2017年12月11日 (月)

ダスキン事件株主代表訴訟判決確定から10年(あらためて考えること)

大林組さんの入札不正(偽計業務妨害容疑)事件が報じられていますが、今後どんな展開になっていくのでしょうかね?不正競争防止法違反事件に発展するのでしょうか、それとも共犯事件に発展するのでしょうか。今後の特捜部の捜査に関心が集まりますね(以下本題です)。

日本の上場会社で敵対的買収防衛策が話題に上るようになって10年が経過しましたが、同じく不祥事対応の重要性が真剣に語られる契機となったダスキン事件株主代表訴訟大阪高裁判決の確定からまもなく10年が経過します(最高裁決定は平成20年2月12日)。

法令違反の有無・・・という点では少し状況が異なりますが、近時の品質検査データ偽装問題でも、「安全性に関する問題は確認されていないが、安全性に関わる社内ルール違反の行動が認められた場合に、当該違反行為を公表すべきかどうか」という点が議論されています。「SNSに書き込みがあったから公表した」「神戸製鋼所が公表したことを参考にして公表した」「経産省から強く公表を勧められたので公表した」等、さまざまな理由が(社長さんの記者会見で)述べられていますが、おそらく社内の経営陣の皆様からすれば「この程度でなんで公表しなければいけないのか」といった心境ではないかと思います。

ただ、11年前のダスキン事件大阪高裁判決では、同社の取締役会での「積極的には公表しない」といった判断が善管注意義務違反とされました。違法添加物の入った「大豚まん」をすべて販売してしまい、販売終了後2年ほどが経過し、健康被害も出ていない状況のなかで、「過去に違法添加物の入った豚まんを売ってしまいました」と公表しないこと(あるいは公表の要否をきちんと判断しなかったこと)について、大阪高裁は取締役、監査役11名に総額5億7000万円の損害賠償を命じました(平成20年には最高裁でも高裁判決が維持されています)。

当該ダスキン事件株主代表訴訟判決については、取締役の内部統制構築義務や危機に直面した取締役への経営判断原則の適用といった論点がありますが、平成13年当時の取締役会と同29年の取締役会では、裁判所の考え方も異なるでしょうし、またコンプライアンス経営に関する社会状況も異なることから、ダスキン事件判決の(今日の企業社会における)射程距離についてあらためて考え直す必要があるのではないかと思っております。

詳細はまた具体的な事例などを交えながら述べたいと思いますが、私なりにダスキン事件判決から考えることは、①内部統制は整備面よりも運用面に議論が移っていることを法的にどう考えるべきか、とりわけ有事行動への「信頼の原則」の適用をどう考えるか、②不祥事発覚時に社内調査や第三者調査が行われることが慣行となりつつあるが、当該調査結果について裁判所はどこまで依拠できるか、③企業としては、どのような場合に(過去の)不祥事を公表することが法的義務とされるのか、「公表基準」なるものを策定した場合には、当該基準に従った行動をとれば善管注意義務を尽くしたことになるのか、④監査役や社外取締役等の非業務執行役員は、たとえ結果として違法行為を阻止できなくても、どこまでの行動をとれば善管注意義務を尽くしたと評価されるのか、といったあたりでしょうか。

いずれもダスキン事件に関する事実にヒントが隠されていると思います。おいおい、最近の事例などをもとに論点への考え方をまとめてみることにします。

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2008年12月17日 (水)

ダスキン代表訴訟の弁護団報酬請求(4億円)、原告株主提訴へ

内部統制システムの構築義務違反事件として、すでに代表的な判例として紹介されることが多い「ダスキン株主代表訴訟事件」でありますが、5年に及ぶ大きな裁判であったにもかかわらず、実はまだ10名以上の原告株主側代理人の方々の報酬が支払われておりません。(この件については、すでに10月のエントリー 株主代表訴訟(責任追及の訴え)における素朴な疑問 のなかでも「D社」としてちょっとだけ触れております)朝日新聞ニュースによりますと、ついに報酬請求訴訟にまで発展するようであります。

たしか、大阪簡易裁判所(大阪弁護士会の民事紛争処理センター?)において、株主側代理人とダスキン社側との間で報酬に関する民事調停が係属していたものと聞いておりましたが、やはりこの朝日新聞ニュースによると決裂してしまったようですね。(4億と5500万円では大きな開きがありますし)弁護士報酬の基準となる「ダスキン社にもたらされた経済的利益」が、果たして50億を超える判決認容額を基準とするのか、それとも実際に会社側代理人によって回収された金額7億円(これでもけっこうすごい額ですが・・・)を基準とするのか、このあたりについて、これまで明らかにされてこなかったところでありますので、司法判断によって明らかにされる可能性が出てきたことになります。ちなみに、裁判となりますと、きちんと法的請求権を組み立てる必要がありますが、会社法852条第1項(原告株主の費用等の請求)に基づく請求ということになりそうですから、原告となるのは(一部勝訴)株主であり、その株主が会社を被告として「合理的な範囲での我々の代理人だった弁護士の報酬を支払え」といった裁判になるのでしょうね。(朝日新聞ニュースも、そういった書きぶりになっております)

10月のエントリーでは、蛇の目ミシン代表訴訟における会社側の(被告取締役らに対する)賠償金回収作業を、会社側は原告株主側代理人に委託した・・・ということについて触れましたが、たしかに原告株主側代理人からしますと、「会社側代理人が真剣に元経営陣に対して回収をするはずがない」といった主張が出てくるのは自然なところではないかと思います。(とくに、会社側が代表訴訟において、被告経営陣側に補助参加しているようなケース)いっぽう、代表訴訟における役員の賠償金額が高額化している現実におきまして、たとえ50億を超える金額の賠償責任が判決で確定したとしても、これははじめから回収困難な金額であって、これを「経済的利益」として算定基準に用いるのはあまりにも不合理・・・とするダスキン社側の言い分にも一理あるように思われます。(なお、ダスキン訴訟におきましては、正確には2名の役員に対して53億円程度、その他の11名の役員に対して5億9000万円程度の賠償義務が認められております)

ただ、弁護士報酬についての最高裁判例などを参照しますと、単に「経済的利益」だけによって算定されるものでもなさそうであります。通常は「報酬契約書」を作成しますので、当事者間における報酬に関する合意によって報酬金額は決まるのでありますが、代表訴訟における原告株主代理人の報酬については、そういった合意がありませんので、(おそらく会社法852条を基礎とした報酬額が検討されると思いますので)とりあえず以下のような最高裁判例が参考になるのではないでしょうか。

「弁護士報酬につき特段の定めがなくても、事件の難易度、訴額、労力の程度、事件の進行状況、所属弁護士会の報酬規程、その他諸般の事情を斟酌して、相当な報酬額を算定すべきである」(最高裁判例昭和37年2月1日)

ちなみに従来は所属弁護士会の報酬規程に「経済的利益」を前提とした算定基準がありましたが、現在は報酬規程がなくなりました。もちろん経済的利益が大きな根拠になることは現在でもまちがいないところだとは思いますが、事件の難易度や労力の程度、5年にわたる社会的に大きく取り上げられた事件・・・ということを勘案いたしますと、かなり高額の報酬額が「合理的な範囲」の報酬額とされる可能性もあるのではないかと推測いたします。そもそも、役員責任が厳格化している(最近出版された鳥飼先生の「内部統制時代の役員責任」風にいえば、役員の妻子の身ぐるみまで剥ぐのが当然である、とする風潮が強くなった)実態があるわけですし、また「経済的利益」と判決確定額とのかい離を裁判所自身が安易に認めてしまうことは、訴訟において被告側の熱心な応訴活動が期待できない事態を招くこととなり(つまり、被告経営者からみて、回収困難な金額であればいくらで敗訴しても同じ・・・という気持ちになってしまう)、株主代表訴訟における当事者主義的な民事訴訟観に反する結果となるのでは、とも考えられます。(ただし代理人の人数の多少についてはあまり勘案されないかもしれませんね。これは私の思いつきの見解にすぎませんが)いずれにしましても、こういった報酬額の決定は、今後株主代表訴訟を担当しようと考えている弁護士にとって、受任に向けたインセンティブの大きな要因になるものと思いますので、今後の裁判の成り行きにはぜひとも注目したいところであります。

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2006年9月24日 (日)

ダスキン控訴審判決(問題の整理)

祝日にもかかわらず、「ダスキン株主代表訴訟控訴審判決(その2)」には、貴重なコメントありがとうございます。neon98さんに代表されるとおり、企業の平時におけるリスク管理をもって、有事の免罪符にすることは無理があるのではないか・・・とのご指摘が意見としては多いようでして、ご意見拝聴し、今後再考してみたいと思います。やはり、企業不祥事の存在を全役員が知ってしまった時点における「危機管理」の問題として、その有事におけるリスク管理というものは、別途、その時点における状況から検討すべき問題と捉えるべきなのかもしれませんね。(ありがとうございました。)

ただ、そう考えますと、やはり議論のための整理もまた必要になってくるわけでありそうですね。コンプライアンス・プロフェッショナルさんがおっしゃるとおり、「平時」の企業不祥事防止のためのリスク管理という面からとらえますと、ダスキンはある程度、まじめに(当時の基準から考えて)不祥事リスク回避に取り組んでおられたようでして、問題はやはり全社的に「過去に違法添加物混入の肉まんを、事実を知りつつ販売した」「事実を隠すために口止め料を払ってしまった」ということを認識したときの対応の是非、ということになります。なお、ここで留意すべきことは、全役員が認識した時点では、すでに(消費者が全部食べてしまっていて)商品回収の必要はなく、また健康被害に関する可能性ももはや存在しない、ということであります。

1 「公表」以外に対応策は存在しないだろうか?

とーりすがりさんは、当時の食品衛生法に違反する行為があったのだから、「法令違反」が存在するので、そこから公表すべし(違法行為を公表しないという経営判断はあるのだろうか)とされております。また、経営コンサルタントさんも、公益通報者保護法を例にとって、法令違反には公表といった措置を内在するものとして捉えていらっしゃるようです。ただ、とーりすがりさんのご指摘のところは、おそらく商品回収が必要な場合に、行政庁への届出が必要、といったことを指しておられるのではないでしょうか。最近の自治体の条例などでは、食品安全基本法に基づき、食品の回収を行うときには「公表」しなければならない、と規定しているものもありますが、本件でそういった報告義務が「行為規範」として規定されていたのかどうかは少し疑問が残ります。なお、行為規範としての「報告義務」「公表義務」が存在する場合ですと、これを無視して非公表となると、現在の判例通説の立場からすると取締役の善管注意義務違反は容易に認められるところだと思われます。また、違法添加物混入を知りながら、肉まんを売り切ってしまった取締役らについては「法令違反」を問題とすることができますが、本件では「その他の取締役の責任」が論点でしょうから、ダイレクトに食品衛生法の違反行為と全役員の責任とが結びつくかどうかはひとつの問題であろうかと思われます。

それでは有事における取締役のリスク回避義務違反があった、という構成で考えてみますと、ここでは「公表すべし」以外に、その取締役の義務履行方法はありえませんかね?たとえば、法律では明確に規定されているわけではないけれども、官公庁に対する事後の報告義務ということで足りる(つまり一般消費者に対する公表義務はない)と構成することはできないでしょうか?ここでいうところの「リスク」といいますのは、会社の信用毀損のリスクということでしょうから、ともかく過去の企業不祥事を行政庁に報告をしておけば、それなりにマスコミに叩かれる度合いも少なくなるのではないかな・・・と考えられるような気がいたします。これが上場企業でしたら、適時開示、という問題も出てくるかもしれませんが、ダスキンのように非上場企業の場合でしたら、「当否は別として」公表以外の方法によっても、その法的責任を免責される対応方法は考えられるのではないでしょうか。

2 バレなければ公表しなくてもいい?

平時におけるリスク管理によっては有事における不祥事(全社的な隠蔽行為)は免責されない、といった前提に立つならば、やはりこの問題には必ずぶつかると思います。企業の有事におけるリスク回避義務として、公表もしくは報告といった外部への情報開示が法的義務として要求されるのかどうか。この控訴審判決は、結局のところ「口止め料を支払っていた相手との契約を解除した」わけですから、おそらく違法添加物入りの肉まん販売の事実は高い確率で発覚する、ということを前提条件に役員らのリスク管理方法の不適切性を論じているようです。つまり過去の不祥事が発覚する可能性について、よく検討もせずに問題を先送りしているところが、経営判断の法理を持ち出すまでもなく、その善管注意義務違反に問われたところであった、と認識しております。そうであるならば、かなり高い確率で不祥事が発覚しない、と予期されるのであれば、やはり公表義務は存在しないと考えられるような気がいたしますが、いかがでしょうか。(裁判を前提に考えるならば、発覚しないと思っていたところが、発覚してしまった場合に、発覚しないと判断したことに合理性があったといえるケースが想定できるか、ということになります)「バレなければ公表する必要はない」といった結論を採用することには躊躇を覚えますが、「倫理上の非難の対象」とはなりえても、法的責任まで認めることについては異論もあるのではないでしょうかね。ちなみに、ダスキンの役員のなかで唯一、被告になっておられない社外取締役の方が、当時社長に対して緊急提言(一日も早く公表せよ、との内容)を書面で送っておられますが、その社外取締役が公表を促した理由も、その内情を知っている外部第三者に対する「口止め料の提供禁止」という事情からみて、もはやダスキンは過去の不祥事を隠蔽しきれない、彼らが密告する前に、一日でも早く公表せよ、という趣旨からであります。

もちろん私は、コンプライアンスは「法令違反」だけではない、と考えておりますので、過去の不祥事は、たとえ商品回収の必要性や、消費者の安全維持の必要性が存在しなくなったとしても、公表はしたほうがいいとは思います。ただ、そこから役員の法的責任までストレートに導くことには、公表することが行為規範として明示されていないかぎりは若干躊躇を覚えます。もし、私が役員セミナーなどでこの問題を解説するとしましたら、やはりこの問題は危機におけるリスク管理の問題、つまり何をリスクをみるか、という問題とそのリスクの大きさはどの程度か、という問題に分けて論じると思います。前者はリスクの質が基準となります。不祥事の内容と、それに対する社会的非難の度合いを検討することになります。そして、後者についてはまさにリスクの量、つまり「発覚しやすいかどうか」という問題であります。ただし、今の世の中の動きからすれば、企業ぐるみの不祥事隠蔽への社会的非難の度合いはますます強まり、また通報制度の法制化など、そういった不祥事が発覚しやすい方向へと向かっているものと思いますから、結論的には取締役に「公表義務」を認めるのと、それほど大きな差はなくなるのかもしれません。

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2006年9月22日 (金)

ダスキン株主代表訴訟控訴審判決(その2)

日弁連法務研究財団の「会社法実務研究会」で、ダスキン株主代表訴訟控訴審判決を中心に研究発表をさせていただきました。神戸大学のK教授をはじめ、学者の先生方や企業法務に詳しい弁護士の方々とあれこれ議論するのは楽しいですし、また新たな論点が見つかったりしまして、非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。なお、判例タイムスの最新号にダスキン訴訟控訴審判決が全文掲載されていることは先日ご紹介したとおりですが、中央経済社「ビジネス法務11月号」では、このダスキン訴訟控訴審判決に関する東京のコンプライアンスに詳しい先生によります評釈(および控訴審判決の企業経営実務に及ぼす影響)が掲載されておりますので、ご参考にされてはいかがでしょうか。

上のビジネス法務11月号の論稿もそうですし、きょうの研究会における出席者のご意見もそうでしたが、ダスキン控訴審判決は、取締役らによる不祥事公表義務というものを一律に認めたものではなく、これを(取締役会を構成する役員らの)リスク管理の方法に不行届きがあった事例、と解釈するほうが穏当のようですし、このあたりは以前の私のエントリー(その1)における解釈とも合致するところであります。ただ、私は内部統制システムの構築義務と、危急時における取締役、監査役らのリスク回避義務とは異なる概念だと考えておりました。しかしながら、ちょっとこのあたりも検討事項になるんじゃないか、という気もしてきました。たとえば、もしダスキンという企業が、平時において「こういった不祥事が、こういった時期において判明した場合には、当社はこういった対応をとる・・・」と細かく規定していた場合(本当に将来の危機を予想して相当詳細に規定できるかどうかは別としまして)、もしその規定にしたがって、今回は当社の不祥事を非公表とする、との結論を取締役会がとったとすると、この判例と同様に各取締役、監査役に善管注意義務違反があった、との評価は同じだったでしょうか?もし、詳細に将来リスクの発生を予想して、それに向けての対応方法まできちんと決めていたのであれば、本件をリスク管理としての対応のまずさ、といったところこそが問題だと捉えますと、いちおうリスク管理規定に従った行動をとった、ということで役員らが免責される可能性も出てくるのではないか、と思いますがいかがでしょうかね。リスク発生時におけるその回避措置の是非(平時において、こういった場合には公表しない、と決めた規則の内容の妥当性)ということは別の問題として発生するかもしれませんが、すくなくともそういったリスク管理の運用面まで平時に検討するということになりますと、その回避策自体も内部統制システムの構築義務の一貫である、といった解釈も成り立つかもしれません。そもそも、会社法で理解されている内部統制システムの構築、といいますのはどういったシステムを構築するべきか、といったところだけでなく、その構築されたシステムをどう運用してきたか、というものも含むものと理解しております。このように危機対応のシステムまで含めて内部統制システムを構築していれば、そのシステムが信頼に値するものである以上は取締役は「信頼の抗弁」に近い考え方として、内部統制システムの構築義務違反に関する免責の対象になる、と考えてもいいように思われます。(神田教授が会社法における内部統制の問題は、リスク管理体制の構築と取締役の自由保障機能にある、と説明されるところとも通じるかもしれません)

さらに、そもそもクライシスマネジメントとして、あとでマスコミから「会社ぐるみの隠蔽工作ではないか」と問われたときに、「いえ当社は、クライシスマネジメント規約に則り、行動することになっておりますので、その規約に基づいて非公表といたしました」と堂々と説明できるかどうか、といったあたりもひとつの問題として成り立つのではないでしょうか。いずれにしましても、今後の判例などにおいて、公表すべき「不祥事」とはいったいどの範囲の不祥事を指すのか、発覚の時期次第では、そもそも不祥事を公表すべき義務があると考えるのか、またそのあたりについて事案の集積を待ちたいと思います。

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2006年6月20日 (火)

ダスキン株主代表訴訟控訴審判決(その1)

ダスキン株主代表訴訟に関与されていらっしゃる代理人の方から、「研究目的であればどうぞ・・・(でも、相手方への支援等はダメですよ)」という趣旨で先日の大阪高裁判決文の写しを頂戴しました。最近の高裁判決は、原審(地裁判決)の判決を丁寧に引用していますので、たいへん読みやすくなりましたが、そのぶんたいへん分厚くなっておりまして、このダスキン控訴審の判決文もA4サイズ190頁に及ぶ大部であります。この「ダスキン株主代表訴訟」にこだわる理由でありますが、なんといいましても、 「企業コンプライアンスと内部統制」といったテーマを司法レベルで検討する「舞台」がそろっている ところにあります。個別具体的な理由を申し上げることは、ちょっとばかり支障ががございますのでここでは抽象的な物言いしかできませんが、一審原告(株主)側は比較的明確に「取締役会を構成する個々の取締役の内部統制システム構築義務」の内容を具体的に主張して、これを争点として裁判所が判断する材料を提案しておりますし、また一審被告(取締役、監査役)側も、これに対して逃げることなく真正面から受け止めて、堂々とした反論を展開しているところに今後の政策形成的判断が出される下地が出来上がっていると思われるからであります。(個人的には、和解的解決ではなく、蛇の目ミシン事件と同様、最高裁の判断が出ることを希望しておりますが)

ともかく190頁におよぶ判決文ですし、仕事をしながらの検討ということですので、まだザーッとしか目を通しておりませんが、先週のダスキン株主代表訴訟と「公表」の重みのエントリーで疑問を呈しておりました「取締役の公表義務」といったあたりにつきましては、明確に「公表義務」といったものを裁判所が認めたわけではなく、取締役会を構成する取締役、およびそこに出席する監査役の善管注意義務のひとつとして、過去の不祥事を一般消費者、マスコミへ公表しなければならない背景事情といったものを詳細に検討したうえで、善管注意義務違反を認定した、というもののようです。原審(地裁の判断)は、違法な食品添加物使用を直接隠蔽した取締役以外の役員の責任につきまして、一審原告(株主)が主張していた損害(会社の被った損害)と取締役の任務懈怠(もしあったとしても)の因果関係がない、というところでバッサリと切ってしまいましたので、この「取締役の不祥事公表と善管注意義務違反」といった論点まで踏み込んでおりませんでしたが、この高裁判決の大きな特徴は、この論点に深く切り込んでいるところであります。「クライシスマネジメント」なる言葉がオフィシャルに判決理由中に出てくるのは、おそらく初めてのことではないでしょうか。

この判決文を一読した私の感想としましては、①理論としての「内部統制システム構築義務の存否」というものを企業の実情に沿って一生懸命展開してみても、裁判所の認定ハードル(具体的な取締役の善管注意義務違反を認定できるだけのハードル)はかなり高いのではないか、②業務執行に直接関与していない取締役・監査役の責任追及にあたって、「経営判断の法理」を突き崩すポイントとしては、全社的リスク管理(役員の責任追及の問題である以上、役員会に上程されるレベルのリスク管理事項に限られる)のあり方を丁寧に裁判所に説明するほうが効果的ではないか、といったところであります。企業コンプライアンスに関する裁判というのは、いきなり「理想としての内部統制構築義務の内容はかくあるべし」といった主張を展開するのは得策ではなく、個別具体的な企業不祥事発生の原因をきちんと事実として立証して、役員クラスの全社的リスク管理に不適切な点があったとされる判例をたくさん積み重ねて、その積みかさねた判例の集積のなかから、おぼろげながら理想となる内部統制システムの構築義務のようなものが見えてくるといった流れとなるのではないでしょうか。ぎゃくに、取締役、監査役の立場からいかに防御すべきか、ということになりますと、取締役会へ上程されるべき事項というのは、どういった基準によって上程されているかきちんと把握しているか、上程された事項について、リスク判断を行う資料がきちんとそろっていたか、その資料によって会社の損失管理について公正な審議がなされたか、反対意見については文書として残すだけの体制が整備されているか、といったあたりを基本的に押さえておく必要がありそうです。

ただし、これらの印象は、平成12年、13年ころの取締役会構成員の法的義務を考えた場合のことですし、会社法で内部統制システムの整備義務が明記されたような昨今、同じような善管注意義務のレベルかと言いますと、そうではないと私は考えております。すくなくとも今後の裁判所の「内部統制」に関する要求レベルは、取締役にとっては厳しい方向に向かうのではないかなと考えております。

ところで、ちょっと原審判決(地裁)を読んだときには気がつかなかったのですが、このダスキンの社外取締役としては2名の方が登場されるんですね。私からみれば、どちらもダスキンのことをきちんと考えて行動されていらっしゃったようですが、おひとりは被告となり、もうおひとりは被告となっておられません。その違いがどこにあったのでしょうか?そういった「社外取締役・社外監査役とダスキン事件」につきましては次のエントリーで考えてみたいと思います。(不定期にてつづく)

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2006年6月10日 (土)

ダスキン代表訴訟高裁判決と「公表」の重み

昨日の「最高裁判決と企業コンプライアンス」のエントリーには、たくさんのコメントをいただき、ありがとうございました。この損害保険における「偶発性」立証責任問題については今後の保険実務に与える影響は大きいものと予想しておりますが、昨日、またまた企業法務にとって大きな影響を与えかねない判決が大阪高等裁判所で出されました。(ダスキン株主代表訴訟控訴審判決に関するニュース)まだ判決全文を読んでおりませんので、あくまでもニュースソースからの情報であることをあらかじめお断りしておきます。

おそらく「内部統制システム整備義務」といった講演をお聴きになったり、また講演をされる立場の方はご承知のことでしょうが、これは平成16年12月22日に大阪地方裁判所で言い渡された第一審判決(判決内容は判例時報1892号108ページ以下に掲載されております)の控訴審判決であります。控訴審においてもいろいろな争点があると思われますが、もっとも企業法務として重要だと思われるところは「第一審では、業務担当取締役および代表者しか責任が認められていなかったにもかかわらず、控訴審では、当時の11人の取締役、監査役全員に責任が認められたこと、しかも使ってはいけない食品添加物混入問題の責任追及や事実調査に鋭意努力して調査委員会設置にまでこぎつけた社外取締役に対しても責任を認めていること」であります。

取締役らの「公表義務」の検討

新聞報道などではわかりにくいところでありますが、なぜ独立した社外取締役や監査役まで存在するにもかかわらず、取締役会で違法添加物混入事実を公表しない方針を採用したのか、まずそのあたりを確認しておく必要があります。(なお、こういった確認が必要なのは、私がダスキンの役員を弁護するためではなく、あくまでも役員に有利と思われる事情も斟酌したほうが問題点の整理としては適切だと思うからです)まず、業務執行を担当していない役員らが違法添加物混入の事実を知ったのは、すでに対象となる「肉まん」の販売が終了しており、市場における流通の可能性がなく、どこからも被害者が発生したという事実は出ていないといったことがあげられます。つぎに国内では当該添加物が違法とされていても、欧米諸国では普通に使われており、また現実の使用量についても、欧米レベルの基準ではまったく問題にならない量であった、という事実があげられます。つぎに、社内では当該違法添加物混入に関する当事者の処分がなされ、一応の綱紀粛正がはかられていたという事実があります。そしてなんといっても、ダスキンを支えてくれているフランチャイズである「ミスタードーナッツ」の経営者たちに「絶対に迷惑をかけてはいけない」という気持ちが強かったことが最大の要因ではないか、と思われます。こういった状況のなか、もし私がダスキンの社外取締役もしくは社外監査役だったとしたら、ほかの12名の役員の反対を押し切って、「いや、違法添加物の混入の事実はいまからでも遅くないから公表すべきです。消費者に対して信頼回復の措置を絶対にとらなければ取締役会議事録に署名はできません」と言えるでしょうか?このブログをお読みの方々はいかがでしょうか?

そもそもこういった食品の安全に関する問題については、「公表」というのは商品が流通している場合に、その商品の使用を止めてもらったり、商品回収のための通知をするために行われることが多いのは事実です。しかしながら、たとえ違法添加物混入による被害報告が一切ない場合であっても、食品を扱う企業である以上は、まず違法添加物混入の事実を消費者一般に公表して、「被害報告の機会を確保する」必要があるのでしょうね。もしそのような疑いのある報告がなされた場合には、その調査を真摯に行うことも必要になってくるのかもしれません。さらに、食品を扱う企業の「社会的責任」として、たとえ一般消費者に対してなんらの被害が出ていない場合であっても、違法添加物混入という事実は企業の存立にとって極めて重大な事実でありますから、これを自ら社会に公表することが法的な責任である、ということなのかもしれません。(しかし、こういった根拠で取締役に公表義務を認めるとなると、「社会的責任」という言葉が画期的に判決で使われたことになりますが、そこまで言えるのかどうか、ちょっといまのところ自信はありません)あるいは、昨今の全社的リスク管理体制の整備義務(内部統制システムの整備構築義務)の一貫として、後日マスコミなどによって「隠匿」が発覚した場合の企業の社会的信用の失墜と比較すれば、いま自主的に公表して損害を最小限度に押さえるために必要な措置をとることが取締役の善管注意義務を尽くすことになる、という思想のあわられなのかもしれません。

上に示した取締役に有利と思われる事情を考えたうえで、なお「公表義務」を尽くさねばならないとする高裁判決の意義を検討する場合、「公表義務」を認める根拠には、こういったいろいろな考え方があるように思います。本件では「一部の取締役が口止め料を関係者に支払っていた」といった事実が前提として存在したり、「匿名による内部告発によって、問題が表面化した」といった事実なども検討する際の事情として重要かもしれませんが、私は素直に「後で誰かの指摘で問題化するよりも、いま自主的に公表して消費者への信頼失墜を最小限度にとどめたほうがいい。消費者からのクレーム処理(いいがかり)もたいへんかもしれないけれど、そういったマジメな対応自体、信頼回復のために効果的ではないか」と、ほかの役員の方々を説得すると思います。しかし、その場合、私は取締役会議事録に異議を留めておくだけで、公表義務を消極的には尽くしたことになるのでしょうか????うーーーん、辞任しかないかなぁ。

この高裁判決は、まだ最高裁へ上告受理申立がなされるかもしれませんが、一度各企業で取締役会が違法行為を知った時点の事実関係を正確に把握したうえで、自社であればどう対応するか(対応できるか)よく検討してみてはいかがでしょうか。けっこう困難な選択を迫られるのではないでしょうか。

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