2010年9月 3日 (金)

むむ!独立役員の研修(東証)!?♯なんぞある??

すいません、今日のタイトルは某ブロガーの方のパクリです(笑)←ディスクロージャーの読み方をいつも勉強させていただいております<m(__)m>

9月1日の日経新聞によりますと、東証は9月末に上場会社の独立役員を対象とした研修を実施するとのことであります。(東証さんのリリースはこちら)ということは、そのうち私も研修を受講しなければならないのかな?(大証ですが・・・)企業の役員、しかも大半は社外取締役または社外監査役の方々が受講対象となりますので、ずいぶんと思い切った研修制度ですよね。これまで届出のあった独立役員総勢約3600人のうち、予想では約1500名が対象とのことで、「物言う社外役員」さんが多いでしょうから、まじめに研修を受ければいろんな感想が聞かれるかもしれません。講演する側(独立役員制度の導入に携わった方々だそうですが)も結構たいへんかも(^^;

制度をよく理解されていない企業もしくは独立役員の方もいらっしゃるので、独立役員に期待される役割(一言でいえば、経営陣から独立した立場の役員が一人以上加わることで、一般株主の利益にも配慮した意思決定が行われているということを外観的にも担保する・・・)というものが受講内容になるものと思われます。ちなみに(大きなお世話と言われそうですが)今年3月31日付けで東証の上場制度整備懇談会さんより「独立役員に期待される役割」と題するA4で9頁ほどのガイドラインが公表されておりますので、受講されるにあたってはこちらを事前にお読みいただくのがよろしいかと。しかしこのようなペーパーが出されているにもかかわらず、さらに特別研修を施行する・・・というのも、なにか取引所サイドでの特別な意味がこめられているのでしょうか?

当ブログにおきましても、過去数回にわたり取引所ルールにおける「独立役員」についてとりあげましたが、常連の皆様によれば「とくに独立役員に就任したからといって、特別に法的な責任が重くなるわけではない」との意見が大半を占めておりましたし、また東証さんも同様の見解を示しておられるようですので※、独立役員への就任が、取締役や監査役の職務執行にあたって、高度な注意義務が課されるとか、善管注意義務の内容が別異に解釈される、という可能性は乏しいものと思われます(ちなみに、私はこのような法的解釈は最終的には裁判所が判断することでありますから、それほど安閑とはしていられないのでは・・・という少数説でありますが)。

※・・・最新・東証の場所制度整備の解説(商事法務)94頁Q12参照。なお、ここでは独立役員に選任されても、その職責は会社法の範囲内を超えるものではない、と書かれております。したがってとくに法的責任云々とまで突っ込んで書かれているものではございません。ちなみに、私は(以前、当ブログでも記載しましたが)会社法の立案担当者の方から、「先生、たいへんですね。弁護士でありながら監査役によく就任されましたね。こわくないですか?」と言われたショックがまだ尾を引いております。。。これも会社法の範囲内でのお話であります。

しかし、ここで素朴な疑問でありますが、独立役員に就任しても、それほど通常の社外役員としての善管注意義務(忠実義務)に影響がないのであれば、この研修を受講しなければ・・・といった社外役員の方々のインセンティブはどこから生まれてくるのでしょうか?取引所さんの思い描く独立役員の姿というのは、ほぼ上記3月末に公表されたガイドラインに記載されているものだと思いますし、もうすこし具体的な場面を想定しての独立役員としての行動規範のようなものが紹介されるのでしょうか?しかし、ここであまり具体的な行動規範を示すとなりますと、現在法務省で審議しております会社法制部会での独立社外取締役の概念だとか、監査役の権限強化、実効性確保のための施策あたりとの整合性なども問題となってくるでしょうし、経済団体のご意向とも関連するように思います。もし、内容が「おとなしい」ものであるならば、やはり「忙しい社外役員を研修に引っ張り出す」インセンティブにはなりえないように感じます。東証も大証も「企業行動規範」で定められた制度ではありますが、ここで示す「行動規範」とは各上場会社において独立役員を一人以上選任して、これを取引所に届け出ることを意味するものでありますから、「独立役員は、このように振舞いなさい」ということを行動規範として示すものではありません。

このあたりの素朴な疑問から、私はこの研修内容がどのようなものになるのか、とても興味を抱いてしまいます。そこで私の勝手なインセンティブプランでありますが、たとえば昨年末にせっかく5年ぶりに「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」が改訂されたのですから、独立役員に選任された方は、このガバナンス原則でモデルとされているガバナンスと自社のガバナンスとの乖離している点を指摘して、なおかつ乖離していても、それが自社の一般株主にとって最良のガバナンスであることを説明する、というルールを策定してはいかがでしょうか。総会の招集通知に記載するだけでなく、総会でも質問があれば回答する、というご準備が必要となれば、独立役員の方々にすこしは緊張感も出てくるように思います。また、このような説明は各社固有のものでしょうから、説明内容は「監査報告書」のように一律なものではなく、株主の皆様も、当該独立役員の仕事ぶりを評価して、議決権行使結果の開示にも反映される、ということになるかもしれません。

こうやって文章にしますと誤解されるかもしれませんが、私はこの独立役員制度に期待をしております。ソフトロー先行型の典型的なガバナンス規制のひとつとして、この制度の実効性が十分に確保されることを願っております。そのための知恵がございましたら、当ブログのコメントでも結構ですし、メールでも結構ですのでどうかご教示くださいませ。また実際に参加された方のご感想などもございましたら、またお知らせいただけますと幸いです。

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2009年7月27日 (月)

東証ルールは「ソフトローとプリンシプルベースの狭間」?

東証は7月27日に取締役会を開催して、上場規則の改正案をまとめるそうですね。(8月に金融庁の認可を受けて、同月改正規則が施行される、とのこと)先週の日経新聞では、上場企業にルール違反が認められる場合、東証が公表措置、上場制度違約金、特設注意市場銘柄への指定、上場廃止などの各種罰則を選択的に採用できるよう規則を改正することが報じられておりました。大規模な第三者割当増資に関するルールや、適時開示ルールに反する上場企業に対しては、証券取引所による厳格な対応が期待されるところでありまして、投資家保護の強化を図られることが予想されます。

ただ、日経でも報じられておりましたが、対象企業への罰則適用の選択肢が増える、ということは、東証に罰則適用に関する裁量権の幅が拡大することになりますし、また監督権限の強化にもつながりますので、その分一般投資家に対しては、説明責任が強化されることにもなろうかと思われます。(西武鉄道と日興コーディアルを比較したときのように、マスコミも今後は罰則の選択については関心を寄せることが多くなるものと思われます)説明責任が強化されるだけなら良いのですが、罰則適用予定の対象企業から不服申立がなされるケースというものは増えないのでしょうか?法令遵守を第一に考え、誠実に企業活動を継続しているような企業であれば問題はないでしょうが、高橋篤史氏の「兜町コンフィデンシャル」に登場してくるような企業(かなりたくさんありましたが・・・)となりますと、会社の存亡をかけてでも取引所の罰則適用に対して反論するところも出てくるかもしれません。

当ブログでも、過去に何度か触れましたが、東証ルールというものは一般にはソフトローである、と言われています。法律のように、最終的に国家権力(裁判所の判決、決定等による強制執行力)によって担保されているルールではなく、あくまでも国家権力以外の社会的な権威によって遵守が担保されるところの典型的なルールのひとつとされております。したがいまして、法律改正を必要とすることなく、専門性が高く機動性が要求される市場ルールの整備においては、証券取引所や証券業協会による自主ルールに期待が高まるところだと思われます。そこでは規制する側である証券取引所も、説明義務さえ尽くしていれば比較的自由にペナルティを選択することもできますし、「民と民の世界」であるがゆえに、裁判所も処分の妥当性についてはそれほど深く介入することはなく、あくまでも民事事件として紛争を処理することになろうかと思われます。(ペイントハウス社の上場廃止に関する仮処分事件など)

しかし今年3月ころまで、いろんな団体でコーポレートガバナンスについて議論がなされておりましたが、そこで「エンフォースメントの在り方」として議論されていたのは、会社法や金商法改正によって市場の健全性を確保するべきか、証券取引所の自主ルールによって確保するべきか、というものでありました。そして結局のところ当面は自主ルールによって対応していこう、ということで一応議論は収まったものと記憶しております。現在でも金商法には証券取引所のルールに関する規定が存在しますし、上記のとおり規則改定には金融庁の認可が必要なわけですから、東証の自主ルールというものは純粋なソフトローではなくて、実質的には市場取締権限の一部が証券取引所に委託されている関係と捉えることもできそうであります。(さらに、今後はもっと証券取引所の規則に法的な権威を付与すべきである、との意見もあります)そうであるならば、東証の上場会社に対する罰則の適用問題はソフトローからプリンシプルベースによる金融規制の領域に踏み込むことになるのではないでしょうか?

ソフトローとプリンシプルベースによる法規制の問題は、企業コンプライアンスの視点からときどき検討されるところでありますし、決して相互に矛盾する概念ではありません。しかし、たとえば上記のような罰則の選択肢が取引所に付与されるとするならば、これが法規制の一環である(つまりプリンシプルベースによる規制である)とすると、たとえば上場企業への平等適用違反、罰則の濫用的行使(他事考慮)、比例原則違反(他の罰則で法目的を達成できるのに、それ以上の罰則を選択したことの違法性)などが対象企業から主張される可能性が出てくるでしょうし、また適正な監督権を行使しなかったことについての証券取引所の過失について、一般投資家や特定企業の株主から法的な責任を追及されるケースも増えてくるのではないでしょうか。また、そういった問題を真正面から裁判所も判断せざるをえないわけでして、「民と民」の関係として処理してもらえなくなってしまうことも考えられます。

「証券取引所の自主ルールはソフトロー」ということでそれほど問題がないのであれば議論にもなりませんが、今後の証券取引所の在り方次第では、プリンシプルベースによる規制との関係についても検討しておく必要があるのではないかと思う次第であります。

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2008年3月24日 (月)

情報開示ルールの強化と株主によるガバナンス

3月23日(日曜日)の日経新聞3面に「東証『第三者割当』透明化へ 既存株主保護へ情報開示強化」なる見出しの記事が掲載されております。(ちなみにWEB版のニュース)証券取引所(金融商品取引所)が、上場企業による株式や新株予約権の不適切な第三者割当増資を防止するための新たなルールを策定することで、既存株主保護を図り、市場活性化を促すことが目的のようであります。昨年も当ブログで採り上げましたが、オートバックスセブン社が「払込完了」と開示した直後に中止を発表したり、NOVA社が内容の不明確な第三者割当てを公表するなどの事例がありましたので、とりわけ発行済株式総数と比較して大規模な第三者割当による増資が行われる場合の情報開示ルールを策定することに、取引所が積極的な姿勢をとることについては私個人の意見としましては、大いに歓迎すべきことであると考えます。

WEBニュースには詳しくは掲載されておりませんが、第三者割当増資によって過半数の株式を握る投資家に詳細な取得理由の説明を求めたり、一定割合以上の新株の発行には株主総会決議を求めたりすることを、東証の企業行動規範に盛り込み、違反企業には(先日、ご紹介しました)「違約金制度」による違約金を課す・・・というものですから、(新聞で報じられているところが事実であるとすれば)会社法上の公開企業に認められている資金調達手段を一部制限する形になるようであります。

ところで、昨年6月25日には、東証の要請事項として「MSCBの発行及び開示ならびに第三者割当増資等の開示に関する要請」文書が公表され、第三者割当による増資を行う場合の開示事項の特定や、開示にむけてわかりやすい説明を行うことが要請されておりましたが、これはあくまでも要請にすぎないわけであります。また、投資家への注意喚起を促すための「公表」にしても、上記のとおり構想されております「上場企業への違約金賦課」にしましても、それらは(買収防衛策のあり方について、企業行動規範で定められているのと同様に)上場企業と証券取引所との上場管理契約上の義務履行の問題を通じて、証券取引所主導による企業統治を実現する一事例と理解されます。

しかしながら、第三者割当による増資について、株主総会の決議を必要としたり、詳細な開示ルールを企業行動規範に盛り込むこととなりますと、上場企業による当該ルール違反については、単なる取引所によるペナルティを通り越して、株主から会社法828条等による新株発行の無効の訴えの原因要件にも該当する可能性が出てくることとなり、「証券取引所によるガバナンス」にとどまらず、「株主によるガバナンス」の実現可能性を高めることになるのではないでしょうか。「新株発行の無効の訴え」は、募集株式の発行等に法的瑕疵がある場合に提起されるものでありますが、ご承知のとおり、募集株式の発行等の無効事由は法定されておらず、解釈に委ねられておりますので、証券取引所ルールが「法的瑕疵」と評価され、かつ株主による差止請求権(会社法201条)行使の機会を確保できないほどの重要な開示違反と認められるようなケースにおきましては、第三者割当の手続が完了した後(公開会社においては募集株式発行の効力発生後6ヶ月以内ですが)でも、その効力が覆る可能性は否定できないように思われます。これまでは、取引所から注意を受けたり、公表されることによって「ちょっといかがわしい会社ではないの?」といったレピュテーショナルリスクを受容するだけで済んでいた会社にとりましても、「あいまいな情報開示」によって募集株式の発行が無効とされるリスクが生じることになりますと、そもそも資金調達する側も慎重になりますし、エクイティファイナンスの実務にも相当程度の影響が出てくるのではないかと推測しております。

このあたりの問題は①「開示がわかりにくい場合には、開示があったといえるか」(開示することの実質的な意味)という問題や、②そもそも証券取引所の行動規範が「法的規範」といえるかどうか、③「開示に関する瑕疵については、もし法の要求する手続違反の事実があったとしても、会社側において実質的な瑕疵が存在しないことを反論すれば瑕疵が治癒されるか」といった問題、そして④株主保護といっても、希釈化にともなう経済的価値だけを保護するのか、支配権の価値についても保護するのかといった問題等にもつながりそうですので、また別の機会に閲覧されていらっしゃる皆様方のご意見などを頂戴しながら検討してみたいと思っております。

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2006年6月 2日 (金)

大証フォーラムでのセミナー

お昼から社外取締役ネットワーク主催の関西セミナーに参加してまいりました。(本当はお手伝いしないといけない立場だったんですが、仕事や私事など諸事情によりお手伝いができず、申し訳ございませんでした>関係者の皆様・・・・・)大証の代表取締役の方や武田薬品の代表者の方のお話など聞いてまいりましたが、いちばん興味深かったのが「M&A時代のコーポレートガバナンス」という東京大学ロースクール助教授の先生の講演であります。(ここからは私の感想ですが、)たとえばスティールパートナーズ(2003年12月にソトーとユシロ化学工業に対して敵対的TOBを仕掛けた投資ファンド)などは本来、買収対象企業のキャッシュフローが向上するまで辛抱強く株式を保有するわけでして、決して短期の利ざやを稼いで売り抜けるものではないようです。ホンモノのアクティビストであれば経営参画を果たして、その企業の収益力を高めて、企業価値を増大させたところで売り抜けるという手法をとるということのようでありますが、さてこのたびの阪神電鉄への村上ファンドの経営参加というのは、このホンモノのアクティビストとして目指す方向に近いものなのかどうか。また、少数株主、たとえば5%程度を取得している時期に、機関投資家が「株主の代表として」会社になんらかの要望を提案する場合には、ほぼ「他の一般株主と利害が一致している」ケースが多いのですが、45%も保有した段階で、果たして「株主の代表として」と言えるかどうか。むしろ5%株主であれば、一般株主も応援してくれますが、45%株主であれば、この大株主とは別個の利害関係を少数株主は有していることが多いわけですから、とうてい「株主の代表として」とは言えないのではないか。この先生のお話は、「MBOとインサイダー取引のにおい」とか「企業価値が向上するとか、企業価値を毀損するといった現象が、経営支配の後2,3年くらいでわかるはずもなく、もっと長期的に分析しないとわからない」といった、かなり私好みのマニアックな部分に刺激を与えるところが多く、とても参考になりました。「株で儲けている人はだれにも話さないからわからないけど、損した人は騒いでしまう。それと同じで投資ファンドが介入することで企業価値が上がったところは黙っていて、そうでないところは騒ぐ、だからファンドはおそろしい、といったイメージだけがつきまとう」・・・・・・・うーーーん、そうかもしれないなぁ。

さて、村上ファンドは46%の保有株のうち、一部について阪急のTOBに賛同し、残る一部については株式買取請求権を行使する、といった事態は考えられるのでしょうか。株式を取得した時期の各取得金額によっては、一部で賛同して、残りで反対するといった事態も十分考えられるようにも思えますが。ただ、そういった対応をされるのであれば、支配権を獲得して辛抱強く企業価値向上に努力する、という先のホンモノのアクティビストとは言えなくなってしまいそうです。このあと、いったいどのような展開になるんでしょう。

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2005年11月 5日 (土)

証券取引所を通じた企業統治(Corporate Probation)

月例の「全国社外取締役ネットワーク関西支部例会」に参加してまいりました。本日は、東京から田村達也ネットワーク代表をお招きして、初めて京都で開催されました。いつものごとく、私が発言したくてもなかなか議論に「隙間」がみつからないほど、白熱しておりましたが、(といいながら、なんとか「隙間」をみつけて、自論を発言させていただきましたが)「Corporate Probation」(以下、Co-Proといいます)に関する議論は、たいそう興味深いものがありました。

Co-Proとは、ひとことで申し上げますと、NYSE(ニューヨーク証券取引所)が上場継続基準として、相当に厳しいガバナンス規則を取り入れておりまして、もし、この基準を上場企業がクリアできませんと、「上場廃止」になってしまうわけですが、すぐに廃止にしてしまうと、投資家や企業債権者に多大な社会的影響を与えてしまうことになりますから、「執行猶予」といいますか「保護観察」といいますか、ともかく当該企業に「コンプライアンスプログラム」を実施させて、その状況をみて上場維持を検討する制度であります。通常、「自主改善手続き」と和訳されております。研究会では、この詳細な手続きなども紹介されましたが、よくコンプライアンスに関する参考書にも登場する、アメリカの「連邦量刑ガイドライン」(1991年)にも、このNYSEのCo-Proが強い影響を与えたそうです。

アメリカの証券監視委員会の絶大な権力、日本における金融庁と証券取引所との力関係などの論点はひとまずおいとくとして、さてこういった「上場廃止に関する執行猶予、保護観察制度」は日本に導入可能でしょうかね。「自主的に手を上げて」粉飾を公表したカネボウにも、西武鉄道と同様に「退場」を命じた廃止基準の運用の現状、マザース、ヘラ、ジャスダック市場へ上場する企業の体質の問題、不適正意見を出すことに躊躇する監査法人や出されることを恐れる企業の現状などを考えますと、いろいろと克服しなければ導入はむずかしいように私は思います。ただ、司法によるガバナンスの事後的評価、ということがこの先、進まないようであれば、こういった自主的な改善を取引所が評価するという手法も、コーポレートガバナンスに関する議論を発展させるためには効果的ではないかな、とも考えます。(なお、エンロンについては発覚後わずか30日で上場廃止が決定されましたが、あれは、監査法人すら巻き込み、もはや改善不能ということが明らかだったための措置だそうです)

こういった企業の自浄作用を、ルールとして評価する制度としては、来年1月から施行される改正独禁法の課徴金免除制度がありますね。日本で、このような制度が根付くものかどうか、免除制度の運用実績などにも留意したいと思います。

しかし、この研究会、実際に社外取締役として頑張っておられる方が多いんで、食事の際にホンネをお聞きすると Independent のムズカシサを痛感しますね。。。独立といえばカッコいいけど、「孤立無援」といえば・・・・・・・・。勉強になります。田村代表、きょうはどうもご苦労さまでした。

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