2024年2月26日 (月)

東証が示す「上場会社の内部管理体制のポイント」を平時にこそ理解する

2月13日付けエントリー「会社役員の免責根拠となる『信頼の原則』の前提について」でご紹介しました記事の続編ですが、週刊経営財務2024年2月19日号(3642号)では「東証上場会社の不正・不祥事に対する措置の最新事例とその傾向について」と題する連載記事の最終回(個別事案の内容分析)が掲載されています。いずれも特設注意市場銘柄に指定された上場会社の実例を挙げ、なぜ不正・不祥事に至ったのか、その原因分析と(他社でも参考となる)内部管理体制整備のポイントが自主規制法人上場管理部のご担当者の視点で示されています(おそらく、東証の考え方ではなく、執筆者個人の意見も含まれていると思いますが)。

ご承知の方も多いかもしれませんが、東証では今年1月から「特設注意市場銘柄制度の積極的な活用等のための上場制度の見直し」が実施されておりまして、審査期間が実質1年に短縮される(これまでは1年6か月までの指定継続あり)、指定解除要件が明確化される(「問題があると認められない」→指定解除、から「適切な内部管理体制の整備運用が認められる」→指定解除 へ変更)5年経過時まで改善状況報告書を提出させる等、上場会社に対して内部管理体制の強化を要請しています。そこで、上記記事における東証自主規制法人の分析は、今後特設注意市場銘柄(今後の呼称は「特別注意銘柄」)に指定される可能性のある上場会社だけでなく、会計不正事件等の発生により公表措置、改善報告書の徴求を求められた会社についてもとても参考になると思われます。

私も2019年、会計不正事件で公表措置、改善報告書徴求の対象となった上場会社の「ガバナンス改善委員会」の委員長として、定期的に東証からのインタビューを受け、委員会としての報告書を提出しておりましたが、わずか1年の間に根本原因としての構造的な不備の解消やガバナンスの再構築を実施することはかなりの作業でした。たまたまメインバンクから(CROとして)副社長就任者を迎え、この方を通じて内部管理体制の改正を加速することができましたが、やや運にも恵まれていたように思います。

「どうせ1年で改善されていなくても、そんなに簡単に上場廃止にするわけないだろ」と思っておられる方がおられるかもしれませんが、今後は明確に改善したと認められる場合でないと指定解除にはなりません。昨年来、東証は上場会社に対して「資本コストを意識した経営」を提唱していますが、内部管理体制の強化は企業自ら資本コストを下げるために不可欠な対応です。おそらく「ここまでやらないといけないのか」と思われる経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、当局のご担当者が内部管理体制のどこに目を向けているのか・・・といったところが具体例(3例)からも伝わってくるはずです。こちらも週刊経営財務を定期購読されている方はぜひご参考にされてはいかがでしょうか。

 

| | コメント (0)

2023年5月29日 (月)

東洋経済「内部通報の多い企業トップ100」を読んで

日経でも取り上げられていた「公正なM&Aの在り方指針(原案)」(株主総会後に正式な指針が公表されるようですが)についていろいろと書きたいことがありますが、さすがに私の置かれている立場でコメントするのはマズかろう・・・と思い、本日は東洋経済さんの「内部通報の多い企業トップ100」の記事について思うところを記しておきます。

この記事を読んで、さすがに「内部通報が多いということは不祥事が多い企業だ」と連想する人は(かつてはいましたが)少ないはず。むしろ内部通報への対応体制を熱心に構築している企業ほど多くなる、というのが現実的な見方です(もちろん、東洋経済の記事にもあるように、従業員100人あたりで何件か?といった比較がよろしいかと)。ちなみに私が社外取締役を務める会社は25位ということで、一昨年よりも昨年は通報件数が倍増しております。関係者のご尽力の賜物と思いますが、同業の積水ハウスさん、大和ハウスさんもなぜか倍増していますね。

いろいろな会社の対応体制構築の支援をしていて、この「倍増」という数字はフェーズ1の状況にあることを示しています。つまり良好な通報対応体制が構築できてくると、社内で通報が増えるという時期です。しかし、上記「トップ100」の記事を読むと、すでに横ばいもしくは微減の会社も結構あります。熱心な会社においては、これまで通報件数が増えてきたところで、かならず横ばいになる時期がやってきます。こうなりますと、今度は通報窓口担当者が「不誠実な通報」「勘違い通報」への対応で苦慮する時期となり、これがフェーズ2です。

最近は通報窓口の対応がマズイとなりますと「セカンドセクハラ」「セカンドパワハラ」として窓口担当者が訴えられるケースもありますのでとても悩みますよね。通報事実が「公益通報」に該当する場合には消費者庁による行政処分の対象になる可能性もあります。このフェーズ2の時期に、社内で通報処理の効率化を図る必要性が高まるのですが、ここでうまく効率化が図れる企業とそうでない企業に分かれます。思うに、この効率化の作業において社外有識者のお手伝いが必要となる場面が多いはず。

企業に人権DDの実践が求められ、また、海外では内部告発法の国内法化が進んでいる中で、現状の経営環境に合った内部通報の仕組みと運用が求められています。たとえば通報100件のうち1件でも(海外やグループ会社から)重要な通報事実が上がってくれば、これは通報制度を構築した意味があります。経営陣が喉から手が出るほどほしかった情報が通報によって上がってくることは、正直「運」によるところが大きいです。ただ、きちんと準備をしていた企業にしか「運」はめぐってこないというのもまた真実です。

| | コメント (0)

2021年4月 9日 (金)

組織風土の違いを感じる東芝(内部告発)と日立(内部通報)の有事対応

昨日の東芝のCVCによる買収提案受領のニュースに続き、本日は日立が上場子会社である日立金属をベイン(連合)を売却先に選定したことが報じられました。国益に大きな影響を及ぼす日本企業というところでは同じですが、海外ファンドから株式非公開化を目的とした買収提案を受けた東芝と、重要子会社(日立金属)を海外ファンド連合へ売却を決めた日立では、どれくらい「組織風土」に違いがあるのでしょうか。

東芝の場合、自身の会計不正事件については金融庁への2名の社員による内部告発が事件発覚の端緒だったわけで、当時は「自浄能力の欠如」と言われました。もし、あの内部告発がなかったら、いったいどうなっていたのでしょうか?ほかにも内部告発者が現れて、遅かれ早かれ会計不正は発覚していたのか、それとも今でもうまく隠蔽し続けていたのか。とくに根拠はありませんが、私は今でも債務超過は上手に隠され続けているのではないかと思います。

一方、日立の場合は(経営の失敗をあえて出し切るかのように)2008年度決算で7800億円の損失を計上し、先日の日立金属の品質偽装事件についてもグループ内部通報によって(長年に及ぶ)不適切な品質偽装の事実を確知し、日立金属の経営トップの隠ぺい工作を認識するやいなや(調査報告書を待つまでもなく)直ちに日立金属の経営トップの交代を実践しました。←後半部分は本年1月に公表された調査報告書および昨年の新聞記事等を参照。

同じような内部通報制度を整備していたとしても、制度が機能する会社と全く機能しない会社があるわけですが、結局のところ、それは通報制度の運用を支える組織風土の違いに起因することが多い。通報することによって「犯人さがし」がされる風土であれば、社員による外部への通報(内部告発)が増えるわけですし、通報することが社内で賞賛される風土であれば、社員も安心して社内通報ができます。「見て見ぬふりなど許されない」「業務の効率性を理由にコンプライアンスを秤にかけない」といった理念を現実の業務で活かせる組織風土はこれからの経済的競争力の大きな要素です。

いま、東芝も日立も役員の皆様は「有事」に直面しているわけですが、有事対応においても組織風土の影響を受けるのではないでしょうか(それは独立社外取締役がたくさんいらっしゃるとしても同様かと)。「自浄能力の違い」といってしまえば簡単ですが、もっと具体的な物言いをするならば、独立社外取締役への報告体制の運用に違いが生じるのではないか。

日立製作所が日立金属のプロバーだった社長さんを、不祥事発覚後(少なくとも対外的にはどこに問題があったのか不明な時期に)ただちに交代させたというショッキングな出来事は、グループ内における報告体制の機能不全への警鐘だったと思います。社内におけるレポートラインが健全であることは、社外取締役からみても、経営判断に必要な情報は適宜的確に受領できる体制が保証されていることを推察させます。

しかし東芝のように(昨年のグループ会社の架空循環取引への関与もそうですが)他者から指摘を受けるまで不都合な事実は開示しない、といった事例が続きますと、たとえ独立社外取締役が多数を占める取締役会であったとしても、重要な経営判断に必要な情報が事前に(社外役員も)共有できているのだろうか・・・との疑念が生じてしまいます。このたびの海外ファンドからの買収提案についても、おそらく東芝の社外取締役の皆様には「現株主の株主価値の最大化」に向けた細心の注意を払った行動が求められますが、トップの「利益相反状況」が顕在化するなかで、必要な情報が共有されるのでしょうか。

2015年の会計不正事件を契機として、大きくガバナンスの改善が期待されている東芝ですが、今回の有事は組織風土の改革が果たされたかどうかを見極める上でも試金石となる事例になりそうです。

| | コメント (2)

2020年12月 9日 (水)

独立社外取締役が「前科一犯」となる日は到来するか?

昨日のエントリーでは「コーポレートガバナンス改革の転機にあたり、独立社外取締役は覚悟が必要だ」といった話をしました。ただ、私は「もはやそんな悠長なことを抽象的に議論している場合ではない」と考えています。本日は改正公益通報者保護法の施行後における社外役員(主に社外取締役ですが、社外監査役も同様)の役割を具体的にお話しします。もちろん意見にわたる部分は私の個人的見解です。

博報堂DYの元社員らによる架空発注事件を題材として、11月16日の日経新聞「長期にわたる不正 痛手」と題する記事で述べられているように、今年は大手企業の中で長期にわたる架空発注事件が明るみになるケースが多かったようです(たとえば博報堂DY、大和ハウス工業、NTT西日本等、ちなみに上記記事では私のコメントも掲載されております)。本日から朝日新聞では「第一生命の女帝」(89歳の営業職員が顧客から19億円をだまし取った事件)の特集記事の連載が始まり、これもやはり長年発見できなかった不正事件のひとつです。

日本を代表するような大企業において、卓越した内部統制システムを構築しているにもかかわらず、なぜ一部社員の不正が長年発見できないのでしょうか。これはとてもナゾであります。たとえ独立社外取締役がいたとしても、そもそも情報が入らなければ不正を発見することも止めることもできないわけでして、「不正予防と社外取締役の選任とは関係ない」と言われる所以です。過去に「不正見逃し」を理由として社外取締役の法的責任が認められた裁判例もほとんどないのが現状です(社外監査役の責任が認められた事例はセイクレスト、エフオーアイ事件等、いくつか散見されます)。

ただ、そうはいっても社外取締役が「不正事実を知ってしまった以上、不正を放置していたら善管注意義務違反(損害賠償責任)に問われる」のは間違いないでしょう。ということで、私は社内で不正を見つけた社員、片棒を担がされた社員は積極的に社外役員(社外取締役、社外監査役)に通報することを勧めます。とくに、このたびの改正公益通報者保護法では、(常勤従業員301名以上の)事業者は「公益通報対応業務従事者」を定めることが義務付けられますが、本日のお話しはココがポイントです。

※ セクハラ・パワハラの通報は基本的に「公益通報」にはあたらない、と言われていますが、近年、侮辱罪、名誉毀損罪、強要罪、暴行罪、強制わいせつ罪等の刑事犯で立件されるケースもあるので、窓口段階では「公益通報」として扱ったほうが良いケースも増えていることに留意してください

現在、消費者庁で審議されている「指針検討会」の議事録(12月7日に消費者庁HPにて検討会第2回の議事概要が公表されています)を読むと「臨時的に通報を受理した者も『対応業務従事者』として定めるべきか」という点が議論されていますが、「さすがにトレーニングを積んでいない役職員まで『対応業務従事者』には含めるべきではない」との意見が強そうで、おそらく社外役員は「対応業務従事者」には含まれない、という結論に至る可能性が高いと思われます。

しかし社内ルールで「社外役員」も通報窓口とする、と定めれば公益通報者保護法上の「対応業務従事者」に該当することになります。とりわけ本則市場(東証1部、2部)に上場する会社は、コーポレートガバナンス・コード補充原則2-5①を(ほとんどの会社が)コンプライしているわけですから、改正法に基づく「公益通報への対応体制の整備等の措置義務」を果たすためには、社外役員を通報窓口として設置することも検討しなければならないと考えます。

(参考 コーポレートガバナンス・コード補充原則2-5①)上場会社は、内部通報に係る体制整備の一環として、経営陣から独立した窓口の設置(例えば、社外取締役と監査役による合議体を窓口とする等)を行うべきであり、また、情報提供者の秘匿と不利益取扱の禁止に関する規律を整備すべきである。

上記補充原則をコンプライしながら、社外取締役を窓口担当者としないのであれば「改正公益通報者保護法によって『内部通報に係る体制整備』が法的に義務付けられるにもかかわらず、なぜ経営陣から独立した窓口の設置として「社外取締役と監査役による合議体の窓口」を設置しないのか、ほかにこれと同等の実効性を持つ独立した窓口として何を設置しているのか、という点は十分に説明する必要があると考えます。とりわけEU諸国では公益通報保護指令の国内法化が進み、米国では(先日述べたように)報奨金制度によって公益通報が奨励されている状況のなかで、内部通報制度の実効性は機関投資家にも関心が高まるはずです。

さらに、(ここからは上場会社に限らず、常時301名以上の従業員を抱える会社の場合)社外取締役が通報窓口ではなくても、たとえば経営陣が関与する不正疑惑が浮上した場合に、社外取締役が社内調査を担当することは十分に考えられます。そして、社内調査が通報に起因するケースでは、当該社外取締役は「公益通報対応業務従事者」に該当することになるはずです(あくまでも当職の私見です。ここは「指針検討会」の審議で明らかになります。調査後の対象役員の処分審査に立ち会うような場合にも、やはり「対応業務従事者」に該当するものと思われます)。

そして窓口担当であったとしても、社内調査担当であったとしても、通報者を特定させるような情報を漏洩した場合には改正法によって刑事罰の適用を受けます(30万円以下の罰金)。つまり、独立社外取締役は、職務を遂行するにあたって犯罪者となる可能性が生じるわけです。もちろん「故意犯」ですから、悪質な場合に限られますが、ミスで漏えいさせた場合でも、会社が「体制整備義務違反」として行政措置の対象となる可能性が高いわけで、独立社外取締役の行動によって会社が「ブラック企業」の汚名を着せられることになりえます。

一方、改正公益通報者保護法では、対応業務従事者は「正当な理由」がある場合には守秘義務が解除されることになっているので、社外取締役が守秘義務解除の正当理由があるにもかかわらず社内の関係者や監督官庁等と「通報者を特定しうる情報」(通報者を特定させるもの)を共有しない場合には真相解明を困難にしたと評価されます。つまり「不正事実を隠蔽した」「不正実行者に加担した」として、株主から善管注意義務違反の責任を追及されるリスクが生じます。では、どのような場合に「正当な理由がある」と解釈できるのか・・・この点は今後消費者庁より解釈ガイドラインが出される予定になっているので、こちらを理解しておく必要があります。

※ 「正当な理由」とともに「通報者を特定させるもの」(法12条本文)の解釈も問題になりうると思われますが、こちらも正式な消費者庁の解説(ガイドライン)でできるだけ明らかにしていただきたいところです

ということで、これから不正を通報したいと思う方は(公益通報者保護法の改正によって緊張感の高まる)社外取締役・社外監査役への通報が効果的ですし、これから社外取締役・社外監査役に就任される方は、令和4年6月までに施行される改正公益通報者保護法の研修はかならず受けておいたほうが良いと思います。「窓口」を担当することがなくても、有事において「社内調査」を担当することは誰にでも可能性はありますよ。

| | コメント (3)

2018年2月16日 (金)

(緊急告知)内部通報制度と企業集団内部統制に関連する最高裁判決が出ました。

昨日(2月15日)、最高裁第一小法廷にて、内部通報制度と企業集団内部統制に関連する重要な判決(高裁一部破棄判決)が出ましたね。すでに最高裁HPにて全文が閲覧可能です。

すいません、このような事件が係属していたことについて、全く存じ上げませんでした。企業の内部通報制度(とりわけグループ内部通報制度)の運用、企業集団内部統制の構築実務にも大きな影響を及ぼしそうな判決です。

ちょうど来週月曜日から、監査役協会での講演が始まりますが、監査役(監査等委員)の皆様にとっても必読の判決ですので「緊急解説」をさせていただこうかと思います。

また、来週21日ころに、某団体から重要なソフトローの草案が公表される予定ですが(まぁ、これくらいならフライングもありかな・・・と)、こちらも「緊急解説」させていただこうかと思っております。以上、お知らせまで。

 

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2018年2月13日 (火)

「ないことの証明」にこそ活きる内部通報制度の実効性

来週19日の福岡が初日となりますが、今年も約1か月にわたる日本監査役協会でのリスクマネジメント研修の講師を務めさせていただきます。毎年春の講演では「監査役員の有事対応」についてお話することになっておりますが、今年は「内部通報制度の実効性」について、具体的な事例や設問を交えてお話する予定です(東京3回、大阪2回、福岡、名古屋が各1回です。ご興味がありましたら、ぜひご参加いただければと存じます。すでに満席となっている会場もありますが、監査役協会の会員以外の方も参加可能でございます)。

本日(2月12日)の日経法務面でも、会社の不正を見逃さないための手法として、内部通報制度の活用が挙げられていました。通報を受付ける情報を競争法違反や贈収賄に限定する、社内リニエンシー制度(通報者への社内処分の減免制度)を取り入れるなど、各社の工夫が紹介されており、それなりの成果が期待されるところです。昨年の「全農神戸ビーフ事件」の調査報告書では、上記記事でもコメントを出されている国広委員長が「自社にとってリスクの高い不正に限定して通報義務を社員に課すことも検討に値する」といった提案を示しておられました。

さて、内部通報制度といいますと、不正事実が「あることの証明」「あることの端緒」として活用されるのが当然だと思われていますが、実は「ないことの証明」にこそ活きるということはあまり知られていないところです(そういったことを今回の講演ではお話する予定です)。講演の前に二つほど頭出しをしますが、一つ目は、たとえばこのたびの三菱マテリアル・グループ各社の品質データ改ざん事例が典型例です。

昨年11月に三菱マテリアル社のグループ会社での不適切行為が発表されましたが、このたび新たに多くの不適切事例が発覚し、不祥事対応のずさんさが指摘されています。なかには親会社の窓口に内部通報が届くまで不正を発見できなかったグループ会社もあったそうで、どうしてもっと早く徹底した調査をしなかったのかと批判されています。

このような事態にならないように、有事に至った時点で、いわゆる「件外調査」が不可欠となりますが、その際に活用されるのが社内アンケートや臨時の内部通報窓口の設置です。「発覚した不正以外には、同種類似案件は存在しない」という点をわかりやすく説明するツールとして、通報制度の活用が求められます。とりわけ発覚した不祥事の量的・質的重要性が乏しく、公表せずに済ませることができるかどうかは、この社内アンケートや臨時内部通報制度の運用に依拠するところが大きいです。では、どのように運用すべきか・・・というあたりは、また研修をご聴講される方々にご説明したいと思います(笑)。

そしてもうひとつは2月2日にリリースされました中堅ゼネコンさん(証券コード1822)の第三者委員会報告書が参考になります。いくら研修等によって内部通報制度や内部告発対応の勉強をしたとしても、関係者の目のまえに「私は内部通報です」といった顔をしてやってきてはくれない、ということです(笑)。現実には、後になって「ああ、あのときに私が知った情報こそが、実は内部通報だったのだなあ」と思い返すことになります(ここが本当に実務的にむずかしいところです)。上記の中堅ゼネコンさんの事例では、社長に届いた情報への対応として、経営幹部が「このまま取締役会で本件を取り上げたら、会長との派閥争い、経営権争いの一環だと思われてしまう。しかし経営陣としては本気で会社の姿勢を正そうと考えて行動したい。そうであるならば、本件はA所長からの内部通報という形にして問題提起がされるべきではないか」と考えたようです。ちなみにこの内部通報は、会社の公式な発表では「匿名の通報」として扱われていました。

第三者委員会は、この経営幹部の処理方針を

確かに,その報告を受けたO社長ら会社幹部が,これを直ちにM元会長に報告することなく,また取締役会に上程することもなく,投書という形 で社内通報制度に乗せたため,これに疑惑の目を向ける者もないではない・・・(中略)しかし,この問題の本質が,M元会長らとX社との特殊な関係にある以上,会社幹部らが,これを公平妥当に処理するためには,当時なお会長であ ったM元会長の影響力の行使や介入を防止することが不可欠であると考えたとしても,これが不当であるとも断じがたい(注-個人名は修正しております)。

として「不当なものとはいいがたい」と結論付けていますが、「お家騒動」といった風評が広がることで企業の信用を毀損させないためにも、内部通報制度を活用して「支配権争いではないことの証明」を行うといったことも、企業の有事にはよく見られるところです。このような活用方法が最近になって広がってきた背景事情はどこにあるのか・・・、これも講演にご参加いただいた方々にはお話させていただく予定です(笑)。なお、この第三者委員会報告書には、取締役の「実質的な利益相反状況」における行動の在り方についての詳細な検討が示されており、とても参考になります。とりわけ社外取締役、社外監査役に就任されている方にはご一読をお勧めいたします。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2016年9月22日 (木)

不正対応に向けた内部統制の機能(日本内部統制研究学会年次大会のお知らせ)

(本日はBLOGOSさん等、転載いただかなくても結構な話題でございます)従業員の長時間労働による過労死問題について、会社役員の責任を追及する株主代表訴訟が、我が国で初めて提起されたそうです。被害者のご遺族に対する(会社の)損害賠償義務が確定したため、従業員としての持株を相続されたご遺族が、今度は株主として会社役員を提訴されたようで、いわゆる職場環境配慮義務違反が根拠となるようです。これだけ世の中で「働き方改革」が叫ばれているわけですから、当然のこととして役員の内部統制構築義務違反を問う裁判は、労働法の世界にも波及することになります(ちなみに原告代理人はミスター株主オンブズマンで知られる手強いM先生ですね)。

さて、私が理事を務めております日本内部統制研究学会の年次大会も、今年で9年目となりまして、来週10月1日(土)に第9回大会が開催されます。隔年で東京開催となりますが、今年は御茶ノ水の明治大学駿河台キャンパスで行われます(詳細は日本内部統制研究学会のお知らせをご覧ください)。今回は企業不正に焦点をあてたテーマが統一論題となっておりまして、「不正対応に向けた内部統制の機能-内部統制の構成要素からみた評価と課題」を研究、報告する内容です。「ごあいさつ文」にもあるとおり、ついに!「統制環境」に光を当てます!いや、ホントに昨今の企業不祥事をみるかぎりは「統制環境」こそ内部統制の最重要課題ですよね。この学会の趣旨は企業実務に役立つ研究ということなので、もちろん企業の方々にも多数ご参加いただける内容になっております。

学会による上記告知のとおり、私は午前中の自由論題報告の司会を務めます。私が司会を務める第1会場は、企業不祥事発覚時の第三者委員会報告書について取り上げます。最初に報告をされる東ソー株式会社の齋藤氏は、自社の内部統制構築に、どのように第三者委員会報告書を活用されているか・・・という点を、長年自社の内部統制推進に携わっておられる実務家の視点から発表いただきます。また、会社法、金商法問題に詳しい遠藤元一弁護士は「第三者委員会制度を再考する」というテーマで、第三者委員会制度の理想と現実に鋭く切り込むことが期待されます。日弁連ガイドライン「なんちゃって」準拠報告の現状などにも触れられるかも?うーーん、こちらも楽しみであります(そういえばこの学会の会長は例の「第三者委員会報告書格付け委員会」の委員ではなかったかなぁ・・・と 笑)。

また、第1会場と同時刻に開催される第2会場の自由論題報告では、青学の町田先生が司会を務められるようで、そちらでは内部統制コンサルタントの方による「企業における内部統制対応の現状」、生命保険会社の方による(COSOフレームワークを取り上げながら)内部統制の原点を探るといった報告内容だそうです。すいません、第2会場分の報告要旨は拝見しておりませんが、時間が重なっていなければ、こっちもぜひ聴講したかったなぁと(いつも思いますが、自由論題といってもジャンルが狭い学会なので、どっちも聴講したい人がかなりおられるのではないかと。なにか工夫できないものでしょうかね?)

その後の研究部会報告では、おなじみの神林先生司会、石島先生部会長による「ITを活用した内部統制のモニタリングの有効性向上策研究」が1年間の研究成果として報告されまして、おそらく会計専門職の方々を中心に聴講される方も多いかと思われます。

午後からは金融庁の古澤審議官による「不正事案等を踏まえた三様監査の進化」に関する記念講演だそうで、古澤審議官としては、あまり講演で扱ったことのないテーマではないでしょうかね?「不正事案等」の「等」は何を意味するのかよくわかりませんが。。。(「不正」と「不適切」は違うということでしょうかね?ともかく監督する立場の人たちが監査部門に何を求めているか・・・という点は、理解しておくと相当に役に立ちます。これは聴かねば・・・)。そして最後は統一論題によるディスカッションとなりまして、おそらく最近の企業不祥事の原因分析や再発防止に関する論点を、内部統制の視点から議論することが予想されます。まちがいなく「統制環境」に切り込む内容ですが、これこそまさに内部統制の本領ですね。細かな統制ルール違反ではなく、「取締役会自体の実効性がない」と評価することへの勇気が求められるところであり、これも興味あるテーマです。

さきほど事務局の方に問い合わせましたところ、まだ参加申込には余裕があるとのことで、都心のキャンパスでの土曜開催ということもあり、ぜひとも内部統制に関する理論、実務両面での企業対応状況にご関心のある方々には多数ご参集いただければ幸いでございます。なお、数年前に日大商学部キャンパスにて開催される年次大会直前、当ブログでご紹介しましたところ、多数の方がお越しになられて当日の配布資料が大幅に不足してしまいました。参加ご希望の方は、事前に出席通知を事務局あてお出しになられて参加いただけますと事務局側としてもありがたいです。どうかよろしくお願いいたします。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2014年11月25日 (火)

タカタ社のエアバックリコールと内部告発奨励法の活用

自動車部品大手のタカタ社がリコール問題で厳しい状況に置かれています。11月20日の朝日新聞ニュースによると、アメリカの上院議員2名が、自動車部品の欠陥に関する内部告発について高額の報奨金を付与するための法案を提出した、とのこと。当局が把握していなかった事実について内部告発を行った者に対して、企業に課された罰金の最大30%にあたる報奨金を付与する、というものだそうです。

「当局が把握していなかった事実」とは、自動車の欠陥はもちろん、法律違反や報告義務違反などの債務不履行の事実も含む、ということなので、これは重大事故を発生させた「製品の不具合」のような一次不祥事だけでなく、そのような事故の調査を怠った、調査結果を報告しなかった、不都合な証拠を廃棄した、といったような二次不祥事もあぶりだそう・・・という意図があります。「手続的正義」に厳しいアメリカらしい法案ともいえるかもしれません。

11月6日のニューヨークタイムズの記事によると、このたびのタカタ社のエアバックリコール事件について、同社の匿名社員2名からの内部告発があり、2004年の時点でエアバック事故の調査結果が出ていたが、不都合な調査結果を同社が報告せず、調査部品も黙って廃棄した、と報じられていました(なお、先日の公聴会ではタカタ社の幹部の方は否定していました)。アメリカではGM(ゼネラル・モータース)の点火スイッチの欠陥問題も発生しましたが、おそらく、このタカタ社のような事例において、当局側に有利な証言が得られるよう、報奨金を付与して告発を奨励しようとしたものと思われます。

以前、拙ブログでも「内部告発奨励制度」について取り上げたことがありまして(たとえばこちらのエントリー)、2011年に前橋市が内部通報奨励制度を採用しようとしましたが、「通報者に税金から報奨を出すというのは違和感がある」との市民の声が強かったため、結局採用されぬままに立ち消えになった、ということがありました。またフランスのように、個人のプライバシーが厳格に尊重され、内部告発の奨励には否定的な国も存在します。そこで、こういった内部告発奨励制度は日本の社会では受け容れられるのか・・・といった疑問も湧きますが、しかしこれ以上の国民への被害拡大を防止するためには、徹底的な原因究明が必要、という場面では、こういった内部告発奨励制度が必要な場面もあるかもしれません。「高額の報奨金がもらえるのならば、実名を出し、当局側の証人になってもかまわない。それが多くの国民の安全を守ることにも寄与するのだから・・・」といったインセンティブが働く余地はありそうです。

一般的に考えても、「製品の不具合」について、これを公表することにより「補償可能な程度の事業リスク」と把握できれば、コンプライアンス経営の時代、企業は躊躇なく製品の不具合を公表するでしょう。しかし、自社の事業リスクがどれほどになるのか把握できないほどのリスクとなると、いくら「コンプライアンス経営は重要」と唱えている人でも、「間違っていたら社会に重大な影響を及ぼすから、もう少し詳しく調査してみよう」などと理由をつけて、公表を遅らせたり、不都合な真実は隠したうえで報告したりするのではないでしょうか。ましてや品質保証部門や製造部門の責任者となると、たとえ製品の不具合の原因が自分の責任ではないとしても、他人の不正について「見て見ぬふり」をすることが組織としての在り方として正しいと考えるところではないかと(もちろん、これは平時の認識からではなく、有事に至った心境を前提として、ということです)。

これを「組織の構造的欠陥」というのであれば、そのような欠陥を事後的に責めることよりも、むしろ「おかしい」と感じる人が声を出すためのインセンティブを付与することのほうが、国民の生命、身体、人格、そして財産の安全を未然に防止するためには効果的ではないでしょうか。独禁法の世界だけでなく、景表法の世界でもリニエンシー(自主申告制度)が採用されるようになった日本でも、不正をあぶり出すために報奨制度を活用するという思想も決して間違いとはいえないと思われます。

ただ、内部告発奨励制度は、このように国民に迫った喫緊の危険を回避するためには効果的かもしれませんが、内部通報制度の趣旨とは抵触する場面もありうることには注意が必要です。なんといっても第三者への情報提供を国が奨励する、ということになりますので、企業への情報提供を第一に求める内部通報が軽視されるおそれがありますし、企業秘密等の第三者提供の違法性を阻却する理由にもなりえます。現在の公益通報者保護法の制度にも変更が必要となります。事故情報の共有に関する消費者安全法の運用、消費者教育に関する制度の検討などを通じて、自己責任を負える国民、負えない社会的弱者それぞれの危険を、誰がどのように回避する責任があるのか、議論を重ねる中で「内部告発奨励法」の仕組みを考えるべきだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年3月10日 (月)

公益通報者保護法制は「漢方薬」である(松本先生の名言)

内閣府の調査によると、偽装表示や悪徳商法への対応など、消費者行政に不満を持つ国民は6割に上るとのこと(3月8日の日経新聞記事より)。とりわけ消費者に関心が高い規制項目は「食品の安全性」や「商品・サービスの偽装表示」だそうです。課徴金制度の導入など、消費者庁において景表法改正への取り組みが急ピッチで進んでいるのも、こういった消費者行政への不満に応えるための当局による姿勢の表れかと思います。

以前、当ブログでもお知らせしておりましたが、先週金曜日(3月7日)、福岡市で開催されました消費者庁主催シンポ「お客様と社員の声が企業を救う」に登壇させていただきました。九州まで遠征した甲斐がありまして、シンポでご一緒させていただいた独立行政法人国民生活センター理事長の松本恒雄先生(元一橋大学大学院法学研究科教授)の基調講演を拝聴する機会に恵まれました。消費者政策の歴史と手法から始まり、CSRとコンプライアンス、消費者相談問題、公益通報者保護制度(社員の声)まで、松本先生の消費者政策や企業コンプライアンスに関する意見、思想の一端に触れることができ、たいへん勉強になりました。

1960年代(行政規制によるハードローの時代)→1990年代(裁判所等での権利行使を通じた民事ルールの時代)→2000年代(市場を利用した消費者保護、ソフトローの時代)、規制緩和と標準化(仕様規格から性能規格へ→プリンシプルベースが規制の主流となる中で、企業は自分の頭でルールへの適合性を考えなければならない)、そして「気がついたら企業はステークホルダーから監視される時代になっていた」とのお話は、私がふだん漠然と考えてきたことが間違っていなかったことを確認するきっかけになりました。

なかでも法制度の「生みの親」でいらっしゃる松本先生の公益通報者保護法に関する解説は、なかなか他では聞くことのできない内容でした。以下、松本先生が解説されたなかで、とても印象的だった点のみご紹介したいと思います。ご紹介にあたり正確を期しているつもりですが、もし間違っているところがございましたら、これは当職の責任です。

1 偽装表示問題の頻発と中国ギョーザ事件の発覚が契機となり、当時の福田康夫首相の音頭で消費者庁が作られた。公益通報者保護法は、けっして内部告発を奨励するものではないが、国が「内部告発は決して悪いことではない」と宣言したことに、もっとも大きな意味があった。

2 公益通報者保護法は即効性が期待されるような「抗生物質」ではなく、企業社会の改革のためにジワジワと効いてくる「漢方薬」のようなものである。ソフトロー時代に活用される政策であるから、誠実な企業には効果があるが、そもそも不誠実な企業には効果は限定的である(不誠実な企業への消費者政策のためには別の規制が必要である)。

3 公益通報者保護法は通報先ごとに保護要件が異なり、とくに外部通報の場合には加重要件が存在するが、これは逆にみると、「社員が外部通報しても保護されないほどに企業自身が内部通報制度を作る」ことへのインセンティブとなりうる。加重要件は、このような企業の自浄能力発揮を目的に作ったものである。

4 通報イメージと告発イメージは異なる。通報イメージは内部への不正事実の申告を、そして告発イメージは、不正事実の外部への申告を念頭に置いたものである。

経産省や厚労省、金融庁あたりの規制手法とも重なるところだとは思いますが、消費者行政においても(誠実な企業に対する)企業の自立的行動を促すための施策と、(不届き者企業に対する)罰金、課徴金、民事における損害賠償制度の拡充等、不当な企業利益を吐き出させる施策とのバランスをどうとっていくのか・・・・・、このあたりが今後の行政によるコンプライアンス施策の要点ではないかと感じました(松本先生、どうもありがとうございました!<m(__)m>)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月21日 (木)

組織の不正を許さない30代社員(内部通報・内部告発アンケート)

もうすでにいくつかのブログでも紹介されておりますが、共同ピーアール社(JDQ)の内部告発アンケート結果が公表されております(アンケート結果はこちら)。10年ぶりの調査だそうでありますが、やはり不正を見つけたら告発すべきだ、告発してもよい、と回答された方が、どの年代でも増えているそうです(ちなみに、このアンケートでは内部通報と内部告発を含めて「内部告発」と表現されているようです)。公益通報者保護法に関する期待感が、残念ながら、ずいぶんと薄れてしまっていることもリアルに認識できて参考になります。

マスコミ等でも紹介されておりますので、当ブログでご紹介する必要もないとは思うのですが、ひとつだけ興味深いのは今回のアンケートでも、10年前のアンケートでも、ダントツで内部告発意識の高い年代が30代なのですね。今回の調査結果でも、30代社員の半数以上は不正を見つけたら内部告発する、とのこと。しかし(10年前は30代だった)40代の方々が、他の年代層とあまり変わらない率に落ち着いています。これはどうしてなんでしょうか?やはり30代くらいの会社員の方々は、間違ったことは許さない、不正は見逃さないという熱い想いをお持ちなのでしょうか?それが40代くらいになると、ご自身を取り巻く生活環境の変化や将来への期待感の喪失などによって急速にしぼんでしまうと。。。

そういえば、私がいつも愛読している富山和彦さんのご著書のなかにも、 「30代が覇権を握る日本経済」というオモシロイ本がございまして、この年代でなければ、これからの日本は変えられない!40代、50代はもう変える力はない、経営者は30代の若きエリートに注目せよ、というもので、こういったアンケート結果をみますと、あながち間違いではないのかもしれません。このあたりのことを理解する感覚が、サラリーマンの経験のない私には乏しいように思います。

ところで、この内部告発アンケートを公表された共同ピーアールさん、ん?どこかで聞いたことがあるような・・・と思っておりましたところ、当ブログでも以前ご紹介した事件がございました(組織ぐるみの会計不正に立ち向かう社外監査役の事例)。そうそう、社員から内部告発を受けた社外監査役さんが、経営者関与の会計不正を暴き、社長と他の取締役2名に対して辞任勧告を突き付けた・・・というまさに「ガバナンス+ヘルプライン」の典型的な事例でありました(40年間君臨された社長さんが辞任をされたのですよね)。まさに内部告発の脅威を身をもって体験された会社さんなので、このアンケート調査結果への思い入れもかなり強いものかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

fiduciary duty(信認義務) iso26000 IT統制とメール管理 M&A新時代への経営者の対応 MBOルールの形成過程 MSCBと内部統制の限界論 「シノケン」のリスク情報開示と内部統制 「三角合併」論争について 「乗っ取り屋と用心棒」by三宅伸吾氏 「会社法大改正」と企業社会のゆくえ 「会計参与」の悩ましい問題への一考察 「会計参与」の有効利用を考える 「公正妥当な企業会計慣行」と長銀事件 「公開会社法」への道しるべ 「内部統制議論」への問題提起 「執行役員」「常務会」を考える 「通行手形」としての日本版SOX法の意義 すかいらーくのMBO関連 だまされる心 なぜ「内部統制」はわかりにくいのか ふたつの内部統制構築理論 アコーディアゴルフの乱 アット・ホームな会社と内部統制 アルファブロガー2007 インサイダー規制と内部統制の構築 ウェブログ・ココログ関連 カネボウの粉飾決算と監査役 カネボウTOBはグレーなのか? グレーゾーン再考 コンプライアンス体制の構築と社外監査役の役割 コンプライアンス委員会からの提案 コンプライアンス実務研修プログラム コンプライアンス研修 コンプライアンス経営 コンプライアンス経営はむずかしい コンプライアンス違反と倒産の関係 コーポレートガバナンス・コード コーポレートガバナンス関連 コーポレート・ファイナンス コーポレート・ガバナンスと株主評価基準 コーポレート・ファイアンス入門 サッポロHDとスティールP サンプルテストとコンプライアンス ジェイコム株式利益返還と日証協のパフォーマンス スティールパートナーズVSノーリツ スティール対日清食品 セカンド・オピニオン セクハラ・パワハラ問題 セレブな会社法学習法 タイガースとタカラヅカ ダスキン株主代表訴訟控訴事件 テイクオーバーパネル ディスクロージャー デジタルガレージの買収防衛策 ドンキ・オリジンのTOB ドン・キホーテと「法の精神」 ニッポン放送事件の時間外取引再考 ノーリツに対する株主提案権行使 パワハラ・セクハラ パンデミック対策と法律問題 ビックカメラ会計不正事件関連 ファッション・アクセサリ フィデューシャリー・デューティー ブラザー工業の買収防衛策 ブルドックソースの事前警告型買収防衛策 ブルドックソースvsスティールP ヘッジファンドとコンプライアンス ペナルティの実効性を考える ホリエモンさん出馬? モック社に対する公表措置について ヤマダ電機vsベスト電器 ヤメ検弁護士さんも超高額所得者? ライブドア ライブドアと社外取締役 ライブドア・民事賠償請求考察 ライブドア・TBSへの協力提案の真相 ライブドア法人処罰と偽計取引の関係 リスクマネジメント委員会 レックスHDのMBOと少数株主保護 ロハスな新会社法学習法 ワールド 株式非公開へ ワールドのMBO(その2) 一太郎・知財高裁で逆転勝訴! 三洋電機の粉飾疑惑と会計士の判断 上場制度総合整備プログラム2007 上場廃止禁止仮処分命令事件(ペイントハウス) 不二家の公表・回収義務を考える 不動産競売の民間開放について 不当(偽装)表示問題について 不正を許さない監査 不正リスク対応監査基準 不正監査を叫ぶことへの危惧 不正監査防止のための抜本的解決策 不祥事の適時開示 中堅ゼネコンと企業コンプライアンス 中央青山と明治安田の処分を比較する 中央青山監査法人に試練の時 中小企業と新会社法 事前警告型買収防衛策の承認決議 井上薫判事再任拒否問題 企業の不祥事体質と取締役の責任 企業不正のトライアングル 企業不祥事と犯罪社会学 企業不祥事を考える 企業会計 企業価値と司法判断 企業価値研究会「MBO報告書」 企業価値算定方法 企業法務と事実認定の重要性 企業秘密漏洩のリスクマネジメント 企業買収と企業価値 企業集団における内部統制 会社法における「内部統制構築義務」覚書 会社法の「内部統制」と悪魔の監査 会社法の施行規則・法務省令案 会社法の法務省令案 会社法を語る人との出会い 会社法改正 会社法施行規則いよいよ公布 会計監査の品質管理について 会計監査人の内部統制 会計監査人の守秘義務 会計監査人報酬への疑問 住友信託・旧UFJ合意破棄訴訟判決 住友信託・UFJ和解の行方 住友信託・UFJ和解の行方(2) 佐々淳行氏と「企業コンプライアンス」 債権回収と内部統制システム 元検事(ヤメ検)弁護士さんのブログ 八田教授の「内部統制の考え方と実務」 公正な買収防衛策・論点公開への疑問 公益通報の重み(構造強度偽造問題) 公益通報者保護制度検討会WG 公益通報者保護法と労働紛争 公認コンプライアンス・オフィサー 公認コンプライアンス・オフィサーフォーラム 公認不正検査士(ACFC)会合 公認不正検査士(ACFE)初会合 公認会計士の日 内部監査人と内部統制の関係 内部監査室の勤務期間 内部統制と「重要な欠陥」 内部統制とソフトロー 内部統制と人材育成について 内部統制と企業情報の開示 内部統制と刑事処罰 内部統制と新会社法 内部統制と真実性の原則 内部統制と談合問題 内部統制における退職給付債務問題 内部統制の事例検証 内部統制の原点を訪ねる 内部統制の費用対効果 内部統制の重要な欠陥と人材流動化 内部統制の限界論と開示統制 内部統制を法律家が議論する理由 内部統制を語る人との出会い 内部統制システムと♂と♀ 内部統制システムと取締役の責任論 内部統制システムと文書提出命令 内部統制システムの進化を阻む二つの壁 内部統制システム構築と企業価値 内部統制報告制度Q&A 内部統制報告実務と真実性の原則 内部統制報告実務(実施基準) 内部統制報告書研究 内部統制報告書等の「等」って? 内部統制実施基準パブコメの感想 内部統制実施基準解説セミナー 内部統制支援と監査人の独立性 内部統制構築と監査役のかかわり 内部統制構築と経営判断原則 内部統制理論と会計監査人の法的義務 内部統制監査に産業界が反発? 内部統制監査の品質管理について 内部統制監査の立会 内部統制監査実務指針 内部統制義務と取締役の第三者責任 内部統制限界論と新会社法 内部通報の実質を考える 内部通報制度 刑事系 労働法関連 原点に立ち返る内部統制 反社会勢力対策と内部統制システム 取締役会権限の総会への移譲(新会社法) 同和鉱業の株主安定化策と平等原則 商事系 商法と証券取引法が逆転? 営業秘密管理指針(経済産業省) 国会の証人喚問と裁判員制度 国際会計基準と法 国際私法要綱案 報告書形式による内部統制決議 夢真 株式分割東京地裁決定 夢真、株式分割中止命令申立へ 夢真による会計帳簿閲覧権の行使 夢真HDのTOB実施(その2) 夢真HDのTOB実施(予定) 夢真HDのTOB実施(3) 夢真TOB 地裁が最終判断か 夢真TOBに対抗TOB登場 大規模パチンコ店のコンプライアンス 太陽誘電「温泉宴会」と善管注意義務 太陽誘電の内部統制システム 委任状勧誘と議決権行使の助言の関係 学問・資格 定款変更 定款変更議案の分割決議について 専門家が賠償責任を問われるとき 小口債権に関する企業の対応 工学倫理と企業コンプライアンス 市場の番人・公益の番人論 市場安定化策 市場競争力強化プラン公表 帝人の内部統制システム整備決議 常連の皆様へのお知らせ 平成20年度株主総会状況 弁護士が権力を持つとき 弁護士と内部統制 弁護士も「派遣さん」になる日が来る? 弁護士法違反リスク 弁護士淘汰時代の到来 情報システムの内部統制構築 情報管理と内部統制 投資サービス法「中間整理」 掲示板発言者探索の限界 改正消費生活用品安全法 改正独禁法と企業コンプライアンス 改訂監査基準と内部統制監査 敗軍の将、「法化社会」を語る 敵対的相続防衛プラン 敵対的買収と「安定株主」策の効果 敵対的買収への対応「勉強会」 敵対的買収策への素朴な疑問 敵対的買収(裏)防衛プラン 断熱材性能偽装問題 新しい監査方針とコーポレートガバナンス 新会社法と「会計参与」の相性 新会社法における取締役の責任 日本内部統制研究学会関連 日本再興戦略2015改訂 日本版SOX法の内容判明 日本版SOX法の衝撃(内部統制の時代) 日経ビジネスの法廷戦争」 日興コーディアルと不正会計 日興コーディアルの役員会と内部統制 日興CG特別調査委員会報告書 明治安田のコンプライアンス委員会 明治安田のコンプライアンス委員会(3) 明治安田のコンプライアンス委員会(4) 明治安田生命のコンプライアンス委員会(2) 書面による取締役会決議と経営判断法理 最良のコーポレート・ガバナンスとは? 最高裁判例と企業コンプライアンス 未完成にひとしいエントリー記事 本のご紹介 村上ファンドとインサイダー疑惑 村上ファンドと阪神電鉄株式 村上ファンドと阪神電鉄株式(その2) 村上ファンドの株主責任(経営リスク) 東京三菱10億円着服事件 東京鋼鐵・大阪製鐵 委任状争奪戦 東証の「ガバナンス報告制度」の目的 東証のシステム障害は改善されるか? 架空循環取引 株主への利益供与禁止規定の応用度 株主代表訴訟と監査役の責任 株主代表訴訟における素朴な疑問 株主代表訴訟の改正点(会社法) 株主総会関連 株式相互保有と敵対的買収防衛 検察庁のコンプライアンス 楽天はダノンになれるのか? 楽天・TBS「和解」への私的推論 構造計算偽造と行政責任論 構造計算書偽造と企業コンプライアンス 構造計算書偽造問題と企業CSR 民事系 法人の金銭的制裁と取締役の法的責任 法人処罰の実効性について考える 法令遵守体制「内→外」 法務プロフェッショナル 法律事務所と情報セキュリティ 法律家の知名度 法科大学院のおはなし 海外不祥事リスク 消費者団体訴権と事業リスク 消費者庁構想案 無形資産と知的財産 無形資産の時代 特別取締役制度 特設注意市場銘柄 独占禁止法関連 独立取締役コード(日本取締役協会) 独立第三者委員会 王子製紙・北越製紙へ敵対的T0B 環境偽装事件 田中論文と企業価値論 痴漢冤罪事件 監査役からみた鹿子木判事の「企業価値」論 監査役と信頼の権利(信頼の抗弁) 監査役と買収防衛策(東証ルール) 監査役の報酬について 監査役の権限強化と会社法改正 監査役の理想と現実 監査役の財務会計的知見 監査役制度改造論 監査法人の処分と監査役の対応 監査法人の業務停止とは? 監査法人の法的責任論(粉飾決算) 監査法人ランク付けと弁護士専門認定制度 監査法人改革の論点整理 監査法人(公認会計士)異動時の意見開示 監査社会の彷徨 監査等委員会設置会社 監査論と内部統制報告制度(J-SOX) 相次ぐ食品表示偽装 相続税9億8000万円脱税 破産管財人の社会的責任 確認書制度の義務付け 社内文書はいかに管理すべきか 社員の「やる気」とリスクマネジメント 社員は談合企業を救えるのか? 社外取締役と株主価値 社外取締役に期待するものは何か 社外取締役・社外監査役 社外役員制度導入と体制整備事項の関係 社外監査役とゲーム理論 社外監査役と監査役スタッフとの関係 社外監査役の責任限定契約 神戸製鋼のデータ改ざん問題 神田教授の「会社法入門」 私的独占と民事訴訟 税理士の妻への報酬、「経費と認めず」 第1回内部統制ラウンドテーブル 管理部門はつらいよシリーズ 管財人と向き合う金融機関そしてファンド 粉飾決算と取締役責任 粉飾決算と罪刑法定主義 粉飾決算に加担する動機とは? 経営の自由度ってなんだろう?(会社法) 経営リスクのニ段階開示 経営統合はむずかしい・・・・ 経営者のためのサンプリング(J-SOX) 経済・政治・国際 経済刑法関係 経済法 経済産業省の企業行動指針 耐震強度偽造と内部監査 耐震強度偽造と内部統制の限界 自主ルール(ソフトロー) 蛇の目ミシン工業事件最高裁判決 行政法専門弁護士待望論 行政系 裁判員制度関連 裁判員制度(弁護士の視点から) 裁判所の内部統制の一例 製造物責任とCSR損害 製造物責任(PL法)関連 親子上場 証券会社のジェイコム株利益返上問題 証券会社の自己売買業務 証券取引の世界と行政法理論 証券取引所の規則制定権(再考) 証券取引所を通じた企業統治 証券取引等監視委員会の権限強化問題 証券取引等監視委員会・委員長インタビュー 証券業界の自主規制ルール 課徴金引き上げと法廷闘争の増加問題 課徴金納付制度と内部通報制度 議決権制限株式を利用した買収防衛策 財務会計士 買収防衛目的の新株予約権発行の是非 買収防衛策の事業報告における開示 買収防衛策導入と全社的リスクマネジメント 辞任・退任の美学 迷走するNOVA 道路公団 談合事件 重要な欠陥」と内部統制報告書虚偽記載 野村證券インサイダー事件と内部統制 金融商品取引法「内部統制」最新事情 金融商品取引法と買収防衛策 金融商品取引法案関連 金融商品取引法関連 金融専門士制度の行方 関西テレビの内部統制体制 阪急HDの買収防衛プラン 食の安全 飲酒運転と企業コンプライアンス 黄金株と司法判断 黄金株と東証の存在意義 ACFE JAPAN COSO「中小公開企業」向けガイダンス CSRは法律を超えるのか? IFRS関連 IHI社の有価証券報告書虚偽記載問題 IPO研究会関連 ISOと内部統制 ITと「人」の時代 JICPA「企業価値評価ガイドライン」 LLP(有限責任事業組合)研修会 NEC子会社幹部による架空取引 PL法 PSE法と経済産業省の対応を考える TBS「不二家報道」に関するBPO報告書 TBSの買収防衛策発動の要件 TBSは楽天を「濫用的買収者」とみなすのか(2) TBSは楽天を「濫用的買収者」とみなすのか? TBS買収と企業価値判断について TOB規制と新会社法の関係