2011年11月 3日 (木)

オリンパス・大王製紙問題と会社法改正論議

民主党が「資本市場活性化・企業統治向上WT」を設置すると報じられています(ロイターニュース)。昨年、議員会館でいろいろと議論させていただいた大久保議員が座長に就任されるようでして、このたびのオリンパス事件、大王製紙事件を契機として、上場企業のガバナンス向上のために、会社法改正だけでなく、開示規制や上場規則の改正なども視野に入れて検討されるようであります。

そういえば、5年前の会社法改正のときも、自民党の商法部会(たしか塩崎部会長)の「一声」で内部統制システムの構築に関する会社法条文が盛り込まれましたっけ(金商法上の内部統制報告制度と会社法上の制度との違いがどこまで意識されていたのかは定かではありませんが・・・)。当時、一生懸命法制審の議事録に目を通しましたが、たしか内部統制システムの構築といった議論はほとんどなかったと記憶しています。パブコメ案の時には、まだ内部統制システム整備に関する条文がなかったはずです。

ちょっと趣旨は違いますが、「会計参与」の導入・・・というのもありましたよね。法制審委員の方々が、商事法務の座談会で「なんで会計参与なんか、入っちゃったんだろう。いまだによくわかんないです。」とつぶやいておられたのを思い出します(笑)。これもほとんど法制審での議論もなされないまま、政治的な意味合いで、ふと気が付いたら条文が入っていたような気がします(その後、立法当初の予想を超えて、会計参与制度が「そこそこ」実務に定着していることはご承知のとおりかと)。

ずいぶん昔ですが、総会屋対策に関する条文が商法に組み込まれる際、東大の竹内昭夫教授が「商法の美しい体系が汚される」として、たしか論文で大いに嘆いておられました。それでも株主総会の正常化のためには実務では必要、とのことで導入が決定したようでして、会社法の改正にはときどきドラマがあるように思います。

会社法改正に関する熱い議論が続き、パブコメ案が間もなく公表されるというこの時期に、あっと驚くような会社法改正条項の追加(もしくは上場ルールの改訂)があるんでしょうか?さすがに「公開会社法」とまではいかないと思いますが、それでも何かドラマがあるのかもしれません。たしかに「立法事実」は目の前で現在進行形で展開されているような気もいたします(すいません、今日のエントリーはうろ覚えのところがありますので、誤りがございましたらご指摘ください)。

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2010年1月 7日 (木)

「公開会社法」時代の監査役制度の在り方について

昨日の「公開会社法法制化とソフトロー」につきましては、多くのアクセスをいただき、ありがとうございました。また貴重なコメントも順次拝見し、今後の意見形成の参考とさせていただきます。せっかくですから、もうひとつ、公開会社法で話題になっております監査役制度改革について一言だけ追加でエントリーいたします。

コメントなどを拝見したり、また他のブログを閲覧しておりましても、監査役制度の仕組みについてのご意見が中心になっておりまして、どうすれば制度が期待されたとおりに運用されるのか?といったところへのご意見はあまりみられないようであります。所詮、役員であれ、従業員であれ、社長に「監査役やってよ」と言われて就任するのがほとんどのケースでしょうし(もちろん法律的には株主総会で選任されるわけですが)、数年後には取締役に横滑りする、ということもよくありますので、いくら仕組みを変えてみても監査役に本来の仕事が期待できるのでしょうか・・・といったご意見も多く聞かれるところであります。

現場に近いところにいる者としては、なかなか反論しにくいところではありますが、ではどうやって監査役制度がより効果的に運用されるのか、という点についても検討する必要があると思っております。実際、平時の監査役さんのお仕事というのは、結構外からは見えにくいものであります。とくに内部統制システムを重視して、予防的監査と言われるようになり、適切に社内のリスク管理をしていらっしゃる監査役さんほど(つまり、監査役監査を受ける社内の雰囲気も良ければ、監査役さん自身の能力も高い、といった会社ほど)とくに目立った問題も発生しないということで、「監査役って、何をしているのだろう、とくにいらないのでは?」という意見も聞こえてくるのかもしれません。しかし実際には適切な監査役制度が運用されているからこそ、という事例もあるわけです。

こういった目に見えない監査役制度の運用では不十分ということになりますと、マスコミに登場するような、やはり「物言う監査役さん」がどれだけ今後出てくるのか、というところに(運用実績については)依拠せざるをえないのかもしれません。何か社内で問題が発生したときに、監査役としてはアクションを起こさないと「任務懈怠」に問われ、損害賠償責任を負担しなければなりませんよ・・・・・といった、いわゆる監査役さんの有事対応を議論するのは、こういった「物言う監査役さん」が登場する(登場せざるをえない?)インセンティブになるのかもしれません。

少し前までは、大和銀行株主代表訴訟判決(平成12年)とか、ダスキン高裁判決(平成18年)あたりが、監査役の任務懈怠責任が認められた裁判例として、けっこうインパクトがあったと思います。その衝撃を現役の監査役さんにお伝えすることで、「そうか、じゃあしっかり監査しないと、とんでもないことになってしまうのか・・・」「いやいや、こうなる前に辞任しちゃったほうがいいかも・・・」という教訓を心に刻むためには大きな意義がありました。しかし、これらの著名な判決は、元々の事件の大きさからみて、監査役さんに任務懈怠が認められても不思議ではない、ということは(感覚としては)言えそうでありますが、法律的には、監査役さんの仕事をどのように進めていけば善管注意義務違反にならないのか、ということへの答え(もしくはヒント)を付与してくれたかどうかはちょっと疑問であります。大和銀行事件では任務懈怠が認められたものの、結局損害との因果関係は否定されましたし、ダスキン事件につきましては、監査役さんの責任は他の取締役さんとの共同不法行為的な任務懈怠として認定されたものですから、いわゆる「監査固有の問題」からは離れているように思われます。

そういった流れで申しますと、平成21年に監査役さんの任務懈怠が(一部ですが)認められたライブドア投資家損害賠償請求訴訟(東京地裁)と、監事さんに関するものではありますが、先日よりご紹介している大原町農協最高裁判決は、それぞれ会計監査、業務監査の領域において、監査役さんがどの程度の仕事をしていれば、(たとえ不正が発覚したとしても)免責されるのか、という点をダイレクトに示したものとして、たいへん意義のある判決だったのではないでしょうか。こういった判例を分析するなかで、監査役さんがどのような状況で、どこまで職責を全うしなければ法的責任を問われるのか、という点を検討し、監査役制度の運用の方向性を示していくべきではないかと考えております。

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2010年1月 6日 (水)

「公開会社法」法制化とソフトローの役割

今朝(1月5日)の日経新聞では、対照的なふたつの記事が掲載されておりました。ひとつは法務大臣が「公開会社法」(仮称)について、2月にも法制審議会に諮問する方針を固めたというものでありまして(本日の法務大臣の記者会見でも確認されたようであります)、もうひとつは特集記事「2010年資本市場~新ルールでどうなる~」で、東証・大証が改訂したガバナンスルールの解説であります。いずれも上場会社法制に関わるものでありますが、公開会社法がハードローの世界、そして上場ルールはソフトローの世界であります。私的には今年、来年あたりの株主総会に大きな影響をもちうるのは東証・大証ルール改訂だと思いますので、後者の方にとても関心が高いのでありますが、多くのブログ等ではすでに「公開会社法」に関する話題が優先しているようであります。なお、この民主党PTによる公開会社法に関する素朴な疑問につきましては、すでに民主党・公開会社法素案に関する素朴な疑問において記したとおりであります。

日経新聞1面の記事にもあるように、法制審での議論のたたき台になりそうなのは、民主党公開会社法プロジェクトチーム(PT)(座長:鈴木参議院議員)が2009年7月にまとめた公開会社法の素案であります。その公開会社法PT座長でいらっしゃる鈴木克昌議員は、中央経済社ビジネス法務2009年12月号にて、公開会社法への思いを詳細に語っておられます。(同書60頁から62頁)我々法律家からしますと、ちょっと「おや?」っと首をかしげたくなるような誤りもみられますが(たとえば金商法上の「公認会計士」の用語と会社法上の「会計監査人」の用語の使い分けの意味など)そういったことは無視しまして以下、要約いたしますと、

公開会社法には大きく3つのポイントがある。①情報開示の徹底、②内部統制の強化、③企業集団の明確化、ということである。公開会社法はドイツ法に倣っている。ドイツの監査役会は業務執行役員の人事権や重要な経営判断について同意権を持つが、その構成は出資者側と労働者側の半分ずつだ。まずは会社法と金商法の規定を整理しなおし、公開会社法に採り入れて整理することで金商法との二重規定を解消する。社外取締役は義務化し、経営監視を強化する。親会社や大口取引先、株式持ち合い先にある企業の出身者は認めない。社外取締役は構成員の3分の1程度がのぞましい。経済界からは反発があるかもしれないが、嫌なら委員会設置会社にすればいい。監査役会は従業員参加型とする。これにより従業員のインセンティブが高まることが期待される。企業集団規制については、企業集団としての経営の透明性向上や経営者規律の向上を図る。たとえば子会社の重要な意思決定については親会社の株主総会での承認を求める。また子会社の取引先などの債権者が親会社やその取締役に対して損害賠償請求できる制度にする。また持株会社の株主が事業子会社の取締役らに対して株主代表訴訟などを起こせるようにする。

といった内容であります。(なお要約責任は当ブログ管理人にあります)以前の「素朴な疑問」のエントリーでは、民主党素案でも、社外取締役導入義務化はソフトローに委ねるのではないか、と書きましたが、実はそうでもないようですね。つまり法制化のなかに含まれるようであります。

私は日弁連の企業コンプライアンスPT委員としての立場がありますので、ちょっと私見を述べることは差し控えますが、(また、監査役制度の改訂や社外役員の導入問題など、その内容の是非については触れませんが)まず「法制化ありき」で進む前に検討いただきたいのが「ソフトローの活用」の是非であります。

社外役員導入問題については「上場会社への一律適用」がどうしても必要なのか(人数を含めて)、独立性要件についても必要なのか、という点であります。たとえば今回の上場ルール改訂のように、ソフトローとしての証券取引所におけるルール改訂では十分に対応できないのか?という意見も成り立つのではないでしょうか。どうしてもソフトローでは株主主権主義を貫徹できないから・・・ということであれば理解もできそうですが、民主党議員の方はそもそも「会社は株主のもの」という思想には反対されているようですから、そうであればまずソフトロー的な施行で様子をみてから、ハードロー適用の是非を検討する、という手法をとらないのでしょうか。たしかに時事通信ニュースなどによりますと、民主党は東京証券取引所と協力して、ソフトローによる先行実施を働き掛ける・・・という報道もなされておりますが、そうであれば、もうそういったニュースも法制審議会諮問と同時に出てこなければおかしいような気もいたします。

もしステークホルダーの利益まで保護する必要があるのであれば、それは「従業員の目」とか「株主の目」「投資家の目」というソフトローに期待する、という意見もあろうかと思われます。(だからこそ情報開示が必要なのでは?)王子製紙と北越製紙の敵対的買収の際、北越製紙はいち早く「労働組合声明」をとりつけ、いっぽうの王子製紙は「北越製紙従業員の皆様へ」とする声明を発表していましたが、結局M&Aは従業員の方々の協力がなければ成功しないことからあれだけ精力的な協力要請合戦が繰り広げられたものと思います。従業員の方々の「経営判断への関与」は、むしろこういったソフトローでこそ形成していくべきであり、一律に法制化することは、行政手続法同様、「ほら、ちゃんとあなた方の代表者の方々と協議しましたよ」といったアリバイ作りだけのために利用される可能性のほうが高いものと思われます。また、社外役員についても、前回のエントリーでkatsuさんが指摘しておられたように、「社外役員を置かないとか、独立性の要件が甘い会社であれば、売ってしまえばいい、買わなければいいだけの話」ということも言えそうであります。こういった株主の目、投資家の目が怖いからこそ、経営者は「原則」が示されれば、その原則に従うような体制を敷く努力はするでしょうし、どうしてもその原則が気に食わなければ、株主や投資家に対しては「うちの会社はこのような会社だから、現在のガバナンスのほうがパフォーマンスは上がります」とか「うちの会社はピーター・ドラッガーの教えどおり、利益獲得を最優先とするのではなく、顧客獲得を最優先とする方針だから、こうしています」といった各社独特の説明責任を果たせばいいのではないか、とも思われます。(いえ、私がこの意見に賛同している、というわけではなく、こういった意見も成り立ちうるのではないかと?・・・すいません立場上このような表現しかできません・・・)

このあたりは、いろいろなご意見があるとは思いますが、日本取締役会で検討されている公開会社法ではなく、あくまでも今回の民主党PT素案による「公開会社法」の法制化について、私的に共感できる論稿等がございましたので、ご興味のある方はそちらをお読みいただき、意見形成の参考にされてはいかがでしょうか。民主党素案に賛同される方々も、こういった意見を乗り越える必要はあろうかと思っております。ひとつは先に掲げました「ビジネス法務」2010年2月号「2009年企業法務10大事件」のなかで書かれた中村直人弁護士の論稿「民主党政権が始動 企業法制の『揺り戻し』をどう捉えるか」、つぎにプレジデント2009年11月2日号で書かれた神戸大学加護野忠男教授の「こうすれば良い会社統治が行われるという唯一最善のモデルはない」、そして最後は旬刊商事法務1865号(2009年5月1日、15日合併号)東京大学比較法政シンポジウム「上場会社法制のポイント」なる座談会記事における、最後の藤田教授の「総括意見」であります。とりわけ最後の藤田発言は、単に意見を述べる立場ではなく、本当に上場会社法制を変えていく責任(および権力)のある立場の者であれば、こういった見解になるのではないか、と思える非常に共感の持てる意見ではないかと考えております。

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2009年9月15日 (火)

民主党・公開会社法素案への素朴な疑問

9月7日付けロイターの動画ニュースにおきまして、民主党大久保勉参議院議員のインタビューを拝見いたしました。公開会社法PT事務局長として、今後2~3年以内に制定するという「公開会社法」の中身について概要を述べておられます。(次の衆議院選挙までには施行するとか)現在新聞報道等で最も注目されている「監査役の従業員代表制」につきましては、大久保氏の論理は以下のとおりであります。

会社は株主のもの(アングロサクソン系の考え方)は否定されるべき、会社は従業員、経営者、取引先を含むステークホルダー全ての者のためにある→経営者の暴走を防ぐためには現在の監査役(監査役会)はあまりにも力が弱い→暴走に歯止めをかけるには監査役会の強化を図る必要があり、そのためには従業員からも監査役を選出する必要がある→ただし労働者の代表ではなく、あくまでも従業員の代表である。組合の代表ではない。→代表選出の方法については今後検討する。

なるほど、経営者の暴走を防ぐというために現在の監査役制度の補強という意味で従業員の代表者を監査役会に参加させることが目的のようであります。ところで、本日(9月14日)の日経新聞「法務インサイド」では、三宅編集委員の記事として、この民主党公開会社法素案について紹介されておりました。そのなかで、大久保議員は(民主党内には独立社外取締役の選任を上場ルールによって義務付けるべきだ、との声が少なくない、との記事をうけて)「独立社外取締役の数は・・・全体の3分の1以上が望ましい」「もしそれが嫌なら、委員会設置会社に移行すればいいではないか」と話しておられます。なお、PTの素案においては、社外取締役義務化に関する記述はない、とのことであります。あくまでもハードローではなく、ソフトローによって社外取締役の義務化を図ろう、ということのようであります。

少しビックリいたしましたが、このふたつのインタビューの内容は素朴に矛盾していないのでしょうか?社外取締役義務化の話は、ご承知のとおり株主と経営者(会社)との対話の促進を目的とするものであります。「所有と経営」の分離が極限まで進んでいる上場会社の場合、株主と経営者との直接の対話に限界がある以上、株主による経営監視(モニタリング)と役員から株主への説明責任の履行(アカウンタビリティ)という二つの重要な「対話要素」を代替できるのは社外取締役だけである、というのが「会社は株主のためのもの」という思想を強く主張される方々の意見ではないでしょうか。しかしながら、冒頭の動画インタビューにおきましては、大久保議員は明確に「会社は株主のものという思想は否定されるべき」と述べられており、ステークホルダーの利益調整(バランス、という言葉を用いておられますが)のために従業員代表制の監査役会制度を推進されておられるわけで、この「社外取締役義務化」と「監査役制度改革」とは制度を必要とするそもそもの思想のところで矛盾しているように思えるのですが、いかがなものでしょうかね?それとも社外取締役導入義務化は、(従業員代表者の監査役会参画と同様に)経営者の暴走を止めるため、ということを目的としているのでしょうか?私的にはコンプライアンス経営のための社外役員というのは歓迎したいところですが、一般には社外取締役は企業パフォーマンスの向上のため、ということですよね?

さらに、冒頭動画インタビューにおいて、大久保議員は親子上場は禁止する、と明言されており、その理由は子会社の少数株主保護の必要性が高いからだ・・・と述べておられます。この少数株主保護の問題につきましても、基本的には株主権強化を目指す方々の意見に近いものがありますので、やはり「ステークホルダーの利益調整云々」とは若干方向が違うように思えます。従業員代表監査役の利益相反問題や、会計基準の一本化問題など、詳細なところでの疑問点もいろいろとありますが、まずはこれまで行われてきた金融庁SGでの議論や、監査役協会における監査役制度改革の流れなどからみて、大きな思想のところでブレが生じないように議論の整理から始めていかなければならないと思うのでありますが、どんなもんなのでしょうか?

PS 東京の大手法律事務所さんは早速、著名弁護士さんによる「民主党公開会社法解説セミナー」を開催されるんですね。(さすが、スゴイなぁ・・・・・)

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2009年7月24日 (金)

政権交代と会社法制の行方-「公開会社法」の実現可能性

(7月25日 追記あります)

あまりブログではとりあげられていないので、それほど一般の関心は高くないのかもしれませんが、思わず反応してしまったのが(いくつかの新聞系ニュースで掲載されておりました)「公開会社法」制定に関する民主党のマニフェストであります。もう2年ほど前から、私の仕事上での知人でもある某民主党議員(会計士さんです・・・昔はけっこう事務所に遊びにきてくれましたが、今はもう、ずいぶん遠い人になってしまったようでして・・・(^^; )が、塩崎官房長官(当時)に「公開会社法制定の実現性」について代表質問をされておりましたので、民主党としても、ずいぶん前から勉強されていたはずであります。日経新聞朝刊によりますと、政権をとった場合にはただちに国会への提出準備に入る・・・とのことですから、この「公開会社法」の中身については真剣に検討してみたくなりますよね。(商法学者の皆様方はどのように構えておられるのか、どうも情報に疎いもので、よくわかりませんが)

日経新聞では、従業員の代表が監査役会に・・・ということで、従業員から選任された代表者が監査役会に参加することや、会計監査人の選任権、報酬決定権を監査役会に付与する、といった監査役会制度の改正や、連結経営時代に対応するグループ企業法制に関する概要が紹介されていましたが、東京新聞系のニュースはもっとすごいことが書いてありますね。あれだけ議論がなされた「社外取締役制度導入論」でありますが、(マニフェストによると)取締役会のうち3分の1程度を社外役員とし、外部から経営チェック機能を高める、社外取締役の条件も厳しくする、ということで、民主党は経営体制の強化のために社外取締役の導入義務化を大きな柱とする、とのことであります(ホントでしょうか??)さらに朝日新聞ニュースでは、①公開会社に適用される「特別法」として公開会社法を制定(情報開示・会計監査を強化)、②証券取引等監視委員会を改編して、金融商品取引監視委員会(日本版FSA)の創設、③投資家保護法制の整備(これは現在でも議論されている、「金商法の完成版」としての、いわゆる投資サービス法構想案のことではないでしょうか?)を推進する・・・とありまして、各新聞報道でもいろんな概要が紹介されております。

いろいろと感想はございますが、ちょっと気になりましたのは、従業員代表が監査役会入りへ・・・という報道はありますが、従業員代表が監査役就任へ・・・とは報道されていないところであります。念のため、日本取締役協会で議論されておりました公開会社法要綱案(11案)を確認しておりますが、どこにも従業員代表者が監査役会に参加したり、監査役に就任することは提言されておりませんので、これは民主党プロジェクトチームでの構想案で初めて盛り込まれた内容のようであります。実際に民主党マニフェストを読んでみないとわかりませんが、従業員代表が監査役会に参加することと、監査役に就任することとは相当意味合いが異なってきますし、基本的に監査役自身が独任制機関であることや、監査役会が多数決によって決議を行う機関であることなどから、「特別法」としての公開会社法上の監査役制度にどれだけのインパクトを与えるのかは未知数のところがあると思います。また、東京新聞ニュースによりますと、監査役会に従業員代表の選任を義務付けることとして、監査役制度を強化し、たとえば従業員にとって不利になるような事業売却については行えないようにする・・・とのことであります。しかし、監査役会が(取締役の職務執行に違法性が認められない場合にまで)事業売却に待ったをかけることができる・・・ということは、業務執行の一部を監査役会が担うということでありますから、そもそも監査役監査が違法性監査であること(つまり妥当性監査はできないこと)と、どのように折り合いをつけていくのか、よくわからないところであります。まさかポルシェとワーゲンの監査役会のように、ドイツ型のガバナンスを採用して会社の事業の命運を分けるほどの力が監査役会に付与される、というわけではないですよね?(^^;;

いずれにしましても、中央官庁の方々も戦々恐々とされているでしょうし、どなたか諸事情にお詳しい方がいらっしゃいましたら、なにか情報をお寄せいただけますと幸いです。政権交代劇が起こったとしても、会社法制が大きく変容することにつきましては、まだ私は疑心暗鬼であります。(甘いのかなぁ・・・。今月中にはマニフェストがリリースされるそうですから、早く読んでみたいですね。)

(7月25日 追記)早速、ある方から情報をいただきました。(マニフェスト原案を読まれた方のようです)エントリーでは、「従業員代表が監査役会に参加」と書きましたが、やはり従業員代表が監査役として就任することが記載されているようです。また、どうも議員立法のような形で法案を提出するのではなくて、民主党が公開会社法の基本方針を示して、これを審議する努力義務のようなものを課す方法で検討する・・・ということになるようですね。ということは、会社法制に大きな変革の波が押し寄せる、ということにはならないのでは?と思います。

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2007年4月20日 (金)

公開会社法への道しるべ(3)

(注:備忘録程度の内容です)

本日(4月20日)の日経朝刊によりますと、金融・資本市場改革案(政府の経済財政諮問会議による)の内容が明らかとなり、投資家保護に向け、上場企業にレベルの高い企業統治(ガバナンス)を義務付ける「公開会社法」の策定が提言されたそうです。(要旨は日経ニュースにも掲載されております)金融商品取引法、会社法と「公開会社法」との関係の詳細については、新聞の報道では明らかにされておりません。

やっぱり「公開会社法」(まだWGの中間報告ということらしいのですが)が登場してきましたね。ここで留意すべきは「企業の収益性、効率性向上のための」ガバナンス向上とは記述されておらず、「投資家保護のための」更なるガバナンス強化、と紹介されているところであります。不正取引の禁止や、不正防止のための役員間のけん制する仕組みなどを整えるとのこと。しかし、会社法上の内部統制システムの構築(体制の整備)問題と、公開会社法によるガバナンス強化の概念の関係とか、公開会社の機関設計の強行法規性とか、またいろんな論点が出てくるかもしれません。(紀尾井町さんのコメントと時間的にかぶってしまったようですが、お昼はエントリーの時間が割けないもので、備忘録程度にて失礼します)

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2007年4月17日 (火)

会社法改正待望論?(監査役の権限強化)

(監査法人の内部統制6新たな疑問編では、会計監査責任者の短期交代制を導入することで、その地位の独立性を確保できるのではないか・・・といった自論を書きましたが、なかなか短期交代制は現実的でないことについてcritical-accountingさんよりご意見をいただきました。ご興味のある方は、TBをご参照ください。どうも、ありがとうございます)

また会計監査人の独立性に関わる問題でありますが、昨日(4月16日)の日経スイッチ・オン・マンデー「法務インサイド」では、会計士法改正案の審議入りを前にして、早くも会社法見直しについて、金融審議会・公認会計士制度部会より、強い要望があることについての解説が掲載されておりました。監査法人の体制強化や監査法人に対する監督・責任の見直し、監査人の独立性保障問題などが公認会計士法改正案の制度改革のポイントになるわけでありますが、金融審議会側としましては、会計監査人の独立性確保のためには若干課題が残ってしまったようです。この審議会の協議内容をリアルタイムでフォローされていた方でしたらおわかりのとおり、会計監査人の独立性確保のためには、「連携協調」のパートナーである「監査役」の権限強化(ガバナンス)を図りたかったのでありますが、監査役の権限強化は金融庁というよりも会社法を所轄する法務省マターの問題であるために、独自に機関設計のあり方を定めることができず(金融庁サイドで金融商品取引法を改正しての修正は無理、との意見が多かったようです)、今後の法務省の「会社法改正」に向けた動きに期待せざるをえない、とのことであります。

今回の平成17年会社法改正におきましても、会計監査人の独立性確保のために、監査役(会)の権限としまして、会社提案の会計監査人の報酬決定につき同意権が付与されることになったのでありますが(会社法399条)、単に同意権では足りず、監査役(会)が独自で会計監査人の報酬額を決定できるように(つまり報酬決定権を監査役に付与するように)すべき、との意見が出されるようになりまして、これにより、会計監査人の監査の独立性を補強すべき、とのことのようであります。筑波大学の弥永教授(金融審委員)も、会社法制定以降に会計不祥事が続発していることから、監査役の権限強化の機運が高まっていることも考慮すべき、との意見を述べておられますし、先日ご紹介させていただきました中央大学の大杉教授の「監査役制度改造論」なども含め、多方面から監査役制度のあり方への議論が始まったところではないでしょうか。また、こんな物言いをしてしまうと、またツッコミが入ってしまうかもしれませんが、現実の監査役の姿といいますと、その権限を強化してみましても、果たして独立的立場で経営陣に向かって監視機能を行使できるかどうかきわめて疑問視せざるをえないことも現実であります。したがいまして、この金融審議会の期待(会社法改正待望論)につきましては、監査役制度のガバナンス面の改正とともに、まずもって監査役制度の現実が変わらなければ、本当に会計士の独立性を補強する基礎にはなりえないようにも思われます。(ただ、現実の監査役制度を前にした場合、その独立性確保のために、監査役(会)独自で法務コンサルタントを委託する、といったことも検討されるところでありますが、これはまた別の機会に)

ところで今回の上記「会社法改正待望論」に関する記事を読んでの感想でありますが、「法務省に監査役制度の改正が期待されている」とありますので、会計監査人の独立性の問題は、いわゆる会社法上の会計監査人と監査役との関係に絞った話でありますよね。しかしながら一般投資家保護、といった観点からみますと、監査の独立性確保を目的とした監査法人制度改革を考えるのであれば会社法監査とともに、証取法監査における会計士、監査法人の独立性確保についても検討する必要があるのではないでしょうか。そもそも会社法が今回規定している会計監査人の報酬同意権については、会社法監査についてのお話でありますから、証取法監査における監査人報酬については、監査役の同意権はなんら規定されていないわけであります。(会社法施行規則126条各項が、非監査業務を含めた監査法人の報酬開示ルールを規定しているくらいではないでしょうか)この点、どんなに法務省のほうへボールが投げられてしまっても、そこで改正されたものは、やはり会計監査人に関する規定ということになりますので、証取法監査についての監査報酬は経営陣と監査法人とで定められることに依然として変わりはないはずです。つまり、監査役制度を変容させてみても、それが「監査の独立」に機能するところはごく一部に限定されてしまうのではないか、との素朴な疑問がまたまた出てくるわけであります。このあたりはどのように考えればいいのでしょうかね?それこそ「公開会社法」を定めて、そのなかで企業が監査法人に支払うべきすべての報酬について、監査役が提案権を有する、とすべきなのかもしれません。金融庁と法務省が足並みを揃えて、監査制度のあり方を検討していかねば、監査役と会計士との連携協調がうまく機能しないのではないかと思いますが、どうなんでしょうか。

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2007年2月20日 (火)

公開会社法への道標(その2)

きょうは、意見ではなく、情報のご提供のみで失礼いたします。

(その1)は、昨年5月12日に「公開会社法への道しるべ」といったエントリーをアップしておりましたので、約9ヶ月ぶりの続編アップということです。(そんなエントリーあったのかな?と 笑)(その1)の内容は、いわゆる上場企業におきましては、市場資本主義の興隆とともに「会計士さんの時代」がやってきまして、そのうち会社法と証券取引法が逆転してしまうんではないか、上場企業に法の支配は貫かれるのだろうか・・・といった趣旨のエントリーです。ちょうど、私が大阪弁護士会におきまして会社法研修講座の講演準備をしているときに感じたことをツラツラと書いたものです。そしてひさしぶりに(その2)をアップしようと思いましたのは、会計士さん向け雑誌の3月号に、著名な商法学者の方々の興味深いご意見が掲載されていたからであります。

「会計・監査ジャーナル」3月号の緊急企画「監査不信に立ち向かう公認会計士業界シリーズ第六回 識者に聞く 資本市場における公認会計士の役割とその責任」では、藤沼会長さんと上村教授の対談が実現しているわけでありますが、早稲田大学法学部長の上村先生は上場企業における証券取引法の会社法に対する優越性を強調され、さらに(資本市場をとりまくルールとしては)自主規制のほうが法律よりも重要である、有価証券報告書よりも適時開示のほうが重要である、会計基準はまさにトップクラスの重みがあり、資本市場の中心に公認会計士が存在する時代になる、だからこそその責任も重いのだ、といったお話をされております。現在、上村先生は、日本取締役協会の「公開会社法要綱案」の制定に向けてご尽力されていらっしゃるそうですが、この対談におけるご見解は、おそらくこれまでの上村先生のものとまったくブレがないものと拝察いたします。

いっぽうたいへん気になりましたのが、神田教授の「企業会計」3月号「論壇」における最後のまとめの部分であります。実は、これは立ち読みしかしておらず、前後の文脈まで精読していないのですが、この「まとめ」の部分におきまして、神田先生は上村先生とほぼ同じ趣旨のことをおっしゃってます。(と、私には理解できました。いや、それほど強く、というわけではないと思いますが)公開会社においては、会社法は企業会計基準の前では後退せざるをえない、(法律でいうなら)証券取引法の優越を認めざるを得ない、といった趣旨のことを申されて締めくくっておられます。(もしお手元に企業会計3月号がございましたらご確認ください。)

私はてっきり、いままで神田先生は、こういった考え方をお持ちでないものと勝手に思い込んでおりましたが、やっぱりそのようにお考えになっておられたのでしょうか?昨年のベストセラー「会社法入門」のなかで、神田先生は「会社法はどこへ行こうとしているのか」(第五章)と自問自答されて、コーポレート・ガバナンスに関しては、新会社法は公開会社が日本の資本市場において興隆していくための支援(いわゆる国策法としての会社法)を志向するであろう、といったお考えを開示されておられます。このたびの会社法につきまして、神田先生は、まさに中小企業、ベンチャー企業における株式会社の使い勝手の促進とともに、資本市場を活性化させたり、事業再編を容易化させることによる「公開会社のための会社法」というものを念頭に置かれていたのではないかと思いますので、やはり公開会社におきましても会社法の占める位置はたいへん重要ではないか、すくなくとも会社法>証券取引法とお考えになっているものとばかり理解しておりました。もちろん、証券取引法(金融商品取引法)と会社法との優先関係を議論することが、公開会社にとってどのような実益があるのか、といったことも検証しなければなりませんが、会社法ももうすぐ施行後1年となり、こういった構想も具体的に高名な学者の方々によって議論されるころになってきたのでしょうか。とりあえず、もし上記論稿などお読みの方がいらっしゃいましたら、私の認識の間違い等も含めて、ご感想などお寄せいただけますと幸いです。

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2006年9月27日 (水)

塩崎官房長官と公開会社法制の行方

安部首相誕生と同時に、塩崎恭久氏が官房長官に就任されました。(たしかご子息は東京の大手法律事務所で弁護士をされていますよね)昨年、ある会合で一度だけ、塩崎センセイとお会いした(といいましても、1分くらいの立ち話ですが)ことがありますが、日銀ご出身のスマートさと共に、精力的で、朗らかで、「ひとりで4人分くらいの仕事しているんじゃないのかなぁ」と思わず驚嘆した記憶があります。おそらく世間の関心は、拉致問題担当のほうにあるのではないか、と思いますが、私も一昨年くらいから、ずっと塩崎氏の発言をフォローしてきました。(関連エントリーはこちらです。もう1年ほど前のエントリーですが)私は拉致問題担当というよりも、この方の会社法制、会計制度へのグローバルな考え方にたいへん興味を抱いておりまして、安部首相とも非常に近い関係にあり、かつ官房長官といった地位からしても、今後ますます日本の公開会社法制度が、この方の考え方に近い方向へ動き出すのではないかといった予感がいたします。そもそも、新会社法の要綱試案には「内部統制」といった言葉はどこにもなかったわけでして、この方が委員長を務めておられた委員会からの提言によって、ある時期の法制審議会で、ほぼ異論のないままにサクっと、「内部統制の会社法における規定化」が導入されてしまった経緯もあります。(これは旬刊商事法務で、江頭教授の論稿を読んで知りました)

政治が法律の世界に力を持つことの是非はともかく、この塩崎新官房長官のHPにおける政策提言(我が国の企業統治、企業会計制度のさらなる強化に向けて    リーダーシップを持つオープンな日本へ)などを読んで、今後の公開会社法制の行方をうらなってみると・・・・・・・・・・・

上場企業における「財務情報の信頼性確保のための内部統制報告実務」の充実が急務、ただし、最近は国際会計基準の統一(コンバージェンス)のほうが、もっと急務になってきたんじゃないでしょうか。

企業情報開示の重要性とりわけ不正会計を厳しく取り締まるため、監査法人改革、日本版SEC創設、刑罰の厳格化。証券取引所の自主規制機能の強化充実。

コーポレート・ガバナンス改革。とりわけ社外取締役、社外監査役の独立性強化、監査役、監査委員の財務会計知見の要件強化。

結局のところ、東京を国際的な資本市場として発展させるための諸策については、積極的に実現させる方向に動き出したようでありまして、今後も公開会社法制に関する制度改革が進むものと予想しております。このブログでも何度も自説を述べておりますが、これからは「会計の時代」、会計士の皆様からはよくご批判を受けるところでありますが、いわゆる会計監査人による不正発見の権利と義務、という問題も現実化してくるのではないでしょうか。(いえ、あくまで私ひとりの感想ではございますが・・・・・)

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2006年5月12日 (金)

「公開会社法」への道しるべ

会社法の講演をさせていただいて幸運だったことは、講演のためのいろいろな調査研究をしているうちに(といいましても仕事を抱えながらですから、そんなにたいしたことはできませんでしたが)、会社法の条文や制度趣旨だけでなく、これからの「会社法のたどる道」に関して、あれこれと考えることができたことでしょうか。

ここのところの中央青山監査法人に対する金融庁の行政処分や、それに続く実務界の混乱ぶりをみておりますと、どうも自民党の政務調査会、金融調査会、法務部会の合同小委員会が提言した内容のとおりに、会社法制が動いているような気がします。気になる提言といいますのは、平成17年10月21日にだされました「わが国の企業統治、会計監査制度等のさらなる強化に向けて」と平成16年12月17日に出されました「最近の資本市場、コーポレートガバナンスの諸問題に関する中間論点整理」のふたつであります。(塩崎センセイのHPからの引用になっておりますが他意はございません。ただ、ほかのところから引用できなかっただけであります。塩崎センセイは大阪の若手経営者育成に尽力されておられまして、これからも竹島問題などでバンバン頑張っていただきたいと思っております。ただ当時の小委員会委員長という立場ですんで、自らのHPで提言内容を公開されていらっしゃるんだと思います)

これらの提言によって、実際に会社法の要綱試案にもなかった内部統制システム構築(取締役等の職務の執行の適正を確保するための体制整備事項の決定)に関する規程が会社法に盛り込まれたことは有名な話でありますが、それ以外にも会計監査人の独立性確保に関する公認会計士協会の自主規制や、有価証券報告書への虚偽記載の厳罰化(これは改正証券取引法)、監査の品質管理の重要性を第一に考えた「監査法人の内部統制の不備を理由とした」金融庁の業務停止処分、監査法人の内部統制状況の監査役への報告義務(会社計算規則)、そして社外監査役の属性、とりわけ「財政または会計に関する知見の有無」の事業報告書における開示など、数え上げるときりがないほどに、会社法の実務への運用方針に多大な影響を与えているのは間違いないと思います。さらに、まだ導入はされておりませんが、会計監査人に「不正発見義務」を負担させる旨の提言がなされており、その適用の前提としての監査法人自身への刑罰の適用問題と、このたびの厳罰化(行政処分という意味ではありますが)といった現実が、まさに「会計士さんたちの倫理の法制化」へと向かう道の途上にあることを物語っているように思えてなりません。もちろん、そういった誠実義務が課されるぶん、会計士監査の報酬の適正化も盛り込まれております。

そして、これらの提言内容をみて、一番驚くのは「会社法」から「公開会社法」を分離して、これまでの商法ではなく、証券取引法を根本とした法律の制定が最終目標のように提言されております。先日、商事法務のコラム「スクランブル」をこのブログでも取り上げまして、スクランブルの筆者の方は、証券取引法の改正によって、実はこれまでの会社法の基本方針として規程されていた諸制度が変容されていくのではないか、との危惧を抱いておられ、私も同じようなことを考えておりました。そうなってきますと、今後の会社情報の一般投資家への開示はさらに重要性を増してゆき、提言にあるとおり、監査役と会計監査人との連携、強調の必要性が増すために、提言どおり「監査役には財政、会計等の専門的知見を有するもののみ就任できる」といった結論に至るような気がいたします。

昨日の私の講演でも同業者の方々に申し上げましたが、果たしてこういった新会社法の目指す方向を、われわれ法曹がどう考えたらよいのか。株式を公開している会社の「法の支配」はいったいどのように考えるべきなのか。どこで法の支配を貫けばよいのか。日々の業務に追われて、会社法の解釈ばかりに目を向けておりますと、まだまだ会社法そのものがどこかへ動き出していく、その胎動を見過ごしてしまわないものか、講演の準備などをしておりまして、懸念するところが大きくなってきました。この「公開会社法への道しるべ」シリーズ、これからも折に触れて書き連ねていきたいと思っております。

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