2016年11月16日 (水)

会計監査に関する企業調査(監査法人に変化はあるか?)

かなり話題に乗り遅れてしまって恐縮ですが、ロイターさんの企業調査「監査法人の対応、半数が変化を実感」の記事を読みました。東芝会計不正事件を機に監査法人側の監査の姿勢が変わったと実感している企業(回答数は230社ほどだそうです)が半数に達し、また自社においても財務報告に関するコンプライアンス強化を実践している企業が半数に達したそうです。

最近は監査法人さんのサイドで有事対応に関与することが増えましたが、有事対応の場面でも、監査法人さんの姿勢に明らかな変化がみられますね。現場社員の会計不正が認められた場合、以前であれば統制環境に著しい不備が認められないケースでは「経営トップは推定シロ」でした。しかし最近は、企業側から「トップは不正と無関係」といった心証形成に足りる証憑が提出されないかぎり「トップは推定クロ」の前提で会社側と向き合うことが多いようです。最近の監査法人に対する厳しい処分を経験して、監査法人側にも「報酬のために企業側に甘い顔を見せることによるリスクを考えるならば、そもそも内部統制に問題のある企業との契約は早期に解消したほうが無難」といった意識が高まっていると思います。

実際に企業側と対峙してみると、税務会計、管理会計、制度会計の数字を作っているのは経理担当部門ですが、まず経理担当部門が経営陣にどれだけ力を持っているかは企業によってマチマチだと感じますね。ただ制度会計については、どんな企業でも経理部門は会計処理方針に頭を悩ますわけです。通常であれば経理部門が頭を悩ませるような処理が求められる案件は「決算の仮締め」よりも相当前に経理部門に上がってくるはずです。しかし、経営陣の不正関与が疑われる案件では、この「通常案件」とはかなり異なり、決算数値確定の直前あたりに突然「天の声」が経理部門に舞い降りてきます。そのあたりのプロセスの異常性が認められますと、「推定クロ」を覆すのはむずかしいですし、これこそ会計の世界における「相対的真実主義」の存在意義が如実にあらわれる場面です。

ところで会計不正に関する企業の実態については、もうすぐ、某監査法人系の調査機関からたいへん興味深いアンケート調査結果とその分析結果が公表される予定です。リリースされましたら、また当ブログでご紹介したいと思います。

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2013年10月 1日 (火)

監査役の監査法人品質チェックと金商法24条の4(虚偽開示責任)

月刊監査役の最新号(618号)に、公認会計士・監査審査会事務局の方(審査検査室長)執筆による論稿「監査事務所検査結果事例集の公表について」が掲載されています。CPAAOB(公認会計士・監査審査会)の職務のひとつに監査法人の立ち入り検査を行うことがありますが、その具体的な検査によって監査法人の品質管理上の問題点などが明らかになります。そのような検査結果事例を集めたものが「検査結果事例集」としてCPAAOBから公表されており、監査法人の品質管理上で指摘された事項等が(どこの監査法人の問題なのかは特定できませんが)一般の方にもわかるようになっています。今回の月刊監査役の論稿は、こう検査事例集の一部を監査役さん向けに紹介したものです。

なぜこのような事例集の一部が月刊監査役において紹介されたのか、という点につきましては、月刊資本市場2013年9月号に掲載された金融庁検査局審議官兼CPAAOB事務局長の(あのレオン風ちょい●おやじこと)S氏の講演録を読むとおわかりになろうかと思われます。監査役は(会社法上)会計監査人の内部統制をチェックすべき立場にあり、さらに今回の会社法改正では会計監査人の選任者たる地位にあるわけですから、「当然のこととして」監査法人の品質管理についてきちんと理解しておかなければならないということで、今回の事例集紹介ということになったものと推測されます。ただ、ホンネで言わせてもらえば、

「これ、当監査法人の品質管理レビューの要約ですわ」

「なんでんの?これ。お宅のような大手の監査法人やったら監査の品質なんてなんにも問題ないでしょ」

「いやいや、最近は当局もうるさいんですわ。ま、いちおう読んどいてくださいな」

・・・といった会話が監査法人と監査役さんの報告会でつぶやかれているとかいないとか。実際のところ、監査法人の品質になど、ほとんど関心を示さない監査役さんもいらっしゃるはずです。しかし大手監査法人といえども、上の検査事例集を読みますと、すべての現場の担当社員による監査の品質にまで管理が行き届いていないケースとか、それなりに管理をやっていても、現場の監査担当者が「俺には関係ないよ」という風情でまったく管理事項を無視している状況なども掲載されています。つまり大手は大手なりに、また中小は中小なりに監査法人さんの品質管理に問題が生じることは十分に考えられるわけです。このような問題点に何ら気を留めることもなく監査役さんが監査報告書にサインをすることは、いざというときにリーガルリスクを背負う可能性が高まる、ということです(上記S氏の講演録参照)。

もちろん監査法人側も、会計士協会からの品質管理レビューの結果報告書やCPAAOBによる改善勧告書については、第三者に開示すべき文書ではない、ということで逐一開示することまでは求められないとは思います。昨年10月ころ、このあたりの取り扱いは会計士協会から各監査法人宛に広報されています。しかしこれだけ監査人と監査役との連携が必要とされる時代、不正会計事件に巻き込まれたときのリスク管理の一環として、金商法24条の4等による虚偽開示に基づく賠償責任から免れるための行動くらいは考えておいたほうがよろしいのではないでしょうか。監査役と監査法人では若干法律の文言は異なりますが、要するに「私はきちんと注意義務を尽くして有価証券報告書の開示をチェックしました」ということが立証できなければ多額の賠償責任を負担することになります

また、これは最近の私の関心ですが、(会社法上の機関である)監査役も(金商法上で期待される)「市場の番人」としての活躍が注目され、監査役の平時における監査環境整備のために、監査法人の内部統制をチェックする姿勢が求められるものと考えています。上場会社の監査役さんの場合、「株主との対話」がガバナンス上で強く求められる中で、取締役の業務執行としての開示統制システムの構築は、監査役さんにとっても監視・検証の重要なテーマとなりつつあり、さらに新設された不正リスク対応基準の運用によって不正会計の抑止・早期発見が求められる中で、監査法人の品質管理も開示プロセスの重要なポイントとして留意すべきだからです。つまり開示統制システムの構築についての監査役さんによるチェック自体が金商法24条の4における「相当な注意を怠らなかったこと」の根拠事由となるはずです。

アーバンコーポレイション株主損害賠償事件の第一審判決(東京地裁平成24年6月22日)では、有価証券報告書の中身を決定する役員会に出席していた監査役には金商法24条の4に基づく責任が認められ、たまたま欠席していた監査役には認められませんでした。つまり職務に熱心な監査役さんほど責任が認められやすく、そうでない監査役さんほど免責される可能性がある、というのは(理屈の上ではその通りかもしれませんが)感覚的には非常におかしな結論です。そういったアンバランスを回避するためにも、今後は「相当な注意を怠らなかった」かどうかは、平時における開示統制システムの構築や、これに対する監査という職務遂行の度合いを認定していくべきだと思います。そういった考え方に立ちますと、監査役と会計監査人との連携にも、今後関係者の熱が入っていくことが期待できるのではないでしょうか。

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2007年4月15日 (日)

会計監査人の内部統制(6-新たな疑問編)

一昨日の「会計監査人の内部統制(5-総会対策編)には磯崎さんやcritical-accountingさん、路傍の会計士さんはじめ、いろいろなご意見を頂戴しました。たいへん勉強になりましたし、また考えさせられるところも多かったように思います。ただ、いろいろとご意見を伺っておりますと、また新たな疑問が湧いてくるわけでして(そんなにたいしたことではないのですが)、もうすこしこのシリーズを続けたいと思っております。

今回は、皆様方が関心を寄せておられた「組織的監査と監査人のローテーション(定期的な交代)」に関する疑問であります。会計士さんの不祥事が市場の信頼を揺らぎかねないとして、監査現場における会計監査人と企業との癒着を防止するために、短期的なローテーションについても議論がなされているところであります。たとえば2年程度の短期間によるローテーションを義務化してしまえば、監査法人内の上級審査部による品質管理を重視することとも合致して、会計監査人の内部統制構築論ともマッチングするのではないか、と考えたのでありますが、会計士さん方のご意見は、やはり現場責任者による監査は今後ももっとも重要なものであるから、直接的には短期ローテーション制度とは結びつかない(結びつけるべきではない)といったご意見が圧倒的に多いようです。

たしかに現場における監査が最も重要ですし、ここで杜撰な監査がなされてしまいますと、そもそも監査法人内における品質管理の基礎資料すら存在しないことになりますので、理屈としては理解できるところであります。また、会計監査人の交代が企業にとりましても、新たな会計コストに跳ね返ってくることも予想されるところでありますから、費用面からみましても、ある程度の期間、同一責任者のもとで会計監査が担当されるほうが企業にとりましても経済的だといえるかもしれません。しかしながら、今回の監査法人改革にかかる金融庁(公認会計士・監査審査会)の主たる改革目的は「株主、一般投資家に目を向けた監査制度」の実現ではないでしょうか。たいへん難題ではありますが、投資家や一般株主のための監査制度ではあるけれども、年間報酬はその個別の企業との契約によって支払われているわけでして、そのことと「株主へ目を向けた監査」とをどこかで調和させなければならないわけであります。たとえば、前の(5)のエントリーでコメントをいただいている路傍の会計士さんの例え話のように、会計監査人と企業との間におきまして、意見の相違があって「監査意見は出せない」「いや、それでは招集通知が出せないので困る」といったトラブルが発生した場合、とことん話し合うことも大事でしょうが、最終的に投資家に目を向けた監査をしなければならないのであれば、監査法人さんは当該企業から監査人交代の意思表示を受けるリスクもあるでしょうし、また辞任することもやむなし、と決断することも必要ですよね。そうであるならば、普段から短期ローテーションに対応した監査体制を整えておかなければ、こういった事態で本当に株主や一般投資家のための監査業務をまっとうすることは困難になってしまうのではないでしょうか?たとえば減損や税効果会計のように、その企業のある程度の期間比較を必要とする「見積もり」や、企業ごとの重要な虚偽表示リスクがどこにあるのか、といった問題は、短い監査期間ではよくわからない、ということで判断できないところもあるかもしれませんが、だからといって、1年目、2年目ではよくわからない、なる理由によって経営者の意見にやむをえず従って監査意見を出すわけにもいかないでしょうし、また自信もって辞任をすることもできないのではないでしょうか。そもそも普段から短期でローテーションが可能な態勢を整えておいてこそ、経営者と意見が対立したときに、自信を持って企業との関係を絶つことができるわけでしょうし、それが一般投資家、株主に目を向けた監査の姿ではないのでしょうか。そういった体制つくりのためにも、監査法人の内部統制の整備は不可欠なもののように思います。どなたかが、監査というものは答えがひとつではない、一般に公正妥当と認められる会計基準から逸脱していなければ、財務諸表(計算書類)の内容の適正性を合理的に保証することが目的であれば、「適正意見」への到達にはいくつかの道がある、とおっしゃっておられましたが、現場重視をもって適正意見へ到達する道もあれば、現場と上級審査部との連携によって、適正意見へ到達する道も(これから考えれば)ありうるのではないでしょうか。それはひょっとすると、同一監査法人内における引継ぎのノウハウが必要になるのかもしれませんし、また監査法人間における引継ぎのノウハウまで要求されるのかもしれませんが、そういったノウハウも監査法人さんの構築すべき内部統制の一貫ではないか、と考えたりしております。(以上のとおり、私は2年のローテーションの義務化を推進しているものでは決してございませんが、ただ短期間での会計監査人変更が十分ありうる、といったリスク管理のもとで監査法人さんが内部統制システムの整備をされるのであれば、当然に短期で会計監査人が変更することも予想した監査業務を検討しておかなければ、投資家へ信頼されるための「外観的独立性」は説明できないのではないか、と思ってしまいました。おそらく、「限定意見」や「注記事項」、それから「引当金」項目の利用など、監査法人と経営者との話し合いの和解ラインを探る方法があることは承知しておりますが、いま監査法人改革によって問われている問題は、そのようなテクニカルなことで済ますことができるレベルの話ではないような気がしております。)

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2007年4月13日 (金)

会計監査人の内部統制(5-総会対策編)

このブログではずいぶんと以前から「会計監査人の内部統制」って、いったい誰が何をどうやって調査すれば判断できるのだろうか?と疑問を書き連ねておりました。(これまでの「会計監査人の内部統制」シリーズは、まとめてこちら からお読みいただけます。)けっこう私なりに悩んだりもしておりましたが、あまり世間では騒がれることもなかったものですから、私自身もちょっと関心が薄れておりました。ところが、ちょっと仕事絡みで本年度の定時株主総会対策マニュアルなどをパラパラとめくっておりましたところ、「平成19年度版・新株主総会実務Q&A」(三菱UFJ信託銀行 証券代行部編著 中央経済社)におきまして、「株主総会で準備しておいたほうがよい想定質問」として、この「会計監査人の内部統制のチェック」という項目があげられております。(会社法関連11項目のうちの1項目であります。)ほかの10項目については、誰でも準備しといたほうがいいかな・・と納得できるような項目でしたんで、ちょっと意外でした。と、いうことでして、この「会計監査人の内部統制」という問題についても、ある程度きちんと総会担当者や監査役の方は検討されたほうがよろしいのかもしれません。

1 会計監査人の内部統制(再考)

総会対策として「会計監査人の内部統制」を検討する場合の根拠条文としましては、会社法381条(監査役の権限)、同397条(会計監査人の監査役への報告義務)、そして会社計算規則155条(会計監査人設置会社の監査役の監査報告の内容)あたりだと思われます。アバウトな発想ではありますが、監査役には業務監査権限と会計監査権限があるわけですが、会計監査人が選任されている場合には、計算書類が適正に作成されていることに関する意見につき職業専門家である会計監査人の個別の意見を尊重するのが適切であります。(かならずしも財務会計的知見を要求されない監査役としては、そういった態度が妥当でしょう)そこで、監査役の会計監査業務の重点は、むしろその会計監査人の監査方法の相当性を判断したり、会計監査人の職務執行が適正に行われることを確保する体制に関する相当性判断が中心になるものと思料されます。つまり、J-SOXにおきましては、財務諸表が適正に作成されることを監査法人さんが内部統制報告まで含めてチェックすることになりますが、その考え方が、会計監査人による監査と監査役による会計監査との関係にもあてはまるような格好で理解できるのではないでしょうか。こういった発想からしますと、監査役による「会計監査業務」の重要なポイントとして「会計監査人の内部統制チェック」という問題が浮かびあがってくるように思われます。

たしかに、理屈のうえではそう考えることができましても、実際には上場企業の監査役に、果たして監査法人さんの内部統制監査(のような調査)など、現実的ではないようにも思われます。たとえば会社計算規則案が公表された頃の経営法友会さんからのパブリックコメントのなかにも、「監査役は監査法人の中まで調査する権限を付与されているのではないのだから、このチェック項目は厳格に過ぎるのではないか」との意見が出されていたように記憶しております。しかしながら、内部統制の議論が進んできた現時点におきましては、会計監査人と監査役との「監査全般に関する」連携協調は、内部統制システムの構築、運用、評価いずれに点におきましても重要かつ不可欠なモニタリング手法と言われておりますから、普段の情報交換、意思形成過程のなかで、監査役による(会計監査人さんへの)聞き取りや、監査法人さんからの内部統制報告書の徴求などにより、監査法人さんの内部統制チェックというものも可能ではないでしょうか。また、現に金商法上の内部統制報告制度におきましても、経営者評価のひとつとして、取引先(外部委託先)の内部統制チェックということも問題となります。取引先の内部統制を調査する権限など対象企業にはございませんが、それでもなんらかの評価を下さなければならないわけでありますから、これと同様の発想で考えることもできそうであります。

2 「コーポレート・ガバナンス報告書」を参考にしてみると?

なにわともあれ、監査役としましては(会計監査人の内部統制チェックの方法論を知るために)一般の上場企業が東証「コーポレート・ガバナンス報告書」におきまして、「会計監査人の内部統制」欄にはどのようなことを書いているのか、参考にするのが早道と思われます。そこで、いろいろとガバナンス報告書の記載を閲覧してみたのですが、あまり参考になる例は見当たりませんね。といいますか、自社が会計監査人からどのような内部統制監査を受けているか、とか、会計監査人と当社の関係はどうか、とか、なんだかよく趣旨が伝わってこないような記述ばかりではないでしょうか。いちおう、東証の記載要領のところも読んでみたのですが「会計監査人の内部統制に関する事項について記載することが考えられる」とだけ書いてありまして、これではたしかに何を書けばいいのかよくわからないと思われます。総会対策という観点から考えますと、会計監査人の内部統制をチェックしたことを株主に開示する趣旨は、①監査役が自らの会計監査業務を適正に行っていることを説明する趣旨と、②会計監査人の業務の適正を確保する内部統制が整備されていることを説明する趣旨が含まれていると考えられますので、この2点を充足できるような説明が要求されるのではないでしょうか。たとえば、私が社外監査役を務める上場企業の場合、某監査法人の地方事務所スタッフが中心ですから、組織的業務運営のうち、地方事務所の管理態勢に絞って聞き取りをしたり、昨年8月に各監査法人さんが金融庁に出された業務改善計画書のうち、内部統制にかかわる部分の改善運用の状況の報告を受けたりすることが考えられます。

3 4月12日の新聞報道(みすず解体の衝撃)から

日経新聞の朝刊で「みすず解体の衝撃(上)」なる特集記事が掲載されておりますが、(おそらく皆様方がこのブログを読まれるころは、すでに『下』のほうも掲載されていると思われます)そこでは、今後の四大監査法人の監査に関する品質管理が問題視されております。私は内部の人間ではありませんので、現実の姿というものは存じ上げませんが、縦割りの弊害を克服して、組織的監査の徹底を実現することが監査法人にとっての重要課題だそうであります。当該企業の内部統制報告制度の運用だけでなく、そういった監査法人さんの努力されている様子にも、監査役として関心を持つべきなのかもしれません。(それはそうと、この記事のなかで、みすず監査法人の古参の会計士さんが、トーマツさんとの移籍話が固まりそうになったときに「社風がちがいすぎる」として一斉に反発された、そのことで若手会計士もトーマツへの移籍をやめて、新日本さんを希望した、といった経緯が紹介されております。個別の監査法人さんの内実についてはあまり関心はございませんが、この「社風がちがう」というのは、監査法人でお仕事をされる公認会計士さんにとってはどんな意味があるのでしょうかね?社風が違いますと、個別企業への監査業務にも違いがあるんでしょうか?また、逆に「社風」というものが本当にあるんだったら、すでに「縦割りの弊害」はなくなっているんじゃないでしょうかね?それから、これも素人的な疑問でありますが、組織的監査を進めていけば、上級審査会や、審査担当部署が監査業務に占めるウエイトが大きくなるわけですよね。そういった管理部門の意見が監査業務に大きな影響を及ぼすのであれば、それこそ2年くらいのローテーションで担当監査責任者が交代してもいいのではないでしょうか?現場の責任者がコロコロ変わったり、担当監査法人がすぐに交代することは、企業の監査報酬に跳ね返るから妥当ではない、と言われるところでありますが、そういった論理と組織的監査の推進の論理とは矛盾しないのでしょうか?それともうまく調和できる考え方があるのでしょうか?そのあたり、いろいろと興味が湧くところであります)

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(追記)コメント、TB、そして個別のメールと、会計専門職の方々より、いろんなご意見を頂戴しました。(本当にありがとうございます。どうも最後の括弧書きの中身が、会計士さん方の”専門家魂”のようなものをシゲキしてしまったみたいです。。。ずっとこのブログをお読みの方はご存知のとおり、私は「これからの20年間は会計の時代である」と公言してきておりますので、けっして悪意に満ちた物言いではございませんので、どうか今後とも素朴な疑問におつきあいいただければ幸いです)

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2006年6月27日 (火)

会計監査人の内部統制(4)

中央青山監査法人の行政処分問題も、カネボウ事件調査委員会の調査報告書(骨子)が出され、そして中央青山監査法人が金融庁へ報告書を提出した段階となったことで、監査法人としての内部統制問題も輪郭がつかめてきたのではないでしょうか。基本的には金融庁から指摘を受けたレビューパートナー制度(パートナーレビュー制度?)のあり方を重点的に改善することや、内部通報制度を充実させることなど、いわゆる組織における「性悪説」に立った組織改革が中心になっているように思われます。カネボウ事件調査委員会報告(骨子)にも、「性善説」に立った審査体制は、こういった大きな組織になるとリスクが大きいと評価されておりまして、その監査体制の甘さが指摘されているところであります。

ただ、いつもこういった管理体制の調査報告や見直しが公表されるときに思うのですが、今回のような事件が発生した場合に、「あるべき体制」が整備されれば、事件は防止できるのでしょうか?(かりに防止できる、と断言できたとして)どのようなシステムの機能によって事件が防止されるのでしょうか?あらかじめ、あるべき体制を整えても防ぎきれない「内部統制の限界」はある、そして、それはどういった場合なのか、といったことは留意点として指摘しなくてもよいのでしょうか?そういった諸点をきちんと押さえておかないと、いくら立派なことが書かれておりましても、調査報告書にせよ、体制改善報告書にせよ、あまり説得力がないように思いますが、いっこうにそういった今回の事件と改善策による防止可能性との因果関係については触れられておりません。監査法人の内部統制というのは、ある意味、公認会計士協会が祈念してやまない「自主規制による不正防止の強化」の要であるはずですよね。もしこれが有効に機能しなければ、現在検討中の「監査法人への刑罰適用(両罰規定)」が実現してしまうことも視野にいれておかないといけないのではないでしょうか。とりわけ、このカネボウ事件調査委員会報告書では、平成14年3月期から同16年3月期のレビューパートナーについては、関与社員がカネボウとあまりにも親密に粉飾の計画を立てていたから、巧妙な虚偽の説明を看破し、カネボウの問題点を的確に把握することは相当に困難だったと結論付けていますが、この結論からすれば、「性悪説」によるレビューパートナー制度に改善したところで、きちんと見抜けるようになるのかどうかはまったく疑わしいところではないでしょうか。ともかく会計のプロであり、またレビューパートナーのプロでもある会計監査人本人が事件に関与した場合、そういった制度の穴をうまく抜けて企業と共謀してまた不正経理に加担する、といった事態は容易に予想できるところでして、この改善策がなぜカネボウ事件再発防止に役立つのか、私にはまったく理解できないところであります。また、そもそも会計士さんの集団組織に「性悪説」を前提としたシステムはタテマエのうえで妥当しますかね?会計士さんには不正摘発といった職責はなかったんじゃないでしょうか。現在の法律を前提とするならば、審査をするのは、監査の品質管理のためであって、タテマエのうえでも「何か悪いことに関与しているのではないか」といった疑いを前提とした制度は許容されないんじゃないのかなぁと思ったりもしております。

先週、公認会計士協会近畿支部の方とお話をしていたときに、会計監査人の内部統制について、上場企業の監査役はどうやって、その相当性を判断したらいいのか、実務はどうなるのか、とお聞きしてみましたが、「おそらく企業向けに配布予定の内部統制に関する説明書を監査役に渡して、そのとおりにやってますから、と説明する。監査役もよくわからないうちに、そうですか・・・と言って相当性あり、と判断する、といった流れになるんじゃないでしょうか」との説明でした。そりゃ、ご自分が監査役を務める企業が粉飾決算をしているのであれば、責任を会計監査人に転嫁するよりも真っ先に監査役の責任を問われてもしかたないかもしれませんが、他社で同じ監査法人の会計監査人に不祥事が発生した、といった場合、その内部統制が問題になることもあるわけですし、「おたくはあの会社と同じ監査法人に監査をお願いしているはずですが、なんで監査役はその内部統制を相当と判断したの?」と問われたら、結構困りますよね。どう答えましょうか。それこそ「内部統制の限界論」とか「専門家集団における信頼の権利」でも持ち出しましょうかね?いろんな意見があってもいいとは思うのですが、上場企業の監査役たる者、会計監査人(監査法人)の内部統制の相当性判断はかくあるべし、といった個々の哲学は持っておいたほうがいいのではないでしょうか。(そこまで悩む監査役が出てくると思って会社法施行規則が出来たかどうかは不明ではありますが)

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2006年5月15日 (月)

監査法人交代のリスクマネジメント

先週の「会計監査人の内部統制(3)」には、たくさんのコメント、TBありがとうございました。立石さんやKOHさんがご指摘のように、中央青山監査法人の「内部管理体制の不備」は直接の処分理由とはなっておらず(つまり、今後是正すべき点の指摘)、直接の(監査法人への)処分理由は懲戒根拠が「虚偽証明・不当証明」、懲戒事由が「社員の故意による虚偽・不当証明」ということになるんでしょうね。(ご指摘どうもありがとうございます。)ただ、本件で問題とされている会計士の行為が平成16年4月1日施行の改正公認会計士法の施行日前のものであったとしましても、おそらく監査法人の社員として監査証明業務を執行した者以外に、監査法人をも行政処分の対象とするわけですから、改正公認会計士法のもとにおける金融庁の「公認会計士・監査法人に対する懲戒処分の考え」と同様、実質的には当該監査法人の「社員に対する内部管理体制の不備」を主たる理由として両罰的に処分の対象としている、と考えるのが妥当ではないでしょうか。そもそも、このたび問題となっております「一部業務停止」は「行政処分」です。行政処分は刑事処分と異なって、なんらかの行政目的を達成するために、必要最小限度の範囲内において一般企業の憲法で保障されている経済活動の自由を制約することです。たとえば、ひとりの会計士さんが故意に不正経理に関与したのであれば、その方の資格を抹消すればいいわけでして、なにもその会計士さんが所属する監査法人の業務まで停止する必要はありません。もし何千人もの会計士さんが所属する監査法人の業務を、憲法違反にならずに停止する必要があるのであれば、それはその監査法人が「第二、第三の不正監査に関与する会計士さんを発生させる環境」があるからでありまして、それがまさしく監査法人の内部管理体制のことになると考えられます。

なお、中央青山が不正経理問題に絡んで、過去に二度ほど「戒告」処分を受けている点や、瑞穂監査法人に対して、業務停止処分を発令した前例との事例比較などによって、どうしても厳しい処分とせざるをえなかった、という事情もあるのかもしれませんが、これらは行政処分の量刑にあたり、処分の公正性、明確性をはかるための加重・軽減事由にはなりえても、行政処分を課す「処分根拠」そのものにはなりえないと思いますが、いかがでしょうか。もし別紙2に記載されているような(平成11年3月決算時点から15年決算時点までに)内部管理体制の不備が中央青山に存在しなかったとして、その監査法人に所属するたったひとりの社員の故意による虚偽証明の態様が悪質である場合には、何千人もの社員が存在する監査法人に対して両罰的に「業務停止」という処分が下るようには思えませんので、やはり実質的な処分根拠は監査法人の内部管理体制の不備にある、といわざるをえないように考えておりまして、やはり監査法人の内部統制のレベルといったものが、どの程度のものであればよいのか、客観的な基準というものが開示されないままに、このたびの社会的混乱に至ったといわざるを得ないように思います。

なお、今回の金融庁の処分にあたって、金融庁は処分直前にPCAAOB(公認会計士・監査審査会)の意見を聞いておりますので、そのあたりで、どういったやりとりがあったのか、もしくは5月9日に開催されましたPCAAOBの会合で、どういった委員間のやりとりがあったのか明確にされますと、行政処分の量刑理由(内部管理体制の調査結果)といったものも明らかになるかもしれません。(ちなみに、PCAAOBは昨年10月より四大監査法人に対して品質管理レビューを行っておりますので、そのあたりの調査結果も判断根拠になっているのかもしれません)

ひるがえって考えてみますと、このたびの中央青山の行政処分に対して、十分に監査人交代(もしくは一時会計監査人の選任)のリスクを検討していた企業がどれほどあったでしょうか。監査法人が刑罰を受けたり、課徴金を賦課されるということであれば、それは監査対象企業において自主的に検討すればいい話でしょうが、金融庁の業務停止処分ということであれば、自分のところを担当している当該監査法人の社員の人たちとの関係が良好であったとしても、会計監査人の交替を余儀さくされるわけでして、企業にとっては大きなリスクになるはずです。このたびのような金融庁の業務停止処分の出される経緯からしますと、監査法人のどういった内部統制に問題があれば会計監査人交代のリスクがあり、どういったPCAAOBによる意見形成がなされるのか不明なことも併せ考えますと、中央青山以外の監査法人でもふたたび同様の事態が発生する可能性は十分あるように思いますし、このリスク回避のために一般企業がどういったリスク管理をしていればいいのか、そのメルクマールは不明のままであります。

とりわけ、何度も申しますが、新会社法のもとでは、監査役は会計監査人たる監査法人の内部統制状況の報告を受け、これをチェックしなければなりません。客観的な監査基準もないままに、どうやって監査法人の内部統制をチェックすればいいのか、これからそういった監査基準ができあがるのか、皆目見当もつきません。今回のケースをモデルとして金融庁の行政処分のあり方が議論され、会計士協会による自主規制部門の強化や、課徴金制度の強化、刑事罰の厳格化などの代替措置も検討されるでしょうが、今後会計監査人とよりよい関係を築かなければならない企業の監査役にとりましては、「いつ監査法人が交替しても会社がリスクを負わない程度の」連携と協調のあり方を考えておいたほうがいいのかもしれませんし、信頼関係のある「連携と協調」を必要とするのであれば、中央青山がなにゆえ「一部業務停止」「2月」とされたのか、そこにいたる理由を公正透明にしていただきたいと強く願うところであります。

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2006年5月13日 (土)

会計監査人の内部統制(3)

第163回国会 財務金融委員会の議事録などを読んでみたり、知り合いの会計士さんにお聞きしたりして、「パートナー・レビュー」の意味もなんとなくわかりかけてきました。と同時に、いつも拝見しているkeizokuさんのブログで「処分理由(別紙2)に思うこと」のエントリーを拝読いたしまして、やはり問題点はこのあたりにあるんじゃないかなぁ・・・と、すこしばかり自分の興味の焦点が絞られてきたような気がいたしました。(ちなみに、金融庁がこのたびの中央青山監査法人に一部業務停止の行政処分を発令した理由につきましては、こちらです。)

すでにご承知のとおり、この金融庁の行政処分発令によって、上場企業の会計監査体制に大きな影響を及ぼし始めておりまして(すでに今回の処分によって会計監査人変更を決めた企業もあり、また受け皿監査法人を認容する大臣発言もあるようですが)対象監査法人にも、そして企業社会にも重大な行政処分であることは明らかです。こういった処分がなされる場合、対象となっている監査法人としては不服申立を行う権利があると思いますが、そういった申立がなされる気配はありません。それはやむをえないとしても、内部管理体制の「不備」(こういった場合、「不備」以外にどういった評価基準があるのかはわかりませんが)を理由に処分を行うのであれば、まず「あるべき内部管理体制」に関するガイドラインが存在するか、もしくは存在しないのであれば、相手方に不服申立を行うことが保証される程度に詳細な理由が必要なのではないでしょうか?たとえば法人の刑事罰のように、すでに両罰規定が存在していて、その監査法人に在職する(もしくはしていた)会計監査担当者個人が罰則を受けることを前提に処罰される、というのであれば理解できるのですが、本件は行政処分であって、また両罰規定のようなものも存在しない中での法人への処分です。ということであれば、当然に法人に対する処分理由は必要であって、はたしてこの程度の処分理由が、その影響と比較して反論することが可能な程度の実質的な理由になっているのかどうか、極めて怪しいのではないかなぁと感じております。結局、最初に「厳罰にすべし、という結論ありき」であって、keizokuさんのおっしゃるように「なにか法人全体を厳罰にできるいい理由はないかなぁ」といったところで「内部統制」を持ち出したような印象を与えているのではないでしょうか。ここのところは、金融庁が明治安田生命に対して業務停止処分を発令した場合とは大きく異なるところです。(明治安田の場合には、発令よりずっと前から調査を行い、その際に再生防止に関する指示を出し、また会社側も再発防止の宣誓をしていたにもかかわらず、金融庁からみて「結局、なにもしていなかったではないか」と判断した経過がありました)

さらに、今回の処分理由でわからないところは、果たしてパートナーレビューが適正になされていれば今回のカネボウの不正監査は防止できたのでしょうか?品質管理レビュー全体が正しく機能していれば(どういった体制であれば適正と評価できるのか、そこのところが果たして合意ができているのかどうかも疑わしいのですが)合理的に判断して、このたびの会計士と経営陣との癒着による不正監査は防止できたのでしょうか?金融庁が考えている「あるべき品質管理レビュー」といったものが、その企業から受ける監査報酬との関係で十分採算があるものなのでしょうか?すくなくともこういった問題点をきちんと考えて、明確な回答が出ないのであれば、今回の処分が法律に基づく適正手続を経た処分と言えるのでしょうか?

私が会計士の先生や学者の先生方に教わった「内部統制理論」によれば、「内部統制には必ず限界がある」といったことでして、これはおそらくどの先生方もお認めになるものと思います。そこには「内部統制の無視」や「共犯」などによって内部統制が無効となるケースが想定されております。たとえば、カネボウ事件の場合、経営陣と会計士が不正経理を共謀して行っていたようなケースでは、誰が品質管理レビューでそれを発覚させることができるのでしょうか。とりわけ平成3年以降導入されたリスク・アプローチによる監査方法によるのであれば、その企業の会計を長年見てきた会計士以上にリスク評価が可能な外部の人間というのは存在しないはずでありまして、だからこそ奥山理事長は「監査法人が騙された」と言い放っておきながら、あとで逮捕者が出た段階で「本部のほうは知らなかった」と言い直さずにはいられなかったわけですよね。(発言を変更していること自体、私には監査法人の内部統制の限界を感じるのですが・・・・・)

とくに中央青山監査法人を弁護する目的でのエントリーではありませんが、この金融庁の理由では、今後同様の事態が発生した場合における有効な先例にはなりえないことは間違いないところでして、世論の流れ、報道機関の興味の流れによって、これからも場当たり的な処分が下される可能性があり、果たして安定した会計監査というものが、これを契機に十分検討されるだけの土壌が育成されるのかどうか、極めて心もとないのではないか、と思っている次第であります。なお、こういった処分理由に触れた現役の会計士さん方にとって、これを真摯に受け止めてお仕事ができるのでしょうか。どうも、私の周囲の方のお話をお聞きしたかぎりでは、もともと「レビューパートナー」に提出すべき書類を作成することは「やっつけ仕事」であって、どうもその効果といったものに十分な期待をかけていないのが通常ではないか、と思ったりしております。

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2006年5月10日 (水)

会計監査人の内部統制(2)

5月10日は大阪弁護士会で「新会社法における内部統制システム構築」に関する講演をさせていただきます。同業者の方(およそ300名らしい)の前で講演するのは緊張いたしますが、これも勉強ですし、法律家の視点からさまざまなご批判、ご意見を賜るいい機会と思い、お引受けしました。講演に関する感想など、またエントリーしたいと思います。

中央青山の一部業務停止に関する問題につきましては、公認会計士・監査審査会が金融庁の諮問に対して業務停止やむなし、との答申を出したような報道がされておりますが、まだ処分内容が正式に明らかにされておりませんので、もうすこししてから感想を書きたいと思いますが、気になりましたのは旭化成は「業務停止の見込み」といった報道を受けてすばやく監査法人変更予定を表明したこと。9日に出されました旭化成の内部統制整備に関する決議内容は、それはもう自信に満ちたものであって、「全部やってますよ」といった報告書形式に近いものになっています。今回のすばやいコメントも、世界に向けて情報開示をしている会社の方針を表現したものかもしれませんね。帝人の整備決議も素晴らしいと思いましたが、こちらも普段から予算をかけてCSR経営を真剣に履行している企業の姿が認識できる内容でした。

中央青山もたくさんの契約企業があるわけですし、PwCとの海外提携の問題もありますから、業務停止の範囲を決定するのもたいへんかとは思いますが、こういったキビシイ処分が出るというのは、もはや会計の国際化は待ったなし、というところまで来ているのかもしれません。日本企業が生き残りをかけて国際舞台で戦うためには、外国に通用する市場をつくって(刑罰の厳格化、証券取引等監視委員会の権限強化)外国に通用する会計監査を整備し(監査人の責任厳格化、コンバージェンス、内部統制監査)、そして情報開示(コーポレートガバナンス報告書)を進めていくことは必須だと思いますが、そういった制度作りに日本も走り出した、ということなんでしょうか。とりあえず仕事柄、私は金融庁の処分理由や、是正措置命令(って、今回の場合ありますよね?)の内容に興味があります。今後の監査法人の内部統制のあり方を知る上で貴重な先例的意味を持つものと確信しております。

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2006年5月 9日 (火)

会計監査人の内部統制

(異常なアクセス数になっておりますが、おそらく監査法人エントリーを閲覧していただいていることが原因かと思われます)

すでに新聞、ネットニュースでご承知のとおり、中央青山監査法人に対する行政処分が発令される見込みとなったようでして、taka-pooさんがコメントされているとおり、昨年11月の予想どおり、新会社法施行後の行政処分となりました。(過去のエントリーはtaka-pooさんが引用されていらっしゃる「中央青山と明治安田生命の処分を比較する」をご参照ください)処分内容につきましては、公共性の高い団体への監査業務についてはそのまま継続できるものとして、上場企業およびそれに準ずる規模の一般企業への監査業務が停止の対象になるのでは、との報道がなされております(毎日ニュース)もちろん、3月決算の会社は商法監査の真っ最中でしょうから、停止命令による業務停止時期は7月ころになるようです。

現時点でのコメントは差し控えますが、会社法計算規則(施行規則ではありません)の159条には、監査役会設置会社の場合、会計監査人は計算規則158条1項の特定監査役に対して、自らが所属する監査法人の独立性に関する事項や法令遵守に関する事項、契約内容、その他会計監査人の職務の執行が適正に行われることを確保するための体制に関するその他の事項について、会計監査報告の際に報告をすること、と規定されております。

つまり、新会社法のもとでは、監査役は会計監査人となっている監査法人の内部統制システムの整備状況を監査する必要があるわけでして、今回もし金融庁が中央青山監査法人の「内部管理体制の欠陥」を理由に業務停止処分を発令する、といった事態になりますと、今後、上場企業等の監査役は、監査法人の内部統制システムの整備体制を具体的にチェックする必要が出てきそうです。(しかし、果たして現実にはどこまでそんなことができるのか、まだわかりませんが。でも企業の監査役にとっては、けっこう真剣に考えるべき問題になりそうですね。とりあえず仕事中ですので、思いついたことだけコメント程度に残しておきます)

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