2010年7月 5日 (月)

ドラマ「鉄の骨」(第1回)-談合はなくならない?

ふだんあまりテレビで連続ドラマをみることはないのですが、7月3日からスタートしたNHKドラマ「鉄の骨」は楽しめました。以前視ていた「ドラマ・監査法人」によく雰囲気が似ていると思っていたら、同じNHK名古屋局制作だったのですね。

5代目のぼんぼん社長が経営トップに就いている中堅ゼネコンを舞台にしたドラマであります。同社建築課に勤務していた若い社員(主人公)が、経営環境の悪化によって、営業(土木課)に配置転換となるわけですが、そこで公共工事入札における談合を目の当たりにします。「このビルはお父さんが建てたんだよ」と子供に誇れるような仕事(いわゆる建築課の仕事)は、実は土木課(営業)におけるドロドロとした暗闇の仕事のうえで成り立っていたことを知り、悩みながらも同社の一社員として、仕事を獲得すべく尽力する姿が描かれております(全5回だそうです)。「国土建設省」OBの天下り社員(顧問など)をベテランの役者さん方が演じておられるので、政・官・民の癒着・・・というあたりも中心テーマとなっているようです。リアルに「内部告発」がマスコミに届けられて入札が延期されたりもします。おそらく第2話以降は、なんとか安値で入札に成功したところ、今度は下請けに安値で業務を委託せざるをえない状況となって、手抜き工事が行われ、この対応に苦慮する姿なども映し出されるのではないかと予想しております。ドラマは2005年ころの話ですから、独禁法改正によるリーニエンシー(自主申告に伴う課徴金減免制度)にまつわる話などは登場しないものと思われます。

6月30日に公正取引委員会のHPで公表されております「独禁法コンプライアンスへの企業の取組み」などを読んでおりましても、たとえば談合を未然に防止する対策、談合を早期に発見する対策、談合が発覚した場面における企業の対応策、といったあたりは、とても有益な検討がなされており、独禁法関連以外のコンプライアンスにも参考になります。しかし、これらは「談合は当然に犯罪である」ということを前提としての「コンプライアンス上の」取組みでありまして、なぜ談合が悪いのか?自由競争によって安値で落札したゼネコンの先には(当然のこととして)下請けいじめと手抜き工事があり、これによって談合を禁じる以上の国民の犠牲が生じるのではないか?といったあたりの根本的な疑問は十分に議論されているのでしょうか。このあたりが十分に議論されなければ、経営者から社員に対する「談合決別宣言」や「コンプライアンス研修」の本気度は伝わらないような気がいたします。(その結果として、社員→経営者という情報の自由度が確保されず、いつまでたっても談合情報の滞留はなくならない)

2006年の「月刊監査役」に私が書評を書かせていただいた「談合はなくなる-生まれ変わる建設産業」(DANGOをなくす会 編)という本がありますが、この本は談合が及ぼす社会的影響、経済的影響を分析して、とりわけ官製談合の悪質性について論証されており、また「手抜き工事」を助長するおそれのある自由競争入札の弊害を、いかにして防止するか、といったあたりの具体的な提案が豊富に紹介されており「談合は決して『必要悪』ではない」とする立場から、地に足のついた議論をするための参考となります。このNHKのドラマなども、単に談合参加者を「ワルモノ」と決めつけるのではなく、企業が犯罪に手を染めざるをえない状況を克明に表現するものでしょうし、企業だけで解決できない課題などにも触れられるものと思います。ただ、いくつかの内部通報を処理したり、中堅ゼネコンの破産管財人を経験した立場からしますと、「談合」そのものの悪質性よりも、「談合体質」から派生する弊害こそ企業にとってオソロシイ結果を招くことにドラマのなかで触れていただければ・・・と思う次第であります。

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2009年10月 5日 (月)

広告業界における取引慣行とコンプライアンス

Image0081_320 今週末はオリンピック招致の失敗、著名な政治家の突然の訃報など、あまり良いニュースがなかったですね。

日曜日(10月4日)の朝日新聞朝刊一面記事は「日本郵政、368億円ずさん契約」という見出しで、日本郵政が民営化後、グループ5社の広告・宣伝を大手広告社「博報堂」に一括発注する独占契約を締結していたものの、同社との間で覚書や合意書などの契約書を一切取り交わしていないことを報じております。なお2年間の同社との契約額は368億円にも及ぶとのこと。(ネットニュースでも朝日、産経、毎日等でも同様に報じられています)これに対して原口総務相は

日本郵政の内部監査機能や法令遵守の姿勢が欠如している疑いがあり、「かんぽの宿」問題同様の構図を想起させる。郵政は国民共有の財産であり、契約書類もない不透明な契約でその財産が毀損されていないか確かめる必要がある

と述べているそうです(原口総務相の話は朝日新聞朝刊記事から引用)。

この記事だけを読みますと、日本郵政のコンプライアンスに問題があるようですが、これはむしろ博報堂さんとの契約というところにそもそも問題があるのではないでしょうか。日本郵政さんにとっては数ある取引先のひとつとの契約関係が問題となるわけですが、博報堂さんからすれば、広告主の多くとの関係で基本契約書は作成されていないのではないかと思われます。(博報堂HDの有価証券報告書にも、「事業上のリスク」として、広告主との契約書を作成していないので、契約関係から生じるリスクがあることが開示されております)つまり広告業界の取引慣行として、はたして基本契約書なるものを作成する慣行がないことは問題ではないのか?というところであります。博報堂さんは持ち株会社が上場会社(公開大会社)なので、業務の適正を確保するための情報の保存管理に関する内部統制を構築する必要があるわけですが、はたしてこのように広告主との基本契約書を作らない慣行なるものによって、この内部統制システムが構築されているのかどうか、という点に関心を持ちます。(財務報告内部統制の関係で、おそらく個別契約書は作成し、保存されているものと思われます)

たしかに大手広告代理店と広告主との関係は、基本契約書が締結されないケースがあることはコンプライアンス上の課題だと思いますが、なぜこういった契約書が締結されないのか、その原因を分析する必要がありそうです。ちなみに、公正取引委員会による広告業界の実態調査報告書によりますと(広告業界の取引実態に関する調査報告書(概要)平成17年11月8日公正取引委員会)、広告業界における取引慣行(テレビCM枠は大手広告代理店が押さえている、大手広告代理店は既存顧客優先主義、テレビ局の広告に関する情報開示の不足)に起因するとことが大きいように思えます。また、広告は企業の顔(アイデンティティ)であり、たとえばCM出演者の不祥事問題などで急きょオンエアが中止される、といったように、常に契約内容が見直され、その補償問題は、広告主と広告代理店との間で、「貸し借り」として逐次処理される関係でもあるようです。(逆にいえば、契約書がないために、広告主の損を代理店側がかぶる・・・ということもあるのでは?)したがいまして、もしこういった広告業界の取引慣行を是正するためには、広告主、広告代理店、媒介者、テレビ局等すべてにおける取引慣行是正に向けた取り組みが必要であり、ただ広告代理店や広告主のコンプライアンス上の問題または個別に内部統制上の構築問題として対応しようとしても困難なところがあるのではないでしょうか。

いまは大手広告代理店さんも、広告主である大企業の広告宣伝費の切り詰めや、ネット事業の発展による媒体の多様化によってかなり業績も厳しいようでありまして、広告主との力関係も変わってきつつあるのかもしれません。ただ、私が知るかぎりでは、大手広告代理店と広告主との関係は「人のつながり」を中心としたお付き合いであり、極めて属人的な取引関係を基本としているように思われます。だからこそ、「内部統制の時代」においては、社内における監視が届かない分、せめて契約等において担当者の行動の基本指針を決めておく必要があるのではないかと思います。

(広告)ビジネス法務の部屋が本になりました!

Image0121_320 週末から、関西では大手書店で発売が開始されました。(旭屋書店、紀伊国屋、ジュンク堂等では平積みで売られております)ちょっと変わったブログ本です。ご一読いただけましたら幸いです。

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2008年11月24日 (月)

公正取引委員会の常識と社会の常識にズレはないのか?

みなさま、連休はいかがお過ごしでしょうか。私はこの三連休は仕事がたてこんでいるため、早朝から深夜まで事務所以外の某所にて業務に忙殺されております。(ジャッジⅡの最終回はまだ視ておりません。)とくに日曜とか祝日の晩に仕事をするのは少し物悲しいですねェ(あぁ、なんか美味しい鰻が食べたくなってきました・・・泣笑)

さて、新しい公正取引委員会の委員に現委員会事務総長(企業法務の世界ではたいへん著名な方ですよね)の方が就任する予定だったようですが、過去にこの方の「肩書詐称」(弁護士資格を持たないにもかかわらず「弁護士」の肩書を冒用した)の事実が発覚したために、自民党がいったん国会に提出した人事案の撤回を行ったようであります。(詳しく報じる毎日新聞ニュースはこちら)

とくにこの方を擁護する意図ではございませんが、最初このニュースを読んだとき「なんでこんなに大騒ぎになるのだろうか?この程度で人事案を撤回するのはおかしいのではないか?」と感じました。法律実務書に出版社のミスで「弁護士○○」と記載されたのは、おそらく一橋大学大学院教授と某法律事務所のシニアコンサルタント、そしてご出身が東大法学部といった肩書から、つい出版社がこの方は弁護士資格を取得しているものだと錯覚したことが原因のようですから、ご本人に落ち度があるわけでもなく、とくに人事案を撤回するほどのことでもないですよね。また、たとえ「弁護士」といった肩書を付したとしましても、それが架空人の職業として付されているだけであるならば、ご自身を詐称するものでもないのでそれほどたいした問題でもないのでは・・・・・、といった印象を抱きました。(そもそもこの方のご経歴からすれば、独禁法を語るにあたりわざわざ「弁護士」と詐称する必要もないでしょうし)

ただ、よく考えてみますと、それほど単純なものでもなさそうであります。たしかに肩書詐称か否かを検討すべき論点としましては、この事務総長さんが1994年から95年ころにかけて、「国際商業」というきちんとした(格式の高い)専門雑誌に、「弁護士 大野金一郎」なるペンネームを使用して独禁法関連の連載記事を執筆されていたことに絞られるものと思われます。この「国際商業」のバックナンバーの目次をもとに2005年ころまでさかのぼってネット上で確認してみますと、けっこうたくさんの日本を代表する知識人の方々が執筆されているようであります。しかし執筆者の方のほとんどが実名で論稿を発表しておられるようで、どうみても架空人の名前を用いて記事を執筆されている方はいらっしゃらないようであります。(原典を確認したわけではありませんので、不確かな面はありますが)

そもそもこの雑誌の読者の方々は「弁護士 大野金一郎」を実在の人物と認識して記事を読まれたのでしょうか?それともあらかじめ独禁法に詳しい人が架空名義で記事を書いていることを認識していながら読まれているのでしょうか?前者だとすると出版社を含めて、とんでもない事態になってしまいますから、おそらく(まちがいなく?)後者だと思われます。そうしますと、読者の方々が架空の人物に「弁護士」の肩書がついていることについてどのような印象を持つか・・・という点を検討しておく必要がありそうです。これは記事の内容との相関関係で判断すべきだと思いますが、問題となっている雑誌の記事はおそらく独禁法関連の論稿だと思われますので、たとえ仮名であることが読者にあらかじめ理解されていたとしても、読者は「おそらく事務所の関係で実名を出せない経済法に詳しい弁護士が書いたものだ」と連想するのが自然ではないでしょうか。そうしますと、たとえ架空名義であったとしましても、そこに「弁護士」なる肩書を使用してしまった事務総長さんの場合、やはり肩書詐称と批判されてもいたしかたないのでは・・・と、ちょっと今のところは思い直しております。

しかし、自民、民主、共産はじめ、「肩書詐称とはけしからん!」と怒っておられる政治家のセンセイ方のほうが「社会の常識」だとするならば(公取委も「軽率だった」と反省しておられますし)、公正取引委員会の常識とはいったいどんなものなのでしょうか?先のニュースによれば、公取委は問題となる架空名義での弁護士詐称についてあらかじめ検討したうえで「たいしたことはない」と考えて事務総長さんを推薦したようであります。おそらく事務総長さんも、自身の問題がこれほどまでに大きなニュースになるなどとは想像もしておられなかったはずであります。いわば一般の人たちがこの「弁護士 大野金一郎」なる表示についてどのように感じるか?という点を軽率に考えていたものでありまして、これは景表法違反によって公取委から排除命令を出された企業とほぼ同じような気持ちを抱かれたのではないでしょうか。おそらく公正取引委員会も、また委員に就任予定であった事務総長さんも、それぞれ合理的な理由による反論をお持ちだとは思うのでありますが、こうやって新聞に報道され、国会議員の方々より(与野党こぞって)批難されてしまいますと、ただ一言「公取委はうそをついた」「事務総長はうそつきだ」で終わってしまうのであります。もう今からでは期待できないものとは思いますが、ここでぜひ、公取委および事務総長さんの合理的な理由に基づく反論を拝聴したいところであります。

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2007年3月31日 (土)

新生銀行に排除命令(その3)

エディオンとビッグカメラの統合計画が白紙撤回された・・・というニュースもたいへん驚きましたが、やはりこのブログでしつこく採り上げてきました「新生銀行の広告問題」の続きをアップしておきたいと思います。(なお、「新生銀行の金融派生商品のチラシについて、いったい何が景表法違反として問題なのか?」といったところは、金融法務のご専門家でいらっしゃる行方先生のブログで詳細なご解説がございますので、そちらをご参照ください。しかし行方先生のブログは更新頻度が高いですね。。。)

前回のエントリー(新生銀行に排除命令2)におきまして、私は景表法違反(不当表示)と銀行法に基づく説明義務の関係について大いに悩んでおりました。

もし、チラシが一般顧客を誘引するための媒体であったとしましても、それで結果的にみて一般顧客が取引条件の有利さを誤認したとすれば、それはチラシによるというよりも、銀行の説明義務に重大な問題があったからではないのでしょうか。(前回のエントリーより)

今日(3月30日)に金融庁から、さっそく「広告表示を含めた顧客説明に係る取組について」と題するリリースがなされておりまして、仕組預金の顧客説明態勢に係る監督指針のなかで、デリバティブ商品を組み込んだ預金商品(つまり元本割れのおそれのある預金商品)を顧客に販売する際の説明のあり方が指導対象とされております。(「日経ニュースはこちらです)なお、仕組預金につきましては、金融商品取引法において「適合性の原則」や;「契約締結前の書面交付義務」「広告規制」などの法律上の義務が発生することになります。この金融庁によるリリースを読む限りにおきましては、金融庁は「チラシによる商品説明を含めた一連の説明義務」といった概念を念頭に置いているようにも思えますし、そうだとしますと、やはり金融庁としましては、このたびの新生銀行の景表法違反(公正取引委員会による排除命令)については省庁の立場をかなり意識しているのではないか、と推測されます。

前回のエントリーでは、私はチラシと口頭による説明をひっくるめて「表示」に該当するのではないか・・・といった発想を考えておりましたが、金融庁は逆にチラシによる表示を含めて「法律上の義務としての顧客説明」といった発想で監督指導していく、といった考え方のようであります。リスクを伴う預金については、金融商品取引法では「金融商品」の定義にあてはまります。したがいまして、たしかに銀行としても、このデリバティブ預金商品を販売するにあたっては法律上の書面交付義務が発生するわけですから、この書面とチラシを一体のものと捉えまして、不適切なチラシ頒布についても規制されるべき「説明義務」に取り込んでしまおう、との発想はなるほど・・・と思います。(私の考え方を前提としますと、事前の書面交付、といった概念が説明しきれないこととなってしまいそうですね。金融庁の発想のほうがスッキリしていると思われます)

これは曲解とご指摘を受けるところもあるかもしれませんが、やはり前回エントリーでも少し疑問を呈したところでありますが、とりわけ銀行の場合、この商品チラシと銀行の顧客説明態勢の規制を別々に議論することは、どうも「すわりがよくない」気がします。やるんだったら徹底的に(不当表示規制に関する専門家集団である)公正取引委員会の活動に任せるべきでしょうし、金融庁の監督があくまでも主たる立場であるならば、(監査役サポーターさんがご指摘のように、その法目的に若干の差があるとしましても)金融庁の監督規制のなかで「公正な金融機関の競争制限」も議論すべきではないか、と考えます。これは内部統制システムの構築場面にも通じることでありますが、一般顧客との接し方について、別々の省庁による別々の視点からの規制に対応することは、かなりしんどい作業でしょうし、非効率な管理を強いられる結果になると思います。できれば純粋な独禁法違反項目(たとえば優越的地位の濫用事例など)でもないかぎりは、金融庁による監督指針のなかで、こういった不当表示問題も議論されるほうが、現場の対応としてはスムーズではないでしょうか。ただし、仕組預金販売の誘引として行われるチラシ頒布につきましては、そのチラシが一般消費者の目にとまるものである以上は、たとえ適合性原則が存在しているといいましても、その説明のレベルは一般消費者の理解を前提とする必要はあると思いますし、そのあたりは金融庁における規制が優先すべきではないか・・・とも思われます。(なお、3月30日には、金融検査評定制度に関するQ&Aも金融庁よりリリースされています。とりわけ会社法上の内部統制システム構築を検討するにあたりましては、こういったQ&Aの中身は一般事業会社にも参考になるところが多いと思われます。もしご興味のある方は、参照されてみてはいかがでしょうか)

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2007年3月29日 (木)

新生銀行に排除命令(その2)

すでに「新生銀行に景表法違反で排除命令(その1)」のエントリーにて若干ご紹介しておりましたが、28日、新生銀行は、銀行としては初めて公正取引委員会より排除命令を発令されました。(日経ニュースはこちら また、公正取引委員会のHPでは処分概要と排除命令本文が掲載されております。本文のほうでは、実際に問題となりましたチラシの表面と裏面も参照できるようになっています)景表法違反ということでありますが、前回エントリーでの予想どおり、4条1項2号(取引条件の有利誤認)のほうでチラシの表示に景表法に抵触するところがある、といった判断のようであります。

銀行につきましては、不当表示に関する自主規制(銀行業の表示に関する公正競争規約、平成18年2月改訂なお、この規約は公正取引委員会による承認を得ておられるようです)もありますので、あえて排除命令に反論するようなこともないと思うのですが、やっぱり景表法は難解な法律のひとつであると思われますし、整理すべき論点がいくつかあるような気もいたします。まだ勉強不足のために、うまく表現できませんので備忘録としてあげてみますと、ひとつめは独禁法19条(不公正な取引方法の禁止)一般指定8項(ぎまん的顧客誘引の禁止)と、この景表法4条1項2号との関係であります。そして、もうひとつは銀行法12条(説明義務)と景表法との関係、あるいは適合性原則と景表法との関係であります。とりわけ後者のほうは、どうも私の頭では整理できずに悩んでおります。このチラシは他の商品ラインナップもあるにもかかわらず、この取引条件の金融派生商品がもっとも取引条件としては有利であると一般消費者に誤認させるおそれが著しく高い、といった判断において景表法違反に該当するものとされております。ただ、銀行で金融商品を購入する場合、銀行側は顧客の商品知識に応じて個別に理解可能な程度に商品説明をしなければならないわけですよね(適合性の原則)。たしかに、ニッセイのがん保険の表示が適切でなかった(つまり保険契約者が誤認するおそれが高い)として、2003年には保険商品について排除命令が出されている前例はありますが、高度の説明義務が銀行には課されているわけですから、チラシと一般顧客の誤認可能性との間に相当な因果関係というものが簡単に認められるかどうかは微妙ではないでしょうかね。もし、チラシが一般顧客を誘引するための媒体であったとしましても、それで結果的にみて一般顧客が取引条件の有利さを誤認したとすれば、それはチラシによるというよりも、銀行の説明義務に重大な問題があったからではないのでしょうか。たとえばネット上で金融商品を購入する、といった取引形態であれば、このようなチラシ広告だけを取り上げて「不当表示」と認定することも可能かとは思うのですが、この事例でもそうでありますが、店頭にチラシが置かれていて、そのチラシをみた一般の顧客の方々は、チラシに誘引されて店頭で商品の説明を受ける・・・といった流れになると思われます。ここで「誤認」ということがいちおう問題になろうかと思いますが、おそらく購買の意思決定を動機付ける情報の錯誤を指すものと解されますので、この錯誤の要因はどこにあるかといいますと、チラシだけでなく、説明のまずさにあるのではないかと思われます。

また、「表示」というものがどんなものを指すか、といいますと、「見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告その他の表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものも含む)および口頭による広告その他の表示(電話によるものも含む)」(昭和37年6月30日公取委告示3号 平成10年12月改正 定義告示2項2号)とあります。ちょっとビックリしたんですが、口頭による説明というのも景表法における「不当表示」に該当する場合があるわけですね。そうしますと、銀行法によって厳しい説明義務(顧客保護管理態勢)が課されている銀行業界におきましては、チラシと口頭による説明を一体と捉えて「表示」に該当するものと考えてみるのが実態に合致しているようにも思われます。(このあたりは、どうなんでしょうか。チラシにつられて、ホイホイと金融デリバティブ商品が買われてしまう、といった実態はありうるんでしょうか。うーーん、少なくとも細かい文字の保険商品の契約書を渡されて、あっという間に保険契約を締結するのとは、すこし事情が異なるような気がいたしますが)この景表法による規制といいますのは、けっこう他の特別法と(目的は異なりますが)規制の面では競合する場合がありまして、特別法による規制が優先適用される場合もあるようです。この景表法を、銀行法によって厚く規制が敷かれている銀行業界に真正面から適用していくことについて、銀行側からの反発というものはないのでしょうか。(先の公正競争規約の条文を眺めてみましても、このあたりはやはりあいまいな条項になっておりまして、よく理解できませんでした)自分では、あまり適当なことを書いているつもりはなく、けっこう真剣に悩んでおりましたので、またご専門の方いらっしゃいましたら、いろいろと教えてくださいませ。

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2007年3月25日 (日)

新生銀行に排除命令(景表法違反)

(3月25日午後 追記あります)

金融商品に関するチラシが不当表示に該当するとして、新生銀行が公正取引委員会より排除命令を受けるようであります。(チラシの表示や、金融商品の説明など、朝日新聞ニュースが詳しいようです)銀行としては初めて、とのこと。すでにこのチラシは使用されていないようですが、景表法(不当景品類及び不当表示防止法)6条1項におきまして、たとえ違反状態が解消されていても、排除命令を発令することはできることになっております。

(排除命令)第6条 公正取引委員会は、第3条の規定による制限若しくは禁止又は第4条第1項の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令(以下「排除命令」という。)は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、することができる。

「貯蓄から投資へ」といった流れのなかで、金融商品取引法の成立施行は、「ホップ・ステップ・ジャンプ」のうち、未だ「ステップ」の段階と言われておりまして、保険、銀行を含めて広く横断的な規制が確立する「金融サービス法」成立が最終的な目標(いわゆる「ジャンプ」)とされております。そこで金融機関全般の監督監視機能といえば、そもそも金融庁及び証券取引等監視委員会が担っているわけでありますが、金融商品の取扱に関する垣根が取り除かれるにしたがって、金融機関も競争によるサバイバルの様相を呈してきております。「仁義なき顧客獲得競争」におきましては、こういった「不公正な取引方法」に対する公取委の厳しい対応が今後も予想されるところでありますので、金融機関内におけるコンプライアンス・オフィサー(またはコンプライアンス委員会)の役割もこれまで以上に重要になってくるのかもしれません。

ところで、私もあまり独禁法関連は詳しくないのでありますが、この新聞報道を読んだだけで、「いったい何が不当表示なのか」、私はよく理解できておりません。(もちろん、排除命令が出されれば、公取委のHPで確認できるわけではありますが)定期預金契約を希望する一般消費者が、もっともリスクの高い商品を選択した場合の利率だけをチラシ中央に大きく掲示した行為が問題になっているわけでありますが、この利率の表示の何が不当表示に該当するのでしょうか。具体的には元本割れの危険性があるにもかかわらず、一般消費者に対してリスクがないもののように誤信させたことが問題なのか、他の利率の商品構成があるにもかかわらず、もっとも利率の高いものだけを掲示したことが問題となっているのか、それとも、そのいずれも不当表示に該当する、というものなのでしょうか。景表法4条の要件から検討するに、他社の定期預金との比較において、自社の商品が優れているように一般消費者を誤信させていると考えますと前者が不当表示に該当するように思いますし、他者の同種金融派生商品との関係で、自社の商品が優れていることを誤信させている、と考えますと後者の点が不当表示に該当するようにも考えられます。(私的には後者なのかなぁ・・・と思ったりしておりますが)

昨日の、ある証券会社の引受審査が不適切であった事例や、本日報道されておりました日本テレビ「行列のできる法律相談所」での著作権侵害事例など、なかなか経営陣トップが現場での対応をいちいちチェックできるわけでもないと思っておりますので、やはりコンプライアンス関連の部署が重要な役割を担う時代がもうすぐ(事業会社にも、また金融機関にも)到来するのでは・・・と考えております。

(3月25日 午後追記)

金融法務事情などでお馴染みの行方先生のブログ(コンプライアンス、内部統制etc)におきまして、この不当表示に関する詳細なエントリーがございます。(私のエントリーよりもかなり正確な記述がなされております)また、本エントリーにコメントをつけておられる経営コンサルタントさんのコメントには、どういった場合にどれだけのリスクがあるのか、詳細に記述していただいております(どうも、ありがとうございます)ので、そちらをご参照ください。なお、この景表法の不当表示問題は、あくまでも経済法たる独占禁止法的な発想に由来するものと(私は)理解しております。つまり、不当表示が規制の対象となるのは、商品の持つ本来の品質よりも、「もっと優れている」と消費者に誤解させたり、他社の同種商品よりも「もっと取引条件がいい」と誤解させたりすることによって、不当に競争を優位に進めようとすることが経済競争にとって好ましくないところであります。そう考えますと、たとえば銀行などに、この景表法を適用しようとする場合、説明義務との関係などが問題になってくるのではないでしょうか。(つまり契約法としての性質を持つ金融商品販売法や行政取締法としての性質を持つ銀行法12条と景表法の関係など。)説明義務違反の問題と、景表法の問題を混同してしまわないように、この両社をどこかできちんと区別して検討する必要があると思いますがいかがでしょうか。(そのあたり、また別の機会に議論したいと思います)

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2006年11月19日 (日)

企業結合規制(独禁法)と企業価値

たいへんありがたいことに、最近は法学部や法科大学院の先生方にも、このようなブログを閲覧していただいているようでして、一昨日の「内部統制と談合問題」(注記部分)のように、ちょっとしたご意見やご指摘をメールで頂戴する機会も増えました。証券取引法(金融商品取引法)分野なども、よく論稿を紙ベースで出しておられる先生や実務家の方にご意見を頂戴しておりまして、とりわけ「大証副理事長」さんの刑事事件のエントリーなども、高裁判決が公表された時点におきまして、またそういったご意見などをもとにもう少し深く掘り下げて検討してみようかと思っております。

さて、きょうは昨日に続いて独占禁止法関係のエントリーになってしまいますが、もともと独禁法は信託法と並んでとてもムズカシイ法律学だ、という印象を持っておりまして、あんまり勉強もしたことがないのですが、いよいよ来年からは新司法試験にずいぶんと多くの合格者を輩出している法科大学院の兼任教員をさせていただくこととなりましたので、関連法もある程度は勉強しとかないとマズイよなぁ、と思っております。(あっでも、大阪地裁の商事部で独禁法関係の訴訟はけっこうやってたりはしておりますが・・・、結局、体系的に勉強したことがないんですよね、これが。)他の実務家教員の顔ぶれをみましても、関西の大きな法律事務所の「プリンス」みたいな人ばっかりで、個人事務所の弁護士というのは私ひとりみたいでして、「つとまるかなぁ」と一抹の不安もよぎります。ただ年間にたくさんの授業料を払って真剣勝負で通学されている方々に恥ずかしくないプロの演習(ゼミ)をさせていただくようこちらも真剣勝負でやっていきたいと思っていますので、また来年あたり、このブログでもロースクールネタが増えるかもしれません。

長い前フリのわりには、本論はたいしたことはないネタなのですが、今朝の日経新聞の記事に「企業合併審査 シェア基準50%に緩和を」という見出しで、経済産業省が企業結合規制に関するガイドライン独自案を策定して、これを公正取引委員会に提出する、とのことが書かれておりました。合併の場合と株式保有による企業提携の場合とでは、公正取引委員会の現行指針も異なるわけでありますが、いずれにせよ、自民党が「企業統治に関する委員会」を立ち上げる予定のようで、経済産業省案はそこに「企業結合審査指針独自案」を提出して、それが政府与党のたたき台になる予定とのことです。私はこういった独禁法の専門家ではありませんので、いつもながら素人的な疑問しかわいてこないのですが、またまた「企業価値」との関係で非常に素朴な疑問を抱いております。たとえばこのたびの明星食品に対する日清食品の友好的TOBが予定されておりますが、なんとコントロールプレミアムが31%ということでして、一株870円で買い付けを行うとのこと。日清食品の社長様は、記者会見において「カップめんという一定の取引分野におきまして、51%の占有率となりますが、独禁法違反にはならないのでしょうか」との質問に「インスタント麺類全体で考えれば占有率は14%だから違反にはならない」と回答されておられました。うーーん、たしかに理屈はそうかもしれませんが、そんな厳しい競争が待っているのであれば、明星食品と資本提携(子会社化)しましても、そんなに企業価値(シナジー効果)が上がるというわけではないのでは?競争は確保されているのに、なぜ支配プレミアムを30%以上も乗せた価格で買収できるのでしょうか?これ、私ではなくても、日清食品の株主であれば、普通に発想される疑問ではないでしょうか。こういったケース、明星食品社以外の場合でも同様だと思うのですが、シナジー効果を株主に説明しなければいけない一方で、公正取引委員会には「競争状態は変わりません」と説明することに二律背反の関係は成り立たないのでしょうかね。

ちょうど「旬刊経理情報」の最新版(11月20日号)におきまして「クローズ・アップ M&Aのシナジーを実現させる事前検証の留意点」という記事が掲載されておりまして、ビジネス・デューデリジェンスのプロセス図をみてみますと(62頁)、まずは外部環境に関する調査が前提になっております。その外部環境に関する調査事項として、市場・業界に関する調査、競合状況に関する調査、顧客動向に関する調査、調達市場に関する調査とありまして、これはいずれも「競争制限」に関わる調査内容だと思われます。こういった調査をもとに内部要因に関する調査や投資回収に関する検討に進むものと解されますが、そうであるならば、やはり市場寡占状態になって、利益独り占めがある程度可能になるからこそ、企業価値アップ(シナジー効果の向上)につながる、というように読めます。しかしながら、そもそもそんな独り占めによる企業価値アップ、ということであれば、やはりシェアが50%を超えるような資本提携はかなり独占禁止法上で問題になると思いますし、輸入品が多く参入している市場であって、国内寡占だけで独禁法違反状態と認定されることがないとすれば、やはりそのこと自体が将来収益には大きな影響をもたらすはずでありましょうから、安易にシナジー効果が発生する、ということもいえないような気がします。もし市場での競争制限とは無関係に30%のプレミアムを支払うだけの企業価値向上の要因があるとすれば、むしろそのところを強調して株主に説明すべきでしょうし、先の経済産業省の独自案策定にあたりましても、競争を制限しないけれどもおおいに企業価値を向上させるのはどういった企業結合を指すのか、明確にしていただけたら・・・と思います。このあたり、日常のお仕事でM&Aに関わっていらっしゃる方がおられましたら、また(私を含め)素人衆にもわかるようなご説明をいただけたら幸いです。

(11月19日追記)

最新号の旬刊商事法務(11月20日号)に、実務家の方によるデラウエア州におけるポイズンピル最新事情が紹介されていますが、これめちゃオモシロイですね。「アメリカでは・・・」といった一括りの議論はできないようですね。たしかにピルが発動するケースというのは希少かもしれませんが、ピルをめぐってこれだけ関係者が動くわけですから、まさに防衛策は身近な存在ですね。著名な学者さんが原告になって提訴する、ということはけっこうあるのでしょうか?司法と市民との距離というのは、各国によって違うのかもしれません。そう考えますと「裁判員制度」は本当に日本に根付くのかなぁと、少し不安になってきますが・・・

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2006年5月28日 (日)

判例を形成する弁護士の力量

ビジネス法務といいながら、このブログではほとんど独禁法関連のエントリーがありません。(過去に橋梁鋼談合事件くらいでしょうか・・・もう、記憶もあいまいですが)社外監査役やコンプライアンス委員をしている企業が業種的に「談合」とは無縁の世界ですし、事務所事件としましても、これまで縁がなかったせいか、まとまった勉強をしていないのが現状であります。しかし、新聞紙上では毎日のように談合事件が報道されていますし、金融機関の不公正取引事例など、いわゆる企業コンプライアンスに関連する事件が最近とくに目に付きます。「専門」とまではいえなくても、「あれ?これって、下請法のガイドラインにひっかからない?」「景表法的にはだいじょうぶなの?」「専門の先生のとこで相談したほうがいいかも」くらいには嗅覚を養っておかないと、法曹資格をもった役員としては恥ずかしい場合もありそうです。

ということで、ひさしぶりに神戸大学の泉水先生の「独占禁止法の部屋」のHPをたずねましたが、泉水先生もブログを始められたようで、独占禁止法の部屋ブログを閲覧いたしました。BBS黎明期の泉水先生のBBSはとてもアカデミックな話題がてんこもりで、よく書き込みをさせていただき、また大阪弁護士会での研究会の際にも、一度質問をさせていただきましたっけ?(なつかしいです。あのころはまだ大阪市大の教授でいらっしゃったと記憶しておりますが。たしか司法試験委員もされていたような・・・)

泉水先生のブログで「鑑定書書きます!?」というエントリーを拝読して、思わず「うーーーん」と唸りたくなりました。やっぱり、独禁法事件というコテコテの専門分野の畑を土足でウロウロすると、こういったプロの先生方の逆鱗に触れる場合もあるということですね??(⌒◇⌒;) 被告側が大企業で、原告側が中小企業の場合、とりわけ不公正取引などが争点となったケースですと、「せっかくおもろい事件やのに、なんで争点を明確にせえへんねん!」と怒られてしまいそうな代理人になってしまう可能性はあるわけでして(中小企業には、専門弁護士に行き着くまでの情報が届かない場合もありますし、またなんといっても金銭的余裕がないケースも多いかもしれませんが)泉水先生ご指摘のとおり、情熱が足りない場合もあるかもしれません。個別事件の処理を第一義とする私のような一介の弁護士にとりましては、こういった政策形成機能を持つ裁判のような場合、判決をもらう場合には、まず説明責任を尽くしたうえで依頼者の同意をとりつけるようにしています。やっぱりどんなに立派な判決をもらっても、敗訴してしまえば当事者の経済的利益はゼロですんで、当事者に和解のチャンスがあって少しでもお金が入りそうな(原告側)事件であれば、とりあえず当事者本人の意向を聞いておかないと、あとで懲戒モノなんですね。そこのところが大企業に挑む中小企業の代理人弁護士としましては、非常にむずかしいところであります。(まぁ、和解を少しでも有利に運ぶために、できるだけ裁判官の顔色をみながら、可能な限り、争点はきちんと明示するようには心がけてはおりますが。でも、鑑定書作成費用と和解によって相手方からとれるであろう金額の比較、などという、また頭の痛い経済的算定が待っておりますが・・・・)

ただ、ホント、当事者との関係を抜きにしましても、泉水先生のおっしゃるようなケースは弁護士としてもキビシイ判断を迫られる場合が多いと思います。このまま最高裁で敗訴して、おかしな先例を作ってしまうんじゃないか、後に続く人達の裁判の機会を奪ってしまうんじゃないか、といった若干萎縮した気持は、たとえ自分なりに十分論点の主張は尽くしたと自信をもって上告受理申立をしたとしても、ココロのどこかに抱いているはずです。私はちょっと弱気かもしれませんが、こういったケース、「争点判決」ではなく、敗訴しても「事例判決」になるように、個別具体的な事例の特色をできるだけ書き加えて、もしこの裁判が敗訴確定したとしても、類似のほかの事例にはなるべく影響を与えないように努力するかもしれませんね。

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