きょうは、意見ではなく、情報のご提供のみで失礼いたします。
(その1)は、昨年5月12日に「公開会社法への道しるべ」といったエントリーをアップしておりましたので、約9ヶ月ぶりの続編アップということです。(そんなエントリーあったのかな?と 笑)(その1)の内容は、いわゆる上場企業におきましては、市場資本主義の興隆とともに「会計士さんの時代」がやってきまして、そのうち会社法と証券取引法が逆転してしまうんではないか、上場企業に法の支配は貫かれるのだろうか・・・といった趣旨のエントリーです。ちょうど、私が大阪弁護士会におきまして会社法研修講座の講演準備をしているときに感じたことをツラツラと書いたものです。そしてひさしぶりに(その2)をアップしようと思いましたのは、会計士さん向け雑誌の3月号に、著名な商法学者の方々の興味深いご意見が掲載されていたからであります。
「会計・監査ジャーナル」3月号の緊急企画「監査不信に立ち向かう公認会計士業界シリーズ第六回 識者に聞く 資本市場における公認会計士の役割とその責任」では、藤沼会長さんと上村教授の対談が実現しているわけでありますが、早稲田大学法学部長の上村先生は上場企業における証券取引法の会社法に対する優越性を強調され、さらに(資本市場をとりまくルールとしては)自主規制のほうが法律よりも重要である、有価証券報告書よりも適時開示のほうが重要である、会計基準はまさにトップクラスの重みがあり、資本市場の中心に公認会計士が存在する時代になる、だからこそその責任も重いのだ、といったお話をされております。現在、上村先生は、日本取締役協会の「公開会社法要綱案」の制定に向けてご尽力されていらっしゃるそうですが、この対談におけるご見解は、おそらくこれまでの上村先生のものとまったくブレがないものと拝察いたします。
いっぽうたいへん気になりましたのが、神田教授の「企業会計」3月号「論壇」における最後のまとめの部分であります。実は、これは立ち読みしかしておらず、前後の文脈まで精読していないのですが、この「まとめ」の部分におきまして、神田先生は上村先生とほぼ同じ趣旨のことをおっしゃってます。(と、私には理解できました。いや、それほど強く、というわけではないと思いますが)公開会社においては、会社法は企業会計基準の前では後退せざるをえない、(法律でいうなら)証券取引法の優越を認めざるを得ない、といった趣旨のことを申されて締めくくっておられます。(もしお手元に企業会計3月号がございましたらご確認ください。)
私はてっきり、いままで神田先生は、こういった考え方をお持ちでないものと勝手に思い込んでおりましたが、やっぱりそのようにお考えになっておられたのでしょうか?昨年のベストセラー「会社法入門」のなかで、神田先生は「会社法はどこへ行こうとしているのか」(第五章)と自問自答されて、コーポレート・ガバナンスに関しては、新会社法は公開会社が日本の資本市場において興隆していくための支援(いわゆる国策法としての会社法)を志向するであろう、といったお考えを開示されておられます。このたびの会社法につきまして、神田先生は、まさに中小企業、ベンチャー企業における株式会社の使い勝手の促進とともに、資本市場を活性化させたり、事業再編を容易化させることによる「公開会社のための会社法」というものを念頭に置かれていたのではないかと思いますので、やはり公開会社におきましても会社法の占める位置はたいへん重要ではないか、すくなくとも会社法>証券取引法とお考えになっているものとばかり理解しておりました。もちろん、証券取引法(金融商品取引法)と会社法との優先関係を議論することが、公開会社にとってどのような実益があるのか、といったことも検証しなければなりませんが、会社法ももうすぐ施行後1年となり、こういった構想も具体的に高名な学者の方々によって議論されるころになってきたのでしょうか。とりあえず、もし上記論稿などお読みの方がいらっしゃいましたら、私の認識の間違い等も含めて、ご感想などお寄せいただけますと幸いです。
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