2023年8月10日 (木)

中部電力、カルテル課徴金事案について役員を提訴せず

6月8日のエントリー「電力カルテル事案への株主提訴請求-さあ、どうする監査担当役員?」でも記載しておりましたが、中部電力の株主の皆様が同社監査役に対して「カルテル事案が発生したことについて役員に損害賠償させろ(賠償を求める裁判を提起せよ)」といった要求を出していた件について、中部電力社は「提訴しない」という判断に至ったそうです(中部電力社のリリースはこちらです)。

中部電力社は275億円の課徴金処分に対して、すぐに「処分は不当」として取消訴訟を提起しているので、この公取委と闘う姿勢と、今回の監査役全員の判断(歴代役員20人について、カルテルへの関与や黙認等の過失を根拠付ける事実は認められない)との間には矛盾はないように思います。ただ、取締役らに関与や黙認がなかったことと、取締役らがカルテルもしくはカルテルのおそれのある行動を認識するための内部統制の構築責任とはやや論点が異なるものと思われますので、株主代表訴訟においては役員関与の有無だけでなく、このあたりも重要な争点になるのではないかと推測します。

また、2015年の住友電工事件でも話題になりましたが、公正取引委員会が保持している文書について、株主側からの文書提出命令が(株主代表訴訟とは別の申立事件として)認められましたよね。たしか文書提出命令が出された直後に多額の賠償金による和解が成立していた記憶があります。今回も関西電力社や九州電力社はリニエンシー(自主申告制度)を利用して課徴金の免除や減額を得ていますので、たとえば中部電力社の株主代表訴訟において、株主に有利な証拠が公取委の保持する資料から得られるのかどうか、という点にも興味が湧いてきます(すでに公取委と中部電力社との行政訴訟において証拠として提出されているものもあるかもしれませんが・・・)。

なお、中部電力社の監査役は、会社を代表して(代表取締役に代わって)提訴判断を行うわけですから、株主利益の最大化のために提訴判断を行います。しかも提訴請求、株主代表訴訟(責任追及訴訟)は少数株主保護のためではなく、個人株主でも行使できる制度です。提訴請求に対して、監査役は外部の法律事務所の意見を聴いて「善管注意義務はない」と判断することになりますが、そもそも外部の法律事務所との意見交換を記したメモについては文書提出命令の対象になるのでしょうかね?

といいますのは、先日の伊藤忠・ファミマTOB事案において、ファミマ側の特別委員会の議事録(法務アドバイザーとのやりとり)は文書提出命令の対象となり、少数株主側への開示対象となりました(こちらの伊藤歩さんの東洋経済記事参照)。単純な「内部作成文書」とばかり私は思っていましたが。。。このあたり、私もよく監査役(監査委員、監査等委員)の支援業務を担当することがあるので気を付けているところでして、提訴請求への判断自体が善管注意義務に違反しないように配慮する必要があるかも、と考えているところです。きちんと残しておかないと直接のクライアントさんから提訴されるリスクがありますが、あまり詳細に残しているとその背後の実質的な依頼者(株主)の方から提訴されるリスクがありますので、どうしたものかと(しかも公取委相手の取消訴訟は、現実的にはほとんど勝ち目がない、ということでして、いろいろと配慮すべき事項がありそうです)。

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2023年6月 8日 (木)

電力カルテル事案への株主提訴請求-さあ、どうする監査担当役員?

6月7日、日経、朝日が報じるところでは、大手電力4社(中部・関西・九州・中国)が事業者向けの電力供給でカルテルを結んでいた問題で、4社の株主が本日記者会見を開いたそうです。各社株主は、それぞれの監査担当役員に当時の取締役らを会社法423条に基づいて提訴するよう求めました(基本的には損害賠償請求訴訟の提起を求めるようです)。また、各社の監査担当役員が提訴しなければ、8月にも株主代表訴訟を起こす、とのこと。

この問題は、今年3月、公正取引委員会によって4社が顧客獲得を制限するカルテルを結んだと認定したことで大きく報じられることになりました。その結果として、中部電力・九州電力・中国電力の3社には、過去最高の総額1010億円の課徴金納付命令が出されています。すでに報じられているとおり、関西電力はリーニエンシーの適用事例として調査開始前に違反を申告しましたので、行政処分を免れています(たしか課徴金が課されている九州電力についても、公取委の調査に協力したとして課徴金の減額は認められていたかと)。←unknown1さんのご指摘を受けて修正いたしました。

ところで価格カルテルについて公取委の課徴金が課された事例の株主代表訴訟といいますと、昨年3月28日の東京地裁判決があり(世紀東急工業事件-控訴審係属中)、当時の経営トップを含む4名にそれぞれ15億から17億円の賠償責任が認められています。会社法423条責任(役員の会社に対する善管注意義務違反)の根拠としては、会社を名宛人とする独禁法の違反を主導したこと又はこれを黙認していたことが(内部統制構築義務を持ち出すまでもなく)「役員の法令遵守義務違反に該当する」というもの。とりわけ公取委の課徴金についてとくに争わずに会社として自認していることについては「取締役の善管注意義務違反と会社の損害との相当因果関係あり」と判断する根拠とされています。

このほかにも平成25年以降、会社の罰金や課徴金(による会社の損害)と取締役の善管注意義務違反の事実との相当因果関係を認めた裁判例がいくつか出されていますが、このような裁判例が出ている状況において、株主から提訴請求を受けた監査担当役員(監査役、取締役監査等委員、取締役監査委員)の皆様は、どう対応するのでしょうか。株主の要求に応えるのであれば、社長を含む経営陣(元経営陣)と対決する覚悟が必要ですし、また経営陣には問題なし、と判断すれば、今度は監査担当役員自身が株主(最近は海外ファンドも積極的です)から賠償責任を問われる可能性が出てきます。まさに「前門の虎、後門の狼」状態。監査担当役員の覚悟が求められる有事です。

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2020年6月11日 (木)

関電金品受領問題-関電は現旧の監査役を提訴するのだろうか?

6月9日の朝日新聞朝刊(関西版)に、私のコメント付きで報じられておりましたが、関電の金品受領問題について、新旧取締役の責任の有無を判定する調査委員会の報告書がリリースされ、合計5名の取締役の方々に「善管注意義務違反あり」「取締役らの責任額は合計10億円以上」とする意見が述べられました。

この責任調査委員会報告書について拙ブログで詳細を述べることは控えますが、内容的にはとても秀逸であり、とりわけ関電取締役の「善管注意義務」の内容を4つの視点に分けて考察しているところは非常に説得的だと感じました。さらに、当該義務違反行為と相当因果関係が認められる責任額も(多い人で)10億円を超えるものとされており、この調査報告書を受けて、関電の監査役(会)が取締役らを提訴するかどうか、6月17日までに判断するそうで、今後注目されるところです。

ところで、今回の「取締役に対する責任調査委員会」は、昨年11月および今年3月に、一般株主から提訴請求がなされたことを受けて(監査役会が)設置したものと思われますが、一方において関電の取締役会は、監査役に対しても提訴請求がなされているにもかかわらず、「監査役に対する責任調査委員会」を設置していません(こちらは、提訴判断をするのは監査役会ではなく、取締役会です)。おそらく、取締役会において提訴すべきかどうか、内部で調査のうえ(提訴請求から60日以内に)判断するものと推測いたします。

会社が監査役の責任を追及するにあたり、オリンパス事件や東芝事件の頃からずっと疑問に思っているのですが、監査役の責任が追及される裁判において、監査役は過失相殺の抗弁を主張することはできるのでしょうかね?会社法に詳しい方がいらっしゃたらぜひ教えてほしいのですが。。。かつてナナボシ事件判決(会計監査人の監査見逃し責任が、ナナボシの再生債務者管財人から追及された事件-大阪地裁判決、大阪高裁で和解)では、会計監査人が過失相殺を主張して、会社側に7割の過失が認められました(つまり賠償額が7割減額されました)。

このナナボシ事件の大阪地裁判決からすると、会社が原告となって監査役を訴えるケースでは「会社の社長や専務が監査役に報告してこなかったのだから、たとえ私に落ち度があったとしても、会社の構造的な欠陥のほうが悪質だ」と主張して、責任額を争うことができるように思えます。しかし、会社の責任追及を代位して行う「株主代表訴訟」でも、監査役が(原告株主に対して)過失相殺の抗弁を主張できるかどうかは、おそらく裁判例もないので不明です。常勤の監査役さんであれば、会社に遠慮して過失相殺の抗弁など出さないかもしれませんが、弁護士や公認会計士の「社外監査役」さんであれば、(もし出せるのであれば)普通に抗弁を出すことが考えられます。

この点、有名な野村證券株主代表訴訟の最高裁判決(最高裁第二小法廷平成12年7月7日判決)では、河合伸一裁判官によって、以下のような補足意見が述べられています。

・・・過失相殺の規定(民法四一八条)を適用し,あるいはその趣旨を類推適用することも,検討されるべきである。取締役は会社の機関であり,対外的には一体と見るべきものであるが,会社の取締役に対する損害賠償請求権が訴求されているときには,たとえ取締役が現在もその地位にあるとしても,両者は債権者と債務者の関係にあるから,右規定が適用されることは自然である。また,たとえば取締役の行為が本規定に該当するものではあるが,それは会社の歴代の経営者がしてきたことを継承するものであるとか,会社の組織や管理体制に牢固たる欠陥があるなど,いわば会社の体質にも起因するところがある場合には,損害賠償制度の根本理念である公平の原則,あるいは債権法を支配する信義則に照らし,右規定を類推適用することが許されてよいと考える(最高裁昭和五九年(オ)第三三号同六三年四月二一日第一小法廷判決・民集四二巻四号二四三頁,最高裁昭和六三年(オ)第一〇九四号平成四年六月二五日第一小法廷判決・民集四六巻四号四〇〇頁参照)。もっとも,右の例のような場合,取締役は会社の体質を改善すべき義務を負うものであることも,考慮されなければならない。また,本規定に基づく責任が関与した取締役の連帯責任とされていることが,過失相殺規定の適用又は類推適用を困難にする場合もあろう。しかし,そのようなことも考慮しつつ,なおこれによって妥当な結論を導き得る場合があると考えるのである。

上記河合判事の見解からすると、そもそも会社に対して過失相殺の抗弁が立つ以上、株主代表訴訟でも主張することはできるのかもしれません。

会社が取締役の責任を追及する訴訟では、提訴請求を行った一般株主も、会社が提訴した裁判に参加しますので(共同訴訟として参加します)、馴れ合い訴訟はできません。事案の性格からみて、被告である取締役は、監査役の過失を主張して自らの責任を減じることはあまり考えられないものと思われます。一方において、監査役が会社から提訴された場合には、監査役は「そもそも我々を疎外して不正を行った取締役が悪いのだ」といった過失相殺の抗弁を出すことで、責任額を減少させることは十分に考えられます。そして抗弁の主張立証に成功すればするほど、ますます取締役の責任根拠となる「内部情報」が、裁判上で明るみになる可能性があります。

ということは、関電の取締役会としては、監査役の方々を提訴しないほうが、自らの地位を守ることにもなる、というインセンティブが働くように思うのは私だけでしょうか。株主からの(現旧7名の監査役に対する)提訴請求がなされたにもかかわらず、「監査役責任調査委員会」を設置しなかった理由については、ぜひとも知りたいところでありますし、果たして関電が現旧7名の監査役の方々を提訴するかどうか、とりわけ取締役責任調査委員会の報告書が出た現時点においての判断に注目されます。

ちなみに関電の事例とは関係ありませんが、かりに社外取締役の責任も追及されて「責任あり」とされた場合、「俺は(私は)会社との間で責任限定契約を締結しているからだいじょうぶ」と考えておられる方も安心していられない、という論点があります。損害賠償債務は「連帯債務」とされているので、たとえば社長が3憶円の損害賠償責任を果たした後に、社長から社外取締役に求償権が行使されます。その求償権については「責任限定契約」は及ばないので、対会社との関係では1200万円で済む話も、対社長との関係では5000万円の請求を受ける、ということもありえます。そのあたりは拙ブログを開設した2005年ころからのナゾであります。

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2009年10月19日 (月)

日本興亜損保報道にみるOB株主の「発見力」

企業コンプライアンス関連の報道としては、ここのところ連日のようにJR西日本(事故調査委員会)関連のニュースが続いておりますが、日本興亜損保の支払保険金先送り問題も、なかなか興味を惹く事例であります。今年5月元役員の株主の方が、「会社は2008年に支払うべき保険金をわざと遅らせているのであり、指示した取締役を提訴せよ」と監査役に請求したところ、当該監査役は弁護士、公認会計士を含む調査チームを組織して調査したうえで、「そのような事実はない」とのことで提訴しない決定をしておりました。ところが、金融庁からの調査指示が出されて、あらためて社内調査をしたところ、合計40件、総額7億円分の支払遅延があった、とのこと。(なお、調査対象は自動車保険に関する500万円以上の大口契約分だそうであります)

報道では、監査役の調査対象は「取締役による指示の有無」ではなく「問題とされている支払遅延の有無」だったようですから、おそらく監査役が説明した不提訴の理由も「株主が指摘するような支払遅延の事実はなかった」ことによるものと思われます。ただ、そうなりますと、「弁護士や公認会計士まで投入した内部調査までして、いったい監査役は何を見ていたのか?」といわれそうな気がいたします。朝日新聞ニュースの記事によりますと、今回「支払い遅延」が判明したのは、全国の主要損害調査部門から事情を聞いたところによるものだ、ということでありますが、それくらいのことは当然に社内調査が済んでいるはずでありますから、「なぜいまごろ・・・」といった疑念はぬぐいきれません。とりわけ日本興亜損保社は、平成19年3月14日には「支払管理に関する内部管理体制の不備」を理由に業務改善命令と一部業務停止命令を受けているわけですから、支払管理の不備に関するリスクは十分に認識されていたものと思われます。そのような中で、株主からの請求に対しては「事実はなかった」とする反面、金融庁からの調査指示に対しては「支払遅延があった」とする報告につきましては、どうも納得がいかない方もいらっしゃるかもしれません。ひょっとすると、失効返戻金の取扱などについて会社側と金融庁側との間で「不払いに該当するか」「交渉が長引いていることを『遅延』とみるか」といった解釈の違いがあり、監査役側としては、これを「不払い」には該当しない、といった扱いにしていたのかもしれません。ただこれも、おそらく2007年の業務停止命令を受けた後であれば、会社としても十分に不払いとみなされないような配慮はされていたものと思われます。

金融庁の調査指示は、(報道によりますと)この元役員の方の指摘を発端としたもの、ということですが、たとえ役員ではなくても、これからのコンプライアンス問題として、こういった会社を退職された方々(OB、OG株主の方々)の存在は株主総会や代表訴訟などにおいて無視できない存在になってくるのではないでしょうか。以前にも少し書きましたが、上場会社の監査役の方々とお話をしていて、こういった「OB株主」の方々は団塊の世代のリタイアとともに大きくクローズアップされているようであります。(1)OB株主の総会出席が急増している、(2)一株主として、当時の上司(役員)へ不満をぶつける、(3)社内の事情に精通しており、爆弾発言もありうる、(4)生計のための資産運用なので必死、(5)なんといっても時間があるため、総会における質問準備も万全・・・といったあたりが話題となっておりました。たしかに、産経WEBの特集記事(日本興亜損保株主総会の実況中継)などを読みましても、元役員の他にもOB株主が熱心に社長さんへ質問をされていたようであります。

保険会社は金融庁による厳格な監督を受ける立場ゆえに、報道のような事態になったのかもしれませんが、一般の上場会社におきましても、OB株主による総会質問や提訴請求権行使などにより、コンプライアンス問題が一気に表面化する可能性もあろうかと思われます。(内部通報窓口を担当している立場からすると、やはり労務コンプライアンスについては通報件数も多く、企業グループ全体の社会的評価を毀損しかねないような話題も多いように感じております)地味な考えかもしれませんが、最近少なくなったと言われている「OBとの懇親会」などにおいて、きちんと現経営陣が話を聞き、説明義務を尽くすことが必要なのかもしれませんね。「腹に収めておく」「墓場まで持っていく」などという言葉は(期待される向きもあるかもしれませんが)もはや死語になりつつあるのかもしれません。。。

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2009年6月15日 (月)

不提訴理由通知書(会社法847条4項)に対する裁判所の心証とは?

日本興亜損害保険株式会社の元役員の方が、先月「現取締役はわざと保険金支払いを遅らせて(利益をかさ上げして)粉飾決算を行っているので、会社として責任追及せよ」との提訴請求を行ったのに対して、6月12日に日本興亜損保の監査役は「提訴はしない旨を元役員の方へ通知するとともに、あわせて会社法847条4項に基づく不提訴理由通知書を送付した」とのことであります。(日本興亜損保のリリースはこちら。なお朝日新聞ニュースはこちら)一体何が「会社の損害」なのか、そもそも損保ジャパンとの統合に関する紛議の延長線上の問題なのではないか、といった疑問もあるかもしれませんが、いずれにせよ、提訴請求(および提訴しない場合にはその理由を開示せよ、との請求)につきましては、その対応が監査役の方々にはあらたな任務懈怠リスクである、と言われておりますので、こういった事例はとても参考になるところであります。

会社が取締役の責任を追及する訴訟においては、原則として会社を代表するのは監査役であります。(会社法386条1項)これは、代表取締役だと、責任追及の対象となる取締役との間において「なれあい」が生じる可能性があり、本来起こすべき訴訟を提起しなかったり、出来レースの訴訟を提起するなど、代表取締役には株主のため忠実にその職務を執行することが期待できないからであります。そこで監査役に会社を代表して取締役に対する訴えを提起するための権限が付与されるわけでありますが、もし株主から提訴請求がなされた後60日以内に取締役の責任を追及する訴訟を提起しない場合には、監査役は株主や取締役の請求に応じて提訴しなかった理由を通知しなければなりません。そして、その通知方法につきましては、会社法施行規則218条に規定されており、その内容からしますと、事実認定や法律解釈、強制執行による会社損害填補可能性など、法律的素養がなければ判断が困難と思われる理由の開示も必要であります。また、現実には不提訴の判断に対して、株主自身が提訴することになるでしょうから、その際にはこの不提訴理由通知書の内容を裁判所に証拠として提出することになろうかと思われます。したがって、提訴請求を受けた監査役としましては、自身の任務懈怠を極力回避するために、公正な第三者(とくに法律的素養のある第三者)の意見を参考として、そのうえで理由書を発送することになるようです。今回の日本興亜損保の事件でも、粉飾決算が問題とされているようですから、日本興亜損保の監査役さんは、外部の弁護士、公認会計士からなる委員会に調査を依頼したうえで、最終的には自己の調査結果などをもとに提訴しない、との判断に至ったそうであります。(5名の監査役さんの間でも、意見は一致されたそうです)この監査役さんが(会社の顧問弁護士以外の公平中立な立場の)法律家や会計専門家に委託して調査を進める・・・という手法は、同様の場合には一般化するものと思われます。

ところで、この監査役が外部の弁護士、会計士に調査を委託する・・・というのは、提訴請求の内容についての判断ということになるのでしょうか、それとも監査役の調査内容に対する公正性に関する判断ということになるのでしょうか?たとえば、企業不祥事が発生した場合に、社内調査委員会の調査を外部の弁護士が支援する、というものであれば前者のようなイメージとなり、社内調査委員会の調査結果について、その判断の透明性や公正性を社外調査委員会が独自の観点から判断する・・・ということでしたら後者のイメージに近くなるものと思われます。今回の日本興亜損保のリリースからみますと、前者のイメージに近いもののようであります。(つまり、監査役が責任をもって最終判断を下すのでありますが、その判断の参考のため外部の第三者に勝訴見込み等を含めた提訴の可否を検討してもらう・・・というもの)監査役にとって任務懈怠(善管注意義務違反)を問われないためのデュープロセスということであれば前者の考え方が妥当であり、また一般的にもそのような意味で「第三者に委託する」ことが「好ましい」とされているように思われます。しかし、不提訴理由通知書自身が後の株主代表訴訟における書証として提出される場合、その内容が裁判官からみて「公正に作成されたものであり、信用できる」との心証を得やすいのはむしろ後者のほうではないでしょうか。そもそもこのたびの興亜損保の事件のように、取締役による粉飾決算が問題とされるのであれば、監査役といえども「見逃し責任」や「共犯責任」を株主から問われる可能性も大きいのでありますから、そもそも監査役にも公正中立な第三者性を期待することがかなり困難な場面が想定されます。たしかに提訴するか否かという点について、外部第三者の意見を聴取した・・・ということは、それなりに判断の客観性は担保されるかもしれませんが、その外部第三者の意見を踏まえて、さらに監査役としての独自調査のうえで最終判断を下す以上は、どうしてもバイアスがかかってしまうおそれがあると思います。所詮、外部第三者に調査を委託するとしても、これまでの数々の調査委員会報告にみられるとおり、情報へのアクセスが限られている外部第三者の調査によって、どこまで真実に近づけるかは不透明であり、それよりも監査役自身の知見によって調査を進め、最終的な判断に至るまでの過程を第三者に審査してもらうほうが不提訴理由通知書の有用性は高いように思えるのですが、いかがなものでしょうか。監査役の判断の公正性中立性を、外部第三者の目からみて判断する、ということであれば、判断内容に稚拙な点があるかもしれませんが、それでも客観的にみて監査役が公正な第三者的な判断を行ったもの、といった裁判所の心証は得やすいものと思われます。ただ、監査役の判断の元になったものが第三者の意見ではなく、現実の資料によるということでしたら、株主側からの文書提出命令の申し立てによって多くの資料が開示の対象になってしまう可能性は否めないように思われます。

本来この監査役による不提訴理由通知書制度というものは、裁判所もその判断内容をある程度重視して、早期に裁判の終結をさせてしまうための「事前審査制度」(予審制度?)などをイメージして制定されたのではないかと思うのでありますが、そうであるならば、不提訴理由通知書に対する裁判所の心証(監査役が公正中立の立場で、もしくは株主の利益を考慮しながら作成したものかどうか)という点もかなり重要視されるべきではないかと思います。監査役の意見形成に法律・会計的素養のある方が参与するというモデルよりも、監査役の意見形成結果について、その意見形成の過程や結果の相当性につき、法律・会計的素養のある方が第三者の目で事後審査するというモデルのほうが、本来の不提訴理由通知制度の趣旨に合致しているようにも思えるのでありますが。そもそも、株主代表訴訟につきましては、不提訴理由通知制度以外にも、被告取締役側に会社が補助参加する場合の同意権が監査役に付与されていたり、原告株主と被告取締役との和解について会社が応じるか否かの検討の機会も監査役に付与されておりますので、極めて会社代表者(監査役)としての公正性・中立性が問われる場面でありますので、裁判所としても、そのあたりへの関心が高いところではないかと思われます。上記は通説的見解とは反する私見でありますので、未だ思いつきのレベルに過ぎず、自身における今後の検討課題としておきたいと思います。

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2006年9月28日 (木)

株主代表訴訟と監査役の責任

ダスキン控訴審判決(問題の整理編)に、監査役サポーターさんから、コメントをいただきまして、私も勉強のために少しばかり調べてみました。(コメント、ありがとうございます)

1 株主代表訴訟で監査役の責任が認定されたのは、おそらくこれが初めてのケースではないかと思いますが、どうなんでしょうか?(破産会社について、破産管財人が提起した訴訟では前例があったように思いますが。)

監査役も会社に対して善管注意義務を負う立場にあるわけですが、その責任が認められた判例というのは(すくなくとも上場企業という限定でいいますと)非常に少ないように思います。破産管財人が提起した訴訟とおっしゃっているのは、会社更生手続中の会社に関して、更生手続開始前3年間に違法配当を行ったにつき、取締役、監査役の責任が問われた事例(判例時報854号43頁)のことではないか、と思われます。(東京地裁決定昭和52年7月1日)いわゆる粉飾決算の内容について、適法適正なものと報告したことが監査役の任務懈怠と認定されたもの(35億円を取締役と連帯して支払う)です。

ただ有名な大和銀行事件につきましても、ニューヨーク支店に往査に出かけた監査役に対して、大阪地裁の判決は当時の会計監査人の財務省証券の保管残高確認方法が不適切であったことは、往査に出向いた監査役は当然に知りえたものであって、その検査方法の不備を看過した点においては当該監査役は任務懈怠の責を負うものと判示されております。(ただし、任務懈怠による損害の範囲が証拠上確定できないとして請求は棄却されておりますが)

2 この訴訟では、社内・常勤監査役は、何故被告とされなかったのでしょうか。この社外監査役は、弁護士で事件の調査にもあたったから被告とされたのでしょうか。(つまり、監査役として、というよりも、関係した弁護士がたまたま監査役で、代表訴訟の土俵に乗っかった、ということに過ぎないのでしょうか。)

判決文を原審、控訴審と読み直しましたが、いずれも「なぜ常勤監査役が被告に含まれていないのか」を裏付ける事実関係は掲載されておりませんでした。これは裁判所の判断とは関係ありませんので(もともと被告として選定されていない。代表者に不祥事の即時公表を強く勧めた当時の社外取締役さんもそうですが)、原告株主の意思を推測するしか方法はないわけでありますが、おそらく監査役サポーターさんと同趣旨の見解からではないでしょうか。代表訴訟を提起する時点における株主の方々の情報は限定されていると思いますが、積極的に不祥事を隠蔽することに加担した人は誰か、といったあたりから、当該社外監査役が被告としての地位に立つべしとされたのではないかと思われます。そもそも、社内で違法添加物混入肉まんが売られていた、といった噂が蔓延していたころに、社外取締役のおひとりの提言で調査委員会が発足し、当該社外監査役の方は、その調査の中心的役割を果たされたようです。その調査において判明した事実からすれば、当時、公表を遅らせることに関してのリスク判断は十分可能であったとみなされたのではないでしょうか。ただ、取締役会で正式に調査報告がなされたのが、匿名による不祥事通報がなされる半年も前ですから(事実認定は控訴審判決内容に基づく)、当該取締役会に出席していた他の監査役にも、経営判断を行う立場にはないにしても、なんらかの責任が生じるようにも思えますね。このあたりは、判決のなかで判断が示されているわけではございませんので、これ以上はなんとも申し上げようのないところではございますが。(もし、このブログをご覧の方で、詳細経緯をご存知でしたら、差しさわりのない範囲でご示唆いただけますと幸いです。)

先の大和銀行事件におきましては、なかなか厳しいものがございますが、一般的にはこれまでの監査役に対する判例の立場というのは比較的寛容だったのではないでしょうか。(ひょっとすると、代表訴訟において提訴請求の関係などから、監査役が被告に選定されにくかった、という問題もあるかもしれませんが。事実、ダスキン訴訟におきましても、原告株主は当初、提訴請求の相手方を間違っていたようです)それはやはり、現実の会社における監査役の立場だとか、現実の職務などからして、「経営判断に監査役自身が関与している」と同視しうるような場合以外にまで、監査懈怠というのを真正面から問うことはしなかったんじゃないか、と思います。ただコーポレート・ガバナンスの開示(監査役の資質の情報開示)や、内部統制システム構築論の進展(相当性判断)、会計監査人との連携強化の必要性など、最近の監査役を取り巻く監査環境の変化から考えますと、これまで同様、監査役の責任について裁判所は寛容であるかといいますと、そういうことはないような気がします。

また、社外監査役に弁護士とか公認会計士など、いわゆる法務財務の専門職の人間が就任しているケースでは、その責任が認められる確率というのは高まるのかどうか、これも重要な問題ですね。(予測可能性が一般の常勤監査役よりも高まるわけですから、注意義務違反というものも認定されやすくなるような気がします)さらに今回は、代表訴訟と監査役の責任ということで論じましたが、代表訴訟と社外取締役の責任という点でも、また別個の論点を提示することが可能かと思います。たとえば、ダスキン事件のケースでは、先の「公表を強く勧めた」社外取締役は被告に含まれておりませんが、社外取締役としては、どこまでのことをやっておけば善管注意義務違反に問われないのか、本件のように文書で代表者に反対意見を送っておけばいいのか、取締役会の議事録にきちんと反対意見を留めることが必要なのか、辞任しなければいけないのか、自ら進んでリスクを背負って公表しなければいけないのか・・・・などなど。

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