2007年3月14日 (水)

日興CGの上場維持決定(その2)

昨日の「日興CGの上場維持決定」へのコメント、TB、そしてメールありがとうございました。こんな場末のブログにも、思いのほか大きな反響がありまして、たいそうビックリいたしました。TBや個別に頂戴しましたメールの内容など、8割程度のものが「なんで上場維持やねん!!」といった内容でありまして、東証の判断に対する怒り、落胆、他事考慮への推測、出来レースなどなど、いろんなご意見を頂戴いたしました。「東証の判断に概ね賛同」と主張したことにつきましては、今も変更はございませんが、もう少し東証(だけでなく大証さん、名証さんも)の判断について検討してみたい(言い訳をしてみたい)と思いましたので、続編とさせていただきます。(また私の勝手な意見でありますし、議論の前提条件に勝手な思い込みがあるかもしれませんから、お気楽にお読みいただければ結構であります。)

上場廃止決定の持つ意味その1(参加者への安心感の提供)

まず、「なんで上場維持やねん!!」といった意見が多数であったことにつきましては、これは東証さんも十分耳を傾けるべきですし、「上場維持」という判断に至った過程についての説明を尽くしたほうがよろしいのではないかと思います。そもそも、なぜ東証さんは監督庁でもないにもかかわらず、上場廃止といった強力な処分権能を有するのか?という問いへの答えを検討する必要があるでしょうが、それはまず市場管理者として、自主規制機能たる「罰則的処分権能」を持つからであります。日興の犯した事件につきまして、その事件が悪質であるにもかかわらず、そのまま上場を維持できるのであれば、一般投資家の方々は市場に対して失望し、市場を離れてしまい、市場の活性化の道が閉ざされてしまうことになります。(株式会社としての取引所の最悪パターン)つまり、まず株式市場という場におきましては、ルール違反をした者に対しては、即刻退場を願い、「こんな悪い会社は追い出しましたよ。さあ、もう安全な市場が形成されましたので、どうかここで安心して売買をしてください」とアピールする必要があるはずです。(安心提供機能)これはとりわけ海外の投資家向けにも必要なアピールではないでしょうか。「一社でも、悪質な行動に及んだ企業は参加させていない」という(ある意味で、理想論に近いものでありますが)タテマエは、この株式市場には必要でありまして、そのためには、事件の後でどのような情状酌量のための反省態度を示したとしても、その過去の事件内容のみから、懲罰的処分を検討する必要があります。これまでの退場となった他社事件との比較から「悪質かどうか」を判断したり、組織ぐるみの事件かどうかを判断するのは、こういった懲罰的処分としての性格から求められるものと思われます。つまり、懲罰的処分でありますから、当然の前提としまして、上記のような当該企業の責任論とも関係するわけであります。 (ここで、私の意見としましては、組織ぐるみとは認められない、つまり日興CGという法人としての「退場処分」に見合う責任までは認められない、という判断が関係してくるわけであります)ただし、一般投資家の方々が「こんなあぶなっかしい企業が上場されているのだったら、株式投資はやめとこ」といった気持ちになってしまうことは証券取引所としても防止しなければなりません。そこで、コムズカシイ議論をするよりも、今回の日興問題については一般投資家がどのように考えているか、といったところへも配慮が必要になってくるわけでありますので、もし東証さんにとって、上場維持といった判断が微妙なバランスのうえでのことであるならば、もう少し市場参加意欲を一般の投資家が失わないようにするための説明責任を果たす必要があるのではないかと思います。

なお、ここで「金融庁から5億円の課徴金納付命令をすでに受けていることと、東証の判断は矛盾するのではないか」といった意見も出てくるところであります。しかしながら、これは以下の記述とも関係するところでありますが、行政処分たる「課徴金制度」は(いまでこそ、懲罰的効果が問題となっておりますが)原則的にはそもそも懲罰ではなく、違法な利益取得を吐き出させる制度として構築されております。したがいまして、課徴金制度は責任論というよりも後述の「違法状態除去」に関する監督官庁による対応のひとつと考えられますので、懲罰論(責任論)を前提とする「悪質かどうか」「組織ぐるみかどうか」の判断に関する議論とはなんら矛盾するところはないものと考えます。

上場廃止決定の持つ意味その2(違法状態の除去)

証券取引所には金融庁という監督官庁が存在します。したがいまして、もし市場の信頼を失わせるような行動の再犯可能性が当該問題企業に認められるのであれば、市場に参加しております一般投資家は再度、不当に粉飾のリスクを背負い続けることになります。しかしながら金融庁は、投資家が危険にさらされている状況が継続しているのであれば、当該企業の責任論はどうであれ、ともかく違法状態を除去し、一般投資家を保護するために、即刻金融庁自身が退場命令を出せる仕組みを用意しておかなければいけません。(ここで改めて申し上げますが、企業に違法状態が存在するのと、その企業に責任が発生することとは区別して考える必要があります。ちょうど、刑事事件におきまして、被告人が有罪とされるためには、構成要件該当性と違法性が認められるだけでなく、そのうえで被告人に故意もしくは過失、といった責任が認められる必要があることと同様であります)金融機関の場合、最近はこの「違法状態が継続しているかどうか」といった判断基準として、内部統制(内部管理態勢)が問題とされるわけでありまして、たとえばトップが交代しているか、取締役会の体制がトップの暴走を未然に防止できる人的物的組織となっているか、牽制機能は働いているか、監査役による監査体制はどうか、連結決算の対象となる子会社との関係はどうか、などが精査されることとなるわけであります。そして金融庁自身がその調査に及ぶよりも、専門性、迅速性の面で格段の差が認められる証券取引所に(つまり自主規制機関による判断に)、その判断を委ねている、と考えるのが妥当ではないかと思います。そして、この違法状態の除去が認められるかどうか(つまり上場を維持させてもいいかどうか)、といった判断基準におきましては、当該企業の問題事件以降の再犯防止策への取組姿勢というものが「違法状態の有無」に影響を与える場合もあろうかと思われます。

昨日、私は日興CGへの上場維持決定に関するコメントのなかにおきまして、騒動直後からの反省態度のようなものが、実際には判断理由のなかでは考慮(斟酌)されていないのではないかと書いておりましたが、実際のところは上記二本立てで総合的に考慮されるのではないかと思います。このように考えますと、処分の公正さも担保され、また粉飾決算発覚後の当該企業の再犯防止へ向けてのインセンティブも相当程度、満たされるのではないでしょうか。(ちなみに、大証の米田社長さんは、「不良がいたら、その不良を追い出すだけではいい学校とは言えない。不良をきちんと育てることも学校の使命だ」と記者会見で述べておられました。しかし、「あの学校には不良がいっぱいいるから、受験は控えよう」と考える受験生がたくさん出てくることも事実でしょうし、株式会社としての証券取引所として、米田社長さんのように言い放ってしまっていいものかどうか・・・、ちょっと悩むところであります)

3月 14, 2007 日興コーディアルと不正会計 | | コメント (14) | トラックバック (1)

2007年3月13日 (火)

日興CGの上場維持決定

東証、大証、名証は日興コーディアルグループについて、上場を維持することを決定し、監理ポスト割り当てを解除することになったようであります。(日経ニュースはこちら)なんだか手前みそで恐縮でありますが、私は従前より>こちら>こちらのエントリーにおきまして、特別調査委員会の報告書を拝読しましても、「日興CGの組織ぐるみの行動」とは認められないものと主張しておりましたので、このたびの上場廃止基準該当性なし、との東証の判断理由には、概ね賛同するものであります。(ただ、たとえ組織ぐるみではないとしても、NPIの組織ぐるみの日付繰上げ行為の悪質さは否めないところではないでしょうかね。証券会社が一番やってはいけないことをやっているわけですから、この行動に至った動機というものは是非もうすこし議論しておきたいところであります。)

ところで日経ニュースでは、この13日深夜になって異例の釈明記事がHPにアップされています。(釈明ニュース)いったん「日興、上場廃止へ」と報道したにもかかわらず、結局「上場維持」という東証の判断に至った経過についての釈明でありまして、今後もさらに検証していく、とのことであります。日経の与える投資家への影響を考えますと、こういった問題発生企業の報道姿勢というのも、かなり難しいものがありそうですね。

なお、有識者の方々より、(この上場維持の決定をうけて)もう少し上場廃止基準を明確化したほうがいいのではないか、との意見が出されておりますが、たとえもう少し廃止基準を明確化したとしましても、またさらに細かいところで基準への該当性が議論されるだけであり、結論としては「明確化」が投資家の保護に資することは期待できないと思います。むしろ、要件該当性が比較的あいまいなバスケット条項のままで廃止基準を残しておくほうが、上場企業の違法行為抑止効果は機能するのではないでしょうか。

それと本日の東証の判断理由を聞かせていただいて感じましたことは、日興CGは不祥事発覚後にいろいろと情状をよくするための対策をとったものではありますが、そういった悪質な行動の後の対応についてはほとんど東証は(最終決断にあたり)斟酌していないのではないでしょうか。(もし、これを斟酌したことで、東証が上場維持の決定を下したということでしたら、これまで「上場廃止へ」と報道してきたマスコミも救われるところだったのですが・・・・)再発防止策を一生懸命練って、二度と同じ過ちを繰り返さないように内部統制システムを再構築することが、大きく上場維持の判断に影響する、といった慣行が成り立ちますと、そもそも粉飾決算に対する取引所規則の抑止的効果が薄れてしまうのも事実であります。しかしながら、問題とされている悪質な行動だけを捉えて廃止基準の該当性を判断する、と明確な姿勢を打ち出した場合には、ぎゃくに内部統制の再構築へのインセンティブは薄れてしまうわけでして、企業の自浄能力を引き出すことができなくなってしまいます。もう1年以上前のエントリーにおきまして、ニューヨーク証券取引所におけるプロベイジョンの制度をご紹介いたしましたが、日本の証券取引所でも、これに類似する「上場廃止執行猶予制度」のようなものを策定するのもひとつの案ではないでしょうか。「廃止か維持か」といった根本の決定につきましては、取引所がこれまでのとおりの判断理由をもって決することとしますが、情状によりましては、「その廃止決定を猶予」するような制度も一考に値するように思われます。つまり、執行猶予期間中に、将来にわたって再犯防止のための施策を熱心に行っている場合におきましては、最終的にその廃止決定を見直す、というものであります。これであれば企業側にもインセンティブが付与されるので、適正なものであるように思われますが、いかがでしょうかね。

3月 13, 2007 日興コーディアルと不正会計 | | コメント (3) | トラックバック (9)

2007年2月 6日 (火)

日興CG諮問委員会の利益相反問題を考える

拙ブログにおきましても、年初より日興コーディアルの不正会計問題に関心を抱いておりましたが、やはり特別調査委員会による調査結果の公表あたりからずいぶんと報道内容もヒートアップしてきたようであります。インデックスファンドにおいても日興株の売却が進みだしたり(朝日新聞ニュース)、一方において再編への予測からか米国の投資運用会社が5%超の日興株を買い進んだり(こちらも朝日新聞ニュース)、世間ではもう会計処理の訂正報告に続く上場廃止問題にまで話題の中心が移ってきているような気配ですね。

日興CGの一連の話題におきまして、いったん報道はされましたけれども、あまり話題が続かなかったのが旧経営陣である日興CGの元会長、元社長さん達に対する数億円の役員退職慰労金の支払いについてであります。一部ブログにおきましては、ヒステリックな反応に近いものも見受けられましたが、それも一過性のものであり、報道から1週間ほど経過した現時点におきましては、ニュースでもブログでもほとんど取り上げられることはなくなってしまいました。私はこれを「特別調査委員会が組織的関与を正式には認めなかったからではないか」とも思ったのですが、どうも一般常識では調査委員会は「組織的関与を認めた」と解釈されているようですので、私の推論も適切ではないかもしれません。それどころか、現経営陣は(この特別調査委員会の結果報告を受けた形で)旧経営陣に対する民事、刑事責任の追及を検討しているとのことでありまして、その検討のための諮問委員会を設置したようであります。(こちらの日経ビジネスオンラインの記事が比較的冷静かつ正確にニュースとして報道しておられるようです)

ところで旧経営陣に対する退職慰労金の支払につきましては、2003年の日興の株主総会においてすでに承認済みとのことでありますから、業績連動方式の賞与の返還などとは異なり、旧経営陣の方々が正当に受領できるものであることは間違いありません。しかしながら、日興本体が旧経営陣に対して不法行為による損害賠償請求権を有しているとすれば対当額において相殺することが可能になってくるわけですから、おいそれと先に支払ってもいいのかどうか、ということが一応の法的な論点になってくるのではないでしょうか。この日興の諮問委員会も、こういった旧経営陣に対する民事上の責任追及を目的として発足するわけでありますので、もし損害賠償請求権の行使を可とするような結論に至る場合、安易に先に支払ってしまったことが回収困難性の観点からその適否を問題にされてしまうような気がいたします。つまり、もう少し役員退職慰労金の支払いを留保しておき、この諮問委員会による決定次第で支払いの可否を検討すべきではなかったか、と考えるところであります。

そこでもし旧経営陣へ役員退職慰労金を現経営陣が支払ってしまっており、そこに不法行為による損害賠償請求権の行使が可能との結論が出てきた場合には、現経営陣らによる先払いの妥当性に法的なクレームが生じることも考えられます。そして諮問委員会の顔ぶれをみますと、そこに現経営陣も参加して審議することが予定されているようであります(先の日経ビジネスオンラインの記事参照)しかしながら、こういった退職慰労金の支払い状況からみますと、そもそも委員である現経営陣の方々にとって公正な第三者としての判断を期待することはできないのではないでしょうか?もちろんここで利益相反のおそれあり、として現経営陣が諮問委員会の委員の立場から自ら退くことにつきましては、その先払いの妥当性に問題があることを認めてしまうことになりますので、おそらく期待可能性には乏しいものでありますが、いずれにしましても、退職慰労金の支払い事実から旧経営陣の責任追及検討までの一連の行動につきましては、どうもスッキリしないところがあるような気がしているのですが、いかがでしょうか。(そもそも、この退職慰労金支払いの妥当性に関しては、どこのマスコミもあまりツッコミを入れていないところをみますと、それほど騒ぎ立てるほどの法的な問題は含まれていない、といった見方が大勢なのかもしれません。したがいまして、あまりたいした論点ではないかもしれませんが。このあたり、どこかのマニアックなブログで検証されておられるとありがたいと思っております・・・・)

2月 6, 2007 日興コーディアルと不正会計 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年2月 5日 (月)

日興CG報告書とメール管理

財務報告の信頼性確保に係る内部統制の評価および監査基準のひとつとして、情報管理の適正性が挙げられると思われますが、このたびの日興コーディアルグループの特別調査委員会報告の内容を読ませていただいた感想として、「メール管理の重要性」、裏を返せば「メールは怖い」といった印象を強く抱いた方も多いのではないでしょうか。NPIが虚偽の発行開示書類を作成したのかどうか、という点は、「所与の前提」だけでは不明確であります。そこで調査委員会としましては、いくつかの「所与の前提」を時系列的に並べて、その間に調査委員の「推論」を置いていくわけですね。そして、この「推論」の部分が合理的な疑いが生じない程度にまで、確からしい証拠があるかどうかをひとつひとつ吟味していく、といった手法をとるわけであります。今回その「調査委員会の推論が正しいようだ」と裏付ける大きなポイントとなりましたのが、NPIHによりますEB債の発行決議(取締役会決議)の日付を誤魔化していたことを示す数々のメールでありました。また、過去にも同様の手法によってNPIが利益を捻出していたことを示すメールも出ておりまして、「所与の前提」の並び方が単なる偶然ではない、といったことの重要な証拠としても用いられております。単に直接証拠としてメールを用いるのでありましたが、保存期間もそれほど長期間でなくてもよさそうでありますが、こうやって間接証拠としてもメールが用いられたり、動機の立証としても活用される場面があるとすれば、やはり内部統制の一貫としてのメール管理のあり方としましては、5年以上の長期にわたる保存が最低限度必要になってくるのではないでしょうか。

ところで、NPIの元代表者の方の発信メールがまったく見あたらなかった、ということでありまして、サーバーから消えてしまったのではないか、との疑念が生じるところでありますが、社外メールならいざ知らず、社内メールというものは、個人の操作によって簡単に消すことはできるものなのでしょうか?最近はメール保存の際に、社内メールすべてに自動的に番号が付されていき(時系列)、もし誰かが日付をさかのぼらせたり、消去したりすると番号がおかしくなってしまうような仕組みを取り入れているところもあると思いますが、そういったシステムはとられていなかったのでしょうか。いずれにしましても、スタッフを含め合計12名の調査委員会組織が約1ヶ月の調査期間に50万件を超えるメールをチェックしたということですから、それは想像をはるかに超える程度の困難な作業だったと思われます。情報の伝達と管理にとりまして、メールの存在は上場企業にとって不可欠なコミュニケーション媒体でしょうから、内部統制システムの整備運用にあたっては、このあたりにどれだけ気を遣っているか、ということが重要な問題になってこようかと思われます。

なお、今回はたまたま「バックデート」という不正がメール調査から明らかになったようでありますが、もっと核心に触れる点、つまり日興CGの中心メンバーが不正な発行開示書類の作成に関与していることを示すようなメールは見当たらなかったのでしょうか?報道機関はこぞって「組織的関与が認められた」と、それこそ所与の前提のごとく扱っておられるようですが、私はまだ懐疑的であります。そもそも日興CGの中心メンバーが関与している、と評価できるためには、同様の虚偽書類の作成が繰り返し行われたことが立証されるか、あるいは単発の不正について詳細な謀議が立証されることが必要なはずであります。しかしながら、今回の報告書の内容では、日興CGの元CFOの方が「関与していた可能性が極めて高い」とされておりますが、この報告書をよく読みますと、この元CFOの方が「所与の前提」部分へ関与していたことは認められても、メールのようなものが出てこないために、「推論」の部分への関与はなんら証拠からは明らかになっておりません。このあたりはメール発信の主体であるNPI社員を統括するNPIの元代表者と日興のCFOとは少し立場が異なるように思うのですが、どうでしょうか。日興CG本体の組織的関与があったかなかったか、というところが、今後の上場審査にも影響が出るのではないか、とも思えますし、このあたりをどう報告書を評価すればいいのか、と少し疑問に思うところであります。(まだまだ感想はたくさんございます。この調査報告書はいろいろな論点を提示してくれるもののようです。監査委員会には、やはり財務会計的知見が必要であると認識したことや、情報の開示というのは、一般投資家向けにやさしく開示されるべきか、およそ株価の変動に影響を与える事項については、閲覧者のレベルに合わせる必要がないのかなど、また追々考えていきたいと思っております。)

2月 5, 2007 日興コーディアルと不正会計 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2007年1月18日 (木)

食品会社の不祥事と証券会社の不祥事

年末年始の疲れが出たのか、体調を崩してしまいまして、フラフラの状態であります。ココログのメンテ明けということもありまして、アップしたい話題がいろいろとあるのですが、今後の展開のための備忘録程度のみ、記しておきます。

不二家社の騒動につきましては、前のエントリーにも書かせていただきましたとおり、予想をはるかに超えるヤバイ事態(不二家側からみて)になってきたようであります。公表しなかった経営陣の対応や、事件発覚後のマスコミ対応のまずさなどが「コンプライアンス的」な問題点としてよく指摘されているようですが、それもさることながら、「騒動」に発展してきた大きな原因としましては、大規模小売店舗による「販売自粛」を挙げることができるのではないでしょうか。これは不二家騒動における大きな転換点になっているものと認識しております。一般消費者の不買運動よりも、おそらくこっちのほうが食品会社にとっては大きな痛手だと思われます。スーパーにおきましても、やはり自社のコンプライアンス対応として、食品衛生上問題のある製品については、その安全性が確保されるまで販売しない、という対応は「一般消費者向け」のものとしては十分理解できるところでありますし、(当分の間の措置として)やむをえないものと考えられます。しかし、どの小売店も同様の対処方法を採用するとなると、もはや販売ルートが限定されてきますし、また不二家チェーン店についても、そういったスーパーの対応を消費者が知れば知るほど、販売不振に陥っていくことは目に見えております。もうこうなりますと「負のスパイラル現象」に歯止めがかからないようになってしまいそうです。

さて、いっぽう証券会社の不正経理騒動については、こういった転換点は訪れるのでしょうか?食品会社と同様、株価が低迷する(下落する)といった現象は考えられますし、また現にそういった株価の動向が認められたわけでありますが、食品会社の痛手となったスーパー的存在をひとつ挙げるとすれば、やはり「証券取引所」や「証券取引業協会」の存在ではないでしょうか。ただし証券取引業協会の会長さんの記者会見によりますと、日興の責任の取り方は妥当なものであり、今後は内部統制システムの整備を進めて頑張ってほしい、といった趣旨のコメントを残しておられるので、今後の非常に厳格な対応といったものはおそらくないんじゃないかと思えます。あと残るは、証券取引所が、監理ポストにある日興コーディアルに対してどういった対応で臨むのか、といったところでしょうか。さっきの食品会社の不祥事と比較してみますと、この証券取引所の対処方法自体が、どれほど一般投資家の視点から妥当(もしくは不当)な判断と評価されるか、というところを今後検討してみたいと思います。証券取引所も、その判断を誤ると、(判断結果よりも判断にい至る過程と思うのですが)一部の証券会社の不正問題をきっかけとして、その信用性を貶めることになってしまうのではないかと危惧します。(以下つづく・・・・・)

1月 18, 2007 日興コーディアルと不正会計 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2007年1月16日 (火)

日興コーディアル不正会計と事実認定(その2)

昨日のエントリーにおきまして、「そろそろまた日興コーディアルの不正経理(といいますか、もはや虚偽記載といったほうがいいかもしれまえんが)に関する報道が増えてくるのではないか・・・」と書きましたが、さっそく日興CG(コーディアルグループ)の特別調査委員会が当初の予定どおり、今月の末日までに調査報告書をまとめること、報告書の内容は事実と原因、そして内部統制システムの提言に関するものであること、報告書は取締役会に提出すると同時に、その内容を公表することを明らかにした、という報道がなされております。(朝日新聞ニュース)この報道内容からしますと、特別調査委員会に付託された使命といいますのは、①事実の確定②事実の評価(「虚偽記載かどうか」とか「組織ぐるみかどうか」といった会計的法律的評価③再発防止のための政策提言、という非常に重要な使命のすべてを含むものになるようです。

ところで、たとえば私が委員をさせていただいております某上場企業のコンプライアンス委員会などでも、こういった使命を帯びて事実確認、事実評価、再発防止の施策提言という作業を行うことがございますが、それぞれの分野に強い委員の方がいらっしゃいまして、事実確認についてはなんといいましても元裁判官の弁護士、事実の評価については監査に強い公認会計士、再発防止の施策提言というところは私や社外のアドバイザーの方といったような役割分担がございます。今回の日興CGの特別調査委員の方々といいますのも、私はそういったいくつもの使命を短時間に果たすにふさわしい方々が選任されていらっしゃるのかと思いましたが、たいへん著名な企業コンプライアンス関連の法律家の方々(構成された4名のメンバーの方々はこちらのフジサンケイビジネスアイのニュースでおわかりいただけると思います。)ばかりでありまして、その役割分担というところが少しわかりづらくなっているような気がいたします。

元裁判官の法曹の方と、こういったコンプライアンス関連のお仕事をごいっしょさせていただき痛感いたしますのは、やはり「事実認定のプロ」として、その実力は他者を大きく凌駕しており、経験則の使用においてほぼ「穴」がなく、またバイアスがほとんどかからない、ということであります。人証、物証含め、「事実認定」を30年もプロとして続けてきた職業人の判断には、ちょっと「一介の弁護士」には能力的にはかなうはずもなく、まぁほとんどの場面におきまして説得されてしまうことが多いようです。また、当時の会計処理が「異常な」ものであったのかどうか、その処理がごく一部の会計専門家(もしくは経理、財務担当者)でないとなしえないものかどうか、といった「認定された事実の評価」に関する論点につきましては、たしかに最終的には法律上の問題となるのかもしれませんが、どうしても監査実務に強い公認会計士さんの意見を必要とする場面が出てまいります。おそらくこのたびの日興CGの特別調査につきましては、訂正報告書の作成にあらた監査法人が中心メンバーとなって調査を継続していることを考えましても、そういった役割分担的な委員選任が必要なのではなかろうか、そういった分担が考えられているのだろうか、といった素朴な疑問がわいておりました。

加えて、ちょっと危惧されますのは、このメンバーの方々の「外観的独立性」というものは確保されているのかどうか、といったところであります。報道されているところによりますと、この特別調査委員会の委員長の方(私が司法試験の口述試験のときの面接官だった方です。ちょっとコワカッタかも・・・・(^^;))は、もと日興CGの監査委員会の顧問をされていたとのことですし、また委員のおひとりの方は日興の法務アドバイザーを務めていらっしゃった方とのことであります。もちろん弁護士にはその職責としまして、自ら客観的な判断がなしうるように、独立した立場に務めるよう配慮すべき倫理上の義務もございますが、果たして元来の日興との関係からみまして、バイアスがかからずに事実確定、事実評価、政策提言がなされるのかどうか、この「外観的独立性」といったところからは疑問を抱かざるをえないところもございます。このあたりもたいへん気になるところでありますし、今後提出が予定されている報告書の結論にすこしばかりは影響しないだろうか、という不安を覚えてしまいます。(しかしながら、特別調査委員会の成果品が公表される、とのことですから、とりわけ内部統制システムの具体策として何を提言するのか等、今後各社にも関連性のある部分につきましては、調査委員会による公表の内容とされているところによりまして、今後の特別調査委員会による報告内容に大いに期待したいところであります。)

1月 16, 2007 日興コーディアルと不正会計 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年1月15日 (月)

日興コーディアル不正会計と事実認定

日興の不正経理問題につきましては、本来、1月15日に監査法人さんから訂正報告書が出る予定だったようですが、昨年末に担当監査法人変更(みすず→あらた)を理由として2月末日まで期限が延長されましたので、報道される機会も少なくなっているようです。課徴金5億円を納付した、とのことでありますが、今後日興の問題はどうなっていくのでしょうか?具体的な私見を述べることは避けたいと思っておりますが、これまでのカネボウ事件や西武事件における東証の対応と比較して、日興CDに上場廃止の可能性はどこまであるのか、もし監理ポスト解除という結末に至るのであれば、それはどういったソフトランディングによるものなのか、そのあたりの議論というのが、どこかのブログでなされると非常に有益かなぁと思っております。

ともかく、有価証券報告書虚偽記載ということでは、刑事捜査手続が進んでいないようですので、東証の判断にとって大きなポイントとなる「事実確定」を誰が責任をもって行うのか、このあたりが私にとってとても関心のあるところです。著名な法律家の方々4名による特別調査委員会の報告書が提出されるのが1月末ということであり、その後に訂正報告書が提出されるということだそうですので、おそらくまずこの特別調査委員会による事実調査が大きな影響を与えるのではないでしょうか。ただ、マネックス証券が日興CGの代用掛け目を80%→0%に変更した後も、日興の株式を買い支える動きがあったりするのを聞きますと、どんな力が働くのか予想もつかないところがあるわけでして、今後の東証の最終判断までの道のりは、日本における市場の公正さを考えるきっかけになるように思えます。ともかく、捜査機関による事実認定に判断を委ねることができない本件におきましては、この「事実確定」というまさに「プロの世界」の所業を、誰がどれだけの力量によって世間を納得させながら遂行していくのか、認定されたどのような事実を捉えて「組織的関与かそうでないか」を判断するのか、またどのような事実を捉えて「悪質かそうでないか」を判断するのか、注目していきたいですね。(おそらく今週あたりから、また日興の不正経理問題につきましては、ニュースや報道がさかんになるような気がいたします)

1月 15, 2007 日興コーディアルと不正会計 | | コメント (2) | トラックバック (1)