そもそも「意図的な会計不正」とはどのようなものなのか、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。ACFE本部にお聴きしたところ、まだ残席があるとのことなのでご紹介させていただきました。マスコミの方々も大歓迎です。私も当日を楽しみにしております。

8月 19, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2015年7月31日 (金)

東芝の再生を任される社外取締役候補者について

今朝の毎日新聞ニュースではさっそく東芝さんの社外取締役候補者の名前が出ていますね(もちろん「調整に入った」ということで決まったわけではありませんが)。法曹出身者から社外取締役として誰が候補とされるのだろう・・・と注目しておりましたが、検察ご出身の元最高裁判事、古田祐紀氏が候補とされています(毎日新聞ニュースはこちら)。現時点では東芝刷新委員会のアドバイザーもされていますね。

古田氏といえば、2013年に出版しました拙著「法の世界からみた『会計監査』」の第7章「会計基準は法律なのか?-古田裁判官の補足意見はなぜ会計士にウケるのか?」で詳細に取り上げさせていただきました。2012年のこちらのエントリーを受ける形で、長銀事件、日債銀事件における古田判事の補足意見をご紹介して、なぜ会計士や会計学者の中で「古田裁判官が一番会計のことがわかっている」と言わしめたのか、そこを深堀りしております。その検証の中で、私も古田氏はとても金商法上の制度会計について理解が深い方だと認識をいたしました。

私のような会計リテラシーの乏しい者でさえ、古田氏は法曹でありながら会計的知見が高いと考えるのですから、おそらく東芝さんの周囲でも高い評価がなされているものと推察されます。これだけ大きな組織ですから、社外取締役自身が不正を探し出すことは困難かもしれません。しかし、担当者から報告を受けたときに「どこに会計上の問題があるのか」といったことを理解する能力は不可欠だと思います。さすが日本有数のグローバル企業であり、状況にふさわしい方にターゲットを絞っているなぁと感心した次第です。

7月 31, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2015年7月27日 (月)

東芝不適切会計処理事件-世の中の紛争を未然に回避する「重過失」の魅力(その3)

東芝さんの不適切会計処理に関する事件を「粉飾事件」となぜ呼ばないのか?といった議論が盛んに行われています。「粉飾」と「不適切会計処理」との違いはどこにあるのか?といったあたりへの関心からですが、私は粉飾と不適切会計処理は基本的にはA⊂Bの関係にあり、また連続性のある概念で、その境界線はあいまいですから、人によってその境界線は異なっていて当然かと思います。法律用語でも会計用語ありませんし、区別を語ってもあまり意味がないのかもしれません。

財務報告の「虚偽記載」という場合、法的には二つの概念があり、ひとつは会計処理の元となる「会計事実」が存在しないにもかかわらず存在するかのように偽るケースと、もうひとつは会計事実は存在しますが、その会計処理の方法を偽るケースです。したがって、あえて区別するのであれば「粉飾」という概念は、おそらく故意によって、このふたつのどちらかの欺罔を行う場合を指すものと理解すべきです。ただ、実際には経営者が自白するような場合を除き、この故意という主観的要素を立証することはなかなか困難です。そこで、故意に匹敵するほどの重過失がある場合には粉飾であり、軽過失がある場合もしくは過失すら認められない場合には不適切会計処理として表現するしか方法がないのではないかと。

小保方さんのSTAP細胞事件の際、小保方論文は「ねつ造」なのか「(写真の)誤使用」だったのかが最後まで争われましたが、理研の内部ルールの根拠とされた文科省の不正研究ガイドラインになぜ重過失概念がないのだろうかとブログでつぶやいたところ、その3か月後には同ガイドラインが改訂され、新たに重過失概念が導入されました(こちらのエントリーをご参照ください。もちろん私がブログで書いたから改訂された・・・というわけではありませんが)。重過失概念が活用されていれば、もっと早く問題は解決されたはずだと思います。コンプライアンスが「法令遵守」ではなく「社会の要請に適切に対応すること」といわれる時代になると、企業不祥事発覚時の不正リスク対応にも役立つものと思います。たとえば「偽装」ではなく「誤表示だった」と弁解する社長さんも出てきますし(メニュー偽装事件)、「やらせ」ではなく「過剰演出だった」と弁解する社長さんも出てきます(フジテレビほこ×たて事件)。言葉遊びに終始するよりも、経営トップのコンプライアンス軽視の姿勢がどこにあったのか、という点にフォーカスして「重過失」を議論することが有益です。「粉飾」も同じように、意図的な不正の意思があるケースに使われるので、企業側としてはどうしても意図がなかったと否定したくなるものです。コンプライアンス上の問題を解決する場合にも、決着を早くつけるためには、「重過失」概念が役に立つはずです。

会計不正事件を取扱い場合にも、たとえば故意があるものと匹敵するほどの重過失があるケースも「粉飾」と捉えることができるのであれば、とくに「粉飾事件」と表現してもいいのではないでしょうか。このように「いかなる場合に重過失が認められるか」といったことを議論するほうが、事件の真相に迫ることができますし、また他社も東芝事件を教訓にして自社の内部統制システムの構築に役立てることができるものと思います。たとえば今年5月に大阪高裁で出されたセイクレスト損害査定事件判決では、社長の不正を止められなかったセイクレスト社の監査役の過失について、重過失に該当するかどうかが詳細に検討されています。また3年ほど前ですが、管理情報を一気にサーバー上から消失させてしまったファーストサーバ事件でも、管理者のミスが「軽過失」なのか「重過失」なのか、第三者委員会報告書において詳細な分析が行われています。当ブログでも取り上げたNPB統一球問題の外部調査委員会報告書においても、コミッショナーの故意の認定にこの重過失概念が活用されています。

ただこの「重過失」概念も、人によって評価が異なるところであり、いろんな事例を研究することが大切です。たとえば先のファーストサーバ事件では、第三者委員会は「(会社担当者の行為は)比較的程度の重い軽過失」と認定しており、なかなか理解が困難ですね。東芝事件をみて思うところは、裁判で勝つための「重過失」を学ぶことよりも、そもそもそのような重過失や故意を疑われるようなグレーゾーンに立ち入らないためにはどうすべきか、という点を学ぶほうがよっぽど重要ではないでしょうか。

7月 27, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2015年6月15日 (月)

会計不祥事を乗り切る企業のための参考書籍と内部統制上の課題

6月12日、東芝さんは「自主チェック結果、特別調査委員会の調査概要及び第三者委員会への委嘱事項との関係についてのお知らせ」をリリースされ、現時点における同社の取り組みの経過を公表されました。一部のマスコミから「東芝は第三者委員会の中間報告を経営陣が要請している」と報じられ、同社はこれを直ちに否定しましたが、おそらくこのリリースのことではなかったかと思料いたします。有事に立ち至っている東芝さんが上場廃止にならないためには、自浄能力を発揮したうえで、正確な事実認定と決算確定、原因分析と再発防止策の立案が必要なので、このようなリリースは当然必要になりますね。

ところで、上場会社において会計不祥事が発覚した場合、当該会社の役員の方々も、また会社を取り巻く株主等ステークホルダーの方々も、会社役員の法的責任はどうなるのだろう、決算訂正と会計処理の違法性の関係はどうなるのだろう、株主総会で何を確定すればよいのだろう、どんなことが出てくると上場廃止になるのだろう、と不安になります。せめて平時の知恵として、以下のような有益な参考書が存在することを認識されておかれてはいかがでしょうか。いずれも企業法務に精通した法律事務所さんが監修されています。

1「企業不祥事対応~これだけは知っておきたい法律実務(第2版)」(経団連出版)

西村あさひ法律事務所・危機管理グループが出された本です。今回の東芝さんの対応を理解するには47頁から66頁あたりが参考になります。本書は会計不正事件だけでなく、いろいろな企業不祥事の初動対応にはとても有益であり、私も実務の参考にしています。

2「過年度決算訂正の法務(第2版)」(中央経済社)

森・濱田松本法律事務所の先生方や弥永教授らがまとめた良書。とくに「会計上の誤謬」に焦点をあてて、会計処理問題と法務の問題をきちんと分けて論点を検討されています。このたびの東芝さんの株主総会において、私が問題提起している計算書類の報告・承認と「定時株主総会」との関連性についても触れられています(私の意見とは異なりますが)。

3「会計不祥事対応の実務~過年度決算訂正事例を踏まえて」(商事法務)

長島・大野・常松法律事務所とあずさ監査法人さんによる有益な参考書です。本書も会計不正事件発覚時の有事対応を中心にまとめられていますが、特筆すべき点として過年度決算訂正が内部統制報告制度に及ぼす影響を詳細に検討されている点が挙げられます。

4「金融商品取引法違反への実務対応~虚偽記載・インサイダー取引を中心として」(商事法務)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所の先生方による良書。虚偽記載の「重要性」判断について詳細に検討されているところに特徴があります。また題名は「金商法」とありますが、過年度決算訂正が会社法開示に及ぼす影響についての法的な検討もなされており、虚偽記載事案における有事対応にも参考になります。

会計不祥事が発覚した場合の危機対応については、会計学と法律学の隙間、会社法と金商法の狭間にあって、これまであまり研究されてこなかった分野に横たわる論点が多いので、上記のいずれの書籍も引用文献が極めて少なく、会社法・金商法上の論点にわたり、執筆者が一生懸命に考え抜いて書かれていることがわかります。会社役員や会社側担当者だけでなく、会社もしくは役員の責任追及を検討する株主側においても非常に参考になるものばかりです。

Naibutoouseiそしてもう一冊、お勧めなのが定番「内部統制の知識(第3版)」(町田祥弘著 日経文庫)です。この3月、会社法改正に合わせて改定されています。東芝の社長さんが5月15日の記者会見で「財務報告の内部統制が機能していなかった」と述べておられ、また6月12日の日経ニュースによれば、東芝さんは財務報告内部統制の訂正報告書を提出する予定であることが報じられています。今後は東芝さんの財務報告内部統制の瑕疵に焦点が当たるのではないかと思いますが、今一度、有事対応のための知恵として、内部統制の基礎について各企業とも理解しておく必要があると思います。

「いやいや、もうJ-SOXは理解しているから・・・」という方にも、ぜひとも第3版で追加された「内部統制の課題」とここ数年の内部統制に関する制度の変遷だけでもお読みいただきたいところです。内部統制を取り巻く環境は大きく変わっています。

とりわけ訂正内部統制報告書の課題です。当ブログでも何度も繰り返し指摘していますが、内部統制に開示すべき重要な不備があり有効ではない、とする評価結果を最初から提出する企業は激減していますが、不祥事を起こして「やっぱり有効ではなかった」と訂正報告書を提出する企業は著しく増加しています。とりあえず経営者が有効と評価した報告書を提出しておいて、なにか問題があったら「有効ではありませんでした」との訂正報告を出せばよい、といった風潮が蔓延しているのではないでしょうか。町田教授も「このような状況は、当初の内部統制の評価作業が適切なものであったのかどうかという疑問を惹起するものであり、モラル・ハザードのおそれもある、内部統制の評価作業を適切に行っている企業がバカをみる結果になりかねない」と懸念を表明しておられます(本書249頁)。

この町田教授の懸念は私も全く同感です。もし東芝さんがこのたび内部統制の訂正報告書を提出するのであれば、これまでどうして「内部統制は有効」と評価していたのか、このたびはなぜ有効ではなかったと評価結果を変えることになったのか、社内に保存されている評価根拠記録とともに合理的な説明をしていただきたいところです(そのために記録の保存義務が明記されています)。また、監査法人さんも、なぜ「内部統制は有効」と評価した経営者意見について「適正である」と意見形成をしたのか、監査調書をもとに合理的な説明が必要だと思います。そうでなければ町田教授の指摘するように、「ただなんとなく内部統制を評価していた」「最初から内部統制は有効ありき、の評価だった」と推測されてもやむをえないのではないでしょうか。

あまりにガチガチのルールを定めることで上場会社の負担を増やすことは適当ではないということで、このたび内部統制報告制度は簡素化されました。つまり事前規制が緩和されたのですから、市場の健全性確保のためには事後規制にウエイトが移ることは当然かと思います。つまり、訂正報告書提出会社の説明責任厳格化も必要でしょうし、量刑ガイドラインの策定も検討されるでしょうし(粉飾企業において、内部統制が構築されていればペナルティを減免する制度)、重要な不備が認められた会社には評価範囲の絞り込みを一定期間認めない、といった施策を講じることも必要かと思います。東証の特別注意市場銘柄の運用上の工夫も必要かと。最近の「開示すべき重要な不備」に関する調査結果、そして内部統制の運用評価が求められるようになった改正会社法の動向を前提とするならば、内部統制報告制度についても金商法上の虚偽記載責任に関する賠償責任規定が存在する以上、このあたりはとても重要な課題になりつつあると考えます。

6月 15, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2015年6月13日 (土)

消費者庁「公益通報者保護制度検討会」の委員に就任しました。

昨年1年間(本年3月まで)、消費者庁アドバイザーとして公益通報者保護制度の改革の是非を検討する有識者意見聴取に携わりましたが、このたび消費者庁では「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」を開催することになり、当職も改めてこの検討会の委員を拝命することになりました。私は第1ラウンドでお役御免かと思っていましたので、やや驚いております。おそらく(明確な説明は受けておりませんが、委員紹介の肩書きからみますと)日本内部統制研究学会からの選出、と認識しています。ちなみにコーポレートガバナンス・ネットワークからは北城さん、若杉先生と私の3名が委員に就任していることをリリースで初めて知りました。

消費者庁が6月10日にリリースした開催趣旨は以下のとおりです(引用)。

リコール隠しや食品偽装など消費者の信頼を裏切る不祥事の多くが、事業者内部からの通報を契機として明らかになったことから、通報者の保護を図るとともに、事業者等の法令遵守を図ること等を目的として、公益通報者保護法が制定された (平成16 年6月成立、平成18 年4月施行)。事業者内部をはじめ、様々な通報先における適切な通報処理体制の整備・運用が 進むことは、組織の自浄作用の向上やコンプライアンス経営の推進に寄与するなど、その組織自身の利益、企業価値の向上にもつながるとともに、社会全体の利益を図る上でも重要な意義を有している。しかし、制度の認知度は十分とはいえず、通報に適切に対応することの意義が十分理解されているとは必ずしもいえないほか、通報に係る紛争等も発生している状況にある。こうした状況も踏まえ、消費者庁では、公益通報に関する実情・実態を詳細に把握するため、様々な立場の有識者・実務家等から御意見を伺う「公益通報者保護制度に関する意見聴取(ヒアリング)」を平成26 年度に実施してきた。平成27 年度には、意見聴取の結果等を踏まえ、公益通報者保護制度の実効性向上のための方向性について検討する。

座長は宇賀克也教授(東京大学の行政法の先生)でして、他の委員のお名前も公表されていますが、なるほど・・・と(何が「なるほど」なのかはよくわかりませんが・・・笑)。とても議論が白熱しそうな予感がいたします。

東芝さんの会計不正事件をはじめ、企業不祥事が発覚する端緒は内部通報や内部告発が多いことはすでに知られているところかと思います。不祥事が多いからといって厳格な規制を多用すれば日本企業の成長戦略に水を差すことになりますし、かといって手をこまねいていては不祥事が大きくなるまで発覚せず、その結果として国民の被害が甚大なものとなり、市場の信頼を失うことになります。不正対策としての公益通報者保護制度の使い勝手をどのように改善していくか・・・、今後の重要な課題だと認識しています。

6月 13, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2015年2月27日 (金)

「企業の内部統制システム見直しの視点」セミナー開催のお知らせ(東京・大阪)

海遊館セクハラ社員降格事件最高裁判決(金築裁判長ですね)、日本郵便23条照会損害賠償判決、某上場会社のお家騒動事件など、ブログネタ満載の金曜日ですが、本日はひさしぶりのセミナーのお知らせでございます。

ここのところ、社員様向けの公開セミナーはほとんどやっておりませんでしたが、このたびレクシスネクシスさんの主催セミナーにてお話をさせていただくことになりました。東京および大阪の2回講演でございます(大阪4月16日、東京4月22日。なお詳細は以下のとおりです)。

内部統制システム見直しの視点(セミナー)のお知らせ(レクシスさんのHP)

会社法および会社法施行規則の改正、コーポレートガバナンス・コードの制定など、各社の内部統制システムのあり方に大きな影響を与える動きが相次いで起こっています。こうした状況に対応すべく、グループ会社の管理体制をどう見直すべきでしょうか。また監査の実効性確保のために何ができるでしょうか。さらに、今後、社会の変化にあわせて企業はどのような点を見直していくべきなのでしょうか。内部統制システムの構築・運用に詳しい、山口利昭弁護士に具体的にお話しいただきます。

レクシスネクシスさんといえば、拙著「ビジネス法務からみた会社法改正のグレーゾーン」を出版していただきまして、出版に併せて昨年10月に記念講演会をやりましょう!という段取りになっておりました。しかしながら、ご承知のとおり、私が入院をして1カ月お休みをいたしましたので、記念講演会は延期となり、多方面にご迷惑をおかけした次第です。

その記念講演会をようやく開催できることになりました。なんといいましても、感謝の意を込めまして「無料セミナー」でございます<m(__)m>。無料だからといって決して「手抜き」はいたしません(あたりまえですが・・・)。もちろん企業のリスク管理にご関心のある同業者の方々(組織内弁護士の方々を含め)のご参加も大歓迎でございます。

プログラムは、① 社会の変化に対応した内部統制システムの構築に向けて ② プリンシプル時代における内部統制システムの運用―そのチェックと開示 ③期待される内部監査部門と監査役スタッフの役割 ④グループ経営管理に向けた企業集団内部統制の活用 ⑤ 不正リスクの管理は未然防止から早期発見の手法へ、というあたりの内容です。ただ、せっかくの社員様向けセミナーですから、ちょっとむずかしいと思われている改正会社法および改正会社法施行規則の適用開始時期に関する解説と、コーポレートガバナンス・コードと東証上場規則との関係等の解説も併せて行いたいと思っています。

ちなみに、セミナーの流れをダイジェスト版として、レクシスさんの法律雑誌「ビジネスロージャーナル」の5月号(3月21日発売予定)に論稿として掲載いただくことを予定しております。当日お越しになれない方には、そちらの論稿をご参考いただきたいと思います。大阪、東京とも定員100名様(応募が多ければ抽選だそうで・・・まぁ、それはないと思いますが)ということで、お時間が合います方はぜひご参集くださいませ。<m(__)m>

2月 27, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2015年1月 3日 (土)

謹賀新年2015

皆様、明けましておめでとうございます<m(__)m>

2006年1月1日の朝日新聞朝刊に、日本振興銀行関連の事件記事が一面に掲載されて以来、毎年1月1日は全国紙すべてに目を通すようになりましたが、今年は読売新聞のビットコイン不正操作事件、産経新聞の企業秘密管理体制に関する記事が面白かったですね。

2014年は上場会社の倒産が一件もないようですし、2015年にはIPOが100社を超える勢いのようで、経営環境も業績も改善される企業が多いようですが、さて、皆様にとってどんな1年になるのでしょうか。

当ブログも今年で丸10年。また皆様方に楽しんでいただけるような内容のエントリーを重ねていきたいと思いますので、どうか本年もよろしくお願いいたします。

1月 3, 2015 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月29日 (月)

今年もお世話になりました-年末のご挨拶

もうすでにお休みに入っている方も多いと思いますが、当事務所も29日で仕事納めです。今年は不正調査と経営者の支配権争いに関連する事件で大忙しでした。本も3冊出版しました。ちょっとストレスがたまりすぎて10月には生涯初めての入院生活を経験しました。良い事と悪い事が入り混じった1年でした。

このブログも、来年3月で10周年となります。なにか10周年記念でも・・・と思いましたが、すでに3月も予定が詰まっておりますので、ただなんとなく10周年を迎える・・・ということになりそうです。ただ、多くの方に支援していただいたからこそブログを書き続けてこられたので、感謝の気持ちを忘れないようにこれからも継続していきたいと思っています。

ここ2年ほど「内部統制に再び光が当たる年になる」と言い続け、現状はそのとおりになりました。来年はどうかといいますと、少しテーマが変わりまして、「公益の番人、市場の番人に光があたる年になる」と予想しています。アベノミクスによる第3の矢(企業の成長戦略)の真価が問われる年になりますが、各企業のROEや売上高営業利益率に注目が集まれば集まるほど、組織ぐるみの企業不祥事は間違いなく増加します(いや、急増するかもしれません)。しかし、「小さな政府」化(規制緩和)がますます進む中、投資家や消費者に自己責任を求めるには時期尚早であり、投資家や消費者のリテラシーはそれほど向上しているとは思えません。そこで、ここ2,3年ほどは、誰が(投資家や消費者のための)市場の番人、公益の番人としての役割を果たすべきか・・・ということが、ハードロー、ソフトローの世界で論じられるのではないか、と予想しています。ちなみにまるか食品さん、不二家さんの虫・カビ混入事件では「第三者機関」による調査結果が極めて重要なポイントになっています。

Img_0365_640残念ながら、5本ほど、書きたいエントリーを書けないままに年を越すことになりました。先日、講演をさせていただいた監査懇話会のことについてもお話したいと思っておりましたがそのままとなってしまいました(そういえば土曜日の朝日「法と経済のジャーナル」に監査懇話会の会長さんのインタビュー記事が掲載されていましたね。創立60周年、おめでとうございます<m(__)m>)また来年早々にでも少しずつ話題を広げていきたいと思っています。

写真は帝塚山4丁目にあるフレンチの美味しい料理です。ご存じ、リタとマッサンの舞台である帝塚山に、日曜日、妻と二人で食事に出かけました。クリスマスはずっと本業で東京出張が続きましたので、少し遅めのクリスマスディナーです(*^-^*)

来年もまたよろしくお願いいたします。どうかよいお年をお迎えくださいませ。

12月 29, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月23日 (火)

日経「ビジネス弁護士ランキング(危機管理部門)」で6位になりました-御礼

毎年恒例の日経「ビジネス弁護士ランキング」が22日に公表されました。日経新聞の紙上では各部門5位までが掲載されていますが、電子版には10位までが掲載されています。朝からメッセージをいただいて初めて知りましたが、なんと当職が「危機管理部門」で6位に入っておりました。

私には組織票がありませんので、おそらく当ブログにお越しの法務担当者の方々に投票していただいたものと思います。この場を借りて御礼申し上げるとともに、皆様のおかげでランキング入りを果たしたことをご報告いたします。本当にどうもありがとうございました!

12月 23, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2014年10月19日 (日)

完全復活宣言!(ご心配をおかけしました

拙ブログをご覧いただきありがとうございます。10日ぶりの書き込みとなります。

すでにお知らせしておりましたとおり、弊職、10月8日より入院しておりましたが、体調は完全に回復し、おかげさまで(予定よりも早く)退院することができました。本当にご心配をおかけしました。

弊職、10月初めに突発性難聴を患いました。朝、目が覚めた瞬間、左耳の聴力を全く失っておりました。「キーン」といった耳鳴りが響き、自分の声さえ拾えない状況になりました。ご承知の方もいらっしゃるかもしれませんが、国の難病に指定されている内耳系神経障害による感音性難聴と(検査の末)診断されました。

突発性難聴の治療法は確立されていませんが、ともかく医師の勧めにより、入院のうえステロイド治療を開始。発症から48時間以内に措置を開始しても、完治は3分の1の確率と説明を受けましたので、治療には全力を尽くすつもりでしたが、「まぁ、聴力を失っても仕事は今まで通りできるだろう」と、自分なりに最悪の結果は受け入れるつもりでした。

初日からステロイド特有の副作用に悩まされましたが、幸運にも治療開始2日後から聴力が改善しはじめ、約1週間の治療で以前と全く変わらない聴力に回復いたしました。入院加療のために多くの皆様にご迷惑をおかけしましたが、現在は「完治させていただいた」ことに感謝の気持ちでいっぱいです。同じようにステロイド治療を受けても聴力が戻らない方が多い中、幸運にも恵まれたというのが実感です。医師からは「突発性難聴は再発しない」と説明を受けていますので、とりあえずホッとしています。

40代から60代の男女を問わず、突発性難聴は増えているそうです(原因は不明ですが、ストレスが原因というのが通説です)。発症後、おそくとも10日以内には措置を開始しなければ戻る確率が極めて低くなってしまいます(私の場合は発症後72時間でした)。「これが突発性難聴ではないか?」と危機感を早期に持てるかどうか、仮に持てたとしても、きつい治療を受け入れるだけの入院措置を早めに覚悟できるかどうか、そのあたりが私の場合にはポイントでした。数百人規模の講演やシンポが4つも5つも控えていたために、「入院なんてとてもとても(笑)」といった私の対応を一喝してくれた「かかりつけの医師」の存在が、私にとってはなによりも重要でした。

ともかく、完全復活を遂げることができました。すぐに「本格的な仕事復帰」とはいきませんが、復帰のための準備活動を少しずつ始めていきたいと思っております。お見舞いのメールをたくさんいただきまして、本当にありがとうございます(公開停止機能により、ブログにはコメントを反映させておりません)。メール、コメントのひとつひとつへお返事できませんでしたので、本ブログをもってご報告させていただきました。ブログのほうも、(入院中も、アップしたい話題がたくさんありましたので)ぼちぼちと再開させていただきます。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

10月 19, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2014年10月 3日 (金)

会社法改正のグレーゾーン出版記念講演のお知らせ

_iowq675本日(10月3日)、拙著「不正リスク管理・有事対応~経営戦略に活かすリスクマネジメント」(有斐閣)が全国書店にて発売となります。ちなみに、大阪地裁1階に新たにオープンしましたブックセンターさんでは、(たいへんありがたいことに)書店入口付近で、私のフェアを開催いただいておりまして、すでに「不正リスク管理・・・」がご覧のように販売されておりました。たいへんささやかですが、地元の裁判所の書店さんでご祝儀フェアをしていただき、とても感動いたしました。

さて、10月15日頃発売予定の拙著「会社法改正のグレーゾーン」(レクシスネクシス)のほうですが、こちらはレクシスネクシスさんのご厚意で、たいへん参加費用がお安い出版記念講演を開催させていただくことになりました。場所は大阪本町、日時は10月21日午後2時から4時までとなります。詳しくは、レクシスネクシスさんのこちらのHPをご覧ください

なんといいましても、書籍代が2,500円ほどであるにもかかわらず、参加費用が3,000円で、しかも書籍が1冊もれなくついてくる・・・ということなので、本当の出版記念講演ですし、レクシスさんも、私も完全な赤字(^^;!!だからといって、手抜きは一切ございませんので(笑)、どうかお時間のございます方は、どうか多数ご参加くださいませ。定員は先着50名ということなので、まだ大丈夫だと思います。

10月 3, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2014年10月 1日 (水)

海外不正リスク対応とコンプライアンスプログラムの活用

ここ数日でも、豊田合成さん、川崎汽船さん等、国際カルテル事件で高額の司法取引が行われた旨、報じられています。また9月中旬には、三菱、日立関連会社の合計7名が国際カルテルにて起訴されたことが報じられました(たとえばこちらの朝日新聞ニュース等)。注目すべきは、三菱電機さんの幹部社員らについて、部下に関係書類の廃棄を命じていたとして、司法妨害の共謀罪で起訴されていることです。DOJの公式文書では、「日本企業のこのような証拠廃棄事件については、今後も厳しい対応で臨む」と警告までなされています。日本企業の抱える国際カルテル事件への対応については、ぜひとも私が共同執筆しております新刊書(左のサイドバーで表示しています)をご一読いただければご理解いただけるのではないかと。

さて、月曜日(9月29日)の日経法務インサイドでは、昨年まで米国司法省次官補であったラニー・ブルーアー氏のインタビュー記事(海外の贈賄防止「米指針遵守を」)が掲載されていました。すでに当ブログでもご紹介しましたように、10月10日のACFE(公認不正検査士協会)JAPANの年次カンファレンスにラニー・ブルーアー氏をお招きし、講演をいただくことになっておりまして、おかげさまで500名の定員が満員御礼となりました(こちらにリリースがございます)。どうもありがとうございます。

日経の記事では国際カルテルについても意見を述べておられましたが、ブルーアー氏は(反トラスト局ではなく)米国司法省刑事局の責任者でしたので、カンファレンスでは主にFCPA(連邦腐敗行為防止法)違反の摘発に関して講演されるものと思います。いずれにしても、4年で40件ほどの大型案件の摘発を指揮してきた元司法官から「米国の正義」を知るためにはたいへん貴重な機会であり、今から私も楽しみにしています。

そのブルーアー氏が、日経のインタビューでは「FCPA執行ガイドライン」について語っておられます。ガイドラインに沿って法令遵守体制を整備すれば、社員個人は厳罰とされても、企業は責任を問われないことがある、とのこと。こういったガイドラインを米国企業は熟知しており、日本はあまり理解していないことが、「どうも日本企業にだけFCPA摘発は厳しいのではないか」と噂される要因ではないかと推測します。

「談合」や「賄賂」といった概念が、日本と海外では異なることに留意せよ・・・というのはよく言われるところですが、最近、某グローバル企業の日本法人の不正事件対策を担当して感じたのは、「コンプライアンス・プログラム」という概念にも日米の違いがある、ということでした。海外案件に精通しておられる弁護士の方でしたら「あたりまえ」かもしれませんが、コンプライアンス・プログラムというのは、米国企業ではトップから新入社員まで、「履行済み」であることが大切なのですね(だからこそ、刑の減免の対象になるということです)。日本だと、プログラムといっても、整備することに専念し、将来何かあったときの指針・・・という程度の感覚で作成しているところが多いと思います。しかし、それでは不正が発生した場合に、企業自身が重大なペナルティを課され、民事賠償責任を負わされることになってしまうことになりかねません。

プログラムを実践し、コンプライアンスルールが企業の隅々にまで浸透している状況、また、その状況を第三者が納得できるように工夫された証拠の存在、これらが実現できてこそ、「たとえ社内で不正が発生したとしても、(社員の厳罰はやむをえないとしても)企業として重大なリスクを回避できる」という体制が整備されることになります。とくに海外不正対応のケースでは、米国、EU、アジア諸国等、それぞれの地域によって摘発リスクが異なりますので、自社に適合したコンプライアンス・プログラムを策定する必要があります。日本の法律における内部統制システムの構築・・・といった感覚の指針とは、やや異なるものである、ということも理解しておく必要がありそうです。

10月 1, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年9月16日 (火)

闘うコンプライアンス!-ネスレ日本の対消費者広報戦略

9月15日の日経朝刊「法務インサイド」では、景表法に課徴金制度が導入される見込みとなり、勉強会の開催など企業が商品表示の適正化について戦々恐々となっている姿が報じられていました。「不当表示になるのが怖いので、無難なイメージ広告ばかりになるかもしれない」といった声もあるようで、今後の景表法改正が、商品やサービスの表示に萎縮効果を与えかねないとのこと。

ところで、先週の朝日新聞(朝刊)に掲載されたネスレ日本さんの全面広告が目を惹きました。「オテル・ドゥ・ミクニ」のオーナーシェフ三國清三氏を起用したもので、いま物議を醸している「レギュラーソリュブルコーヒー」の紹介記事です。ご承知の方もいらっしゃると思いますが、ネスレ日本さんが所属する全日本コーヒー公正取引協議会において、この「レギュラーソリュブルコーヒー」という(広告表現としての)名称使用の可否が審議されていましたが、結局、公正競争規約上では認められませんでした。そこでネスレ日本さんは、同協議会を脱退し、公正競争規約の庇護から離れ、今後はJAS法に基づく表示の適正確保に向けた対応をとられるそうです(ネスレ日本さんのリリースはこちらです)

レギュラーコーヒーではなく、インスタントコーヒーではないのか?「レギュラーソリュブル」って優良誤認ではないのか?・・・・・といった批判も当然出てくると思います。景表法上で禁止されている「優良誤認」かどうかは、一般の消費者の視点から判断されるのですから、今朝の日経新聞で指摘されているとおり、法令遵守を念頭に置くとなると、どうしても判断が萎縮してしまうと思います。だからこそ公正競争規約という「ソフトロー」の存在は、コンプライアンスリスクを低減させるという意味では、企業にとってはありがたいですし、今後景表法に課徴金制度が導入されるとなると、各業界において公正競争規約の活用がますます検討されることになると予想します。

しかし、人と違うことをやることもビジネスの戦略であり、優良誤認のリスクがあるのであれば、逆に一般消費者に誤認のおそれがないように「打って出る」こともコンプライアンスのひとつの手法だと考えます。「ネスカフェ アンバサダーによるオフィス市場の開拓」が日本マーケティング大賞を受賞する好機を捉えて、全面広告によってインスタントコーヒーとレギュラーソリュブルコーヒーとの違いを明確に打ち出し、「第三のジャンル」であることを消費者に認識してもらう、というネスレ日本の姿勢も、まさに「闘うコンプライアンス」のひとつだと思います。お上の言うことを思考停止で従うのではなく、むしろ行政当局の規制の趣旨を理解して、自分の頭で考えながら消費者教育の一端を担うくらいの気概で広報を打ち出していく・・・ということも広報上の検討課題ではないでしょうか。規制緩和が進む中、コンプライアンスはもはやブレーキではなく、スピード経営を支えるためのアクセルとして活用する時代です。

もちろん法令違反のリスクはあります。リスクが顕在化した場合には、トライ&エラーで真摯にリスクに向き合わなければなりません。東洋経済の報じるところでは、8月14日の時点では、ネスレ日本から消費者庁への照会に対して、同庁からの回答はない、とのこと。消費者行政の方向性をつかみ、コンプライアンス経営の向上を目指して消費者と向き合う企業の姿勢は、これからソフトロー重視に向かうのか、それともハードロー重視に向かうのか、このたびのネスレ日本さんの対応は重要な試金石になるのではないかと期待しています。

9月 16, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年9月12日 (金)

国際カルテルが会社を滅ぼす-新刊のお知らせ

いつも拙ブログをお読みいただき、ありがとうございます。いよいよ秋の新刊書を世に出す時期になってまいりました。

Kokusaikaruteruその第1弾としまして、

「国際カルテルが会社を滅ぼす-司法取引、クラスアクションの実態と日本企業の対応」(同文館出版 山口利昭、井上朗、龍義人著)

がまもなく発売となります。アマゾンではすでに予約注文を開始しております。

すでにいろんなところで申し上げておりますが、国際カルテル容疑で摘発された某社(日本企業)において、長年にわたり米国司法省、民事訴訟、欧州委員会そして公正取引委員会と対峙してきた社員の方と私の対談形式で、「国際カルテルが摘発された場合に、果たしてどのような事態が会社に発生するのか、司法取引とはどういうものか、膨大な民事訴訟はどう乗り切るのか」ということを語っていただいた本です。なお、この対談をもとに、私自身が国内対応を、そして海外のカルテル事件を最先端で指揮しておられる井上朗弁護士(ベーカー&マッケンジー法律事務所)が経営者向けのアドバイスを論稿としてまとめています。ちなみに簡単に「はしがき」の一部をご紹介いたしますと・・・・・

本書は、国際取引を行う日本企業の経営者、経営幹部をはじめ、国際取引に関わる多くのビジネスパーソンに向けて企画、出版されたものである。企業不祥事からリスク管理の方法を学ぶにあたっては、自社が痛い目に遭い、その教訓から学ぶ、もしくはマスコミ等で公表された他社事例から学ぶというのが一般的である。 しかし、これだけ脅威とされる国際カルテル事件については、このような手法はあてはまらない。なぜなら自社の失敗はとりかえしのつかない損失を被ることになり、教訓どころの話では済まない。また、他社事例といっても、国際カルテル事件は長期間、社内でも情報管理を徹底して対応するので、その事件の全貌は明らかにされないからである。

本書は、実際に反トラスト法違反事件に関わった龍と山口との対談をもとに、これまであまり明らかにされてこなかった国際カルテル事件への日本企業の対応を紹介したものである。また、国際カルテル事件の最前線で、日本企業の代理人チームを指揮する井上が、対談のレビューに加え、補足の解説を付けて内容を充実させている。そして、山口による内部統制の視点による解説、さらに国際カルテルの脅威を伝える井上のメッセージも併せて掲載している。海外の競争法を一から解説したものではないが、実際に国際カルテルの脅威に直面した経験、また日々日本企業のために国際カルテル事件と奮闘する国際弁護士の知見をもとに、日本企業の具体的な対策を検討するためには最適の一冊である。

本書を上梓するに至ったのは、偶然にも3人の思いが共通していたからである。国際カルテル事件のリスクの重大さ、(法務担当者や代理人弁護士が過労で倒れる等)事件対応の困難さを多くのビジネスパーソンに知っていただきたい、そして一刻も早く、多くの企業に国際カルテル事件に遭遇しないための対策をとっていただきたいとの願いである。
 現在、世界規模で反トラスト法に基づく取締が行われている。世界各国で反トラスト法が強化され、各国間で反トラスト取締協力協定が締結されている。このような情勢の中、各国における反トラスト法違反事件の摘発は急増し、またその執行も厳しさを増している。本書で取り上げた米国司法省、欧州委員会競争総局による摘発だけでなく、今後は中国、ロシアなどによる摘発事例も増えるであろう。また、わが国の公正取引委員会による立件もさかんになるであろう。このような時期に本書を世に出すことは、まさに時宜に適ったものと言える。日本企業の関係者におかれては、ぜひとも「手遅れ」になる前に、本書を参考に、国際カルテル事件回避に向けた準備をされることを願ってやまない。・・・以下つづく

また、目次をご紹介いたしますと・・・・・

序 国際カルテルの脅威 ·····································································································
1─国際カルテル事件と本気で闘った龍義人との対談に寄せて
1 新聞報道だけではわからない国際カルテル事件の真実
2 龍との対談実現の経緯について
3 対談の概要について
4 読者へのご注意 ─ 本書をお読みになるにあたって

第1部 対談篇
1 米国司法省との攻防 ·····································································································
1 捜査の開始
2 社内調査
3 刑事手続きとDOJとの攻防

2 ハイエナ訴訟 ····················································································································

1 民事訴訟の概要
2 連邦民事訴訟とその和解交渉
3 州民事訴訟

3 カーブ・アウトの取り扱い ······················································································

4 欧州委員会への対応 ·····································································································

5 国内対応 ······························································································································

6 海外向けコンプライアンス体制 ············································································

第2部 解説篇
1 海外不正リスクに対する社内体制の整備 ························································
1 前向きのリスク管理が求められる国際カルテル事件への対応
2 国際カルテルへの社内体制を検討するための枠組み
3 国際カルテルの防止体制(不正の抑止)
4 国際カルテルの早期発見体制
5 国際カルテルの有事対応

2企業経営と反トラスト法

EC競争法上のコンプライアンスについて ··············································
1 本書でお伝えしたいこと
2 問題点はどのようなものか
3 どのように問題点を解決すればよいのか

【資料1】米国司法省における近年の日本企業に対する主な摘発事例
【資料2】欧州委員会における近年の日本企業に対する主な摘発事例 
【資料3】連邦量刑ガイドライン§8B2.1. 
【資料4】連邦量刑ガイドライン §8C2.5. 

内容もさることながら、実はこの資料についても、井上弁護士のご厚意によって添付させていただいたものです。この資料だけでも(?)、本書をお買いになる価値があるのではないかと思うほどです。中国の独禁法政策がそろそろ動き出しますよ・・・といったことも記述していますが、もう動き出してしまいまして少し残念ですが、これからの国際カルテル事件の動向を探るうえでも有益な一冊かと思います。

9月 12, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年8月29日 (金)

日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークの理事に就任いたしました(お知らせ)

今週号の日経ビジネスの特集は「戦う取締役会-プロ経営者を育てる『社外の目』」、ということで、(会社法改正等について若干誤記があるものの)コーポレートガバナンスへの関心の高さが窺われるものでした。もはや「社外取締役を入れるかどうか」ではなく「社外取締役をどう機能させるか」に議論が移っています。連日、生命保険各社による「株主エンゲージメント方針」や議決権行使結果が公表され、スチュワードシップコードの実践も本格化してくるのでしょうね。

さて、本日はお知らせです。8月27日、特定非営利活動法人日本コーポレートガバナンスネットワークの第11回通常総会が開催されまして、(自民党の塩崎先生の基調講演の後)当職が新任理事として選出され、これをお請けいたしました。当ネットワークの前身である社外取締役ネットワークの時代から約9年ほどお世話になっておりましたが、今度は微力ながら日本企業のガバナンス向上のためにお役に立てるよう尽力したいと思っています。

ちなみに今週月曜日には、日本CSR普及協会近畿支部主催の研究会にて、森本滋先生(京都大学名誉教授、日本取引所グループ社外取締役)から、社外取締役制度(具体的には「非業務執行役員たる社外取締役と業務執行関与のグレーゾーン」について貴重なご意見をいただき、疑問点がひとつ解消されました。企業価値を向上させるための社外取締役の関与の在り方については、まだまだたくさんの疑問点がありますが、自身の経験や有識者の方から得た知見等をもとに、私なりに考えがまとまったところから、(本当に拙い意見にすぎませんが)またブログ等で明らかにしていく予定です。

201409r
もうひとつお知らせです。月刊金融ジャーナルの9月号は監査役特集「監査役の潜在力」というものでして、私も他業種の監査役実務の現状の紹介を、主に金融業界の方々に向けて書かせていただきました。現役監査役の方にはやや物足りない(といいますが、いつもブログで述べているようなことが内容です)かもしれませんが、監査役制度に詳しい他の執筆者の方々のご論稿もたくさん掲載されておりますので、ご興味がございましたら、ご一読のほど宜しくお願いいたします。

8月 29, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年7月18日 (金)

DNA親子関係不存在確認請求事件最高裁判決に対する雑感

本日はビジネス法務とはまったく関係のないお話で恐縮ですが、DNA親子関係不存在確認請求事件の最高裁判決(3件)が出まして、その判決全文が最高裁のHPで読めましたので、やや雑感めいたものを備忘録として記しておきます。

過去に当ブログでも何度かつぶやきましたが、「やはり金築裁判官はすごいな・・・」と(^^;

個人的には櫻井裁判官の補足意見に与するところですが、私は昨年12月10日に出た性同一性障害の方の嫡出推定を認めた事件「戸籍訂正許可申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件」の最高裁判決と比較すれば、このたびの法廷意見(多数意見)の判決(結論)は明らかだと思っておりました。つまり12月の判決が3対2で性別変更をされた方の主張を認めたのであれば、今回は全員一致で多数意見の判断が出るだろうと予想していました。

しかし今回の金築判事、及びこれに同調する白木裁判長が反対意見を表明されるとは予想外でした。そしてよく読むと、なるほど、昨年12月の最高裁判決の法廷意見(多数意見)の判断理由と論理的に矛盾せずに今回は反対意見を述べておられるのですね。さらに、法の解釈を超えるので立法に委ねる、とはせずに、解釈論として裁判所による個別解決を図るべき、とする理由をみると、司法権と立法権の役割分担にまで検討が加えらており、まさにミクロとマクロの双方の視点において最高裁判事にふさわしい判断理由が示されています(うーーーん、これは法律実務家として、何度も読んで勉強させていただきます!)ただ、子供の出自が明らかになっていない場合に、科学的な証明をもって子供にそれを告げることがはたして子供の幸福といえるかどうか・・・、このあたり「人として」意見が分かれるようにも思えますし、多数説になりきれない説得力の欠如があるのかもしれません。

私のような最高裁で弁論をしたこともない一介の弁護士が言うのもなんですが、昨年12月の裁判も3対2、そして今回の裁判も3対2・・・。こんな厳しい裁判を、大法廷で15人の裁判官で判断できないものでしょうか?もし15人で昨年12月の裁判が審理されていれば、結論が変わっていた可能性はありますよね。そして、その結論次第では今回の裁判のマジョリティも変わっていたかもしれません。司法事務の問題を私自身がわかっていないからかもしれませんが、ふと、そんな素朴な疑問が湧いてまいりました。

7月 18, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年4月24日 (木)

顧問弁護士のインサイダー取引問題についての雑感

ジャスダック上場企業の顧問弁護士の方が、公募増資について知りえた事実をもとにインサイダー取引をやってしまった、取引によって得られた利益は20数万円、SESCが39万円の課徴金処分を勧告、という報道にはホントに驚きました。

規模の大きな会社ですし、委員会設置会社ということで、ガバナンスにも力を入れている会社だと思いますので、おそらくこの方が所属しているのは、比較的大きな法律事務所ではないかと思いますが、なぜこんなことになったのか、思案してもよくわかりません。企業法務に精通しておられるわけで、金商法やSCSEの最近の活動状況にも熟知されているはずですし、「少しくらいなら」という感覚だったとも思えません(利得額は数千万円・・・というほうが、なんとなくわかりやすいですね)。

この事件、審判で争われることはないと思いますが、素朴な疑問としてふたつほど。報道されているのは「顧問弁護士」とありますが、具体的に公募増資の情報をどこから入手されたのでしょうか。SESCのリリースでは「契約の履行に際し」とありますが、これは実際に会社の相談を受けていたご本人ということなのでしょうか。それとも別に直接担当されていた顧問弁護士の方がいらっしゃって、そこから情報を入手されていたのでしょうか。あるいは(年齢からの推測ですが)経営者と元々個人的にもおつきあいが深くて、通常の業務ルートではなく、別ルートで情報を入手されていたということはないのでしょうか。「契約の履行に際し」の解釈が、どうも私にはひっかかります。

もうひとつの素朴な疑問は、会社側は顧問弁護士との契約を解除した、と報じられていますが、これは会社が法律事務所との契約を解除した、という意味なのか、それとも、法律事務所の別の弁護士に新たに顧問を依頼して、当該弁護士のみ解除したということなのでしょうか。同業者として非常にショックな事件であるがゆえに、このあたりの事情を理解しなければ、なぜこんなことが発生したのか、理解に苦しむところです(そもそも顧問先会社の株式を保有している・・・というのも、なんとなく気持ち悪いのですが・・・まさか、どなたかをかばっている・・・ということはないのでしょうかね?うーーーん、ほんとに理解困難です)。

4月 24, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2014年4月15日 (火)

JICPA「不正実態調査アンケート」結果の読み方

ちょうど1年前、市ヶ谷の日本公認会計士協会本部の地下ホールにて、弁護士代表のパネリストとして登壇させていただき、「第三者委員会制度問題」では弁明側に立ち、完全アウェーの気分を味わいましたが(笑)、また久しぶりに、協会に怒られそうなエントリーをひとつ(^^;

本日(4月14日)、日本公認会計士協会HPに、「監査業務と不正等に関する実態調査の集計結果について」と題するアンケート集計結果の概要(公表版)がリリースされています(引用は差し控えます)。A4で2枚程度の結果公表文ですが、回答者の半数が過去10年以内に不正と遭遇したことがあるそうです。内訳は粉飾が資産流用よりも多いそうですが、ここ3年ほどは資産流用事例が逆転しているとのこと。経営トップの関与も(そのうち)4割におよび、3分の1程度が外部協力者が存在していたそうです。不正リスク対応基準は確実に監査実務に影響している(6割)とのことですが、外部協力者の関与が多いということは、まだまだ不正リスク対応基準の見直しにもつながりそうな課題です。

この集計結果をみるかぎり、「おお!けっこう会計士の方々は不正を発見しているではないか!また、毅然たる態度によって会社に決算の修正をさせているではないか!」と読めます(不正を発見した場合の顛末に満足している、と回答されている会計士の方が63%も!これはスゴイ!)。

JICPAさんでは、この不正実態調査の結果について、今後の不正な財務報告への取り組みへ活用されるそうですが、ぜひぜひ回答率が7.5%だったことへの分析もよろしくお願いします( *´艸`)!公認会計士登録後10年を経過した会員に回答の依頼をされて、1000名程度の方からの回答があった、ということですが、なぜ回答率が7.5%だったのか?①コンサル業務のほうが楽しいので、過去10年までさかのぼっても監査証明業務を担当したことがない会計士が多いのか、②そもそも不正発見など、監査をするうえでなんらの興味も湧かないのか、③不正に遭遇したけれども、無視していたから回答することに気が進まなかったのか、④毅然とした態度をとったけれども、会社からの圧力に負けてしまったので、もはや忘れたいからなのか・・・。

すいません、これが回答率30%くらいなら、「ああ、忙しい人が多いから、これくらいだろうな」と思うのですが、かなり回答率が低いもので・・・・・(^^;;そういうところにどうしても関心が向いてしまうのです<m(__)m>どうか「出入り禁止」にはしないでくださいね( ゚Д゚);;

4月 15, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2014年4月 3日 (木)

STAP細胞論文疑惑-世の中の紛争を回避する「重過失」の魅力

この話題については知識不足のためツッコミにくいところがあり、またO研究リーダーの代理人もよく存じ上げている方なので(笑)、いずれの立場に立つわけでもなく、きわめて個人的な意見(感想?)のみ書いておきたいと思います。

O研究リーダーの論文に「ねつ造あり」と認定した調査委員会というのは、いわゆる理研さんの「ヘルプライン規程」に基づいて設置されたものですから、もともと独立性などはあまり関係がないものと思っておりました。なので、あらためて第三者委員会がO氏の論文に関する「不正行為」の有無について検討するために設置される、という点については当然かと思います。

また、理研ヘルプライン規程によれば、不正行為が認定された場合には、O氏は理研より研究費の全部または一部の返還を命じられることになりますし、今後の研究活動の可能性にも関わるものなので、O氏側が不服申立に至ることも当然かと。

もはや後戻りできないほど対立が激化してしまったわけですが、素朴な疑問として、なぜ理研のヘルプライン規程には「重過失」の概念がなかったのなぁと思います。もちろん文科省ガイドライン2006の不正行為の概念には重過失など規程されていないわけですし、当該ガイドラインに沿った形で整備されたことが予想されるのですが、理研側としても、こういった対立場面において「ねつ造」というのは故意の立証が必要になるわけですから、争われたらかなり厳しい立場に立たされるわけです。「論文取下げに同意した」と会見ではお話になってましたが、O氏側が「同意などしていない」とのことで、これも(理研側に立証方法が存在しない以上)争われれば「同意はなかった」ということになってしまいそうです。

故意に匹敵するほどの非難に値する注意義務違反(ミス)ということで「重過失」を活用できれば、理研側の立証も軽くなりますし、O氏側の名誉や将来性についても回復の余地を残すことになりますので、たとえ紛争になったとしても、どこかで引っ込みがつく隙間ができたのではないかと。O氏側にも実験ノートが少ないとか、資料の保存方法がずさんなど、指摘すべき点はありますので、「ついうっかり」よりもレベルの悪質な「うっかり」だと認定すれば、どこかで落ち着きどころはあったのかもしれません。社会に対する理研からの説明責任を果たせます。もちろんSTAP細胞の有効性については、別途じっくり研究調査を続ければよいと思います。

昨年のNPB(日本プロ野球機構)統一球問題の第三者委員会報告書を題材に、当ブログでも過去に2度ほど、この「重過失」概念の有効性について書きました。第三者委員会調査の謙抑的な権限行使、ステークホルダーへの説明責任の果たし方、委員会報告書の事実認定の限界などに配慮した場合、故意とは言えないけれども、責任においては故意に匹敵する程度の不正があったとして「重過失あり」と認定する妙味は、常にとは申しませんが、けっこう有用性があるのではないかと思います。

会社法上の役員さんの法的責任にも、この「重過失」の判断が大きく影響します(責任免除、責任限定契約、第三者責任、D&O保険の適用等)。しかし意外なほど、この「重過失」の効用については議論されていません。紛争の早期解決を図るためにも、いろいろなところで「過失」と「重過失」の差異について研究が進むといいなぁと思っております。

4月 3, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年3月25日 (火)

証券取引等監視委員会vs日本風力開発-バトル勃発(その3)

審判期日が延期のまま、マニアの方でさえ記憶の彼方に消えていきそうな月日が経過しておりますが、いよいよ明日(3月26日)、金融庁大審判廷において日本風力開発社の課徴金審判の第一回期日が開催されます。SESCの勧告からちょうど1年ですね、これは楽しみな審判です。金融庁への徹底抗戦を宣言し、国賠訴訟を提起した日本風力開発さんの答弁に注目が集まります。ちなみに記憶を喚起したい向きには、ちょうど一年前の当ブログのエントリー(その1 その2)、また証券市場の必殺仕事人(?)伊藤歩さんの検証記事(その1 その2)等をご覧ください。

ちなみに私は自身の本業でのバトルのほうで精いっぱいの状況でして(笑)、風力さんの審判事件にまでなかなか注視できないのですが、大審判廷での開催、整理券配布の予告がなされているので、やはり注目されている方は多いのでしょうね。どなたか審判を傍聴された方からのホットなご報告がなされることを期待しております<m(__)m>。金融庁側の主張立証、風力さん側の答弁内容いずれも注目です。あのビックカメラの役員さんの課徴金審判決定を超えるほどのバトルとなり、多くの事件の先例となるような決定が出されることになればいいですね。

そういえば3月24日付け朝日「法と経済のジャーナル」に、金融庁に出向されていた弁護士の方の「任期付公務員のお仕事」に関する手記が掲載されています。昨年6月、私も金融庁で100名ほどの任期付公務員の弁護士、会計士の皆様を前に講演をさせていただきましたが、ホント、私もあと10年(15年?)若かったらチャレンジしていたと思います(正直、うらやましい・・・)。なんといっても利害関係者の調整を図りつつ、権力を抑制的に行使するクセを体で覚える体験は、在野ではできないことです。本件バトルにつきましても、プロパー職員と任期付公務員の合同チームが、どういった根拠と証拠で審判に臨むのか、とても興味を覚えるところです。

3月 25, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年3月 7日 (金)

「気がつけば我が社も粉飾企業」と後悔しないための経営者の知恵

上記タイトルで、東京証券取引所主催セミナー「会計不正のリスクとガバナンス」の講師を務めさせていただき、2月の渋谷公会堂、3月4日の大阪銀行協会ホールと、無事終了しました。今回は上場会社の役員向けということで、関東と近畿延べ1400名ほどの役員さんやIRご担当者の皆様方に向けてお話させていただきました。地元大阪も400名近い方がお越しになり、やはり東証主催セミナーの認知度の高さを痛感しました。前の方から後ろの方までよく存じ上げている方がお見えになっていたので、とてもありがたいと感じました。

後悔すべきは、最近は拙ブログをお読みの方々に向けた講演が多かったので、「二次不祥事」などという言葉は聴講されている方に説明するまでもない・・・という「驕り」が私にあったことです。聴講された方々の感想として「二次不祥事というのがよくわからなかった、もっと具体的な例をあげて説明してほしかった」とのお声もチラホラでして、私のブログもご存じない方が多い中で若干反省をしております(大阪では若干修正できましたが)。

ただ、実務担当者向けの解説では「どうすれば粉飾を防止できるか」ということを述べるのに対して、経営者向けには「どうすれば粉飾企業にならないか」と問いかける意味はご理解いただけたのではないかと思っています。お伝えしたかったメッセージは「知識」ではなく事業経営に忙しい経営者に向けた「知恵」なのです。

今朝の朝日新聞記事でも、博報堂さんの製作映画に「やらせ」があったこと、監督さんがこれを認めたことが掲載されていましたが、たしかに冷静な第三者の目から見れば明らかに「やらせ」です。でも被災者の姿を描くことに懸命だった(熱くなっていた)監督さんの立場からすれば「この程度は演出だ」と本気で考えていたことも可能性としてはあります。真剣勝負に没頭している本人の思考回路としては十分にありうるところであり、だからこそ社外役員や監査役さんらの「第二思考回路」が不可欠だと思います。人の会社のケースでは粉飾がみえても、いざ自分の会社では見えてこない・・・それはなぜか?ということを私自身も考えていきたいと思っています。

なお、第三者委員会報告書から参考事例を紹介させていただきましたが、第三者委員会報告書の読み方というのは、やはり実際に報告書を書く立場になってみないとわからないことがたくさんあります(これは講演後にもうひとりの講演者である宇澤会計士さんとお話しているときに、宇澤先生もおっしゃっていました)。報告書を書く立場から、また委員会解散後のコンプライアンス委員に選任された立場から、会計不正事件や企業のガバナンスを眺めてみると、またマスコミ報道とは異なる真実がみえてきます。どんな企業が「粉飾企業」の仲間入りを果たしてしまうのか・・・グループ会社経営の諸課題を含めて、そういったことをまた何かの機会にまとめてお話できればと考えています。

とくに私自身、内部告発事案などに関わる機会が増えてきますと、「粉飾とすれすれのグレーゾーンでもがき苦しむ大企業」の担当者・担当役員の姿に、制度会計と向き合う経営者の思想が垣間見えてきます。その企業における監査役や監査法人の立ち位置も見えてきます(ホント、これは千差万別です!)まさに宇澤先生が講演でお話されていたように「粉飾はアート」だと思えてきますね。

ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました<m(__)m>。また、即興で(当日発生した)大証システム停止の事件を題材とした質問を会場に投げかけて、関西人らしい「つかみ」をやってしまったにもかかわらず、笑って流していただいた「太っ腹」の東証の皆様にも感謝申し上げます(もうお声がかからないかもしれませんが・・・・笑)。

3月 7, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2014年1月20日 (月)

東証・上場会社セミナー「会計不正のリスクとガバナンス~法律と会計からの実務対応~」

大阪もめっきり冷え込んで厳しい寒さとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、本日は東証セミナー(上場会社役員向け)のお知らせでございます。上場会社の代表者、コンプライアンス担当役員、監査役、コンプライアンス担当の管理職の方に向けての会計不正リスクへの対応に関する講演をさせていただくことになりました。先週17日より、東証のHPにてリリースされております。2月19日は渋谷公会堂、3月4日は大阪銀行協会となっています。

講演をご一緒させていただくのは、ご存じ(?)「粉飾ハンター」の異名をとる宇澤亜弓会計士(女性の方ではございません)です。最近2冊目のご著書「財務諸表監査における不正対応」(清文社 宇澤亜弓著 3,600円消費税別)を出版され、財務諸表監査は(とりわけ)経営者不正に対して有効である、ということを「職業的懐疑心」の中身に鋭くツッコミながら力説をされていることが一部で話題になっております。申すまでもなく、12年間にわたり粉飾を摘発する側で活躍をされ、現在は会計不正事件の第三者委員としても活躍中の宇澤先生のお話はたいへん関心のあるところです。私と宇澤先生はACFE(日本公認不正検査士協会)の理事仲間ということで、宇澤先生のお話をお聴きする機会もありますが、やはり粉飾を摘発する側の論理(言い分?)というものを聴くことはたいへん勉強になります。

さて、私はといいますと 「『気がつけば我が社も粉飾企業』と後悔しないための経営者の知恵」、という意味深けなテーマでございます。経営者向け、ということで、経営者がどのように投資家、監査人と向き合うことがリーガルリスクを低減させるのか、という点を具体的な事例や、私の関与事例などを参考にしながら(守秘義務に気をつけながら)解説させていただきます(「期待ギャップ」という言葉は、監査制度に関する投資家・株主と監査人との認識のズレを言い表すものですが、経営者にも制度会計や監査に関する誤解があるのではないか、この誤解を解く必要があるのではないか、と感じているところです)。

忙しい経営者はほとんどのビジネス案件を社内の「暗黙知」で処理したいのです。とくに日本の役員会、執行役員会議では、この暗黙知(非言語領域にある経験知)をもって処理できるからこそスピード経営が可能だと思います。ただ、ディスクロージャーやIR・SR活動は暗黙知では通用しません。対外的に求められる合理的・論理的な経営判断をどう「暗黙知」と調和させるか・・・、そのあたりが「気が付いたら粉飾企業になっちゃった」と後悔しないために検討しなければならないところかと思っております。1時間15分という、私にとっては短距離競争の時間なので、本当に要点のみに絞ってお話をしたいと思います。参加資格が決まっているので、どなた様も・・・とは言えませんが、ぜひともご担当の方々にご紹介いただけますと幸いです<m(__)m>

1月 20, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2014年1月10日 (金)

役員セミナー募集の終了のお知らせ

さて、昨年11月に募集させていただきました「組織ぐるみの不祥事と言われないための役員のリスク管理」と題する役員セミナーですが、現在までのところ、検討中のところを含めて5社よりお声掛けいただきました(うち、すでにセミナーが確定したのは3社)。やはりこういった社内セミナーは、予算の許す範囲内で(?)、法務部やコンプライアンス室、総務部などのご担当者の方が企画されるケースが多いのですね。

今年前半のスケジュールとの兼ね合いから、この5件で精一杯のような感じなので、ここで募集を締め切らせていただきたいと思います。いろいろとお問い合わせいただき、ありがとうございました。<m(__)m>聖人君子のような姿勢でのお話ではなく、あくまでも現実に火の粉を振り払うためのリスク管理、ということなので、また関連する話題などありましたら、セミナーでお話する内容の一部をブログ等でご紹介したいと思います。

1月 10, 2014 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月11日 (水)

景表法改正の動き-課徴金制度導入検討とは驚き(◎o◎)!

このたびの一連のメニュー虚偽表示問題を契機として、消費者庁は景表法の改正を検討するそうです。都道府県が排除措置命令を出せるように権限委譲がなされること、景表法違反の有無を他省庁も調査する権限を持つこと等が改正の中心テーマだそうですが、なによりも驚いたのが「景表法違反に課徴金制度を導入する」といったことも検討されるそうです(たとえば時事新聞ニュースはこちら)。消費者団体からの強い要望とのこと。

正直、このたびの食品偽装事件を契機に、景表法に課徴金制度導入が検討されるとは夢にも思いませんでした。たしかに、平成23年ころから消費者庁では「行政による経済的不利益賦課制度」について、一部の研究会で検討がなされていましたが、未だ「研究」の域を超えたものではなく、現実味を帯びたものではないと理解をしていました。

まだ感想めいたことしか書けませんが、上記時事新聞ニュースにも誤解があるとおり、課徴金は制裁のように思われていますが、原則として罰則(ペナルティ)ではありません。あくまでも不当な利益の収奪ということです。だからこそ行政処分の一種です。レストランのメニュー偽装があった場合、果たしてレストラン側がいくらの不当な利益を得ていたと捉えるのでしょうか?たとえば近鉄グループのホテルでは、メニューに誤表記はあったけれども、お客様から頂戴した料金に見合うサービスは提供していたので返金には応じない・・・という姿勢でした。つまり不当な利益を得ていたわけではない、ということだと思います。

また景表法違反による行政処分については、これまで無過失責任とされていますが、課徴金制度も無過失でも処分の対象となりますので親和性が高いことは間違いありません(これは課徴金がペナルティではないからです)。しかし世間一般では課徴金は罰則だと理解されていますので、BtoCの各企業としては「偽装ではなく誤表示」だとしても課徴金処分を受けてしまうおそれがある、ということです。消費者を騙すという意思がなくても、現場のミスによって課徴金を課され、ブランドイメージを傷つけてしまうというのはなんともおそろしい気がします。もちろん、公認会計士法上の課徴金制度のように、行為者の主観的な帰責性によって課徴金の金額が変わるという、実質的には過失責任に基づくペナルティのような課徴金制度も存在しますが、市場の健全性確保のために高い職責を負う会計士と、BtoCの企業とを同列に比較できないものと思います。

さらに、課徴金制度は罰則ではなく、不当な利益の収奪が目的なので、いわゆる行政法上の「羈束行為」です。つまり行政の裁量によって課徴金を賦課すべきかどうか、裁量の余地はないということです。景表法違反の事実を発見したら、かならず処分を下さねばならないということになりますが、調査権限を持つ省庁に内部告発があれば、かならず慎重に調査が行われることになります。これは調査権限を持つ省庁にとっては負担が大きいのではないでしょうか。

企業側からしても、景表法に課徴金制度が導入されることは不正リスクがひとつ増えることになります。なんといっても「法令違反」が目に見える数字になることで、企業の損失が明確になるわけですから株主代表訴訟を誘発する要因になります。さらには訴訟でも「ブランド価値維持義務」などが認定されるようになりましたので(ただし契約上の信義則義務ですが)、課徴金処分を受けることが企業のブランド価値を低下させた、と評価される可能性もあります。これは当該企業だけではなく、親会社の役員責任にもつながる可能性もあります。

上記は厳密に調査したわけではなく、あくまでも私の感想に基づくものなので、不正確なところがあるかもしれません。しかし、このように景表法に課徴金制度を導入することは多くの問題点が存在しますので、ニュースなどでも、消費者庁としては慎重な配慮をする、と報じられておりまして、消費者委員会で十分に審議を行うようです。いずれにしても、景表法に課徴金処分を導入するについては、消費者庁には運用していくだけの人的・物的資源に乏しいわけですから、「上から規制」は限定的にならざるをえないはずです。企業としては「ピンポイントで上から規制」の対象にならないようにすることが必要なわけでして、9月2日に当ブログでも書きましたが、今後ますます企業の内部統制システムの整備・運用が求められる時代になりそうです。

12月 11, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2013年11月20日 (水)

大好きな適時開示チェックすらできない状況でございます

コンプライアンスネタを中心に、書き上げたいテーマは山ほどあるのですが、「そんなブログを書いているヒマがあったら、こっちを先にやってよ!」と本気で怒られそうなほど本業に忙しい状況でございます<m(__)m>。早朝から稼働しなければ時間のやりくりが困難なほど追いつめられておりますので(笑)、少しばかりブログの更新が遅れます。とりあえず元気にしておりますので、引き続きよろしくおねがいいたします。<m(__)m>

11月 20, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2013年11月 9日 (土)

金融業界における反社会的勢力排除の実務(お知らせ)

金融庁検査真っただ中の時期ですが、他行との比較が問題とされるモニタリング検査の運用も気になるところです。とりわけ地銀クラスの金融機関の反社会的勢力対応においては、情報収集の不十分性に懸念が残るところも多いのではないでしょうか。

ということで、反社対応で有名なリスクマネジメント会社であるエスピーネットワーク社が、東京と大阪において「金融業界における反社会的勢力排除の実務」というセミナーを開催いたします。すでに東京では満席となり、急きょ追加セミナーが開催されるそうです。大阪はまだ残席があるそうなので、金融機関の皆様におかれましては、ぜひこの機会に排除対応の現状を把握するために受講されてはいかがでしょうか(ご案内はこちらです)。

反社対応ではありませんが、私自身、このたびの虚偽表示メニュー事件において、某社の対応についてコンサルをさせていただきましたが、やはり経営判断の中に外部第三者が関与することが重要であると痛感しました。会社側の経営判断が決定した後に、実務だけにコンサルが関与するのではなく、「社長の覚悟」の場面にコンサルが関与しなければコンサルの経験が活かされないのではないかと感じました。

また、有事になってからのコンサルでは限界があります。有事の知恵は平時のリスク管理あってのことで、たとえば社長のところへ真実の情報が上がってくるのも、平時の情報管理体制の運用次第だなぁと感じます。社長が「洗いざらい公表する」と覚悟しても、部下のミスをおそれて上司がトップに報告しなければ、結局「内部告発のネタ」が社内に残ることになり、たいへん厳しい状況に追い込まれることになるのが現実です。反社対応などは、平時から有益なコンサルタントがリスク管理に関わるべき課題なのではないかと思います。

11月 9, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年8月16日 (金)

企業不正に対する内部統制の役割とそれを取り巻く者の責任(日本内部統制研究学会のお知らせ)

さて、昨年は当ブログで広報させていただき、思いのほか多数の方にご来場いただき、配布資料不足を招いてしまいました日本内部統制研究学会のお知らせでございます。昨年は東京開催でしたが(日本大学)、今年は関西大学で開催ということなので、たぶん、昨年のような混乱は生じないものと安心しております。

さて、8月31日(土)に迫ってまいりました第6回日本内部統制研究学会年次大会ですが、今年の全体テーマは「企業不正に対する内部統制の役割とそれを取り巻く者の責任-ガバナンス・会計・監査-」ということでして、

本大会では、「企業不正に対する内部統制の役割とそれを取り巻く者の責任」を統一テーマとし、内部統制の整備と運用に責任を持つ経営者・監査役等の企業内部者と、外部監査人・資本市場運営者等の企業外部者が、それぞれの果たしてきた責任を踏まえ、将来の企業経営向上に向けてさらに前向きに果たすべき責任に関して、それぞれの視点からご議論頂くことに致しました。

といった概要です。準備委員会の委員長が企業実務家でもいらっしゃる伊藤先生(関西大学)なので、統一論題のご登壇者の顔ぶれも多彩です(ご登壇者の顔ぶれはこちらのHPをご覧ください)。主催者側である私自身も、今から楽しみです。

ベンチャー支援、起業家の成長支援ということで、アベノミクスは上場維持費用の緩和の方向性を打ち出しているようですが、規制緩和によって起業の自由、営業活動の自由が広くなればなるほど、企業規制はソフトローに依存することになります。

たとえば最近、社員による不適切写真の投稿が批判の対象となり、東証1部のブロンコビリーさんが謝罪と店舗閉鎖、従業員への損害賠償予告、というリリースを出しました。この対応には「当然の措置!」「やりすぎでは?」と賛否両論の意見が出ています。ブロンコビリーさんでは、ネット上での炎上という事態を受けての自律的行動でした。ではまだ炎上していない「不適切写真」の存在が御社で発覚した場合、ブロンコビリーさんと同じ行動をとるのでしょうか?まだ炎上していない(つまり世間に知られていない)以上は、コソッと本人を処分をするだけで済ませますか?それとも社内処分を社内だけで公表して済ませますか?それとも炎上前から社外にもリリースして謝罪をするのでしょうか?また、そのような対応については社内で意見は一致するのでしょうか?

このような自律的行動が、果たして企業の信用を向上させるのか、低下させるのかは、当然のことながら内部統制構築の巧拙に依拠することになるわけでして、規制緩和によるソフトロー時代の傾向が強まる中で、今後ますます企業不正に対する内部統制への関心は高まるものと思われます(だって、みなさん、ホントにリスクは背負いたくないでしょうから・・・)。

朝9時半からの自由論題は、今年も4つの会場に分かれて開催いたしますが、私もそのうちのひとつである第4会場の司会を務めさせていただきます。テーマは「法的側面からの検討」ということでして、伊勢田道仁教授(関西学院大学法学部)による「内部統制に関する経営者と会計監査人の責任」、遠藤元一弁護士による「監査における不正リスク対応基準が監査人の財務諸表監査に与える法的影響等」という、いずれもたいへん興味深い内容のご発表です。法律家、会計専門職、経理・法務担当者など、多数の方々にご聴講いただきたいので、ぜひとも朝からお越しいただければ幸いです。

内部統制がしっかりしていれば「上司のミスは部下に押しつけ、部下の手柄は上司の手柄」といったことはなくなるかも(?)しれませんよ。8月31日の土曜日は、ぜひとも関西大学の吹田キャンパスまでご参集くださいませ<m(__)m>

8月 16, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年8月14日 (水)

JFAELセミナー「法と会計の思考プロセスの違い」のお知らせ

皆様、残暑お見舞い申し上げます。<m(__)m>(といっても、残暑どころか猛暑の毎日ですが・・・)さて、19日まではブログの更新はいたしませんと言いつつ、これは「更新」ではなく単なるお知らせということでご容赦ください。かなり苦しい言い訳ですが(笑)

※※※※※

さて、もう来週木曜日の8月22日ということになりますが、地元の大阪におきまして企画としては面白いセミナーを開催させていただきます。主催は一般社団法人会計教育研修機構というたいへん由緒あるところでして、主に会計専門職の方の高度教育機関だそうです。今回は特別講演会ということで、大阪で一回、東京で一回講演をさせていただく、というもの(JFAELの研修のお知らせはこちら)。

おもしろいのは東京と大阪で講演内容が違う、という点もあります。東京では会社法改正に関連する研修内容なのですが、大阪の講演は「法と会計の思考プロセスの違い」というもの。今回は、この直近の大阪講演のご紹介です。不正調査の実務において、会計士の先生方とお仕事をする中で感じたことなどをいくつかのテーマに分けて解説させていただき、後半はこのような法と会計の思考プロセスの違いを意識することにどのような実益があるのか、といったことを問題提起するものです。

講演内容につきましては上記の会計教育研修機構のHPをご参照くださいませ。3年半ほど前に、日本監査学会(西日本支部)にお招きいただき、そこでお話させていただいた内容に、このたびの拙著「法の世界からみた会計監査」で書かせていただいた内容を融和させたもので、あまり他ではお聞きになったことがないものではないかと。

不正調査という法と会計の狭間の問題だけでなく、会計ルールは法律とどう違うのか、裁判所で会計士の責任はどのように認定されるのか、そもそも裁判なんかに巻き込まれることがないようにするためにはどうすべきか、といった、かなり大胆な問題に突っ込んだお話です。マニュアルのない世界のお話なので、問題提起にすぎないところもありますが、単に弁護士や会計士の処世術を語るものではなく、弁護士や会計士がどうすれば企業社会に役に立つ存在になるのか、協働して1+1=3とするためには何が足りないのか・・・といった視点で2時間語りたいと思っています。

非会員の方も(有料にはなりますが)ご参加可能とのことなので、ぜひ一度、こういった話題についてご興味のある方はご参集いただけますと幸いです。

8月 14, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年8月 9日 (金)

ブログ更新に関するお知らせ

いつも「ビジネス法務の部屋」をご覧いただき、ありがとうございます。さて、本日はお知らせです。これまであまり意識をしてブログ更新をお休みさせていただいたことはなかったのですが、次回のブログ更新は8月19日(月)ころとさせていただきます。

「しばらくお暇を頂戴いたします」と言いたいところですが、残念ながら全くおヒマがございません。明日から18日ころまで、次回出版予定の本の原稿、共著本や雑誌論文の原稿等の執筆、たくさんの講演資料の作成準備に没頭したいと思います。お盆休み返上にて、健康に留意しながら日々精進する予定です。

たいへん暑い日が続きますが、皆様方におかれましては良いお盆休みをお過ごしくださいませ<m(__)m>。

8月 9, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年7月30日 (火)

不正会計に立ち向かう-ACFE JAPAN カンファレンスのお知らせ

週末のドラマといえばTBS日曜ドラマ「半沢直樹」が世間の話題になっていますね。昨日(日曜日)は、なんとサッカーの日韓戦をぶっちぎって視聴率20%超え、だそうです(スゴイですね)。私はといいますと、「半沢」と同じ池井戸潤氏原作のNHK「七つの会議」のほうを毎回楽しみにしています。ドラマはいよいよ佳境に入ってきましたが、あれだけ「不正はいけない」と叫んでいた主人公の営業課長が、会社のため、社員のため、社長のために先頭を切って隠ぺいを主導し、親会社の監査を機転を利かせて煙に巻いてしまう、というのは本当にリアルです。ほんと、ホワイトカラーの不正は、まじめな社員ほど走り出したら止まらないものになってしまうことを痛感します。

さて、ホワイトカラーによる組織不正といいますと、今年も10月に私が理事を務めておりますACFE JAPANの年次カンファレンス(第4回)が開催されます(正式なチラシはこちらでございます)。昨年はオリンパスの元社長マイケル・ウッドフォード氏を迎え、たいへんな盛り上がりでしたが、今年も昨年に負けないスピーカーをお招きすることになりました。日時は2013年10月18日(金)午後1時より、場所は東京神田駿河台にありますソラシティカンファレンスセンタです。上記チラシより正式にお申込みいただけます(一般15,000円、会員10,000円)。会場の関係がございますので、できるだけお早目にお申込みいただけますと幸いです。

今年のスピーカーの方をご紹介いたしますと、おひとりは、「粉飾の論理」「兜町コンフィデンシャル」など、会計不正事件、ハコ企業モノ事件に焦点を当てて、市場の健全性を維持するためには何が必要なのかを世に問うジャーナリストの高橋篤史さんです。私は高橋さんのご著書の大ファンでして、上記2冊はことあるごとに読み返しては粉飾事件を頭で整理するための参考にさせていただいています。この分野では第一人者でいらっしゃる高橋氏をカンファレンスにお招きし、高い志をもって株式を上場させた企業が、なにゆえ真面目な社員を巻き込んで粉飾企業になってしまうのか、多くの実例を検証してきた高橋氏ならではの視点で語っていただく予定です。

そしてもうおひとりは、あのAIJの浅川社長の懐刀(ふところがたな)として、AIJを支えてきた九条清隆さん(元AIJ企画部長)です。ご承知のとおり、九条氏は「AIJ事件の深き闇」の著者であり、証券会社で長年デリバティブ運用のプロとして活躍されてきた方です。証券市場のプロであるにもかかわらず、なにゆえAIJの暴走を止めることができなかったのか、どうすればもっと早く被害を食い止めることができたのか、年金基金のガバナンス問題も含め、事件の深層を(可能な限り)お話いただく予定です。もちろん九条氏に鋭く切り込んでいただくのは八田進二教授です。

第2部のほうでは、第三者委員会委員として何度も不正調査に関与されている木曽弁護士、小川真人会計士、宇澤亜弓会計士と私の4名で、「CFE資格が専門職にもたらすもの」と題して、日ごろの不正調査の実務から、CFEとしてのスキルが実務にどのように役立つのか、シンポジウム形式にて語り合います。モデレーターは理事長の濱田真樹人教授が今年も務めます。まさに会計士と弁護士の「分かり合えないミゾ」が明らかにされれば楽しい企画になるのではないかと考えています。昨年は私が少々しゃべりすぎてひんしゅくを買いましたので(笑)、今年はできるだけおとなしく控えめに登壇するつもりです。どうか多数の方々のご参加をお待ちしています。

7月 30, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月27日 (木)

管理人の社外取締役就任に関するお知らせ

さて、本日はお知らせでございます。6月26日、大東建託株式会社の定時株主総会におきまして、社外取締役に選任され、同日就任いたしました。京都のニッセンホールディングス社と東京の大東建託社ということで、ますます大阪の事務所を不在にする機会が増えてきますが、実務を通じて両社のステークホルダーの利益向上のために尽力する所存ですので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします<m(__)m>。ちなみに大東建託社の取締役、執行役員の方々は、私のブログのことを全くご存じない方ばかりなので(ごく一部の方を除き)、ある意味とても新鮮です(笑)。

6月 27, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年5月30日 (木)

社外取締役就任(予定)に関するお知らせ

さて、もうひとつお知らせがございます。

本日(5月30日)、会社WEB上で開示されておりますとおり、弊職、大東建託株式会社(東証1部 名証1部)の社外取締役候補として内定し、6月26日の定時株主総会にてご承認をいただくことを条件として同社取締役に就任することとなりました。

社外取締役の就任はニッセンホールディングス社に続いて2社目ですが、同社の企業価値向上に務めてまいりたいと思っております。引き続き、どうか宜しくお願いいたします。

5月 30, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年4月23日 (火)

不正リスク対応基準による監査役への影響等(お知らせ)

P4220003_640本日(4月22日)の毎日新聞(関西版)にて、拙著「法の世界からみた『会計監査』-弁護士と会計士のわかりあえないミゾを考える」の書評が掲載されました(写真とともに記事内容を引用してご紹介するのは若干支障があるかもしれませんので、写真のみとさせていただきます)。こういったマニアックな分野の書籍でありますが、おかげさまで発売一カ月で二回も増刷されまして、各書店での在庫もようやく復活しております。以前掲載させていただいた「正誤表」の分も2刷から修正されておりますので、どうかよろしくお願いいたします(アマゾンさんでも22日現在、大量入荷されたようです)。なお、この後も経営財務、会計・監査ジャーナル等において書評が掲載される予定です(辛口批評かもしれませんが)。

さて、書籍とは別のお話ですが、4月20日発売の中央経済社「ビジネス法務」2013年6月号に「不正リスク対応基準による監査役への影響」と題する論稿を掲載させていただきました(ビジネス法務6月号の目次はこちら)。前半は今般の監査における不正リスク対応基準の解説、後半は監査役実務における具体的な影響について、かなり私的な意見を前面に出して書き下ろしたものです。とりわけ企業会計審議会ではツッコミ不足だと思われた「会計監査人と監査役との連携」につきましては、法律家の立場からかなり詳細に実務レベルでの方策を記したつもりです。またご興味がございましたらお読みいただければ幸いです。※ちなみに当雑誌の今月号において、私的に最も勉強になったのは海外進出企業の撤退実務の特集記事でありました。これ、また別エントリーでご紹介したいと思います。

4月 23, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年4月19日 (金)

スタートアップエンジン2013で講演いたします(お知らせ)

昨年来、当ブログエントリー「医薬品登録販売者の虚偽証明は西友だけなのだろうか?」でも注目しておりました医薬品販売登録者制度の不正受検問題につきまして、厚労省が中間報告を出しています。現時点まで判明した不正受検関与事業者は(当初判明していたのは2社でしたが)31社ということですから、予想通り全国で多くの事業者が不正受検に関与していた、ということであります。そうでもないと、このようなとんでもない不正を一般事業者が行うことはありえないと思いますし、おそらく違法性が「みんなで渡れば」ということで希薄化していったものと予想いたします。ただ31社というのはまだまだ少ないものであり、今後は都道府県の調査によって更に増えていくはずであります(読売新聞ニュースでも、今後増える見込みとあります)。なお、最初の2社とは異なり、「駆け込み報告」で社名が公表されない事業者はかなりラッキーですね。

さて、またまたお知らせでございます。起業支援を目的としたイベント「スタートアップエンジン2013」が今年も5月に開催されます。今年で3回目となり、年々盛り上がりを増しているイベントでございますが、どういうわけか私に講演の依頼がございまして、起業やIPO(新規上場)を志しておられる経営者(もしくはそのタマゴ)の方々や起業支援をされていらっしゃる方々の前でお話をさせていただくことになりました。

日時は5月17日(金)午後1時半から5時半まで。場所は大阪国際会議場10階です。参加のお申し込みや詳しい内容はこちらのスタートアップエンジン2013開催のページをご覧くださいませ。

上記ページをご覧の通り、私以外の講演者の方々は、まさにビジネスの世界で数々の功績を上げてこられた方なので、おそらく多くの方がお越しになるのではないかと想像いたします。私はといいますと、IPO支援団体の副代表を務めさせていただいているものの、本業では専ら上場会社や上場予備軍の会社の「暗部」ばかり見てきた立場なので、これから起業、起業支援される方々のお気持ちに水を差すことになってしまうのではないかと一抹の不安を覚えるところです。

ただ、リスク管理というのは、経営判断の方向性を正すものですし、また平時にきちんと意識をしておけば、有事になっても適宜軌道修正のチャンスに恵まれる、という結果を招いてくれるものであります。どこの企業にも不祥事の芽があるわけですから、その芽を実らせてしまう(不祥事に発展させてしまう)土壌を肥やさないためにも、どのような心がけが経営者に必要なのか、私が経験した具体例を交えてお話させていただくつもりです(題して「法の世界からみた上場会社の悲喜こもごも」)。

ひょっとすると、企業支援をされる方々にとっては「嫌な話をするなぁ」と顔をしかめたくなるような内容になるかもしれませんが、そのあたりは関西のノリでご容赦ください。最終的には関係者すべてがハッピーになるような起業・上場こそ大切だと思います。若干参加費用がかかりますが、どうか大阪国際会議場までお越しいただきますよう、お願いいたします。

4月 19, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年4月 4日 (木)

拙著「法の世界からみた会計監査」増刷決定のお知らせとお詫び

いつも拙ブログをご覧いただき、ありがとうございます。さて、先週26日に発売されました当職の新刊書「法の世界からみた『会計監査』」の売れ行きが(おかげさまで)好調でございまして、一昨日(4月1日)に増刷が決定いたしました。

そこで、増刷を機に、初刷で判明した誤植、表記の誤り等をチェックし、第二刷に反映させることになりました。初刷から第二刷へ訂正しますのは、以下の「正誤表」記載のとおりです。なお印刷をされる方のために末尾にPDFをダウンロードできるようにしております。

Hounosekai_seigo01_2


「正誤表.pdf」をダウンロード

文意が変わるほどの大きな誤植はございませんが、細かいものは、こんなにたくさん誤植がありましたこと、この場でお詫び申し上げます(けっこう一生懸命チェックしたつもりだったのですが・・・)初刷をご購入いただいた方にもお知らせしておいたほうがよろしいかと思いました。ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

4月 4, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年3月17日 (日)

ニッセンホールディングス社の社外取締役に就任いたしました。

ご報告が若干遅れましたが、3月15日(金)、株式会社ニッセンホールディングス第43回定時株主総会におきまして、社外取締役に当職を選任いただき、同日就任いたしました(当社のお知らせはこちらでございます)。

当社の取締役9名中、社外取締役は4名(独立役員たる社外取締役は3名)でして、ご承知の方もいらっしゃるかもしれませんが、日本コーポレートガバナンス研究所のガバナンスランキングでは全国で1位(2012年度)の上場会社です。ちなみに株主総会の議決権行使結果の開示につきましても、(出口調査票に基づくものですが)当日会場出席者による議決権行使結果を含め、即日公表されております(こちらを参照)。

今回の株主総会における個人株主さんからのご質問も活発でしたが、中には当社ならではの象徴的なご質問もがありました。「当社では取締役の任期は1年ということで、現任含めすべての取締役の選任議案が一括上程されるが、それでは各取締役の活動状況がわからないままに投票することになる。ひとりづつ活動状況を説明されたい」とのこと。社長(総会議長)は一呼吸置いて、重任の取締役各人の前年度の活動状況を落ち着いて説明をしていました。

ガバナンスランキングが示す通り、当社は社外取締役としての職務の重責には定評があり、(任意機関としての)コーポレートガバナンス委員会、指名・報酬委員会ほか、いくつかの委員会の委員としての活動にも積極的に参加することになります。マネジメントの一翼を担うということは、とても厳しいものであり、これからの責任を痛感するところです。

ただ、いくらガバナンスに熱心な企業だとしても、企業価値向上を果たさなければ意味がありません。純粋持株会社と有力事業会社との関係等にも配慮しながら、独立役員に何ができるのか、これから勉強も必要になりますが、なんとか走りながら職務に邁進しようと思っています。

なお(あたりまえのことですが)、社外取締役としての本業に関連する話題につきましては、当ブログには一切掲載できませんのであらかじめご了承くださいませ<m(__)m>

3月 17, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年3月 8日 (金)

監査役の有事対応講演のご報告とお礼

本年度の日本監査役協会研修の講演が昨日の東京開催分ですべて終了いたしました。3月5日~7日の東京での講演では1500名の監査役の皆様にお越しいただき、全国で延べ2100名の監査役の皆様に聴講いただきまして、厚くお礼申しあげます。とくに3月5日からの三日間は天候にも恵まれまして、コートいらずで新宿ベルサールホールに出向くことができました。

事例分析を通じて、平時のリスク管理を見直していただく機会になれば幸いでございます。「ああ、おもしろかった」ではなく、「あの弁護士が言ってたことは本当だろうか。他の監査役と一緒に帰って検討してみよう」といった感想をお持ちいただければ良いのですが。また、すでに何名かの監査役の方からはご質問やご意見をメールにていただいておりますが、何かございましたら、お気軽にご連絡ください(すぐに返信させていただけるかどうかは、微妙ですが・・・)

講演を終了して思うところは、今回は有事対応について語りましたが、やはり平時の監査環境の整備についてセットでお話しなければ、ちょっと伝わりにくいところもあったように感じました。そのあたり、まだまだ工夫しなければいけないところだと思います。

7回の講演を通じて、当ブログでいろいろと事例を取り上げました会社の常勤監査役さんにもお会いできたことを感謝しております。委員会報告書や新聞記事では明らかにされていなかったポイントなどもお聴きすることができましたので、私自身も勉強になりました。また、不正調査等の本業のほうにも活かせていけたらと思っております。(なお、3月下旬に発売される私の新刊書につきましては、また別エントリーにて紹介させていただきます。)

3月 8, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 6日 (水)

東証・独立役員セミナー(パネルディスカッション)のご報告

2月5日、東京国際フォーラムB7会場にて開催されました、東京証券取引所主催「独立役員セミナー」のパネルディスカッション「独立役員・こんな時どうする?」に登壇させていただきました(一日ずれていたら、私は雪で出席できなかったかもしれません)。第1回の独立役員セミナーから約2年半ぶりの開催でしたが、700名の独立役員の方々がお集まりになり、たいへん盛況でございました。モデレーターは西村あさひ法律事務所の武井一浩さん、パネリストは経済同友会の副代表幹事の橘・フクシマ・咲江さん、日本CFO協会理事長(伊藤忠商事元副社長CFO)の藤田さんなど、現在も数社の社外取締役を務めていらっしゃる方々や、いちごアセットマネジメントのスコット・キャロンさんとご一緒させていただきましたが、正直、登壇している私自身が(横で拝聴していて)たいへん勉強になりました。といいますか、普段モヤモヤしていたものが、ずいぶんとスッキリ整理できた気分です。

先日ご紹介しましたとおり、私は社外監査役たる独立役員として何ができるか・・・というポジションに徹しましたので、「独立役員が業績評価を報酬の決定にどのように活かすか」といったご質問には、ちょっと回答できませんでした。独立役員としての活動において、監査役であることの意識はあるか、とのご質問もありましたが、「たしかにありますね」と回答したものの、その理由を明確にお話できませんでした。新規投資などの重要な業務執行の決定に関する取締役会などでは、どうしても「経営判断の合理性」の点について、取締役の善管注意義務を尽くしたかどうかを中心に検討します、と回答したかったのですが、うまく語ることができませんでした(汗)。会場での様子は、後日東証WEBにて議事録が公表されますし、今回は(なんと!)動画配信される(ということは議事録の修正がきかない?)そうですので、お越しいただけなかった皆様におかれましては、そちらのほうで議論の模様をご確認いただければと思います。

ディスカッション終了後、控室にて、東証の皆様を交えて登壇者で40分ほど、懇談させていただきましたが、これがなかなか私の関心を惹くものでありました。ここで書いてもよさそうな話題のみ取り上げますと、①社外取締役に就任するにあたり、本当に留意するのは社外取締役対応の事務局の力量(これはかなり重要とのこと)、②社内と社外で情報格差が生じるのは当たり前、その情報格差が存在する中で、何ができるかを考えないといけない(この点、私は少し肩に力が入りすぎていたかもしれません)、③今日は「社外取締役1人で何ができるか」を検討したが、現実には一人の場合と二人の場合とでは大きな違いがある(二人であれば社外取締役の役割が大きく異なる)、④会社役員賠償責任保険(D&O保険)の適用範囲が真剣に検討されたら、「社外取締役のリスク論」が盛り上がるのではないか、そして最後に⑤あの「独立役員ハンドブック」はよく出来ている、これまでの社外取締役としての活動がほぼ間違っていないことが確認できた、とのこと(だそうです>編集担当のKさん ちなみに商事法務で昨年一番売れた本、とのこと)

いつもこういった社外役員シンポで思うところですが、経営者や独立役員の皆様へのメッセージとしては参考になるとしても、現実に社外役員を迎え入れる会社側の実務担当者の皆様へのメッセージとしては、「もうひと押し」が必要なのではないか、と。「もう、社外取締役が企業価値向上に有用、ということは一般論としてはわかった。でも、どうすれば役に立つのか具体性や説得力に欠けるんだよな」という声はよく耳にいたします。社外取締役が実質的に制度化されるにあたっては、実はそのあたりをきちんと考えること(アイデアを出すこと)が先決ではないか、と考え込むところです。

2月 6, 2013 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2012年12月27日 (木)

2012年のブログを振り返っての総括とご挨拶

当ブログへお越しの皆様、本年もご愛顧いただき、ありがとうございました。おかげさまで、今年も炎上することなく一年ブログを書き続けることができました。<m(__)m>昨年はブログの問題発言等で(当事者のクレームをもとに)エントリーを3回抹消しましたが、今年はどうやら1回だけで済みそうです(コメントをいただいてからエントリーを抹消する、というのもたいへん気が引けるのですが)。

当ブログをRSS登録されていらっしゃる方ならばおわかりかと思いますが、今年1年、当ブログをご愛読いただいている方の数は、昨年とほぼ同じであり、増えてもいなければ減ってもいないというところです。ブログという媒体がFB(フェイスブック)ほかのSNSに押され気味のようですから、今後も読者数が急激に増える、ということはなさそうですが、もう少しだけ、このスタイルで続けていこうかな、と考えています。

本業のほうがずいぶんと忙しくなり、東京や名古屋での深夜・早朝の打ち合わせというのも増えてきましたので、来年はもう少しエントリー数も減りそうです。ただその分、良質の情報や意見を「第一次情報として」お届けできるよう、工夫していきたいと思います。アコーディア紛争、不正リスク対応監査基準問題はじめ、いくつかの話題は積み残していますし、コメントにも十分にお返事していないのが心残りではありますが、来年への宿題とさせていただきます。

第一法規さんの会社法務A2Zの2013年1月号に、2013年の企業法務の展望ということで論稿を掲載いただきました。当ブログの(来年における)関心も、そこに書いたものとほぼ同じなので、またご興味がございましたら書店等でお買い求めいただき、ご一読いただけましたら幸いです。またビジネスロージャーナルの最新号におきましても、2012年のお勧め雑誌記事として、国広先生、名取先生と対談させていただいた中央経済社さんの「ビジネス法務」の連載記事が取り上げられておりました。弁護士が社外役員に就任することの現実的な厳しさを私自身も教えていただき、両先生にはたいへん感謝しております。今年の楽しい思い出です。

年末のこれからの数日間は、新刊書の最終原稿チェック、そしてお手紙やメールを頂戴している方々へのお返事書きで過ごしますので、今年はこれでブログ更新は最後です。来年もリアルの世界でたくさんの出会いがありそうです。そこで感じたこと、教わったこと、疑問に思ったことを(守秘義務に反しない範囲で)ブログをお読みの皆様と共感できれば、と思っています。来年もどうかよろしくお願いします。皆様良いお年をお迎えくださいませ。

12月 27, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年12月17日 (月)

弁護士自治からみた自由職業人としての会計士の姿

自民・公明連立で圧倒的多数(320議席以上)を確保する状況となりました。このブログでは政治の話はしないことに決めていますが、本日は少しばかり民主主義に関わるテーマに触れておきたいと思います。

先週水曜日(12月12日)、大阪弁護士会において会員向けの研修講師を務めました。ときどき当ブログでもご紹介する金融庁の「LEON風ちょい●おやじ」ことS検査局審議官とのコラボ、ということで、私自身も楽しく勉強させていただきました。S審議官はCPAAOB(公認会計士・監査審査会)の事務局長を兼任されていることもあり、講演のなかでも、時折「最近の監査法人は・・・」「会計士協会は・・・」というお話が飛び出してきます。具体的なことをここで引用しますと、また差し障りがありそうなので申しませんが、やはり自治権に慣れている弁護士の立場からしますと、「監督される行政当局がある・・・ということのは、ずいぶんとやりにくいだろうなあ・・・」と改めて認識いたしました。

しかし「弁護士自治」といいましても、安閑としていられない状況になっています。EU諸国では、すでに弁護士自治が政府によって制限されているところもあるとか。弁護士の数が多くなりますと、経済的に困窮してくる弁護士も出てきます。そうなりますと「強制加入団体」ということが成り立たず、政府の保護規制も必要になるのではないか、との意見も強く主張されるようになります。また、まじめな話ですが、弁護士自治が制約を受けないためには、やはり健全な民主主義(多数決原理)の土壌を支える少数者保護、消費者を含めた弱者保護、平等権確保で力を発揮することが大前提になります。法治行政の世界では、立法による規制が中心になりますので、どうしても多数決原理が働いて少数者の人権がないがしろにされてしまいます。そこが切り捨てられてしまいますと、もはや多数決主義の基盤がなくなってしまうわけで、ここにどうしても弁護士の自由職業人たる活動が不可欠です。今後、弁護士自治が守られるかどうかは、少数者保護、弱者救済、人権の平等のためにどれだけ弁護士が熱心になれるか、というところにかかっているのではないでしょうか。議員定数違憲訴訟を熱心に推進することも、これが民主主義の根幹に関わる問題だからこそ熱心になるわけです。今回の衆議院議員選挙においても、弁護士グループの方々が手続きの差し止めを申し立てましたが、差止めの可能性は別として、行動自体はとても有意義なものだと思います。

さて、公認会計士の方々からみると、この弁護士自治というものがうやらましく感じることもあるかもしれません。弁護士自治が「弱者保護」に正当性を求めるところと同じように、会計士の自由職業人たる地位を確保するためには、一般株主・投資家保護というところに正当性が認められる必要があります。常に投資家・株主のために会計監査制度を維持していることが外から見えなければならないでしょうし、自らの信用維持のために懲戒権限などもきちんと行使される必要が出てきます。このあたりの自立性が見えなければ、監督官庁による締め付けが厳しくなってきます。12月11日のWJS(ウォールストリートジャーナル)では、米国のPCAOB(公開会社会計監視委員会)が(米国の)8大監査法人の内部統制監査が不適切である、と発表したことを報じています。8大監査法人による米国上場会社の内部統制監査において、その実効性に関する確証を得られないままに監査を行っていた例が22%もあったそうです。「最近の監査法人の怠慢は度をこしている。指導について改善策を検討してもらう」との発言が併せて報じられています。日本企業の事業におけるグローバル化が進展するなか、FCPA(外国公務員への賄賂提供禁止)やカルテル、マネロン等、法規制の内外ネットワーク化も顕著となっています。このような法規制のグローバルネットワーク化において、日本の監査制度がどうなっていくのか、海外からの圧力も含め注目されるところです。

内部統制報告制度の機能不全(後だしジャンケンによる重要な欠陥の開示)、金商法193条の3の届出件数の伸び悩み(平成20年以来、わずか5件ほど、しかも開示されないケースがある)、監査法人異動時における意見表明の形骸化など、まさに投資家のための開示制度に関与する会計監査人の姿が期待されているのですが、そこにほとんど姿が見えないように思われます。今後、オリンパス事件のような大きな会計不正事件が発生しなければ良いのですが、同じ規模の会計不正事件が再発した場合には、おそらくさらに行政による締め付けは厳しくなっていくことは間違いないと推測します。このたび新たに不正リスク対応監査基準が策定される予定ですが、内容的にはこれまでの報告書基準とあまり変わらないものであったとしても、行政当局主導で監査基準が策定されたことに重大な意義があると思います。それは、あたかも会社法改正の中で(使い勝手は悪いかもしれませんが)ともかく多重代表訴訟というものが新設されて、親子会社規律に関する会社法の議論が堂々とできるようになったことに近いところです。

会計監査人の職務とは?監査の目的とは?といった「監査の原点」についての議論が学者さんの理屈の問題から離れて、堂々と監査基準のなかで出来るようになった意味が大きいと思います。来年おそらく不正リスク対応監査基準に関する会計士協会の実務指針が策定されることになると思いますが、そこで出てくる指針において、自由職業人たる会計士さんのあり方をどう見据えていくのか、「かっこいい会計士さんの姿」を期待する外野の者として注目しておきたいところです。

12月 17, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年12月 4日 (火)

医薬品登録販売者の虚偽証明は西友だけなのだろうか?(その3)

企業コンプライアンスの実務に重要な影響を及ぼすと思われる富士通元社長損害賠償請求事件の控訴審判決が11月末に東京高裁から出たようですね。東京地裁と同様、控訴審でも富士通側の全面的な勝訴のようですが、高裁判決では富士通側が「N氏と交際している人物が反社会的勢力と密接に関わることに疑いを持つに至った相応の根拠」について深く言及されており(合理的根拠ではなく、相応の根拠でした。訂正します)、実務的にも重要な判決かと思われます。少しブログでは書きにくい内容なので、どこかで上場会社向けに解説できる機会がありましたら、①元社長損害賠償請求ルートと②反社と名指しされた法人・個人による名誉毀損賠償請求ルートにそれぞれ分けて、地裁・高裁判断を検討してみたいと思います。

さて本題ですが、ちょうど1カ月前に、スーパー西友さんの医薬品登録販売者に関する不正受験の記事が公表されまして、こちらのエントリーで「他にも不正受験している企業はあるのでは?」と書きました。その後、やはり横浜のドラッグストアさんでも大量不正受験が発覚しましたし、11月22日の日経新聞ニュースでは、厚労省の調べによって、この2社以外でも延べ201人の不正受験者が存在することが報じられています。

しかし、西友さんが(組織ぐるみではないですが)全国的に不正受験を行っていたことに鑑みますと、上記数字は予想外であり、まだこの程度では実態を反映したものではなく、不正受験の数は少なすぎるように思います。ということで、厚労省はいよいよ今年12月末を期限として、全国のドラッグストアや調剤薬局、スーパーなどに対して不正受験に関する調査を依頼し、自主申告をするように通知したそうです(流通ニュースはこちら)。

中止犯の必要的減免事由(刑法総論)の解説に出てくる「引き返すための黄金の橋」ではありませんが、これが組織の自浄能力を発揮する最後のチャンスかと。ここで自社の不正受験の事実を報告すれば、よほど悪質なものでないかぎりは会社名も公表されることなく、企業の信用が毀損されるおそれも乏しいのではないでしょうか。もし自主申告をすることなく社内の不正を放置していますと、疑惑対象企業の数が少なくなる分、リスク・アプローチによってピンポイントで調査が入ります。また、いわゆる「やぶへびコンプライアンス」の典型的パターンとして、医薬品販売登録不正受験の事実以外にも、芋づる式に別個の不正が発覚する(合わせ技一本)、というおそれが生じてきます。また行政が動くことで、社内の内部通報や内部告発も急増しますので、致命的となる「企業の二次不祥事」が発覚するリスクも格段に高くなります。

この自主申告要請という手法は、業界団体に自主規制を指導することと並び、企業の自主的な行動を促して行政目的を達成させる、という最近の行政規制の典型例ではないでしょうか。そういえば2004年10月以降、西武鉄道やカネボウ等の証券取引法上の不適切な事例が相次いで判明した中で、金融庁は4,543社に対して有価証券報告書等の自主的点検を要請しましたことがあります。その後、訂正報告書を提出した会社数がなんと全体の14.3%にも相当する652社に達し、訂正総件数は1,330件に及びました。みんなで渡れば怖くない・・・という点で、規制の実効性に疑問もあるかもしれません。しかし「これくらい誰でもやっているではないか」という考え方がコンプライアンス意識をマヒさせてしまう(正当化させてしまう)ことを考えますと、まじめに対応している企業が損をしない・・・という意味においてはある程度の実効性もあるのではないか、と考えるところです。

12月 4, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年11月 7日 (水)

続・医薬品登録販売者の虚偽証明は西友だけなのだろうか?

一昨日のエントリーには、コメントやメールを多数いただきまして、厚くお礼申しあげます。私自身たいへん勉強になりました。同時に、少し思い違いをしていたところもあったようです。この問題はマスコミ各紙で報じられているとおり、西友さんが本日(6日)不正受験の事実を認め、謝罪会見を開き、今後は調査委員会を設置して調査結果を待つ、ということであります。

登録販売者という資格を設けることについては規制緩和の流れの中で頷けるところではありますが、ではなぜ実務経験1年以上、月80時間という受験資格が生まれたのか?というあたりは、私の推測ではありますが、既存業界からのプレッシャーがあったのかもしれません。なにせコンビニやスーパーで売れ筋の医薬品が販売できる、ということになりますと、調剤薬局さんやドラッグストアさんの売上に大きく響くことは明らかなわけです。マツキヨさんなどと提携をして医薬品販売に積極的だったローソンさんですら(日経新聞ニュースによりますと)いまだ90名程度しか登録されていない、とのこと。このような記事内容からしますと、いかに実務経験証明をとることがむずかしいか、ということがわかります。

そのような中で西友さんが200名を超える医薬品登録販売者を誕生させた、ということですから、(私は「内部告発では?」と一昨日書きましたが)「どうも西友さんは怪しいのでは」といった別会社からの情報提供があった可能性も出てきます。モニカのパパさんがご指摘のとおり、配置販売業の場合にはそれほど問題視されていない現状と比較しますと、この業界における激しい競争の様子が窺われます。そのあたりは行政当局への情報提供なので、今後も調査報告書には出てこないと思いますが。

しかし、なぜ西友さんの販売管理責任者の方々は、このような明白なコンプライアンス問題を起こしてしまったのか、(組織ぐるみ、というのを否定されるのであれば)やはり「他のところも普通にやっている」との認識が現場担当者に存在したことは否めないと思います。6日の日経新聞ニュースのとおり、まじめに医薬品登録販売者の資格取得者を増やそうとすると、ローソンさんのように約3年で90名程度が現実なのです。これではビジネスチャンスから乗り遅れてしまう・・・ということで無理をしてしまった企業もおそらく他にも存在したのかもしれません(あくまでも私の推測です)。ちなみに6日深夜の朝日新聞ニュースでは、ドンキさんなどの多くの販売登録員を擁する企業にも取材したところ「それは絶対にない」と否定されたそうです(当然といえば当然ですが)。約280名もの受験者が虚偽の実務経験証明書を持参していた、ということで、西友さんが「組織ぐるみではなかった」と説明すればするほど、不正を起こす動機がナゾに包まれてきます。

さて問題は、今後、厚労省が本件を契機に虚偽証明の本格的な調査に乗り出すかどうか、という点であります。私の推測が正しい(つまり西友さんは組織ぐるみではないが、販売現場の人たちが「他社もやっている」と認識したからこそ、悪気なく虚偽証明をやってしまった、という推測)のであれば、今後の厚労省の本格的調査によって別の企業でも虚偽証明が発覚してくる可能性も否定できません。毎度申し上げます通り、企業の自浄能力が発揮されるかどうかは、ここが瀬戸際かと思われます。自社で厳格な社内調査を徹底して、自ら虚偽証明を見つけ出した場合には、速やかに公表すべきではないか、と思われます。行政による調査の上で虚偽証明の事実が見つかった、ということになりますと、もはや「組織ぐるみ」「経営陣の関与」が疑われても不思議ではない、という状況に陥り、長い間信用が低下してしまう結果となってしまいます。

このように医薬品販売登録員の受験資格問題が大きく取り上げられるようになり、どこの医薬品小売店においても内部告発等をおそれる事態になってきたのではないでしょうか。もちろん、ほとんどの企業ではまじめに実務経験証明書を出しておられることは承知しておりますが、今回の西友さんのように「本部は知らなかった」という(少し不思議な)事案も出てくるのではないかと。

(お詫び)

昨日、大学設置不認可に関するエントリーを掲載し、またたくさんの方にエントリーの誤りをご指摘いただきました。皆様方のご指摘により、私自身が行政事件訴訟法の「申請型義務付け訴訟」の適用範囲について、給付請求権に対する不許可事案のみだと誤解をしていたことが、よく理解できました。大学設置認可についても、2号義務つけ訴訟が提起でき、かつ取消訴訟と同時併合される、ということなので、ミスリーディングを防止するためにも、とりあえず記事をいったん非公開にさせていただき、補正したいと思います。コメントをいただいた皆様、本当に勉強になりました。ありがとうございます!

11月 7, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年11月 5日 (月)

医薬品登録販売者の虚偽証明は西友だけなのだろうか?

行政規制の手法が事前規制から事後規制へと重心が移行することにより、どのような影響が国民生活に及ぶのか・・・ということを考えさせられる事件が続きました。ひとつは田中文科相による大学設置不認可問題であり、もうひとつは大手スーパー西友さんにおける医薬品登録販売者の資格取得のための虚偽証明書発行問題です(たとえば中国新聞ニュースはこちら)。事前規制の緩和により、医薬品登録販売者なる資格が誕生したことに起因する不祥事です。大学設置不認可問題は、まさに事前規制(審議会手続きにおける準則主義への移行)と事後規制(第三者認証制度の活用)とのバランスをいかに認可判断のうえで考慮すべきか、という問題でありますが、本日は西友さんの問題を取り上げたいと思います。

一般用医薬品指定の95%を占める大衆医薬品販売につきましては、2006年の薬事法改正により、薬剤師さんがいなくても登録販売員の方が常時店舗販売に従事していることで可能となりました(規制緩和)。そこで大手スーパーなどでも店舗展開戦略がさかんになりましたが、その登録販売者の受験資格として、薬剤師の下での1年間の販売実務経験等が求められています。西友さんでは、この実務経験の証明書を、所定の実務経験のない社員に対しても、実務経験があったものとして内容虚偽の証明書を発行していた、とのことです。すでに200名以上の社員の受験において虚偽証明書が発行されているそうで、現在も社内で調査中とのこと。

新聞報道によりますと、今年8月に匿名情報が厚労省に寄せられ、これを契機に行政の調査が開始されたそうです。こういった不正は情報提供(おそらく内部告発)によって明るみになってしまうわけですから、やはり不正はなかなか隠し通すことがむずかしい時代になったと思います。西友さんによると「各店舗の販売責任者の認識にズレがあった」と述べておられますが、全国の各店舗で同様の虚偽証明書が使われているので、一人や二人の販売責任者の認識問題では済まないものと推測されます。

これほどまでに全国規模で不正な証明書が作られていたわけですから、たとえ組織トップが認識していなかったとしても、多くの現場管理責任者が不正な行為だと認識していたはずであります。しかし、現場において「バレたら新聞ネタになるから、みんな黙っとけよ」といった意識があったのでしょうか。西友さんの疑惑の受験者自体が200名を超えるほどなので(つまり受験者自身も疑惑を知っているはずなので、不正が発覚する可能性は高いわけですから)、そもそもバレたらたいへん、という意識がなかったのではないかと。むしろ現場の管理責任者からしますと、それほど悪気があって行っていたものとは、どうも思えません。むしろ、法令違反とは承知していても、なにか自分の行動を正当化してしまう事実が存在していたのではないでしょうか。「こんなもん、自己申告なんだから」といった軽い気持ちもあったと思いますが、一番リアルに考えられる正当化理由は、「ほかのスーパーやディスカウントショップでも同じようなことをやっているではないか。これくらいやらないと、店舗拡大戦略のうえで他の大手小売りに負けてしまうし、第一、商品を販売できる者が少なくなり、顧客の皆様にご迷惑をかけてしまうではないか」といったところではないかと思います。

西友さんが、経営トップからして故意的に不正証明を推奨していたとすれば問題外でありますが、このコンプライアンス経営のご時世、おそらくそんなことはありえないと思いますので、やはり現場管理責任者の「ほかの企業だって、普通にやっていたではないか」という正当化理由が大きいのではないかと推測いたします。ただ、この正当化理由が本当だとしても、社内調査の結果を公表する段階で正直に公表できるかどうかは未知数です。具体的にどこの大手小売業者がやっていた、と特定の企業名を公表することは差し控えたいでしょうし、そんなことを公表すると自社の社会的評価をかえって低下させてしまう可能性があります。ということは、社内の誰かが営業戦略を実行することに熱心なあまり、ついつい悪いことだと承知しつつ、不正を犯してしまった、と調査結果で述べることになりそうです。当ブログでも何度か「他社をかばうコンプライアンス」というテーマで取り上げたことがありますが、こういったところにも真実をきちんと公表できない企業の悩みが伺えるところです。

ただ、BtoCの典型である西友さんにとって、「消費者の生命、身体の安全を軽視する企業姿勢」は大きな問題だと世間から受け止められるわけでして、どこまで自浄能力を発揮して社内調査を誠実に行うのか、これからの課題になりそうです。おそらく、こういった不祥事が表沙汰になっても、社内では「有事の感覚」の方と「まだまだ平時の感覚」の方に意識が分かれているのではないかと想像いたします。

11月 5, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2012年10月22日 (月)

「コンプライアンス」「自浄作用」なる言葉の曖昧さについて

大阪市長の出自を報じた週刊朝日問題について、朝日新聞社が謝罪コメントを公表したことで終息に向かいつつあるようです。大阪市長は朝日の謝罪コメントを受けて、「今後は朝日側がどのように自浄作用を発揮するのか見守りたい」と会見で述べています(たとえば産経新聞ニュースはこちら)。

コンプライアンスという言葉が「社会的な要請に柔軟に応えること」と解され、おもに組織に対して向けられるようになりましたが、それにしたがって、組織の自浄能力、自浄作用という言葉が広く使われるようになりました。公募増資インサイダー事件では、当時の金融担当大臣が「野村ホールディングスの自浄能力は概ね認められた(社長、会長辞任会見を受けて)」とされ、中央大学付属中学不正入試事件では、学長が「入学を取り消すしか自浄能力を発揮する道はなかった」と説明されました。また住友電工ワイヤハーネス株主代表訴訟を提起した原告団は「住友電工には自浄能力がないと判断した」と、提訴に至った動機を説明しておられます。

コンプライアンスを徹底せよ、自浄能力を発揮せよ、としばしば企業不祥事発覚時に使われる言葉ですが、言葉が市民権を得るにしたがってどうも言葉の中身があいまいになりつつあり、「わかりましたコンプライアンスを徹底します」「自浄能力の向上に努めます」と企業側が誓ったとしても、ステークホルダーと会社側でコンプライアンスの言葉が何を示しているのか、理解が一致しているわけではないと最近危惧しています。マスコミにおいても、使う記者によって温度差があるように感じています。

そもそもコンプライアンスや自浄能力というのは、企業の社会的な信用を維持したり、回復するためのリスクマネジメント、クライシスマネジメントに関わる言葉だと理解していますので、対内的に使われるのが通常です。対内的に使われている分には、当該組織の中で通用する意味があれば特に問題はないと思います。しかし対外的に使用するとなると、誤解を招くことが多いのではないでしょうか。たとえば冒頭のマスコミ報道の在り方について検証する場合でも、社内の関係者による検証委員会を設置するのか、それとも社外の第三者で検証する委員会を設置すべきなのか、「自浄作用」の考え方次第で変わってきます。

リスク管理というよりも、もう少し広くCSR(企業の社会的責任論)としてコンプライアンスを捉えるのであれば、対外的に発信する必要もありますが、この場合にはコンプライアンスや自浄能力という言葉を使わずに、中身を具体的な言葉で言い換える必要があります。不祥事の原因事実や組織としての構造的欠陥、再発防止に関する具体策、その検証方法等を公表し、企業の予定する対応方針については社会的に承認される必要があります。社会的承認を得るためには、東電の原発事故対応のように、原因究明のために必要な情報は広く公開され、「国民の叡智をもって原因究明に努める」姿勢をもたなければ、実質的に自浄能力を発揮した、とは言えないのが現代の趨勢ではないでしょうか。

「バブル崩壊」のように、世間では曖昧に使われているほうがなんとなく都合の良い言葉というものがあり、コンプライアンスや自浄能力というのも、これに近い存在になりつつあるように感じます。ときには「法令遵守」ととらえられて、「〇〇氏のコンプライアンス上の件」などと、(話題性を高めるために)個人に対して向けられることもあります。コンプライアンス問題に広く関心が向けられることは良いことだと思いますが、個々の事案を論じるうえでは「なにがコンプライアンス上の問題なのか」「自浄作用を発揮するとは、具体的に何をすべきなのか」という点まできちんと明確していかなければ組織の風土を変えていくための議論には役に立たないように(最近ですが)思えてきました。

10月 22, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2012年10月 4日 (木)

経営執行部の理解をより深めるためのコンプライアンス(お知らせ)

いつも当ブログをご覧いただき、どうもありがとうございます<m(__)m>。ただいま日本監査役協会の全国会議の真っ只中なので、どれほど監査役の皆様にご覧いただいているかはわかりませんが、今年も恒例の日本監査役協会研修会で講演をさせていただきます。秋季は西日本中心でして、そして来年の春季は恒例の全国ツアーとなります。どうか多数の皆様にご参加いただければと。なお、私の講演会は、日本監査役協会の会員以外の皆様にも参加いただけます(会員の方よりも少し参加費用はお高めですが)。

さていよいよ秋の新作が完成いたしました。エントリータイトルのとおり「経営執行部の理解をより深めるためのコンプライアンス」というものがテーマです。コンプライアンス経営の重要性を経営執行部に理解していただき、できるだけ監査役監査が効果的かつ効率的に進むための環境整備についてお話する予定です。私の講演よりも少し後に、神戸の上谷弁護士が「企業不祥事防止に向けた内部統制構築のポイント」について解説をされますが、ほとんど内容的に重複するところはないものと思います。

今年は多くの会社の役員セミナーにお招きいただきましたが、その際に代表取締役の方と30分~1時間ほど、個別にお話をさせていただく機会をいただきました。「なぜコンプライアンス経営に関心がないのか?」「なぜ担当取締役にまかせっきりにしてしまうのか?」「なぜリスク管理に熱心になれないのか?」等、たいへん失礼な質問をいろいろとさせていただきましたが、そこからコンプライアンス経営に対する経営執行部のホンネのようなものをいろいろと気づかせていただき、私自身たいへん勉強になりました。

「先生、そんなことみんなが前向きになっているときに(リスク管理など)縁起でもない!」「ちゃんと考えてますよ。でも最後は法律じゃないでしょ。ここ(ハート)でしょ、ここ!」「なんでも報告せえ!って、いつも言うてますよ。そやけど、どうせワシとこまで情報がそのまま上がってくることなんかおまへんでしょ。誰かがウソ言いよる。そやからワシの気持ちを一番わかっているもんに任せたらええんですわ」などなど。

でも、「善管注意義務違反」「経営判断原則の限界」などといった法律の世界ではピクリとも動かなかった経営者の方々のお耳がピクピクっと動くような関心事もございました。「なるほど、経営者の方々は、こういった形で説明をすればコンプライアンスに関心をもってもらえるのか・・・・」と。そのあたりを切り口にして、監査役と経営者との信頼関係はどのように構築すればよいのか、コミュニケーションはどのように図ればよいのか、中小規模会社、大規模会社、グループ経営親会社等、それぞれの規模を考えながら、ベストプラクティスを提言してみたいと考えております。オリンパス、大王製紙事件以降の新しい事例(自浄能力が発揮された好例および発揮することに失敗した例など)を適宜交えながら、コンプライアンス経営推進のために監査役が平時に実行すべきことを、私のオリジナルな意見として申し上げたいと思います。

企業の社会的信用を左右するコンプライアンスとは「社会からの要請に応えること」だからこそ、法でわりきれない難問が待ち構えています。法令を守っていても、企業不祥事で辞任に追い込まれる社長、会長が出現する時代、ぜひ非業務執行役員が心得ておくべき視点を皆様と一緒に考えてみたいと思います。福岡は10月23日、大阪は同26日、名古屋は11月9日開催(いずれも午後1時より4時半まで)となっております。詳しくは日本監査役協会のHPからご確認ください。なお、春季の講演会では、監査役の有事対応を事例形式で検討する、というものです。有事となったからといって、すぐに対応ができるものではなく、平時の信頼関係の構築があってこそ、ということなので、今回の平時対応についてもご聴講いただければ幸いです。

10月 4, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年9月 6日 (木)

「あのひと」買いの構造と企業の社会的信用(ブランド)の維持

日本中古自動車販売協会連合会(JU)が全国の20~60代の男女2000人を対象に実施した調査によりますと、「あのひと」買いを行っている人は、35・4%もいらっしゃるとのことであります(サンケイビズニュースはこちら)。商品・サービスの種類別でいうと、自動車(47%)、家電(36%)、洋服(28%)の順で、販売員が「あのひと」とされる決め手は誠実さ、信頼感、商品・サービスの知識と並んでいます。ただ、販売員がいくら誠実でも、消費者は、まずやはり商品やブランドへのこだわりがあり、最後の決め手が「あのひと」だと思いますので、私は基本的には下図のように考えております。

Juan01やはり消費者が商品やサービスの品質の水準を第一に考え、そのうえで販売(提供)会社のブランドを考慮し、いくつかの候補が絞られたら、最後は「この販売員が推薦したものを買おう」というのが実態ではないでしょうか(このピラミッドのバランスが崩れてしまいますと、特定商取引法違反事件や高齢者を狙った詐欺事件など、極めて問題の発生しやすい事態が招来されてしまいます)。もうほとんど購入したい商品・サービスは自分の中では決まっているのでありますが、「なりたい自分」「私のライフスタイル」を理解している「あのひと」が最後にポンと背中を押してくれる・・・、そういったイメージが一番ぴったりくるように思います。

私の外食産業の役員や顧問の経験からしますと、今の時代、提供するお料理が美味しいだけではお客様は何度も足を運んできてはくれないわけで、そこに「+付加価値」が求められます。その付加価値は、お店の種類ごとに顧客層を割り出して、その「ライフスタイル」「自分らしさ」「なりたい自分」「なりたい家族」というものを想定し、レストランで食事をするお客様が、自分のライフスタイルを実現することに寄与するものでなければならないと感じています。設備投資に豊富な資金が投入できなければ、ひとつひとつの調度品は安いものであっても、お店つくりのトータルなバランスにデザイン的なセンスを表現できれば、けっこう評判がいい時もあります。

コンプライアンスの概念が「企業と市民社会との共生」ということで語られるようになりますと、お客様の「なりたい自分」のイメージを損なうような行動は厳に慎まねばならないわけでして、とりわけ外食産業のケースでは、お店の食中毒事件や社員の粗暴犯、破廉恥犯などがマスコミで報じられますと、(いくら美味しいものを提供しても)長期間にわたる売上減につながることになります。おそらく外食産業以外のBtoC事業会社、BtoB事業会社でも、多かれ少なかれ同じようなイメージをもたれるのではないでしょうか。

「あのひと」「あの会社」で商品・サービスを選んでいただく時代。企業にとって、無形価値であるブランドを維持することはとても重要なことではありますが、残念ながら、どこの企業にも不祥事は発生するわけであります。競争が激しくなる中で売上を伸ばし、また管理費用を限界まで削減しなければならない企業にとっては避けて通れない問題であります。要は不祥事が発生した場合に、いかなる方法で誠実に、信頼される形で処理すべきか、ということがとても大事なことになります。

先日ご紹介した大阪ガス社の野球とばく事件の処理事例、2年前にこちらでご紹介した日本ハム社の中元商品差し換え事件の処理事例、またこちらでご紹介したマクドナルド社の原田CEO新任時における消費税二重徴収事件における対応(わずか9500円の消費税二重徴収のために、2800万円の謝罪広告を出した事例)などをみますと、不祥事対応も「消費者目線」で考える必要があると思われます。つまり社外の消費者の自己実現、社内の従業員の自己実現にとって、この会社は評価されるに値するものであるかどうか、ということへの配慮であります。消費者はこの会社の商品・サービスを購入することによって、どのような自己実現の欲求を満たすことができるのか、従業員はこの会社に勤めることで、単に労働の対価を得るだけでなく、どのような自己実現を図ることができるのか、たとえ不祥事を起こしたとしても、この気持ちにブレを生じさせないような対応が求められるのではないでしょうか。

どんなに立派な経営者の方でも、自己の欲求が満たされているとき(企業経営が順風満帆な場合)には、きちんと自己の利益と会社の利益とを区別するだけの余裕があるわけですが、不祥事が発生して「経営者失格と評されるのではないか」「法的責任を追及されるのではないか」と不安が生じた瞬間から、どうしても深層心理として分別がつかなくなるのは当然のことかと思われます。敗者復活戦が存在する国ならまだしも、我が国の場合は敗者復活戦がほとんど存在しないわけですから、深層心理の振れ幅も大きいものと推測されます。そのときに「企業ブランドを守るための消費者目線でのコンプライアンス」を心の天秤にかけるために自ら用意しておくべきものが「職業倫理」であり、また経営者に灯った黄色信号にイエローカードを出すのが「コーポレートガバナンス」の役割である、と考えるところであります。

9月 6, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月28日 (火)

ブログ記事に関する訂正とお詫び(2点ほど・・・・)

まだまだ暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。当ブログも平日は1万アクセス(実人数は5000~7000人)ほど閲覧いただくようになりまして、記載内容にはできるかぎりの注意をしているつもりですが、時々、関係者の方々にご迷惑をかけてしまうことがございます。本日は2点ほど、訂正がございます。

ひとつめは、一昨日にアップいたしましたテルモ社の事例(週刊ダイヤモンド掲載記事の件)ですが、テルモ社関係者の方よりご連絡があり、テルモ社の経営統合案提示の背景等詳細な説明を手紙で送ったのは、「社外監査役および監査役だけ」ではなく「意思決定に関与する取締役および監査役」に対して、というものだそうです。どういうわけか、週刊ダイヤモンド社の編集の具合で「社外取締役および監査役」という文言になっているようで、実際にはテルモ社からオリンパス社の全取締役、監査役に手紙が送付された、というのが真実のようです(ご連絡、どうもありがとうございました)。ここにお詫びをして訂正させていただきます。

そしてもうひとつは、来週月曜日(9月3日)に開催されます日本内部統制研究学会について当ブログでご紹介した際、 「内部統制に関する判例及び処分事例の研究」に関する冊子を会場にお越しの皆様全員に配布する予定であるかのように記述いたしましたが、これは誤りでして、当日10時40分から開催されます研究部会報告の会場に参加された方のみへの配布、ということでございます。当研究会の予算の関係上、到底参加者全員に冊子の配布はできないとのこと。関係者の皆様ならびに、参加予定者の皆様にはたいへんご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、ここに訂正をさせていただきます(とくに、ブログをお読みになって、事務局のほうへ多くの問い合わせがあったようで、私も情報をきちんと把握せぬままにブログで広報をしてしまいました)。

いずれにしましても、本冊子のなかで私もヤクルト本社株主代表訴訟事例(最高裁で確定)の判例を検証して、取締役の監視義務を尽くすという意味での内部統制システムの構築と、担当業務を執行するという意味での(権限移譲を目的とした)内部統制システムの構築の区別を意識する必要性などを論じております。西村あさひの武井一浩弁護士、鳥飼法律事務所の中村、島村弁護士、法政大学の秋坂教授、青学の松井、町田教授等、内部統制研究に詳しい先生方のオリジナル論稿が詰まったもので、たいへん興味深いものになっています。ぜひ当日は研究会報告にご参加いただければ幸いです。

8月 28, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月20日 (月)

不正防止とコーポレートガバナンス(M・ウッドフォード氏をお招きして)

残暑お見舞い申し上げます。お盆休みも終わり、当ブログにお越しの皆様におかれましても、そろそろ平常モードに戻られた頃ではないかと推察いたします。さて、私も理事を務めさせていただいておりますACFE JAPAN(日本公認不正検査士協会)では、毎年恒例の年次カンファレンスを今年も開催する運びとなりました。日時は2012年10月12日(金)午後1時30分から、場所は(昨年に引き続き)青山学院大学アイビーホールでございます(ACFEのカンファレンスのご案内はこちら)。

今年のカンファレンスのメインテーマは「不正防止とコーポレートガバナンス」ということでして、ACFE JAPANとしても昨今の企業不祥事を検証し、会社法改正の論議なども踏まえまして、何らかの提言を示したいとの思いを本テーマに込めました。そしてメインゲストとしては、オリンパス社の元代表取締役社長であるマイケル・ウッドフォード氏をイギリスからお招きし、基調講演ならびに八田教授との対談を企画いたしました(基調講演は約50分、対談は約40分)。当ブログでもご紹介したウッドフォード氏のご著書「解任」では語れなかったエピソードも含め、「身を賭して真実を追求することの代償」を中心に詳しく語っていただく予定にしております。オリンパス事件以来、ウッドフォード氏を講演に招く、ということは(おそらく)金銭的に無謀なことではないかと(協会理事として)予想しておりましたが、当協会の活動内容を粋に感じて(?)ご快諾いただけました。オリンパス事件の中心におられた元外国人社長から、直接お話を聴ける機会も、今後滅多にないのではと思われます。オリンパス事件の総決算の機会としても貴重な講演(対談)になるはずであります。

また、当協会会員の方から要望の多い企画としまして、「会員企業の取組み事例」がございます(昨年は、尼崎信用金庫さんの取組み事例のご発表が、とても評判が高かったようです)。今年も会員企業でいらっしゃる伊藤忠商事さん、アステラス製薬さんより、それぞれ監査部門の方よりご発表いたきます(テーマは上記ACFEのご案内を参照ください)。その後は当協会理事長の濱田眞樹人(立教大学教授)氏をモデレーターとして、「不正防止とコーポレートガバナンス」に関わるシンポを開催いたします。第三者委員会委員の経験を持ち、架空循環取引に関するご著書もある小川真人会計士、警視庁や証券取引等監視委員会で12年の不正調査経験のある宇澤亜弓会計士、あの郷原さんの下で検察官として活躍し、現在は不正調査のプロとして活躍されている木曽裕弁護士、そして(どういうわけか)私も登壇いたします。けっこう「うるさい」専門家ばかりなので、お上品なシンポは期待できませんが、個人的な意見がはっきりと述べられるシンポになることが予想され、(登壇する私が申し上げるのもヘンですが)たいへん勉強になるのではないかと期待をしております。

なお、今年もカンファレンス終了後は1時間半ほど、懇親会がございます。カンファレンスの参加者の皆様には無料でご参加いただけます。我々CFE(公認不正検査士)の仕事を理解していただく機会ともなりますし、なによりも同業他社の皆様とのよき交流の機会にもなるものと思います。会員の方々だけでなく、どうか会員ではない方々にも多数ご参加いただき、企業不祥事の未然防止、早期発見、そして有事対応のベストプラクティスに対するヒントを得ていただければと考えております。まだまだお申込み受付中でございますので、ACFEの上記ご案内ページよりお申込みいただければ幸いです。

8月 20, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年6月 6日 (水)

「野菜ホールディングス」への商号変更議案はなぜ上程されないのか?

当ブログへお越しの皆様であれば既にご承知のとおり、今年6月27日に予定されている野村ホールディングスの定時株主総会の株主提案が話題になっております。ひょっとすると関西電力に対する大阪市の株主提案よりも話題性という点では上回っているのではないか、とすら思えてきました(日本のマスコミはわざと取り上げないようですが・・・(^^; )。今日のエントリーは、あまり深くお考えにならず、気軽にお読みいただければ結構でございます。

野村ホールディングス株式会社第108回定時株主総会から(株主でもないのに勝手に)招集通知の中身を見ておりますと、本年の総会上程議案に関する案内がございまして、その第2号議案から第19号議案まで合計18本の株主提案が決議事項とされています。当該少数株主の方は、合計100本の定款変更議案を提案されたそうですが、82本は不適当とされたそうで、そのうちの一つに「野村ホールディングスの商号を野菜ホールディングスなる商号に変更せよ」と提案がなされた、とのこと。商号変更登記の手続きには定款変更に関する特別決議がなされた旨の記載のある株主総会議事録の添付を必要としますので、もちろん総会決議を必要とします。しかし、この商号変更に関する定款一部変更議案は上程されておりません。ではなぜ、野村ホールディングス社は「野菜ホールディングスへの変更は不適切」だとして上程しなかったのでしょうか。

これは私の勝手な推測ですが、会社法8条1項は、「何人も不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」としています。そしてこの規定に反する行為を行った者は100万円以下の過料に処せられます(会社法978条3号)ただ、同社は持株会社ですし、ホールディングスなる文字も含まれているわけですから、「やさい」という文字が含まれていても、まさか似たような青果事業を主たる目的とした会社とは誤認されないのではないかとも思います。

しかし野村ホールディングス社は、平成22年より農業ビジネスに特化した新会社を設立しており、子会社を通じてトマト栽培も開始して、トマト販売を始めておられるようです。その新会社の名前は(おそらく商号も同様かと)「野村アグリプランニング&アドバイザリー」で、野村ホールディグス社が100パーセント出資、従業員も(設立当初より)10名程度いらっしゃるとのこと(2010年当時の新聞報道より)。ということは、もし野村ホールディングス社が「野菜ホールディングス」と商号を変更しますと、この野村の100%子会社(及び孫会社)と持株会社との誤認混同のおそれが具体化する、ということになります。これは上記会社法8条1項の強行規定に反するものとなるため、「不適切な提案」として上程議案からはずした、というところではないでしょうか。

しかし、こういった背景から一人の個人株主が「野菜ホールディングス」に商号変更せよ、と野村ホールディングス社に要望したとすれば、これはなかなか「社運を賭けて意識改革をせよ」との切実な株主の願いがこもった提案であり、まんざら捨てたものではないと感じました。そういえば数年前、野村ホールディングスは、同社CFOに医療機関のM&Aに特化した子会社のトップの女性を抜擢しました。わずか20名程度の従業員を率いて業績を上げた方をCFOに据えるというのは、まさに意識改革です。あの改革の機運はどうなっているのでしょうか?(ここまで書いてきて、真剣に書いているのかどうか、自分でもよくわからなくなってまいりました。。。)

また、取締役の呼称を「クリスタル役」にせよ、というのも、野村不動産の連結子会社化と関係があるのでしょうね。けっこう、意味が深いような気も致します。

いっぽう話題になっております「社内はすべて和式便器にせよ」議案ですが、これは野村ホールディングスを支えるステークホルダーすべての生理欲求に関する過度の介入であり、人権に関わる問題ではないかと。なかには肛門の疾病を抱えているステークホルダーもいらっしゃるわけで、(少なくとも私は)定款に記載することは公序良俗違反に該当するものと考えます。これがなぜ上程議案として含まれているのか、少し疑問に感じるところでございます。しかし、前日までの書面投票の集計のみとはいえ、この2号議案から19号議案までの賛否結果が開示されることを思うと、なんとなくやりきれない気持ちになるのは私だけでしょうか。。。

6月 6, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2012年5月24日 (木)

6月総会終了をもって社外監査役を退任いたします

(私事でございますが)私、株式会社フレンドリー(大証二部)の監査役を8年間務めてまいりましたが、6月27日の定時株主総会終了をもって退任することとなりました(本日の開示情報記載のとおりでございます)。

ありがたいことに社長、会長より「あと4年」とのご要望もありましたが、私自身「社外監査役が『社外』と呼べるのは2期8年まで」との信念を持っておりますし、事実、議決権行使助言会社の指針にも2期8年を超える社外監査役の選任については否決票を投じるところもあるようなので、退任させていただくことといたしました。また同業でありますが、後任に優秀な方が控えておられることも、気持ちを後押ししてくれました。

この8年間、いろいろなことがありました。コンプライアンス的な問題もあり、M&A(統合中止)もあり、株主総会の退場命令あり、GC注記もあり、ということで、社外監査役としての対応を真剣に考えさせていただく機会も多かったように感じます。もう少し業績が回復できてから・・・との思いが届かぬままに退任することが唯一悔しいところです。

社外とはいえ、8年も経営会議に関与していれば、やはり社内の役員に近い発想になってきます。ただ、顧問弁護士とはまた違った視点で、社内の意思形成に関与できたのは幸せでした。常勤監査役さんは、8年間で3名の方にお世話になりました。また多くの役職員の方々にもたいへん勉強させていただきました。これからも外食チェーン「フレンドリー」の一ファンとして、応援していきたいと思います!決して株主総会に出席して文句を言ったりする「特殊株主」にはなりませんので、どうかご安心ください(笑)。

しかし総会終了後の(毎年恒例の)取締役会に出席せず、先に帰るのは寂しいかぎりです。。。

5月 24, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2012年5月 1日 (火)

セミナー・イベントのお知らせ(ふたつほど・・・)

GWの真っただ中、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はといいますと、ずいぶんとプレッシャーをかけられております新刊書の原稿執筆に没頭しておりまして、ブログの更新もお休みさせていただいております。

こういった時期にこそ、セミナーやイベントのお知らせをさせていただきます。残念ながら同じ日に重なってしまい、私もどちらへ行けばよいのか迷っております。

ひとつめは、いつもお世話になっております第一法規さんの会社法関連のセミナーでございます。

法制審議会から、「会社法制の見直しに関する中間試案」が発表されました。法制審議会では企業統治などを中心に審議が行われましたが、繰り返される大企業の不祥事も絡んで、大いに話題になっています。本セミナーは、弊社の『論点体系会社法』の発刊を記念して、この改正がなされた場合に取締役会はどうかわるのか企業再編はどうかわるのか、という観点から「未来予想」をしてみるという意欲的な企画です。

◇テーマ  :会社法の実務上の論点を理解する

◇日  時: 2012年5月18日(金) 13:30~17:00(受付開始13:00)
◇会  場: ヒルトンプラザ ウエスト 第二吉本ビルディング8階 AB会議室

◇受講料:①一般のお客様 お一人様 10,000円(税込)      

②『論点会社法全6巻セット』をご購入済みのお客様または本紙にてご購入をお申し込みの方 お一人様  3,000円(税込)

◇定 員: 先着順 70名  *定員となり次第、締め切らせていただきます。

◇講 師: 阿多博文氏(同志社大学法科大学院客員教授、元法務省法制審議会会社法部会委員、弁護士)

大阪弁護士会において、おそらく会社法にもっとも精通しておられる阿多弁護士によるセミナーです(商事法務のセミナーでも有名)。

詳しいご案内、お申し込みはこちらからお願いいたします。

そしてもうひとつは、昨年もご紹介いたしました「StartUpEngine2012」でございます

2006年ころから比較するとまだまだではございますが、やっとIPOにも薄日が差してきたのではないかと。そこで、関西でIPOを目指すようなベンチャー企業が増えていくことを願い営業創造さんはじめ、著名企業さんが運営支援するイベントが今年も開催されます。

日時 2012年5月18日(金) 13:30~17:30 (13:00受付開始)
会場 大阪国際会議場 10F 大阪市北区中之島5丁目3-51 会場地図はこちら
参加費 3,000円(税込)  ※ネットワーキングディナー:5,000円(税込)

『成⻑志向企業の経営者、起業・事業創造を志望するビジネスパーソン及び学生』を主たる対象に、「次代起業家、新事業を生み出す知識・人・気持ちが集まる場の創造」を目的とした企画です。企業・起業支援に経験を積んだメンバーが核となり、知識・人・気持ちの新たな繋がりの基点となることを目指します。

2年目となる今回は、ベンチャー創業から上場を経て、今もなお成長を続ける企業の経営者として最前線で活躍されているスピーカー陣を迎えます。
また、法務・会計・資金調達など多くの企業を支援する主催者による講演も予定しております。
是非ご参加ください。
Startup Engine 主催者一同

詳しくは、こちらまで

私の本業はどちらかといいますと、ベンチャー企業がドツボにはまってしまって、さあたいへん!というなかでの支援なので、ちょっと後ろ向きなのですが、このように創業者への前向きな支援はいいですね!先週、ファーストリテイリングで2年間、ゼネラルカウンシルをされた方(このたびオリンパスの監査役に就任された方ですが)のお話をお聴きしましたが、なぜ柳井CEOはコンプライアンスに特別な配慮をしないのか、という話がとても印象的でした。経営判断のなかにコンプライアンスリスクがすでに組み込まれているのだそうです。利益の量より質、損失の量より質が優先。つまりコンプライアンスはブレーキではなく、アクセルを安心して目いっぱい踏み込むための大前提ということだそうです。

どちらも5月18日ですが、ご興味のあるほうへ参加してみてはいかがでしょうか。

5月 1, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年4月27日 (金)

深夜の日経ニュースは蜜の味?(アコーディアゴルフの乱)

(27日午後 追記あり)

午前0時を過ぎたころの「ベタ記事日経ニュース」には、ときどき美味しい蜜の香りのするものがございます。その日経さんの深夜ニュースが、数日前にエントリーいたしましたアコーディアゴルフの件を報じております。同社の大株主さんが、反乱を起こした専務さんと組んで、6月の定時株主総会にて、8名もの独自の取締役選任に関する株主提案権を行使し、会社側提案にはすべて反対を表明することが判明、とのこと。同記事では提案権を行使した大株主さんの親会社の名前も報じられており、いよいよ「ただならぬ雰囲気」が漂ってきております。この内紛、主人公は社長さんなのか、それとも専務さんなのでしょうか?それとも・・・・?

この「ただならぬ雰囲気」は、昨年当ブログでも展開を追っておりましたゲオさんの事例に似ているようですが、ひょっとすると、もっと壮大なスケールなのかもしれません。たしか社外取締役さん方で構成される社内調査委員会は(まちがっておりましたら訂正いたしますが)社内不正を独立公正な立場で粛々と調査を行う予定ではなかったかと思いますが、では専務さんが「コンプライアンス違反」と主張しておられる「社長の不適切な行動」の真偽はだれが調査するのでしょうか?

と思いつつ、本日(26日)付けのリリースを読んだところ、上記社外取締役さん方の「特別コンプライアンス委員会」は大手法律事務所に在籍する弁護士とフォレンジックサービスに調査協力を依頼しました、とのこと。しかしこれとは別に、監査役会も、企業法務で著名な法律事務所を独自に選定して、これまたフォレンジックサービス会社とともに独自の調査を依頼しているとのこと。つまり、この監査役会独自の調査が社長の疑惑を調査する、ということになるのでしょうか?(おお、まさにゲオ社の事例に似ているような気がしてまいりました。)ますます興味が湧いてまいります。

これだけ(外形上は)コーポレートガバナンスがしっかりしている企業において、どうしてこれだけ歯車がかみ合わなくなってしまったのか、今後の展開に注目しておきたいと思います。

(追記)

本日(4月27日)、たくさんの決算発表の開示情報にまぎれるかのように、午前11時30分に同社より適時開示があります。なかなかスゴイ・・・。一個人株主さん、情報ありがとうございました。

株式会社オリンピアを含む当社一部株主からの株主提案権行使に関する書面の受領及び受領に至る経緯について

4月 27, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2012年4月25日 (水)

お知らせ 富士通元社長事件判決全文が掲載されています。

昨日エントリーしております富士通元社長さんの件、東京地裁判決の全文が朝日法と経済のジャーナルに掲載されております(本日付け)。さすが朝日さん、丁寧に問題個所を修正されており(若干読みにくくなりますが、これはやむをえない)、公表価値の高い判決をアップされました。法律雑誌でないと読めないものとあきらめておりましたので、これには感謝。

本業中なので、速報版にて失礼いたします。

4月 25, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年3月29日 (木)

オリンパス社は元社長暴露本の出版を差し止めないのか?

当ブログではずいぶんと前に、オリンパス社のウッドフォード元社長が「解任」なる新刊書を出すことを伝えました(4月下旬に早川書房から出版予定)。私個人としては、早く読みたくてウズウズしているところであります。

本日(3月28日)のWSJの記事によりますと、ウッドフォード氏は講演や執筆活動に大忙しであり、すでに2冊目の執筆にもとりかかっておられるそうです(この記事からしますと、たいへんお元気そうですね。WSJニュースはこちらです)

ところで、上記ニュースによりますと、オリンパス社もこのウッドフォード氏による新刊書の内容がとても気になるようでして、英国の法律事務所を通じて、ウッドフォード氏に内容を開示するよう求めているとのこと。これに対してウッドフォード氏側は(英文原稿の)開示を拒否しているそうであります。たしかにウッドフォード氏自身が社長に就任した経緯から、解任に至るまでの事情を告白する、というものですから、今後のオリンパス関係当事者の刑事・民事事件においても有力な資料になるかもしれず、企業の信用や役職員のプライバシーにもかかわる事実が含まれている可能性もあるため、オリンパス社としても新刊書の中身については一日も早く知りたいと思うのが自然ではないかと。

事件当事者の方にご迷惑をおかけしないように、あくまでも素人的発想としての疑問でありますが、こういった場合、オリンパス社としては、ウッドフォード氏による著書が発売されるまでに出版物の発売を差し止める仮処分命令の申し立ては検討されていないのでしょうか?もちろん日本の出版社の「表現の自由」に関わる問題であり、また公益目的に沿う内容のものだと思われますので、出版差し止めが許容される可能性はかなり低いものとは思いますが、しかし、そうでもしない限りは、出版以前の段階において、オリンパス社としては何が書いてあるのか、察知するのは困難ではないかと思います。仮処分命令申立の裁判が起こされれば、裁判官の指示によって債務者(被申立人)側は、出版前の書類審査のための開示が必要となり、嫌がうえにもオリンパス社側による事前閲覧が可能になってきます。

出版まで、あと20日余りを残すところとなりました「解任」でありますが、今後はまた、なにか関係当事者から法的な動きがあるのかもしれませんね。とりいそぎ備忘録として。

3月 29, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年3月18日 (日)

内部告発を受けた記者さんへの企業側の対応について

今年も3月7日の東京プリンスをもって日本監査役協会主催セミナーの全国ツアー(大阪2回→名古屋→福岡→東京3回)が終了しました。今年は内部通報・内部告発への監査役対応ということで、レジメでは設例を3つご用意いたしましたが、時間の関係で、残念ながらどこの会場でも1つくらいしか解説できませんでした。そのなかで、皆様方から反響が大きかったのが以下の設例でした。

(設例3)

某新聞社の社会部記者からM社広報に電話連絡があった。「御社の件で、M社従業員と名乗る人から、『M社の○○部門のことだが、販売商品に関する試験データの改ざんが長年行われている。試験用の製品を別に作って、これを検査機関に持ち込んでいる』との告発があった。こちらとしても、すぐに記事にはできないので、とりあげず真偽を取材させていただきたい」との話。

M社広報は、とりあえずもう少し詳しく聞かせてほしいとして、社会部記者に尋ねたところ、たしかに試験データ改ざんを疑わせる書類のコピーを入手している気配があったが、その告発者が事情をよく理解していないこと(つまり噂に基づいて告発したこと)から、指摘された内容には多くの事実誤認があった。ただし社内で調査した結果、告発事実に近いデータ改ざんは長年にわたって行われていたことが判明。
M社としては、これにどう対応すべきか。

最近のエントリーにコメントをいただいている皆様方のご意見からすれば、過去の不正は明らかにすべき、とりわけマスコミから取材を受けているのだから当然のことだ、と思われるかもしれません。でも、「後だしジャンケン」の発想ではなく、取材を受けたときの役員さんの印象からすると、過去に重大なコンプライアンス違反があった、というのは半信半疑でしょうし、社内調査の結果と社内の噂とのズレが認められるのであれば、取材に対して「そのような事実はございません」と回答することも虚偽ではないわけで、とりあえずは社内調査の結果を公表しない、とするところが多いのではないでしょうか。(ここからが本当の解説部分ですが、そこはブログで書くにはちょっと長くなりますので省略させていただきます)

ところで、最近、上記設例によく似た事件が発生しております。朝日新聞の記者さんから取材を申し込まれた巨人軍の経営執行部の対応に関するこちらの記事(巨人対朝日新聞・高額契約金報道」で勃発)ですが、本件はたまたま話題性が強い事件であるために、大きく取り上げられておりますが、実は似たような件は結構どこでも発生している、ということであります(上記設例も、私が経験した実例を修正したものです)。どなたが機密資料を持ち出したのかはわかりませんが、保管を厳重にしていたからといって、機密情報が外部に流出してしまうおそれがなくなるわけではございません。上記ニュースによりますと、ジャイアンツの常勤監査役さんが朝日新聞の社会部記者さんと面談されたそうですが、やはりこういった有事において監査役さんが前面に出ることも現実にありえる話です。

また、内部の機密資料を持ち出す・・・ということに対して、内部告発者を刑事告訴したい、というのが企業のホンネではないでしょうか。正当な目的(たとえばマスコミに対する公益通報目的)で社内の機密文書を社外に持ち出す行為は形式的には窃盗罪に該当するかもしれませんが、おそらく違法性は阻却されるでしょうし、不正競争防止法による刑事罰も公益通報目的による情報取得行為には適用されない可能性が高いと思われます。ただし巨人軍の事例では、かなり以前の「業界ルール違反のモラル」が問われているもので、これは公益通報者保護法上の公益通報にはあたらないので(2012年2月現在、434本の法律違反行為が公益通報の対象となります)、告発者による機密情報の外部持ち出しにつきましては、その目的や持ち出し行為の態様、他の立証手段の有無等を検討したうえで違法性の有無が検討されることになります。

会社としては、「とりあえず否定」といった発表をしますと、さらに有力な証拠が出てきて、「なんでウソをついたのか」と反論され、さらに窮地に陥る可能性もあります。米国ではゴールドマンサックスの元社員の会社批判が大きな話題となり、GS側は反論されていないみたいですが、その背景には「ここで反論したら、何が飛んでくるかわからない。とりあえず様子をみよう」といった気持があるからではないかと。

朝日側も、信憑性には十分に自信があるようなので、ジャイアンツ側の今後の対応も含めて、注目されるところです。

3月 18, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年3月 8日 (木)

やっぱりコワイP.O.BOX957BVI

ひさしぶりにオオボケをやってしまいまして、研究会の日程を一日間違えてしまいました(ToT)/~~~ということで青山一丁目のサントリー系列のお店におります。。。関係者の皆様にたいへんご迷惑をおかけしております。。。

本日、AIJ運用資産が同社系列の会社によって評価が改ざんされていた、との日経新聞ニュースが出ておりますが、この系列会社(私募投信を設定する会社)は、かの有名な「英領バージン諸島 私書箱957号」に本拠を置くものだそうです(3月1日の日経新聞 R&Iの方の記事より)。

こちらのエントリーでもご紹介しております、あの方が「私書箱957号は120%怪しい!」と5年ほど前から公言されておりますとおり、またまたこれを裏付ける結果となってしまっていたようです。

しかしBVIが法人設立や運営において規制が甘い・・・というのは理解できるのでありますが、数ある私書箱のうち、どうして957号だけがそんなに怪しい企業が集まっている(可能性が高い)のか、その根拠がよくわかりません。なにか「法人つながり」のようなものがあるのでしょうか。つながりは不明でも、資金の流れのようなものが957号法人に特別なものがあるのでしょうか。

どなたかコソッと教えていただければ幸いでございます<m(__)m>

3月 8, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2012年2月28日 (火)

AIJ投資顧問にマルコポロスは現れたのだろうか?

AIJ投資顧問による年金消失事件について、「日本版マドフ事件」などと報じているマスコミさんの記事を読みますと、ついついマルコポロス氏のことを思い出します。マルコポロス氏は、元ナスダック代表であるバーナードマドフ氏のポンジ・スキーム(ねずみ講)を用いた巨額投資詐欺事件について、事件発覚の前からSECに「あれは怪しいから調査せよ」と警告を言い続けていた方であり、CFE(公認不正検査士)の資格保有者です。事件発覚後は米国議会にも証人として呼ばれ、SECに捜査を求める警告を発していた経緯について詳細に語っておられます。

おもしろいのがマルコポロス氏の著書「誰も聞き入れなかった:実際にあった怖い投資の話」にあるエピソードであり、その抜粋はこちらからお読みになれます(タビスランドHPより)。マドフの投資手法が怪しい・・・ということを多くの人が知っていながら、だれもそれを口に出さなかった。では、なぜマルコポロスが口に出して「怪しい」と公言していたか・・というと、それは上司から「お前もマドフのような運用実績を出せ!」とマドフと比較されならが厳しく命令されていたからだそうです。つまり自己保身(自己防衛)のために「マドフはぜったいイカサマ」というのを証明してみせねばならず、そのためにSECにも警告を発信していた、とのこと。つまり、自分の人生がかかっていたからこそ言い出せたのであり、そこまで追いつめられないと「おかしい」と口に出すことはむずかしいということなのですね

そのマルコポロス氏は、ウォールストリートには「マドフは怪しい」と知っていながら、口に出すことをしない人が多く存在することが「最大の驚き」だったようです。なぜ口に出さないかといいますと、怪しいかもしれないが、マドフの投資によって手数料が入ってくるなら、それでもいい・・・と皆さんが思っていたから、だそうです。また、プロのファンドマネージャーたちでも、普通ならばデューデリを求めて断られた場合、「じゃあ、さよなら」となるわけですが、そのあまりにも美しい投資実績に目がくらんでイギリスのオイルマネーを集めるファンドマネージャーすら数億ドルを預けていた、とのこと。二人しか会計士がいない事務所が帳簿をチェックしている事実には「見てみないふりをして」、その実績に賭けていた、というのが実際のところだったようです。つまりいくら開示規制を強化したとしても、またいくら投資家の能力が高くなったとしても、行政の監督責任は免れ、かつ投資家の自己責任は問えるけれども、だまされる人(だまされたい人?)はなくならない、というのが真実ではないでしょうか

いろいろなブログでAIJ投資顧問の年金消失問題が話題になっていますが、「私は以前から、この業者の手法は怪しいと思っていた。なぜなら」的な書きぶりが目立ちます。しかし、怪しいと思っていたことと、実際に怪しいと口に出すこととは雲泥の差です。たしかに2009年に格付情報センターが警告を出していた、ということのようですが、マルコポロスがSECから無視されたようなものだったのかもしれません。マルコポロス氏ですら、お尻に火がつかなければ口に出すことはできなかったそうで、これだけ2ちゃんねるやヤフー掲示板を初め、匿名による意見広報の機会があるにしても、やはり「あそこは怪しい」と公言することで不正を早期に発見することは本当にむずかしいと痛感します。いや、早期に発見した人ほど、(本来ならば一目散に撤退するのが筋かもしれませんが)AIJの運用の失敗によって大儲けをしているのかもしれません。これからの捜査の行方を注目したいと思います。

2月 28, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2012年2月23日 (木)

東京でのセミナーのお知らせ(お勧めセミナー厳選)

(2月23日 午後1時 追記あります-ご注意)

昨日のエントリーにはメールやコメントなど、たくさん頂戴いたしまして、どうもありがとうございました<m(__)m>。監査法人と監査役の関係など、相当にマニアックな話題なのであまりお読みいただけないかと思っていたのですが、かなり早朝から脊髄反射的なご意見をメールでも頂戴いたしました。「監査法人vs監査役」(注 決して「対決」という意味ではなく、連携と協調の在り方を探る・・・という意味です)という新境地をブログで開拓するかもしれませんので(^^、またよろしければ、いろいろと参考となるご意見をいただけますとありがたいです。けっこうグチっぽいコメントでも大歓迎です!

さて本日はお知らせでございます。3月は、東京にて数社の会社様よりプライベートセミナーにお招きいただいておりますが、当ブログをご覧の方々にもお申込みいただける(東京での)セミナーがいくつかございます。3月21日は東証ホールにて、「企業価値を守る~不祥事の予防と対策~」と題する東証(自主規制法人 上場管理部)主催のセミナーで講演をさせていただきます。金融庁の佐々木さん、デロイトトーマツの久保惠一大先生とご一緒させていたきます。東証さんからお招きいただいたからといって、東証さんに都合の良いことをお話するかといえば、まったくそのようなことはありません(笑)。たとえ「ドン引き」になっても、いつもの調子で良心に従って、思うところをお話させていただきます。

(追記)Kazuさんもコメントでお書きになっておりますとおり、東証のHPで確認したところ、23日現在、すでに「申し込み締め切り」となってしまいました。

もうひとつは、3月13日に開催されますBDTI(会社役員育成機構)主催のセミナー「経営戦略にひそむ不祥事の芽-最小の労力で最大のリスク管理を行うための視点」でございます。このテーマは本業であります不正調査の経験に基づきまして、どうしても発生してしまう一次不祥事に社内で早めに対処しましょう、という現実的な課題を検討するものであります。本当は「いかにして不祥事を防止すべきか」というのがウケの良いセミナーなのですが、せっかく2時間半ほどお話させていただくのであれば、「二次不祥事につながらない有事対応」を語るほうがおもしろいかと。場所は赤坂ビズタワー30階のトムソン・ロイター。ここは英語が飛び交っており、それだけで私には「アウェー」の雰囲気を漂わせるところでありますが、前回の講演同様、頑張りたいと思います。

さて、最後になりますが、本日もっともお勧めのセミナーをご紹介いたします。実は、私のセミナーの前日であります3月12日に、BDTI主催のセミナー「民主党、資本市場・企業統治改革ワーキングチームの提言から日本企業のガバナンスを考える」が開催されます。詳細は上のリンクからご覧いただきたいのですが、ちょっとビックリするくらいの豪華メンバーですよね。。。よくまぁ、(立ち位置の異なる?)ビックネームが揃ったなあ・・・と。司会者(大杉謙一先生)の人徳かなぁ、それともBenes氏の人徳?でしょうか。いずれにしましても、会社法改正事情の最先端のお話が聴けるかもしれませんね。さきほどお聞きしましたら、12日の講演&シンポのほうも、まだ参加申し込み受付中とのことです。おそらく東証ほどの広報力がBDTIさんにはないのでは?と思いましたので、(老婆心ながら)いちおうフォーラム参加者のひとりとして広報させていただく次第です。12日のセミナーにご参加いただいた皆様には、もう13日には来ていただけないと思いますが(^^;;、私も聴講してみたいと思うイチオシの企画なので、どうかご参加してみてはいかがでしょうか。

2月 23, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2012年2月15日 (水)

関経連後援・CSRセミナー募集締め切りのお知らせ(お礼とお詫び)

平素は当ブログを閲覧いただき、ありがとうございます。

さて、一昨日のエントリーにて日本CSR普及協会主催・関西経済連合会後援にかかるCSRセミナー「企業不祥事の実務対応」のご案内を差し上げましたところ、一日で大阪弁護士会館2階ホールの収容人数に達してしまいましたので、誠に申し訳ございませんが、参加のお申し込みを締め切らせていただくことになりました(汗)。

皆様方のご関心の高さにお応えできますよう、十分に準備をして、当日のセミナーを開催したいと思います。たくさんのお申し込みありがとうございました<m(__)m>。

2月 15, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月14日 (火)

関経連後援CSRセミナー「企業不祥事における実務対応」のご案内

(2月15日追記 下記セミナーの募集は終了いたしました。たくさんのお申し込みありがとうございました。)

本日は関経連会員団体に所属しておられる皆様へのお知らせでございます。日本CSR普及協会近畿支部主催・関西経済連合会後援によります「CSRセミナー・企業不祥事における実務対応」が、来る2月29日(水)午後3時より6時まで大阪弁護士会館2階ホールにて開催されます(参加費は無料)。開催の趣旨は(チラシからの引用ですが)以下のとおりです。

昨年は著名企業の不祥事が続き、企業内部におけるコンプライアンスの難しさを痛感させました。他方、企業不祥事が後を絶たない中、企業不祥事に対する社会の目は、ますます厳しいものとなっています。そこで、企業の社会的責任(CSR)の観点から、企業不祥事を生じさせない体制づくり、企業不祥事が生じた場合の実務対応、再発防止策等について、企業の立場から、又企業不祥事に様々な立場で関与する弁護士の立場から、それぞれ検討を行いたいと思います。

セミナー「企業不祥事の実務対応」のご案内

セミナー第1部は木曽裕弁護士(東京第一弁護士会)による基調講演、そして第2部は「企業不祥事における実務対応」と題するシンポでして、弁護士の上谷氏(兵庫県弁護士会)、木曽氏、米田氏(大阪弁護士会)、そして日本ハム執行役員の宮地氏にご登壇いただき、私がコーディネーターを務める、というものです。弁護士は、いずれも企業の危機対応や不正調査に精通しておられる方ばかりであり、また日本ハムの宮地氏は、2002年の国産牛偽装事件のときには広報責任者として、そして当ブログでもとりあげました2010年の「日本ハム中元商品詰め替え事件」のときには、危機対応の責任者として前面で陣頭指揮を執られた方です。今回のシンポでも、具体的な食品事故発生をモデル事案に、初動対応、社内における事実調査、公表の要否、行政対応、マスコミ対応に分けて、企業自身が社会的責任を尽くすためにいかに行動すべきか、という視点から検討を行う、というものです。

コーディネーター本人が申し上げるのもナンですが、この企画は必見です。本業として企業不祥事対応の実務経験豊富な上谷弁護士、木曽弁護士、米田弁護士からポイントを指摘していただくだけでなく、宮地氏から、「日ハムは具体的にどのように行動したか」を(もちろん社内秘密は無理ですが)お聞きしていきます。また、あの「船場吉兆事件」では記者会見の際、常に「おかみさん」の横におられた米田弁護士に、船場吉兆事件を振り返って「高級料亭の何が問題だったのか?」「どこにマスコミや行政を本気にさせる要因があったのか?」を解説していただきます。さらに米田弁護士は、あの「ダスキン事件」の際、ダスキンの社外監査役として社内調査報告書をまとめあげたにもかかわらず、株主代表訴訟大阪高裁判決では、被告として厳しく法的責任を問われました。10年の時を経て、あのダスキンの取締役会(平成14年)では何が語られたのか、どうして不祥事を公表できなかったのか、ダスキン事件の本当の問題点はどこにあったのか(弁護士および社外監査役としての守秘義務に反しない範囲で)赤裸々に語っていただく予定にしております。

実務家でも意見が分かれるような論点にも、思い切ってツッコミを入れてみたいと思っております。このメンバーとこの企画でおもしろくなければ、その責任はすべてコーディネーターにあるといっても過言ではありません。企業の役員の方にも、また管理部門の方にも、参考になるお話とすべく、打ち合わせを重ねております。現在までのところ弁護士、企業担当者の方併せて130名ほどの申込みがございますが、まだまだお申込みを受け付けております。どうか是非、2月29日は大阪弁護士会館へ足をお運びいただきますよう、お願い申し上げます(上記リンクからお申込みください。なお、セミナー参加費は無料ですが、6時からの懇親会のご参加には別途参加費用がかかりますのでご注意ください)

2月 14, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月19日 (木)

サラリーマン根性とコンプライアンス意識の統合について

私が司会をいたしましたNBL(商事法務)新年号「コンプライアンス改革」座談会の記事につきまして、お読みになられた川井信之弁護士が、ご感想をブログに書いておられます。こういった感想は、辛口のほうがありがたいわけですが、座談会に出席された増田英次弁護士のご意見に関心を寄せておられます。以下、川井先生のブログからの引用ですが、

増田先生は、法令遵守に関しては、表面上の遵守に留まるのではなく、無意識のレベルまで変える(マインドを変える)ことが重要と唱えられており、こうした無意識を変えるためには、「臨場感を上げる」(他人事ではなく、自分のものとして捉える)ことが大事だ、とおっしゃられています。
 そして、臨場感を上げるためには、具体的には、「正しいことをしたらどんな利益があって、自分にどんな満足感があるのかというのを多くのビジネスパーソンが肌でもって体験する」ということが必要だ、と発言されております。(同記事67~68ページ)

この増田弁護士のご発言は、私も司会をしながら、とても感銘を受けたところでした。

ところで、本日、私が代表を務めます関西CFE研究会(関西不正検査研究会)の今季、最後の研究会が開催されまして、オリンパス事件の報告書に出てくる「悪い意味でのサラリーマン根性」って一体どんな意味なんだろう?という話題が出てきました。30名ほどの出席者の中でも一番若い(たぶん)30代前半の某上場会社の内部監査部門の方が、曰く

ちいさな組織で、全体が見渡せる職場のときは、自分の仕事が社会の役に立っているかどうか、意識できたんです。でも、組織が大きくなって、自分の仕事の専門性が高くなって、そのうち細分化された仕事を毎日こなしているうちに、仕事を達成する満足感が感じられなくなり、会社の仕事と社会のつながりとのイメージが湧いてこなくなってくるんですね。だから、大きな職場の社員は、もう内部通報制度なんかがあったとしても、とくに通報しないといけない・・といったイメージがなくなっちゃうんですよ。

この意見、私はなるほど・・・と納得いたしました。結局、大きな組織の中で、ご自身のパートをせっせとこなしておられる社員の方々は、「正しいことをしたらどんな利益があって、自分にどんな満足感があるのか、肌をもって体験する」ことができなくなっているのではないでしょうか?昨日コメントをいただいた「法務担当」さんのご意見なども、やはりこのような実感につながるものがあるように感じました(この法務担当さんのコメント、私はずいぶんと心に響きました)。私はこのあたりの問題意識のなかに、マインドから変えていくコンプライアンス改革のヒントがあるように感じた次第です。不正のトライアングルでたとえるならば、私なんかは「機会」の喪失に向けた処方箋を描くわけですが、増田弁護士は「動機」や「正当化根拠」の喪失に向けた処方箋を描く、ということになるのでしょうね。

余談ですが、増田英次弁護士は私と同期(42期)です。企業コンプライアンスを語る弁護士にふさわしい経歴の持ち主ですが(西村総合➔海外留学➔メリルリンチ法務部長・同執行役員➔LLM➔独立)、私生活においてたいへんつらいご経験をされたことが、「社員にやさしいコンプライアンス(コーチング理論)」を提唱・実践されている根源にあるのではないかと(勝手に)推測しております。某著名グレー企業の顧問弁護士➔債権者破産➔失職➔今までの反動でコンプライアンス部門へ転向、という私の経歴とえらい違いです(ToT)/

1月 19, 2012 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2011年12月29日 (木)

当ブログの今年の大反省(懺悔・・・)

今年も当ブログをお読みいただき、ありがとうございました。大王製紙社の改善報告内容の件、経営財務12月26日号のCOSOフレーム全面改訂草案(財務報告の信頼性⇒報告の信頼性だそうです)に関する記事など、ご紹介したいと思っておりましたが、積み残しとなってしまいました。また来年にエントリーしたいと思います。

さて、管理人としまして、今年の当ブログ運営上の反省点。

1 会社名を間違えて、社長逮捕の記事を書いてしまったこと。

すぐに同社の経営企画部の方から抗議の電話があり、訂正のうえ謝罪をいたしました。あってはならないミスで、かなり落ち込みました。

2 会社リリースの年月日を1年間違えたままエントリーを書いてしまい、まったくトンチンカンな話をしてしまったこと。

これもメールで指摘を受け、こちらは開示後半日経過してから全て抹消いたしました。これも関係者にご迷惑をかけ、かなり恥ずかしいものでした。

3 コメントやメールのほとんどにお返事ができなかったこと。

とくに法律相談的なメール、質問メール、質問コメント等につきましては、ごめんなさいでした。失礼かとは思いつつ、エントリーを書くのが精一杯な状況だったので、申し訳ございません。やはり本業のクライアントへの対応が最優先なので(^^;

4 軽々に懲戒処分ネタを書いてしまったこと。

「懲戒」、「弁護士」でグーグル検索をかけると、なんと!私の名前が3番目くらいに出てくるではないですか!?これは誤解を受けます。そういえば今年、懲戒処分ネタを書きました。少し配慮が足りなかったようです。

来年は上記1や2のミスは絶対にしないように努めます。どうか皆様、おだやかな年末年始をお過ごしください。

12月 29, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2011年10月25日 (火)

大王製紙解職事件-新たな展開へ

いよいよ大王製紙社顧問(元会長の父)がマスコミ取材に回答されたのですね(毎日新聞ニュース)。やはり、といいますか、当然といいますか、元会長への巨額融資は今年3月の時点で会社関係者間では発覚していたものであり、顧問は元会長に対して融資金の一部返済を求めていたそうです。

こういった状況で、一昨日エントリーしたように、子会社幹部の方の「内部通報」がいかなる意味をもっていたのか、とても興味のあるところです(産経新聞のニュースを読むと、捜査機関もずいぶんと前から元会長さんの口座に関心を寄せていた、とありますし。。。)

取締役会を構成していた役員の方々も「知っていた」そうなので、なんとも。。。しかし役員の方々を弁護するわけではありませんが、「顧問(元会長の父)がなんとかしてくれるだろう」といった甘い期待があったのかもしれません。(仕事中なので、取り急ぎ備忘録程度にて。)

10月 25, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 4日 (火)

セミナーのお知らせ(東京開催)-取締役会と役員が知るべきリスクマネジメント

迷える会計士さんから教えていただきましたが、「日経ビジネス」WEBサイトにて、このたびの大王製紙さんの元会長辞任問題に関する記事を読みました(時事深層-大王製紙にみる企業の不統治)。従来から、元会長さんへの貸付金84億円の使い道については週刊誌ネタにもなっており、世間の興味もそちらに集まるものとは思いますが、当ブログでも以前から関心を寄せております「ガバナンス不全」に視点を置いた記事は初めてではないでしょうか。ちなみに、「元関係会社社員」さんがコメントで書かれていたとおり、この会社のガバナンスは「2代目創業家さん」その方自身であり、3代目の元会長さんが辞任されたのも、この2代目の方の絶大なる権限に基づく・・・というのが、結構真相に近いのではないかと推測しております。

この大王製紙さんのガバナンスを論じる場合にも、注意が必要なのは「子会社の利益相反取引」について、どれだけ親会社役員が目を光らせることができるのか?子会社にも役員がいるのだから、その子会社役員さん方のガバナンスを信頼していれば親会社役員は非難されなくても良いのではないか?といった問題であります。以下は、かりに会社に損害が発生した場合、という前提での話になりますが、私は基本的には子会社のガバナンスに信頼を置くことは妥当であるが、「異常な兆候」について、親会社役員が通常の職務執行をしていれば気が付くほどの「外観」を呈している場合に、見逃しに関する法的責任が問われるものと考えております。そして、(以前も書きましたが)2011年3月期の有価証券報告書に注記された関連会社の取引状況のところに「短期貸付金」として、関連会社から元会長さんに23億ほどの貸付金が存在することが、この「異常な兆候」にあたるかどうか・・・が問題になるものと考えています。

さて、上記日経ビジネスさんの記事にもあるように、「創業家オーナーの上場企業のガバナンス」という理由で、本件を片付けてしまうと思考停止に陥ってしまうと思います。たとえば社外役員を例にとるならば、業界や各企業の経営環境は常に同じではなく、いろんな局面に立たされますので、その経営環境と同時に変化する社内リスクを正確に読み取る才能(もしくは努力)が必要ではないかと。恥ずかしながら、私も監査役として、法律の専門家であるにもかかわらず、この局面の変化に伴うリーガルリスクを認識できず、失態を演じてしまったことが過去にございます。これは会社にとっても大きな損失であります。普段は経営陣と信頼関係を築き、重要なビジネス情報が常に入る体制を整えておく必要があります。しかし、いざリスクを認識した場合には、これを気兼ねなく役員会で述べる必要があります。ただ、ふだん経営陣と仲よくしていればいるほど、このリスク認識の意識が希薄となり、肝心なときにボーっとしてしまうのであります。

業績が良いときのリスク管理(予防措置)、リスクが顕在化したときの火消し(クライシスマネジメント)については、毎度申し上げるとおり、お金を出せばよいコンサルタントは見つかります。いわば「お金で買えるリスクマネジメント」。しかしリスクの早期認識(早期発見措置)はどんなにお金を積んでも買えません。役員の方々のリスク感覚が試されるところであり、企業に大損害が発生するか、何事もなく事態を収拾させることができるかの分水嶺となります。たとえばM&Aで買収した老舗企業A社の代表者は反社会的勢力との「密接関連者」である、とのA社社員による内部通報があったが、真偽不明という場合、あなたが担当役員ならどのような対応をしますか?あなたご自身のリーガルリスクがこわいですか?それとも会社のレピュテーションリスクがこわいですか?

今回、BDTI(公益社団法人会社役員育成機構)におきまして、トーマツさんと一緒に、取締役、会社役員が知るべきリスクマネジメントに関する講演をさせていただくことになりました(10月28日午後3時半より、場所はトムソンロイターさんの赤坂オフィス・セミナールームです。ご案内はごちらでございます)。「お金で買えない価値」については私が、そして「お金で買える価値」(?)についてはトーマツさんがご紹介したいと思います。

また、昨日ご紹介したドッド・フランク法922条とも関連しますが、近時FCPAや海外での賄賂規制法の執行事例が増えていることから、BDTIさん主催の「グローバルな腐敗防止法の波:会社役員が知っておくべきこと」なるセミナーが開催されます(これ、私自身が、いま一番聴講したい話題であります。詳しいご紹介はこちらです)。ホント、みなさんどうされます?カルテルなら、なんとか内部統制によって未然防止も可能でしょうし、そのために真剣に対応しておられるところも多いかと。しかし、外国公務員(もしくは公務員らしき人)への利益供与って、本気で防止できますか?連日、新聞では日本企業の海外展開、M&Aの活発化が報じられるなか、御社だけは絶対にクリーンな交渉で闘えますか?もとより違法行為を勧めることは絶対にございませんが、リスクを承知でグレーゾーンへ飛び込むのと、リスク自体を知らずに飛び込むのとでは、企業の損失に大きな差が生じることは間違いないわけでして、そのあたり、どのようなリスクがあるのか、ご認識いただく良い機会になるのではないかと思います。

どうか上記セミナーにご興味、ご関心がございましたら、ぜひお越しくださいませ<m(__)m>。

10月 4, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年9月27日 (火)

災害時における企業の危機管理とその法的リスク

陸山会事件判決など、たいへん興味深い話題が豊富であり、エントリーには事欠かない状況でありますが、本業のためにブログを更新する時間がとれず、またまた広報のみで恐縮でございます。さて、来週10月6日(木)午後1時より、大阪のヒルトンウエストにて第一法規さん主催のセミナーを開催いたします。

災害時における企業の危機管理とその法的リスク

東日本大震災から私が考えたこと、震災後の企業の危機管理のお手伝いをさせていただいたことなどをもとに、①災害時の企業の危機管理は取締役の法的責任が発生するかどうか(善管注意義務違反の有無)を論じるよりも、企業にレピュテーションリスクが発生するかどうか、という視点が重要であること、②平時の企業はリスクを冒して事業活動を継続するのが当然であるが、それは「許された危険の法理」に依拠しているのであり、危機管理を間違えると企業活動は「許されない危険」によって事業停止を余儀なくされるものであること、等につきまして、実例をもとに考えてみたいと思います。もちろんブログではお話できないような内容も含まれております。

たとえば災害時、「正義」と「正義」がぶつかりあう場面、ステークホルダーの利害が対立する場面で、あなたの会社なら、どっちの正義、どっちのステークホルダーの利益を優先しますか?それは取締役の免責が目的ですか、それとも会社の信用確保が大事だからですか?それとも事業の永続性を考えるからですか?・・・・。そういった究極の選択を行うための判断事実に誤りがあったらどうしますか?

いろいろな実例によってリスク管理の手法を検討してみたいと考えています。お時間がございましたら(まだ、ご参加は可能かと思いますので)どうか、上の第一法規さんのWEBからお申込みください<m(__)m>

9月 27, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年9月24日 (土)

弁護士が懲戒請求されるときの気分とは?

本日は、とくにビジネス法務と関係のある話題ではございません。博多ぽんこつラーメンさんから、以下のようなご質問がありましたので、恥を忍んで「懲戒請求を受ける弁護士の心境」について述べてみたいと思います。私は懲戒処分を受けたことはございませんので、あくまでも「懲戒請求の申立を受ける」ことへの心境でございます(誤解なきよう・・・)。

普通の弁護士の方々は、ご自身に懲戒請求されることに対してどのような感触をお持ちなのでしょうか。通常の活動でも日常茶飯事的に遭遇するので大したことはないとお思いなのか、それとも“ちょっとは厄介だな”とお感じになるのか。蛇足かつ仮の話として、若干後ろめたいことがあった際のそれについてもお聞かせ願えないでしょうか。

弁護士としての職務を一生懸命に全うしようとしますと、懲戒請求を受ける・・・ということは十分あります。私の場合、22年ほどの弁護士経験のなかで、二度ほど請求をされ、もしくはされかけたことがあります。ひとつは弁護士の主張によって侮辱された、という相手方からの申し立てでして、これは懲戒を請求されても「弁護士の職務として正当な行為」であることが明らかでしたので、とくに問題にもしていませんでした。

しかし、もうひとつ、これは結構しんどかった。依頼者からの懲戒請求です。先日(9月13日)、大阪地検特捜部の元部長さんらが被告人となっている改ざん事件の初公判に関する日経新聞記事を読み、「ええ!?」と絶句したことがありました。案の定、週刊文春の今週号で、江川紹子さんが厳しく糾弾しておられますが、最高検の公判検事の方と被告人である元特捜部長さんらが、法廷の外で談笑していたそうです。いくら元上司、部下の関係があったとしても、関係者や第三者の目の前での「談笑」や「世間話」は絶対にいけません(江川さんは「最高検は本気で検察を変える気があるのか?単なる出来レースではないのか?」と批判しておられます)。かくいう私も、実は同じようなことがありました。もう17年ほど前の話ですが、民事事件の相手方代理人がたまたま知り合いだったために、証人尋問終了後に、関係者が全員法廷の外に出て行ったことで気が緩んだのか、つい法廷の中で冗談を言い合ってしまいました。・・・お恥ずかしいかぎりです。

一審で芳しい結果が出なかったこともあってか、控訴審係属中に依頼者から「先生は真剣に裁判をしてくれなかった。あの『高笑い』が法廷から聞こえてきたとき、この弁護士にまんまと金だけとられた、と確信した」と言われ、判決確定後に懲戒請求をする、と言われました。法曹の方ならおわかりのとおり、たとえ相手方代理人弁護士が知り合いであっても、依頼者からお金をもらえば弁護士は「パブロフの犬」です。まず第一に依頼者の利益を考えて行動する習性が染みついています。ですから裁判を片手間にしたり、ナアナアで済ませることは絶対にありませんし、むしろ相手方が知り合いの弁護士だからこそ、逆に負けなくないわけでして、現にその裁判も高裁では逆転勝訴となりました。

しかし、たしかに依頼者がいる前で、相手方代理人と親しげに会話をする、というのは軽率でありまして、猛省いたしました。あの懲戒請求によって、「人からみてどう思われるか、依頼者がどのような気持ちになるか」が弁護士にとってどれほど大切であるか、ということを学びました。あの出来事は、今でも忘れることはできません(なお、懲戒請求は結局されませんでした)。

ですから、普通の弁護士にとって懲戒請求を出されることについての心境は、事案によりけりだと思います。正当な職務の遂行と確信していることついて、相手方本人から懲戒申し立てがあってもあまり精神的に悩むようなことはありませんが、依頼者から・・・・となりますと、相当にこたえるのではないでしょうか。ちょっとどころか、かなり厄介なことだな、と思うこともあるのでは、と。後ろめたいといいますか、配慮が足りないと思うことがありましたら、やはり(懲戒の手前の綱紀委員会で棄却される可能性が高いとしても)精神的に重くのしかかることが多いと思います。そもそも人と争うことを商売としているわけですが、「人として人を傷つける」ことは絶対にあってはならないのでして、配慮が足りない点があれば、私の場合、「懲戒相当」事案とはならずとも、自責の念にかられることになるでしょうね。まぁ、しょっちゅう懲戒請求を受けている弁護士ならば「慣れっこ」になってしまっているかもしれませんが(笑)。

9月 24, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年9月15日 (木)

日債銀粉飾決算事件差戻高裁判決を全文掲載(法と経済のジャーナル)

朝日「法と経済のジャーナル」が15日、日債銀粉飾決算事件の差戻控訴審判決(8月30日付)を全文を掲載しておられます(約4万字のテキスト形式)。要旨は判決直後からアップされておられましたが、全文を掲載していただけるとは、ホントに(法律家にとっては)お安い購読料です(^^;。どれだけの方が閲覧されるかわかりませんが、そのマニアックな姿勢に本当に感謝いたします<m(__)m>。

本判決は刑事裁判ですが、記事にもあるように、日債銀事件は民事訴訟で流れが変わったと思います。長銀事件判決も含め、「公正なる会計慣行」について、これまでで一番明確に司法の考えを示したのが(民事訴訟である)日債銀損害賠償事件高裁判決(大阪高判平成15年5月25日判例時報1863号)ではないでしょうか。この判例が明確に「公正なる会計慣行は複数ありうる」と示したことから、ずいぶんと議論が進展しました。

さて、朝日WEBに掲載されている判決文、マスキング処理がほとんどなされず、原文のまま掲載しておられるようですので、読みやすそうです。今夜は早速、家に帰って判決全文をじっくり読ませていただきたいと思いますので、ブログの更新はお休みします。。。

9月 15, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

カレログの違法性についてひとことだけ。。。

2週間ほど前からfacebookのほうでは話題になっておりました「カレログ」でありますが、ついに総務省が個人情報保護の観点から検証することになったと報じられております(たとえば こちらのニュース)「カレログ」とありますが、彼氏が彼女の居場所を常に把握するためにアプリを彼女のスマホにインストールして、24時間監視する、ということも多いと思われます。

この話題は、またブログが荒れることが予想されますので(笑)、あまり深入りしないことにしますが、そもそも24時間、彼氏(彼女)の居場所を監視する、という行為についての包括的同意をとったとしても、それは他人のプライバシーを侵害する行為の違法性を阻却しないと考えます(つまり民法上の不法行為に該当する、ということ)。

週刊朝日WEBで、ネット関連法に詳しい牧野二郎弁護士が指摘していることにまったく同感でして、情報を入手されるたびに個別同意があってはじめてプライバシー権放棄に関する同意があるといえるのであり、そもそもカレログアプリをインストールする際の包括的同意は、プライバシー権侵害の違法性を阻却する「同意」ではないと考えられるからです。

もちろん「プライバシー権」や「個人情報の開示」に関する考え方によってはご異論があるとは思いますが、「そもそも事前の包括的な同意」がプライバシー権放棄の意思表示とはいえないのでは?といった疑問が生じてもよいでしょうし、彼女(彼氏)が訴えられた場合にどうなるか・・・、リーガルリスクはある程度考えておくべきではないかと。そもそも同意があったとしても、他人の基本的な人格権を全面的に侵害するような行為は公序良俗に反するものであるため、社会的相当性のある行為ではない・・・と行為無価値的な発想で不法行為を認定する裁判官もいらっしゃるかもしれません。そのことに触れているマスコミの報道がないのは、少し違和感を覚えました。

9月 15, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2011年9月12日 (月)

主任航空管制官の守秘義務違反疑惑事件(その2)

本件につきましては、土曜日のエントリーにて「この航空管制官の情報漏えいには何か特別な意図があったのではないか?」と書きましたが、週末のマスコミの続報などを読んでおりますと、JFKさんやkawakawaさんがおっしゃるとおり、当該管制官には特別な目的とかはなく、もっと属人的な「どこにでもある」理由で画像をアップしてしまったような気配であります。当該管制官は2001年ころにブログを開設し、「知人に知ってもらいたかった」との理由から管制塔内の写真画像をアップしてしまったようで、しかもこの9月5日になって、ブログを閲覧した人からの匿名通知によって発覚したとのこと。私の推測に反し、単純に「面白半分」で機密情報を画像としてアップした可能性が高いようであります。

どこにでもあるようなリスク意識に乏しい社員の失態・・・ということで一笑に付すことができればよいのですが、これほど重大な国家間の問題に発展していることからしますと、なぜ組織内でもっと早く問題にならなかったのでしょうか。当該管制官の方は、管制室では個人のデジカメを持参して人物や風景なども撮影しているわけですから、ほかの職場の方々も「情報漏えいの可能性のある行為」程度は問題意識をもっていたのではないでしょうか(個人のデジカメを持参すること自体、禁じられているはずであります)。30年以上、同一の職場に勤務しており、管制業務のスキルも高かった、ということで、他の職員の方々も、面と向かって物が言えないような雰囲気だったのでしょうか。

しかし、そんな雰囲気だったとしても、省内(組織内)の内部通報制度を活用して、こういった行為がなされている、ということが省内の窓口に届くことはなかったのでしょうか。kawakawaさんも指摘しておられますが、この7月には別の管制官の方が、同じくブログにて社内事情を公表し、省内でもブログによる情報漏えいリスクが告知されていたところですから、第三者から匿名の告発がなされる前に、組織内で通報があってもおかしくないのではと。当該管制官の方は、この7月の時点ではすでに画像投稿を終えていたそうですが、管制室内での写真撮影だけでも、やはり部署内では問題意識は生じ得たように思うのでありますが。。。この9月まで、なんら社内で問題意識を持つ方が登場されなかった、というのは、組織としてかなり問題があったのでは・・・との疑問を禁じ得ません。社内ルールがあったとしても、これを「形骸化したもの」としか認識できないような組織の体質があったのではないでしょうか。

情報漏えいに関する組織のリスク感覚が問われている事例のように思えますし、正直申し上げて、もし皆様がおっしゃるとおり「リスク感覚に乏しい、どこにでも一人くらいは存在する人」の存在をゼロにすることが困難だとすれば、どこの会社においても、同様の事態に直面する可能性はあるわけです。民間企業としては、今回の国交省の対応として、単に当該管制官に対する懲戒処分の可否を検討するだけでなく、(確実にまた発生するであろう)情報漏えいのリスクを、どのようにして低減させていくのか、検討される具体的手法こそ知りたいところであります。

9月 12, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2011年9月11日 (日)

当ブログのコメントにつきまして(お願いとおことわり)

いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。さて、当ブログのコメントにつきましては、たいへん有益なご意見も多く、また私の個人的な見解に対する反論などもたくさん寄せられ、意見集約的にはバランスの良いものになっているものと認識しております。

ただ、最近になりまして、第三者に対する誹謗中傷、他人になりすましての投稿、関係者が閲覧すれば特定企業を指すものとわかる社内事情等、そのまま掲載することができないと思われるものが目立ち、管理人としてもたいへん苦慮しております。

とりわけ(コメントが荒れることを予想していたために、本年度はエントリーしていませんが)司法試験、法曹養成制度改革に関する話題、(2週間ほど前にアップした)反社会的勢力への企業対応に関する話題において、きわめて不誠実と思われる投稿が目立ち、管理人が仕事の合間にコメントを編集できる範囲を越えてまいりました。

現在もコメントの公開は承認制にさせていただいておりますが、このままですと一時的にコメント欄を閉鎖することも検討せざるをえません。とりあえず現在のところ、未承認のまま皆様がたからのコメントの多くが公表されていないことを申し上げるとともに、現状をご理解いただきたくお願い申し上げます。

弁護士 山 口 利 昭

9月 11, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2011年9月10日 (土)

主任航空管制官の守秘義務違反疑惑事件(何があったの?)

米国大統領機の飛行計画だけでなく、米国空軍「グローバルホーク」の飛行計画までブログに公開してしまった(疑いのある)羽田空港の50代の航空管制官の事件は本当に驚いてしまいました。最初はたまたま管制塔の中をデジカメで撮影したところ「写っちゃった」のかと思いましたが、時事通信社のニュースで「ブログで公開された画像」を知り、これはハッキリと何らかの意図があって重要な機密情報を公開したものであることを認識しました。

ほとんど転勤することもなく、30年間羽田で勤務しておられたとのこと、職場の同僚も「交通量が多い羽田において、彼のスキルは高かった」と述べておられるようで、仕事の面でとくに問題があったようにも思えません。明らかに守秘義務違反を承知の上で、ブログを通じて何らかのメッセージを送ったというのであれば(個人としての覚悟のうえでのことでしょうから)わかりますが、もし「こんなに大きな問題になるとは思わなかった」的な行動だったとすれば、「情報漏えい問題」として、どこの組織でも起こりうる問題と捉えられますので、おそろしい話であります。それも50代・・・ということは、本当に重要な機密情報にアクセスできる人たちなので、なおさらであります。

私自身も守秘義務を抱えながらブログを書く者として、この事件は見過ごすことのできないものでして、「読み手」を意識するにつれ、次第に「もっとおもしろいものを公開したい」「もっと刺激的なほうがウケるかもしれない」という欲望との葛藤の中でエントリーボタンを押すわけで、この50代の管制官もそういった欲望に歯止めがかからなくなってしまったのでしょうか。フェイスブックでも、自分が思ったほど「いいね!」が付かないと、なんだか疎外感ばかりが高まり、尾ひれ背びれを付けておもしろい話を作り上げてしまう・・・ということもよく聞くところですが、そういった延長線上の事件だったのでしょうかね?ただ、画像をみるかぎり、一般の人が「これは機密情報だ」とはわからないものですから、私が考えていることは、なんか後付けの「ありきたり」な理由のようにも思いますし、もっと深いところの理由があったのかもしれず、今後報じられるところを待ちたいと思います。

9月 10, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2011年9月 8日 (木)

9月16日のセミナー二題(東京と大阪)のご紹介

本日手元に届きました旬刊商事法務最新号(9月5日号)の「スクランブル」にもありましたが、現在、金融審議会のインサイダー取引規制に関するワーキンググループにおいて、規制見直しに関する議論が進んでおります。スクランブル筆者のご意見(公法的規制に私法的規制の予期した効用が損なわれることへの疑問)にまったく同感であり、私自身もバブル期に作られたインサイダー規制を再度検証する必要があるのではないか・・・とも考えるところであります。しかし立法論はさておき、現実の社会では相変わらず、インサイダーリスクに関する話題は尽きないところでありまして、来る9月16日には、東証COMLECさん主催によるコンプライアンスフォーラムが大阪で開催され、今年はインサイダー規制に関する研修が中心となるそうであります。

東証さんのフォーラムに関するお知らせはこちらです。

先日、私がモデレータを務めさせていただいた大証主催のセミナーではパネラーとして参加されていた原弁護士(北浜法律事務所・外国法共同事業、元大阪証券取引所の社内弁護士)が、今回はモデレータとして仕切り役を務められるそうで(どうか頑張ってください)。講演、シンポとも、非常に興味をそそられるものであります。

そしてもうひとつ、旬刊商事法務関連でご紹介いたしますと、この9月5日号から1か月(3号)にわたって「取締役会の監督機能の強化(上・中・下)」を出稿されました大杉謙一教授(中央大学法科大学院)がモデレータを務められますBDTI(公益法人会社役員育成機構)主催のセミナーも、同じく9月16日、赤坂のトムソンロイターにおいて開催されます。今回の大杉先生の論文ともつながりが深いテーマでありますが「会社法の改正~いかにして企業ガバナンスを向上させるか~」というもの。

協賛のウエストロー・ジャパンさんの広報はこちらです。

むむ!?野村教授、河西氏、田中教授、藤縄先生、とこちらも豪華な顔ぶれであり、法制審議会委員の方々、経産省の企業価値研究会、企業統治研究会のメンバーなどズラリ。(このメンバーでこの参加費用はかなり安いでんなぁ(^^;  )。会社法制部会も、そろそろ一般からの意見募集の時期に差し掛かっているのではないか・・・とも思われますし、会社法改正の骨格が見え始めてくる時期ではないかと。以下は引用ですが、

具体的には、社外(独立)取締役の義務付けの是非、監査・監督委員会、内部統制システムの整備の仕方とその監査機関との連携のあり方などを題材として、日本経済を活性化するにはどのような法改正が必要なのか、上場企業は投資家とどのように向きあうのか、そもそも会社法の改正で企業の収益性は向上するのか、上場規則の改正では不十分なのか、などを活発に討論していただく予定です。これらの問題にご関心のある方のご来場をお待ちしています。

とのこと。(うーーん、参加したい。。。)おそらく人気のセミナーだとは思うのですが、ご紹介してもよい、とのことで当ブログでも広報させていただきました。

どちらも興味ある内容でして、また関係者の方々からご招待いただいたのでありますが、実は私自身も、当日は某金融機関において講演をさせていただく予定になっておりまして、参加できませんでした(。。;)当ブログをごひいきにしていただいている方であれば、かなり関心をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんので、ぜひ東京でも大阪でも結構ですので、また参加してみてはいかがでしょうか。また、こそっと当日の様子など、メールでもご報告いただけますと幸いでございます。<m(__)m>

9月 8, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年9月 6日 (火)

会計界のAKB48からの熱いメッセージ

0005 朝から日本内部統制研究学会年次大会に行ってきました。今年は平松一夫教授が実行委員長をされ、関西学院大学にて開催されました。今年は統一論題を「大震災後の内部統制環境の変革と展望」としておりますので、財務報告に係る内部統制だけでなく、もっと広い(たとえばリスク管理、BCP、クラウドによる事業継続性確保等)内部統制を考えるシンポとなりました。本日学んだことは、今後の実務に役立てていきたいと思っております。

さて、昼食後、青学の八田先生と中庭を歩いていたとき、

「山口さん、今度いい本が出るんですよ。我々会計専門家集団が震災復興特別出版として『会計専門家からのメッセージ』を出します。被災地域の復興に向けて、会計・監査の専門家が何ができるか、被災地を元気にするために出版するんです」

メインタイトルが「会計専門家からのメッセージ」、そしてサブタイトルとして「大震災からの復興と発展に向けて」とあります。(同文館出版 1,890円税込)

ずらり並べられた著名な会計専門家のお名前。おお、これは豪華!スゴイ!

「ねえ?すごいでしょ。」

帯をみると「緊急出版!ニッポンに元気を!」とあります。しかし、もっとすごいのは「48人による会計専門家集団(Accounting  Knowledge  Board)、いわば会計界のAKB48が、元気な日本への復活に向け、叡智を結集する!」とのこと。

「山口さん、なかなかいいコピーでしょ?出版記念シンポを東北大学でやろうと思ってるんですよ。やっぱり東北が元気にならなくっちゃ!ね?山口先生!」

(^◇^;)・・・・・・・・。

なるほど、会計界のAKB48か。。。。。うまいキャッチコピーやなあ。。。しかしホンマに偶然48人だったのでしょうか(笑)

最近では「カレログ」を知ったときの衝撃に次ぐ驚きでありました。

売上の一部が義捐金として寄付されるそうでして、9月12日ころ発売とのこと。内容はなかなか興味をそそるテーマなので、私ももちろん拝読させていただきます。

ニッポン、東北を元気にする心意気には熱いものを感じるのでありますが、会計専門家の皆様がまずは前を向いて元気になっていただければ、と(^^; Gimmyさん、再任されましたよね??(^^;(ちなみに、来年の年次大会は日大で開催される予定とのこと)

9月 6, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年8月24日 (水)

本格的な対応が要求される「反社会的勢力」の「共生者」リスク

25,26日と、某金融機関にて講演をさせていただきますが、そのテーマのひとつが反社会的勢力リスク~あなたの会社も「共生者」?~、ということであります。昨夜の島田紳助さんの突然の引退会見には驚きましたが、反社会的勢力との親密交際・・・ということであれば、「なるほど」と思ってしまいます。企業社会ではまだまだ反社リスクへの対応が進んでいないのが現状でありますが、時代はすでに変わりつつあり、上場会社や中小企業にとっても高いコンプライアンスリスクの時代になってきたのであります。

ご承知の方も多いとは思いますが、この4月1日より、大阪府をはじめ全国各地で暴力団排除条例が施行され、いよいよ東京都もこの10月1日より施行となります(東京都暴力団排除条例)。今回の暴排条例のスローガンは、これまでの「暴力団をおそれない、金を出さない、利用しない」に加えて、「暴力団と交際しない」が含まれることとなりました。たとえば東京都条例では、契約締結や不動産の賃貸、譲渡に関する企業の法的義務も課されるようになりました(努力義務ではありますが)。また7月末にはアメリカのオバマ大統領が、国際的犯罪組織に金融制裁を加える大統領令において、日本の反社会的勢力を対象とすることに署名しております。もし反社会的勢力との取引等が発覚すれば、「共生者」として銀行や証券取引が困難となるリスクも高まっております。実際に、すでに会社の役員さんが社内調査の結果、辞任に追い込まれているケースも出ております。

まだ事実関係は存じ上げませんが、昨夜の島田さんの件も、少し前の日本相撲協会のパターンに近いのではないでしょうか。力士の賭博問題で出てきた証拠から、警視庁が相撲協会に対して「携帯見たら、八百長やっとるみたいやけど、これってややこしいところとつながってしまう原因になるからご注意いただきたいのですが、どうしますか?自力で解決できますか?」とのこと。警察の介入によって捜査をされたら(いろいろと出てきて)壊滅状態になるので、必死で相撲協会の自浄作用をもって八百長事件に取り組んだ。今回の島田さんの件も、(私の推測にすぎませんが)警察関係者のほうから、「島田さん、ちょっと交際がありますね?どうしますか?会社のほうできちんと対処しますか?対処しないなら、今後なにかあったらほかの人も含めてこっちでやりますけど」といった流れで、会社は必死で島田さんと対応を検討したのではないかと。引退、というけじめをつけたことで、会社側も「自浄作用」を示すことになり、これで一件落着になったのではないでしょうか。(追記:読売新聞ニュースを読むと、なんか上で述べたことが当たっているような感じですね。朝日の報道では外部の第三者情報をもとに社内調査が行われた、とありますのが・・・)

これもまたご承知のとおり、最近は企業間取引の契約書に「暴排条項」が含まれております。「おたくの会社はフロント企業ですね?」などと失礼なことを言えないので、どういったときに契約を解除できるかは、属性要件と行為要件の総合的判断となります。したがって、相手が暴力団とは認められなくても「共生者」の疑いがあれば取引停止・・・という事態も考えられます。社員や役員がそういった方々と交際していた(もしくはしている)ことが発覚した場合、もしくは下請会社や子会社が親密な関係にある場合、取引を一方的に解除されてしまうことになります。「共生者」と思われたらたいへんなわけですから、なにか黒い噂が立った場合には、きちんと社内調査、社内処分をして「うちは反社会的勢力とは何の関係もありません。排除する仕組みもあります」ということをパフォーマンスとして世の中に示す必要があるわけです。

おそらく島田さんのケースでも、少し前ならば謝罪をして、しばらくの間、謹慎していればよかったのではないでしょうか。つまり交際をした個人の問題だったのであります。また、企業としても「平時の内部統制システム」の問題だったのであります。しかし反社会的勢力との癒着問題に関する企業のリスクが高まり、時代も変わりました。もちろん内部統制システムの構築も重要ですが、問題が発覚した際に、企業自身が、どう「けじめをつける」か、どう自浄作用を発揮するか、つまり企業の危機管理(クライシスマネジメント)が問題となる時代になったと思われます。

8月 24, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (22) | トラックバック (2)

2011年8月11日 (木)

九電やらせメール事件(関係者の解任と証拠隠滅工作)

仕事中なので、備忘録程度ですが。。。

本日(8月11日)あたりの朝日、読売ニュースでは原子力発電本部に近い幹部社員(執行役員?)2名の方々が、関係書類を破棄した(もしくは破棄を指示した)等の理由で、近く更迭されることが報じられております。本来ならば、第三者委員会の報告内容をまって処分を検討する予定だったものが前倒しで処分を行う、というものだそうです。

内部告発があって、証拠隠滅工作が発覚したものも一部あるようですので、善解すれば「第三者委員会の指示には全面的に協力するように」との経営トップの真摯な意思を表明したものとして、九電本部の自浄能力が発揮された場面のような気もします。しかし、うがった見方をすれば、「すでに九電のポジションがなくなってしまう人たちが、第三者委員会のヒアリングにアレコレと正直に話すことを回避するためでは?」とも推測されるわけで、このあたりはマスコミでは一切報じられておりません。後者であれば、まさに九電ぐるみでの証拠隠滅工作ということになります。

解任処分後も、関係者が第三者委員会のヒアリングに協力することが確約されているのであれば問題ありませんが、解任によって第三者委員会のヒアリングができない・・・という事態となると、これはまた大問題となるような気がいたします。そのあたりが一番知りたいところです。

8月 11, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2011年8月 4日 (木)

今夕、統合のリリースはあるのか?(日経VS朝日の報道より)

(8月5日未明 追記あります)

とくにビジネス法務とは関係のない、個人的なつぶやきですが・・・

さぞや日経新聞経済部の記者の方々は、経済紙の本領発揮、胸のすく思いで日の出を迎えたと思いますが、朝日新聞ニュースでは日立と重工、「合意至らず発表中止」「統合に向けて意見の相違が大きい」と報道。日立の社長さんが夕方に統合を発表する、と記者団に回答しておられたにもかかわらず、発表は中止の見込みと伝えております。また日経は「経営統合」とありますが、朝日は「これまでの延長としての事業統合への交渉」とあります。

どちらが正しいのでしょうか?私はキリンとサントリーの統合発表のときにも申し上げましたが、こういった大型統合は原則として日本では無理、国の後押しもないし、銀行の力もないし、またそもそも「組織のために犠牲になること」を美徳とする教育は50代~60代ではほとんど受けていないからです。とくに金融機関のトップに近い人たちの中で、「相手を最後まで騙しきれる」力量を持った人がどれほどいるのでしょうか?

ただ、今回ばかりはほとんどの日本の会社の「お尻に火がついている」ことは、いろんな会社の方から聞いております。日本のトップ企業ほど、正確な立ち位置を理解され、重大な経営判断を必要とする時期が間違いなく到来していますね。ということで、私は(今夕の発表が中止になったとしても)基本的に統合の方針が進むのではないかと。

(追記)

結局、統合に関する記者発表はありませんでした。

おもしろいのが三菱重工さんの「一部報道について」のリリース

えらい怒ってはるのでは???日経さんへの抗議???

そういえば重工さん側へのインタビューがあまり聞かれないような。。。

ホント、これほかの会社でも使えそうですね(笑)

経営統合と事業統合とではエライ違いですよ。

8月 4, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2011年7月18日 (月)

ネステージ事件にみる「現物出資」による第三者割当増資の専門家リスク

連休中、皆様いかがお過ごしでしょうか?大阪は本当に暑い!かなり夏バテでして、いつも休日に通っております歯科クリニックにおいて、私は初めて口を開けたまま眠りにつく・・・・・という失態を演じてしまいました。

先日(7月14日)、ネステージ社の関係者逮捕劇については、初めてテレビで解説をさせていただき、1分ほど放映されましたが、やはりテレビの反響は大きかったです。あのような不公正ファイナンス事件の真相を、わずか1分でテレビの茶の間の方々に理解してもらうことはほとんど不可能なわけでありますが、まぁネステージ事件全体では15分の特集番組でしたので、全体をご覧になれば、証券市場の健全性を損なう事件・・・という程度のことはおわかりいただけたのではないかと思います。

ところで、本日、ろじゃあさんからもTBをいただいておりますが、ネステージ社に株式割当先会社を紹介したのは、今年1月に逮捕された春日電機の元社長さんだった、ということが新たに報じられており、闇の連鎖が垣間見えるようで興味深いところであります。「連鎖」というのは、摘発する側からすると、それぞれの事件の立件にあたり、不透明な部分を補強できる、ということを意味しますので、摘発事件が増えれば、また別件が容易に摘発できる、という「連鎖」もあるわけです。ということで、現在問題とされている「不公正ファイナンス」事件につきましては、ほかにも現在「疑惑」がもたれている件もあり、戦々恐々とされていらっしゃる方々も多いのではないでしょうか。

ただ、事件そのものへの関心よりも、私が身近なリスクとして喫緊の課題だと考えておりますのでは、こういった不公正ファイナンス事件への法律・会計専門家の関与であります。先日、ある元会計士の方に実刑判決が下りましたが、「確信犯」的に不正に関与されているケースというのは特に申し上げることはございません。しかし、不公正ファイナンス事件に弁護士や会計士などの専門家が巻き込まれるケースというのは要注意であります。

たとえばネステージの件について、割当される株式の評価額と、出資に用いられる不動産の評価額が著しく異なるのではないか?ということが問題とされ、不動産の評価を行った鑑定士の方が逮捕されたわけですが、こういった「現物出資」が行われる場合には、不動産鑑定士の評価だけでなく、裁判所の選任する検査役検査に代わる弁護士・会計士の評価額の相当性に関する証明が必要となります(会社法207条4項)。ネステージの件では、公認会計士兼税理士の方が、この現物出資の財産評価は適正である、と証明しておられ、また任意に設置された第三者委員会の弁護士や会計士の委員の方々が、一連の会社の手続きは適正であることを報告書で宣明されておられます。

今回の事件で逮捕された不動産鑑定士の方は、逮捕前の朝日新聞によるインタビューに対し、評価は適正である、何も悪いことはしていない、として容疑を否認されていたようでありますが、おそらく検査役調査に代わる会計士や弁護士の審査においても「価額は相当だ」と証明しているではないか、といったあたりを主張されているのではないでしょうか。私はこういった不公正ファイナンス事件について、評価金額の相当性が争われるようなタイプの立件を捜査機関はしてこないと考えています。評価の妥当性よりも、むしろ不動産鑑定士さんが誰から誰に紹介され、また事前に関係者とどのような協議をし、その結論として「はじめに鑑定結果ありき」といった事実を証明できる事実の積み重ねが重要なポイントになるものと考えます。したがって、別の怪しい鑑定評価が問題となった事件が調査されたり、別の不公正ファイナンス事件で立件された関係者とのつながりが認められるような場合には、公正な立場で鑑定しなければならないにもかかわらず、鑑定士さんは、鑑定判断に必要な条件となる前提事実自体を公正に拾い上げていない可能性が高いことになります。鑑定に必要な事実の拾い上げの部分にミスがあれば、これはもはや専門家領域の問題ではありませんので、事件の進展がみられる、といったことになり、今回の逮捕劇につながったのではないでしょうか。

これはキャッツ事件における最高裁の判断にもみられるところであり、専門家領域の判断を法律家が判断することへの批判を回避しつつ、専門家の関与(事件への加担)を糾弾する場合に用いられる判断過程であり、たとえば本件で、不動産鑑定士さんは立件するけれども、同じく現物の評価額の相当性について証明書を提出した会計士、税理士さんは立件しない、とする結論を支えるところではないかと。

ただし、そうは言いましても、民事損害賠償問題は別ですので、関与されている会計士、弁護士の方々のリスクというものはやはりあるだろうなあと思います。300万円、400万円の報酬を目の前にして、不動産鑑定士さんの鑑定評価書などを参考にして出資対象となる資産評価の相当性を判断するわけですから、我々専門家にとっては、ちょっと誘惑的な業務であります。しかし、ネステージ事件以外にも、相当数の不公正ファイナンス事件予備軍らしきものが散見され、そこでもやはり当の発行企業は専門家の判断を用意周到な手続きによって集めております。果たしてこういったリスクが会計士、弁護士などがどこまで認識しているのか、ひょうっとしてあまり認識せずに、請け負っているのではないか・・・・。そのあたり、私は非常に危惧するところであります。

インターネット総研さんは、粉飾決算事件による損害の公平な分担を求めて、子会社を販売した親会社、その子会社を監査していた監査法人を訴え、そして事件発覚から4年を経過した本年、東証さんを提訴しました。第三者割当増資に関する監査役の適法意見制度なども新設されましたが、これも果たしてどこまで機能するものか、心もとないのが実務運用の実際でありますので、不正事件が発覚した場合のリスクというものを誰がどのように負担するのか、今後の課題ではないでしょうか。

7月 18, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2011年7月 1日 (金)

社外監査役選任議案、ついに否決例が出る(独立性に問題か)

facebookで知りましたが、6月28日のニフコ社の定時株主総会で、社外監査役選任議案が否決されたそうであります。急いで日経新聞(7月1日朝刊)を読むと、たしかにベタ記事が掲載されていますね。反対票が50%強だった模様。(追記:ニフコ社の6月30日付け臨時報告書を拝見しましたが、賛成49.05%ということで、本当にギリギリのところで否決されたようであります。当日出席株主の議決権行使結果まで集計しておられますね)

この社外監査役の方は、バリバリの企業法務に詳しい法律家の方(法制審の委員もされていらっしゃる)ですが、顧問弁護士と同じ法律事務所に勤めておられる方、とのことで独立性に問題あり、とされたのでしょうか(日経新聞は、そのような書きぶりです)。ただ、平成16年にニフコ社の社外監査役に就任されておられるので、「二期8年を超える者は社外とはいえない」として、こちらでも独立性を疑問視されたのかもしれません。

たしか昨年も、社外監査役の独立性に関しては、株主から強い批判票が集まっており、賛成比率が60%台だった企業が5社ほどあったように記憶しております。今年は監査役の改選が非常に多い年になりますので、否決例が出るのではないか、と思っておりましたが、「やはり」というのが実感でございます。

しかし、補欠監査役に選任された方、いきなり監査役に就任することになるわけで、心の準備はできていたのでしょうか?おそらく株主総会には出席されていなかったのではないかと。

7月 1, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2011年6月24日 (金)

法務部門の分離革命(すでに実施企業もあるとか・・・)

(6月24日午前:追記あり)

いま某企業の法務部の方と、新しいコンプライアンス・ハンドブックの作成に取り組んでおりますが、実際に法務部の方と作業をしていて感じますのは、(どこの会社でもそうだとは申しませんが)法務部門には異質な仕事が混在していますね。

いわば「品質管理」の問題と「リスク管理」の問題。前者の典型例が契約審査であり、瑕疵担保責任条項の中身など、細かくチェックして、どんな事態となっても自社が不利益を被らないように細心の注意を払って契約条項を作りこんでいく作業。実際の交渉において、その条項が通るかどうかは、また力関係や説明能力によるところもありますが、こういった品質管理に力を発揮する法務部担当者がいらっしゃいます。

そして後者はといいますと、まさにコンプライアンスのお仕事であり、全社的なリスクに精通して、企業活動の統制を図るというもの。企画本部や営業部隊が投げ込んでくるボールについて、ギリギリでストライクと審判に判定してもらえるように理屈を考える、いわば企業の戦略を法務面において支える実行部隊の役割です。実際、ハンドブック作成に関与して、「経営企画本部にモノが言える法務であるためには、この戦略法務のところで活躍する必要がある」ということのようです。ですからコンプライアンス・ハンドブックの大きな役割は、社員が「気づくこと」そして「気づいたことを伝達すること」に重点を置きます。不正かどうかは、ゴーサインを出す専門部隊が最終的に受け持つことになります。こういった業務が得意な法務担当者もいらっしゃるとか。

企業内弁護士の方も相当増えましたが、企業内弁護士も、どちらが得意なのか分かれるのではないでしょうか。また、最近の企業では、戦略法務的な業務を受け持つ部署と、契約審査などを中心として受け持つ部署で、分けているところも増えているそうであります(コンプライアンス部、CSR部などを独立させているもの)。仕事の性質がかなり違うようですから、人的資源が豊富であるならば、法務部門を充実させて、上記ふたつを分離する、ということも検討されるかもしれません。(別にタイトルにあるような「革命」というほどのこともないかもしれませんが・・・)

最後になりますが、政治的配慮に長けておられる法務部門の方もいらっしゃいますね。経営トップがコンプライアンスに熱心な方であればよいのですが、実際には「コンプ」まで聞いたところで「もういい」と拒絶反応を起こす社長さんの場合、法務部門としてはとても仕事がやりづらいことになります。そこで、そもそも社内で政治力を持った役員(執行役員)の方から社長に意見を提案してもらえるよう、当該役員さんに向けてプレゼンを行う法務部門の方もおられるようです。やはり仕事がやりやすい社内環境作りはきわめて大切だそうですね。

(追記)昨年10月、ソフトバンク社の法務部長さんの「ビジネス法務」での記事についてコメントしたエントリーがあります。本件エントリーにご関心のある方は、こちらもご参考ください。「法務部員が元気になる記事」

6月 24, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2011年6月22日 (水)

ACFEセミナー(大阪)のお知らせ -6月25日土曜日-

本日の日経新聞の解説で、IFRSの導入に合わせて、英語が堪能な会計人材が不可欠、とありますが、国際的感覚が必要なのは語学だけでなく国際的倫理観も当然に必要になるわけであります。IFRSの準備期間中に、各企業はIFRSに求められる会計倫理観をどうやって学ぶのか、海外から「粉飾だ」「詐欺会社だ」と言われて反論できなければ、日本では粉飾決算として摘発されずとも、国際的な信用を失うわけでして、そのあたりをどのように習得するのか、とても気になるところであります。

さて、私が理事を務めておりますACFEでは、企業会計上の倫理感が今後重要なものとなることから、CFE資格者のCPE(継続研修義務)に、昨年から「企業倫理」が新たに必須科目となりました。とりわけCFEの本場である米国からみた「企業倫理」(とくに会計上の倫理、誠実性)を学ぶことになるわけですが、この6月25日(土曜日)、大阪で「専門職に求められる職業倫理」と題するセミナーを開催いたします。講師は甘粕さんです。また、午後からはかつて検事として組織犯罪捜査で活躍され、現在は第三者委員会委員等として不正調査に従事されていらっしゃる木曽先生のセミナー「ワンランク上の不正調査スキル」が開催されます。

いずれも、一般の方もご参加可能でございます。企業倫理、不正調査にご興味のある方、またCFE(公認不正検査士)の資格にご関心のある方は、今度の土曜日、セミナーに参加されてはいかがでしょうか。くわしくは、ACFEのWEBよりご覧ください。

6月 22, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年6月17日 (金)

会計検査院のおしごと

本日(6月16日)、虎ノ門の会計検査院にて、調査官の方々向けの「企業不正防止のための内部統制構築の実務」なる講演をさせていただきました。検査官や調査官の方々とは、仕事上の接点もほとんどございませんので、合同庁舎7号館はほとんどアウェー状態でありましたが、院長さんはじめ、たくさんの調査官の方にお越しいただき、不祥事の原因究明と分析、再発防止策の検討を中心に具体例を交えてお話させていただきました。

会計検査院の調査官といえば、ご存じ「プリンセストヨトミ」・・・・、ということで堤真一さんや、綾瀬はるかさんのような調査官が実際にいるのかなぁ。。。。と会議室を眺めておりましたが、うーーーん。(ー_ー)!!

やはり現実の会計検査院のお仕事と映画の世界では少し違うのでしょうね。実際、大阪での実地調査は3人ではなく5人程度が1グループとなるそうです。また、独立行政法人でも複式簿記を採用するところが増えておりますので、最近は国家公務員試験合格者だけでなく、公認会計士試験合格者にも調査官の門戸が開かれているそうですね。講演終了後、室長さんから会計検査のイロハについて1時間ほどレクチャーを受けましたが、なるほど、最近はプリンセス・・・ではありませんが、地方公共団体の不正根絶のための仕組み作りなどにも関心が高まっているそうであります。

お話を聞いてみますと、公共団体の不正(とりわけ資産流用)・・・というものは、また民間企業のそれとは少し性質が違いますね。たとえば不正のトライアングル(動機、機会、正当化根拠)に分析してみると、とてもオモシロイことに気づきますが、また長くなりそうですので、これはまた別の機会に、ということで。

6月 17, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年6月 7日 (火)

被災地相談関連-相続放棄熟慮期間の延長措置等

6月11日で震災から3カ月が経過するわけでありますが、議員立法で相続放棄に関する熟慮期間(3カ月)の延長等が検討されていると報道されております。「そんなんあたりまえやん!」と同業者の方からブーイングが出そうなネタではありますが、最近のマスコミ報道であまり触れられていない点についてコメントしたいと思います。

ひとつは、相続放棄は(自分のために)相続開始を知ったときから3カ月以内に最寄りの家庭裁判所に申述手続きを行うのでありますが、注意しなければいけないのは、法定の単純承認事項です。被相続人の財産について、何らかの処分をしてしまったら、それは相続を単純承認したものとみなされ、その後は相続放棄はできません(民法919条、921条)。相続人の預金を解約して使ってしまったとか、死亡された方の債務者から借金の返済を受けた、といった後に、実は被相続人の借金のほうが大きかった、というケースなどは注意が必要です。悪質な金融業者等は、こういった法定単純承認事項を活用して、後日、相続放棄できない状況にしてしまうことも、過去にありました。これは相続放棄の熟慮期間が延長されても解消しないリスクです。(ただ、そのようなケースでも法律専門家に相談して、なんとかなるケースもありますが)

もうひとつは「限定承認」ですね。相続した資産の範囲でのみ負債を承継する(つまり責任財産は相続資産のみ)、ということで、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか不明なケースで限定承認が行われる、というものですが(民法922条)、これは結構、難しい手続きなので、弁護士の支援が必要ではないかと。とくに土地などが資産に含まれている場合、譲渡所得税が高額となり、これはそのまま限定承認者の個人資産に影響を与えますので、相続放棄すればよかった、単純承認すればよかった、という結果になるケースがあります(弁護過誤もときどき散見されます)。

最後は「震災の行方不明者、死亡届の受理簡易化を決定 法務省」との日経ニュース。これは被災地の法律相談でも一番多かったので、被災地でお困りの方々によってはビッグニュースだと思います。現実には死亡認定制度が活用しにくい、と言われていたので、相続問題や保険金受け取り問題などに大きな前進がみられるのではないかと思います。

実際に避難所に行ってみますと、(私の行った避難所では)4台ほどのパソコンがネット接続状態で提供されていたのですが、ほとんど使われていませんでした。被災者の方々には、こちらから直接情報提供しなければならないことを痛感しました。また今年度中にもう一回被災地相談に行きたいと考えておりますが、こういった情報を被災者の方々へどうやって届けるかが課題ですね。

6月 7, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年5月31日 (火)

「法の解釈」よりまず「立法政策」を!~被災地相談を終えて~

ただ今、大槌町から盛岡へ戻ってまいりました。さきほども、報道されているとおり釜石を震源とする余震(震度4)があり、地震に慣れていない関西人としては、不安な毎日であります。大阪弁護士会からの震災支援として、この月末、被災地弁護士相談を担当いたしました。私が担当させていただいたのは、岩手県大槌町、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、町長含め役場の3分の1の方々が津波の犠牲となった町で、震災の打撃が陸前高田、山田町と並び、もっともひどい町であります。

大槌町の「かつて」町の中心部だった場所を撮影




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信じられないかもしれませんが、私が立っている場所は、まだまだ海浜部まで延々と陸地が続く場所であります。

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大槌町では、津波の直後に火災が発生し、現在も残っている建物は黒く焦げていました。

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大槌町の高台にある城山体育館から町の全景を撮影

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私が担当した避難所(大槌町弓道場)。3月には250名の被災者の方が寝泊まりしておられましたが、現在は130名ほど。ただ、事前広報により、すでに避難所を退所された方々も相談にお見えになりました。(張り紙のとおり、内部の撮影は禁じられております)

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本日(5月31日)が、避難所相談の最後の日(明日からは役場等)でしたが、多くの方々が相談に来られました。二重ローン問題、権利証紛失、特別融資制度、被災者への一時使用による建物賃貸、(夕方に仕事から帰って来られる方が増えるため)労務問題など。

「こちらから、相談者の身の上をあれこれと聞いてはいけない」と研修を受けておりましたが、皆様、こちらから聞かずとも淡々と身の上をお話されておりました。家族がすべて死亡してすでに生命保険金を受け取った方、夫が行方不明となり、なかなか認定死亡制度が適用されない方等々。とりわけ、遠方に出稼ぎに行っていたときに故郷(大槌町)が被災し、妻を思い、死に物狂いで帰ってきたところ、その生存が確認できたと同時に、妻が元の夫(被災者)を相談者所有の空き家に住まわせているのを発見したが、気の毒で何も言えない、せめて(そのまま元夫を住まわせて)建物の所有権は確保できるか、といったご相談には、胸がつまってしまい、涙が出てしまいました(なお、事案自体は守秘義務の関係上、若干の修正をしております)。

大規模半壊と全壊を区域によって一斉認定していること、税金滞納者にも全納者にも支給が平等になされていること等、行政の不平等を訴える声はピークに達しているように感じました。法律相談というよりも、情報提供と心のケアがほとんどでありましたが、阪神淡路大震災のときとは様子が違うことを痛感いたしました。あのときの弁護士の役割は、民々紛争を解決するなかで震災復興に寄与するものでしたが、この東日本大震災では、ともかく現地被災者の声を弁護士会で集約し、これを立法政策への提言に結び付けることが喫緊の課題であると思います。

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あまり報道されていませんが、釜石市と大槌町の間にある両石町も悲惨でした。大槌町や釜石市はすでにがれき撤去作業が進んでおりましたが、ここは全く手つかずの状態。沿岸部の町のなかで、比較的復旧の気運で出てきたのが宮古市、釜石市、大船渡市。そして、まだまだなのが大槌町、山田町、陸前高田市。隣接市町村によって復旧の度合いが微妙に異なっていることが、問題を複雑化しているそうであります。また、田老町の有名な堤防が役に立たなかったことは報道されていますが、逆に普代町の堤防は、しっかり津波を押しとどめ、町民の命を救っていたことも、あまり報道されていないようであります。

盛岡から車で片道3時間。今回の被災地相談は、地元岩手県弁護士会の献身的な努力のうえに成り立っております。ボランティアに行く者よりも、ボランティアのお世話をする者のほうが数倍たいへんであることを今回実感いたしました。心より、岩手県弁護士会の先生方にお礼申し上げます。また、明日以降も、被災6市町を中心に被災地相談をされる東北、北海道の弁護士の方々にエールを送りたいと思います。被災地支援に派遣いただいた大阪弁護士会に、今回の情報を忠実に報告し、私の「職分」とさせていただきます。

5月 31, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年5月17日 (火)

東電社長はなぜ現場で陣頭指揮をとれないのか?

本日、皆様よく御存じの某企業の専務さんと食事をご一緒したときのお話。私は、コンプライアンス(クライシス・マネジメント)の視点から、(たとえ世間向けのポーズであってもいいので)東電の社長さんは、原発事故の現場で陣頭指揮をとって、これを世間に公表すべきではないか、そういった社長の姿勢があれば、もう少し世間の東電に対する風当たりが弱くなるのではないか、との(とても一般人的な感覚の)意見を申し上げました。ちなみに、これまでの報道によりますと、東電社長さんは、作業現場へ激励に行かれたことはあったようですが、それも「社内の話」とされ、公表されることはなかったもので、ましてや「陣頭指揮」といったことはこれまでなかったように思います。

すると、その専務さんは

「そりゃ無理ですよ。東電くらいの規模の会社になってしまったら、本人が行きたくたって、周りがそれを許しませんから。『社長、それなら私が行きますから』で終わりですよ」

とのこと。電力会社で「原発畑」を歩んできた人は、「不祥事が発生したら責任をとらなければならない」立場にあるので、社長候補のエリートさんは社内で聖域化した「原発畑」を歩んでこなかった、だから陣頭指揮をとれないのだろう、と私は理解しようとしたのですが、そうでもないようです。専務さんによれば、

「たしかに社長さんは、自分の好きにやってあとは辞任すれば済む話です。でも本社の人間からしたら『現場の指揮に社長を行かせた』ということ自体、歴史的な屈辱ですよ。社長の周りにいる将来ある幹部からすれば自分が現場に行ってでも阻止するでしょう。それに、社長は常々、周囲の役職員に『ちゃんと調べたのか?』というのが口癖ですから、周りの者が社長に進言する際には、きちんと調査する。それを冷静に聞くのが社長ですから、少し時間をおいてしまうと行けなくなってしまうんですよ。」

そんなもんなんでしょうか。そういえば、社内の重大な企業不祥事が社長の耳に入らないのも、担当役員が「もう少し正確に事実調査をしてから社長に伝えよう」といった、自身の勇気のなさを正当化する理由から、というのがよくあるケースであります。もっと早く社長の耳に入れば不正を隠ぺいすることなく公表できたのに・・・と思うことがよくあります。

しかし今回は有事です。平時なら専務さんのおっしゃることもわかるのですが、このような有事なら、周囲の制止を無視してでも、社長が現場へのりこんで陣頭指揮をとってもいいのではないでしょうか?こう疑問を申し上げたところ、この専務さん曰く、

「先生、やっぱりサラリーマンの経験がないから甘いですわ(笑)。よう考えてみてください。周囲の意見をきかずに、みずから現場で陣頭指揮をとるような人がサラリーマン社長として出世できると思いますか?たしかにうちの会社にも、東電にも、そういった人はいますよ。でも、平時にそんな人はうっとうしくて、使い物にならないのですよ。有事に必要とされるような人は、いまごろは関連会社ですよ。周囲に優秀な役職員を置いて、的確な意見を集約して、冷静に経営判断をすることで上ってきた人は、有事にも同様の行為しかできないでしょう。」

「土下座はやれと言われたらやれますね。土下座というのは、屈服する姿勢ではないでしょう。まだまだ相手に要求する(相手を屈服させる)ことがあるからできるんですよ。国会議員だって、選挙前日ならやるでしょ?当選御礼ではやりませんよね。心から謝罪する気持ちだけだったら誰もやりませんよ。」

なるほど・・・・・・・・。そういえば刑事弁護人をやっていても、被害者と示談したいときには被告人は土下座して謝罪しますけど(情に訴えるのでしょうね)、示談ができなかったり、示談が終わった後にはしないですね(絶対に、とは申しませんが・・・)。企業組織の力学は在野の一介の法曹にはわからないものであります。

5月 17, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (16) | トラックバック (0)

2011年5月14日 (土)

東電賠償めぐり激しいバトル(原子力損害賠償法3条問題)

予想どおり、原子力損害賠償法3条の解釈をめぐって、枝野氏と与謝野氏との間で激しいバトル(言い争い→怒鳴り合い)が繰り広げられたそうです。(東電賠償めぐり激しいバトル-14日読売新聞ニュース)この件につきましては、5月1日に私の意見として述べたところでして、当ブログでも賛否両論分かれました。

6日から始まった閣僚会議での主要な争点だったそうですが、最終的には枝野氏が押し切ったとされています。しかしこの問題はまだまだ簡単に決着がつくものでもないと思われますので、今後の展開に注目してみたいと思います。とりいそぎ備忘録のみ。

PS

日本監査役協会の築館会長(東京電力常任監査役)が会長職を辞任されたそうで、本当に残念です。一度だけお食事をご一緒させていただいたことがありますが、監査役の地位向上、コンプライアンス経営、CSR経営にたいへん造詣が深く、また法制審議会の委員として、バランスのとれたご意見を述べておられました。これまでの監査役協会会長としてのご尽力に感謝申し上げます。

5月 14, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2011年5月 1日 (日)

原子力損害賠償法に関する私の解釈(単なる試案ですが・・・)

原子力損害賠償法(原子力損害の賠償に関する法律)の解釈について、いろいろと世間で議論されております。話題の中心は「原子力損害賠償法3条1項但書によって、東京電力は、発電所事故に起因する原子力損害の賠償について免責されるか?」という点のようです。

ちなみに原子力損害賠償法3条といいますのは以下のような条文です。

第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
 前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。

原則は原子力事業者が無過失損害賠償責任を負うが、この3条1項但書によって、その損害が異常に巨大な天災地変によって生じた場合には免責される、ということになっております。そして今回の東日本大震災の地震、津波による発電所事故が「異常に巨大な天災地変による事故」といえるかどうか、という点が論点かと。ただ、「免責される」というのは、この法律に基づく無過失責任であって、一般の不法行為責任まで免責されるかどうかはまた別個の問題かと思われます。

私はCSR(企業の社会的責任)として当然に東京電力に(補償)責任があると思っておりますが、ただ法的根拠もなく、賠償に応じるということになりますと、おそらく東電役員の方々が株主代表訴訟に耐えられないかもしれず、やはり法的責任の有無を論じておく必要性は否めません。そこで、あまり政治に関係する話題は当ブログでは取り上げないことにしておりますが、法的な解釈に関する点のみ意見(解釈試案)を述べておきたいと思います。なお、以下の解釈は、漠然と私が考えていることをいちおう文字に表現したにすぎず、それ以上でも、それ以下でもございません。ご異論、ご批判もあろうかとは思いますが、あくまでも一個人のブログネタ程度にお考えください。

「原子力損害賠償法」は基本的には①事業者の権利制限を伴う取締法規たる性質、②有事の際の行政組織法的性質、そして③民間企業と被害者との私法的権利義務関係を規律する法律の性質が混在したものであります。そして原則として有事を念頭に置いた「例外的措置」を規制した法律であることが重要かと思われます。つまり最初から「不可抗力」でも事業者が被害者に対して損害賠償を行うことが規定されています。(損害賠償責任というのは、本来ならば加害者に故意過失がなければ支払い義務が発生しませんが、不可抗力でも発生する、という点が「超法規的」「例外的」であり、事業者の権利を制限しているところです)したがいまして、今回の東日本大震災に関連する「原子炉の運転等の事故」による被害者の損害は、原則として賠償責任の対象となりそうですが、では3条1項但書の「異常に巨大な天災地変」に該当し、東電は免責されるのでしょうか。

私は東電の原発事故によって生じた損害は、「異常に巨大な天災地変」によって生じたものではない、と考えます。

第一に、東電の賠償責任の法理は「無過失責任」とはいえ、いわゆる「許された危険の法理」によるものだからです。原子力発電所はもともと非常に危険でありますが、それが社会において必要だから、その運転は違法ではありません。いわば暗黙に社会的に許されて作られているものです。しかし運転稼働することが違法ではないことと、危険に伴う損害発生の負担とは別であります。そのような危険物を建築しておいて、その危険物から収益を上げているのが事業者であるならば、なにか事が起こった場合にはその危険の負担も当然に事業者が負うべきである、と考えるのが分配法理としては正しいと思われます。そう考えますと、この危険分配の例外規定については、きわめて限定的に解釈されるべきものと思われます。同法には、別途第三者による故意の原発攻撃が発生した場合の求償規定が置かれていることからみても(第5条)、よほどの事態でなければ事業者に損害賠償義務が免責されることは考えにくいことが理解できます。

第二に、ではいかなる場合が「異常に巨大な天災地変による原子力損害」かといえば、そもそも先に述べたように、原子力損害賠償法の基本的な性格は法が私人(事業者)の権利義務関係を規制し、私人間の私法的な権利救済方法を規律すること(被害者救済)にあります。そこでは最終的には司法による国家権力の行使が予定されています。また同法は、平時に適用されるのではなく、異常時にこそ適用されることが当初から予定されている法律です(たとえば借地借家法ではなく、有事には罹災借地借家法が適用されるようなもの)。つまり、有事であっても、この法律は国家権力によって平穏に被害者救済が実行されることが予定されています。そして、その国家権力は立法でも行政でもなく、司法であり、もし事業者が本件被害者への損害賠償を履行しない場合には、国家権力によってその強制的実現が図られることが当然の前提とされています。つまり有事といえども、行政が口をはさまなくても、民間にゆだねることで裁判所による被害者救済が図られる限りは、事業者の賠償責任によって解決を図る、ということであります。被害者側からみれば、自力で損害賠償請求権を確定させ、賠償保険制度を活用して、そこから優先弁済を受けよ、ということです。

しかし、天災地変によって司法権すら十分に行使できないような事態ということも想定されます。この法律は(賠償責任保険制度を通じて)本来「民と民」の権利義務関係の履行によって処理されることを念頭に置いておりますので、裁判所という国家権力が機能しないような事態になった場合には、もはや法律の目的を達成することが困難になります。そういったケースとなれば、もはや裁判所による権力行使によって速やかな被害者救済が実現困難になってしまいますので、例外的な対応として同法17条により、行政府による権利救済(あるいは被害者救済の一時的義務の発生)が認められることになります。

つまり「異常に巨大な天災地変」というのは、国家権力のひとつである裁判所の全部もしくは一部が機能しえなくなるような重大な震災を指すものであり、だからこそ「社会的動乱」と並列的に規定されているものと解するのが妥当であります。また、このように文言を制限的に解釈することが、危険分配法理による事業者の責任負担を定めた同法の趣旨にも合致します。今回の東日本大震災については、原子力発電にも一般市民にも壊滅的な被害をもたらしましたが、発電所事故を発生させた要因となる震災は、管轄区域の司法権行使の機能をまひさせるほどの障害をもたらしているようには思えないので、これは原子力損害賠償法3条1項但書の適用場面ではないと考えられます。よって原則どおり、東電は同法によって損害賠償責任を負担するものと考えるのが妥当を思われます。

5月2日未明 追記

ある経営コンサルタントさんがTBされているブログに、原子力損害賠償法制定時における国会答弁の記録が掲載されており、非常に参考になります(コンサルタントさん、ありがとうございました <m(__)m>)

5月 1, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (32) | トラックバック (1)

2011年4月28日 (木)

被災地支援特別講演・満員御礼(ありがとうございます

サイドバーにも掲載しております「東日本震災支援特別講演」(5月18日国際会議場8階)のお知らせです。本日現在、お申込みが定員30名を超えました(現在31名)。とくに当ブログをご覧の皆様方におかれましては、総務、経理、法務等関係者の方が多く、一番お忙しい時期ではないかと拝察いたしますが、お越しいただくこと、厚く感謝申し上げます。

会議場側と協議しましたところ、あまり窮屈感を出すことなく、机の並べ方であと5名ほどはなんとかお入りになれるようですので、もしこれからでも「聞いてみよう」とお考えの方がいらっしゃいましたら、なんとかします(笑)。

4月 28, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年4月25日 (月)

非常時のリーガル・マインド(超法規的措置とその限界)

法律雑誌ビジネス・ロー・ジャーナルの最新号(2011年6月号)は「震災法務」の特集号ということで、とりわけ企業法務の観点から参考にさせていただいております。ところで、本号の巻頭(インサイド・ストーリー)に(ときどきお会いする)日経新聞編集委員の三宅伸吾氏による「非常時のリーガル・マインド」なる小稿が掲載されております。

内容は松田公太参議院議員(タリーズコーヒージャパン創業者)が震災2日目に被災地に救援物資を届けようとしたところ、がんじがらめの行政規制によって空輸ができなかったこと、その後国交省が超法規的措置を例外的に認める対応をとったことを題材に、厳しい状況におけるリーガル・マインド(非常時のリーガル・マインド)について書かれたものであります。私利私欲に基づかず、緊急事態において行政法規に形式的に反してでも国民の生命、身体、財産を守る行動については、「正義」に適うかぎり、これを超法規的措置として許容しうること、そしてそのことを法律家が権威付けることの必要性について、私は三宅氏の意見に大いに賛同するところであります。そして、私は非常時のリーガル・マインドは行政対応だけでなく、民々の問題を処理するケースにおいても要求されるのではないか、と思うのであります。

4月11日の日経朝刊「法務インサイド」にて「訴訟でも震災の特殊事情が考慮され、平常時のルールがしゃくし定規に適用されるわけではない」と、私のコメントを掲載していただきましたが、たとえ訴訟に至らなくても、緊急時には行政、企業そして個人一人ひとりが法的判断を迫られるのであり、安全確保のために様々なルールが障害になってしまっては正義に反する結果となるのであります。たしかに平時であれば「法令遵守」の精神によって許容されないような事態であったとしても、有事となればあえて「法令に形式的に反する行動」が許容されうることは、おそらく国民の一般常識としても理解されるのではないでしょうか。

ただ、「超法規的措置を許容する」といいましても、弱肉強食の世界を許容するような解釈はとりえないことは肝に銘じるべきであります。たとえば罹災借地借家法(罹災都市借地借家臨時処理法-現在見直しの必要性が言われておりますが)の存在であります。これは私利私欲の世界であっても、緊急時には超法規的措置(民法、借地借家法の例外的措置)が許容されることの根拠となるでしょうが、なぜ平時のルールからすれば権利が消滅したり、対抗要件が失われたりするにもかかわらず、これを有事に保護するかといえば、緊急時における力の支配を許さず、後日の平和的解決の道を確保するためであります(文化国家における最低限度の法の支配)。

したがいまして、超法規的措置が許容される根拠としましても、私は「正義」というものを、そのまま用いることにはやや懐疑的です。「正義」という言葉は、非常に主観的、相対的、配分的なものであり、法の世界では自らの主張を正当化するために、いかようにも活用可能な言葉だからであります。企業や個人が超法規的措置の正当性を「正義」に求めることはいたしかたないとしても、せめて法律家は、先の罹災借地借家法ではありませんが、法的な根拠付けは必要ではないか、と考えます。たとえば被災者の自力救済や既存の法律上の地位確保のための対応につきまして、民法上の正当防衛や緊急避難に関する法理、許された危険の法理、推定的承諾の法理、継続的契約による信頼関係理論、そして最後は権利濫用(信義則)を活用して、その正当性を根拠付ける努力を法律家はすべきではないかと考えます。←すいません、私はこの程度しか思いつきませんでした。。。

超法規的措置は「無法地帯」を許容するものではありませんので、その点は厳に心得ておくべきではありますが、被災者、被災企業の緊急時の対応を後押しするような常識的な判断こそ、われわれが支援する際に最大限留意すべきことではないかと、先の三宅氏の論稿を拝読し、感銘を受けた次第であります(こういったことを、社会に影響力のある方が、もっと問題提起していただきたいです)。

4月 25, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2011年4月21日 (木)

被災地法律相談(未成年後見制度と養子縁組の相談は?)

日弁連から「東日本震災法律相談Q&A」が公表されておりまして、毎日のように内容が更新されており(本日現在194問のQ&A)、自身の参考にしようと考えております。

なかには電話相談向けのちょっとマニアックな質問も列記されているようですが、子供たちの生活を守るための質問があまり見当たらないのですが、だいじょうぶなのでしょうか。たとえば未成年後見制度や養子縁組制度に関する質問などは、たとえ質問がでなくても、相談者の心のケアのひとつとして、親切に教えてあげなければならない必須の事項だと思います。親権者が死亡したり、行方不明の状況が続いているようなケース、親権者が子供の監護をできない状況にある場合など、普通に想定できるのですが。

東北地方の復興を担うのはまず子供たちであり、その権利関係を緊急時にどのように守るのか、そのあたりの緊急の方策について、どのように答えてあげればよいのか、自力で調べておかねばならないようです。

4月 21, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年4月20日 (水)

被災地法律相談の日程が確定

さきほど大阪弁護士会から連絡があり、5月下旬に被災地法律相談に行くことが確定いたしました。釜石、大船渡、陸前高田等の避難所だそうです(どこの避難所へ出向くかは当日の朝でないと判明しないとのこと)。スケジュールがものすごくハードですが、被災地の方々や担当弁護士会の方々のことを思えば「あたりまえ」であり、むしろ体調を万全に整えておくことが一番大切なことですね。相談者の方々にお役に立てることだけでなく、現地の相談内容を集約・伝達して、立法政策等に寄与できるよう頑張りたいと思います。

昨日も2時間半ほど、2弁と日弁共催の被災地労働相談、生活相談の研修を受講しておりましたが(ライブのユーストリームという便利なツールがあるのですね)、労働事件の経験がないので(泣)、勉強しないとちょっと不安であります・・・・。普段着に運動靴とマスク姿で2名の弁護士が担当する、ということですが、阪神のときにもいろいろと混乱がありましたのでどんな状況になるかわかりませんが、早く現場の雰囲気に溶け込もうかと。。。

大阪弁護士会の名誉のために申し上げますが、このたびの岩手県弁護士会からの要請に対して、非常に多くの若手弁護士の方々が手を挙げておられたのですが、阪神淡路のときの経験なども配慮して、担当者が決まったような経緯もあるようです。自ら相談に行きたいと手を挙げておられた先生方の気持ちも持っていきますね(^^。また、私が向かいます岩手の対策本部のまとめ役の方も札幌弁護士会の方なんですね。現地の弁護士の方々も手一杯のご様子で、有事の法律相談の様子がうかがわれます。

さて、ゴールデンウィーク期間中は、東京3会のたくさんの弁護士の方々が、仙台弁護士会等と合同で宮城県約50か所の避難所で法律相談を開催されるそうです(交通費、宿泊費ほか現地での費用はすべて自己負担とか)。行かれた方、また情報を教えていただければ幸いです。

4月 20, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年4月16日 (土)

たくさんのコメントにお礼とおわび

ここ2週間ほどのエントリーに対しまして、多くのコメントをいただきまして、またコメント以上に多数のご意見メールもいただきました。新聞記者さんからのご質問も3件ほどいただいております。どれも目を通しているのですが、なにぶん本業のほうで忙しかったため、きちんとお返事ができておりません。お詫びすると同時に、また関連エントリーなどでご紹介させていただきたいと思っております。<m(__)m>

とくに社長解任劇のありましたサンコーさんのエントリー、そしてパルコ・イオン経営権争奪劇につきましては、反響が大きいです。サンコーさんのエントリーでは、たいへん興味深い内容のコメントをいくつかいただきましたが、残念ながらそのまま公開してしまうと関係者の名誉や信用毀損のおそれがありましたので、そのまま非公開とさせていただきました。コメントをお寄せいただいた方々、どうかご了承ください。

4月 16, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年4月14日 (木)

被災地法律相談の心構え(有事であることの意識をもって)

(本日はビジネス法務とは関係がありませんので、あしからずご了承ください)

大阪弁護士会より、岩手県における被災地法律相談の割り当てがありましたので(避難所の統廃合によって変動があるかもしれませんが、私は5月末です)、さっそく相談担当弁護士の必須条件であります「震災時における法律相談」のe-ラーニングを受講いたしました。東京の弁護士会館で過日開催されたものですが、講師の森川弁護士、津久井弁護士(いずれも兵庫県弁護士会)の講義内容は素晴らしかった!まだ現在進行形で災害が続く状況のなか、避難所へ向かう弁護士にとって「有事の法律相談」であることの意識を昂揚させるものであります。

すでに仙台弁護士会の法律相談による相談事例なども紹介されましたが、自分の意識に不足していたものが3点あることに気づきました。

ひとつは、このような状況で被災地で行う法律相談は「多方面にわたる被災者のメンタルケアにおけるひとつの領域にすぎない」ということであります。偉そうに「法律相談ですよ」といった意識ではなく、足りない物資のひとつとして「リーガルサービス」を被災者の方々に提供する、といった意識を持たなければならない、ということ。すでに復興という状況で青空法律相談を行っていた阪神淡路の震災以上に、「生きることへの意欲」のために我々は専門的知識をもって支援しなければならないということです。

つぎに、実際に避難所の方々の相談内容を各弁護士が聴取し、これを弁護士会でとりまとめ、本当に必要な法政策を国に提言する、という目的があることです。現地においてどのような喫緊の問題があるかを整理して、これを司法制度のなかで提言するのか、それとも行政や立法のなかで解決してもらうのか、たしかに重大な課題であります。こういった役割を担ったことはこれまでありませんでしたが、このたびの被災地法律相談担当弁護士にとっては重要な役割であることを初めて知りました。

そしてもうひとつが、できるだけ早期に法律相談を行い、「現場における法律知識の浸透を図る」ことであります。法律的な解決ルールが被災者に周知徹底されることで、ずいぶんと無用な紛争が回避されるそうであります(これは阪神淡路の震災のときの、もっとも大きな経験智だったそうであります)。なるほど、こういった視点については、私もまったく認識しておりませんでした。

保険実務に関する知識も、きちんと勉強してから現地に向かいたいと思いますが、それよりも重要なのは、「背中を押してあげるための相談」なのか「二者選択に迷って専門家にすがる方に、明確な結論をさしあげるための相談」なのかを明らかにすることです。自分がすでに進むべき方向を決めているときに、これを法律的な側面から後押ししてほしいのか、それとも進むべき道がわからず、ともかく専門家の意見にすがろうとしておられるのかは、本当に現地でじっくり話を聞いてみなければわからないと思います。現場はおそらく想像を絶する状況にあると思いますし、欲するところによって、ケアの仕方も変わる、と思います。

「不可抗力」に関する講義のなかで、ふと思いましたが、阪神淡路の震災においては、現場に証拠は残っていたのです(たとえば「全壊」か「半壊」かが争われている事案において、後日検証すべき建物の一部は存在する)。しかし、このたびの震災は津波によって現場の状況がまったくわかならくなっている可能性が高いようです。私は、後日の紛争をできるだけ早期に解決できるよう、いまできる範囲での証拠の保存について、現地で少しばかりお話できたらなぁ・・・・・と思っております。

お知らせ

先週広報させていただきました5月18日の震災支援特別講演の件、現在27名の申込みがございます。あと3名様、ご応募できますので、よろしければメールにてお申込みくださいませ。

4月 14, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年4月 8日 (金)

”StartUp Engine2011” 開催のお知らせ(大阪国際会議場)

こういったときこそ、関西から元気を発信したい、という志をお持ちの方々の企画をご紹介いたします。

明るいセミナーのお知らせでございます。IPO研究会や内部統制研究会等でご一緒させていただいている「ベンチャー法務の部屋」の森理俊弁護士、「CFOのための最新情報」の武田雄治会計士らが主催されます「StartUp Enjine2011」(大阪証券取引所後援、株式会社幕末協力)が5月20日に大阪で開催されます。

Start Up Engine2011のWEBページはこちら

コンセプトは以下のとおりです。

『成長志向企業の経営者、起業・事業創造を志望するビジネスパーソン及び学生』を 主たる対象に、「次世代起業家、新事業を生み出す知識・人・気持ちが集まる場の創造」を目的とした企画です。

次世代起業家をサポートする活動「StartUp Engine」は、起業支援の経験豊富な各分野の最前線に立つプロフェッショナルが集結し、次世代起業家を支援することで関西から世界に羽ばたく企業を創造したいという想いが集結した活動です。

このたび、「StartUp Engine」第一回目の企画として、「次代起業家、新事業を生み出す知識・人・気持ちが集まる場の創造」を目的としたセミナーを開催します。

「手弁当」とおっしゃっておられますが、ずいぶんと豪華な顔ぶれですね。私が愛読しております林總(はやし あつし)さんの「騙されない会計」という本の中で、林さんは

日本は実効税率が高いからベンチャー企業が育ちにくいといわれますが、そうした問題以前に、新しいビジネスを立ち上げようとしている人たちへのサポートがない。少子化が大きな社会問題になっていますが、日本の場合、企業の少子化も深刻です

とおっしゃています。私もまったく同感です。こういったサポートのための知恵を共感する機会こそ、これから必要になってくるのでしょうね。

場所は国際会議場ということですから、私の震災支援講演と同じ場所です(でも、こちらのほうがもちろん大きな会場です)。参加費用もお手頃感がありますので、ご興味のある方はどしどしご応募くださいませ。

4月 8, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

震災支援・特別講演のお知らせ(途中経過)

(4月8日午後6時:追記あり)

さきほどの震度6強の地震により、岩手県でもたいへんな被害(火災や負傷者)が出ていることがニュースで報じられておりました。あらためてお見舞い申し上げます。被災地法律相談に行くと決めた以上は行くつもりです。でもこれでまた「自粛ムード」が復活するのでしょうね。

さて、一昨日広報させていただきました「5月18日 震災支援特別講演」でありますが、おかげさまで既に19名の方よりお申込みをいただきました(どうもありがとうございます)。定員まで、あと10名ほどの余裕がございますので、ご関心がございましたらお早めにお申し込みください(左サイドバーのバナーをクリックしていただきますと、詳細をご覧になれます)。

(8日午後6時現在、お申込み25名となりました。あと5名分空きがございます。)

4月 8, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年4月 6日 (水)

震災支援特別講演「企業のパワハラ対応とコンプライアンス上の課題」

このたび、被災地法律相談の担当弁護士を志願いたしました。岩手県内の被災地ですが、5月となります(正式決定はまだですが)。被災地の皆様にどれだけお役に立てるのか全くわかりませんが、阪神淡路大震災のときの法律相談そして裁判の経験をもとに「昔とったきねづか」で頑張りたいと思います。ただし担当者は事前に日弁連のeラーニングを受講してください、とのこと。総会準備の関係でご迷惑をおかけする関係者の皆様、本当にごめんなさい・・・・・。今回限りのわがままをお許しください<m(__)m>

Tirashi0098 さて、上記とは全く別のお話でありますが、このたびの東日本大震災復興支援の一環としまして、ホンマに微力ながら、関西地区で特別講演会を開催することになりました。テーマは震災とは全く関係ないのですが、「企業のパワハラ対応とコンプライアンス上の問題点」です。昨年11月17日、18日と、某金融機関の全国支店長会議にお招きいただいたときに講演させていただいたものをベースにしておりますので、幹部クラスの方々向けのセミナーです。このたびの講演会は、出版社やコンサル会社等、いつもお世話になっております企業様のプロデュースによるものではなく、当事務所の手弁当によって設営・準備いたしますので、多少の不手際があるかもしれませんが、精一杯講演をさせていただきますので、どうか多くの方々にご参集いただければ幸いでございます。頂戴いたしました参加費用は全額、このたびの震災復興のための義捐金とさせていただきます。

要領は以下のとおりです。

「震災支援特別講演のお知らせ.pdf」をダウンロード

「企業のパワハラ対応とコンプライアンス上の問題点」

日時 2011年5月18日(水)午後2時から4時まで

場所 グランキューブ大阪(大阪国際会議場)8階会議室

参加費 5,000円(当日受付にてお支払いください)

定員 30名(先着順にて受付)

お申込み方法 toshi@lawyers.jp  までメールにて申込ください。なおお申込みの際には、ご氏名、所属団体、役職名をお書きくださいませ。

講演骨子

1 はじめに(組織におけるパワハラの現状認識)

2 企業におけるリスク管理の視点(なぜパワハラ対応はむずかしいのか)

3 パワハラに関する訴訟リスクの捉え方(加害者と被害者の区別のあいまいさ)

4 企業における取組の現状(内部通報制度との関係で)

5 社内調査のベストプラクティス(法務と人事の協働)

6 パワハラ対応における今後の課題(リスク管理として考える)

7 加害者とされる者への懲戒処分の在り方について

以上

広報媒体は当ブログだけですので、ご関心のある方に、PDFチラシをお渡しいただけましたら幸いです。年度変わり、また総会準備の時節がら、お忙しい時期かとは思いますが、どうかよろしくお願いいたします。同業の皆様、他士業の皆様方の御参加も歓迎でございます。

4月 6, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年4月 1日 (金)

昨夜のエントリー 削除しました

昨夜アップしましたエントリーにつきまして、基本的な事実に認識ミスがございましたので、いったん削除させていただきました。お恥ずかしいかぎりです。関係者の皆様には、ご迷惑をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。早々にご指摘いただき、ありがとうございました。資料を見るときに隅々までチェックしていなかったこと、同じ勘違いをしたブログがあったことから、つい「うっかりミス」でした。今後は気を付けたいと思います。

なお、関係個所を精査、訂正のうえ、改めてアップさせていただきます。

4月 1, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年3月25日 (金)

「Q&A災害時の法律実務ハンドブック」初版公開と出版社のCSR

(3月26日未明 追記あり)

ろぼっと軽じKさんから教えていただきましたが、新日本法規さんが、本日「Q&A災害時の法律実務ハンドブック」の初版をテキストデータにて開示されました。(ご教示ありがとうございます)法律関連の出版社によるCSR(企業の社会的責任)として、この英断に頭の下がる思いです。被災者の皆様、そしてマスコミの皆様、どうかご活用いただければ、と。原発問題や津波による家屋消失、災害保険の実務など、同様に考えてよいものかどうか、疑問もあろうかとは思いますが、解決の方向性を知るうえにおきまして、我々弁護士も法律相談の手引きとして貴重なものであります。

「Q&A災害時の法律実務ハンドブック」(平成18年度版)

なお、これは平成18年度発行のものであり、最新版は現在関東弁護士連合会において、急ピッチで編集が進められているようですので、あくまでも平成18年度版としてご参照ください。被災者の方々にも、避難所におられる方から、自宅で不便を強いられておられる方など、さまざまかと思います。それぞれのお立場で活用できるのではないでしょうか。

(追記)

新日本法規さんと同じく、商事法務さんの「地震に伴う法律問題Q&A」(平成7年版)がPDF化され、同社HP上にて公開されております。こちらも、すでにご紹介させていただいたとおり、(少し内容は古いですが)たいへん震災関連の法律問題の解決のため有益な情報が詰まっております。このたびの震災復興に向けての各社のご尽力には、たいへん敬服いたします。

3月 25, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2011年3月18日 (金)

関西企業のBCP(事業継続計画)は役に立っているのか?

いよいよ「買占め」が我が街、堺市にも到来(お米がない・・・)。

(3月20日追記:買占めなのか、物資輸送が不十分なのか、ちょっと判明しづらくなっていますね)

そういえば2年ほど前、パンデミック対策として、関西の大手企業さんはどこもBCP(事業継続計画)の推進に躍起になっていたように記憶しております(関連エントリーはこちら)。当時は大手損保系のリスク・コンサルティング会社さんのご指導のもと、各企業において地震対策のBCPも積極的に策定されておりましたが、果たしてこのたび、これが大手企業さんにとって役立っているのでしょうか。

昨日、本日と、数社のBCP担当役員の方々とお話しする機会がございました。会社の利益を越えて、我が国の国力維持のためのCSRとして推進している、とのお話は共通しておりましたが、実際のところでは想定外の事象が発生しているため、効果のほどは「?」といったところではないか、との印象を持ちました。

たしかに社員の安否確認、生産拠点の分散化、サプライチェーンによるBCP推進、輸送ルートの分散化あたりは奏功している企業さんもあるようです。しかし自社で生産できても、停電によって部品製造会社の製造がストップしている、また輸送ルートを確保できたとしても、そこに走らせるトラックのガソリンが調達できない、といった想定外の事象に直面し、結局のところ生産がストップしている企業は多いのではないでしょうか。

このたびの震災は、関西企業には無縁のようにお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、実情はかなり厳しいようであります。計画停電や原発事故からは、たしかに距離がありますが、自粛ムードと買占め騒動、そしてなによりも経済の停滞は確実に街中に波及してきております。(ちなみに関西電力さんの場合、原子力への依存度は48%ということですから、東電さんのような事態が発生した場合、もっとスゴイことになるのでは?などと危惧しております。)さて、皆様方の会社におかれましては、BCPは今のところ、お役に立っているのでしょうか?

3月 18, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (13) | トラックバック (0)

2011年3月15日 (火)

関西在住の弁護士の「つぶやき・・・・・」

まだ余震や原発事故による二次災害、三次災害のおそれもあるため、あまり震災関係の話題には触れたくはないのでありますが、気絶しそうな株価暴落を目の当たりにしますと、こんな私でも何かのお役に立てないかと、逡巡しております。

Dscn1035_320 しかし、親族への物資輸送と赤十字募金くらいしか思い当らず、思案にくれております。思い起こせば、阪神淡路の震災で、私が担当しておりました「罹災借地借家法」関連の最後の仕事が終わったのが平成17年、つまり震災後10年経過した時でした。こういった日本の復興のために法律家がお役に立てるとすれば、もうすこし先になるのでしょうか。おそらく「青空法律相談」が開始され、特別法による土地整理、紛争解決が図られるときが来るでしょうが、そういったときに住民の紛争をできるだけ早期に解決し、復興へ一致団結して邁進できるよう、専門家が支援することが必要だと思います。左の写真は近畿弁護士連合会、大阪弁護士会等が平成7年当時発行した「地震に伴う法律問題Q&A」であります(右は商事法務さんが平成7年当時に出版されたもの)。とくに左のQ&Aは罹災借地借家法を勉強するため、当時ボロボロになるまで使いました。もちろん今回の震災でもお役に立つものであればどなたかに寄贈させていただく予定です。

ps なお福岡の弁護士の方から以下のとおりコメントをいただきましたので、引用させていただきます。(なるほど、15年も経過しますと、情報から疎くなってしまいました)

「地震に伴う法律問題Q&A」はその後の地震や立法を織り込んで「Q&A災害時の法律実務ハンドブック」に改訂されたと記憶しています。
 後者が新しいですけれども、すでにAMAZONでは売り切れになっています。
 編集者の関弁連は緊急避難として著作財産権の行使を停止して、弁護士に限定して全ページコピーを許容するか、もしくは、至急出版社に増刷申し入れを講じるべきだと思います。」(引用終わり)

Dscn1033_320 阪神淡路大震災後の紛争処理は、多くの大阪弁護士会、兵庫県弁護士会の会員がまじめに取り組みました。法律相談、調停、和解そして判決と、そのときのノウハウはきっと、今後の復興にも役立つものと思います。早期復興に向けて、法律面でサポートする・・・そういった要請があるまで、分相応に当時の資料などを整理して静かに見守ることが、いま自分に必要とされる役割なのではないか、と。

3月 15, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2011年2月21日 (月)

本日(21日月曜)、毎日新聞夕刊「かんさい元気人」に登場します。

拙ブログをご贔屓にしていただいている関西の皆様に、少し早めのお知らせでございます。

私事で恐縮ですが、本日(2月21日)の毎日新聞(関西版)夕刊の「かんさい元気人」は、不肖私が登場いたします。(^^;; 内部通報・内部告発が企業に及ぼす影響や、「闘うコンプライアンス」につきまして、私の思うところを新聞読者の皆様に向けてインタビュー形式でお答えしております(聞き手は毎日新聞経済部の田畑編集委員さんです)。

紙面半分程度(写真入り 1400字程度)、ということでして、ちょっと恥ずかしいのですが、企業コンプライアンスや内部告発の現状を一般の方々にも知っていただく良い機会かと思いましたので、インタビューをお受けすることになりました。記事の内容はチェックさせていただきましたが、女性カメラマンさんの写真選択には全く関与しておりませんので、かなり不安がございます。関西地区の方だけではございますが、またよろしければご覧ください。<m(__)m>

2月 21, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年2月 1日 (火)

総務省の製品リコールに関する勧告(速報版)

本日(2月1日)、企業側の対応にとって極めて重要と思われる総務省の勧告が出ておりますので、自身の備忘録のためにも掲載しておきます。

総務省 製品の安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告

執務中につき、まだ中身を十分検討しておりませんが、トヨタ・リコール問題やパロマ工業事件など、企業業績に重大な影響を与える「リコールと法律問題」に関連する資料ですので、また追って検討してみたいと思います。

2月 1, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月18日 (火)

東京でのセミナー「上場会社ディスクロージャーの信頼確保に向けた関係者の取組みと法的問題の検討」(東京開催)

Tobensemi002

昨日は午前中だけで6万アクセスを超えましたので、これは一日で10万アクセスまちがいなし!と思っておりましたが、ヤフーニュースの内容から消えたとたん、普段のアクセス数に戻りました。それでも一日で9万アクセス、というのは「とんでもない新記録」でございます。いい記念になりました。<m(__)m> でも、もういいです(笑)

さて、東京の弁護士の方から教えていただきましたが、2月10日(木)午後1時から3時半まで、クレオ(弁護士会館2階ホール)にて左記のとおりのセミナーが開催されるそうであります。内容は上場会社関係者向けでございます。

「上場会社ディスクロージャーの信頼確保に向けた関係者の取組みと法的課題の検討」(第一東京弁護士会、同会総合法律研究所、同金融商品取引法研究部会 主催)

東京の「ふしぎな開示研究会」に毎月出席させていただいておりますが、同じ有報や適時開示情報を見ていても、(その道の方々は)どうして引き出せる情報がこうも違うのだろうか、どうしてこんなに分析が鋭いのだろうか・・・といつも感心しております。開示情報から、これだけいろんなことがわかるのであれば、ガバナンスのあるべき姿を追求したり、不公正ファイナンスをできるだけ防止するために、今後は会社法や取締法といった「行為規制」よりも「開示規制」によって運用していく方向に向かっていくのではないでしょうか。また、たとえ行為規制によるものとしても、法というハードローよりも、自主ルールといったソフトローによる手法が多用される時代に向かっていくのではないでしょうか。また、逆にガバナンスがしっかりしていなければ、投資家に信頼されるような開示情報をリリースできない時代になりつつあるのではないかとも思われます。

そういった時代に、まさに私好みのタイムリーなセミナーであります。講演、シンポに登壇されるメンバーの方々も錚々たるもので、もし人的・物的資源があるならば、私個人としても関西でこのようなセミナーを開催したいと思えるような内容であります(まあ、ご登壇される顔ぶれからみて、なかなか関西で開催するのは困難かもしれませんが・・・)。すでに一弁さんは、東京近辺の上場会社さんに向けて広報を開始されたようですが、定員は200名(先着順)とのことですので(参加費も3000円はかなり安い!)、当ブログをご贔屓にしていただいている皆様方も、ぜひとも多数ご参加されてみてはいかがでしょうか。

1月24日がお申込み締切日だそうでありますが、上記図面はちょっと読みにくいでしょうし、申込用紙が添付されておりませんので、お申込みを含め、詳しくは下記のPDFをご参考くださいませ。

「201120210201.pdf」をダウンロード

1月 18, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年1月 6日 (木)

小学館の情報誌「SAPIO(サピオ)」に寄稿いたしました(本日発売)

Sapio001_2 本日(1月6日)発売の小学館「SAPIO」(1月26日号:定価550円)に、見開き2頁ですが「会社の機密 今の日本では『内部告発者』は『会社からの報復』というリスクをほぼ必ず負ってしまう」というインタビュー記事を掲載させていただきました。最近話題のウィキリークス関連の特集記事の中で、「企業の場合はどうか?」といったご関心への参考意見を述べております。(本日の日経ニュースでも企業のリスク管理の一番の関心が「情報漏えい」ということが伝えられておりますが(トーマツさんの調査)が、情報端末が進化するなかで今後はますます企業の重要情報の流出事故は増え、これを公表する企業と公表しない企業に対応が分かれてくるものと思います。)

公益通報者保護法施行5年となる本年4月ころに、「もっと使い勝手の良い制度に」ということで法改正が予定されていたわけでありますが、どうも昨年暮れの専門委員会の審議内容からしますと、改正は先送りになるようなことが言われております。といいますのも、中小企業経営者らに対するアンケート結果でも、ほとんどの方が「公益通報者保護法など知らない」「名前は知っているが、どのような制度なのかわからない」「とくに社内で制度を作る予定はない」とのことでして、施行5年が経過した今もほとんど周知されていないのが現状であります。法改正よりもまずは公益通報者保護制度の内容を周知してもらう施策のほうが先決ではないか・・・ということで、私も(ちょっと恥ずかしいですが)情報誌に登場させていただきまして、読者の方々に制度のご紹介と現状を知っていただきたいと思いました。

ご興味のある方は、お近くのコンビニでご購入いただければ幸いでございます。<m(__)m>

追伸

このSAPIOという国際情報誌、実はほとんど読んだことがなかったのですが、原英史氏の連載「おバカ規制の責任者出てこい!」、コレ、めっちゃオモシロイです!!このブログでも、過去に何度か「行政法専門弁護士待望論」のなかで書かせていただきましたが、さすが通産省ご出身、行政改革担当大臣補佐官の経歴を有する方だけあって、トンデモ行政規制のツボをズバリと指摘。ホテルと旅館の線引き、ラブホとビジネスホテルの線引きのファジーなツボ(問題点)を的確に指摘しておられます。この感覚こそ弁護士が行政と交渉するときに必要だと思うのでありまして、私自身ブログで書きたくても、知識が乏しいために書けなかった内容であります。バックナンバーも含めて(今回は6回目とのこと)、この連載全部読みたいと思います。

1月 6, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年1月 1日 (土)

謹賀新年(本年もよろしくお願いします)

みなさま、あけましておめでとうございます。本年もどうかよろしくお願いいたします。毎年、元旦は各紙一面記事を読み比べておりますが、今年は読売さんと毎日さんの記事(社会福祉法人の身売り、警視庁内部資料の流出経路の解明)が面白かった。

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年末より奈良吉野山の温泉に来ておりましたが、予想以上の大雪。大みそかの世界遺産・金峯山寺の山門も、ご覧の通りの大雪でございました。

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ネットから離れて幻想的な雰囲気のなかで、ゆっくりと過ごしてまいりました。今年もいろいろと新しいことにチャレンジする予定です。

1月 1, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年12月30日 (木)

「裁判官と学者の間」伊藤正己著

Itomasami001_400_2  伊藤正己先生(元最高裁判事 東大教授)の「裁判官と学者の間」(1993年 有斐閣)は名著であり、今でも時々読み返しております。とくに第Ⅰ部「裁判官と学者の間」(第Ⅱ部は「私の少数意見」)は、わずか140頁ほどではありますが、個々の裁判において弁護士がどのようにして裁判官を説得するか、また準備書面や弁論要旨に何を書けば、こちらの意見に耳を傾けてもらい、また判決に反映させることができるかを学ぶことができる最良の教科書であります。

若い弁護士の方々には、仕事にも役立つ、おススメの一冊です。最近、有斐閣ではオンデマンド版も発売しているようです。また商事裁判において、しばしば学者の方々の意見書を提出することがありますが、そのような学者意見について、裁判所はどのような思考過程をもって採否を決定するのか、また判決後の判例評釈を裁判官はどのような思いで検討するのか・・・・・といったあたり、最高裁の審理だけではなく、地裁の裁判所でも十分に参考にできる内容であります。

なお、新聞報道にもありますように、最高裁大法廷判決で、ひとり反対意見を付した自衛官合祀違憲訴訟の「反対意見全文」が第Ⅱ部に掲載されております。「亡夫を、意に反して護国神社に合祀されることは人格権の侵害にあたるか」という、信教の自由が憲法上の論点として争われた事案でありますが、「民主主義と法の支配の関係」を考えるにあたり、その思考過程を学ぶ絶妙な教科書であります。こういった裁判の経験を積まれて、伊藤先生は学者の思考と裁判官の思考の違いを本書で解説され、自らの心が「裁判官と学者の間」で動揺しておられた様子が理解できます。最高裁判事がなぜ補足意見を書きたいと思うのか、弁護士出身の最高裁判事と学者出身の判事とでは、なぜこうも思考が異なるのか・・・このあたりの心理も、本書によってすこしばかり理解できたような気がいたします。

伊藤先生の論考、著書は司法試験受験生の時代から多数拝読させていただきました。こころより、ご冥福をお祈りいたします。

12月 30, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年12月29日 (水)

私が選ぶ2010年「ビジネス法務」関連の10大裁判!

たしか昨年は日経新聞で法曹関係者が選んだ10大裁判・・・のような企画モノ記事が掲載されていたかと思うのですが、今年はどうも見当たりませんね。ということで、当ブログ管理人が勝手に選んだビジネス法務関連、しかも管理人の興味を優先して10大判決を選んでみました(すいません・・・「判決」といいながら、一部違うものも含まれていますので、あまりそのあたりはツッコミを入れないでください・・・・・)

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やはり企業コンプライアンス、会計と法、会社法・金商法、内部統制に関連するもので占められております。これらの他にも金商法192条による緊急差止命令事件、カネボウ種類株式価格決定最高裁事件、会社分割による詐害行為取消請求事件、金融庁に対する文書提出命令申立事件ほか、いくつか候補があったのですが、単純に「私の好み」という面から先の10個を選んでおります。

10番や7番は、今後のIFRS時代(ホントに到来するのかどうかまだわかりませんが)における司法判断の在り方、6番は技術者倫理と法、5番は最近話題の「第三者委員会調査」の限界、4番は今年のM&A法制の代表的判断、3番は内部告発の光と影、9番は会社法上の内部統制の課題などが選出のポイントであります。8番は、あまり話題になりませんでしたが、株主代表訴訟を支援する弁護士の業務内容を、裁判官がどのように評価するのか、とても興味をそそられたものです。そして、1番2番については、まさに経営判断と経営者の法的責任の関係をいろいろと考えさせられるものでありました。

商事法務編集部さんの選ぶ今年の重要判例(商事法務1919号)とは、ずいぶんと異なりますが(合ってるのはアパマンショップHD最高裁判決くらいでしょうか)、まぁ管理人の興味や関心優先・・・・・ということでご勘弁ください<(_ _)>

12月 29, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月27日 (月)

日航907便・航空管制官事件最高裁決定と事実解明のための刑事免責

Xmasも終わり、いよいよ年末モードですが、皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか。昨年の年末は長女のセンター試験の直前ということで、ピリピリしたムードが漂っておりましたが、今年はまた恒例の「家族で温泉小旅行」を予定しております。しかしこれだけ寒いと、目的地に着くまでの道程がすこし億劫になってきましたが。。。

さて、2カ月ぶりになりますが、朝日新聞「法と経済のジャーナル」に「日航907便・航空管制官事件最高裁決定から考える安全対策と刑事免責」と題する論考を寄稿いたしました。企業コンプライアンスに関心を持つ者にとりまして、企業がリーガルリスクに過度に反応してしまうと、かえってみんなが不祥事を隠す方向に走ってしまうのではないか・・・といったことを危惧しております。本稿も、そのような危惧感から、条件反射的に感じたことをまとめたものであります。当ブログでも本年10月末ころに、この話題について少し書かせていただきましたが、今回は平成15年当時の本ニアミス事件の事故調査報告書(200頁以上の大作)をきちんと読んだうえで、朝日AJに寄稿させていただきました。

固めの内容で恐縮ですが、ぜひこの最高裁決定につきまして、お考えいただくきっかけになれば、と思っております。たぶん私の記事は無料でお読みいただけるものと思いますので、ご興味がございましたら是非、朝日AJのほうへお立ち寄りください。

12月 27, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月25日 (土)

社外取締役関西シンポが日経マーケットオンラインにて紹介されました。

日経マーケット・オンラインにて、先日(12月8日)の社外取締役ネットワーク「関西シンポ」の様子が掲載されております。日経の有料会員の方でないとご覧になれないかもしれませんが。。。

「独立役員は株価を上げるか?」(日経マーケットオンライン12月24日付け)。ちなみにリンクは差し控えさせていただきます。

まだまだ課題の多いテーマではございますが、採り上げていただき、ありがとうございました。企画した人間にとりまして、最高のXmasプレゼントでございます。m(__)m

12月 25, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 9日 (木)

独立社外取締役シンポ、ご参加ありがとうございました。

社外取締役ネットワーク、大阪弁護士会、日本公認会計士協会近畿会共催「社外取締役の独立性とは?~関西企業に社外取締役は必要か?~」(関西経済同友会、大阪証券取引所後援)、なんとか無事終えることができました。正確には299名 304名の方にご参加いただきました。寒い中、弁護士会館2階にお越しいただき、ありがとうございました。<(_ _)>

大杉謙一教授の関西デビューとなる基調講演に始まり、シンポ、そして神戸大学の砂川(いさがわ)教授の意見発表まで、10分オーバー(計3時間10分)でしたがなんとかこなしました。モデレーターを務めさせていただきましたが、途中から「時間との闘い」となり、登壇者の方々にもすこしばかりご迷惑をおかけしました。

こういった大きなシンポを企画、協力要請、演出、広報、現場指揮することのムズカシサを痛感いたしました。こういったものは個人の力を越えた「組織力」で乗り切らなければ成功しないですね。しかも各人が仕事として行うものではございませんので、信頼関係が成り立った上での「組織力」は不可欠だなぁと。おそらく、内容につきましてはいろいろとご不満もあるかとは存じますが、日経や朝日、読売新聞の記者さん方にもお越しいただき、「独立社外取締役」制度を関西の企業の皆様に周知していただく機会を得られたこと、たいへん満足しております(せめて関西版でも良いので記事にしていただければありがたいのですが。。。 笑)。レジメも余分に作っておりましたが、みなさん帰り際に「余分に持って帰りたい」とのことで、残部数ゼロとなりました。

シンポでは、制度義務化の是非、ハードローとソフトロー、ガバナンス改革と業績向上、独立性の要件化とこれにまつわる問題点・・・というところで時間切れとなりました。本当は監査役との連携、「任期」問題と独立性、ガバナンス改革積極派=社外取締役導入論にあらず・・・といったオモシロイ論点も用意していたのですが、登壇者の皆様の熱いご発言で、積み残しとなりました。コーポレート・ファイナンスがご専門の砂川先生からも、ガバナンス改革と業績向上に関する実証研究に関する示唆もあり、今後の勉強課題も見つかりました。

今回のシンポにあたりましては、モデレーターとして、ひとつのモノサシを決めておりました。これは、今年3月経済同友会さんからリリースされております報告書「日本的コーポレート・ガバナンスのさらなる深化」であります。ここで同友会さんから提言されている(日本企業のガバナンスの良さを活かした)社外取締役制度論を意識して、このモノサシに照らしながら、理屈は大杉先生、外見は藤倉副社長、中身は片山社長、社外取締役の立場からは田村代表・・・といった具合に、ご意見をうかがうようにいたしました。取締役会の多様化(ダイバーシティ)を理想として、社外取締役制度の導入も、「ビジネス的、社会的、国際的」知見をもって多様なステークホルダーとのコミュニケーションを図る(これにより一般株主の長期的利益を向上させる)ことを目的とする、という考え方に、私も賛同したからであります。

時間の関係で、残念ながら「関西企業に社外取締役は必要か?」との問いに対する明確な回答は提示できませんでした。しかしニッセンの片山社長さんの最後の言葉

「ガバナンスを改良したからといって、業績が向上するわけではない。しかし、どんなに良いビジネスモデルを持っていても、これを育てる土壌(ガバナンス)がなければ、ビジネスは育たない」

を忘れずに、これからも研究対象の一環として、この制度について取り組んでいきたいと思う次第であります。

12月 9, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2010年11月23日 (火)

近藤崇晴最高裁判事を偲ぶ

最高裁に、いくら優秀な調査官がいらっしゃったとしても、裁判官が激務であることは夙に知られているところでありますが、近藤崇晴裁判官が逝去されたことは誠に残念であります。朝日新聞で報じられているように、近藤裁判官はキャリア裁判官でありながらも、かなりリベラルな立場で判断に臨んでおられたようであります。

すでに何度も当ブログで述べてきたとおり、私は近藤裁判官のお書きになる判決文のファンでありまして、近藤裁判官の補足意見、反対意見などは常にマークしておりました。最高裁の判断が世の中に与える影響に一番配慮していたのが近藤裁判官だったのではないでしょうか。「法律家として、このような文章が書きたい!」と憧れの存在でありました。

土地区画整理事業における事業計画の「処分性」

最高裁判所は変わったか(一裁判官の自己検証)

裁判員制度は最高裁判事の事実認定手法まで変えるのか

今後も、在職中はたくさんの判決を書いていただきたい・・・と思っておりましたが、本当に残念です。謹んでご冥福をお祈りいたします。

11月 23, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年11月 6日 (土)

東京での企業ご担当者様向けセミナーのお知らせ(ふたつほど)

週末の夕方ということで、一番アクセス数が減少しているところを狙って「お知らせ」をさせていただきます。

お陰様で、最近は東京でも特定企業さんの役員セミナーや一般企業のご担当者さん向けのセミナーなどをやらせていただく機会も増えました。最近も企業研究会さんの「リコール対応セミナー」をさせていただき、また来年3月にもセミナーをさせていただくことになりました。

関東地区の方で、このブログの管理人のセミナーを一度聴いてみたい・・・という奇特な方がいらっしゃいましたら、とりあえず一般の企業様向けセミナーをふたつご紹介いたしますので、どちらかご関心のある内容でございましたら、お越しいただければと。

一つ目は、11月19日の金融財務研究会セミナーでございます。こちらは「平時に学ぶ危機管理 第三者委員会ガイドラインとあるべき姿」というテーマで3時間お話させていただきます。(詳しくは 「kinyuzaimuchosakai001.pdf」をダウンロード をご覧ください)

Keieizaimu001 総務省関連の企業不祥事に係る第三者委員会委員や、金融庁関連の会計不正における第三者委員会補佐、社内調査委員会支援業務などを基に、おもに企業担当者向けに「第三者委員会」の現状とあるべき姿(理想)についてお話させていただく予定にしております。

10月末に出ましたサイバードHD(株式取得価格決定抗告)高裁決定によりまして、企業価値算定に関わる第三者委員会の在り方も、ふたたび議論されることになりそうでありますが、今回はいわゆる企業不祥事発生時における第三者委員会に関する解説が中心であります。

第三者委員会の活用は、いわば企業の危機管理として捉えられるところが中心であります。しかしその内容は「公正中立な第三者による事実調査と事実認定」はステークホルダーからの信頼を得やすい、というところにだけ集中しているのではないでしょうか。では、その委員会報告書の内容は行政許認可に対応しているのでしょうか?マスコミによる記者会見に耐えうる内容なのでしょうか?取引先や消費者から民事賠償を請求される基礎となるのでしょうか?社内で「二次不祥事」を発生させる誘因にはならないでしょうか?経営陣の法的責任追及の根拠資料となりうるものなのでしょうか?企業不祥事は、マスコミでとりあげられるのは最初の数カ月にすぎませんが、実際に企業が様々な対応をしなければならない時期は2~3年を要するものと思います。※ 第三者委員会報告書は、この数カ月ではなく、2~3年の事後対応に耐えうるものである必要があります。そういったことも含め、当セミナーでは「あるべき姿」を解説してみたいと考えております。

※・・・・・昨日(11月5日)の日経夕刊「注目株を斬る」によりますと、小糸製作所さんが、子会社である小糸工業さんの不祥事によって株価が大きく低迷していることが報じられております。国土交通省からの業務改善命令の後、再検査による納期遅延などで多くの損害賠償債務を(小糸工業さんが)抱えていることによる、とのこと。小糸工業さんの不祥事に関する報道はほとんどされなくなりましたが、このように事後処理には多くの時間と費用を要することを示す典型例であります。

そしてもうひとつは12月17日(金)午後1時半から4時半まで 経済産業調査会さんのセミナーでございます。先日大阪で開催いたしました「内部告発・内部通報その光と影」出版記念セミナーが、ご好評につき東京でも開催されることとなりました。(詳しくは経済産業調査会さんのWEBページをご覧ください)内容的には、先日の大阪での講演と同じでありますが、消費者委員会における最近の公益通報者保護法改正審議の話題なども交えまして、私の本業であります内部通報窓口業務、内部告発代理業務に基づくお話をさせていただきたいと思っております。以前にも書きましたが、今年に入って、パワハラ事例に関する通報および調査業務が増えております。そのあたりも実務に沿って詳しく解説をしてみたいと思っております。企業ご担当者の皆様、こちらは非常にお安い料金ですので、お時間がございましたら是非、お越しいただければ幸いです。

11月 6, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月29日 (金)

JR西日本ATS作動不公表など(昨日の続き)

それにしても今回のJR西日本さんの対応は早かったので驚きました。昨日ご紹介いたしました「事故現場におけるATS作動事態を公表しなかった件」につき、同社の代表者(社長)の方が謝罪された、との報道がなされております(読売新聞ニュースはこちら)。また、今後の対応についての「公表の要否については、遺族や被害者の感情などを勘案して、場所にとらわれず判断する」とのことであります。昨日のエントリーで書かせていただいていたところと「ドンピシャ」だったから申し上げるわけではございませんが、私もそうすべきではないか、と思います。本来の「コンプライアンス」の意味に最も近い対応ではないでしょうか。私もこれがベストプラクティスとまでは自信がありませんが、「いまできる範囲の精いっぱいの対応方法」ではないかと。

話は変わりますが、26日にご紹介した中央経済社「ビジネス法務」12月号の論文をお書きになったソフトバンク社法務部長さん(須崎さん)よりコメントを頂戴いたしました。(どうもありがとうございます)私の「舌足らず」の文章を補足いただいていたり、コンプライアンスに関するご意見なども付記いただいておりますので、そちらを御一読いただけましたら幸いです。コンプライアンスへの全社的取組み、コンプライアンスの法体系化など、いずれも私自身も深く考えるところでありまして、理屈だけでなく、その実践方法を含めて今後もブログや書籍などで提案していきたいテーマであります。

まだまだ他にもJVCケンウッドさんの課徴金審判事件、住友電工さんのリーニエンシーに絡む株主代表訴訟、女性役員比率に関するEU委員会の方針、監査役協会さんのアンケート結果分析などなど、ブログで書きたいことが山積みの状況でございますが、ちょっと時間がございませんので、また週末にでも、ということで。。。

10月 29, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年10月26日 (火)

法務部員が元気になる記事!?(SB社法務部長さんの論稿)

中央経済社さんの「ビジネス法務」12月号にはたくさんの興味ある論稿が掲載されておりますが(とも先生の奥様のご尊顔発見!笑)、ひときわ「腹に落ちる論稿」として感嘆いたしましたのはソフトバンク社の法務部長さんの「機能する次世代『法務部長』の役割とは」(70頁以下)であります。いや、実にオモシロイ。筆者は三菱商事、ソフトバンクと30年以上にわたり「法務畑」を歩んでこられたそうですが、論稿の最初から最後まで納得させられてしまう内容であります。当ブログの常連の方々は、法務部ネタ関連のエントリーをアップいたしますと、ご異論、ご批判をいただくことが多いのでありますが、ともかく御一読いただければと。

「予防法務」「戦略法務」「臨床法務」という言葉は、法務部モノの記事ではよく出てくるフレーズであり、どことなくカッコいいイメージがございますが、やはり法務の中だけで受動的な仕事に埋没していると、結局は筆者が指摘されるとおり「法務屋さん」で終わってしまうのでしょうね。このあたりはかなりリアルな指摘ではないかと思います。「契約書作成の罠」あたりの記述は、おそらくどこの法務部でも「法務部リスク」として実感されているところではないでしょうか。経営陣が「しょせん、法務部の仕事とはこの程度でオッケー」のような認識しかされていないこともあって、そこに満足してしまう法務部員もいらっしゃるような気がいたします。

本稿では、法務部の活躍すべき場・・・というものを、非常にリアルなタッチで描かれておりまして、法務の仕事に無限の可能性を感じさせてくれるものであります。私自身も、普段から「社内法務の仕事はこうあるべきではないか」とボヤ~っと感じているところはありましたが、サラリーマンとしての実体験に乏しいために具体的なイメージがつかめずにおりました。しかし、この法務部長さんの論稿を読んだことで、自身の抱いておりました「法務部の理想」に関するイメージに肉付けがされたようで、なんだかとても元気をもらったような気がいたします。おそらく現役の法務部員の方々、そして企業内弁護士として勤務されていらっしゃる方々がお読みになると、私以上に元気になるのではないでしょうか?「求められる法務の変革:契約法務からの脱却」「これからの法務の役割:経営の根幹に関わる問題に関与すべし」は本当に同感でございます。

ただひとつ気になる点があります。「法務部門の理想の姿」があるとしても、それを経営陣が理解するためにはどうすれば良いのでしょうか。そこで、一番印象に残るフレーズをひとことだけ引用。

・・・また、法律を扱うことが専門性のある仕事であることの自負は大事であるが、それは全体からみると一部に過ぎないことの認識を(若手法務部員に)持たせることも重要である・・・・

ホンマ、そのそおりやと思います。決して「問題が発生したら営業部の責任に転嫁する」といったものではございません。この認識があって初めて全社的なリスクが見えてくるのではないかと。また、この認識を持つからこそ経営陣から信頼される法務になるのではないだろうか・・・と。あと、顧問弁護士や、セミナーなどでご招待された弁護士などが、側面からこういった「法務部の在り方」を経営陣に理解してもらう・・・といったことも必要なのかもしれません。余計なお世話かもしれませんが・・・(^^;もし入手可能でしたら、ぜひお読みいただきたい論稿であります。また、読まれた方の感想など、コメントやメールにてお寄せいただけますと幸いです。

10月 26, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年10月23日 (土)

司法修習生給費制議論に関する素朴な疑問

かならずどなたかがおっしゃると思っておりましたので、私のような全体像のみえていない弁護士が申し上げることではないと静観しておりましたが、あまり視点の異なる問題を呈示される方もいらっしゃらないようですので、ひとことだけ「司法修習生給費制議論」に対する本当に素朴な疑問を申し上げたいと思います。

本日あたりのマスコミの論調を拝見いたしますと、日弁連のほうで「司法修習生の給与の存続を求める意見」に対して、自民党の反対が根強く、結局のところ当初の予定どおり「貸与制」になるのでは・・・といったことが報じられておりまして、マスコミとしても税金を投入して司法修習生の給与をねん出することは国民の合意が得られないであろう、といった意見が強いようであります。そして自民党の意見としても、またマスコミの意見としても、たとえば(いったん貸与制としたうえで)公益活動に従事することを条件に、返済義務を免除するというのはどうか、といった方向性が出されております。

私にとって「ちょっとビックリ」なのは、上記の意見では公益活動をすることに値段がつけられている(返済免除)ということであります。これは「値段をつけなければ弁護士は公益活動をしないであろう」といったことが前提とされているように思えます。しかし私の周囲の若手弁護士で、公益活動をしていない人は留学中の人を除いて探すのはむずかしいです。たとえば大阪弁護士会は老若男女の区別を問わず、平成19年から「公益活動」は義務化されておりまして、義務違反には罰金の制裁が課せられます。私も普段の日弁連、大阪弁護士会での委員会活動に加えて、この8月から10月はADR(裁判外紛争解決センター)の仲裁人をしております。1回2時間の審理でマンション組合における紛争の仲裁業務を行い、4回合計8時間の審理、その後仲裁人間での審議のすえ、合意に至らなければ仲裁判断を下します。決定書を書きあげたり、調査の時間を合わせれば、20時間以上は仲裁人の業務に従事し、報酬は全部で5000円程度であります。しかし、弁護士である以上は社会的正義のために「公益活動」に従事するのは当然だと思いますし、法律専門家のスキルを社会に還元するのは弁護士の職責であると考えております。

また、私は関西の社内弁護士の方々の委員会をとりまとめておりますが、関西の企業内弁護士の方々も、社内で「また弁護士会行くの??」と白い目で見られつつも、公益活動のために一生懸命委員会活動に従事しております。これも弁護士である以上、公益活動は当然のことだという認識のもとであります。東京の大手の法律事務所のHPをみますと、やはり若手の弁護士が公益活動に積極的に従事しておられる様子がうかがわれます。

つまり、貸与制にしてみても、弁護士は日常的に公益活動に従事することはあたりまえ(むしろ義務化されているところが多い)ですから、今の議論を前提とするならば、おそらくほとんどの弁護士が貸与されても返済免除になる、つまり実質的には給費制と変わらないことになるのではないでしょうか。どうも、いまの議論はあまり生産的なものではない、と思うのであります。国民に意見を問うのであれば、こういった実際の弁護士の業務の事情を踏まえたうえで、「弁護士が公益的な仕事をするのは当たり前、かりにお金のない人のために無償で仕事をしても、それでも返済免除は認めない」という方向性が妥当かどうか、という議論をしなければ、さらに将来に問題を残すことになると思うのでありますが。本当に素朴な疑問でありますが、この議論は弁護士の業務の実情を知っている方がどれほどなさっていらっしゃるのか、ちょっとよくわからないのでありますが。。。

10月 23, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (17) | トラックバック (0)

2010年9月19日 (日)

失敗しないリコール対応(東京・企業研究会セミナーのお知らせ)

三連休、いかがお過ごしでしょうか。休日モードということで、またお知らせが続きますが、今秋は東京でも何度かセミナーを開催させていただく機会に恵まれまして、企業研究会さんの主催にて10月19日に表記のとおりの「失敗しないリコール対応」に関する講師をさせていただきます。

Recall001

失敗しないリコール対応とリコールマニュアルの見直し(企業研究会公開セミナー)

中央経済社さんの雑誌「ビジネス法務」に掲載させていただいた論稿の内容を中心に、とくにリコール対応に伴うリーガルリスクについて考察する、というものであります。企業さんに100%満足していただいたかどうかはわかりませんが、これまでの私の経験などに基づく成功例、失敗例などもご紹介したいと思います。

なお今回は、東京海上日動リスクコンサルティングさんとのコラボ、ということで、後半ではリコールマニュアルの重要性について、日々リコール実務に対応されていらっしゃる実務家の方のご講演となります。

実際にリコール対応実務を経験して、それまではクライシス・マネジメント(危機管理)だと思っていたものが、実は危機管理だけでなく、長いスパンで検討しなければならない企業価値向上のための施策であることが理解できるようになりました。また、最近よく耳にする「第三者委員会報告書」との関連性なども、重要だったりします。ブログ同様、問題提起型で、一緒に考えていただくような双方向型の講演とさせていただくつもりです。2010年10月19日午後1時から、アルカディア市ヶ谷で開催されますので、ぜひご参加くださいませ。

9月 19, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年9月11日 (土)

新司法試験の「三振制度」はどこまで意味があるのだろうか?

元フジテレビアナウンサーの菊間千乃さんが新司法試験に合格された、とのことであります。菊間さんを指導したことのある大宮法科大学院の実務家教員(修習生時代、私と同じクラスの同期で、現在刑事専門弁護士)の話によれば、菊間さんはクラスでの質問も、発言もたいへんセンスがよく「おそらく彼女は合格するだろう」と思っていたとのこと。元々早稲田の法学部ご出身だそうですし、一日16時間ほど試験勉強されていた、と報じられておりますので、「他業種から法曹へ」といいましても、既修者に近い立場であったように思います。ただそれにしても2回目のチャレンジで合格されるとは、やはりたいしたものです。(私はどうも転落事故とジャニーズ飲酒事件のことしか思い浮かばず、本当の菊間さんのイメージというものを存じ上げないのですが。。。)

Photo 私は同志社大学の法科大学院で3年間実務家教員としてロースクール生と接してきただけでありまして、とくに法曹養成に詳しい実務家でもなければ、司法試験制度改革に強い思いを持っている者でもございません。昔、司法試験に運よく合格できた、ただの「一地方弁護士」であります。しかし昨日(9月9日)の新司法試験合格発表の資料を法務省HPで眺めながら、これはちょっと法曹界にとってマズイことになってきたのではないか・・・・と思い、門外漢ではありますが、ひとことだけ感想を記しておきます。

左表は本年度の新司法試験の未修者コース(法学部出身ではない人のコース:3年制)の方々の法科大学院別合格率ランキングです。過去2年間に修了した未修コース出身の受験者数を母数として計算しております。(私が勝手に作成しておりますので、どっか間違いがございましたらご指摘ください。)未修者の受験控えや、「隠れ既修者」など、見方によってはいろいろな感想がありそうですが、印象的なのは既修者(法学部→法科大学院の方)の合格率ランキング第1位の京都大学が未修者では15位までにも入っていないことであります。また、一橋、東大、中央あたりも、既修者合格率との差は大きいことがわかります。報じられているところによれば、全国平均でも、既修者の合格率は37%、未修者は17%程度ということのようで、つまり「長いこと勉強していれば、受かる確率は高くなる」ということのようであります。たしかこの新司法試験制度が作られるときには、菊間さんのように他の分野で活躍している人たちが法曹となり、多くの価値観をもった人たちが司法に携わることを理想としていたのではないでしょうか。したがって既修者も未修者もコースを修了した時点では、ほぼ60%の割合で司法試験に合格できる、という構想で制度が開始されたものだと認識をしておりました。ですから、「センスのない人は何回受験しても落ちる」「合格のために何回も受験する、という人を増やすのは社会的損失である」という、なんとなく納得できそうな感覚で「三振制度」(法科大学院を修了し、5年間のうちに3回受験できるが、3回目に合格できなければ受験資格を失う)も受け容れたのではないかと思います。つまり、この理屈は「法科大学院のきちんとしたカリキュラムを理解していれば合格する、その程度の合格レベルなのに3回も不合格となるのはセンスがないから仕方がない」ということでありまして、たぶん法科大学院にはどこも一定程度のレベル感があって、既修者も未修者も概ね6割から7割は合格することが前提のお話ではないか、と思います。したがいまして、三振制度を正当化する前提が欠けている現状のもとでは、もはや正当化する理屈は存在しなくなってしまった気がいたします。

さらに、単純な比較で恐縮ですが、大学時代から6年間(法科大学院で2年)法律を学んだ方と、法科大学院の未修コースで3年間学んだ方とでは、上記のとおり圧倒的な合格率の差が出ているのが現実であります。この差はどう考えても、センスの問題だけで説明できるものではなく、やはり受験までの勉強時間の差だと認識せざるをえないのではないでしょうか。もしそうだとしますと、未修者の方々は、これからまだ法曹としての基礎的な能力が伸びる可能性があるにもかかわらず、「三振制度」によって受験機会を失うという甚だ不合理な状況を甘受せねばならないように思われます。もちろん、5年経過後にまた新たに受験のチャンスは制度上は残されているわけですが、極めて高額な授業料を払ってまで受験するにはリスクが高すぎますし、ましてやこの合格率の差からして、なんとも割り切れないように思うのは私だけでしょうか。法曹界が本当に欲しいはずの「正常なリスク管理能力」を持った方々が、この不合理な合格率を眺めて、現職を捨ててまで法曹の道を目指すことになるのでしょうか。「法科大学院修了者枠」なる一般企業の就職採用枠があって、企業内弁護士に近い立場での就職口が多い、といった「受け皿」が整備されているのならばまだしも、そのような状況はまったく聞かれない現実では、それこそチャレンジして失敗された方々による社会的損失は大きなものがあるように思います。

どこの世界にも「とびぬけた能力」をお持ちの方はいらっしゃいます。たとえば2000名の司法試験合格者の上位100名程度は、「とんでもない頭脳やセンスの持ち主」であり、それは既修、未修の区別なく上位合格されているものと推察いたします。問題は、すれすれの1500位くらいから3000位くらいまでの順位にギュッと詰まっている平均的合格者レベルであり、そのあたりでの点数の差というものには、おそらく他業種で活躍されてきた知識や経験はほどんど関係なく、いわば法律的な知識や問題解決スキルの差で決まるのではないかと思います。(そもそも採点する側の能力の問題もあると思いますが)つまり、平均的合格者のレベルにおいては、悲しいかな長いこと法律の本を読み、試験に出そうな論点を暗記し、ダブルスクールで長いこと培った答案練習の成果がモノを言うのでありまして、そのあたりが既修者・未修者の合格率の大きな差となって表れているのではないでしょうか。

私は「制度を大きく変えろ」などと言えるような立場でもありませんので、あくまでも現実を目の当たりにしての個人的意見程度しか申し上げられませんが、せめて「三振制度」だけはなんとか撤廃したほうがよろしいのではないでしょうか?弁護士は職業として「人のお金を扱う」ものですので、弁護士になったとたん、700万も800万も借金を背負った状況で仕事を始めることは大反対であります。法科大学院でどのように立派な社会人教育を行っても、借金を背負ったとたんに犯罪に手を染めたり、目の前に現金500万円を置かれて、非弁提携に走る弁護士が出てくるのは、コンプライアンス業務を行っている者からすれば火を見るより明らかであります。とりわけ弁護士の場合は不正のトライアングルが十分に成り立つのでありまして(収入に見合わない借金←動機、人のお金を預かる、上司がいない←機会、所得が不定期ゆえ後日の報酬で返済の余地あり←正当化根拠)弁護士による不祥事の増加は、最後には国民に跳ね返ってくるわけであります。

働きながら、自身のペースで合格のための能力を養う・・・という選択肢もあるわけでして、借金をせずに、自身の人生設計の中で合格を目指す道もあろうかと思います。法科大学院の現状を肯定したうえで、かつ本当に法曹界に必要な人材に司法試験を受験してもらうためには、せめて「三振制度」だけはなくしてほしい、と思うのでありますが、いかがなものでしょうか。三振制度が成り立つ基礎は、①法科大学院の均質性、②高い合格率、③既修・未修の合格率に差がないことにあると思いますが、残念ながらいずれの基礎も崩壊している、というのが持論であります。

ちなみに平成23年5月15日より、司法試験予備試験制度が開始されます。この予備試験に最終合格となりますと、翌年の新司法試験には、法科大学院修了者と同様の資格で受験できる、というものであります。もし私に近い人で、これから法曹の道を歩みたいと真剣に考えている人がいれば、私は最初から法科大学院にはいかずに、この「予備試験」の道を勧めるかもしれません。法曹としての人間教育は、OJTによってその職業についてから始める方が適切だと考えるからであります。ただし、受験仲間は絶対に合格のためには必要ですから、「予備試験受験グループ」によるコミュニケーション教育のなかで「合格だけに特化した」受験体制を敷くのもひとつの選択肢ではないかと思います。法科大学院に変わる受験専門集団を作ることも、これからの受験産業(予備校)の役割になってくるのかもしれません。「司法試験合格は、自分のやりたいことの、あくまでも手段であって目的ではない」という感覚は、私がみるかぎり他の業界で頑張ってこられた方のほうが強い傾向があります。そういった方々が、今回の新司法試験の結果をご覧になって、はたして法科大学院で頑張って勉強しよう、という意欲が湧くのかどうか、他にもっと早く合格できる道、もしくは人生設計に狂いが生じるほどに借金を背負わずに済む道があれば、そちらを選択するのではないか、といったことを真剣に考えてしまいました。

9月 11, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (31) | トラックバック (0)

2010年8月28日 (土)

AJに「粉飾企業の上場阻止へ向けた特効薬はあるか?」を寄稿しました。

朝日WEB 「法と経済のジャーナル」に 粉飾企業の上場阻止へ向けた特効薬はあるか?不正経理に手を染める社長と有能な部下の心理と論理 その処方箋 を寄稿いたしました。(なお、全文をお読みいただくためにはAsahi Judicialyへの登録が必要となります)

シニアコミュニケーションや、私が関与いたしましたアイエックスアイ訴訟の経験などをもとに組織ぐるみの粉飾決算で上場前後を乗り切ろうとする企業に対して、監査や審査は本当に機能するのか、いかに効率的に排除するか、といったあたりを検討しております。かなり長いですが、また時間のあるときにでもお読みいただければ、と。 

8月 28, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年7月 8日 (木)

昨日のエントリーの表現に対する「誤解」につきまして。

いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

さて、昨日のエントリー「年金受給権・所得税課税に係る最高裁判決への感想」をお読みいただき、数名の方よりメールを頂戴いたしました。お叱りといいますか、もうすこしソフトに「違和感がある」とのご意見をいただきましたのが、下記のフレーズです。

ところで、こういった生命保険を取り扱っておられる金融機関さんの説明義務や、相談業務に携わっておられる税理士さんの専門家責任など、行政だけではなく、今後は企業や税務に関わる専門家の方々の法的責任がクローズアップされることになるのでしょうね。この最高裁判決は、かなり大きな混乱を招きそうな予感がいたします。

なるほど、コメント欄のTenpointさんのご意見などを拝見しておりましても、私の表現がご覧いただいている方に誤解を生じさせてしまっていることがわかりました。

私は、このような最高裁判決が出たことで、これまでの金融実務や税務に携わっておられる方の「法的責任」が問題となる、といった意味で申し上げたわけではございません。今回の最高裁判決を受けて、行政当局がどの契約が問題となり、どのような還付手続きをとるべきか、はっきりと対応できればよいのですが、もし対応が不十分である場合、今後の顧客からの相談にきちんと金融機関の方や税理士の方が対応できないケースもあるのではないか、といったことを「感想として」述べているものであります。おそらく行政当局といろいろな協議がなされるかとは思いますが、なかには説明不足があったり、このような還付手続きについてクライアントに説明されない専門家の方がいらっしゃったりした場合には、「なんで教えてくれなかったのよ」というクレームも生じるのではないか・・・・といったあたりのお話であります。

法律家として、後だしジャンケンのように「こんな判決が出たのだから、これまで問題視してこなかった人たちの法的責任を追及せよ」などと、そんな品格のないことは口が裂けても申し上げるわけはございません(笑)ただ、法律専門家の「物言い」の影響を考えれば、素直に反省すべきですし、そのように受け取られた方も多かったのかもしれませんので、表現の不適切であったことにつきまして、一部エントリーを修正するとともに、謹んでお詫び申し上げます。

昔は「場末のブログ」でしたが、最近はそうも言っておれず(ひさびさに7月9日午前9時現在;BLOGOSでランキング1位・・・こういった話題だと読まれる方も多いのですね・・・)、誤解を生むおそれのある表現につきましては、今後も注意を払ってまいります。m(__)m

7月 8, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

年金受給権・所得税課税に係る最高裁判決への感想

多くのブログですでに話題になっておりますが、税務行政や金融実務に大きな影響が出そうな最高裁判決が出たようです。(すでに最高裁のHPにおいて全文が閲覧できます。)年金払い生活保障特約条項のついた終身保険契約に基づき、保険会社は年金額230万円(年額)を主契約の受取人である原告(死亡した保険契約者の妻)に対して10年間支払うものとされております。ところで、この年金受給権に係る部分においても相続税がかかり(みなし相続財産)、なおかつ毎年支払いが確定している年金額部分(230万円)には支払われるたびに所得税も源泉徴収される、という実務慣行があります。しかし、毎年支払われるべき年金については、すでに「年金受給権」への相続税を支払っているので所得税の非課税所得(所得税法9条1項15号)に該当して、いわゆる「二重課税」にあたるのではないか、といった争点への判断が注目されておりました。最高裁は、上記判決文記載のとおり、原告側(納税者)の言い分を認め、原審を破棄しております。

Nijukazei001 2005年2月22日の国税不服審判所の裁決以来、左図のような経過をたどって、最高裁判決が出ております。こういったケースでは、マスコミの論調などをみておりましても、「最高裁→正義が勝った 高裁→トンデモ判決をなぜ出した?」といった構図が浮かんでおりますが、そういった高裁判断の批判をするのであれば、まずきっちりと高裁の判決を読んでからやるべきではないか?と思っております。本件にかぎらず、高裁判断のほうが、意外と理屈のうえでは正しいのではないか?と思われるケースもあります。ちなみに原審福岡高裁の判決文はこちら(全文)であります。(なお、第一審である長崎地裁判決・全文はこちらです。国税側の指定代理人がどのような主張を行っていたのかをきっちりと確認したい場合には、この第一審判決も読むべきかと。)高裁判決は本当に「トンデモ」だったのかどうか、ゆっくりと判決文を吟味していただいたうえで、最高裁判決の射程範囲(第2回以降の定期金支払いについてはどのように取り扱うべきか?年金受給権以外の定期金への課税についてはどこまで影響が及ぶのか?)などを検討したほうがよさそうであります。

しかし(単なる感想で恐縮ですが・・・)普通の主婦の方が、国税指定代理人12人の主張を相手に最高裁で勝訴する、ということは、正直スゴイのひとことです。最高裁で逆転勝訴判決(租税訴訟)を得た経験をお持ちの代理人弁護士の方も、また長年支援をされていた税理士の方も、おそらく「手弁当」でここまでやってこられたと思われますが、これまた執念に頭が下がります。国税の常識はおかしい!という信念のもと、最高裁まで頑張ってこられたのでしょうね。とくに最初の審査請求(国税不服審判)で一蹴されてしまった時点で、普通であれば「やっぱりダメみたいですねぇ」で終わってしまうのではないでしょうか?今回の最高裁判決が、はたして納税者にとって有利な判断だったのかどうかはよくわかりません。しかし、「普通の市民の常識」が税務の常識を覆すことができるということは、まだまだ他にも頑張る方がいらっしゃれば覆るべき実務もあるんじゃないでしょうか。

ところで、こういった生命保険を取り扱っておられる金融機関さんの説明義務や、相談業務に携わっておられる税理士さんの専門家責任など、行政だけではなく、今後は企業や税務に関わる専門家の方々の法的責任がクローズアップされることになるのでしょうね。この最高裁判決は、かなり大きな混乱を招きそうな予感がいたします。(※ 一部、誤解を招く表現がございましたので、削除線を引いております。)

7月 8, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (19) | トラックバック (1)

2010年6月29日 (火)

セミナー「企業不正リスク-予防と発見に向けた処方箋」のお知らせ

常連の皆さまは総会関連事務でお忙しいかもしれませんし、今夜はおそらくどなたにも当ブログをご覧いただけないものと拝察いたしますので(笑)、営業時間中ではありますが、セミナーのご紹介をさせていただきます。

来る7月23日(金)午後1時半より、ACFE JAPANと第一法規さんの共催によりますセミナーを開催させていただきます。ちなみに大阪開催であります。

企業不正リスク-予防と発見に向けた処方箋-(第一法規さんのWEBより)

CFE(公認不正検査士)の受験者は関西でも増えておりますが(私も事業報告書の社外役員欄に「財務会計的知見」のひとつとして、公認不正検査士であることを堂々と記載しております。)、さらに広くCFEを知っていただくため、今回はおなじみ甘粕潔氏と、私の共同講演とさせていただきました。また10月13日開催のACFEカンファレンスの告知もさせていただきたいと思っております。

架空循環取引にまつわる諸問題といいますと、テーマは大きく二つに分かれると思います。ひとつは会計不正を巡る問題であり、もうひとつは商社取引(介入取引)に関する法的性質問題ですね。後者はすでに多くの優れた論文もあり、企業実務家の方による出版物等もございますので、今回は私が架空循環取引の見逃し責任に関する裁判の代理人を1年以上務めた経験から、前者の会計不正を巡る問題を中心に講演をさせていただく予定であります。

ただ、あまり架空循環取引の細かい部分をお話しても、ちょっとマニアックすぎるきらいがございますので、企業不正はなぜ三様監査(監査人監査、監査役監査、内部監査)をもってしても発見できないのか、その原因を関連事件から検証してみたいと思います。90分程度ですので、お話したい論点は二つ程度に絞ってみたいと存じます。

CFEの活動状況やCFEの本場アメリカの不正検査事情等、最新事情は甘粕さんのご講演をお聴きいただくとしまして、ブログでは書けないような「監査見逃し責任訴訟への裁判官の対応」なども盛り込んでお話させていただきますので、もしお時間の調整がつきましたら、大阪ミナミの会場までお越しくださいませ。

(追記)

まったく別件でありますが、来週某企業法務研究会で「第三者委員会」に関連する講演をさせていただきます。その際に、「第三者委員が途中で辞任することは会社へのダメージが大きすぎてできない。したがって、就任時の企業トップとの協議がきわめて重要」という趣旨のことを申し上げるつもりですが、今日のTDNETをみておりますと

ガバナンス評価委員からの辞任届受領の件について

できれば関係者の方より、お話をお聴きしてみたいものであります。

6月 29, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年6月15日 (火)

日本VSカメルーン戦に匹敵する注目度!:監査法人VS第三者委員会!

すいません、長いタイトルの割には内容が薄いエントリーであります。(多忙のため、ダイジェスト版で失礼します)

「はやぶさのカプセル帰還」「カメルーン戦勝利」と、ひさしぶりに日本中にうれしい話題が飛び交っておりますが、ディスクロージャーの世界では、またまたスゴイ開示情報が出ております。日本風力開発社(マザーズ)の「会計監査人の異動及び一時会計監査人の選任に関するお知らせ」うーーーん、これまたスゴイ。。。

追記;6月15日早朝に当社の他のリリースなどを読みますと、やはり当社固有の事情もあったようですね。(追記おわり)

先日のTL社の事例につづき、またまた監査役会(正確には監査役全員の同意)により、会計監査人を解任するという事態が発生しております。そして今度は日本で最も大きな監査法人さんが解任された、とのこと。ちなみに会社法340条1項(監査法人の職務懈怠)による解任だそうであります。いっぽうの大手監査法人さんは、解任に関する意見開示を現在準備中とのこと。また、今回の解任劇に直接関わっておられるわけではありませんが、6月30日の株主総会で新たに就任予定の監査役さんは、司法試験合格者を多数輩出している名門ロースクールの会社法の大先生でいらっしゃいますね。。。(当然、今回の監査法人解任劇を熟知しての監査役就任ということだと思いますし、なんだか会社側の意気込みのようなものを感じます。)

大手監査法人さんが懸念されている事項について、「懸念するほどのことではない」といった独立第三者委員会報告(意見)が提出されたにもかかわらず、当該監査法人さんは懸念が払しょくされないとして、意見表明に難色を示しておられたことが解任の最大の理由と思われます。(ちょっと意見書の内容は法律に詳しい方でないと理解できないものと思われますが、このようなスタイルの意見書もあるのですね。)ここのところ、監査役の有事対応の話題は事欠かないのでありますが、とりわけ本件は監査法人さんの意見開示も含めて、今後の展開が注目されるところではないでしょうか。本当にリリースを精査する時間がなくて申し訳ありません。とりいそぎ備忘録程度のみ。。。

(追記その2)会社リリースを読んでの素朴な疑問として「なぜ当該監査法人さんは、解任されたにもかかわらず、一時会計監査人への引き継ぎに協力するのだろうか?たしかに会社法監査については準委任契約上の引き継ぎ義務はあるかもしれないけれども、おそらく解任理由は争っておられるわけで、これでは(財務諸表監査に関する契約の)合意解除による場合と同じであり、解任理由があることを(法的には)認めたことにならないのだろうか?」とも思われます。しかし、会計士さんには、異動に関する事情が発生した場合には、公認会計士の職務上のルールとして、適切に引き継ぎをしなければならないそうであります。つまり法的にはどうであれ、事実上、その会社の監査から身を引くときには、きちんときれいに立ち去る、ということなんですね。さすが、投資家、株主のために仕事をする職責だと理解いたしました。(なるほど・・・)

6月 15, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2010年5月20日 (木)

「無煙タバコ」への対応は結果無価値か行為無価値か(その2)

東京地区限定で無煙タバコが発売されたそうでありますが、3月に「無煙タバコへの対応は結果無価値か、行為無価値か?」でも予想しておりましたとおり、各社の対応は分かれているそうであります。

日本航空は機内での喫煙OK、しかし全日空は無煙タバコも禁止とのこと。その他、JR東海と東日本はOKのようですが、JR西日本が禁止する可能性があるとか。(毎日新聞ニュースより)

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ちなみに、ライブドア社がネットでアンケートを集計した結果は以下のとおりであります。(私のブログも紹介されていたんですね。ありがとうございますm(__)m )「無煙タバコならどこでも吸っていいか?」という問いに対する回答(3065名)は、なんとオソロシイほどきれいに結果が分かれております。

さて、この結果を各企業はどのように受け止めるでしょうか?ちなみに、サービス業だけでなく、今後は社員の受動喫煙禁止となりますので、すべての企業で対応を検討する必要がありそうです。

5月 20, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2010年5月14日 (金)

半導体製造会社の粉飾決算だそうで・・・

私が社外監査役を務めております会社も、昨日が監査法人と監査役会との最終決算報告会、そして本日が決算役員会ということでして、ブログ更新もお休みさせていただきました。たくさんの外食店舗を有する企業の場合、資産除去債務を「公正価値」として算定するのは結構たいへんですね。私は「特損計上分」と「償却分」との区別がわからず、新日本の指定社員の方に、黒板(ホワイトボード)でいろいろと説明してもらってやっと理解しました。これ、不動産取引に関する知識や経験も必要ですよね。(ちなみに、このエントリーは決算短信公表後の午後4時10分に発信しております。念のため・・・)

その間に大きな粉飾決算容疑事件が報道されていたようでして、ずいぶんと出遅れてしまいました( ̄◆ ̄;) 私がいつも拝読しているブログでは、この会社が新規上場した昨年11月時点で「この売上高と売掛金残高との関係は怪しいですね。届出書や事業リスクの表示を額面通り受け取らないほうがいいですね」と書かれておりましたので印象に残っておりましたが。。。公開資料をご覧になったアナリストの方が、新規公開時に堂々と「これはあやしい」とブログで書かれるほどの内容ですから、監査法人さんや、監査役さんはどう思っておられたのでしょうか。まず、私はそこがとても関心のあるところです。(海外口座が活用されていたみたいですから、当局も調査に時間がかかったのではないかと思いますが。)

まだ執務時間なので、とりいそぎ、出遅れた話題への備忘録のみ。

5月 14, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (20) | トラックバック (0)

2010年5月 7日 (金)

甘くなかった「芦屋ロックガーデン」

GW終盤の5月4日、妻と大学生になった娘と3人で、久しぶりのハイキングに出かけてまいりました。関西では定番コースでありますが、南大阪の人間にとってはあまり馴染みのない阪急芦屋川から岩山を上り、その後阪急岡本駅へ戻るコースであります。「芦屋ロックガーデン」と言ったほうがわかりやすいかもしれません。

Dsc01339_400 子供でも登れる岩山と聞いておりましたので、気楽に考えておりましたが、とんでもなかったです。途中かなり険しい岩山を、鎖につかまりながら登る場面もあり、50を目の前にした男性にとっては貧血を起こしそうなハードな道のりでありまして、ここはしっかりとした準備をしていく必要がありました。ただ、目的地点である「風吹岩」のあたりから眺める風景はご覧のとおり絶景でありました。

多くのブログで紹介されている芦屋ロックガーデン入口の茶店を出ると、帰路に至るまで茶店どころが自動販売機も一切ありませんので、もし関西方面の方で、今後ハイキングに来られる方がいらっしゃいましたら、この茶店で飲料を豊富に購入しておくことをお勧めいたします。GWとはいえ、25度を超える夏日でしたので、脱水症状になられる方も多かったようで、捜索隊の活動やヘリコプターの低空飛行がやたら多い一日でした。甘い考えは禁物だと思います。

Dsc01333_320 登山路では、途中このような野生のイノシシなども登場しますが、とくに追っかけられるようなことはありませんでした。

しかし、阪急芦屋川駅付近といい、阪急岡本駅付近といい、関西ではいわゆる「高級住宅街」の代表的な地域であります。とくに阪急岡本駅からJR摂津本山駅付近まで歩いて帰る途中、東京生まれ、東京育ちの妻曰く「ここって、『自由が丘』によく似てるわね。私も、こういうところに住んでみたいなぁ。結婚当初は、セレブになって、こういったところで子どもとショッピングができるようになるって、思っていたんだけどなぁ。。。」

このコースを選択するときに一抹の不安があったのが、妻のこういった気持に火をつけてしまわないか・・・ということでありました。まあ、阪急芦屋川付近は現実味がないとしても、岡本駅付近となりますと、それなりに豪華なマンションなども立ち並び、セレブな雰囲気が醸し出されているのでありまして、これまで夫婦間で避けていた話題(いつかは阪神間)が再燃してしまったのであります。結局私にとって甘くなかったのは、登山道にもまして、夫婦の会話だったような気がいたします。。。

5月 7, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2010年5月 3日 (月)

中学校の同期会(35年ぶりの仲間たち)

1976年に高石市立高石中学校を卒業した同期による35年ぶりの同窓会に出席してきました。卒業生330名のうち、80名を超える参加者、当時の担任の先生も4名が参加され、たいへん盛大なものでした。(ちなみに、高石市というのは、大阪府堺市の南にある小さな町です)

35年ぶりの再会・・・となると、ほとんどわからないのではないかと思いましたが、体型・容貌の変化こそあれ、会ってみると一瞬のうちに当時の面影がよみがえってきて、すぐに15歳当時の雰囲気に戻れました。声も性格もほとんど変わらず、人間というのは15歳までに人格が形成されるのではないかなぁと思いますね。市会議員になった人、娘がタカラヅカ宙組のスターになった人、ガンと闘っている人、夫の介護に人生を捧げている人、リストラで求職真っただ中で毎日を過ごしている人など、それぞれ歩む人生は違いますが、出席者のほとんどが南大阪在住でして、あと10年か15年もすれば、みんな「地域デビュー」する年齢です。高校や大学の同窓会と違って、中学校の同窓会は、性別も肩書きも既婚・未婚の区別も超えて支え合える貴重な機会ですね。記念写真を撮影するときにも、中学時代に仕切り役だった友達が、やっぱり35年の時を経て、同じように仕切っているのをみて、「来て良かった」としみじみ感じました。私のことを「ぐっちゃん!」と呼び、またブログのことなど一切知らない友人達との交流を、これからは大切にしてきたいと思いました。

しかし同窓生のなかで、2組も夫婦で参加していたのには驚きでした。そういえば私も中学時代、おつきあいしていた○○さんとは会えるだろうか?・・・・・、とひそかな期待を胸に秘めて出席しましたが、残念ながら欠席。。。1976年の卒業アルバムがテーブルに回ってきて、アルバムに映っている彼女の写真を見たときに、「こうやって会えなかったことで『ちいさな宝物』を失わずに済んだのかも・・・」と思い直すことにしました。(でもやっぱり、次の同窓会のときには遭ってみたいかも・・・・(^^;;  )

5月 3, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2010年4月 7日 (水)

闘うコンプライアンス(トヨタ・リコール問題編)

本日は新聞報道に対する感想にすぎませんが・・・・

少し前までは「安全神話」、つまり品質管理が問題とされていたトヨタ・リコール問題でありますが、アメリカ政府による15億円の制裁金賦課の件で、経営管理の問題に発展してしまったようであります。現場における「安全神話」は必要ですが、経営陣における「安全神話」は「悪い情報を信じない」「使用法に問題あり、と即断する」方向へ走ってしまうリスクを伴うわけでして、欠陥を隠す気持ちは毛頭ないわけでありますが、欠陥を認めるまで時間を要し、その結果として「欠陥を知ってて隠していた」「マスコミに指摘されて、やっと重い腰をあげた」と世間では評価されることになってしまいます。まじめに商品作りに取り組む会社でも、商品に誇りを持っているがゆえにリコールリスクも大きいのではないでしょうか。

「製品の欠陥を知ってて放置していた」という事実による制裁金だそうですが、これはなんぼなんでも認めるわけにはいかないのではないかと(トヨタ社としては「現在、対応を検討中」とのことですが)。もちろん品質管理の面においてはできるだけ誠意をもって今後の対応策を検討すべきではありますが、経営管理つまり「欠陥を知ってて放置」ということになりますと、制裁金だけでは到底済む問題ではないでしょうし、法令違反行為に関する経営判断として、日本でも大きな裁判が起こってしまうものと思われます。なにより、従業員の士気にも関わってくるのではないでしょうか。

これまでトヨタ・リコール問題はいくつかの過程を経ておりますが、経営管理問題に火がついてしまった現時点において、まさに最大の正念場がやってきたのでは。たしかに長引けば信用問題に傷がつくかもしれませんが、あやふやな対応では更に大きな傷がつくのではないかと思います。「闘うコンプライアンス」の典型例として、まさに今回のトヨタの対応に注目しております。

4月 7, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2010年3月 6日 (土)

早いものでブログ開設5周年・・・皆様に感謝m(__)m

ドリコムブログ時代とココログ時代を合わせまして、本日ブログ開設からちょうど5周年を迎えました。ここまで続けてこれましたのも、ひとえに当ブログをごひいきにしていただいている皆様方のおかげであります。本当にどうもありがとうございます。

また、この記念すべき日に、

なんと昨日のエントリーが「BLOGOS」で初めて「読まれているブログ」の第一位に輝きました!!(3月6日午前1時現在:アクセスランキング1位)\(-o-)/!

なんか「ご褒美」をもらったような気分です。150名の著名人の方々のブログのなかで、たとえ一瞬でもランキング1位になれましたこと、素直にうれしいです。また6年目に突入しますが、これからも「法務系ブログ」として、週2日程度は更新していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。m(__)mちなみに、いまのところ「つぶやく」ほうは考えておりません(笑)

ということで、本日は某会社の会計帳簿・計算書類等閲覧謄写(謄本交付)請求の仮処分事件で忙しかったので、もう寝ます。。。(-_-)zzz

3月 6, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2010年2月25日 (木)

サンスターMBO高裁決定が確定したようです。

(2月26日未明:追記あります)

サンスター社のMBOの過程で行われました全部取得条項付き株式の公正価格を巡る事件(価格決定申立て事件)におきまして、サンスター側から出ておりました特別抗告を棄却する旨の最高裁決定が出されたようです。(まだ風の噂でありますが・・・)

最近は「旬刊商事法務」さんも、「ビジネス法務」さんも、MBOをとりまく特集記事(論稿)が目白押しであり、多くの学者、法曹実務家の方々は、このサンスター高裁決定を疑問とする意見が強かったように思います。とくにサイバードHD東京地裁決定が出てからは、なおさら高裁決定への批判が強まったように感じました。でも、これが現実であります。

MBOに直面する監査役としましては、行為規範(構造的な利益相反状況のなかにおけるTOB価格賛同のための公正な手続き)と開示規範(株主にTOBに応じるか否か、その結果に自己責任を問いうるだけの情報が開示されているか)が適切に遵守されていることをチェックしなければ、自らの善管注意義務違反を問われかねない時代になってきたといえそうですね。

PS それにしても、商事法務(株式会社)さんの不祥事、ビックリしました。(本当にこんなことってあるんですかね??)「第三者委員会特集号」の不祥事で第三者委員会が立ちあがる・・・って、シャレにもなりませんし、あんまり笑える話ではないですよね。。。

(2月26日未明:追記)時事通信ニュースによりますと、サンスター社がこの件につき、リリースを出しておられるようです。風の噂は本当だったようです。

ところで、このサンスター社のリリース内容については素朴な疑問が出てきます。最高裁の司法統計、たとえば平成20年度の統計からみますと、高裁が許可抗告を「許可」したのは、1331件中、わずか57件です。しかも、平成20年度中に最高裁で既済となった54件の許可抗告のうち、破棄差し戻しとなったのはわずか3件です。つまり「重要な法令解釈の統一に関する必要性」が認められたとしても、最高裁で判断が覆るのはほとんどない、という結果が出ております。このような現実があるにもかかわらず、なぜサンスター社は「最高裁で審理されていれば、自らの主張が通ったと確信」できたのか、非常に素朴な疑問を感じます。田原裁判官の補足意見を引用されておられますが、田原裁判官は、破棄差し戻しを予想させるような判断理由を付記されておられるのでしょうか?もし、そのような決定内容であれば教えていただければ幸いです。

2月 25, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (8) | トラックバック (0)

2010年2月 3日 (水)

ビジネス弁護士から指定弁護士(検察官役弁護士)へ

もうすでにご承知の方も多いかとは思いますが、明石歩道橋事件における検察審査会の起訴相当なる判断を受けて、日本で初めて現役の弁護士が検察官役(指定弁護士)として、公訴提起に携わることになります。(私はJR西日本の事件のほうで先に指定されるのかと思っておりましたが、明石歩道橋事件のほうが先だったのですね。)昨年12月7日のエントリー「指定弁護士-いったい誰が選任されるのだろうか」にて、我々同業者のなかでも、日本で最初の検察官役弁護士に誰がなるのか、たいへん関心を抱いていると書きましたが、今朝の新聞を見てちょっと驚きました。中川先生が兵庫県弁護士会より推薦を受けておられるようであります。もちろん、裁判所から正式に指定されるまでは決定とは言えませんが、おそらくこのまま正式に指定弁護士の第1号として難題に立ち向かわれることになるものと思います。(日経ニュースはこちらです

ちょうど2年ほど前、中川先生をお誘いして、第一法規さんのセミナーを開催させていただきましたし、たいへん多くの法務部門の方々にお集まりいただきましたので、ご記憶されておられる方もいらっしゃるかと思います。またその後はIPO(新規株式公開)に関連するお仕事をご一緒させていただいたこともあります。そもそも中川先生は最高裁判事を務められた方の名門事務所(神戸市内)に在籍しておられ、近畿財務局に出向して金融検査官のお仕事をされておられましたので、私はビジネス弁護士としての顔しか存じ上げません。弁護士として優秀なのはIPO関連の仕事をご一緒して証明済みでありますが、なんといいましても、私が共同セミナーにお誘いしたのは、彼の誠実な人柄からであります。また、コンプライアンスを説く人に不可欠な「現実と理想との間のバランス感覚」も兼ね備え、おそらく企業人の方々にはウケるだろう・・・と考えたからであります。(実際、IPO支援先の社長さんからはたいへん信頼をされておりました)「東京の大きな法律事務所に入所されていたら、もっと能力を発揮する機会に恵まれて、もっと大きな仕事をされていただろうになぁ・・・」などと、(ご本人からすれば「要らぬお節介」ですが)感じたこともありました。

若手ビジネス弁護士として期待しておりました中川先生が、こういった検察官役弁護士として大役を果たされることに敬意を表したいと思います。犯罪被害者支援NPOの理事をされておられたり、弁護士会の関連委員会の副委員長をされていたり、という立場も考慮されてのことだとは思いますが、兵庫県弁護士会の推薦も、彼の人柄やバランス感覚が最も考慮されてのことではないかと推測いたします。これこそマニュアルのない世界ですし、司法改革の一貫として制度化された「起訴議決制度」を担うため、様々なプレッシャーがかかるものとは思いますが、どうかその優秀な法律家としての能力と誠実な人柄、そしてなんといっても「前向きの使命感」により、この難題に立ち向かっていただきたいと願っております。長丁場になるかとは思いますが、どうか頑張ってください。

2月 3, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月18日 (月)

1月26日の「ビジネス法務の部屋」セミナーに関するお知らせ(一部訂正)

さて、先日お知らせいたしました来週26日の「ビジネス法務の部屋を巡る諸問題」セミナーですが、おかげさまで、会場一杯(収容人数108名)の参加申し込みをいただき、お申込みを停止させていただいております。(ご参加いただける方は、長机に2人掛けでお座りいただくようですので、とくに窮屈な感じではない、と主催者側より聞いております。)

主催者側の情報によりますと、180センチの長机に3名お座りいただくことになるので、若干窮屈になるかも・・、ということでありました。訂正してお詫び申し上げます。

本当にどうもありがとうございます。m(__)m「忙しい時間を割いて、来てよかった」と思っていただけるよう、レジメも準備しておりますので、皆様方とお会いできるのを楽しみにしております。

1月 18, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月 5日 (火)

「ビジネス法務の部屋を巡る諸問題」(セミナー)のお知らせ

さて本日はお知らせでございます。大阪弁護士協同組合と第一法規さんの共催により、書籍「ビジネス法務の部屋」の出版記念セミナー「ビジネス法務の部屋を巡る諸問題」が来る1月26日大阪ヒルトンプラザで開催されます。(第一法規さんのご案内はこちらです。)たいへんありがたいことに、もうすでにお申込みされた方が定員を超えておりまして、厚く御礼申し上げます。m(__)mただ、会場を一杯に使いますと、収容人数に余裕はあるそうですので、もしセミナーのテーマにご興味がございましたら、これからでもお申込みいただき、ぜひお越しいただければ幸いでございます。(企業担当者の方でも、法律や会計のご専門の方でも、どなたでも大歓迎です)

セミナーは第Ⅰ部が「2年目の内部統制報告制度の運用と法律的課題」ということで、たとえば私が現在、日弁連法務財団の内部統制研究会や、日本取締役協会の内部統制研究WGにて検討しております法的課題などを中心としてご報告申し上げることや、過年度決算訂正と関係者の法的責任論(本日も日本ビクター社の半期報告書が提出できない事態が報じられておりますが)の解説、そして日本システム技術最高裁判決や公認会計士の法的責任が認められたライブドア損害賠償事件判決、そして大原町農協最高裁判決などをテーマとしてあらためて会社法上の内部統制との関係などについても、会社実務に沿った形でご報告させていただく予定であります。

また第Ⅱ部は、私の本業に近いテーマ、内部告発・内部通報と企業の適切な対応についてご報告させていただきます。来年見直し予定となっております公益通報者保護法における公益通報との関係や、内部通報「踏みつぶし」リスク、内部通報が社内・社外に届いた際の有事対応(公表、懲戒、再発防止策等)を中心にご報告させていただきます。こちらは本業に近いところのお話なので、どちらかといいますと実務経験に基づくところのお話が多くなるものと思います。労働者派遣法改正に関する話題がこのところ新聞報道でも目立って多くなりましたが、みなさまご承知のとおり、内部通報はその80%程度が労務関連であります。今後「派遣か、請負か」といった問題が企業側においても重大な関心事になるものと思いますし、内部通報や公益通報に対する企業側の対応が、その社会的信用にこれまで以上に影響を及ぼすものとなります。法律実務家の方々にも参考となるお話かと思います。

本当はもうひとつ、当ブログでも過去に何度もエントリーをアップしております「行政法専門弁護士待望論」についてもご報告申し上げたかったのでありますが、これだけでもたぶん多くの時間を要しますので、また別の機会にと考えております。このテーマは意外と企業法務との関係で論じられるセミナーはないようですね。きっと企業法務担当者の方々には有益なお話になると思いますよ。(^^) この元旦より施行されました改正著作権法の問題(違法ダウンロードに処罰規定がないからといって安心していませんか?実はその裏にはいろんな意味が隠されているのでは?風俗等、警察行政と共通した問題が潜んでいるのでしょうね。)といったお話や、先日BLOGOSでアクセスランキング最高5位にまでなったエントリー「しまむらVS加茂市」でみられるように、行政の政策法務によって特定企業が合法的に?狙い撃ちされるお話、最近いよいよビックカメラの粉飾問題で動き出した金融庁課徴金処分への不服申立て、消費者庁移管業務に関する実務、そしてなんといいましても改正独禁法における新しい争訟制度など、「闘う企業コンプライアンス」のためには、行政法に精通した法律実務の在り方が問われる時代になることは必至であります。なんといいましても、相手は許認可権を持つ行政庁やこれに準ずる公共団体でありますので、企業の存続のため、ときには素直に頭を下げ、しかしときには企業コンプライアンスのために闘うことも必要であります。そのあたりのバランス感覚がどうしても行政と対峙する企業には必要なのかなぁと最近よく考えております。これまでも租税法関連では行政と対峙されていらっしゃる行政法専門弁護士の方々はいらっしゃいますが、企業コンプライアンスとの関連で対峙できる専門家・・・という方は、まだまだ東京でも少ないのではないでしょうか。私はこれ以上に手を広げることはしんどくなってきましたので(笑)、ぜひぜひ若手の先生方で、こういった分野に積極的に踏み込んでいかれるのを期待しております。

1月 5, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月 1日 (金)

謹賀新年(今年もよろしく!)

新年、あけましておめでとうございます。本年もどうぞ当ブログを宜しくお願いいたします。

しかし我々の世代にとって、今回の紅白歌合戦の午後11時ころのサプライズ、たまりませんでしたね。歌詞間違ったって、そんなことどうでもいいって感じでした。今年は紅白じっくり視て良かったです。

1月 1, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年12月31日 (木)

皆様、良いお年をお迎えください。(ごあいさつ)

本日(30日)まで、いろいろと慌ただしく仕事をしておりました。それにしても今年一年は本当に忙しかったです。ハラハラドキドキの毎日でした。ここ数年はブログでもご紹介しておりましたように、年末年始は家族旅行でしたが、今年はセンター試験直前ということもありまして、家族で「ひっそり」と自宅で新年を迎えます。正月は自宅で読みたかった内田樹先生の「日本辺境論」をじっくりと楽しみたいと思っています。

今年1年、当ブログをご覧いただき、ありがとうございました。最近ちょっと更新頻度が少なくなっていますが、来年もボチボチと続けていきたいと思っております。それから、多くの方々からメールにて諸々の法律問題についてお問い合わせを頂戴しておりますが、なかなか本業に忙しく、ご返答できずに申し訳ございません。(なおコメントにつきましては、ボチボチとご返答差し上げるつもりです。こちらも有識者の方々のハイレベルなコメントが増えておりますので、なかなかナイスなお返事をできずに申し訳ございませんm(__)m )

日本興亜損保社の臨時株主総会の議決権行使結果の開示がなかった(31日未明現在)のが残念でありますが、まだまだこれからも関心を持ち続けたいですね。では、皆様もどうかよいお年をお迎えください。(来年もいい年でありますように・・・♪)

12月 31, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年12月13日 (日)

朝日新聞の「人(ひと)」に出ちゃいました・・・・・・(^^;

土曜日(12月12日)の朝日新聞1面をめくってビックリされた方も多かったかもしれません。いつもの土曜日と比べて3倍程度のアクセスがありましたので、やはり「人」に掲載していただいた反響はたいへん大きかったようです。(目にとめていただき、ありがとうございました>品川のよっちゃんさん、福岡の方 m(__)m)

「企業法務をわかりやすく紹介するブログ」と記者さんに紹介いただきながら、いきなり「委任状勧誘規則・・・」「公正なる会計慣行・・・」など、たいへんマニアックなエントリーばかりが並んでおりましたので、おそらく初めて当ブログにお越しいただいたにもかかわらず、「なんやこれ、どこがわかりやすいねん!」と怒って帰られた方も多いかも・・・・・・(^^;;  ただ、なかには本当に法律になじみのない方にもわかりやすいエントリーもあると思いますので、よろしかったらチラチラと過去のエントリーをめくっていただけますと幸いです。

本当は12月のもう少し早い時期に登場する予定だったのですが、横峯さくらさんとか鹿島アントラーズの選手のみなさんとか、話題性のある方が優先ということで(笑)、私のは「後回し」になったのかもしれません。しかし写真はさすがにプロの方が撮影しただけあってずいぶんと実物よりもキレイです。なんせ当日は100枚以上撮影して、そのなかから厳選された1枚が使われますので・・・プロのカメラマンの妥協しない仕事ぶりが印象的でした。

11月は日経新聞の「プロフィール」でも紹介いただきましたが、あちらは仕事関係の方々にいろいろとお声かけいただきました。しかし今回は親戚筋や、娘の学校のPTAのお母さん方からも反響があり(以前PTAの役員をやっていましたので・・・)、知人の方々に「元気でやっています」風のメッセージにもなりました。こういうのは「一生に一度」の経験なので、たいへん良い記念になりました。あらためて日経ならびに朝日の記者の方、カメラマンの方に御礼申し上げます。身の程をわきまえ、また普通の生活に戻ります(笑)

12月 13, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月19日 (木)

株式買取請求権に関するつぶやき・・・・・

(本日は、単なる「つぶやき」にすぎませんので、BLOGOSに転載されるほどの内容ではございません・・・笑)

17日の日経「投資・財務」面にもありましたが、ここのところ株式の買取請求権行使が相次いでいますね。また、旬刊商事法務の論文も、レックスHD決定の検討、葉玉先生の「略式株式交換における株式買取請求権」、東大の大先生の「株式買取請求権制度の構造」そして、サンスター大阪高裁決定の検討といった具合に、毎号、著名な法律家の方々のレベルの高い論文が目白押しです。

今後も事業再編やMBO事案が増えるにしたがって、当然のことながら少数株主権行使の機会も増えてくるとは思うのですが、よくよく考えますと先に上げたレックスやサンスターの事件は(とても一般株主とは言えない)名高いY氏が申立てておられる事件(とくにサンスターは本人申立て)ですし、葉玉先生の事例も、たまたま葉玉先生が原告株主側で代理人を務められたことで浮かび上がった論点に関するものと思われます。

実際のところ、一般株主の方々にとって、やはり会社法の少数株主保護にからむ事件を本人申立てでやりぬくことはたいへんであって、訴訟要件の不備によって申立てが却下(つまり、本案のところまで行き着くことなく撃沈)されてしまうケースが多いのではないでしょうか。とりわけ株券電子化後の「個別株主通知」の対抗要件と株式価格決定申立て事件における訴訟要件(手続き要件?)との関係あたりはいまだ裁判上も確立されたものがないような気がしております。たしかに本案までこぎつけても、価格鑑定など費用のかかる問題点もあるかもしれませんが、とりあえず裁判所の後見的機能が発揮されるかもしれませんし、それなりに価格決定申立てをする意味があるかもしれませんから、なんとか一般株主の申立てが「まな板の上に乗る」ところまでは「やさしい司法」であってほしいものです。

ということで、少数株主権の行使とまでは広げずに、たとえば「やさしい株式買取請求権の行使」といった一般株主の方々のための本とか出版したら、(法人、機関投資家の方も含めて)それなりに売れそうな気がしますが、いかがなものでしょうか?あくまでも、本案審理を裁判所で展開できるところまでの「入口突破のための」本ですが、けっこう意義があるような気がするのですけど。。。大阪弁護士会は法律事務所向けに「法律事務の手引き」という本を(2年に1回程度の更新頻度で)出しておりまして、これが実に素晴らしいのです。書類の書き方から、裁判所に提出すべき書類や提出期間など、刑事、民事、家事事件を扱う弁護士に弁護過誤が起きないように、それはそれは丁寧に法律事務を解説してくれております。こういった手引き書のような本が一般株主による株式買取請求権行使にもあったら、ずいぶんとガバナンス向上に役立つのではないか、と思うのですが・・・。いかがなもんでしょうかね?(ぎゃくに本案のところで敗訴する事例が増えれば、マズイ結果になってしまいますかね?)

11月 19, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (10) | トラックバック (0)

2009年9月30日 (水)

「ビジネス法務の部屋」が本になりました!!

Bizhome_4  自分で申し上げるのも気恥ずかしいのですが、当ブログをご愛読いただいている皆様のご要望にお応えいたしまして、このたびブログ「ビジネス法務の部屋」が書籍化されることになりましたのでお知らせいたします。昨日(9月29日)、日本内部監査協会の全国大会(新宿京王プラザ)でも、講演の最後に(まことに勝手ながら)宣伝をさせていただきました。

「ビジネス法務の部屋」(大阪弁護士協同組合「ビジネス法務の部屋」編集委員会 編 弁護士山口利昭 著 1500円税込 大阪弁護士協同組合発行)

大阪弁護士協同組合「ビジネス法務の部屋」編集委員会の皆様方のたいへんなご尽力によりまして、出版に至りましたことはたいへん光栄であります。すでに当ブログのエントリー数は1100を超えておりますが、これまでの4年半のエントリーのうち、ブログ解析等によってたくさんの方に読まれているエントリーを選択したうえで加筆、修正をいたしました。また、単に過去のエントリーを掲載するだけではブログ本としては物足りない・・・と思いましたので、掲載しているエントリーのほぼ7割程度には「エントリーを今振りかえって」と題して、今の私が同じテーマについてどのように考えているか、といった感想や採り上げたテーマに関する最新情報などをかなりのページを割いて補足しております。

当ブログと同様、本書のベースとなるところは「社外役員からみた法律問題、資本市場、会計問題」といったあたりでして、とくに同業者の方だけでなく、企業会計に携わる皆様、市場関係者の皆様、上場会社の取締役、監査役の皆様、法務、内部監査等に関わるビジネスマンの皆様に、広くお読みいただけるよう、できるだけわかりやすい内容とさせていただきました。本日(9月29日)の日経朝刊では、東証が独立役員を義務化することへの本格的な検討に入ったことが報じられておりますが、そういった独立役員に就任してみたい、就任せざるをえなくなった・・・・といった方々にこそ、是非ご一読いただければ幸いです。(本の詳細はこちらをご覧ください

Cimg2297_320 まだ書店では並んでおりませんが、来週あたりから全国有名書店でボチボチ並ぶ予定です。帯付きですと、こんな感じになります。270頁程度のすっきりした本ですので、出張の際に、新幹線で読むのにちょうどいいかもしれません。価格も税込価格1500円とお値打ちです。私から感謝の気持ちをこめて・・・ということで、これで儲けるつもりは毛頭ありまへん。。。

ぜひぜひ、お買い求めいただきたいのですが、一番確実なのが直接、大阪弁護士協同組合にお問い合わせいただくのがよろしいかと。メールでも、お電話でも受け付けております。(ちなみに、電話は大阪06-6364-8208 大阪弁護士協同組合   メールでのご注文は osaka@lawyers.jp です。

9月30日発行、ということで、本日9月30日よりご注文受け付け開始となります。もちろん「まとめ買い」大歓迎です。(^^;受付順にて郵送させていただきます。お近くの方は、大阪弁護士会館内の協同組合でも販売を開始いたします。なにしろ、一般の書店に並ぶといいましても、商事法務さんや中央経済社さんのように、広く新聞等で広報される体制ではございませんので(汗)、草の根運動で「書籍化」が広まれば・・・と思っております。また、マスコミ関係の皆様方、「どあつかましい」お願いではございますが、決して公序良俗に反するような本ではございませんので、「ちょっと変わったブログ本」として、ご紹介いただけますと幸いです。(ご希望がございましたら送本させていただきます。もちろん、審査の結果「不採用」となりましても、文句は申しません…笑)

Cimg2302_320_2  左の写真のとおり、帯の裏側に書かれているような章分けをしております。ご興味のあるところからお読みいただけるように工夫しております。

現在、もう少し固い内容で、著名出版社からの法律書籍の出版についてはいくつか決まっておりまして、すでに執筆中のものもございます。しかし同業者の方々のご厚意で「手作り感覚」で出来上がったものですので、多くの方に手にとっていただきたいと願っております。

9月 30, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (18) | トラックバック (1)

2009年9月25日 (金)

更新する時間が・・・(ひさびさの弱音)

ブログで書きたいことが山ほどあるのですが、更新する時間がとれまへん。本業が超多忙なため、関西CFE研究会も(世話人代表であるにもかかわらず)欠席してしまい、関係者の方々にご迷惑をおかけしました。。。本当に申し訳ございません。m(__)m ここのところ、かなりタイトな日々が続きますが、健康管理だけは気をつけておきたいと思っております。(ダイヤモンドオンラインの9月19日の関西アーバン銀行融資関連の記事、ひさびさに面白いなぁ・・・と思ったら、やっぱり「粉飾の論理」「兜町コンフィデンシャル」でおなじみのあの方の記事だったんですね。こういった記事、深夜にこっそりと読むのが大好きです・・・)

9月 25, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月13日 (日)

実に楽しかった日韓弁護士協議会(in札幌)

Cimg2070_320_2 9月11日、12日に札幌プリンスホテルにて開催された第31回日韓弁護士協議会に参加してまいりました。昨年は「独禁法の域外適用」に関する共同研究がメインテーマだったそうでありますが、今年は「企業におけるセクハラ・パワハラ」がテーマということで、(なぜかよくわからないのですが)私が「企業側からみたセクハラ・パワハラ防止体制」についての基調講演をさせていただきました。もうひとりの日本側からの講演者は労働者側代理人として多くの事件に関与していらっしゃる東京の山下敏雅弁護士であります。(お会いして初めて知りましたが、パワハラ裁判の代表的事件である2007年の日研化学事件の原告団長だったそうですね。山下先生は、冒頭からいきなり流ちょうなハングルで話し始めたのでビックリ!韓国側弁護士のみなさん、大きな拍手・・・・あんた、どこで勉強したん??)

韓国側はハナ大投証券遵法支援室の社内弁護士でいらっしゃる方で、私のレジメと比較いたしますと、あまりに中身が濃いので、これまたビックリ!(^^; ともかく、私は彼女のレジメのどこを読んでいるのかがリアルタイムではわからず、進行状況がわからぬまま、和訳文を必死で読んでおりました。(笑)ただ、日本も韓国も、セクハラやパワハラ(韓国では「パワハラ」なる用語は一般的ではございませんが)に関する裁判所の判断基準には違いがないことに安心いたしましたが、その判断基準の依って立つ基盤、つまり「社会における男女の役割」とか「会社と労働者との意識の違い」などが大きく異なるために、裁判の結論に大きな差があることは初めて知りました。いずれにしましても、私のスピーチは本来、アドリブが勝負・・・というところでありますが、そのアドリブが翻訳によってどのように韓国側に伝えられているのか・・・がとても不安でありまして(笑)、ホームであるにもかかわらず、かなりアウェーな気分に浸っておりました。ただ、参加されていらっしゃる韓国側弁護士の方の多くが、ソウルの大きな法律事務所で、おもに現地の日本法人を担当されていらっしゃる方だったので、日本語に相当堪能であることに救われたような気もします。

Cimg2074_320 シンポジウムもなんとかこなし、やっとレセプション・・・。これが実に楽しかった。韓国における裁判員裁判の実情(韓国は昨年から裁判員制度を導入しています)、兵役の関係で、裁判官か検事として任官した新人法曹のその後の人生、子供の強烈な受験戦争と弁護士としての仕事、その他法曹の私生活などなど、ビックリするような話がてんこもりでありました。たしかに参加されている方はハングルが話せる日本弁護士、日本語が話せる韓国弁護士が多いのでありますが、臆面もなくカタコトすら話せないで参加している私でも十分楽しめます。これは絶対参加する価値ありです。来年は済州島で開催されますが、もし時間とお金に余裕がありましたら(?)ぜひまた出席させていただきたいと思います。最後になりましたが、私の拙いレジメを翻訳していただいた愛知県弁護士会のS先生、またコテコテの関西弁をもろともせずに、通訳をしていただいたソウル弁護士会のB弁護士に厚くお礼申しあげます。m(__)m ありがとうございました。(明日13日、帰阪の予定であります)

9月 13, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月12日 (水)

A君のこと

(今日は企業法務関連のエントリーではございません)

先日、大学時代の友人(A君)の25回忌に出席しました。阪大ボート部で一緒に対抗エイトを漕いでいたA君の実家(大阪府茨木市)に久しぶりに伺いました。A君の親戚の人たちとも食事を共にしました。彼が日航機事故で亡くなってから月日が経ちましたが、お母さんが元気で過ごしておられるのをみて、少し安心しました。

ボートは過酷なスポーツです。年間の合宿日数は300日程度。主力選手が次々と故障で倒れ、私も最後の夏合宿で腰の骨を折り戦線離脱するなか、A君は最後まで故障することなく対抗エイトを支えていました。あんなに丈夫な体の人間が、一瞬のうちにこの世を去って行ったことを当時不思議に思いました。

最後にA君と話をしたのは、事故の2か月前、私が司法試験の勉強を始めたころでした。「メシでも食べにいこや」と誘ってくれたときでした。彼は経済学部から興銀(日本興業銀行)に就職し、大阪出張の折に、ごちそうになりました。「三和にも住友にもいかんかったんやなぁ。まぁ、何年かかるかわからんけど、(司法試験に)合格するのを信じてるわ。そんときはお祝いやな!」

3回忌までは興銀時代の友人も出席されていましたが、今回は法要にはおみえになっていなかったので、みなさんの様子はわかりません。A君もあのまま興銀で勤務していたら、いまごろどうしてたのかな。金融再編の波の中で頑張っていたのか、それともバブルの後始末を済ませてから転職して別の道を歩んでいたのか。。。ごちそうになって、そのまま借りを返すことなく、ここまで来てしまったんですが、この日が来ると、かならずA君のことを思いだします。不思議なもので、年齢を重ねるにしたがって、またいつかA君と再会するのだから、彼に恥ずかしくない報告ができるようにしよう・・・という思いが強くなりましたね。

8月 12, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年7月11日 (土)

金融庁VS第三者委員会という構図

あまり他のブログではとりあげられておりませんが、コンプライアンスを論じる当ブログとしては気になりましたのが朝日新聞ニュースの「企業の『うそ』監視役が上塗り 証券取引等監視委員会が改善要求へ」なる記事であります。会計不正などの不祥事が発覚した後に弁護士や公認会計士から構成される「社外第三者委員会」の調査について、金融庁が問題視しており、金融庁の調査では経営トップが関与していたにも関わらず「関与なし」と結果報告したり、もっと過去までさかのぼって不正会計がなされているのに、踏み込んだ再調査がなされていないなど、「うその上塗り」が横行している、との指摘がなされているそうであります。(なんだかTETUさんが喜びそうな記事ですね・・・・・(^^;  )

上記記事では施行後はじめて上場違約金制度によって違約金を課されたフタバ産業さんの事例や、ビックカメラさんの事例などが紹介されております。たしかにフタバ産業さんのケースでは後日、別の調査委員会が発足して、社長紹介案件の問題点が指摘されており、興味深い報告書だったことを記憶しておりますが、民間人の調査にはその権限にも限界があり、また時間的制約もありますので、調査が不十分となることもやむをえないところがあるのではないでしょうか。ただ、たしかに会社自身が特定の弁護士や会計士に依頼をして調査が開始されるところはあるわけでして、はたして外観的な独立性が確保されているかといえば「?」というところもあるかもしれません。金融庁と日弁連が意見交換をする、とのことでありますが、たとえば日弁連としても、こういった調査に参加できる人材バンクのようなものを設立して、そこから派遣する・・・という形にすれば、(能力の有無は別として)とりあえずは外観的な独立性は確保されるのかもしれません。

私自身、CFEとしての不正検査や、社外第三者委員会委員としての調査の経験もありますが、ヒアリングやそのタイミング、不正発見の場合にどこまでさかのぼるか?(もしくは別の部署での同様事例まで踏み込んで調査するか?)といったあたりは、かなりスキルを要するものでありまして、職業倫理としましても、常に依頼先企業にとって有利な報告書を出すわけではないのは当然と考えておりますので、もう少し今後の進行についてフォローしておきたいと思います。(とりいそぎ備忘録ということでアップしておきます)

7月 11, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年6月 2日 (火)

クオンツ新株発行差止認容決定事件に学ぶ「司法による商法規範形成への期待」

(6月2日夕方追記あり)

ロースクールでの演習も、そろそろ中盤に差し掛かり、今週は株式会社における資金調達(主に上場企業を対象として)に関する討論が予定されております。題材を選択するのは法科大学院の教授でありますが、今年はクオンツ新株発行差止認容決定事件(東京地裁民事8部決定 平成20年6月23日 金融・商事判例1296号10頁以下)をとりあげて討論する、ということのようであります。毎度のことながら、きちんと判決(決定)全文を熟読しておかないと学生に申し訳ないので、とりあえずきちんと読みましたが、この事件はなかなかオモシロイですね。

この金融・商事判例1296号には巻頭、企業法務に詳しい某先生の解説「買収防衛策としての第三者割当て増資-東京地決平成20年6月23日の衝撃」と題する論稿がおさめられており、(その解説によりますと)上記クオンツ事件により、いわゆる判例における(第三者割当による募集株式の発行が差止め対象とされる「著しく不公正な方法によるもの」に該当するか否かを判定するための)「主要目的ルール」の中身が変わった画期的な決定である、と紹介されております。(この決定には、不公正発行を理由とする差止め訴訟の原告適格に関する争点も存在しますが)

ロースクールの演習でも、主要目的ルールを題材として、詳細な事実認定を通じて「会社が株式を発行することで資金調達する意味はどこにあるのか(社債や有利子負債ではいけないのか)」「支配権維持目的を推認させる事実とはいったいどれを指すのか」といったところを中心に議論を進めていくことが予想されます。私も、そういった高尚な議論にも興味はありますし、むしろ実務家としては「原告適格」のほうにも関心がいくわけでありますが、よくよくこの東京地裁民事8部の決定文を読んでみますと、やはり「登場人物」のおもしろさ・・・・に一番興味が湧いてきますね。オープンループさん、クオンツさん、アーティストハウスさん、イチヤさん、クロニクルさん・・・、ということでありますが、本当に話題豊富な企業さんが登場されます。(当ブログは実名ブログですので、「話題豊富」「ヤフー掲示板が盛り上がる」という趣旨でご紹介させていただいております。)先週金曜日に敵対的買収なのか友好的買収なのかよくわからないTOBによって65%の株式を第三者に取得されてしまい、「買われた方は(うちの会社を)どうも100%子会社化するつもりみたいですね」と公表したところもあれば、すでに上場廃止になったところも複数あり、また6月末をもって上場廃止となる企業さんもありますね。(しかし、第三者からTOBを仕掛けられた上場企業の取締役会として、「TOBへの意見ですが、我々は中立です。どうか株主様ご自身の自己責任で」と説明するのってどうなんでしょうね・・・)

上場法制に関わる争点(会社法と金融商品取引法にまたがる法規範を形成するような論点)を裁判所が形成していくことは、あまり期待できないのではないか・・・といったお話を東大大学院のK教授が こちらの講演録でされていらっしゃいますが、(そこではひとりの裁判官があまりにも多くの事件を抱えていることを理由とされておられますが)こういったクオンツ事件の判決を読んでおりますと、日本の企業社会において、とりわけ上場企業どうしが本当の「ガチンコ対決」を繰り広げる土壌というものが(敵対的買収などを除き)なかなか存在しないことにも起因するのではないでしょうか。これは株主代表訴訟の提起についても同様に考えられるところだと思います。ということで、やはり今後ますます証券取引所における自主規制ルールや、証券業協会における業界各社に対する指針公表など、いわゆるソフトローによって上場法制に関する法規範が形成されることに期待がかけられるようになるのかもしれませんね。また、ハードローによる規制とのバランスについても検証されるようになるのかもしれません。

(追記)商事法務メルマガで知りましたが、大林組株主代表訴訟が原告、被告および会社との間で和解成立となったようですね。(この事件では、大林組の監査役会による不提訴理由通知書に関心があったのですが)大林組のリリースによりますと、外部弁護士がコンプライアンス体制の検証をされるようです。なるほど、こういった形で「司法が規範形成に関与」する、ということもあるわけですね。

6月 2, 2009 未完成にひとしいエントリー記事 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年5月28日 (木)

企業統治研究会「報告書案」出ましたね(速報版)

アデランスHDの株主総会ではスティールパートナーズ側が過半数の役員人事を掌握したようで、またガバナンス論議が盛んになるものと思いますが、注目の経済産業省・企業統治研究会の報告書案がリリースされています。本日は同志社におりますので、また帰ってから勉強させていただきます。とりいそぎ速報版ということで。(昨日の金融庁SGの資料も出ていますね。)