八田教授の「内部統制の考え方と実務」
やっと入手しました。ご存知、金融庁企業会計審議会内部統制部会長による「内部統制の考え方と実務」(3月20日発売 日本経済新聞社 1700円)
四半世紀にわたって、その人生を「内部統制」と「会計士のインテグリティ(誠実性)」の研究に捧げてこられた八田進二先生(青山学院大学)が、平成18年3月時点ではありますが、改正証券取引法(金融商品取引法)で予想される内部統制報告書実務のあり方を説き下ろした著書です。私が公認コンプライアンスオフィサーの試験勉強をしていたころ、参考図書のひとつとして掲げられておりました「内部統制の統合的枠組み」を拝読して以来、たいへん尊敬申し上げている先生の著書、ということもございますが、なんといっても内部統制監査に向けて公開企業がどのような準備をすればいいのか、その実務指針の方向性を考えるにはまさにピッタリの一冊であります。さっそく3時間ほどでザッと読了いたしましたが、もはや「付箋」だらけになっております。基本的には昨年12月に企業会計審議会内部統制部会から出されました「財務報告に係る内部統制の評価及び監督の基準のあり方について」の解説本と考えてよろしいかと思いますが、八田先生からみた「ライブドアという企業に内部統制監査があったらどうなっていただろう?」とか「会計士の報酬は今後どうあるべきか」「内部統制の不備を指導することは、監査業務との兼業禁止違反か」などなど、私自身も以前からたいへん興味を抱いておりました問題への八田先生ご自身の見解なども記されておりまして、企業担当者の方にも(たいへん読みやすいですよ)、また企業会計に携わる方にもお薦めいたします。(私のようなものがたいへん僭越な言い方ではございますが)なお、これは私の単なる推測にすぎませんが、この本には財務報告の信頼性確保のための内部統制報告実務の一般的手法(経営者による内部統制報告書のひな型や、監査人による内部統制監査報告書のひな型なども織り込まれています)に関する説明がございますが、おそらく「もうすぐ出るよ」とウワサされております内部統制の「実務指針」も、これに沿った形になるのではないか、と思います。
また、法曹からみましても、新会社法や会社法施行規則等に規定されました体制整備(取締役会および監査役との関係)の決議内容やその相当性判断実務と会計監査人による内部統制監査との関係など、会社法と改正証券取引法にまたがる非常に有益な示唆がございますので、これはまた別の機会にエントリーさせていただこうかと思っております。
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