2020年10月27日 (火)

ハイアス・アンド・カンパニー社の第三者委員会報告書が公表されました。

10月26日、ハイアス・アンド・カンパニー社は当職が委員長を務めます第三者委員会の報告書(公表版)を開示いたしました。一時会計監査人による意見は「限定付結論」ですが、これにより、同社は関東財務局へ遅延していた四半期報告書を提出しました。

委員会が設置された8月31日から約2カ月、弁護士&会計士&フォレンジックチーム(最も多いときは)総勢50名ほどのチームで頑張ってまいりました。激務でしたが、なんとか健康を害することもなく、無事ここまでこれてホッとしております。チームの皆様だけでなく、調査にご協力いただいた皆様にも感謝いたします。報告書に関する感想を述べることは控えますが、第三者委員会の「公共財」としての役割は果たせたのではないか、と思っております。

ということで、永く更新が滞っておりましたが、またブログを再開いたします。今後ともどうかよろしくお願いいたします。

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2020年10月 4日 (日)

日本CSR普及協会セミナー-社外取締役の各種委員会における活動

毎回タイムリーなテーマで内部統制やガバナンスに関連したセミナーを開催しておられる日本CSR普及協会さんですが(私も何度か関西支部の企画には参加しております)、11月6日(金)にWEB形式にて無料セミナーを開催されるそうです。

日本CSR普及協会 2020年度第1回研修セミナー 社外取締役の各種委員会における活動

令和元年改正会社法で(公開会社の監査役設置会社において)社外取締役の設置が義務付けられ、また経産省から社外取締役実務指針も公表されておりまして、社外取締役の活動にも関心が寄せられています。なかでも、平時における指名・報酬委員会や有事における不祥事発生時の調査委員会、事業再編時の公正価値算定委員会での社外取締役の役割(活動)は、会社の長期的な方向性を検討するにあたっては極めて重要です。

たとえば(私的には)このたびの日本ペイントHDさんの「攻めの身売り」と言われる大胆な第三者割当増資などは、昨年の同社における指名諮問委員会でのCEO(田中正明氏)選任、執行のスピードを上げるための指名委員会等設置会社への移行決定が布石となっていますが、このような布石を打つにあたって同社の5名の社外取締役がどう動いたのか、とても興味があります。

社外取締役さんも「取締役会に出席していれば良い」、といった意識を持っておられる方が多いかもしれませんが、①社外取締役の数が増えてきて各社の取締役会における影響力が高まってきたこと、②ネオエコノミー(環境、社会問題に配慮しつつ株主利益の長期的な利益最大化を図る)の考え方が浸透して、取締役会の多様性が必須のものとなってきたこと等から、今後はさらに各種委員会における社外取締役の活動の在り方を論じる必要性が高まってくるのではないでしょうか。各種委員としての役割が社外取締役さんに期待される時代になった、と言えます。

毎回、CSR普及協会のセミナー会場(東京開催分)には100名を超える聴講者の方がお見えになるようですが、今回はWEBでの講演・パネルディスカッションということで、どなたでも事前のお申込みで聴講できるそうです(事前申し込みをされた方に視聴URLが送信されるそうです)。おそらく、社外役員経験の豊富な経営者の方や企業法務の分野で著名な弁護士の皆様によるセミナーですから、具体的な事例などに基づくわかりやすいセミナーが展開されるのではないでしょうか。ご興味のある方はぜひご参加ください(しかし社外取締役も勉強しなければいけない時代になりましたね💦)。

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2020年10月 1日 (木)

第三者委員会は折り返し地点です

ブログの更新が止まっておりますが、9月29日に中間調査報告書が公表されまして、ようやく折り返し地点です。もうしばらくブログはお休みさせていただきますが、なんとか生きておりますので(笑)、引き続きよろしくお願いいたします。

※ ちなみに本日も大阪地裁で興味深い判決が出ておりますね(エディオン・上新電機 損害賠償請求事件)。ぜひ判決全文を読んでみたいのですが、あと1か月くらいは辛抱。

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2020年9月21日 (月)

New Normal 時代の企業が取り組むべきリスク対策(ACFE JAPAN 年次カンファレンスのお知らせ)

第三者委員会の活動が最も忙しい時期となり、自身のブログを書く時間はございませんが、日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)の毎年恒例の年次カンファレンスの告知だけさせていただきます(私自身の体調はすこぶる良好でございます!)。

例年この時期は「申し訳ありません、会場が満席となりました」と告知するのですが、今年はオンライン開催なのでまだまだ視聴者募集中です(ライブ視聴と録画視聴があるようです)。もう11回目なのですね。協会のキックオフミーティングを新橋の第一ホテルアネックスで開催した日が昨日のように蘇ります・・・。たしか八田進二先生と名刺交換をしたのもこの日でした。初対面の印象は「いかさまマジシャン」だったことを鮮明に記憶しています(本当のマジシャンであることを存じ上げるまでには相当の時間を要しました)。

2020年10月9日(金)オンラインで開催!第11回ACFE JAPANカンファレンス「Light the way.~New Normal 時代の企業が取り組むべきリスク対策~」

コロナ禍におけるカンファレンスにふさわしいメインテーマですが、おお!基調講演やご登壇者の皆様、豪華メンバーではありませんか!さすがに進化しています。元理事としては関係者の皆様のご尽力に敬服いたします。知ってる人がいっぱいいるけど、うーーん、女性のご登壇者が1人もいないのは(ちょっとだけ)気になるなぁ🐱💦

柳川先生、樋口先生というビッグネームの方々の講演もさることながら、遠藤元一弁護士の基調講演「New Normal 時代の企業不正会計への対応策」はさすがに拝聴したいですね。どういった切り口でお話しされるのか、とても興味深いところです。こういったとき、録画視聴があるのはオンライン開催の利点かもしれません。第3部の「特別講演」では、朝日新聞の加藤裕則さん、元日本監査役協会会長の岡田譲治さん等、企業リスクに精通しておられる方ばかりですし、テーマもリアルでおもしろそうです。

第4部のテーマは、私個人としてはあまりにも生々しいので(笑)、今の仕事が終わった後に拝聴したいと思います(笑)。新時代のガバナンス、内部統制、不正調査等にご関心のある方は、これは参加費を払ってでも拝聴する価値があると思います。まだリアル配信日までは16日ほど先ですが、ぜひともご参加をお勧めいたします。私もリアルは無理ですが11月19日までは録画視聴が可能なので、そちらで勉強させていただく予定です。

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2020年9月14日 (月)

事実は「報告書」よりも奇なり

(土日もなく)第三者委員会の仕事で相変わらず忙しくしております。体調はすこぶる元気ですが、新聞もネットニュースもあまり読む時間がないため、ブログネタに乏しく、更新ができないままでしてたいへん申し訳ございません<(_ _)>。

ただ、半沢直樹「帝国航空編」でモデル(?)として登場する(JAL再生)タスクフォースのリーダー富山和彦さんのこちらの毎日新聞インタビュー記事だけはおもしろく読みました。「事実は小説よりも奇なり」という富山さんの言葉のとおり、非常にリアルで参考になりますが、リアルをそのままドラマに仕立てることはむずかしいでしょうね。

そういえば企業不祥事発生時の第三者委員会報告書を(興味本位で)よく読みますが、実際に調査をやる立場だと、ひとつの報告書としてまとめ上げる過程で判明する事実が本当に大切だと感じます。委員の努力の結晶によって判明した事実のように読めることでも、実際にはいろいろな偶然が重なった結果だったりすることもあります。これまでの不正調査の経験をもとに「報告のためのストーリー(仮説)」を立てますが、調査過程で判明した事実によって脆くも仮説が崩れてショックを受けることもありますね。

リモートによるヒアリングでは証拠の価値判断が困難と思われることでも、実際にリアルの現場で五感で感じることによって「心証形成の自信を深めること」もあります。よく「リモート監査」による代替、と言われますが、調査を一生懸命やればやるほど、その心証形成においては大きな差があることを実感します。今後の課題だと思います。

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2020年9月 6日 (日)

企業法制-「法案を策定すること」と同じくらいに難しい「法案を通すこと」

日曜日の夕方に、少しだけ自由な時間がとれましたのでひさしぶりのブログ更新でございます。

先日、某重要法案の立案担当者の方のお話をオフレコでお聴きしましたが、「なるほど行政官はこんな論理で企業法制を成立に導くのか」と感心いたしました。担当省庁の局長さんが法案を通すために衆参両議院の議長さんのところであいさつに行く、といった行動(根回し?)は知っていましたが、思考過程にまで思いを巡らすことはありませんでした。

法制審議会等で4年も5年もかけて専門家委員(学者や実務家)が法改正を審議する、NPO団体や経済団体などの意見を取り入れながらも、なんとか学者である座長が改正案の提言をまとめて、これをもとに担当行政機関が法案を策定する。内閣法制局の審査も通る。しかしながら、衆参両院の要求事項が出てきて、これを呑まないと廃案(見送り)になってしまう。ひょっとするともう30年くら先にならないと改正が実現しないかもしれない。

行政官は専門家委員の献身的な努力を間近で見てきたため「ここで政治家の意見を呑まないと、委員の皆様による成果物が水の泡と消えてしまう。みんなの努力を無にしないためにも、妥協案を出して成立させよう」との意識が強く働く。ということで、理屈のうえではやや?がつくものの、なんとか法案成立に漕ぎつける。

私のような場末の弁護士は、成立した法案を批判して「なんでこの段階で、このような条項が入ったのか理解不明。」「法律全体の趣旨とやや矛盾している、委員は何を議論していたのか」といった意見を表明します。しかし、行政官の上記のような「法案を通すための妥協点を見出す作業」の存在はあまり理解していませんでした。たしかに国民の負託を受けた国会議員の意見は尊重すべきであり、法律全体の美的な構成が崩れるとしても、個々の国会議員の提言を実現しなければならない、ということになります。

昨年、会社法が改正されましたが、「コーポレートガバナンスをめぐる議論がきっかけとなって、近年、会社法というものが国の経済政策の重要な制度的インフラとして、その在り方が議論されるようになり、会社法の改正もこうした流れのなかで行われるようになった」(神田秀樹著 「会社法入門」初版211頁)のですから、会社法改正においても学者の皆様と立案担当者の力関係もずいぶんと変わってきたのでしょうね。会社関係者間における利害調整のための法律、という基本的な位置づけは同じでも、そこに富国政策という政治の力にも配慮せねばならない、ということになります。行政官には法案を通すためのバランス感覚が要求されるのでしょうね。

法案成立時に衆参の「附帯決議」なども出されるので、これも次の法改正へのプレッシャーになります。さらに最近は企業法制のエンフォースメント(ルールの実効性を担保するもの)が多岐にわたり、たとえばコーポレートガバナンスに関連するルールのエンフォースメントの策定も他省庁にまたがるわけですから(たとえば会社法改正事項を産業競争力強化法等で先行実施する、ガバナンス・コードのようなソフトローで大規模会社の規律を実現する等)、政治家との交渉だけでなく、他省庁の行政官との交渉にも配慮しなければならない、ということのようです。法案を通すことは法案を策定することと同じくらい、いや、ひょっとすると策定以上にむずかしい作業なのかもしれません。

 

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2020年9月 1日 (火)

生涯最初で最後の(?)2件の適時開示(私事でございます・・・)

大きな企業が淡路島に本社機能を移す、とのニュースに驚きました。ニューノーマルへの企業対応の本気度が伝わってきました。「創業の地」を有する企業も多いと思いますが、他社さんはどうするのでしょうかね。

さて、私事ではありますが、自身の「第三者委員会委員長」としての職務について、本日2件の適時開示が出されました。1件は早朝のコード6192「特別調査委員会の調査状況及び第三者委員会設置に関するお知らせ」、2件目は午後4時ころのコード5341「第三者割当による新株式、第4回新株予約権の発行及び引受契約締結に関するお知らせ」です(なお1件目は関東財務局より、有価証券報告書の提出期限の再延長が認められました)。

いずれも「感想すら漏らすことは控えるべき」と思いますので何も申し上げられませんが、当分の間は土日なく業務に精勤して皆様のお役に立つよう尽力しなければなりません(しかし、ホントに弁護士も会計士も、若い人はよく働きますねぇ。。。)ともかく健康を維持することも委員長の務めと心得え、無理せぬ程度に(?)動き回るようにいたします。

ということで、またまたブログが書けない日々が増えますが、どうかご容赦ください。

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2020年8月27日 (木)

宝印刷「Disclosure&IR」誌に論稿を掲載していただきました。

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このようなご時世に贅沢に思われるかもしれませんが、おそらく9月末頃までは、かなり忙しい日々を送ることになりそうです。諸々書きたいブログネタはあるのですが、書き込む時間的余裕がなさそうです。ということで本日も短めに拙稿のご紹介をさせていただきます。

投資家向けの宝印刷さんの機関誌「Disclosure&IR」におきまして「令和元年改正会社法が社外取締役制度に及ぼす影響」と題する論稿を掲載していただきました。99%の上場会社に社外取締役が就任している現状で、会社法が(公開大会社である監査役会設置会社に)1人以上の社外取締役の選任を義務付けることって、なんの意味があるの?といったご疑問にお答えする内容です。とりわけ、このたびの会社法が社外取締役の設置を義務付けた制度趣旨から、今後は真剣に投資家と会社との間における「期待ギャップ」を埋める努力をしなければならないことを説明しています。

さらに、このたびの改正により、社外取締役にも一定の条件のもとで業務執行権限が付与されます(セーフハーバー・ルールであることは横に置いといて)。私は社外取締役の報酬の多寡を論じるよりも、社外取締役の果たすべき機能を語るには、こちらを真剣に論じることが重要だと思います(実際に、会社法上の社外取締役ではないが、社長と一緒に業務を執行する非常勤社外取締役さんて結構いらっしゃいますよね)。取締役会の実効性評価を実施する企業が増えていますが、本当に評価制度を運用する気があるのであれば、各社外取締役がステークホルダーから期待されている役割を果たしているか、といった点も評価基準にすべきではないかと。

上記機関誌は一般の書店では販売しておりませんが、上場会社のご担当者の方々に広くお読みいただければ幸いです。しかし目次をご覧の通り、かなり興味深いテーマを取り扱う機関誌なので、一般の書店でも販売してくれないかなぁ、との感想を持ちますね。

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2020年8月21日 (金)

コンフリクトの疑われる代理人を相手方は裁判で排除できる-特許権侵害事件・知財高裁決定の衝撃

本日は企業法務マニアの方しかご興味が湧かないお話しで恐縮ですが(しかも長い・・・)、私の周辺でとても話題になっている件。令和2年8月3日に知財高裁から出されたこちらの決定(訴訟行為の排除を求める申立ての却下決定に対する抗告事件)です。なぜ「知財高裁」かといいますと、基本の事件は塩野義製薬等が原告となって、薬品販売会社を相手に特許権侵害を訴えている事件だからです。

今回話題となっているのは、この「特許権侵害に基づく損害賠償」という基本事件に関する部分ではなく、原告である塩野義製薬側から「相手方の代理人に就任している弁護士を排除せよ」といった申立てがなされた部分(本件申立て事件)です。このたび、本件申立てが知財高裁で認められました。正確には「弁護士A及び弁護士Bは,基本事件につき,弁護士としての職務として相手方の訴訟代理をしてはならない」といった主文です。

そもそも職務上で信頼関係を築いている人と法律上対立している相手方の代理人になる、という弁護士の行為は弁護士倫理上問題であり、弁護士法や弁護士職務基本規程に反する行為となる可能性が高いわけです。そういった事実が認められるケースでは、仕事に直接影響を及ぼすようなペナルティ(たとえば弁護士法に基づく懲戒処分)が課せられます。

しかし、このたびの知財高裁の決定は、相手方には排除を申し立てる権利がある、としています。弁護士法や職務基本規程の規定は、単に弁護士職務の公正を維持するだけでなく、公正な職務を信頼する当事者の利益を保護する趣旨も含む(だから信頼に傷をつけられた当事者は裁判で争っている権利保護のためにも代理人の地位をはく奪できる)、とのこと。うーーん、これはいろんな場面で使えそうな予感がします。

もちろんコンフリが疑われる事件は最初から受任しなければよいわけです。東京の大手法律事務所では「コンフリ審査担当者」として、ベテランのパートナー弁護士が厳しくチェックしていることも事実です。ただ、そうは言っても受任した後に「え?これって利益相反じゃない?」といった疑いが生じる案件が出てくることもたしかにあります。本件の事案についても、だれがみても「おかしい」と判断できるような事案、でもなさそうです。正確なところはご自身で判決全文をお読みいただくこととして、概要だけを以下に記します。

塩野義製薬で10年ほど社内弁護士を務めておられたC弁護士が塩野義製薬を退職されたのですが、在職時は自社の知財戦略チームのリーダーだったそうです。このC弁護士が退職後、知財で有名な法律事務所に転職されることになりますが、当該法律事務所の別のA弁護士が本件の基本事件を争っている相手方の代理人に就任します。C弁護士が塩野義で知財戦略に関わっていることを知ったA弁護士は、(C弁護士の入所後)直ちに事務所内で徹底したチャイニーズウォールを敷いて、基本事件に関する情報が一切C弁護士に入らないような体制を整えます。最終的には事の重大性を認識してか、このC弁護士は入所1か月で当該法律事務所を退職することになりました。

相手方に(C弁護士が入所したとされる)当該法律事務所の弁護士が代理人に就く、ということを知った塩野義製薬はおそらく激怒して本件申立てに至ったものと推測されます。しかしながら原審は当該法律事務所が徹底した情報隔離の対策をとっていたことから(弁護士法、職務基本規程の細かい法律解釈は省きますが)当該法律事務所のA弁護士が就任できないわけではないとして申立てを却下しました。そして抗告審である知財高裁の判断は、ほほ同様の事実認定のもとで原審とは真逆の結論となりました。

たしかに当該法律事務所としては、C弁護士の入所を基本事件において有利に活用しよう、といった気持ちはなかったのかもしれません。しかし「外から見ればどう見えるか」「相手方が不当に権利を侵害されるという不安を抱くのは当然ではないか」といった価値判断から、知財高裁は基本事件の原告側に代理人排除権(?)を認めたことになります。

ということで、こういった決定が出た以上、いろんなことを考えてしまいます。たとえば海外の(法務社員が1000人以上在籍しているような)大企業が日本企業を相手に1000億円規模の裁判を仕掛ける、もしくは仕掛けられるといった事態となった場合、東京や大阪の大手法律事務所にくまなく「法律相談」に出かけて、「ではまた依頼するかもしれませんのでヨロシク!」といって相談料を支払ったとします。

そして相手方日本企業がいざ提訴された(提訴することを決議した)場合、いわゆる専門性の高い大手法律事務所は(すでに海外企業の相談に応じているので)コンフリの関係で日本企業の相談に応じられない、代理人になれない、たとえ就任したとしても海外企業はこの代理人を排除できる、結果として海外企業は日本での訴訟を有利に展開できる、ということになるのでしょうか?

いままでも上記のような話は笑い話として語られていたかもしれませんが、上記の知財高裁の決定が出た以上、弁護士自身の懲戒処分のリスクにとどまらず、相手方企業の訴訟リスクにまで発展する話になりそうです。ほかにもたくさん素朴な疑問が湧いてくるのではありますが、私個人としては、ぜひとも上記知財高裁の決定が最高裁では維持されるのか、変更されるのか、当事者の皆様に争っていただきたいと(ひそかに?)願っております。

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2020年8月 4日 (火)

財務省幹部研修-やはりWEB講義は寂しいですねぇ(*´Д`)

「半沢直樹」の前シリーズのときも思ったのですが、金融庁の幹部の皆様は、あの「愛之助」証券検査課統括検査官の姿をみてどう感じておられるのでしょうか?ご立腹なのか、シンパシーを感じるのか。まぁ「証券取引等監視委員会」という存在は、高視聴率ドラマによって広く認知されるわけですから、むしろ歓迎されても良いのかもしれません。

かつてNHKドラマ「監査法人」のストーリーを当ブログで「会計監査は不正を暴くものではない」と批判した際、多くの常連の方から「まあ、ドラマだからよいのでは」と諫められましたので、今回もストーリー自体には文句は言いません。ただ、統括検査官がなぜあのようなキャラなのか不思議でたまりません。ということで(?あまり関係ありませんが)、本日は金融庁ではなく財務省のお話しです。

ちょうど2年前に財務省コンプライアンス推進会議のアドバイザーに就任しましたが、毎年この時期は(人事異動に合わせて)組織トップの方々向けにコンプライアンスの基本研修の講師を務めさせていただいております。財務次官、官房長、国税庁長官、各局長、総務課長の皆様一同に会して1時間ほど講話をいたしますが、今年はWEB形式での講話となりました。8月下旬、9月に予定されている事例研修等も今年はWEB研修となるそうです。

時節柄やむをえない、ということは重々理解しておりますが、やはり対面での講話とは異なり、WEB講話はかなりむずかしい、といいますか、熱意が伝わるには限界を感じます。対面での研修だと(みなさん、国会中継の答弁の際のような無表情ではなく)かなり反応していただけるのですが、さすがにWEB上だと反応がわからず、一人でテンションを上げ続けなければならない。時々「こんなセンシティブな話を盛り込んでも大丈夫だろうか?」といった内容にも触れるのですが、聴講されている方々のリアクションがわからないので「マズイ・・スベったかも( ゚Д゚)」と不安になるときもあります。

今朝の朝日新聞ニュースにダイキン工業の井上会長のインタビュー記事(成果主義に異論「遅咲きの人もいる」)が掲載されていましたが、井上会長もおっしゃるように、いくら在宅勤務制度が重宝だとしても、対面もなければ組織のコミュニケーション能力は落ちてしまうと思います。既存のビジネスモデルを推進するのであればテレワークでもなんとかやっていけそうですが、新たなビジネスモデルの創設となりますと、信頼関係の創設を含めて、やはり対面でのコミュニケーションが不可欠ではないでしょうか。財務省幹部研修も、人事異動で3分の2の方とは初めてお会いするわけですが、その初見がWEB上で、というのは寂しいですね。

しかし私のような単発の研修講師でも「寂しい」と感じるのですから、大学の前期すべてを担当された大学の先生方にとっては、本当にご苦労が多かったと拝察いたします(ひょっとして後期もですよね??)逆にWEB講義のほうが評判の高い先生もいらっしゃるかもしれませんので、私もWEB研修で実力を発揮できるように工夫してみたいと思います。今年度は本省だけでなく、各財務局の職員の皆様への研修も予定されていますので、ホンネベースで語れるよう尽力いたします。

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