3年ぶりに改定された監査役監査基準
本日、社団法人日本監査役協会のHPにて、3年ぶりに改定された監査役監査基準が公開されております。(改定監査役監査基準)おもに内部統制システムの整備運用に関する監査や、買収防衛策への対応、代表訴訟制度における不提訴理由通知制度など、会社法への対応を中心とした改定が確定したことになります。
すでにリリースされておりました公開草案と、今回の確定版との違いにつきましては、対照表が公開されておりますので、そちらでご確認ください。目立ったところで申し上げますと、「監査役および監査役会は」とされていたのが「監査役は」で統一されているところと、公開草案第30条で規定されておりました「財務報告内部統制」に関する条項がすべて削除されているところであります。とりわけ財務報告内部統制への検証、監視といった監査役の権限が明記されておりましたのは、今回の改定版の「目玉」かと思っておりましたので、この全文削除には少し驚きました。そもそも「財務報告内部統制」といった概念は、金融商品取引法上の内部統制報告制度と親和性を有するものと考えられますが、そうであるならば、非上場企業の監査役監査にも適用されるべき監査役監査基準の条項としてはふさわしくない(「会計監査人」なる文言が用いられておりますし)、との判断があったのかもしれません。また、もし「財務報告内部統制」への監査役の関わりを規定するのであれば、ニュースリリースにも記述されておりますとおり、今後策定が予定されております「内部統制システムへの監査実施基準」(改定監査基準21条7項)のなかで、細則として規定される予定なのかもしれません。ただ、公開草案43条2項から改定監査基準の42条2項への文言の変更から推測してみますと、「財務報告に係る内部統制」と監査役監査との関係を完全に断ち切ったものとまでは言えませんので、とりあえず会計監査人の内部統制監査に対する監査役の関わり方について、「検証」する立場というよりも、「協力、連携」といった立場を前面に押し出した形で解決したのではないか、という見方も成り立ちそうであります。さらに、もう少し細かい話になりますが、公開草案の43条2項の規定は、よく読みますと、会計監査人によるダイレクトレポーティングを想起させる文言となっておりますので(会計監査人による評価に関する・・・)、そのあたりを変更したものと考えることもできそうであります。ただ改定監査基準42条2項の「財務報告に係る内部統制に関するリスク評価」という文言も、すこしわかりづらい内容ですよね。(内部統制に関するリスク評価って、いままで考えてきましたでしょうかね? とりあえず、以上はあくまでも私の推測であります。このあたり、詳しい方がいらっしゃいましたら、またご教示くださいませ)
今後、東京、大阪、名古屋にて、改定監査役監査基準の解説会が開催される予定のようですので、またご関心のある方は、参加されてはいかがでしょうか。
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