2012年3月 7日 (水)

オリンパスの法人起訴(刑事告発)と上場維持の判断

オリンパス社の元社長であるウッドフォード氏が4月20日、「解任」という著書を早川書房から出版するそうであります。「疑惑の発覚から突然の解任までの真相を明かす衝撃の告白。」とのことで、どうでしょうか、いままで語られてこなかった新事実がそこで浮上してくるのかどうか、とても興味津々の一冊です。

さて、新たな事実が出てくるのかどうか、といいますと、本日(3月6日)証券取引等監視委員会は、オリンパス社による虚偽有価証券報告書提出罪の嫌疑について東京地検に刑事告発をしたことを発表しました。現時点では2008年3月期までの水増し純資産計上だけの告発ではありますが、法人の刑事告発を事前に予想しておられた3月3日付の日経新聞が報じるところでは、東京地検特捜部は、(1)長年にわたり損失を簿外処理するなど一連の不正経理が歴代社長や財務担当役員らの間で引き継がれていた、(2)旧経営陣らが部下に指示し業務の一環として粉飾を実行していた――ことなどから「組織的な犯行に当たる」との見方を強めたとあります。また、当ブログにおける昨年大みそかのエントリーでも書きましたように、昨年の時点からNHKニュースでは東京地検特捜部が法人としてのオリンパスの立件を検討していると報じており、その理由として一連の巨額損失飛ばしや過大なFA報酬の上乗せについて、経営トップだけでなく、財務担当社員らも関与していることを理由として「組織ぐるみと特捜部が判断している」とのこと。昨年のNHKの記事や上記日経新聞記事などからすれば、相当程度の社員が経営トップの損失飛ばしに加担していたのではないかと推測されます(あれだけの粉飾を、外部の指南役とわずか3名程度の経営執行部だけで敢行できるはずはなく、当然といえば当然のことだと思いますが)。

今年1月20日の時点におきまして、東証さんは異例のスピードで「オリンパスは上場維持」と決定されたのでありますが、いまさらながら、海外の機関投資家の声に押されたのではなく、本当に諸般総合したうえでの上場維持だったのかどうか、疑問が残るところであります。もちろん、「組織ぐるみ」かどうかの判断だけで上場維持が決定されるわけではありませんが、3月5日の日経新聞(三宅伸吾さんの法務インサイド記事)でもとりあげられているとおり、日興コーディアルの上場が決定されたときの記者発表では、東証トップの方は西武やカネボウとは異なり、「組織ぐるみ」ではないことを強調されておられました。このたび、東証さんが認定した事実と検察庁の認定事実とが合致しており、単に「評価のちがいにすぎない」のであれば、特に問題はないだろうと思います。しかし、たとえばオリンパスの本業の儲けを偽装したものではないとしても、その損失飛ばしに多くの社員が関与していた(手伝っていた)という事実が新たに出てきた場合には、事実の食い違いが問題視されるのではないでしょうか(オリンパス社の第三者委員会報告書では、すでに経営陣のほか3名ほどの社員が関与していたことは記載されていましたので、そのあたりの事実まで東証さんが認識したうえでの判断・・・ということであれば事実に食い違いはないことになりますが)。

もう一点、私が気になりますのは、東証の上記判断の前に出された「オリンパス監査役等責任調査委員会報告書」の「結び」の文章であります。本件で極めて問題なのは、公認会計士や弁護士など、一般的に信頼の置ける専門家の評価や意見を悪用したことである、それらの評価や意見が限定的な条件のもとで作成されていることに注意を向けなかった役員や監査法人にも問題があるかもしれないが、そういった作成経緯を専門外の方々が知らなかったとしてもやむをえないところがあり、「専門家がこのような評価や意見を述べているのだから問題がないのだ」といった評価結果等を巧妙に活用して違法行為を隠ぺいしたことが問題である、と指摘して締めくくられています。私も今回のオリンパスの一連の事件において、会計士や弁護士(2009年当時の調査委員会)の評価書や意見書が経営執行部側に活用されている点はとても重要な論点だと認識しています。もっとも象徴的なのはウッドフォード氏が解任された理由が海外のメディアから伝えられたとき、オリンパスの当時の首脳陣は「我々は監査役会から適法意見をもらっているから何等やましいところはない」と明言されました。そのお墨付きを与えたとされる監査役会も、わずか1週間で結論が出された2009年当時の調査委員会報告書や某会計士事務所の鑑定評価書に依拠して「問題なし」との結論を取締役会で報告しています(第三者委員会報告書 参照)。

こういった会計士や弁護士の方々は、あくまでも限定条件付きでの判断である、との前置きをして評価や意見を述べているわけですから、当該専門家の方々は責められるものでもないわけで(多少はあるかもしれませんが、あまり世間で問題にはされていません)、だとすれば、この評価や意見が、さも「お墨付きを与えたもの」であるかのように巧妙に活用する者がいたとすれば、かなり悪質なものではないかと思われます。

最近、大規模な第三者割当増資が行われる場合には、東証のルールでも金融庁の開示ルールでも社外監査役等による意見の開示が求められます。現実に監査役会が「待った」をかけて取締役に第三者割当増資の中止を求めた事例がかつて紹介されていましたが、そういったケースでも監査役会の意見形成のために専門家の意見を求めることが増えています。そこで出てくる意見が無条件に問題なし、といったものかどうかは、投資家からはわかりません。ひょっとすれば多くの前提条件のもとでの「条件付きの限定意見」かもしれません。この解釈は極めて経営陣の誠実性に依拠せざるをえないところであり、そこにミスがあれば投資家の判断に極めて大きな影響を与えることになります。

もちろんオリンパスの件では、法や自主ルールによって関係者の意見開示が要求されていたものではありません。しかし、M&Aで取得した法人の価値や過大なFA報酬の合理性については当時の会計監査人から疑義が示され、専門家の意見をとってほしいとの要望があったからこそ、意見書をとりつけた経緯があります。監査意見という開示情報が意見書等によって影響を受けたことは間違いない事実であります。したがって、その時点での経営陣の誠実性の欠如は極めて投資家を愚弄したものと評価されてもいたしかたないと思います。その「経営陣の誠実性」に問題があれば、この点こそ(上記責任調査委員会報告書が締めくくっておられるとおり)本件の特徴的なポイントであり、上場維持の判断のなかでも斟酌せざるをえないと思うのでありますが、いかがなものでしょうか。

この「上場維持」の判断をされた東証の上場管理部さんからお招きを受けて、3月21日には東証ホールでお話をさせていただくわけでして、あまり気の強くない私としましては、到底東証さんの判断を批判できる立場にはございません(^^;。しかし、今でも東証さんの判断がスッキリと理解できておりません。少なくとも上場廃止決定禁止の仮処分等のなかで、今回の判断を先例として「悪用」するような企業が出てこないようにするためにも、東証さんには上場廃止基準の在り方や、特設注意市場銘柄指定、再上場の在り方などを検討していただきたいと願うところであります。

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2009年10月22日 (木)

「資本市場と弁護士の関係」は両刃の剣

おおすぎ先生のブログでも早速紹介されておりますが、日経の三宅伸吾さんがコーディネートしておられる「変貌する資本市場-適正な市場ルールと執行の行方を探る-」(9月29日日経ホール)の議事内容が日経WEBでも公開されましたので、とりわけパネルディスカッションを中心に読ませていただきました。いや、実にオモシロイ。当ブログにお越しになられる方々ならすぐにおわかりになると思いますが、どのテーマも私的には非常に関心のあるものばかりでして、パネリストの方々のご発言につきましては、ビンビン反応してしまいますね(笑)もちろん「公開会社法」に関する議論にも関心がございますが、とりわけディスカッション後半部分の「資本市場と弁護士の役割」につきましては、プリンシプルベースを中心とした規制のなかで弁護士に期待されるもの、第三者委員会報告書の現状を踏まえたうえで、委員としての役割に期待されるものなど、読んでおりまして私自身の考え方と「大きな開き」がないことについて意を強くした次第であります。

ただ、IPO支援をしたり、第三者委員の補佐をした経験からみて、たしかに弁護士も資本市場のルール作りや執行の実効性確保のために、今後は更なる関与の必要性が高いことは理解できますが、一方におきまして弁護士には監査法人(公認会計士)さん方のように監督官庁(金融庁)がないものですから、弁護士の活動というものにはほとんど規制がかからない・・・ということは結構重大な問題である、と認識しております。ときどき引用させていただいている高橋篤史氏の「兜町コンフィデンシャル」などを読んでおりましても、裏の紳士達の仲をとりもつのも、また裏の紳士達に形の上での法令順守(どのような手法を用いれば市場ルールには形式的に反しないことになるのか?)を指南するのも弁護士であることがすぐに理解できるところであります。また、証券取引所の方々と、まじめにお話をしておりますと、(これまで痛い目に合っていらっしゃるからなのか)どうも弁護士という職業に対しては、どこまで信用性が置けるのか?ちょっと疑心暗鬼になっておられるようなイメージを抱きます(いや、ひょっとして私だけがそのように抱いているだけなのかもしれませんので、あくまでも「そんな感じがする」という程度のことなのですが・・・・・)

ご承知のとおり、弁護士には監督官庁がないので、そのぶん日弁連や単位弁護士会が所属弁護士に対して厳格な懲戒処分を下すことになります。(公表されるだけでも毎月10名程度かそれ以上の弁護士が懲戒処分の対象となっていることはあまり知られていないと思いますが、これは組織強制における自治権をもつ団体としてはかなり健全な姿なのではないでしょうか?)ただ、懲戒審査を行う立場の人たちがどれだけ証券市場ルールを認識しているかといえば、(失礼ながら)専門家集団である金融庁とは比較にはならないものと思いますし、また基本的には市民(もちろん法人も含みますが)による懲戒請求がなければ綱紀・懲戒の対象にはならないものと思います。したがいまして、こと「資本市場と弁護士の関係」という点に限って申しますと、「グレーゾーンで暗躍する法律専門家」というものは、直接当局が動かないかぎりは弁護士の強制加入団体自身による自浄作用がうまく機能するものではないのでは?・・・と(私的には)考えたりしております。(こんなこと言うとまた大阪弁護士会の副会長あたりから叱られそうですが・・・(^^;; )

ということで、資本市場に精通する弁護士が増えることはたいへん良いことなのではありますが、このパネルディスカッションのなかで石黒先生が申しておられるように「弁護士の倫理観」(誰のために仕事をするのか)といったあたりを合わせてしっかりと認識していかなければ、プロフェッションとしてのスキルが意外な方向で使われてしまう・・・ということになりかねないのでありまして、私も心して(そのような誘惑を断ち切る)仕事に臨む必要がある、と自戒しておくことにいたします。(このパネルディスカッションにつきましては、ほかにもたくさん申し上げたいことがございますが、とりあえず本日はこのへんで・・・)

PS 

最近、「BLOGOS」に転載される関係で、あまり他の話題には触れないことが多いのでありますが、南田洋子さんのご逝去につきましては、謹んでご冥福をお祈りいたします。長門さんの会見をみて、私の両親の死と重なってしまったせいか、理屈抜きに号泣しました。長門さんのこの4年間の幸せと、舞台が終了するまで南田さんを「氷漬け」にしておく気持ちは、おふたりにしかわからないのかもしれません。私がいままで視たテレビの歌番組のなかで、一番レベルが高かったのがご夫妻で司会を務めておられた頃の「ミュージック・フェア」でした。見事なほどのボケ(長門さん)とツッコミ(南田さん)がたいへん印象的でした。それほどの宗教観を持たない私自身が、最愛の人の「認知」や「死」を、長門さんのように真正面から受け入れることができるのかどうか、いまのところまったく自信がありません。

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2009年6月11日 (木)

金商法157条と課徴金処分との親和性(金融審SG報告書案)

経産省企業統治委員会の報告書案につづき、本日金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」の「~上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて~」報告書案がリリースされております。(当ブログにお越しの方でしたら、もうすでにお読みになった方もいらっしゃるでしょうね)日経ニュースによりますと、この報告書案でほぼメンバーの同意が得られた、と報じられておりますので、(株式持合いに関する検討に関する文案を除き)このような内容で報告書が公表される・・・ということになるようであります。金融審SG再開の頃に、もっとも話題となっておりました社外独立取締役の設置義務化の件につきましては、やはり経産省企業統治委員会と同じく、制度義務化は見送りということのようでして、メンバーの方々のご意見について「最大公約数」的な内容で落ち着いた・・・というところなのでしょうか。

この報告書を読んで、ふと「法則」めいたものに気づきました。20ページに及ぶ報告書のなかには数々の提言が盛り込まれておりますが、その提言ひとつひとつの最後の決め台詞(締めの言葉)が「・・・べきである」と「・・・する必要がある」と「・・・に期待したい」に分類できるんですね。これは私の推測でありますが、おそらく「・・・・べきである」と提言されている内容は、近々証券取引所自主ルールの改訂によって、実現される(もしくは強く実現を求める)規制内容でして、「・・・・する必要がある」と表現されている内容は、証券取引所ルールによる早急な改訂までは求めるものではないが、会社法や金融商品取引法(政省令も含む)など、法律改正によって実現を求める規制内容を示しているようであります。そして「・・・に期待したい」なる提言は、金融審としてはすぐに実現することへの要求というわけではないが、今後のさまざまな議論の高まりのなかで実現の方向で検討したい、という「他力本願」にも近い提言内容を示しているのではないでしょうか。(おそらくお読みになって、ムッとされている方もいらっしゃるかもしれませんが・・・・・・あくまでも私の推論にすぎません・・・)こういった「法則」があるからこそ、さきほどの日経ニュースにありますように、「銀行と取引先企業との株式持ち合いについては早急に禁止や保有制限をすべきだ」といった委員の意見が相次いだ・・・という記事内容と「報告書の一文をめぐって、意見が相次いだ」という記事内容とが結びつくように思います。(そういえば、6月9日の日経新聞の「許せる減配・許せぬ減配」~一目均衡~ は、株式の政策的保有に関連してなかなかオモシロイ内容でした)

そこで、かりに私の推測が正しいとするならば、金商法157条規制のエンフォースメントとして課徴金制度をとりいれる・・・ということは、報告書(案)5ページの記述からしますと「期待したい」という締め言葉になっておりますので、日経さんが報道されているほどに、課徴金制度が早急に活用されることはないものと思われます。

(不正行為の禁止)
第157条  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
1  有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、不正
 の手段、計画又は技巧をすること。
2  有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、重要な事項について虚偽の表示があり、又は誤解を生じさせないために必要な重要な事実の表示が欠けている文書その他の表示を使用して金銭その他の財産を取得すること。
3  有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等を誘引する目的をもつて、虚偽の相場を利用すること。

しかし、こういった包括条項に課徴金制度を導入することが検討される、ということはあまり意識しておりませんでした。インサイダー規制や有価証券報告書虚偽記載への課徴金制度導入ということになりますと、そもそも(ある程度明確な)刑事罰の構成要件が存在するわけでして、また課徴金として賦課されるべき金額の算定基準もそこそこ明確ですから、大きな不安はないわけですが、そもそもどういった行為が157条の規制対象となるのか明確ではないうえに、いったい何をもって(どんな算定方法で)課徴金の金額を決めるのか、という点も曖昧であります。また、課徴金制度は金融庁には原則として摘発するか否かの裁量がない・・・とされておりますので、そういった制度運営上の問題も出てくるでしょうし、(ひょっとしたら)正々堂々と課徴金と憲法違反の論点を争ってくる企業や個人も出てくるかもしれません。ということで、この金商法157条と課徴金導入問題は、ちょっと検討課題が多いのでありまして、やはり「期待したい」の部類に属するのではないかなぁと感じた次第であります。

そしてもうひとつ、エンフォースメントに関する検討課題として金商法192条に基づく裁判所による禁止・停止命令制度の活用が指摘されている点は注目であります。

(裁判所の禁止又は停止命令)
第192条  
裁判所は、緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。
2  裁判所は、前項の規定により発した命令を取り消し、又は変更することができる。
3  前二項の事件は、被申立人の住所地の地方裁判所の管轄とする。
4  第一項及び第二項の裁判については、非訟事件手続法 (明治三十一年法律第十四号)の定めるところによる。

なぜこれに目がとまったかと言いますと、東京のある「金融商品取引法に詳しい」弁護士の方が、だいぶ前から「この制度を活用すべきである」と自身の著書や法律雑誌の対談などでご主張されていたからであります。(こうやって金融審のSGで提言されるということで、先見の明があったんでしょうね・・・いや、きちんと金融審の議論の流れや法案審議の経過を見続けていらっしゃるからでしょうか・・・)法律違反行為があれば必要な処分をすることができるとしましても、投資家保護の観点からは、それだけでは十分ではない場合がありますので、法は行政庁の申立てに基づいて、裁判所が禁止・停止を命じる制度であります。金商法の平成20年改正で、金融庁が証券取引等監視委員会に申立てを委任できるようになったことで、今後の活用が期待される、ということなんでしょうか。いずれにしましても、この金商法192条はこれまで一度も活用されたことがありませんが、外資系投資銀行の日本法人が「ひょっとして財産を海外に持ち出すかも・・・」といった場面で緊急措置として財産保全をかけるように、また「NTTの株式を51%保有しました」なる大量保有報告書が提出されたような場合の開示への対処が求められるように、公益または投資家保護のために機動的な対応が必要な場面というのも、いろいろなところで考えられるでしょうから、今後の議論の深化に文字通り「期待」しております。

本当はもうちょっと報告書案の本論について感想を書きたかったのですが、ずいぶんと長くなってしまいましたので、別の機会とさせていただきます。

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2008年4月30日 (水)

上場制度整備プログラム2007の履行状況雑感

昨年4月24日に東京証券取引所より「上場制度総合整備プログラム2007」が公表されましたが、その履行(予定)状況につきまして、問題点を整理する目的で一覧表にしてみました。(履行状況といいながら、マスコミで「検討中」として報道されているものも含んでいることにご注意ください。)また、私自身の記憶に頼りながら作成したものにすぎませんので、他の整備プログラム実施事項として、すでに履行済みのものがあるかもしれませんので、漏れがありましたらゴメンナサイです。なお、表の右側にA、B、Cと記しておりますのは、A;上場企業の行為自体を東証自主ルールによって規制しているもの、B;東証が原則的な行動指針を示し、その指針に反する企業行動については企業の合理的な説明を求めるもの、C;開示によって投資家の判断に評価を委ねることで、間接的に企業行動に影響を及ぼすもの、として区分しております。

Seibipuro_2 第三者割当増資の開示強化につきましては、すでに以前のエントリーでも述べましたが、開示による投資家への注意喚起では市場の健全性が維持できず、具体的な行動規範として株主総会決議などを必要とすることになるのでしょうか。第三者割当増資による現存株主の利益確保(少数株主保護)については、制度に関する国際比較が必要でしょうし、また第三者割当を規制することで、エクイティファイナンスの機会が失われる点については議決権制限株式(配当優先株式)の上場制度を充実させることによってカバーする予定なのかもしれません。

また先日、親子上場に関する規制方針に関する報道がありましたが、これも親子上場(子会社の上場)をすべて禁止してしまう、という方向には進まないと思われますので、「望ましいものではない」という東証の基本原則を表明したうえで、もし上場する(上場を維持する)のであれば、子会社上場を維持するための合理的な理由を説明させる、という方向で詰めることになるようであります。会社法施行規則においても、公開会社が総会集中日に株主総会を開催する場合には、その理由を述べさせるなど(ただし特に理由があるときに限りますが)、こういった手法による規制というのはときどきみかけますね。

法律家として興味深いのは、やはり「不服申立制度」ですね。先日のニュースにもありましたが、特設注意市場銘柄として指定されるケースや、制裁金を課される場合などにも不服申立の対象になる、というものであり、また申立によって東証による処分の効力が一時停止される、というものであれば、けっこう利用されるのではないでしょうか。また、この表には記載しておりませんが、「公認会計士との連携強化」ということで、監査人交代時における開示の充実も実現したところであります。

上記以外にも、マザーズ上場企業について、一定期間経過後に成長が見込まれない場合に退出を促す方策とか、すでに上場している会社の内部管理体制の確認方法に関する整理を行うこととか、実際に検討されているのかどうか、進捗状況を失念しているところもございますので、詳しい方いらっしゃいましたらご教示いただけますと幸いです。また、本件は取引所と発行企業との関係だけを採り上げましたが、取引参加者(金融商品取引業者)との過怠金引き上げに関する話題や、公開会社法に関する話題なども、こういった整備内容と関連するところであり、個別の論点については追ってまたエントリーで検討してみたいと思っております。

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2008年4月10日 (木)

JASDAQ「処分を判断する際の留意事項」から何を学ぶか?

Yahooニュースよりお越しのみなさま、はじめまして。内容が不明でありましても、決してスパムブログではございませんので、どうかご安心ください。ときどきコンプライアンスネタもやっておりまして、いつもマニアックな話題ばかりではございませんので、どうかよろしくお願いいたします。

4月4日、株式会社ジャスダックより、取引参加者(金融商品取引業者)向けの「処分を判断する際の留意事項について(案)」が公表されておりまして、今後の取引参加者に対する処分の公正性、透明性向上をはかるために公表されたようであります。もちろん、これは取引参加者向けでありまして、証券発行企業向けではございませんが、こういった処分のための判断基準が公表されることはあまりないものと思いますし、今後発行企業を対象とした自主ルール(つい先日も、「違約罰」が検討されている、といった記事が出ておりました)や、金融庁による行政処分(ご承知のとおり、金商法の改正によって上場企業にも制裁的課徴金が課されることとなります)などにも通じるところもあると思われますので、ご興味のある方は一度目を通されてはいかがでしょうか。ところで、この判断の際の留意事項でありますが、ざーっと目を通しただけでは「特別なんてことない」ようにも思えますが、細かいところまでチェックしてみますと、いろんな疑問点が出てくるようです。たとえば、私が感じましたのは以下のような点であります。

1 この判断の留意事項で重い処分、軽い処分、不処分の区別は可能か?

違反行為の内容や、市場への影響度、内部管理体制の状況などから、重い処分と軽い処分を区別すべき基準はなんとなく理解できるのでありますが、では軽い処分と処分をしないケースとは具体的にどのような基準によるのでしょうか?そのあたりが、これを読んでおりましてよくわかりませんでした。そもそも、この留意事項のなかで「違反行為」とか「違反状態」なる用語が使われているのですが、この「違反行為」というのは違反企業に故意過失を含んだものなのかどうかがよくわからないのであります。おそらく証券取引所で自主ルールをもって違反状態を排除するのが目的であり(たとえば取引所の公益性を維持したり、投資家を保護したり)、取引参加者にペナルティ(制裁)を課すことだけが目的ではないと思われます。(もちろん、重い処分と軽い処分が区別されておりますので、ペナルティとしての意味も含んでいるわけですが)そうだとしますと、取引参加者に故意、過失なる「責任」が認められなくても、この取引所による処分は課されることになりますので、「違法行為」とそうでない行為というものが取引参加者の故意過失とは別の基準で区別されるのではないか・・・と思われます。そういった観点からしますと、不処分と軽い処分とを分ける基準というものがどこにあるのか、かなり疑問を感じるところであります。

2 組織的関与の認定←「経営者が看過したとき」?

東証や大証が日興コーディアル証券に対して上場廃止としなかったときの理由として、「全社的、組織的な犯行とは認めるには至らなかった」ことが挙げられておりましたが、この処分留意事項の「④違反行為の関与者」のあたりを読みますと、「違反行為の関与者の役職、責務、人数や関与部店数などを考慮します。経営陣がそれを容認又は看過していた状況や上位役職者が関与した状況が認められる場合は、組織的に行われたものとして重い処分を課します」とされております。つまり、社員による違反行為について、経営陣がこれを首謀していたり、知悉していた場合のみならず、「うっかり知らなかった」場合であっても、これを組織的関与があった、と判断するということなんでしょうか?「看過」というのは知っていながら知らないふりをしていた・・・という意味ではなく、普通は「うっかり見過ごしていた」という意味に使われるでしょうから、「看過」まで含むとなりますと、かなり組織的関与があった、とされる違法行為の範囲は広くなってしまうのではないでしょうか。ホントにこれでいいのかどうか、少し疑問に思います。

3 内部管理体制-取引参加者としての責任の認識

これは先の1における疑問とも関連するのでありますが、違反行為が発生したことについて経営陣や内部管理統括責任者が責任を認識していないと認められる場合には重い処分を課します、とされており、つまり責任を認識していないような場合にはペナルティが課されることになっております。しかし、そもそも証券取引所が処分を課すのは、基本的には市場の健全性維持、投資家保護を第一義とするわけですから、取引参加者に故意過失がない場合であっても、その違法状態を排除するためであります。だとしますと、そもそも取引参加者側に故意過失がない場合であっても処分は可能なわけですから、経営陣がその責任を認識していない場合というのも出てくるわけでよね。ということですと、経営陣が責任を認識していないことを根拠として、ペナルティ(つまり重い処分)をその企業に課すということは少しおかしいのではないでしょうか。

いろいろと疑問点をあげておりますが、軽い処分と重い処分の区別基準から、学ぶべき点は多いと思います。また、このあたり詳しい方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけますと幸いです。

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2008年3月19日 (水)

東証の制裁金1000万円制度導入へ

大証(大阪証券取引所)も「警告」制度によって動き出したようでありますが、東証(東京証券取引所)は上場規則に違反した企業に対して1000万円の制裁金を課す制度を近々導入する方針を固めたそうであります。(日経ニュースはこちら)昨年3月にも、読売新聞の報道では東証が(証券会社に対してではなく)上場企業に対して「過怠金」を課す制度を導入する方針であり、2008年の実現を目指す、とありましたので、日興コーディアル不正会計事件における東証の対応に批判が集まって以来、ずっと上場企業に対する「注意」と「上場廃止」の中間に位置する制裁制度については検討を重ねていたものと思料されます。(しかし上場企業の規模にかかわらず、なぜ一律1000万円なんでしょうね?)

日経ニュースを読みますと、上場企業と取引所は上場契約を締結しているので、上場規則違反が認められる場合には、上場企業側にはいわゆる債務不履行があったものとして、その「損害賠償金」として1000万円を請求する、ことのようであります。(このあたり、規則違反=過怠金、という一般的な認識とは少し異なるようであります。)この場合、取引所にとって何が損害かといいますと、取引所が一般投資家のために維持しようとしている市場の健全性を害されたこと、または市場の信用を毀損されたことだと思われます。(一律1000万円・・・ということですから、規模の大小にかかわらず、上場企業による信用毀損の程度は同じ、とみるのでしょうね)また、一律1000万円ということですから、これは契約当事者間における「損害賠償額の予定」があったとする法的構成ですね。(なお、違約罰と損害賠償額の予定とは法律上異なる、といった議論がありますが、本件ではどちらも同じ意味と考えていいと思います)なるほど、こういった民事制裁金という性質のものであれば、懸案だった刑事罰や課徴金との調整に頭を悩ますこともなく、同時徴収も法的には可能になりそうであります。

ただ「損害賠償額の予定」として一律1000万円を課す、という構成ですと、若干問題も生じるように思われます。ひとつは、いくら当事者双方が損害賠償額を合意したとしても、支払義務が発生するのは上場企業側に債務不履行が認められる場合ですから、単に「規則違反」の事実だけでなく、そこに上場企業の故意過失(帰責性)が認められる必要があります。たとえば上場企業に通常要求される程度の内部統制システムとか開示統制システムをきちんと整備していた場合、たとえ規則違反事実が発生しても、それは「内部統制の限界事例」であって、規則違反は防ぎようがなかったといった事態が生じる場合は債務不履行が認められないケースが考えられます。また、もうひとつは、条文上は当事者が賠償額の予定を定めた場合には、裁判所はこれを増減することはできない、(民法420条1項)とされておりますが、判例上はその予定された賠償額が著しく高額であり、これを当事者に守らせることが公序良俗に反するような場合には全部(もしくは一部)無効とみなされます。この1000万円という金額が、市場の健全性を毀損されたことへの賠償金額として妥当かどうかはわかりませんが、こういった点について争われることも考えられるところであります。(したがいまして、これがもっと高額ですと、かなり問題ではないかと思われます)

規則違反の要件をどのように詳細に定めたとしても、取引所の処分はかなりあいまいな部分で勝負せざるをえないのが現実だと思いますし、1000万円程度の制裁金であれば、わざわざ弁護士をたててまで、必死になって闘う企業も出てくる可能性は薄いかもしれません。(そういった配慮があっての一律1000万円かと。。)また、そもそも取引所がムズカシイ判断に立たされることがないよう、実際の運用は、課徴金賦課処分などが先行するように工夫されるのかもしれません。とりあえず規則違反に対して、企業が従順に制裁金を支払ってくれる実績を多く残すことが重要な目標になってくるのではないでしょうか。

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2007年9月27日 (木)

上場審査厳格化ルールの実効性

独禁法コンプライアンスの話題や、COSOモニタリングガイダンスの論点へのコメント、たくさんいただきまして、どうもありがとうございます。きちんと問題点を整理したうえで、あらためてお返事させていただきますが、まだまだコメントのほうもお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。

ところで、たしか今日(9月26日)はモック社の株主総会ではなかったでしょうかね?もうすでに27日に日付が変わっておりますが、会社のHPにも適時開示情報のほうにも総会の結果についてのリリースが掲載されておりません(^^;; yahoo掲示板で、どなたかが「可決された・・・」との情報を書き込んでおられますが、決議内容につきまして、いずれのマスコミでも報道されておりませんので、なんとも不確定な状態であります。(追記 27日の日経朝刊に「議案すべて可決」との記事あり。総会は2時間半に及んだ、とのことであります。)今朝(26日)の日経新聞でも採り上げられておりましたし、株価変動をみましても、それなりに注目されておりましたので、なんらかのリリースは必要だと思いますが。。。(会社側提案に賛成する立場で委任状を提出されている株主さんへの結果説明はどうされているのでしょうか?)

出来高が昨年の半分以下となり、株価も低迷を続けております新興企業向け市場にとりまして、上場後も健全に業績を伸ばす新興企業にこそ上場してほしいと願うところでありますが、やはり「上場はやりたいことのための手段ではなく、目的」と捉えている企業が目立ちますと、どうも回復基調の兆しがなかなか見えてこないような気もいたします。そのような状況のなか、以前から話題になっていたところではありますが、東証はIPO企業の主幹事証券向けの引受審査ルール策定の意向を表明されたようであります。(26日の日経朝刊7面の新聞報道参照、またフジサンケイビジネスニュースはこちらです)証券取引所の上場審査基準のうち、適格要件(実質基準)の判断にあたっては、主幹事証券会社が上場申請企業の経営内容等に関する推薦書を提出することになるわけでありますが、①その推薦書に様々な企業情報を盛り込み、②引受審査に関する社内監査体制をルール化し、③証券会社の営業部門と調査部門に厳格なチャイニーズウォールを設置する等を主な柱としております。本年12月ころからのルール施行を目指す、とのことでありますが、実際に上場引受業務をされる証券会社さんの場合、すでに内部統制調査などを含む体制整備に関する審査事項へのチェックルールは策定されているはずであります。おそらく15から20項目程度のチェックポイント(細分化されれば、その4倍程度)があると思われます。もちろん、そのチェック項目のなかには、公開企業にふさわしい「株主、投資家に対する適切な情報開示の社内態勢」チェックも含まれております。

そういえば本日(26日)パブコメを経て正式公表されました金融商品取引業者等検査マニュアル(証券取引等監視委員会のHPよりパブコメ回答集とともにダウンロード可能です)におきましても、第一種金融商品取引業者の態勢および引受業務に関する確認事項として「引受審査態勢の整備」が掲げられておりまして、引受主幹事証券会社の取締役会および引受審査部門の重い責任が記述されております。このように、証券取引所そして金融庁から「引受審査部門の充実」を期待されている証券会社もたいへんではありますが、なんといいましてもたいへんなのは上場を目指す一般事業会社であります。証券会社および監査法人からの厳しい目で経営を監視されるわけですから、公開企業にふさわしい経営管理体制を構築するためのコストもけっこうかかるんじゃないでしょうか。ただ、審査基準を厳格にするといいましても、どの企業にも一律に適用されるような判断基準があるわけでもないと思いますので、その実効性を左右するのは、やはり各企業の創意工夫によるところが大きいものと思っております。

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2006年9月21日 (木)

証券業界の自主規制新ルール(上場審査基準)

日本証券業協会が新規公開株式の引受審査基準として、24項目をまとめ、2007年には自主規制に関する新ルールを導入する方針だそうです。(日経ニュースはこちら)証券取引所も上場基準を厳格化する、という方針が2週間ほど前に報道されておりましたので、そちらと歩調をあわせるカタチで証券業協会も投資家保護のために上場審査基準の厳格化をはかる、ということでしょうか。金融商品取引法が成立した後の、法律、内閣府令、取引所規則、日証協基準、そして証券会社内規といったものが、幾重にも証券発行企業に重くのしかかってくるでしょうから、とりわけ今後上場を検討している企業にとりましては、これらの上場ルールへの遵守体制を構築するのはひとつの大きな事業といえそうですね。

きょう、大阪のあるコンプライアンス・コンサルタント企業の幹部の方々と夕食を共にさせていただきましたが、この日証協が義務付ける上場審査基準のことも、席上にて話題になっておりました。たとえば「反社会的勢力との関係の有無と排除への取組み」という審査基準ですが、これまでの審査項目でいいますと「スクリーニング」、つまり上場準備企業の役員クラスに、反社会的勢力とのつながりのある人物が存在しないか、関連企業にフロント企業は存在しないか、といったことだけが問題視されていたわけです。しかし今後は「排除への取り組み」までが上場審査の対象になる、ということでして、「反社会的勢力(一般に暴力団、えせ右翼、えせ同和、総会屋などが代表的ですが、そもそも、この反社会的勢力というのが、どこまでの団体を含むのか、ということ自体も問題となります)と密接な関係を持つことの未然の防止対策と、関係が生じた際の断絶体制の構築」が、すくなくとも過去3年から5年にわたって、企業内できちんと整備されているか、ということの審査も新たに要求されるようです。(公開適格性審査)

しかしこの「反社会的勢力との関係の有無と排除への仕組み」という基準はなかなかイメージがつかみにくくてムズカシイ基準ですね。そのコンプライアンス・コンサル企業の方のお話を聞いていて、この基準をクリアするためには、最低限度はまずスクリーニングに関する特殊情報の調査が必要となりますし、また「仕組み」についてはこれも長年の経験に基づくコンプライアンス対応策の設計が必要になってくるようです。「これで万全」といったものは体制として構築できるものではなさそうですので、上場準備企業は、とりあえず最小限度、これだけは反社会的勢力との関係を発生させることを防止するだけの手段となりうる、といえるだけの体制作りにできるだけ早期に対処しなければなりません。そのコンサル企業のノウハウをあまりここで詳細に紹介することはできませんが、お聞きして「なるほど」と思えるところはたくさんございました。なお、そういったノウハウはIT全盛の時代、グーグルで検索して蓄積できるようなものではございません。実際には広範な人的ネットワークの駆使と、現実の修羅場をくぐった経験、専門家集団との協力体制は不可欠ですし、なによりも複数名の社員をクライアント企業に派遣して実際に業務に従事させたり、役員との交流を通じて何ヶ月もその企業の内実を観察するところから始まる、というあたりも徹底されています。こういったプロのコンサルタント業務もたいへんだなぁと思いましたが、今後こういったコンプライアンス体制構築への取組みを始める必要のある上場準備企業も「たいへんかも・・・」と思った次第であります。いずれにしましても、こういった反社会的勢力との関係というものは、ほとんどがまず自社内部における「公開されたくない不祥事」「司法機関以外での解決を必要とする紛争」といったグレーゾーンを企業が抱え込むことに発端があるでしょうから、そういった芽を根絶する体制こそ真剣に検討すべきところでありましょう。

※本日は、このエントリーの話題以外にも、日経朝刊に出ておりました「同和鉱業の長期保有株主優遇策と株主平等原則」問題(やっぱり、私と同じことを考えている方もいらっしゃったんですね。私はいまでも、その経済的利益に関する平等とは別に、支配権に影響を与える優遇策に該当するものと考えておりますし、株式の受給関係を直接企業がコントロールするような方策は、そもそも適正な株価形成機能を毀損するので、自社株買いのように法の予定するもの以外には認められないのではないか、と考えておりますが、どうなんでしょうか・・・)や、富士火災の行動規範の無効確認訴訟問題(これは企業コンプライアンスと行動規範との関係を検討するにあたって非常に興味深いですね)などなど、エントリーを残しておきたい話題が豊富でありましたが、またまた時間が足りなくなってしまいました。。。残念ですが後日、とさせていただきます。

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