2022年11月11日 (金)

全社的リスクマネジメントと企業統治改革

090034 ここ10年ほど「健全なリスクテイク」「攻めのガバナンス」といったフレーズが流行っていますが、リスクテイクが健全というのはどんな状況なのか、いまだによくわからないところがあります。とりあえず、私はcoso-ERMに沿った「全社的リスクマネジメント」がひとつの解ではないかと考えております。

ところで、グーグルで「リスクマップ」を検索してその図表をいろいろと検討しましたが、全社的リスクマネジメントを一番言い当てていると思われるのは東京ガスの吉野太郎氏(現在、私と企業会計審議会の臨時委員をご一緒している方です)のご著書「全社的リスクマネジメント」(2017年中央経済社)で示しておられる上図ではないかと思います(ご著書の中からそっくりではありませんが、ほぼ同じ図を借用させていただきました)。

重要な戦略の実行を決定するにあたり、リスクAにあたるリスクはリスクBの領域にまで低減するか、もしくは実行しないという判断が必要ですが、リスクCにあたるリスクは(過剰なリスク評価によって)機会損失をもたらす可能性が高いので、戦略の実行にあたって資源配分を見直すということも検討すべきです。たとえば法令違反リスクについて、個々の事業遂行の中でリスクが顕在化したとしても、修正が可能なものについては戦略の実行には影響しないかもしれません。しかし、法令違反が企業全体のレピュテーションを毀損するようなリスクであれば、これはAの領域なので、リスクの低減か、回避か、転嫁か、これは経営判断として重要です。

近時の東京オリパラ贈賄疑惑において、贈賄側の複数企業の法務部が「これは贈賄にあたる可能性がある」との意見が出されていた、ということのようですが、なぜ、そのような可能性が示されたにもかかわらず実行に及んだのでしょうか。「創業者(オーナー家)の意見にはさからえない」という「監督機能の不全」を語るのは簡単ですが、果たしてそれだけでしょうか。創業者(オーナー家)やカリスマ経営者であったとしても、きちんとリスクの大きさと顕在化の可能性を説明すれば実行を断念する、あるいは代替案を実行する余地はあったのではないでしょうか。

これまでのリスクマネジメントは「守りのガバナンス」に資するものとして、実行された戦術から発生する「負のリスク」を管理担当部門が担うということでした。しかし全社的リスクマネジメントとなりますと、戦略の実行前から経営企画と管理部門が協働で行う「攻めのガバナンス」に資する(というか不可欠な)重要な職務です。OECDの新しいガバナンスコードにおいて「取締役会におけるリスクマネジメント委員会の設置」が推奨されるに至ったのはこの流れです。CEOの誠実性を引き出すようなリスクマネジメント能力を具備することが、今後の企業統治改革で求められるはずです。

なお、法律的な視点からみると、ガバナンスコードの改訂等によって「全社的リスクマネジメント」があたりまえになった場合、いわゆる「経営判断原則と取締役の善管注意義務との関係」に実務上の影響が出てくるのではないか・・・との疑問がわいてきます。そのあたりは別途検討したいと思います。

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2019年4月19日 (金)

GAFAは「規制」を「チャンス」に変えてしまい、日本企業は「リスク」に直面する(その1)

4月18日の各紙1面では個人情報保護、独禁法運用により、日本政府がGAFA規制を強めることが報じられていました。私は昨年秋の日本監査役協会での講演や、当ブログのこちらのエントリーの冒頭で述べているとおり、「日本政府がGAFA規制を強めれば、ますますGAFAを利することになり逆効果」と考えております。本日の産経新聞朝刊では、GAFAへのヒアリングを行った自民党政調副会長の木原議員のインタビュー記事が掲載されており、

聞き取りを通じ、独禁法や個人情報保護法を改正して規制を強化しても、資本と技術力に勝るGAFAはそれを乗り越えてくるだろうなと感じました。そうなれば規模の小さな事業者は対応が難しくなって逆に格差が広がる。規制と革新のバランスをとりつつ、公正で透明な取引を担保することが重要です。

と語っておられました。規制主体のメンバーの方から、やっとこのような発言が出てきましたが、自称GAFA研究家(?)である私からすれば当然のことと思います。たとえば具体的な例として、日経ビジネス2018年10月8日号「時事深層」(16頁以下)の記事を要約しますと以下のとおりです。

・日経記者が(記者であることを明かさず、一般人のふりをして)GAFA4社および国内のヤフー、楽天、LINEに(改正個人情報保護法に基づく)個人情報開示請求権を行使。各社がどのような記者自身の個人情報を保持しているのか、確認することが開示請求の目的だった。
・この請求に対して無条件で開示をしたのはFacebookとGoogleのみであった。他社からは「開示を求める情報の指定がない」「開示によってデータベースの管理、運用に著しい支障を及ぼすおそれがある」など、法の拡大解釈、条文の誤った解釈によって開示を拒否された。
この事実を個人情報保護委員会は重大な法令違反とみて、2018年11月をめどに、同委員会は保護法ガイドラインの改訂に踏み切ることになった。

今朝の朝日朝刊では「優越的地位の濫用」に関する事業者アンケートの結果が公表されていましたが、GAFAを規制するための立法事実を集めようとしたら、日本の大手ITのほうがヤバイ状況であることが露呈されてしまいました。つまり、GAFAと同じ土俵のうえで日本企業が規制対象となってしまうと、競争格差は広がるばかりということです。

これまでのGAFAのリスクマネジメント戦略は、ハンパないくらい「人的資本」を充実させています。具体的には①レッドオーシャンをブルーオーシャンに変える(規制の撤廃、規制に例外設置、自主規制策定、共同規制の活用、民事訴訟の活用で相手を圧倒、M&Aでグループ化)、②レッドオーシャンにおける競争優位を確保する(外圧利用、相手国の社会政策への協力、NPO・NGOの活用、自己適合宣言の活用等)、③レグテック(レギュレーション・テクノロジー)の導入(規制の強化、撤廃に関してクラウド、AIを活用して対応)といった手法が効率的に繰り返されています。ということで、(その2)では、日本政府の個人情報保護規制、独禁法規制に対して、GAFAがどのような対応に出てくるかを予想し、これに日本企業や政府がどう立ち向かうべきかを考えてみたいと思います。

 

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2018年7月 9日 (月)

リスクは関係者の心の中にある(現場主義の重要性)

滞在型観光地として有名な大分県のある温泉リゾート地に二泊三日で行ってまいりました(観光であればもちろん大雨でキャンセルするところですが、事業再生の仕事の一環としての視察でしたので休むわけにもいかず、しんどい移動の連続でした・・・)。数十年前までは何もない山間部に、いまは年間400万人の観光客が訪れるようになり、日本人観光客のほうが少ない・・・と思える雰囲気にたいへん驚きました。ただ、実際に行ってみますと、旅行雑誌には出てこない(あえて触れない?)、いろいろな問題も露呈されてきており、地方再生のむずかしさを痛感いたしました。

さて、6月28日の日経夕刊「私のリーダー論」に、日揮社の新しい社長さんの紹介記事が掲載されていました。日揮社が19年ぶりの最終赤字に転落し、元副社長の方を三顧の礼で社長として迎えた、とのこと。高専のご出身で現場主義を貫いてこられた方です。その新社長さんのリスク管理に関する考え方にとても感銘を受けました。(コストや技術的な問題もあるが)リスクは往々にして関係者の心の中に起因する、というものです。たとえば応援を要請して人を動員したのになかなかうまくいかない、実は応援に来た人は「私は応援ですから」と思っていて主体性がなかったということがあり、どんなに人を増やしてもうなくいかない。関係者の心の中まで解決していかなければリスク管理はできない、というもの。

そういえば、横浜のマンション傾斜事件の際、旭化成建材の現場責任者の方がデータ偽装に手を染めたことがありましたが、あのときの特別調査委員会報告書を読みますと、忙しさは同じだったにもかかわらず、偽装に一切手を染めなかった現場責任者の方がいらっしゃったことがわかりました。なぜ彼は偽装に手を染めなかったかといいますと、彼は旭化成建材の下請け会社出身であり、下請け事業者と厚い信頼関係があったことが記載されていました。まさに「リスクは関係者の心の中にある」ということだと思います。

ここ数日、某温泉リゾート地のいくつかの旅館・ホテルの「おもてなし」を受けましたが、そこには(値段に関係なく、また顧客が日本人か外国人かにも関係なく)大きな差を感じました。つまり、「おもてなし」に感動してくれるお客様と接しているかどうか、という点です。事業構想において、そのような「おもてなし」が必要なのかどうか、という点は意見が分かれると思いますが、従業員の皆様が「しょせん、自分は金もうけに必要な歯車のひとつ」といった感覚で顧客と接するとなりますと、やはり深刻な事業リスクは増えてくるのではないでしょうか。ここでも、やはり「リスクは関係者の心の中に宿る」ものだと考えるところです。

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2010年7月14日 (水)

トヨタ自動車品質問題・外部評価報告書-私の読み方

(7月14日午前;追記あり)

昨年末から今年2月にかけて発生しましたトヨタ自動車さんの一連の品質問題(フロアマット、アクセルペダル、プリウスのブレーキ)は、日米で大きな社会問題となり、アメリカでは制裁金支払にまで発展したことは記憶に新しいところであります。このほど今回の一連の品質問題へのトヨタ社の対応を検証し、今後の改善策について提言するという外部第三者の評価報告書が7月12日にリリースされました。 (トヨタ自動車株式会社 品質保証体制の外部評価報告書)

海外に多くの現地従業員や製品ユーザーを持つ日本企業にとりましては、リスクマネジメントを考えるにあたり、非常に参考となる報告書だと思いますし、私自身もこういった分野におけるマニュアルをほとんど読んだことがなく、内容はとても新鮮であります。また、海外展開をされていない企業にとりましても、消費者庁による情報集約が企業による情報集約に先行する(可能性のある)時代となった今、自社製品の品質問題が発生した場合のクライシス・マネジメントの在り方を学ぶ上でも参考になろうかと思われます。

私の場合、やはりコンプライアンスの視点から、「品質問題を発生させないための対策」「なにが『品質問題』なのか、早期に感知する対策」「やむをえず品質問題を発生させてしまった後に、ステークホルダーへの被害を最小限に食い止める対策」に整理して、この報告書の内容を理解したいところであります。さて、ざっと一読しての感想は、

財団法人日本科学技術連盟さんの推薦された外部委員の方々が作成されたものですから、どうしても技術的な用語を頻繁に現れて、典型的な文科系人間である私にはさっぱり理解できない・・・・・・

と予期していたのでありますが、まったくそのようなことはなく、意外にも全編非常に読みやすいものとなっております(これは経営幹部向け、というものだからでしょうか?)こうやって読んでおりますと、未然予防、早期発見、危機管理のどの場面におきましても、品質管理のためにはコミュニケーション(意思伝達)の重要性が謳われているところが特徴的です。しかし国内企業ならまだしも、トヨタさんのように世界企業の場合「どうやってコミュニケーション能力の向上を図るのだろうか」と真剣に考えますと、思わず気が遠くなりそうであります。

個人的には12頁以降の「重要問題発生時の社内外コミュニケーション改善」あたりの記述が興味をそそられます。品質問題が大きく報じられた時点において、トヨタ社では誰が司令塔として対応するのかまったく決まっていなかった、とのこと。応急対応の指針も決まらなかったということのようであります。この改善策として何が「重要問題」なのか、①どのような基準で、②誰が、③どのタイミングで「重要問題」と認定するのか、そのあたりを明確にする必要がある、と提言されております。これはまったくそのとおりだと思いますし、いつも講演等でお話させていただいているとおり、「問題が発生しているのかどうか」ということは、どんなに高いお金をコンサルタントに払っても他社依存では判断が困難な点であります。むしろ一銭もお金をかけずに、社内のひたむきな訓練(運がよければ嗅覚のスルドイ社員が方の存在)で企業の社会的評価が低下するかしないかの生命線を死守するわけであります。

ただ、残念ながら「何が重要問題なのか」の判断基準が成り立つのは、そこに100%ピュアな社員の方々がいらっしゃって、その社員の認知した情報が、100%上層部(判断権者)に上がってくることが大前提であります。しかし、この大前提は絶対成り立ちません。(そりゃそうですよね。自分の評価が下がる情報を、会社のためと思って全て正直に話す社員の方はおられないですし、また報告を受けた上司にしたって、自分の部下のことで悪い評価は受けなくないですし。)いくら判断権者が積極的に自ら情報をとりにいっても、20%から30%程度の有益な情報が集約できる程度ではないでしょうか。ましてや、文化の違う海外のカスタマーや社員からの情報ということでは、「重要問題」と判断するための情報の集約は困難を極めるものと推測いたします。結局、この報告書のなかでも少し触れられておりますが、普段からの運用がモノを言うのではないかと思います。重要問題の発見作業には大きく分けてふたつあり、ひとつは「疑惑」の認定、そしてもうひとつは疑惑を「問題発生」と確証するための認定であります。効果的な運用はこれといってありませんが、やはり「ヒヤリ・ハット」作業の訓練と、経営トップと従業員の双方向における「コミュニケーション」作業を地道に繰り返し、出来栄えを検証すること、同業他社の不正事例のうち、自社内による早期発見事例を研究すること、それ以外に最良の方策はないように思われます。

ちなみに来週金曜日(7月23日)に「架空循環取引」に関するセミナーをさせていただきますが、そこでも「疑惑の発見」と「発見した疑惑の確証手続き」に分けて検討いたします。もちろん、どんなに不正検査のプロが支援しても、支援できるのは後者のほうでありまして、「疑惑の発見」は社内の人間にしかできないのであります。財務分析などの手法によって架空取引が発見できるかといいますと、それは多分に「後だしジャンケン」的なものでありまして、社内の取引事情に長年精通され、人事を含めた組織の論理を十分知悉された社員であるがゆえに、「なんかいつもと違うのでは?・・・・・疑惑」を発見できるのであります。

(追記)今朝の産経ビジネスアイの記事に米国運輸省が「トヨタ品質問題の大半は運転者の過誤による」と報告した、とのこと。(まだ今後の動向はわかりませんが)こういう記事を読みますと、企業にとって最もコワイのは「二次不祥事」だなぁとあらためて感じます。

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2009年8月25日 (火)

社外調査委員会もオピニオンショッピングの時代?

とも先生もご自身のブログで採り上げていらっしゃいますが、今朝(8月24日)の日経法務インサイド「不祥事企業の調査報告書~客観性揺れる社外委員会~」はたいへんおもしろかったです。不祥事を起こした企業は、最近不祥事の事実調査や原因分析、再発防止策などを社外専門家らによって構成される社外調査委員会に意見書を求め、これを基に社内処分や内部管理体制を再構築する、ということが増えましたが、この社外調査委員会の意見内容からみて、本来の独立性、公正性に問題があるケースが増えているのではないか、という話題であります。(先日も朝日新聞の記事をもとに紹介させていただいた話題ですね)フタバ産業社の件についても、意見書の変遷が「誰の依頼による委員会構成か?」ということにつき、薄々話題にはなっておりましたが、さすが日経新聞、取材に基づいてズバッと書いておられました。(個人の実名ブログではよほどの裏付けがないかぎりは書けません・・・)

本日の関西CFE(公認不正検査士)研究会でも、この記事が話題になっておりましたが、会員の某弁護士さん(元検事)によると、「事実調査という点からみれば、強制捜査権をもっていても、それほど変わらない。むしろ委員による社内調査のほうが事実調査が進むケースもありますよ。たしかになかなか口を開かない役職員が多い場合もありますが、社長さんの説得に成功して、(その社長さんが)この際すべてを公表して一から出直そう!と社員に向かってスピーチしたとたん、あっという間に事件の全容が判明することがあるんです」とのこと。まさに記事にもありますように、会社側の全面的な協力があれば成果は上がる、ということであります。(これは以前ご紹介したNBL889号、890号における調査委員会の運営に関する論文「社内調査はなぜ難しいか」でも指摘されていたところであります)

しかし記事の最後のほうで國廣先生が告白している内容、たいへんよく理解できます。不祥事発生企業からの委員就任の依頼がなされた場合、國廣先生の就任の条件を聞いた企業の3件に2件は同氏の就任を見送る、とのことだそうであります。※1いやいや関西にもいらっしゃいますよね。「社外取締役の鏡」のような先輩弁護士でいらっしゃいますが、(経営財務等にもたいへん詳しいにもかかわらず)その方の豪傑ぶりが有名で、各企業とも社外役員就任要請に二の足を踏んでしまっている・・・というもの。(この程度ならどなたかは特定されないと思いますが・・・(^^; )

※1 調査委員会報告には、「何を調査するのか」といった調査目的が限定されるのが通常ですので、調査目的の範囲に関して会社側と委員候補者側とで意見が相違する場合もあり、「就任見送り」がすべて会社側の体質を物語っている・・・というわけではないケースもありえますので念のため。

こういった國廣先生のようなケースも実際には頻繁にあるのかもしれませんが、そうなりますと、(日経記者さんもご指摘のとおり)著名な弁護士の委員就任を見送った企業は、今度は誰のところへ依頼されるのでしょうか?法律事務を含む業務ですので「非弁活動」にならないよう、弁護士資格を有する人への依頼ということになりますが、やっぱり会社(現経営陣)にとって、保身を容易とする意見を書いてくれそうな弁護士、経営陣による社内調査の正当性を担保してくれそうな弁護士のところへ依頼される、というのが筋なんでしょうか?そうなりますと、これって監査法人の世界における「オピニオンショッピング」に近いもののように思えてきますね。社外調査委員選任にもオピニオンショッピングなる概念があてはまるのでしょうか?しかしこれはちょっとマズイなぁと思います。社外調査委員会の報告内容は、あるときは行政当局の処分根拠になりますし、あるときは監査法人が(監査もしくはレビューにおける)適正意見を出すか否か、監査人を辞任するか否かの判断根拠にもなりますし、またあるときは株主が会社役員の法的追及を決断する資料にもなりうるわけであります。この社外調査委員会は公正性、独立性が担保されていることが重要なわけですので、やはり「調査スキルの有無はあっても、セカンドオピニオンはない」ということが前提とならざるをえないと思います。

すこしだけ気になりましたのが某証券取引等監視委員会幹部の方のお話。「英米では社外調査委員会の報告書は規制当局が依拠するほど質が高い。日本の場合はクオリティに問題があるケースがみられる」とのこと。一般的にはそのとおりかもしれませんが、私の経験からみると、規制当局(金融庁とは申しませんが)だって「当局に都合のよい意見があれば依拠する」のであって、クオリティが高いから依拠するとはかならずしも言えないと思います。企業不祥事の原因分析を一生懸命やればやるほど、そこに規制当局の問題点も浮かび上がってくるケースもあるわけでして、そうなると当局は一切、調査報告書の内容に触れずに処分する場合もあります。(まぁ、規制当局の立ち位置を確保するため、あたりまえと言えば当たり前の話ではありますが・・・・)

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2009年5月 8日 (金)

企業不祥事・社内調査委員会と社外調査委員会(参考資料)

「日本郵船社のFSCPに重要な欠陥は認められるか?」のエントリー(コメント欄)に、ついにhisaemon氏が登場されましたね(^^;; おそらく私の知るところでは最も「その筋」(どの筋やねん)に近い方ですから、またご参考にされてはいかがと(笑)私もほぼhisaemon氏のご意見に同意するところであります。(もちろん、あくまでも予想にすぎませんよ。)

さて、4月下旬(GW前半)は、某会社の不正会計(従業員による資金流用)調査業務をしておりました。いわゆる社内調査委員会の支援業務というものであります。私と会計士の先生が社内調査委員会(専門家の社外役員を含む)による調査業務を補佐する、というものですが、かなりひさしぶりの業務でした。とくに華やかな業務ではなく、徒労に終わることも少なくない地味なお仕事です。(もちろん、ここでは内容に触れることはできませんが)

不祥事発生(もしくはその疑いがある場合)に組織される社外調査委員会と社内調査委員会の役割や業務の進め方など、以前はかなり曖昧なものだったように記憶しておりますが、ここ数年、企業のクライシスマネジメントの一貫として、早期の事実確定やマスコミ対策、再発防止策公表のために、ずいぶんと一般化し、また周知されてきたように思います。また社外調査委員会と社内調査委員会との役割分担のようなものも明確になってきました。

不祥事が発生(もしくは発覚)して、マスコミで大きくとりあげられるような事態にはならないにこしたことはありませんが、「備えあれば憂いなし」ということで、社内の役員さんや、スタッフの方々にも、リスクマネジメントの一貫として学習できそうな、比較的容易に入手可能な資料をいくつかご紹介いたします。私も、今回の調査支援業務に先だって、すべて拝読させていただき、たいへん役に立ちました。(といってもまだ業務は継続しておりますが)

まず社内調査委員会の体制作りや調査業務の進め方については、以前ご紹介いたしましたこちらの座談会記事は有用であります。また、実際に調査業務をやってみて、「なるほど、同じ悩みを抱えながら調査を進めておられるのか」と安ど感も抱きつつ、かなり実際の証拠収集(収集のタイミングなども含め)までマニアックに突っ込んだ解説がなされているNBL889号、890号の「社内調査はなぜ難しいか(上)(下)」(梅林弁護士)も秀逸です。(今回もっとも参考にさせていただきました)また、先日ご紹介した「過年度決算訂正の法務」(中央経済社)の第6章は、これまでの社内・社外調査委員会の調査概要なども図表としてまとめられており、こちらも参考になります。

つぎに、社外調査委員会でありますが、旬刊経理情報2009年2月10日号(1206号)の「企業不祥事発生時の『調査委員会』の設立・運営」(山崎弁護士)が参考判例も紹介されながら丁寧に委員会の役割や具体的活動を解説されています。また最近のNBL(903号、おそらく905号?)における國廣弁護士の「『第三者委員会』についての実務的検討(上)(下)」は、(まだ上しか拝見しておりませんが)NHK第三者委員会委員のご経験などから、現実的な視点でその「委員会運営のむずかしさ」を説いておられ、これもたいへん貴重な論稿であります。私も過去に一度だけ社外調査委員を経験しましたが、失敗例として教訓ばかりが残りましたので、この論稿を拝見して、その心構えから違っていたことを痛感いたしました。

こういったお仕事は、会計士さんといつもペアですが、とりわけ会計不正関連の調査には会計士さんとの連携は必須だと思います。Aという事実とBという事実が認められたので、Cが推論できる・・・という事実認定は比較的容易なのですが、Aという事実が認められたので、(通常はBという事実が発生するのだが)本来発生すべきBという事実が発生していないので、Cが推論できる・・・という事実認定は会計士さんの監査経験や会計専門家としての知識がないと困難であります。(このあたりが法律家と会計士のコラボが必要な場面です。)迅速で公正な社内調査というのも、結局のところ経営トップの方による積極的な支援がなければ実現しませんので、そもそも会社ぐるみの不正、というケースではどこまで奏功するかは未知数でありますが、日本ではまだまだ未開発の分野ではないかと感じております。

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2007年11月27日 (火)

リスク管理の成功体験は共有できるか?

著名ブロガーでいらっしゃる貞子さん(貞子ちゃんの連れ連れ日記)より、赤福関連のエントリーについてトラックバックをいただきました(どうもありがとうございます。)経済系のブログでは珍しく赤福問題を取り上げていらっしゃったようですが、決して赤福に同情していらっしゃるわけではなく、公正な論評のための素材を提供されているところは(いろいろとご意見はあるでしょうが)、たいへん素晴しいと思いますし、私も貞子さんのご意見に共感を覚えるものであります。こういったブログがたくさん出てくるのを待望しております。(さっそく貞子さんのブログに1票投じさせていただきました)なお、赤福とは事例が異なりますが、素人オヤジさんや酔狂さんのお勧めで石屋製菓の「コンプライアンス確立外部第三者委員会報告書」を読ませていただきましたが、私も内容は秀逸だと思いますし、(若干の希望事項はコメント欄に書かせていただきましたが)私もご一読をお勧めいたします。

さて、予想どおり(?)昨日のエントリーには諸々のコメントをいただきまして、ありがとうございました。いつものパターンではありますが、ちょっと立場上、コメントをお返しするのがむずかしいところであります。(^^;; (ある事情で、12月初めには、私、青学にも伺いますし・・・・)なお、しこたまさんがコメントされていらっしゃる、会社法務A2Zの12月号、私も読んでみました。コンプライアンス(ガバナンス)関連の特集として、監査役、会計監査人、内部監査人の監査における連携について考察されておりますね。昨日のエントリーとも関係しますが、こういった協調連携のためには、単に「用語」の統一だけでなく、判断基準の統一も必要だと思っております。もちろん、内部統制システムの整備については、それぞれ企業によって工夫が必要でしょうが、昨日申し上げたような「重要な欠陥と不備との区別をどこに求めるか」とか、業務プロセスの評価方法(日常的モニタリングのみで足りるか、独立的評価は必要か)など、実施基準の記述よりももう少し踏み込んだところで明確化されませんと、上記3者の間におきまして、金商法上の内部統制報告制度に期待されているような協調連携ははかれないのではないか、などと考えてしまいます。

そして内部統制報告制度が、単に外部監査人から適正意見をもらうためだけの制度ではなく、具体的に企業価値を向上したり、企業価値の毀損を防ぐための「有効性、効率性向上のための内部統制」を目指すのであれば、できるだけ内部統制の整備に関与する人たちの間で「成功体験」を共有することが必要だと思いますね。とかく内部統制に関するお話は、「こうしたほうがよい」とか「うちの会社ではこうしている」といったところがメインテーマとなっておりまして、どうもイメージが湧きにくいところが難点であります。(手段が目的化するきらいがあるのではないかと危惧しております。)営業行為とは異なり、管理行為というのは、なかなか数字で成績(良し悪し)が表せられないところがありますが、「こういったリスク管理を行ったことで、こういった事態を防ぐことができた」とか「監査役のこのような行動によって、会社の資産保全がこのように図ることができた」といった一種の「成功体験」を共有することも重要ではないかな・・・と思っております。

たとえば、ある会社では、食中毒事件の発生に備えて、会社法上の内部統制システム構築の一環として、リスク評価とその対応方法を検討していたところ、案の定、食中毒事件が発生し、県の衛生局より全面的な食品工場操業禁止処分を受ける可能性が高まったとします。しかしながら、その食中毒事件の発生する3ヶ月前に、食品のトレーサビリティに関する情報収集方法を「対応方法のひとつ」として事前に整理していたために、食中毒の発生した営業店舗が特定できたことによって、すみやかに対象の食材が判明し、これをもって衛生局と交渉したところ、工場操業禁止処分は受けずに済み、当該営業店舗のみの営業禁止処分で済んだ、といったあたりの話であります。もちろん、これはJ-SOX(財務報告に係る内部統制)とは異なるものではありますが、こういった事例を経験することによって、単に外部監査人から適正意見をもらうための制度ではないことを実感できるようになると思われます。

つい先日(11月11日)の朝日新聞ニュースにおきましても、大和ハウスグループの子会社(大和リゾート社)の監査役の方が、監査業務のなかで従業員の残業代の不払いの実態を知り、社長に直談判をされて、会社の残業代支払い方法が変更されるに至った、との報道がなされておりました。監査役の活躍が報道されためずらしいケースではありますが、こういった報道は、監査役の職務の理想に近いことが実際に行われていることを知ることができ、とても励みになります。管理行為がなんらかの企業価値向上に役立っているところを、今後は企業の枠を超えて、共感できるようになればいいですね。

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2007年4月19日 (木)

リスクマネジメント委員会の活動

昨日(4月17日)は大垣法人会さんからお招きいただいて、岐阜県大垣市にて講演をさせていただき、本日はIPOをめざす大阪の某企業さんとの打ち合わせ、いずれも懇親会までご一緒させていただきましたので、なかなかブログを更新する時間がとれませんでした。大垣市というところは、人口こそ16万人程度の地方中堅都市でありますが、日経ナビ2008日本の優秀企業12位に輝くあの企業とか、顧客満足度3位に輝くあの銀行はじめ、けっこう高収益を誇る上場企業さんが多いんですね。(なお、ブログにつきましてはコメントもお返しできない状況で申し訳ございません)

IPO関連の打ち合わせにつきましては、出版や講演などで、けっこう著名な社長さんでありますが、この上場準備会社、主幹事の証券会社のなかでも、そろそろ引受審査部のほうへ担当が移る時期となり、この時期に至りまして、われわれ弁護士を中心とした「リスクマネジメント委員会」(仮称)を組み込むこととなりました。基本的な設立趣旨は、上場準備の段階から上場後にいたるまで、事業継続性を阻害するようなリーガルリスクの低減、法令遵守態勢の強化(コンプライアンス経営の推進)、上場企業にふさわしい企業統治(ガバナンス)確立のための全社的内部統制の整備、運営支援、そして上場企業にふさわしい適時開示の社内体制の確立といったところであります。なお、決算財務プロセス、業務プロセスとも、上場準備に必要な作業と、J-SOX対応の作業はほぼ同時にS監査法人さんのもとで遂行されておりまして、S監査法人さんとの業務の棲み分けは、ほぼ確定できるものと思われます。

実際の上場審査の現場では、すでにコンプライアンス体制や内部統制システムの整備に関する企業の取り組み姿勢がヒヤリングの対象になっているようでありますが、こういった我々の取り組みを主幹事証券会社の引受審査部、監査法人そして証券取引所の上場審査グループの方々からどのように評価していただけるのか、そのあたりが次の課題であります。また、すでに就任されている社外監査役の方々との連携協調の方策についても今後の課題であります。ここ半年ほど、準備会等により、ビジネスモデルを思案してまいりましたが、やっと第1号として形になりそうであります。また、私たち大阪の弁護士有志が、この第1号モデルで苦悩する問題につきましては、母体であります「IPO研究会」(こちらはすでに、こちらのエントリーでもご紹介したことがございます)にフィードバックして、さまざまなご専門家の方に支援いただく予定であります。「上場は目的ではなく、あくまでもその企業がやりたい事業のための手段・・・」そういった代表者の気概を実現するためのお手伝いを通じて、代表者にたくさんの利害関係者の存在を認識してもらい、市場の健全化に少しでもお役に立てるよう、活動していきたいと思っております。おそらく今後はいろいろな葛藤が予想されますが、守秘義務に反しない程度で、またこのブログでも問題点などをご紹介してまいりますので、どうか皆様、よいお知恵をお貸しください。また、以前お約束いたしましたとおり、第1号モデルが、どうにかこうにか軌道に乗ってまいりましたら、関西地区の方で、ご協力いただける方々にお声をかけさせていただきますので、またそのときにはよろしくお願いいたします。(とりあえず途中報告ということで。しかし上場準備というのは、なかなか厳しい世界ですね。社長周りのお金の貸し借りをきちんと整理したり、社長の色が濃すぎでも事業継続性に疑問符がついたり、社員さん方の満員電車での痴漢容疑の防止対策まで・・・・大げさでなく。。。うーーーん、そこまでホントに必要なんですかね??でも、こうなると、内部統制とかコンプライアンスといった漠然とした要件についても、関係者における「共通認識」がとても重要かもしれませんね)

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