2024年10月29日 (火)

オリンパスCEOの違法薬物疑惑とコンダクトリスク(31日追記あり)

上場企業の現役社長の薬物疑惑(自ら会社に報告して辞任)といえば昨年の4月ころに一件ありましたが(東証グロース企業)、10月28日の各メディアが、オリンパス社のCEOによる違法薬物購入疑惑を報じており、疑惑のCEOは辞任されたそうです(たとえば朝日新聞ニュースはこちらです。取締役、代表執行役社長、指名委員の役職全てを辞任とのこと)。あくまでも「薬物疑惑」でありますが、オリンパスとしては捜査機関の捜査に全面的に協力することをリリースしています。なお、取締役会は社内調査の結果を受けて、企業理念に反する行動があったとして辞任を要求した(同CEOもこれに応じた)そうです。

同社のHPには、オリンパス行動規範とともに、同CEOのメッセージが以下のとおり記されています。世界有数の医療機器メーカーのトップによる薬物疑惑はかなり大きなイメージダウンです。

・患者さんの安全以上に重要なものはなく、私たちは患者さんの健康と安全の実現に全力を注がなければなりません。品質、患者さんの安全、そして適用される法規制の遵守は、私たち一人ひとりの責任です

・行動規範について質問がある場合、また、何か不安や懸念がある場合は、信頼できるマネージャーや人事、法務、GRC/コンプライアンス部門の担当者にいつでも相談してください。また、オリンパスインテグリティラインを利用することもできます。

今年9月に会社側からの相談を契機として警察も捜査をしているそうですが、現時点で薬物が押収されたわけでもなく、ひょっとすると今後不起訴処分となる可能性もあります。そこで「違法行為が確定していない現時点で辞任要求?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、たとえ薬物使用や所持の疑惑がグレーのままだとしても、おそらく薬物所持・使用を疑われる行動があったとすれば、同社の取締役会は「(当該疑惑を生む行為自体が)世界中の人たちの健康を推進する企業のトップが遵守すべきコンダクトに反する」と判断して辞任要求に至った、ということだと推測いたします。

昨日のエントリーでも触れたセクハラ対応もそうですが、たとえセクハラが認められなくても、そもそもセクハラと疑われるような行動があったとすれば、それは企業理念や企業行動規範に反する行為と評価され、懲戒規定上の「当社の役職員としての品位を害する行為」があったとして懲戒処分等の対象(役員の場合には辞任要求等)になることが多いですね。最近は大規模上場企業を中心に「役員行動規範」を別途策定して「社員よりも役員は高い倫理規範が適用される」として処分の対象となるケースもみられます。

そういえば、反社会的勢力と認定できない人(もしくは団体)と親密な交際をしていた社長さんが、「(たとえ反社と認定できないとしても)世間から反社会的勢力と疑われている(噂されている)人と経営トップとの交際が会社のレピュテーションリスクを顕在化させる」として、社外監査役さんからの辞任要求は適切だったとした判決もありました(たとえばこちらのエントリー「富士通元社長事件判決と上場会社の反社対応実務への影響」参照)。

オリンパスのリリースでは「通報をきっかけに社内調査が始まった」とありますが、この「通報」は内部通報(オリンパスインテグリティライン)なのか、それとも外部への情報提供があり、調査要請がなされたのかはわかりません。ただ、過去には内部通報者(H氏)や内部告発者(W氏)への不適切対応で大きな問題を発生させた企業なので、今回こそ自浄作用が発揮されたものと期待したいです。

(10月31日追記)すでにご承知の方も多いと思いますが、週刊文春デジタルにて驚愕の報道がなされています。1年8カ月も前から文春は取材を続けていたのですね。事実関係からすると、コカインとMDの売人から社内に通報があったということなので、オリンパスとしては「自浄作用を発揮したとは評価できない」ことだけお伝えしておきます。

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2017年2月20日 (月)

デジタル運用広告の「危うさ」と広告代理店における財務報告の信頼性

昨年12月7日のエントリー「電通事件-真綿で首を絞めるソフトローの実効性(プレッシャー)」におきまして、私は以下のとおり素朴な疑問を呈しました。いずれこの広告代理店業界におけるグレーな領域は、コンプライアンス問題の火種になるのではないかと予想していましたが、ようやく大手新聞も問題視するに至ったようです。

そしてもうひとつは広告料の不適切問題です。米国広告主協会が電通の不適切広告を広く紹介していますが、そうであるならば日本の広告主協会(日本アドバタイザーズ協会)も、そろそろ電通さん含め、大手広告代理店のデジタル広告に関する調査を開始しているのではないかと推測いたします。業界団体ではなく、広告主さんの団体ではありますが、電通さんを含め、広告代理店業界の自主規制を要望するようなことはないのでしょうか?

土曜日(2月18日)の読売新聞一面トップと社会面にて、いよいよ「ネット広告閲覧水増し」と題する特集記事が掲載されました。米国アドバタイザーズ協会の調べでは、昨年1年間で広告詐欺は8100億円(!)にも上るそうですが、やはり日本でも同様の調査が行われていたのですね。日本のIT企業を主体とした調査によると、国内で100億円以上のデジタル広告における被害額が判明したそうです。広告主は知らないうちに、過大な広告請求を受けていたことになります。

電通さんは先日、デジタル運用広告の掲載数を自動でカウントできるような仕組みを今後導入する、とリリースされていましたが、たとえ掲載されたとしても、(一瞬で消えてしまうものも含まれているそうなので)人間が一般に認識しうるような形で掲載されたのかどうか、どのように確認するのでしょうか。また広告に対するクリックの自動操作という不正をチェックする仕組みは作成できるのでしょうか。いずれにしましても、ネット広告が売上の相当部分を占めるようになってきた大手広告代理店にとって、デジタル運用広告の正確なカウントは財務報告の信頼性に関わる大問題になりつつあると思います。

電通さんの場合には、自社でネット広告をチェックする社員を抱えていますが、そもそもコンプライアンスの視点からすれば、「こんな危ない業務は下請けに丸投げするほうがよい」と考えるところも出てくるのではないでしょうか(もちろん、そのような発想自体がひとつのコンプライアンス上の問題ですが)。となると、監査の対象も下請け先事業者に向かうことになりそうです。しかしながら単価の安いデジタル運用広告の掲載回数チェックとなれば、下請け業者の社員の方々にとってはとてつもなく労働時間を要し、今度は労基法違反リスクを抱えるというジレンマに陥ります。

日本アドバタイザーズ協会役員の方が述べておられるように、今後はデジタル運用型広告の自動カウントシステムの仕組みを(業界あげて)早急に構築しなければ、財務報告の信頼性を毀損することになってしまうでしょう。「下請けに丸投げして一件落着」といったことで回避することはできないコンプライアンス問題に発展するように思えます。

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2017年2月14日 (火)

マスコミ単独のスクープ記事から「企業不祥事」は生まれるか?

週刊ダイヤモンド最新号(2月18日号)の特集に、JAに近い京都の米卸会社による偽装米疑惑に関する告発スクープ記事が掲載されています。お米のブランドは高い品質管理の上に成り立っていますので、もし疑惑が真実だとすればたいへんな事件です。また、だからこそ疑惑を報じられた京都の会社はHPで「ダイヤモンドを刑事告訴し、名誉回復のために民事訴訟を提起する」と宣言しています。WEBニュースではなく、詳細な雑誌記事のほうで確認しましたが、ダイヤモンドさんは農業特集の記事を探している中で、この会社の疑惑を知ったようです。不正競争防止法違反に関連する「公益通報」があったのかどうかはわかりません。

前にも書きましたが、私も性能偽装事件の告発側に関与し、某経済雑誌の告発スクープネタを提供することになりました(もちろん会社側からへの取材に基づく反論も掲載されていました。ネット記事が掲載されたときは、やはりドキドキしたことを憶えています)。スクープ記事が発端となって、業界1位の某メーカーさんが企業不祥事に飲み込まれるものと想定していました。しかし、大手新聞社、通信社、経済雑誌含め、他のマスコミはどこも追随する記事を出さないまま、ひっそりと、その性能偽装疑惑は風化していきました。ちなみに会社側からは刑事告訴をした、民事賠償請求をした、という話は一切ありませんでした。

企業不正が、世間を騒がせる、いわゆる「企業不祥事」に発展するためには、複数のメディアが動く必要がありますが、単独スクープというのは、どうも他のメディアが「乗らない」ように思います。たとえば海外のメディアが独自に調査して発覚する、監督官庁が別ルートの告発によって強制調査に動く、SNSでの盛り上がりをメディアが同時に取り上げる、といったことがないと、記者の正義感だけでは事件の発展にはつながらないのではないかと。後は最近の文春記事のように、相手の反論を前提に、第2弾、第3弾の証拠を出してくる、といったことで社会的関心を高めるという手法がありますが、これは内部告発でもないとなかなか難しいですね。

この事件はどちらに転ぶのかはわかりませんが、もし不祥事発覚ということになれば、何が「企業不祥事」に発展させたのか、後押しするものは何か、企業の不正リスク管理の見地からは大きな教訓になりますし、またもし不祥事発覚に至らなければ、不祥事風評による企業の社会的信用毀損の重大性を認識する教訓になります。ただ、個人的な感想としては、報じられている内容が真実ならば間違いなく刑事事件に発展するような不正なので、ダイヤモンドさんはかなり周到な準備をして記事をアップされたのではないかと予想します。

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2016年7月12日 (火)

企業不正に立ちはだかる司法の壁(限界?)と行政当局の対応

7月8日の日経、朝日等の朝刊において、捜査当局は東芝会計不祥事に関する経営トップの刑事責任追及を見送る公算が強くなった、と報じられていました(朝日の社会面の記事が詳しいようです)。とりわけ朝日新聞の記事で印象的なのは、金融庁(証券取引等監視委員会)はなんとかPC部品取引(バイセル取引)に関して刑事立件をしたかったのですが、地検が慎重な判断を崩さず立件を断念したという内部事情です。

経済的合理性はどうであれ、実際に部品取引の事実は実在していたことや、他社でも同様の取引が行われていたこと等から、利益の水増しが多額ではあるが経営トップ個人の刑事責任は問えないと検察が判断したとのこと。検察では、ちょうど8年前の長銀事件最高裁無罪判決の論旨が今も生き続けているのではないでしょうか。

昨年5月、エディオンさんの営業秘密を取得したとして営業秘密侵害の件(不正競争防止法違反)で書類送検されていた法人としての上新電機さんですが、こちらも大阪地検は秘密取得に上新さんの役員が関与していたことは認められず、また再発防止策も真摯に実施しているとのことで立件を断念したことがマスコミ(産経新聞)で報じられていました。最近の企業不祥事は、経営者のプレッシャーに耐えかねて現場責任者(担当部署)が不正に走ってしまったことが発端とされるケースが目立ちます。本当にそうなのか、経営トップの不正指示や不正容認が立証できないにすぎないのかは不明ですが、いずれにしましても組織のトップの不正関与を立件することには厚い司法の壁が横たわっていることは間違いありません。

このような事態に対して、今後は検察も平成28年改正刑事訴訟法における司法取引制度(合意制度)、刑事免責制度などを活用して「経営トップの関与」に切り込むことが予想されますが、その適用範囲はかなり限定されていますし、刑事裁判官が司法取引(合意)による供述(録取書)にどのような心証を得るのかは未知数です。そこで、金融庁や経産省等、企業規制を担う行政当局からは、「司法判断はあまりにも遅くて成長戦略の遂行のための規範としては使いにくい」「裁判例はとてもわかりにくくて、経済活動における予測可能性を判断するためには役に立たない」といった声も聞こえてきます。

私は法律家の視点から、経営者が(善管注意義務違反を含めた)不正リスクを低減させるためには、司法判断を尊重した上での「健全なリスクテイク」が必要だと考えています。先日のジュピターテレコム事件最高裁決定(7月1日第一小法廷)のように、取締役の重要な経営判断時における予測可能性に最大限配慮する姿勢が司法判断に出てきたり、事実上法務省管轄で行われている会社法改正審議(会社法研究会での審議)で濫用防止のための株主権制限等を法文化して事業の効率性に資する会社法を検討する等、司法の世界も一定の努力をしています。

しかしながら、どうも世間の認識とはズレがあるように感じます。コーポレートガバナンス・コードも、いわば取締役の善管注意義務違反の有無を予測するためのモノサシとしての役割が期待されていますし(コード案の「考え方」参照)、平成26年の金商法改正の際に、金融庁から提案された「(法人の有価証券報告書虚偽記載賠償責任の過失責任化に伴う)過失の客観化」についても今後「民間エンフォースメント」として検討されることが予想されます。

経産省の研究会における会社法解釈指針の策定やモデル事例の紹介も、できるかぎり裁判所の法的判断を認識可能なものにしたい意向があるように感じます。また独禁法違反や不正競争防止法違反の規制については民々による紛争解決を活用する姿勢が顕著にみられるようになりました(たとえばエディオンさんは、法人としての上新電機さんに対して、今年5月、営業秘密侵害による損害賠償請求訴訟を提起しています)。これも民間エンフォースメントの活用です。企業に求められている不正リスクの低減化は、シロクロをつけることを民間活力に担わせることと同時に、行政規制や自主ルールの権威を高めて、(他の会社に妥当するかどうかは二の次で)自社の事業遂行に必要な範囲でのグレーゾーンを排除することに求められているようです。

会社法や金商法、不正競争防止法等、それぞれ所轄する各省庁の足並みが揃うのかどうかはわかりませんが、アベノミクスの成長戦略を推進するための企業規制の流れは止まらないものと思います。法律以外のエンフォースメントを多用して、各省庁が「あるべき企業規制」を模索する中で、各企業はどのように不正リスクを低減させて社会的信用を維持、向上させていくべきか検討することが急務だと考えます(この点につきまして、私なりの腹案は持っておりますが、それはまた別の機会に述べたいと思います)。

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2013年8月 5日 (月)

スクープは規範意識を麻痺させる-関西TVインタビュー偽装事件

すでにご承知の方もいらっしゃると思いますが、関西テレビの夕方のローカル番組『スーパーニュースアンカー』が2012年11月30日に放送した「大阪市職員 兼業の実態」という特集企画で、市職員に禁止されている「兼業」について証言した内部告発者のモザイク映像が、取材スタッフを使って偽装した映像であり、さらに新聞報道で発覚するまで3か月余りも視聴者に説明していませんでした。この事案について、放送倫理検証委員会が8月2日に委員会決定を公表しています(BPOのリリースはこちら)。決定報告書はとても読みやすく、コンプライアンス経営を学ぶ上で参考になるところが多いものであり、(それほど長いものではありませんので)ご一読をお勧めします。

同委員会は、社内でのチェックが機能せず問題のインタビュー映像を放送してしまったこと、問題発覚後これを視聴者に伝えない決定をしたことの2点について、放送倫理に違反すると判断しました。そのうえで、今回の問題の本質は、関西テレビがいう「不適切な映像表現」ではなく、テレビを信じてモザイク映像の放送を視ている者の信頼を裏切るような「許されない映像」が放送されたことにあると指摘しています。このあたりはなかなか厳しい決定内容です。

取材スタッフの後姿を(あたかも告発者本人であるかのように)撮影したカメラマンが、この問題を社内で報告した後、報道関係の責任者も交えて公表の有無が議論されたわけですが、結局のところ公表の必要性なし、というのが関西テレビ社内での決定だったそうです。この点は、関西テレビの組織独特のものではなく、こういった有事に至った組織ではすべての関係者の心にバイアスが働くものと思います。平時に冷静な頭で考えれば「これは視聴者の視点であれば裏切り行為だ、すぐに謝罪し、説明のための番組を編成すべきだ」ということになると思います。しかしながら有事に直面し、「これが表沙汰になったら、『あるある大事典事件』の二の舞になってしまう。これまで以上に批判されてしまう」という気持ちが組織の構成員の心を支配するようになると、冷静な判断を欠き、どうしても公表しないでよい理由ばかりに重きが置かれます(どのような正当化理由に重きが置かれたかは報告書をお読みいただければおわかりになると思います)。これは(毎度申し上げるところですが)関西テレビ特有の悪しき組織風土ではなく、有事に至った組織であればどこでも起こりうる集団心理のなせる業です。

さらに、委員会決定の報告内容によると、なぜこのようなインタビュー偽装を現場社員(P記者)が決行してしまったのか、という点について、委員会は以下のように指摘しています。つまり、現場を任されたのは入社5年目の若い社員であり、報道関係者としてのあるべき行動規範や「別人を撮影するこわさ」について、ベテランから十分な知見を受けていなかったがゆえの出来事だったと結論つけています。若さゆえの経験不足に焦点をあてているようです。だからこそ、番組収録から放送日までの社内におけるチェックシステム(社内のサポート体制)を問題視しているようです。

しかし、このインタビュー偽装事件は本当に現場社員であるP記者が経験不足であるがゆえに起きたのでしょうか?私はこの偽装事件が起きた本当の理由は、もっと他のところにあるように感じました。というのも、この「大阪市職員、兼業の実態」という企画は、関西テレビにとってスクープだったからではないかと。だからこそ、番組収録後、報道責任者はこの企画を(ローカル番組だけではなく)全国ネットで放映する価値がある、と判断し、実際に全国ネットで放送されています。

つまり、この若手社員にとっては、日々の普通の取材における普通の収録であれば、「いくら声が本人でも、他人を撮影するのはマズイだろう」ということで、他の手法を考えていたのではないでしょうか(現に、今回もこの現場社員は番組収録直後から悩んでいます)。社会正義に由来するマスコミ人としての気持ちからか、あるいは自分自身の仕事の名声を上げるためだったのかはわかりませんが、自身が手掛けた企画が「スクープ」として大きな価値があったからこそ、心の規範意識が曇ったのではないでしょうか。そうであるならば、これは若いがゆえに、経験不足であるがゆえに、というものではなく、ベテランの社員であっても十分に起こりうる不祥事ではないかと思います。

許される演出と許されない誇張表現・・・・、この境界は極めてあいまいです。現場の記者にとっては、全国ネットで取り上げられるほどのスクープネタであったことが、心の規範意識を緩めてしまい、「許される演出」と「許されない誇張表現」の境界線を超えてしまった・・・というのが本当の原因ではないでしょうか。こういった心の動揺があれば、同じ人間でも、この境界を超えてしまうことは、かつてのあるある大事典事件でも番組制作会社が経験したところです。もし過去の教訓が生かされていなかったとすれば、むしろこういったところにあるのではないでしょうか。

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2013年4月10日 (水)

グーグル型コンプライアンス経営は日本企業に根付くのか?

前から読もう読もうと思っておりましたが、ようやく商事法務NBLの新春座談会記事「持続的成長を支える新しい市場規律とその担い手」(NBL992,993,994号)を読み進めることができました。まだ半分程度ではありますが、いやいや、これは非常におもしろい座談会であり、企業コンプライアンスに関心がある方には必読ではないかと思います(人選もなかなかスゴイ!)。ただ、NBLは一般の書店では購入できないので入手困難なのが難点です。いっそのこと、私が司会をした前年度の新春座談会の記事と合わせて一冊の本にしたほうが良いかもしれません(ずいぶん勝手な物言いですが)。

ひとつひとつのテーマに反応しすぎてしまって、なかなか前に進まないのでありますが、ひとつだけ本日ご紹介したいのは、グーグル型コンプライアンス経営のお話であります。グーグルのストリートビュー判決とコンプガチャ事件に関連した話題の中で、たいへん興味深いお話が花王のコンプライアンス部門統括執行役員の方から語られます。

伝統的な日本企業は、ともすればスピードに欠けるとか、ディシジョンができないなどと揶揄されることもあります。われわれ日本企業は、なにか新しいサービスなりを展開しようというときに、ストリートビューにおけるグーグルのような、トライ&エラーを続けてブラッシュアップしていくという手法ではなく、先に行政に十分時間をかけて確認してから進めていくという手法をとりがちです。・・・きちんと考えた上でトライ&エラーをしていくグーグルの手法と、日本企業の従来型の手法、これらはなかなかおもしろい比較だと思いますし、われわれはそういうところで負けている部分があるのではないかと思いました。

これは私も全く同感でして、いろいろなコンプライアンスセミナーでも申し上げているテーマであります。私はこれを事後規制手法重視に進む日本社会において、これに順応できない日本企業の在り方として位置付けています。なお、ときどき日本の新興企業の中には、経営トップの方針としてグーグル型(トライ&エラー型)のリスク管理手法により、スピード経営を実現しているところもあるように思います。

ただ、私個人の意見としましては、このグーグル型の経営手法を日本企業が実現する場合、以下のような条件をクリアすることが必要ではないかと思っております。ひとつは経営判断の意思決定の前に十分なリスク管理ができていること。この座談会の真ん中あたりでも話題になるのですが、リスク管理というのは経営判断と分離されているのではなく、その判断プロセスに組み込まれているはずです(リスクとリターンは表裏の関係にあるわけですから、むしろ当然のことかと)。そこではガチガチのリスク管理ではなく、経営トップ自身がどの程度の想像力をもってリスクを想定できるのか、というところにかかっているわけで、あらかじめリスクを想定できているからこそ、進みながら修正ができる、ということであります。

つぎにリスクが想定できているとしても、誰が「修正すべき」と口に出すのか?という点であります。リスクを想定しているのが経営トップだとしても、トップは自ら経営判断を決定したのであり、すでに心のバイアスがかかっているわけです。自らの経営判断が間違っていたと認めることは、自分の職業人生を否定するに等しいと感じておられるわけで、これは容易なことではありません。あらかじめ撤退や修正の条件を明確に定めておく、という手法も考えられますが、想定しえない状況が出現する場合にはあまり役に立たないこともあります。そこで、経営者に「これはエラーです。修正しましょう」と誰が口に出して言えるのか、ここがとても日本企業においてハードルが高いのではないかと思います。

そして最後に「トライ&エラーの手法は闘うコンプライアンスである」ということです。おそらくコンプライアンスを走りながら考える、というのは企業のレピュテーションリスクを新たに背負う可能性が否めません。全くの法令違反行為は論外ですが、企業がグレーゾーンをあえて渡るということは「金儲け第一主義の会社」とか「やったもん勝ちという企業風土」といった悪評が立つ可能性があります。世論や業界常識に反する行動は、たしかに企業の社会的信用を毀損させてしまうリスクを伴う可能性があり、だからこそ世論や業界の常識そして行政の伝統的なルールまでをも変えて、自らが世界標準を構築するだけの気概を持たなければならないと思われます。

この座談会でも現役官僚の方が「最近は行政の不作為について責任を問われる時代」と述べています。企業がトライ&エラーによってコンプライアンス経営を実現するためには、この行政規制の実効性を損なわずにいかにトライしていくか、そのあたりが問われるのではないでしょうか(この座談会は、最近のコンプライアンスネタを考えるにあたり、さまざまなヒントが語られておりますので、折に触れて続編を書かせていただこうかと思っております)。

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2006年5月27日 (土)

ふたたび「グレーゾーン」とは・・・

今日(5月26日)は日弁連の定期総会に出席するため、さきほどまで岡山におりまして、名物の「ばらずし」(ちらし寿司とはちょっと違う)を堪能して帰ってきました。今日の日弁連総会でも「グレーゾーン金利撤廃賛成決議」がほぼ全会一致で可決されましたが、きょうの話はこのサラ金の「グレーゾーン」ではなくて、(前にも一度議論させていただきましたが)会社法や証券取引法にからむ「違法ではないが、不公正と思われる行為」のほうのグレーゾーンのことであります。とりわけ、最近金融商品取引法案(現在、参議院で審議中)の中身を少しばかり勉強しておりまして、(といいましても、「辰のお年ごさん」クラスのようなご専門の方からみれば、恥ずかしい程度なのですが)その骨格はほぼ現行の証券取引法と変わらないのではないか、と思っておりますが、やはり「業者ルール」を金融商品に対して横断的に適用させる必要があることから、ずいぶんと「有価証券」概念、「金融商品」概念、「金融指標」概念が柔軟化して定められております。また行為規範のところも、客体を「プロ」と「アマ」に分類することから、一律の行為規範の適用ではなく、客体によって柔軟に対応できるような規定になっているようで、おそらく金融商品取引法それ自体をみても、どういった行為が違法となるのか、適法となるのかよくわからないところが多いんじゃないでしょうか。結局のところ、業者対投資家(一般市民)との間における取引ルールや、業者間のルール(取引や公開買付などの開示ルールを含む)といったことは、法を離れて、業界の慣行とか、自主規制機関の判断とか、業界団体のマニュアルのようなものによって「グレーなのか、シロなのか」を決しなければいけない領域というものが法改正後もたくさん存在するような気がします。

会社法に関しましても、先日ご紹介した法律時報の「座談会記事」や、6月1日号の旬刊経理情報の巻頭コラム(落合誠一教授による)を読んでおりますと、「違法」「適法」でなく、会社を取り巻くステークホルダーの行為や会社自身の行為が「公正か不公正か」といった問題が今後いろいろな場面で議論の対象になることが有識者の間でも予想されていることがわかります。会社法で明文上禁止されていないから「だいじょうぶ」とまでは言えなくて、たしかに明文上はオッケーのようだけれども、その行為の社会的な意味をよく考えてみると、不公正ではないか・・・・・、不公正と判断される以上は法律のうえでもなんらかの不利益を甘受してしかるべきではないか・・・・・、といった考え方の可否を、どっかで一度検討してみる価値はあるのではないかと思います。とりわけ「大きな政府」から「小さな政府」へといった規制緩和の進む社会を前提としますと、原則的には事前規制が撤廃される(もしくは曖昧化される)ことが多くなるわけで、そこに自主規制とか、委任の趣旨がよくわからない政令とか、業界団体マニュアルといった統制方法が介入する余地も多くなりそうでして、そういったものに安易に頼っていれば企業行動やステークホルダーの行動が「公正」か「不公正」かを明確化できるように錯覚してしまう可能性もあるわけです。

そこで法の適用される全ての社会ということではなく、競争によって収益を上げ続けなければならない会社といったものを前提に「公正か不公正か」の判断基準を考えてみますと、そこにはふたつの大きな仕分けができるのではないでしょうか。ひとつは会社の効率化(経済的効率)からみる基準と、もうひとつは社会的責任といいますか、他人との共存を前提とした会社の倫理面からみる基準に分けて検討する必要があるように思います。

たとえば、私がいまたいへん興味をもっております「内部統制」につきましても、ちょっと前まではSOX法404条の適用といったものが「財務報告の信頼性確保のため、企業不祥事防止のための画期的な手法」と信じられていたところですが、すでに本場アメリカでは、とても大部分の公開企業ではコスト的に支えることのできない制度であることが理解されはじめてきました。株主への利益還元の機会を奪ってまでも財務報告の信頼性確保の施策を講じることは、やはり経済的な効率といった面からも、また倫理的な面からも不公正だと評価されるかもしれません。また日本におきましても、経営陣に内部統制の重要性を気づかせることはなんら非難されることではなく、それは素晴らしいことだとは思いますが、会計監査人に評価される指針を一律に公開企業に適用させるために、その統制システムの構築を強制することが、はたして先の判断基準に照らして公正といえるかどうかは、まだ議論の余地があるような気がしています。

法律家が議論する実益のあるものとしての「グレーゾーン」とは何か、もしグレーゾーンがあるとして、シロかグレーかは誰が判断するのか、その判断はどんな構成要素によって変わりうるのか、それとも時代が変わっても、いったん誰かが「グレー」と言い出したら変わるのは困難なのか。ホント、こういった問題をきちんとどっかで考えてみると、事後規制時代における企業のリスク管理の研究にも大きな功績を残すのではないでしょうか。

※話は変わりますが、厚生労働省からたいへん興味深い報告書が出ております。

投資ファンド等により買収された企業の労使関係に関する研究会報告書

私のごく近くに、この問題にたいへん造詣の深い弁護士がおりますので、また彼の意見なども参考にしてじっくり考えてみたいと思います。

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