2011年6月 7日 (火)

架空循環取引事例における「不正早期発見」型再発防止策の登場

本日(2011年6月6日)のTDNETでは、某監査法人さんの登録申請不認可に関連する開示情報が一番の話題だと思われます。(すでに多くのブログで取り上げられており、「品質管理」なる言葉が踊ってますね・・・)ただ、そんな中で、東証・名証1部の株式会社ゲオ社による「不適切な会計処理に関する関係者の処分と再発防止策について」なるリリースが、私的には最も関心の高いものであります。

すでに5月19日付け「当社連結子会社における不適切な会計処理に関する調査結果等のご報告」において、過年度決算訂正を要する不正行為(架空循環取引)の事実が報告され、また再発防止策の提案についても記載されておりましたが、外部調査委員の方々(東京の大手法律事務所の弁護士の方々)の発案による再発防止策をほぼ全面的に受け入れる形で、このたびのリリースとなったようであります。

この不正会計事件の再発防止に向けた諸策として、もっとも注目すべきは「早期発見型」の再発防止策が盛り込まれていることであります。これまで、会計不正事件の再発防止策といえば、精神訓示型(コンプライアンス意識の徹底、研修制度の充実)、未然防止型(ローテーションの実施、職務分掌の徹底、上司による再チェック等)がほとんどであり、早期発見型というと、わずかに内部通報制度の充実、という程度でありました。

しかしながら、ゲオ社の再発防止策には、「原因行為を早期に発見するための方策」としての不正取引発見のための制度的手当て、不正取引の兆候を把握する施策が具体的に掲示されております。また、これとは別に「不適切な会計処理を早期に発見するための方策」も別途掲示されております。調査委員からの提案のうち、社内リーニエンシー(自己申告者へのペナルティの軽減)は採用されなかったようですが、それでも、これだけ具体的に不正早期発見型の再発防止策が盛り込まれたリリースは、これまでほとんどなかったと思います。

「不正はどこの企業でも発生するものである」というところから出発し、これを過年度決算訂正に至るほど重大なものになる前に、その兆候を発見することによって財務報告の信頼性を確保する。こういった「モニタリング重視型」の内部統制システムは、このたびのJ-SOXの見直し(経営者における創意工夫に関する監査人の尊重)と親和性が高く、「費用対効果」を重視した次世代型モデルとして非常に有効かつ効率的なモデルであります。こういった再発防止策が今後も次々と登場することが予想されますし、なによりも本件施策を講じたゲオ社において、このシステムが財務報告の信頼性向上に資するものとなることを期待しております。

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2010年7月 1日 (木)

第三者委員会と裁判所の「事実認定」の食い違い(加ト吉事件判決)

(コメント欄においてUnknownさんが既にお書きになっておられますが)6月29日のエントリーでご紹介していた日本風力開発さんの特別調査委員会のメンバーが本日公表されておりますが、やっぱり公認会計士資格をお持ちの委員の方が、おふたり加入されたようであります(^^;。関係者の方がとくにこのブログをご覧になったからというわけではないと思いますが(笑)、私も、このほうが適切ではないかと。(なお、私はとくにどちらかを支援するつもりはございません)

上記の件もそうですが、最近いろいろなところで「企業不祥事発覚後に設置される第三者調査委員会の在り方」が問題とされているところでありますが、ちょうど3年前に「加ト吉社の外部調査委員会」なるエントリーを書きまして、そのなかで当時から「外部調査委員会」の調査については日経ビジネス誌などでも疑問が呈されていることをご紹介いたしました。(現在は「テーブルマーク」社なので、旧加ト吉社といったほうが正確ですね。ちなみに加ト吉さんの架空循環取引事件も、発端は監査法人への内部告発でありました。)本日(6月30日)、3つの架空循環取引のうちのひとつの事例に関するものでありますが、(結果的に)循環取引に関与していたとされる名古屋の総合商社岡谷綱機さんが、加ト吉さんを相手に提訴していた商品代金請求事件の地裁判決が出され、岡谷さんの請求がほぼ主張どおり認められたそうであります(共同ニュースはこちら)。

ところで、当時の加ト吉社の外部調査委員会報告書(要旨)によりますと、本件架空循環取引は、この岡谷綱機さんと別の会社が起点となって循環取引が組み立てられており、加ト吉社としては循環取引であることを知らなかったと報告しております。いっぽう当時岡谷さんは、直ちにTDNET経由により、この外部調査委員会報告の内容を否定し、起点になっていたのは加ト吉さんと親密な関係にある当該別の会社である、自分達は商流に関与したにすぎない、と公表しておりました。

この循環取引の後始末問題として、岡谷さんが加ト吉さんを提訴していたわけでありますが、このニュース記事によりますと、裁判所は「加ト吉社は相当量の循環取引が存在することを暗に認識していながら、売上を伸ばすために積極的に活用していた」と認定しているそうであり、(まだ判決が確定したわけではありませんが)結論は当時の第三者委員会報告要旨の内容とは食い違っております。本来、商品の引き渡しがない以上は、売主側が敗訴することが多いと思われますが、そもそも循環取引であることを加ト吉さん側が認識していた以上は、引き渡し未了であることを抗弁として主張できない・・・といったあたりでしょうか。(そういえば岡谷綱機さんといえば、赤福さんの事件のときに初めて知ったのですが、日本でも数少ないエノキアン協会に加盟しておられる会社ですよね。「健全経営を本旨とする企業」であることが条件だそうですが)

短い期間において、会社と独立した立場で事実認定を行うのが第三者委員会の役割ですので、事実認定作業が不十分であったのかもしれません。しかしながら、この岡谷さんが2007年4月26日にリリースした「当社に関する一部報道(冷凍加工食品の循環取引)について」では、加ト吉さんの第三者委員会による調査が一度あったが、その内容は極めて概括的なものであったことを公表しており、果たして加ト吉社さんの第三者委員会がどこまで機能していたのか、やはり疑問が残るところであります。とくに、本件訴訟のように、取引に関与していた会社間において、循環取引に関する認識が重要な論点になるケースもあるでしょうから、このあたりの事実認定につきましては、より慎重な調査および判断が必要ではなかったか、と思われます。

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2010年3月 5日 (金)

日本IBM社の繁栄とニイウスコー社の経済的役割について

2007年2月末、大阪のアイ・エックス・アイ社(大証ヘラ)の架空循環取引に絡み、日本IBM社は強制捜査を受けましたので、ちょうど3年ぶりの強制捜査、ということであります。今回は、ニイウスコー社の架空取引に絡むものだそうで、取引におけるIBM社の役割みたいなものが、前回よりも明確になるのかもしれません。

つい先日、日本IBMの営業マンご出身の方と食事を共にする機会がございました。日本IBMの営業マンというのは、たいへん優秀な方が多く、転職後も大きな企業の経営者として活躍される方もいらっしゃるようです。なぜ優秀かといいますと、日本IBMの営業方針というのは、米国親会社の方針により、値段交渉はしない、納期は明確にしない、ということが基本だそうであります。(今はどうかわかりませんが、1990年代のお話です)IT業界で値引きしない、納期を示さない、という営業だと、それこそ自社商品の良さを徹底的に知りぬいていないといけませんし、またクライアント企業を熟知したうえで、システム導入を提言できないと他社に負けてしまうわけであります。そんな状況で会社やクライアント社長に叩かれて、それでもしぶとくIBMの営業部隊として残る人達は、どこへ行っても通用するような目利きになるそうで、転職後はそれまでの知識と経験を生かして、様々な業界で活躍される方が多いとか。ただ、その優秀さゆえに、良い方向へ走っていって成功される方もいらっしゃれば、そうでない方向でお金儲けに走って成功される(?)方もいらっしゃるそうであります。

ただ、いつまでも好景気が続くわけでもなく、たとえ日本IBM社が高品質な製品を販売していたとしても、値引きしない、納期を示さない、といういわば「大名商売」のような商法にもひずみが生じてきます。在庫は滞留することになるわけですが、それでも親会社の意向に反するような値引き商売はできない。そこで、IBM商法のバッファ(緩衝装置)として、滞留した在庫商品を引き取りながら、クライアントの希望には価格の面でも納期の面でもできるだけ応えられるような役割の会社が必要になってきたようであります。そこで日本IBMが中心となり、野村総研さんと共同出資のもと設立されたのがニイウスコー(当時のニイウス社)だった、ということではないかと。(かなり大雑把な推論でして、関係者の方々からお叱りを受けるかもしれませんが、まぁ本質はこんなところではないでしょうか・・・)

こういった経済的な要因から設立されたニイウスコー社は、ニーズがあるところで営業していたわけですから、当初は大もうけをしていたものと推測いたします。しかし次第に世の中の流れと、その経済的な役割とが合わなくなり、そのあたりから粉飾に走っていったのではないかと思われます。なんせ、架空循環取引は「循環取引御殿が建つ」と言われるほど、旨みのある取引。しかも取引参加者の誰かが破たんしない限りはグルグル回っているだけで発覚することはない、というものであります。しかし30社も絡むような循環取引は、どこかが信用を供与しなければできないわけでして、そのあたりの循環取引における機能とIBM社の関与がはたして結びつくものなのかどうか、ニイウスコー社の粉飾決算事件において注目される一つの論点ではないでしょうか。コンプライアンス問題ではいつも思うところでありますが、不正を実行する者にとっての「不正を実行しなければならなくなった要因・背景」をきちんとチェックしておかなければ、本当のリスク管理はできないものと考えております。(文中の推論に至る部分は、すべて管理人自身の独断に基づくところであります。)

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2010年2月15日 (月)

ニイウスコー架空循環取引と監査法人による監査の限界

年初(1月4日)のエントリーにおきまして、ニイウスコー社の架空循環取引の原因を再考する機会到来か?と書きましたが、先週旧経営陣の方々が証券取引法違反(有価証券報告書虚偽記載の疑い)で逮捕されたことが報じられておりました。ニイウスコー社の粉飾決算問題が発覚して以来、すでに1年以上が経過しておりますので、こういった事件につきましてはやはり刑事事件として立件するためには相当の時間と労力が必要であることが理解できるところであります。新聞報道では、経営陣が社員に架空取引の方法を指示した証拠なども出てきている、ということですから、「経営陣が指示をしたことを示すメモ」など、それなりに確証があって今回の強制捜査に至ったものと思われます。

なかでも毎日新聞ニュースによりますと、仕掛品や棚卸資産、販売商品等について、内容が空っぽのCD-ROMが使われていたようです。しかし監査法人による監査の際には中身の入ったCD-ROMを示していた、とのこと。システム開発会社による架空循環取引に「空のCD-ROM」が使用されることは、おそらく当時の常とう手段だったものと思われますが、これは在庫商品の価値が10億なのか100円なのか外からはわからないからであります。報道によると、たしかに監査法人による監査の際には中身の入ったCD-ROMを示していた、とありますが、たとえ中身が入っていたとしても、普通の会計監査では中身の価値がどれほどかはわかりませんし、また、2005年から2007年当時、そこまで会計監査で調査することはなかったものと推測されます。(おそらく通常の実査では、CD-ROMの中身をパソコン画面上で確認して、全く空っぽというわけではないことまでの確認でOKだったのではないかと思われます)そもそもシステム開発といっても、一から完成まで、すべての過程を当該開発会社で制作するわけではなく、たとえば95%まで完成させて、あとの5%は別のソフトハウスに委託もしくは販売して完成品(ユーザー提供品)に至るケースもあります。その場合、たとえ監査法人さんがシステム監査専門部隊を連れてきて、在庫商品の価値を調べようとしましても、それが「95%の完成度」かどうかはなかなか判明しないのが現実であります。(もちろん、監査報酬が著しく高額であれば可能だと思いますが、通常の監査報酬において、そこまでの実査手続きは困難ではないかと。。。)

さらに、強制捜査の対象となっている2006年当時といえば、監査法人さんとシステム開発会社における関心の的は、ソフト開発会社の売上計上基準に関する「会計基準の改正問題」ではなかったかと推測されます。つまり、純額主義か総額主義か、という問題であり、システム開発会社が販売する商品について、本当にその会社が付加価値を付けて販売しているのか、それとも商社的取引によって販売実績を上げているのか、という問題であります。ソフト開発会社にとっては売上至上主義のようなところがありますので、監査法人さんとしても、流通におかれている商品について、当該システム開発会社がどれだけの付加価値を付けて販売していたのか、という点に最も注意を払って監査をしていたのであり(リスク・アプローチ)、それ以上に、架空循環取引が行われていた可能性までは(よほど、明白な証拠でもないかぎりは)認識していなかったのではないかと思われます。

金融機能や保証機能を有する「介在取引」(これは一応経済的合理性のある取引とされておりますが)と、架空循環取引との区別につきましては、どちらも資金もモノも動く取引ですから、外観的にはほとんどわからないと思います。また今回のように30社以上が介在しているような循環取引だと、介在している会社自身もおそらく架空循環取引である、と確信していたところも少ないものと思われます。したがいまして、私は原則として、監査法人さんは架空循環取引について、一般の監査手続きのなかで発見し、これを指摘することは困難ではないかと考えております。(つまり監査の限界事例ではないかと)ただし、その兆候などは会社内でも観察していれば結構発見できるものでして、たとえば先に書いたように、たな卸し商品であるソフトが入っているCD-ROMの中身が10億円の場合と、100円の価値しかない場合とでは、自然とその「管理方法」に差が出てきます。本当に10億円の価値がある、と会社が認識していれば、その無形資産の詰まったCD-ROMについては「社外秘としての管理」が厳格で、またソフトハウスに開発委託している場合でも、知的財産権保護に関する契約の中身が非常に厳しいものになっています。(これは当然ですが・・・)しかし、架空取引の道具として活用しているときは、けっこう平気で普通の倉庫に別の商品と一緒に保管していたり、他社に製品が存在している場合にも、預かりなのか販売なのか、よくわからない状況のままで経営陣が平気でいる、というケースもみられます。これは経営者が関与する架空循環取引を発見する手口のひとつにすぎませんが、こういったことは、人間観察の才能を持つ人による、むしろ「勘」に頼るところなのかもしれません。社内で架空循環取引を発見するケースというのは、こういったあたりからでないと関与者以外には見えてこないものであります。

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2010年1月 4日 (月)

ニイウスコー粉飾決算の原因を再考する機会到来か?

昨年末のニュースで気になっておりましたのが産経WEBの 680億円粉飾で捜査へ 循環取引 売り上げ水増し の記事であります。新経営陣が旧経営陣を(民事上で)提訴したのが平成20年11月ということですし、証券取引等監視委員会が告発に向けて動いているという報道もすでに1年以上前のことなので、「もう刑事責任は問われないのでは」といった噂もありました。由緒正しい東証1部企業だったニイウスコー(民事再生手続き中)における粉飾決算については2008年5月7日に(経済評論家の)勝間和代さんが こちらの論稿を書かれておりますし、私もこの勝間さんの論稿を引用しながら「不正のトライアングルからみた粉飾決算リスク」なるエントリーを記しておりましたので、ご興味のある方はお読みいただければ幸いです。ただし現時点でこのニイウスコーの件を考えてみますと、単に「不正のトライアングル」で原因分析ができるほど単純なものではないように思われます。

もし報道にあるように、ニイウスコー事件の捜査が開始されるとするならば、私的に最も関心を持ちますのは当時の社外調査委員会報告書が指摘したところと、実際の被疑事実(おそらく虚偽記載有価証券報告書提出罪と違法配当罪あたりでしょうが)との関係であります。当時の社外調査委員会は粉飾の手口として実体のないスルー取引やセール&リースバック取引、リース契約を利用した不適切な会計処理、売上の先行計上そして不適切なバーター取引等の5つを指摘しておられました。これら5つの手口のうち、いったい当局はどの部分に光をあてて犯罪事実として立件するのでしょうか。たとえばスルー取引であれば、おそらく猛烈なノルマ主義、成果至上主義による現場での工作ということで、全社的関与ということまでは言えそうにもありませんが、リース契約を利用した会計処理ということになりますと、メディア・リンクス社の事件のような売上を嵩上げする架空循環取引というよりも、金融目的に利用して負債を隠ぺいする手段、ということになりますので、かなり計画性の高いものとなり全社的関与という点が全面に出てくるものと思われます。

そしてもうひとつの興味としましては、当時の社外調査委員会報告書を読んだ感想としましては、数百億という巨額の粉飾決算が過年度にわたって行われていたにもかかわらず、当時の監査役や会計監査人はどうして見抜けなかったのだろうか?といった素朴な疑問であります。ある経済週刊誌では(いまでもこの記事は検索すればすぐに出てきますが)、会計監査人の責任問題が浮上するのでは?といったことも書かれておりますが、たしかにニイウスコー社の場合はあるシンクタンクのアナリストの方が「資産の算定がおかしい」と疑問を投げかけ、その後某経済週刊誌の記者へ複数の社員からの内部告発がなされたことで不正が発覚したはずですから、新経営陣による自浄能力が働いた・・・とまでは言えないように思います。また上記報告書によりますと、平成19年当時において、ニイウスコー社では監査役会が年に2回しか開催されていなかった、ということですから(ちょっとビックリ!)、たしかに我々社外の普通の人間からしても、ちょっと本気で監査していたのだろうか、と疑問に思うところであります。

ところで会計監査人の責任はどうか?ということになりますと、実はこの社外調査委員会報告書というのが、当時の会計監査人とかなり協議を重ね、会計監査人の協力も得ながら作成された、ということが冒頭に記載されております。正確には「また、並行して財務諸表監査を行ってきた監査法人とも歩調を合わせつつ事実関係の調査・確認等を実行してまいりました」と書かれております。ということは、この社外調査委員会報告書では、まちがっても当時の会計監査人に責任が及ぶ可能性のあるようなことについての記載は最初から存在しないのではないかな?との疑問も生じてまいります。(なお、これは時間的な制約のなかで報告書をリリースしなければならない調査委員会の目的からすればやむをえないことかもしれません。念のため)そこで、調査委員会報告書で調査した事実関係と、すでに1年以上経過した時点での金融庁や検察庁が把握している事実関係との間にどのような食い違いがあるのか、という点についても(管理部門がなぜ発見できなかったのか、という疑問を明らかにするためにも)非常に興味が湧いてくるところであります。

架空循環取引による粉飾決算の見分け方、といいますと、総資産回転期間の比較などをもとに、最近は財務分析から(公表された会社の数字から)読み解く方法などが議論されておりますが、社内(もしくは会計監査)のどのような兆候から「疑うについての合理的な根拠」が見出しうるのか、守秘義務を解かれた会計監査人や監査役、内部監査人などによって真剣に検討すべき時期に来ているものと思われます。いまでも結構多くの会社で架空循環取引に近いことが行われているようですし、「管理部門も知っていて放置していたのではないか」と言われても不思議ではない時代になりましたので。(粉飾が右肩上がりの景気回復によって飛んでしまうような状況にないですし。。。)

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2008年10月22日 (水)

プロデュース社の粉飾決算と会計士の関与(備忘録程度)

昨日は、ビジネス法務に関するエントリーではありませんでしたが、思いのほか多くの方のアクセスをいただきまして、ありがとうございました。(こういった話題のほうがアクセスが増えるのですね。やはり当ブログは普段かなりマニアックな話題をとりあげていることを再認識いたしました。)さて、9月18日から始まったプロデュース社(本社;新潟県長岡市 9月26日民事再生申立中)への証券取引等監視委員会の強制捜査の結果として、2005年12月の上場時期より監査に関与されていた公認会計士さんが粉飾にも関与されていた疑いが強まっている・・・と読売新聞ニュースが報じています。この会計士さんが所属する(非常勤?)監査法人は強制捜査の直後(9月24日)にプロデュース社に対して「法令遵守や会計基準遵守など監査嘱託者責任を履行していないこと」を理由として契約を解除しておられるようです。(EDINETと本ニュースの内容から、すぐに会計士さんは特定されてしまいますね。この方の決算書解説本は以前、読ませていただいた経験があります。)

このニュースの内容では2005年12月、つまり上場時から粉飾決算を続けていた、とありますが、これは本当なのでしょうか?もし本当だとしますと、取引所(JASDAQ)をも騙したことになりますし、普通の粉飾決算の動機(上場後の業績悪化の糊塗、買収や資本政策のための時価総額の向上、担当役員の名誉欲など)に基づくものでもないようでして、きわめて大きな問題を投げかける事件ではないでしょうか。上場を一年後に控えた2004年、新潟地震によってプロデュース社の業績は大きなピンチに立たされたようでありますが、困難を乗り越えて無事、予定どおりに上場に至ったそうであります。しかしながら、実際には無理な状況での上場申請だったのかもしれません。本件における粉飾決算の動機を考えるにあたり、当該地震と粉飾決算との関係についての検証が必要ではないかと思われます。(とりいそぎ、備忘録のみにて失礼します)

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2008年9月 5日 (金)

三井物産社の不適切循環取引にみる内部統制システムの効用(意義と限界)

本日は「内部統制の最新事情と企業実務における今後の展開」なるセミナーに多数ご参加いただき、ありがとうございました。参加された皆様は内部統制統括部門と内部監査部門とちょうど半々の割合でしたね。(あと、監査役、監査役室の方もいらっしゃいましたね)「中小上場企業向け」と謳っておきながら、中小上場企業固有のお話がなかったではないか、とアンケート用紙にお叱りの意見が書かれてありましたので、この場を借りてお詫び申し上げます。(すいません、時間が足りませんでした。)

本日のセミナーの冒頭でもご紹介しました9月3日リリースの三井物産九州支社における架空循環取引発生の事実と、その再発防止策に関するお知らせでありますが、当事例を検討するにあたりましては、会社法務A2Zの9月号「内部統制最前線(7)」の特集記事を参考にされることをお勧めいたします。といいますのも、今月号は三井物産社の内部統制の推進と課題ということで、三井物産社の業務プロセス管理第一部長さんのインタビュー記事と、2001年以降の全社的内部統制構築への取り組みがしっかりと記載されているからであります。(なお、本日セミナーにお越しいただいた方々はおわかりのとおり、私は今回の三井物産社の対応を非難するつもりでご紹介したのではなく、そのリリース内容から、①事実認定プロセス、②認定事実開示プロセス、③業務プロセスと全社プロセスの組み合わせによる効果的な再発防止策策定の3点を紹介することを主眼としたものであります)

なお、このリリースを単純に眺めてみますと、業績絶好調の商社ゆえ、7年間で82億円程度の循環取引による売上計上額など、過年度修正の必要もなく「軽微なものにすぎない」ことは間違いございません。ただ、担当部署の売上推移表からみて、300億円のうちの27億円ということですから、たとえば売上高300億円(2008年3月期)の企業に27億円(2008年3月決算分)の架空循環取引が混在していたと仮定しますと、公表されている税引後利益から税引前利益を推定しましても、「重要な欠陥と評価されるべき不備」が残っている可能性は否定できないものでありまして、一般事業会社においても参考になる事案かと思われます。(まぁ、巨大商社の信用ゆえに、担当部署で年間27億円もの架空取引ができた、ということも考えられますが・・・)以下、私なりに分析における意見を若干述べさせていただきます。

1 業務プロセスの平準化が炙り出した不適切な循環取引への関与

三井物産社の本件不適切取引に関する7月25日および9月3日のリリースを読みますと、不適切循環取引の対象取引は2008年2月で(会社の方針として)一旦中止をしたことがわかります。なぜこの取引を中止したかということは、先の会社法務A2Zの記事および7月25日付けリリースによりますと、単純に売上向上が見込めないから、というわけではなく、現状の会計プロセスの問題点として、社内において「財務報告に係る重大な虚偽記載リスク」を十分に把握できない取引が多く残っており、それらを一旦引き揚げて、プロセスをきちんと整理したうえで再開する方針にしたがったからであります。(上記雑誌でも、本件不正取引とは関係なく、そういった方針によって全社的に取引見直しが行われていることが説明されています)。つまり、三井物産社は、今年2月に、この会計プロセスの再構築の方針のもとで不適切循環取引の対象となった取引(農業資材取引)をリスクの大きな取引として中止したことは間違いないようです。三井物産本社がこの不適切循環取引を直接発見したのも、(三井物産社による信用補完が途切れてしまった)今年6月の循環取引に関与していた販売先からの「資金繰りに窮しての」相談によるものであることに起因するようですので、そもそもこのリスク管理の一環としての取引中止が引き金となって循環取引の連鎖が崩壊したことは間違いないと思われます。まさに「業務プロセスの平準化」が社内不正を炙り出した結果となったようであります。

2 業務プロセスの統制手続きと内部統制の限界

そもそも三井物産社は上記会社法務A2Zの記事にもあるように、米国SOX法404条(財務報告統制)及び同法302条(開示統制)をクリアしている会社ですし、不正取引を防止するために権限分掌や上長によるモニタリングなど、プロセスチェックを重視した(かなり進んでいると思われる)業務プロセスを構築されているようであります。しかしながら、それでも7年間にわたりチェックできなかった循環取引による売上および利益計上が行われていたということですから、やはり「どんなに万全の体制を敷いていても、不正はなくならないし、また発見することができない」という点では内部統制の限界を考えざるをえないところであります。ちなみに、先日ご紹介した「関西不正検査研究会」におきましても、某銀行の業務監査部の方が「不正を働く社員は、どこに穴があるか知り抜いているし、また内部監査のクセまで見抜いているから発見は本当に困難」と発言されておられましたが、まさにこのたびの三井物産社の対象社員の所業も、(9月3日のHPリリースをご覧になればおわかりのとおり)商社取引のなかにおいて、少しばかり「法令順守よりも利益拡大のほうが優先順位が高い箇所」をピンポイントで狙った不正行為であります。ただし「内部統制の限界事例があるから仕方がない」で済ませるものではなく、その限界部分をできるだけ狭めるべく、今後の対応策が検討されてしかるべきであると思われます。

3 不正発覚時の対応にみる内部統制構築プロセスの全社的能力

上記法律雑誌の記事と今回の不正取引に関するリリースを統合しますと、今回の三井物産社の「調査の結果、判明した不正行為発生の原因」が単なる後だしジャンケン的なものでないことは判明いたしますが、とりわけ9月3日のリリースで特筆すべき点は、冒頭でも少し触れたとおり、事実認定の迅速さ、認定事実開示の正確さ、そして説得的な再発防止策の提言であります。昨今の内部統制事情を垣間見るに、監査法人による適正意見をもらうためにはどうすればいいか、2009年6月の時点で(評価日は期末ですが)問題となっている不備が重要な欠陥と評価(宣告?)されないためにはどうしたらいいか、といった議論がさかんに行われております。そこでは企業側として、かなり受身の体制をもって内部統制報告制度の向き合っているのが現状ではないでしょうか。せっかく株主から預かっている金銭を内部統制システムの構築のために投入しているわけですから、まさにこういった財務報告の信頼性が揺らぎかねない事態への対応能力に大きな差をつけられないような積極的な取り組みが求められるところではないでしょうか。不正会計処理を防止するために、いったん継続している取り引きを中止するなど、それこそ大きな企業であり、また多額の管理費用をねん出できる企業だからこそ可能な所業、ということも言えそうであります。しかしながら、リリースの再発防止策を精査するかぎり、そこに必要なのは現場においては業務プロセスを承認する現場社員の理解であり、また統制環境においては、全社的内部統制として「法令順守よりも利益拡大の姿勢」はあってはならないとする経営トップの姿勢であり、そこになんら多額の費用も負担も要しないと感じることができるのではないでしょうか。

今回は、たまたまセミナーの冒頭トピックスとして三井物産社の事例を取り上げたにすぎませんが、内部統制報告制度の効用を検証するにあたり、「これは好材料」と思料される事例は、公表されているものだけでも、この半年くらいで5,6件は存在します。(成功例、失敗例含めて)そういった事例を、自社での取組に活かすことも「内部統制燃え尽き症候群」にならないためには必要かもしれません。

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2008年7月17日 (木)

加ト吉・循環取引とモニタリング

昨年3月に大きく報道されてきた加ト吉社の架空循環取引でありますが、元常務の方が循環取引を主導していた取引先2名とともに逮捕された、とのことであります。昨年のエントリーでもご紹介しましたが、再度2007年当時の加ト吉社のガバナンス組織図を参考に、内部統制システム等によって社内不正を防止できなかったのかどうか、検討してみたいと思います。なお、現実の企業においては、日々の業務に関係者全員が精励しているのでありまして、以下は「後だしじゃんけん」的な思考も含まれておりますので、関係者の法的責任とはなんら関係のないものであることは当然であります。

Photo_3 この組織図では、企業における不祥事を防止するための体制が十分に整備されているようにも感じられます。(もちろん、それぞれの組織が実際に機能していれば・・・という前提でありますが)本日の逮捕に関する報道内容などを総合しますと、加ト吉社の経営トップ(カリスマ経営者)であった方は、問題となっている架空循環取引には直接的な関与はされていなかった、とのことでありますので、元常務を中心とした取引先との共謀事件として考えてみることにいたします。また、本日逮捕事実とされているのは、加ト吉子会社の印鑑を勝手に使って、虚偽の売買契約書を作成し、みずほ銀行系のSPCより債権譲渡代金をだまし取ったとして詐欺、有印私文書偽造、同行使罪ということでありますが、ここでは関係者間で「そこまでしなければいけなくなった」原因である循環取引を早期に発見できなかったかどうか、という点にしぼってみます。

1 外部監査人(監査法人)による発見(識別)可能性

今回の逮捕事実の舞台となった加ト吉水産は加ト吉社の子会社であり、報道によりますと元常務は商品在庫担当者を巻き込んで、在庫証明書を偽造していたとのことであります。また、およそ10年ほど、商品が倉庫に保管されていて、倉庫業者から引き取りの連絡を受けていた、ということですから、果たして監査はどこまでなされていたのかと、すこしばかり疑問を持ちました。ただ加ト吉社の場合、外部調査委員会報告要旨にもありましたように、「売上至上主義」が社風であり、帳合取引(加ト吉社が保証的機能をもって取引の中間に介入するもので、経済的な裏付けがあるかぎり、それ自体は違法取引とは言えない)の増加も、それほど不自然な営業とはいえなかったことや、年間の水増し売上高が216億円程度ではあったものの、水増し売上高が増加するにしたがって年間売上高も順調に増加しているために売上債権の回転期間にはほとんど変化がみられないこと、循環取引が頻繁に行われるようになったとされる平成13年以降の売上総利益率をみても、それほど異常な変動を示しているものではないことなどから、当時の監査法人さんが「循環取引が行われているのではないか」と合理的な疑いを抱くだけの事情は見当たらなかったのではないかと思います。

ただ、報道されているところによると、2004年ころに売掛債権の滞留が目立ち、監査法人から代表者に疑問が呈されたところ、「常務が回収に問題がないって言ってるんだから、それでいいじゃないか」と言われ、そのままになってしまったそうで、こっちのほうが少し問題なのかもしれません。

2 ガバナンスによる発見(識別)可能性

会計監査として、循環取引の識別が困難だとしますと、業務監査もしくはガバナンスの問題として識別できなかったのかどうか、とりわけ上図のとおり、加ト吉社のコーポレートガバナンス組織はきわめて模範的なものでありますので、この組織がどのように機能していれば粉飾を早期に発見できたのでしょうかね。まずは即効性が期待できるものとして、内部通報制度(ホットライン)が機能していればよかったと思われます。とくに入庫証明書の偽造を元常務が命じていた、というものでありますし、経営トップが「失職のおそれはないから正直に言え」と言われて、偽造の事実を告白した・・・というものでありますので、従業員に内部告発のインセンティブが働いていれば、もっと早期に経営トップの知りうるところになったのではないかと推測されます。

つぎに内部監査や監査役監査によって循環取引を発見することはできたでしょうか。子会社を中心に行われていた、というものであるならばなかなか発見することはできなかったでしょうし、また外部監査人と同様、財務分析の結果をみても、全体の売上高からみた循環取引による売上高の比率が低いことから、業務監査のなかで帳合取引ではなく循環取引である、と断定するだけの証拠収集は困難だったのかもしれません。

ただ、私自身が他の会社の「架空循環取引」騒動に関わった経験からして、こういったことは会計監査人と監査役会との定例報告会とか、社内のいろんな部門に顔のきく内部監査人からの「噂話」などから、「どうも架空取引が行われているらしい」といった事情は把握できたんじゃないでしょうか。新聞報道にあるように、2004年ころには、監査法人が粉飾の疑いを経営トップに告げているわけですから、すくなくとも2004年ころには、監査役の耳にも、監査法人さんから虚偽記載リスクに関する問題共有はなされていたのではないかと(かってに)推測してしまうのであります。粉飾決算が刑事事件になるたびに、監査役さんの責任について関心をもつのですが、これまでほとんど監査役さんの責任が論じられることはありません。やっぱり世間からは責任を負担させるのは気の毒なほど、期待されていない、ということなんでしょうかね?(たしか加ト吉社は、2007年3月当時5名の監査役さんがいらっしゃって、そのうち3名が社外監査役さんだったと記憶しております)噂話でもいいので、監査役の耳に入れば、それをきっかけとして子会社に対する業務監査も可能となるわけで、とりわけ社外監査役が3名もいらっしゃるのでしたら、元常務の違法行為差し止めに向けた行動は期待できたのではないでしょうか。

会計監査人の不正報告義務は会社法でも金商法でも規定されるようになりましたし、監査役を含めた「統制環境」が内部統制報告制度の肝である、とも言われておりますので、こういった事件のモニタリング機能として、会計監査人、監査役、内部監査人による連携協調の姿勢が今後大きく問われてくるべきですし、またこういった事例での粉飾早期発見にも役立つのではないかと考えております。(最近、耳にタコができるほど「監査人の連携」といわれますけど、これって監査役さんが主導的役割を果たさないと実現しないのではないでしょうか。経営者側から勧められるわけでもなく、また監査法人さんもお忙しそうなんで)

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2007年9月 3日 (月)

IXI粉飾、管財人が監査法人を提訴

9月1日の読売新聞に、IT関連企業であるアイ・エックス・アイ社(以下、IXIといいます)の民事再生手続きにおける管財人が、IXI社の2005年と2006年の3月期(2事業年度)の架空循環取引による粉飾決算に適正意見を出した監査法人に対して、1億2700万円の損害賠償を求める訴えを提起した、との記事が掲載されております。(ちなみに、民事再生事件におきましても、資産の保全管理の必要がある場合には管理命令とともに管財人が就任するケースがときどきあります)

元経営陣と一緒に粉飾決算に加担したとか、経営陣に粉飾方法を指南した・・・といった話だとわかりやすいのでありますが、そうではなくて、監査法人(担当した公認会計士)の注意ミスによって粉飾を見逃してしまった、というケースのようでありますが、損害として管財人より請求されている金額は、監査法人さんの2年分の報酬2700万円と、慰謝料1億円であります。どんなところに法律上の問題(注意ミス)があったかと言いますと、先の新聞報道によると、メディア・リンクス社の架空循環取引が発覚した後の2005年3月、「情報サービス産業における監査上の諸問題について」と題する日本公認会計士協会からの通達が出されていたにもかかわらず、IXI社の会計監査人らは(この通達が公表された以降も)IXI社による商品確認が適正に行われていなかったことを見抜けなかった(2006年12月まで適正意見を出し続けていた)というものであります。監査法人さんには「不正発見義務」はないわけですから、ここで問題にされるのは「見逃した」というよりも、なぜ会計処理に不審を抱かなかったのか、もしくは会計処理がおかしいと思ったら、どうしてもっと早期に「意見不表明」としなかったのか、といったところでしょうか。

この会計士協会から平成17年3月11日に出されました「情報サービス産業における監査上の諸問題について」と題する通達(A4にして14頁程度)の内容を拝見しましたが、IT企業の会計監査基準を厳格に定めたものではなくて、単に商法上の取引慣行においては循環取引(Uターン取引)のような付加価値をもたらさない目的の取引もあるので、留意されたい、とりあえずアメリカにおける参考基準を示します・・・といった内容であり、異常な商取引の留意点や取引価格の合理性の検証に関する部分にも、一般的な注意事項程度のことのみ記載されているようです。しかしながら、これだけでは、違法とはみなされていないスルー取引(信用補完取引)と、売上高を多く見せかける架空循環取引との区別を明確に判断できるものではありませんので、企業側から「これは適法なスルー取引です」と言われてしまえば、それ以上ツッコめないかもしれません。いつも伝票と納品書だけで処理しており、それ以外の帳票は存在しないといわれればそれまでですし、取引関係者に確認しようとしても、「企業秘密が記載されているのでお見せできない」と言われれば、それ以上の調査は会計士さんに「不正発見義務」でも認められていないかぎりはツッコミをいれることは(監査法人に対して)期待できないでしょう。

そもそも、ソフトウエアやサービスといった「モノ」を扱う商売ですから、在庫商品が不良なのか、優良なのかも不明であり、どこまで仕掛なのか(分割検収は正しいのか)もわからないことも多いでしょうし、このIT関連業界において納品確認を正確に把握することなど、監査法人さんにはかなりムズカシイ作業ではないでしょうか?結局は、不審な点があったとしましても、企業側からあれこれと説明を受けてしまうと、それを信用せざるをえない点もあったのではないかと推察いたします。最近よく証券取引所の方々とお話する機会がありますが、(最近の新興企業における不祥事の多発や、経営不振を受けて)有識者の方から「上場継続審査のようなものを採用してはどうか」といった提案がありましても、証券取引所としましては、いったん上場を認めてしまいますと、たくさんの一般株主の方が株を買ってしまっているので、なかなか継続審査(つまり、途中で審査基準を満たさなければ上場廃止にしてしまう)採用までは考えられない、といった見解をお聞きします。同じように、監査法人さんとしましても、「意見不表明」や「不適正意見」といったものは、一般投資家への影響も考えるならば相当の自信がなければ出せないというのがホンネのところではないかと思いますし、(つまり、どっちか迷ったけど、とりあえず不適正意見を出しましょう・・・とはならないわけで)そうであるならば意見を表明しないための相応の証拠も必要ではないかと思います。そのあたりを考えますと、加担事案や指南事案は別として、監査法人の不注意による見逃し事案につきましては、損害賠償を求める方に相当の持ち駒がなければ「しんどい裁判」になるのではないかと想像いたします。

ただ、IXI社の場合は、M&Aを繰り返していたわけでもないのに急激に売上高、売掛金が増えていたこと、この監査法人が会計監査を担当していた時期に、ナスダックジャパン(現大証ヘラ)から東証2部に上場しようとしていたこと、(いつ判明したかは不明ですが)メディアリンクス社の循環取引にIXI社も関与していたこと等からすれば、一般のIT関連企業以上に相当な注意をもって監査しなければならなかったとはいえるかもしれませんし、そのことを前提とするならば、先の公認会計士協会による通達が出た後から、高度な注意義務をもって会計監査にのぞむ必要があった、とされるのかもしれません。ちなみに、山一證券の簿外債務を見落としたとして、山一の破産管財人と旧中央監査法人との間に1億6600万円による和解が成立した事案(監査法人への請求金額は60億)や、足利銀行が旧中央青山との間で、違法配当を見逃した件の裁判のなかで2億5000万円で和解が成立(請求金額11億)した事案などがありますが、今回も、どこかで和解的な解決がはかられる可能性は高いのかもしれません。(ただ、私自身は監査人の不正発見のために尽くすべき義務と善管注意義務違反との差異というものについて、裁判例と通して予見可能性が高まるほうが、いいのではないかと考えております。ちなみに、引用しております足利銀行事件でありますが、これ、監査法人と一緒に監査役4名も訴えられておりまして、監査役4名で合計1200万円を支払う・・・との和解が成立しております。こういった事件での和解の是非につきましては、また別の機会にでも議論してみたいと思っております)

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2007年6月21日 (木)

加ト吉社の外部調査委員会

監査法人で働く会計士(補)のブログ」(noppy246さん)でも紹介されておりましたが、今週号の日経ビジネスでは「粉飾連鎖」と題する特集が組まれております。そのなかで「会計士が落ちた罠」と題して、「会計士を骨抜きにする4つの殺し文句」が紹介されております。(これ、なかなか面白いです。詳しい内容は上記noppy246さんのブログでどうぞ)しかし、加ト吉社がみすず監査法人さんから適正意見を受理したと報道されるやいなや、700円→750円と株価が一瞬のうちに急騰するわけですから、やはり監査法人の適正意見というものの経済的価値はモノスゴイものですね。一方で本日、加ト吉社の子会社が販売していた冷凍コロッケに関する表示偽装(牛肉→豚肉)の報道がなされるや、今度は株価急落ということで、これまたコンプライアンス経営の重要性を真摯に受け止める必要もありそうです。現実をあらためて認識いたしました。逆に申し上げますと、こういった事例を前にしますと、たしかに会計士さんに対して、業績の悪化している企業さんの担当者からすれば、無理難題を言ってみたい気になるかもしれませんね。

ところで、この特集記事のなかで、加ト吉社の6年間約1000億円にも及ぶ架空取引に至った経緯が詳細に紹介されておりますが、その記事の最後のところで外部調査委員会の調査内容に関しましては、やや批判的に紹介されておりまして、私的にはこの外部調査委員会の調査内容へのコメント記事がもっとも鮮烈な印象を受けました。つい先日、法曹の事実認定能力について、その専門的手腕こそ企業社会は有効活用せよ・・・なんて、ずいぶん偉そうに書かせていただき、批判的なご意見も頂戴しておりましたが、(うーーーーん)たしかに、この記事を読んでみての感想としましては、あんまり偉そうなことは書かないほうがいいなぁ(^^;・・・と思いなおした次第であります。といいますか、我々法曹としましても、自戒すべきところが多いのかもしれません。もちろん、事実認定能力といったものには優っていると思いますが、それは十分な事実調査に裏打ちされるものですから、そういった調査が不十分ですと、どうしようもありません。誰からも文句が出ないほどに詳細に事実を認定していかなければ、不正の原因特定についても、また再犯防止策の提言についても説得的な意見は書けないのだろうな・・・と思います。

(広報)さて、先日お知らせいたしましたビジネス法務の部屋のオフ会(7月12日午後6時半から梅田にて)でありますが、すでに8名の方よりご参加の意向を頂戴しておりまして、最小催行人数(3名)を超えておりますので、予定どおり開催することといたします。なお、まだまだ参加者を募集いたしておりますので(だいたい15名くらいまでならだいじょうぶと思います)、気軽に参加してみたい・・とお考えの方がいらっしゃいましたら、メールにてご連絡ください。なお、これまでメールを頂戴した方はほとんど「レベルが高そうですので、話についていけるかどうか・・・」「私のような者でもだいじょうぶでしょうか」といった、枕詞をおつけになっていらっしゃいますが、(このブログがそのようなイメージを持たれているのかもしれませんが)ブログをご愛読されていらっしゃる方でしたら、どなたでも歓迎ですので、どうぞご応募くださいませ。

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