2006年6月26日 (月)

特別取締役制度

企業価値というものを、社外役員の立場からマニアックに考えてみようと思って始めたこのブログも、気がつくとすでに14ヶ月目に突入しようとしておりまして、(以前のドリコムの時代を含めるともすこし長いのですが)これからもマニアックな視点というものは忘れないようにしたいと思いながら、今日は会社法373条の「特別取締役制度」についてすこしばかり備忘録として書き留めておきます。

6月19日の日経新聞では上場企業720社の回答をもとに、会社法対応調査結果が掲載されておりまして、同日の日経産業新聞では、詳細な回答集計表も掲載されています。定款変更議案との関係から、事業報告のネット開示や取締役会決議省略制度を多くの上場企業が導入予定であることは予想どおりでしたが、ほとんど関心がないとされているのが「特別取締役制度」の導入です。ちなみに、上記集計結果によりますと、「今後導入を検討している」を含めても1,3%、「当面、導入する考えはない」は96%ですから、ほとんどの企業で「特別取締役制度」は検討の対象にすらなっていない、ということのようです。以前、このブログでは「会計参与」の制度について深くツッコんでみましたが、「特別取締役制度」についても本当に重要財産委員会制度の後継制度として不人気のまま、終わってしまうものなんでしょうかね。ただ、鉄道事業会社のなかで、2006年3月度の不動産事業のROA(総資産利益率)がダントツのトップであり、資産の有効活用において優秀な成績を残している京王電鉄は、この5月における内部統制システムの整備に関する基本方針のなかで、取締役の職務執行の効率性を確保するために、この特別取締役制度を活用することを明言されておられますし、「意外とコーポレートガバナンス研究の先端をいく企業においては、特別取締役制度に注目しているのではないか」とも考えたりしております。

まだいろいろと持論を述べるほどには見解も固まってはいないのでありますが、そもそもなぜ特別取締役制度というのは(取締役会の決議要件の特則といった位置付けでありますし、取締役会決議のみで導入可能なものではありますが)、かならず1名以上の社外取締役が存在することが要件とされているのでしょうか?ここのところがうまく制度趣旨との関係で説明されている基本書というのはあまりみたことがありません。相澤さん、葉玉さんらが著した「論点解説・千問の道標」あたりにも、この特別取締役による取締会決議について5ページにわたって解説がなされておりますが、そのなかでも、「なぜ社外取締役が存在する場合でなければ特別取締役制度を用いることができないのか」については説明がなされておりません。6月20日に経団連から出されました「我が国におけるコーポレートガバナンス制度のあり方について」と題する提言におきまして、経団連は社外取締役制度に関しては否定的な見解をはっきりと示しておりますが、この新しい会社法は、社外取締役がコーポレートガバナンスにおいてどういった役目を期待しているのか、そのあたりを推測するには、この特別取締役制度の趣旨に関する公式な解説が役立つのではないかと思っておりますが、どうも「社外取締役の存在が決議要件とされていることの意味」をきちんと解説されているものがみあたらないのです。これ、素直に制度趣旨を考えますと、会社の重要な業務執行の意思決定にあたっては、社外取締役の存在はジャマな場合もあるから、そういった社外の人間に情報を伝達することなく迅速に意思決定することも可能にしたものである、と解釈してよろしいんでしょうか。でも、それだったら最初から社外取締役を導入しなければいいわけで、どうもすっきりとした考えが浮かびません。また、会計参与のときと同様、企業のパフォーマンスとの関係なども考察しながらじっくり考えていきたいと思っております。

6月 26, 2006 特別取締役制度 | | コメント (2) | トラックバック (0)