2011年2月20日 (日)

レックスHD損害賠償請求事件の東京地裁判決(速報)

今年に入ってMBOを行う企業が多いことがよく報じられておりますが、2月18日金曜日に東京地裁第15民事部にて、レックスホールディングス元株主損害賠償請求訴訟の第一審判決が出たようであります(過去のエントリーはこちらでございます。ご参考までに。まだ新聞等では報じられていないようですね)。元取締役、元監査役の方々は、とりあえずホッと胸をなでおろしておられるのではないか、と。つまり、原告(元株主)らの請求が棄却されております。

しかし、2008年ころの価格決定申立事件では、地裁決定と高裁決定では大きな価格の違いが出ました(23万円→33万円でしたっけ?)し、元役員の善管注意義務、忠実義務違反の有無を争う本件も、また高裁で違った内容の判決が出る可能性が十分ありそうな(ツッコミどころが多い)判決内容と理解をいたしました(なお、これはあくまでも外野の弁護士の主観的な意見でございます。あしからず。具体的にどこ、というのはちょっとエチケット違反になりそうなので差し控えさせていただきます。判決文の重要なポイントだけしか未だ読んでおりませんし・・・・・)。日本の取締役にレブロン義務が課されるのか?という点も諸説あるようで。。。たぶん、原告の皆様も控訴される方が多いと予想しております。

とりあえず速報版ということで失礼いたします。

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2009年5月29日 (金)

レックスHD事件に対する最高裁決定(東京高裁判断を認容)

本日(5月29日)最高裁(第三小法廷 近藤崇晴裁判長)より、レックスHD株式取得価格決定事件の特別抗告、許可抗告に対する決定が出ました。(ときどき当ブログにも登場される あの方が事務局をされていらっしゃるHP に決定全文がすでにアップされております。A4で7ページ程度ですので、比較的短時間で読める分量です。)最高裁は、抗告人(レックスHD側)の主張を排斥して、旧レックスの株主側勝訴の決定(本件抗告を棄却)を出しております。これにより、東京高裁の決定が確定することになりました。(なお、東京高裁決定は、金融・商事判例1301号にて全文がお読みになれます)

若干法律専門家の方々からは(用語が不正確ということで)異議が出る解説かもしれませんが、本事案の概要は以下のとおりであります。

レックスHDのMBO(株式非公開化を伴うマネージメント・バイアウト)を行う際、投資ファンドが(一般の株主の方から)TOB(株式公開買付)によって、その保有株式を買い上げます。その際、一部の株主の方が、「TOB価格が安すぎる」としてこれに応じませんでした。また、会社側からの「業績下方修正」に関するリリースのタイミングも、株主の不信感を増幅させる原因となりました。そして最終的には会社法172条1項(全部取得条項付き種類株式の取得価格決定申立)によって、最後までTOBに応じなかった株主の方々が公正な取得価格を裁判所に決めてもらおうと頑張っていた裁判であります。なお、90%以上の旧レックスの株主の方々は「あとで面倒なことにならないうちに、安いのかもしれないけど売っちゃおう」ということで、TOBに応じておられます。(というか、この解説自体、若干問題あるかもしれませんが・・・細かいところは目をつぶってください。。)ちなみにTOB価格は23万円だったところ、第一審である東京地裁はほぼTOB価格に近い金額を妥当としておりましたが、東京高裁は337,000円が取得価格として妥当と判断しておりました。(つまりこの33万7000円で確定した、ということになります。)

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本日の最高裁決定は、5名の裁判官全員一致で、高裁の判断は裁量の範囲内のものであり、とくに判例違反はない、として概ね訴訟法マターで抗告理由を排斥しております。そして特筆すべきは、弁護士出身である田原判事が「1 取得価格の意義」「2 取得価格の決定」「3 原決定と裁判所の裁量」に整理をされたうえで、かなり詳細な補足意見を展開されておられる点であります。(おそらくこの内容は旧レックス株主側にとってみれば「痛快」の一言ではないでしょうか?)そういえば5月16日の日経新聞「大機小機」におきまして、「法化社会と最高裁判事の構成」なるオピニオンが掲載され、編集委員の方が「最近の最高裁は企業法制を論じる能力のある判事がいない」と嘆いておられました。しかしながら大阪の企業法務に精通した法律事務所のご出身で、まちがいなく倒産法制の第一人者でいらっしゃる田原判事の補足意見につきましては、「教授痴漢事件」や「ふともも盗撮条例違反事件」における反対意見以上に説得力のあるものと認識いたしました。とりわけ旧レックスホールディングスが「株主へのお知らせ」と題する文章のなかでの表現が「『強圧的な効果』に該当しかねない」と判示されている点につきましては、「ドキ!」っとされていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

この最高裁決定におきましては、「スクイーズ・アウト(少数株主の締めだし)を伴うMBO」について、それが従業員主導型のものであれ、ファンド主導型のものであれ、「構造的な利益相反状況」にあることを出発点として認めたところに大きな意義があると思われます。レックスによるMBO実行後、金融商品取引法の改正などにより、株主保護のための開示規制なども進んでおりますが、最近のシャルレのMBO事例にもみられますように、やはり今後におきましても、MBO手続の公正性・透明性については経営者側が最大限の配慮を必要とするものでありまして、それはMBOの体系がいかなる特色(従業員主導型か、ファンド主導型か、など)を有していたとしても同様である、ということであります。つまり、取得価格の決定にあたり(これは略式株式交換等が用いられた場合に少数株主に保障されている株式買取請求権が行使される場合にも基本的には同じだと思いますが)、裁判所は経営者が透明性・公正性にどれだけ配慮してきたか、という点を考慮しながら株式価格を決定することも「裁量の範囲内」であるとして、経営者と資金提供者との公正価格決定手続だけに重きを置かない場合がある、ということで、今後のMBO実務に大きな影響を与えるのではないでしょうか。また逆にいえば、経営者側(会社側)が、MBO事案におきまして、この構造的な利益相反状況における透明性・公正性についてのしっかりとした整備・運用を立証することに成功した場合には、今度は企業価値算定における詳細な理論によって株主側が反証したとしても、「裁判所における裁量の壁」を突き崩すのはかなり困難になってくる・・・ということも言えるかもしれません。

しかし田原判事の補足意見を拝読して、すこしビックリしたのは、最高裁判事もやはり経産省・企業価値研究会の「MBO報告書」の内容を引用し、その報告指針については判断材料として考慮している点であります。これは引用の趣旨が異なるとしても、第一審、控訴審、最高裁(補足意見ですが)と、いずれの裁判所も、その決定理由において「MBO報告書」には一定の配慮を示すものでありまして、ソフトロー(ここでは経産省のガイドライン)が企業法務に及ぼす事実上の影響力の大きさをあらためて痛感せざるをえません。(今度の6月の企業統治研究会の報告書はどうなんでしょうかね(^^;;? )

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2008年9月13日 (土)

レックスHD株式価格決定申立事件(高裁)逆転判決(速報版)

すごい決定が出ましたね。(三尊さん、おめでとうございます。私は2年前、ずいぶんと三尊さんを怒らせてしまいましたが、このような難しい裁判に実質勝訴されたことにつき、代理人の先生方を含め、素直に皆様方の功績に称賛をおくりたいと思います。もちろん、まだこれで終わったわけではないと思いますが・・・)MBOにおける商事非訟事件におきまして、専門家による高額の鑑定なしで、少数株主が実質的に勝訴した意義は非常に大きいものと思われます。いやホント、ビックリしました。

日経ニュースでも報道されているとおり、本日(9月12日)東京高等裁判所におきまして、旧レックス・ホールディングスのMBO(正確にはTOB価格)に最後まで反対されておられた約120名の株主の皆様方の一株あたりの買取価格を33万6966円とする決定が出されました。(ちなみに、原審東京地裁決定では昨年12月19日に一株あたり23万円とする決定が出ております)決定全文は、コメント欄で株主の会代表でいらっしゃる山口三尊氏が紹介されているHPにてご覧になれます。(私もすぐに全文を入手しました)

午後11時まで仕事をしておりましたので、まだ全文をきちんと読めておりませんが、ざっと読ませていただいたかぎりでは、東京地裁決定を完全に覆す決定理由ですね。おそらく少数株主の皆様が、当初より主張されていた内容にほぼ沿った形での判断過程をたどっているのではないでしょうか。おそらくこの決定につきましては、今後いろいろな法律雑誌で高名な先生方が解説を書かれることになるでしょうから、拙ブログで偉そうに感想を述べることも差し控えさせていただきますが、MBOの利益相反構造について、これほどまでに主張立証責任や、裁判所が斟酌すべき平均株価の算定期間の選択との関係で、真正面から採りあげた裁判例はなかったと思います。さらに、東京地裁が23万円を合理的な株価とした判断理由の大きなところ(多くの株主がTOBに応じたから、たぶん合理的な価格である、とする理由と、ほかにTOBをしてくるような会社が出てこなかったから、たぶん合理的な価格であるとする理由)をことごとく否定しているのは、少数株主側からみて痛快でしょうね。今後、「株式非公開化としてのMBO」を検討している上場企業にとっても、いろいろな行動指針を提供している点も高く評価されるのではないでしょうか。(この点はじっくり読んでみるとおもしろそうですね)

最後にどうしても触れておかねばならないのは、昨日のエントリーでも少し書きましたが、企業価値研究会の「MBO報告書」の裁判に及ぼす影響であります。東京地裁決定では、レックス側に有利に引用されておりましたが、この東京高裁決定では、逆に少数株主側にかなり有利に引用されております。ともかく、経産省企業価値研究会の策定する実務指針の司法判断に及ぼす影響については、これを別途研究する必要があるんじゃないでしょうか。(また、連休中にでも、じっくり全文を読ませていただこうかと思っておりますが、本日は速報版にて失礼いたします)

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2006年12月20日 (水)

レックスHDのMBOと少数株主保護(4)

前回の(その3)には、皆様方より、たいへん示唆に富むご意見、本当にありがとうございました。みつたかさんや、カネボウ株主さんのご要望のお応えしまして・・・というわけではなく、やはり私自身もこのテーマには非常に関心がございますので、まだまだ続きモノとして議論の材料をご提供してまいりたいと思っております。ずいぶんと過分なお褒めの言葉を頂戴しながら、またご期待に添えないものかもしれませんが、お付き合いのほど宜しくお願いします。

弁護士であれば、もう少し高尚な議論を展開したほうがいいんじゃないの?といった自問自答もあるんですが、なにせ素直に考えて、そっから疑問点を浮かび上がらせることのほうがブログ的には面白いでしょうし、お読みになっている方と一緒に考えるほうが社会的意義はあるでしょうから、以下のお話はレックス問題のみならず「上場廃止に伴うTOB」一般に通じるものとしてお考えください。そもそも、unknownさんがおっしゃるとおり、MBOにおける少数株主保護の論点というのはかなり以前から米国でもドイツでも議論されているところのようで、それなりに明解な結論が出ているものでもなさそうですんで、簡単に回答が出るものでもないのかもしれません。ただ考えるのがムズカシイのは、会社法と証券取引法とが交錯するところに位置する論点であるところに起因すると思われますが、日本の会社法と証券取引法の解釈次第では、米国ともドイツとも違った考え方というのもアリ、のような気がします。

1 なぜ少数株主は保護されなければいけないのか?

「少数株主の保護」と一口で言いますと、とても耳に心地いい響きでありますが、そもそも「少数株主」とは何を指すんでしょうか?議決権の過半数を握る株主との比較においてでしょうか、それとも3%保有しているだけの支配株主に対比される(数のうえでは多数に属する)一般株主を指すのでしょうか?それと「保護」というのは何を指すんでしょうか?「売却の機会確保」を意味しているのでしょうか、それとも財産的価値の確保を意味するのでしょうか?とりあえず、上場企業の非公開化、という側面において「少数株主の保護」という問題を議論する場合において、この定義が論者の間できちんと共有できているかどうか、そのあたりが私にはよくわからないところです。たとえば今回のレックスHDのMBO事例におきまして、一般株主からみて著しく低いTOB価格が提示されていると仮定した場合、「なに?23万円?じゃあ、うちは25万円で競合TOBをかけましょう」と考えて、競合他社がTOBをかけてきた場合、一般株主の方はMBOに応じるのか、競合者に応じるのか選択の余地が出てまいります。アメリカにおきましても、競合者が出てきたときのMBOの成功率は80%から50%まで落ちる、といった実証研究の結果も公表されておりますが、経営者としても簡単に競合者に反対するわけにはいかなくなるんじゃないでしょうか。こういった場面でも、さらに一般株主は「保護」される必要はあるのでしょうか?閉鎖会社も含めた「会社法マター」の問題として考えるのであれば、株主の財産的利益の確保、という視点を重視することも納得できるのですが、上場企業の非公開化という、証券取引法にも関連する場面を想定しますと、そのあたりの定義をはっきりさせておかないと「少数株主を保護」する必要性といいますか、制度趣旨のようなところが明確はならないものと思っております。また「少数株主は被害者」ということについてでありますが、印象としては3%を保有している支配株主が、強圧的なTOBをかけて一般株主から「シブシブ」株券提供を応じさせる、という図式になろうかと思うのですが、誰がどのような行為によって一般株主の法的利益を侵害した、というのでしょうか?現に、カネボウの役員の方々は特別背任罪で「告発」されているわけでして、被害者から「告訴」されているわけではありませんし、また株主代表訴訟といいますのも「会社に損害が発生しているから、会社に賠償責任を履行せよ」というものでして、一般株主の方々が、第三者責任を追及しているものでもありません。したがいまして、こういった株主の方の行動からは「株主の被害」というものが明確にははってまいりません。会社法上の「株主保護」として考えればいいのか、それとも証券取引法上の「投資家保護」として考えればいいのか、あるいはその両方なのか、そのあたりの考え方次第でも、先の疑問への回答は違ってくるように思われます。

2 会社法における株式買取請求権

最近はレックスのようなMBOが次第に増えてきておりますし、成功例がいくつも誕生すれば、来年あたり上場企業の非公開化(一般株主の締め出しを伴う)が益々さかんに行われるかもしれません。そこで、経営陣やそこに資金を投入するファンドや事業会社のMBOリスクについて考えてみたいと思います。さてどのようなリスクがあるのかな・・・と考えてみますと、先にも書きましたが、同業他社によって競合TOBをかけられる、というリスクとか考えられますよね。経営陣としては、このリスクをどう回避すべきか。この点については、MBOに関する開示情報のなかで、短期的には業績は落ちることが予想されるが、5年10年の長期展望においては企業の将来は明るい、と説明することで、「上場のままで短期のシナジー効果を得ることはできませんよ」という意思表示をハッキリさせて、短期的利益を必要とする競合他社によるTOBを予防する、ということが考えられるでしょう。そしてもうひとつのリスクとしましては、会社法上、少数株主に付与されるべき株式買取請求権の「公正な価格」についてではないでしょうか。興味深いのは、この株式買取請求権の条文が旧商法と新会社法とでは大きく変わったことですよね。以前は「もし合併がなかったならば、得られたであろう株主の利益」と解釈されていたわけですが、新会社法においては「公正な価格」、つまり企業の結合を前提として、そのシナジー効果があった場合に、そのシナジー分もすべての株主に適正に配分されているかどうか、という視点から適正な価格を考える、というものであります。(これを「新会社法実務相談」(377ページ)風に申し上げますと「株主に公正な対価の合併があったら、合併後におかれたであろう立場を保障するもの」だそうであります。)会社法上の株式買取請求権は、立派な裁判規範であります。これは裁判所が適正価格を決めるモノサシであります。つまり、「公正な価格」というものを、先に上げたような定義といたしますと、裁判所が非訟事件手続におきまして、「公正な対価の合併であったか、なかったか」を判定しなければならないわけでして、対象企業が上場企業の場合でしたら、当然に市場における株価形成の経過も考慮せざるをえないのではないでしょうか。しかし、上場企業の非公開化の場面におけるTOB価格というのは、その是非を一般株主が判断できるほどの情報というものは公開されているのでしょうか?そもそも証券取引法において企業情報が株主に開示される趣旨といういいますのは、私が理解しているかぎりでは投資家保護よりも迅速、公正な価格形成のため、というのではなかったでしょうか。(金融商品取引法の立案担当者も、開示制度は透明性、公正性のところで分類されています。むしろ投資家保護は、迅速な価格形成が可能となることによる反射的利益に近い位置づけではないかと・・・)そうだとしますと、そもそも十分な情報開示がなされていない場面では、この株式買取請求権の「公正な価格」を算定する前提がない(つまり価格形成機能の不全)わけでして、少数株主の最大の武器である株式買取請求権の行使自体が阻害されているような状況になってしまってるんじゃないでしょうか?もし一般株主に権利侵害が発生しているとするならば、このあたりが説得力があるのではないかなぁ・・・との疑問が湧いてまいります。同時に、経営陣側からみますと、情報をなるべく開示しない、ということも、できるだけ少数株主対策費用を低減するためのリスク回避手段としては当然のことのようにも思われます。

と、いうことでして、とりわけMBOと少数株主との関係につきましては、市場内における価格形成に必要な情報が十分開示されていたのかどうか、(このあたりは政省令でルール化される以前においては、たとえグレーでもクロではない、といった別の論点もあるかもしれませんが)ということが最大の問題点になろうかと考えておりますが、少し長くなりましたので、この開示に関するお話はまた次回にさせていただきます。(会社法と証券取引法の基本に返って考えてみますと、私は素直に上記のように思ったりするわけでありますが、まことに勝手な意見でありますので、また反論、ご批判、大歓迎でございます。)

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2006年12月11日 (月)

レックスHDのMBOと少数株主の保護(3)

私のブログでは、レックスHDの株式非公開化に関するエントリーをテーマにしまして、(できるだけ客観的に)関連問題を考えてみよう・・・という趣旨で記述しているつもりなのですが、この週末にも様々な方からメールにてご意見、ご批判を頂戴いたしました。私自身は大阪在住の弁護士ですし、事件的には、どちらにも加担する義理もございませんし、第一、私の意見自体が、本件の解決にそれほど大きな影響を与えるものともまったく思いませんので、どうかご意見、ご批判につきましては、このブログのほうでお願いをしたいと存じます。(まったくの匿名で結構でございますので。)

と言いつつも、そういったご意見ご批判に影響されてか、上場企業が株式非公開化を任意で進める場合、「通常はTOB直前3ヶ月の株価を基準として30%程度のプレミアム」をのせたTOB価格が妥当であるところ、なにゆえレックスの場合には直前1ヶ月の株価を基準として10数パーセントの上乗せ価格について容易に賛同しているのか、本来ならばそのあたりをもう少し検討することのほうが先なのかもしれません。そもそも会社法におきましては、(解釈に争いはありますが、法文のうえでは無制限に)少数株主の締め出し(スクイーズアウト)は認めるわけでありますが、そうであるならば、裏を返せば、元気な会社でも、ヘトヘトの会社であっても、多数派株主は少数株主を適正な対価を交付して排除することはできることとなり、当然ながらその「対価の適正性」が「企業価値」と絡んで問題になるわけであります。(会社法施行後1年より、交付金合併自体も解禁)レックスHDの公表情報を読みますと、きちんと第三者によるTOB価格算定を行い、法律事務所のお墨付きももらって23万円という数字を算出した、ということのようですが、その内容は明らかにされておりません。

私はファイナンス理論に関してはまったくの素人ですから、どうして直前1ヶ月の時価に14%のプレミアムを上積みした金額がTOB価格として適正と判断されるのか、その推論さえ十分できないのではありますが、やはり「元気な会社」のTOBと、このレックスHDでのものとは算定根拠が違う、というところに原因があるのでしょうね。つまり支配権を譲り受けるファンドにとってみれば、支配権プレミアムは一般株主から利益として受け取るけれども、「元気とはいえない企業」であるがゆえに、既存株主とは別に一方的にリスクをファンドが負担するというわけにはいかない、もしレックスHDが元気を取り戻した場合には、一般株主は利益を確保するわけであるから、その分最初にリスクも負担してもらわないといけない、といった「理論」が前提にあるのではないでしょうか。しかしながら、こういった考え方は、「元気がない」という評価が果たして正しいのかどうか、レックスHDの場合には、今年8月の「業績予想の修正」によって一気に株価が下落したわけでありますが、こういった業績修正による株価下落は短期的なものなのか、それとも今後の株価下落傾向に歯止めをかけないものなのか、そのあたりの説明も必要になってくるように思えるのですが、いかがでしょうかね。以前、産活法認可を受けたカネボウ株式の少数株主保護に関するエントリーの際、47thさんからご教示いただきました点(単純にMBO価格が問題となる場面と、カネボウのように事業精算もありうる状況での事業再生がからむ場面とでは、支配権プレミアムの移転についても考え方が多少異なる、という点)などを参考にしましても、やはり今回の場合におきましては、単純に事業再生プレミアムがファンドから一般株主に利益として移転する事案に該当するものとは言えないように思いますし、もし一般に低額と評価されるところの今回のTOB価格が適正とされるのであれば、やはりその算定根拠をもう少しきちんと株主に対して説明する必要があると(少なくとも私は)考えます。

そして、このTOB価格の合理性の論点をひとまず置くとしましても、やはり一般株主の利益確保のために、レックスHDが「賛同の意思表明の前に行っておくべき何か」が必要ではないかと考えております。これは複雑なTOB価格の妥当性ということよりも、低額の株価をTOB価格として提示された株主にとっての「納得」の問題だと思います。ここには公衆縦覧型の「開示制度」にとって何が大切なのか(迅速・適正な価格形成機能?それとも株主保護の要請?)という大きな論点が潜んでいると予想しておりますが、これはまた次回に検討してみたいと思います。(なんだか、この「任意に上場会社を非公開化する問題」というのは、あまりにもたくさんの法律上の問題点を含んでいるような気がしてきまして、なかなかシリーズが先に進みませんねぇ・・・・・・笑)

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2006年12月 8日 (金)

レックスHDのMBOと少数株主の保護(2)

企業会計審議会内部統制部会長の八田進二先生が、この5日に実施基準の解説を中心としたご講演をされた、とのニュースがありましたので、そっちをコメントしようかと思ったのですが、やはりレックスHDの株式非公開化に関する論点が気になりましたので、前回の続きであります。(そういえば企業会計審議会の加古宜士早大大学院教授がご逝去されたのですね。謹んでお悔やみ申し上げます。)

前回のエントリーには、有益なコメントどうもありがとうございました。ひさしぶりのご登場の辰のお年ごさんの一般論的コメントにつきましては、今後のエントリーの参考にさせていただこうかと思っております。(とりわけMBOと開示規制に関する論点について)このブログでのMBOに絡む論点整理につきましては、私個人の思いつきによるものですので、基本的な誤りもあるかとは思いますし、どうかまたご意見お待ちしております。

ところで、前回のエントリーでは「レックスHDのMBO・・・」と書いておりますが、正確にはSPVが公開買付を行っているわけですから、レックスHD取締役による「TOBへの賛同」がレックス株主に対して具体的にどのような問題を投げかけるのか・・・と問題を立てるべきでしょうね。(ちょっとエントリーの内容が不正確だったようです)また、前回のエントリーにおきましては、今年8月の業績予測の修正に関する開示と11月のTOB賛同との時間的な近接を問題にしているのですが(いろいろ考えてみたのですが)、ここに証券取引法27条の22の3以下の規定との関係についても検討しておく必要がありそうです。

証券取引法27条の22の3以下の条文では、いわゆる証券発行企業自身がTOBを行う際には、インサイダー取引と同様の「重要事実」を事前に公表しなければ買付を行ってはならない、ということを規定しております。何がこの「重要事実」に該当するか、ということはインサイダー取引に関する証券取引法166条2項で規定されているわけでありますが、レックスHDの非公開化につきまして、たとえ今年8月ころからバイアウトファンド会社と検討を重ねていたとしましても、そもそもレックス自体が株価に重大な影響を与える事実を秘匿したままでTOBを行うことは、この27条の22の3以下の規定によってできないことになっておりますので、むしろ8月の公表は取締役の法令遵守行為とみていいのではないか、ということであります。この規定は、純粋に発行会社が株価低落の原因となる事実を抱えているときには、TOB価格がかなり下がること(つまり買い付ける取締役にとっては、かなりお安く自社の株式を取得できること)になり、非公開対象企業の一般株主にとってはやっかいな規定ですね。そもそも株価が上昇すべき「重要事実」につきましては、当然に公表しておかねばいけないわけですが、株価が下落する要因となる「重要事実」まで含むと解しなければいけないのかどうか、規定の趣旨との関係で問題となりそうですし、レックスの場合にはレックス社そのものが買い付けるものではないために、そもそもこの規定が適用される場面とは異なるともいえそうですので、どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、ご教示いただきたいところであります。(これは公開買付一般に関連する問題ではなく、あくまでも自社株買いのためのTOB特有の論点ではなかと思われます)

2 ソフトローと株式非公開化

公開買付に関する法的問題点ということで申し上げますと、この株式非公開化のためのTOB(自社株買い)特有の論点を指摘できるかと思います。少数株主保護、ということとの関係でも重要かと思われますが、取締役の行動の適否を判断するにあたって、ソフトローが使えない、ということであります。当たり前といえば当たり前ですが、取締役が自社の株主のために忠実義務を尽くしたかどうか、株主が自己の責任においてTOBの適否を判断する材料を提供したかどうか、そういったことは上場基準や株主行動によって(臨機応変に)適正性が担保されるべきところではありますが、そもそも非公開化をめざしている以上は、「上場廃止」というサンクションが使えないわけですし、総会で取締役の解任を求めるといった行動はとれないわけですね。ここがまず、とても重要な点ではないでしょうか。もしMBOの場面におきまして、カネボウやレックスHDの事例のように「少数株主保護」といった必要性があるとするならば(ちなみに、私は被害者=少数株主、のような図式をアプリオリに抱くことには懐疑的でありまして、あくまでも証券取引法の制度趣旨からみて、少数株主権を保護する必要性があるとすれば、という仮定での話です)その解消のためには、辰のお年ごさんのご指摘のように、法律や内閣府令など事前規制によってルール化してしまうか、司法判断によって積極的に是正するしか方法がないと考えられるわけです。つまり、MBO時における株主の利益確保と取締役の利益相反問題につきましては、ソフトローによる「バランス調整」が図れない以上は、そのまま放置しておいてはかなり取締役有利な状況になってしまう可能性が高いので、立法もしくは司法判断に頼る部分が大きいのではないか、と考えております。(株主の市場売却の機会喪失と取締役の損害賠償責任の問題について書こうかと思いましたが、まだそこまで行き着くまでに考えるべき法的問題があると思いましたので、また次回にさせていただきます。また私が「少数株主」=「被害者」ではないと考える理由などにつきましても、次回に書かせていただこうかと思っております)

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2006年12月 4日 (月)

レックスHDのMBOと少数株主の保護

それにしましても、土曜日(12月2日)の読売新聞夕刊の一面記事には驚きました。投資会社主導で再建を進めているカネボウ社(実際には、3事業を別会社に移すというもの)の株主500名が、ファンド会社より派遣されてきた現経営陣5名を会社法上の特別背任罪で東京地検に告訴するとのことで、東京地裁はこれを「受理する公算が大きい」とのことです。(読売ネットニュースの記事は短いですがこちらにあります)法律に詳しい方ならご承知のとおり、告訴を「受理」するということは、けっこうたいへんなことでありまして、検察や警察が、思いつきで告訴状を受け取る、というものではございません。刑事訴訟法上、告訴の受理には法的効果(捜査報告義務)が発生しますので、なかなか告訴状は受理しないのが通常であります。(そのぶん、被害届であれば特別に捜査義務も発生しませんので、よく告訴を被害届けに切り替えるように要請されることもあります)おそらく、数ヶ月前から、告訴予定者と警察、検察との事前面談があり、告訴予定者側で相当の立証方法を検討、提出し、検察側と協議のうえようやく「受理」に至ったというのが真相ではないでしょうか。カネボウ株主による営業譲渡禁止の仮処分が11月30日に最高裁で却下されて、確定したことから、特別背任罪の構成要件の一部が認定しやすくなったことも、こういった受理との関連性があるかもしれません。(これは私の推測にすぎませんが・・・)もちろん、捜査機関が本腰を上げることと、特別背任罪が立件されることとはまったく別問題ですので、まだまだ今後の捜査次第ということになりますが、いずれにしましても、取締役の「利益相反行為」というものは、信託法や金融商品取引法の成立、改正とともに、来年あたりはかなりクローズアップされるテーマになるものと思いますし、また「取締役の利益相反取引」を企業コンプライアンス的な発想から考えますと、「社外取締役」「社外監査役」の有用性をもクローズアップさせるテーマになるわけであります。(このことにつきましては、また別の機会に詳述したいと思っております)

カネボウのような産活法からみの事例ではありませんが、ファンドと現経営陣による経営改革として、最近レックスHD(牛角、ampm、成城石井)がアドバンテッジ・パートナーズ社の支援を受けて、株式の非公開化(ファンドによるTOBへの賛同)に踏み切りました。こちらもTOB価格の低さのため、そして株主優待券の充実を前面に出して個人株主を歓迎するだけしておいて、突然「個人株主締め出し」(と一般的には受け取られる)策の一方的な決定のために、レックスの個人株主による「怒り」が次第に充満しつつあるようです。(12月2日に、こちらも第一回の「レックスHDによる株式強制収用に反対する会」が開催されたようです)いつも申し上げておりますとおり、私はM&Aの専門家でもございませんし、また個人株主の方々への思い入れ、というものもございませんので、あくまでも私の思いつきだけを記述させていただきます。ただ、先のカネボウ事例での取締役の立場同様、「もし、社外役員という立場であれば、こういったMBOの現場においてどう対応すべきか」ということに非常に関心がございますので、あくまでも役員という立場から問題点を検討してみたいと思っております。ただ、このレックスHDの株式非公開化(ファンドによる100%子会社化、ゆえに継続開示義務も免除される)に関する法的論点は多岐にわたると思われますので、きょうはその疑問点のほんの一部だけに触れておきます。

1 8月下旬の業績予想修正の意味

ご承知のとおり、レックスHDより、今年の8月21日に「業績予想、修正のお知らせ」が開示されております。この業績予想修正によってJASDAQ市場におけるレックスHDの株価が暴落しております。この業績予想修正のお知らせは、後に検討されるべき「TOBの適正価格の算出方法」に影響をしてくるわけでありますが、まずこの業績予想の修正は、なぜこの時期に、誰の主導で出されたのだろうかという疑問が湧いてきます。(これは普通にどなたでも同じ疑問が湧いてくるのではないでしょうか)フジサンケイビジネスアイの記事によりますと、レックスHDの代表者はアドバンテッジ・パートナーズ(AP)に8月ころに相談に行った、とのことでありますが、そうしますとこの業績予想修正の主導者は、レックスなのか、監査法人なのか、それともAPなのか、3つのうちのどれか、ということになろうかと思います。このお知らせ内容を読みますと、特別損失の発生と売上高、経常利益(引当金の積み増しと売上債権の繰越)の減少ということでありますが、まずこれらの修正要因となった項目につきましては、いずれも株式交換に関する税制改正によって、この10月から課税対象になるものばかりであります。(特別損失に関しては不振店舗の固定資産、固定資産除去損、ノウハウなど無形固定資産の評価換え)もし、これまでと同様の手法によって株式の非公開化を目指すのでありましたら、そういった課税対象となってしまう項目については評価を低くしておくことも十分ありうる話でしょうから、つまり、この8月の段階において、すでに株式非公開化の流れというものは経営陣のスキームとして成立していたのではないか、という推測が働きます。(なお、実際にはレックスは種類株式発行会社にしてから、全部取得条項付種類株式に転換する定款変更を行い、種類株式と交換に端数株式を少数株主に付与する、といった手法をとって税制改正に対応することになりますが・・・ただ、これはこれで、また別の法律上の問題点があるのではと。これはまた別の機会に・・・)

もちろん、レックス側からは「特別損失の発生については、当期から会計基準が変わったのだから、これを計上するのはあたりまえでしょ」と言われそうでありますが、不振店舗の固定資産の評価というものは、その店舗の最近の売上だけでなく、将来の店舗の収益見込みにも影響されるものでありますから、経営者による裁量の範囲はかなり大きいと思われます。これは無形固定資産の見直しでも、引当金の積み増しでも同様のことが言えるのではないでしょうか。そうだとしますと、監査法人から強く要請がなくても、経営陣側の主導によって、このような高額の特別損失を計上することも可能になってくるのではないでしょうか(このあたりは、ぜひ会計士の先生のご意見なども伺ってみたいところでありますが)このあたりの時期から、非公開化を射程においていたとすれば、こういった業績予測の修正を行うことは株価低落に繋がることは目に見えているわけですから、株価低落後の平均株価を基準として個人株主から株を譲り受ける金額、つまりTOB価格を決定することについては、取締役の忠実義務(株主の利益の最大化をはかる義務)との関係では、ちょっと問題が出てくるのではないかなぁと思ったりもしておりますが、このあたりはどうなんでしょうかね?とりわけレックスHDの代表者の方は、TOBをかけるSPVの3分の1を保有するわけですから、株主の利益を最大化しなければいけない義務を有しつつも、一方でできるだけ安い価格で株を買取ることに特別の利益を有する立場でもあるわけです。こういった立場にある以上は、その若干首をかしげたくなる行動に対しましては、「私利私欲のために動いたのではないか」と疑われてもしかたのないところでありまして、それがゆえに個人株主に対しての十分な説明が必要になるものと考えます。これがまずレックスHD事例における私の最初の疑問点であります。ここまではほとんど法律上の論点というものが出てきておりませんが、次回には一般株主による売却機会の喪失への責任とTOBによる免責の関係について、考えてみたいと思います。

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