2024年11月 5日 (火)

三井住友信託銀行元社員によるインサイダー取引疑惑-今後調査によって明らかにすべき点

メガバンク、金融庁、東証に続き、またまたインベストメントチェーンの一角である三井住友信託銀行さんにインサイダー取引疑惑が浮上したわけですが(時事通信ニュースはこちら)、資産運用立国に向けて証券市場の健全性を確保する、という視点からは、今回の件はとても「罪深い」ように思います。以下、市場の信頼性を回復するために、三井住友信託銀行が調査によって開示すべき点は以下の3点かと。

ひとつは「自主申告」によって会社が知ったということの詳しい説明です。一連の取引疑惑は当局の強制調査によって会社が知ることになるわけですが、今回は自主申告がなければわからなかったという点です。社長さんの記者会見で初めて知りましたが、本人による自主申告後に「関係当局に伝えた」とのことですから、それまで関係当局も知らなかった可能性が高いようです。何度も申し上げますが、これでは「自主申告した行員以外にもバレずにやっている行員がいるのでは」とか「結局のところ、申告しなければわからないインサイダー取引も結構多いのでは」との印象を世間に与えてしまいます。この世間で感じた不公平感をどう払しょくできるか。

ふたつめは「元管理職」とありますが、この元管理職の方は管理職になる前にインサイダー取引に手を染めたのか(今はやっていないのか)、それとも管理職の時代に取引を行ったのか、現時点ではよくわからないという点です。ひょっとすると、長い間インサイダー取引が闇の中だった可能性もあるわけでして、そうなるとやはり「インサイダー取引が発覚するかどうかは運」という間違った印象を世間に与えることになります。

そして最後は(前の二つとも関係しますが)そもそもなぜ元管理職の方は自らインサイダー取引を申告するに至ったのか、その経緯です。「バレそうになったので、やむなく」という事情があれば三井住友信託の自浄作用や市場の監視体制の信頼性が(なんとか)保持されますが、そうでない事情であれば、三井住友信託の管理体制や市場の監視体制に疑問も生じます。したがって、このあたりの経緯についてもきちんと調査の上で説明が求められるものと考えます。もちろん当局による調査が並行するのであれば「任意調査」にも限界はありますが、客観性を確保した第三者による調査を行う、とのことなので、このあたりはきちんと開示されることを期待しております。

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2024年10月25日 (金)

弁護士によるインサイダー取引-「市場の公正性」はいずこに

メガバンク行員、裁判官(金融庁)、東証職員ときて、今度は弁護士とのこと(時事通信ニュースはこちら)。市場に関与していた弁護士ではありませんので「一次情報受領者」として株の売買に及んだようです。当該弁護士の方も課徴金処分となりましたが、同時に情報伝達者も処分の対象とされています。わずか数万円の利益のために重大な法令違反行為に及ぶとは、ホントに常識では考えられません。なぜバレないと思ったのでしょうかね?

まさか「バレても課徴金で済むレベルだから大丈夫」といった規範意識があったとすれば、もう一度インサイダー取引規制の在り方から考え直す必要がありそうです。

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東証社員によるインサイダー取引疑惑-どうなる「市場の公正性確保」

門外漢さんが「裁判官のインサイダー取引疑惑と民間出向制度の是非」にコメントされているように、立て続けにメガバンク、裁判官(金融庁職員)、東証職員のインサイダー取引疑惑が発覚しました。強制調査がなされている段階であり、まだ今後の展開は読めませんが、たいへんショッキングな事件です。自己売買や取引推奨など、実行行為は異なりますが、いずれも「なぜ、この立場の方が」との疑問が湧きます。そんなにインサイダー取引は魅力的なのでしょうかね?一連の事件を振り返り、企業のコンプライアンス経営の視点から3点ほど感想を述べます。

ひとつは「不祥事はどこの組織でも起きる。起きたときにどうするか、ということを平時から考えるべき」と常々申し上げておりますが、今回の例はまさに「(不祥事発生を前提とした)早期発見・早期是正重視の不正対策の重要性」を裏付けるような事例になったことです。どんなに頑張っても不祥事は必ず(どこの企業でも)起きます。東証社員の方はTOB関係資料をスマホで親族に送信していたそうですが(日経記事より)、もうここまでくると、東証が上場企業に勧めている「インサイダー取引防止体制」を模範的に整備していたとしても防止することは困難でしょう。まさに「内部統制の無視、無効化」、つまり内部統制の限界事例です。「やっても必ず捕まるのだから、やるだけムダ」という「機会喪失」に訴える手法には限界があるということです。東証も金融庁も、2020年のこちらのエントリーで紹介した大阪府警の取組みのように、「自組織でもインサイダー取引は起こり得る」という前提での対策をとることも検討されてはいかがでしょうか。

ふたつめは「不正予防対策」の課題です。銀行や東証、金融庁、裁判所などは社会的に「無謬性」「廉潔性」が求められますから、「早期発見重視」といっても(それだけでは足りず)、どうしても未然予防重視の対策をとりたくなるはずです。「不祥事は起こしてはいけない。起こさないためにはどうすべきか」ということを検討します。しかし、AIの発達によって不正防止対策の実効性も上がってきたとはいえ、未然防止対策は日頃の通常業務に高い負荷をかけます。「職員への信頼」を前提とした性善説による内部統制ではなく、性悪説による内部統制は投下する費用も膨大になりますし、事業部門の活動に相当な手間をかけることになり、業務の有効性を低下させます(マルウエア攻撃によるシステム障害の防止対策が一番わかりやすいかと)。どっちを重視するかは経営判断となるはずです。

そして三つめは(市場の公正性確保に関わる大問題ですが)「インサイダー取引規制に精通している現役の金融庁や東証の職員でさえインサイダー取引をやるのだから、本当は(うまくやりさえすれば)不正取引が発覚する確率は低いのではないか?」との印象を国民に抱かせたことです。東証が市場を常時監視していて、不審な株取引は追跡しているわけで、私などは「絶対に発覚する」「運が悪くて発覚した、はありえない」と認識しています。しかし、それは市場関係者の「都市伝説」であり、人的資源に制約がある東証、当局はリスクアプローチで取り締まらざるを得ないのではないか、との疑念も自然に湧いてきます。この「疑惑」をこれから金融庁、東証はどうやって解消していくか。(専門家の範囲内でわかる)「安全」では足りず「安心」を国民に届ける必要がありますから、どうすれば「安心」を証明できるのか、その工夫が求められます。

「遺憾である」「論外」「許されるものではない」などとコメントする前に、以上3つの課題については組織のトップが真剣に検討すべきです。トップ以外に意思決定できる人はいません。

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2024年10月21日 (月)

裁判官のインサイダー取引疑惑と民間出向制度の是非

つい先日「インサイダー取引防止体制の構築はストーリー仕立てで考えるべき」なるエントリーにて、取引推奨行為も犯罪や行政処分の対象になってしまうから気を付けましょうといった意見を述べましたが、もっとショッキングな「ベタなインサイダー取引疑惑」が話題になっております。

まだ強制調査段階の「疑惑」なので断定はできませんが、金融庁に出向している裁判官の方が出向直後からインサイダー取引を繰り返していた、との報道がなされています(たとえば読売新聞ニュースはこちらです)。企業開示課課長補佐の身分でTOB関連の情報に触れる機会を利用して「自己名義」で取引を繰り返していたとなりますと、うーーーん、どんな正当化理由があったのか(たとえば「すでにリークなどで開示されていた」とか「未だ重要事実に関する社内の決定事実がなかった」とか?)わかりませんが、あまり善解できそうな理由は見当たらないようです。

裁判官の民間出向制度は、読売新聞の記事にもあるように、最高裁が主に任官10年未満の若手を対象に中央省庁などへの出向させる制度でして、出向中は裁判官の身分をいったん離れ、裁判所に戻る際に改めて任官する、というものです。大手弁護士事務所等にも出向してM&A実務を学ぶケースもあり、おそらく商事部などの裁判官となった際には、出向時の知見が役に立つのでしょうね。裁判官が国の指定代理人を務める「判検交流」はいろいろと異論もあるものの、民間出向制度については有意義なものと一般には理解されていると思います。

ただ、今回の事件のように裁判所や金融庁の信用を毀損するような問題が発生するくらいなら、こちらのエントリー「変わるか?-最高裁の金融商品リスクへの評価アプローチ」でご紹介したように最高裁の中で裁判官の研修制度を作るほうが得策ではないかと。また、過去の監査学会で報告させていただいたような(こちらのエントリーをご参照ください)専門部事件への専門家の活用などで裁判官の知見を補完するということも検討されるべきではないでしょうか。裁判所や金融庁の「無謬性(むびゅうせい)」を重んじて、単純に個人の問題として捉えるには、やや問題が大きすぎるように思います。

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2024年10月10日 (木)

インサイダー取引防止体制の構築はストーリー仕立てで考えるべき

今年7月、三菱UFJ銀行の行員の方が「業務で知り得た取引先企業の重要事実を公表前に親族らに伝えていた」との疑いで金商法違反(情報伝達行為)の強制調査を受けたことが報じられていました(「俺は親族が取引をするとは思っていなかった」と抗弁を出しておられるそうですが、どうなったのでしょうかね?)。同行員の親族らは、行員から聞いた情報に基づく株取引で計数百万円の利益を得ていた可能性があるとのことですが、まさに当ブログで(改正前金商法違反ではありますが)「家族を不幸にするインサイダー」「家族を不幸にするインサイダー(2)」で危惧していたような事案に近いものであります。

現行の金商法違反(インサイダー取引規制法令)は重要情報の伝達行為のほかに受領行為、そして(重要情報の提供なくして)取引推奨行為にまで規制が及んでおります。どんなに内部統制システムの構築(法令違反防止体制)に注力しても、上場企業社員にとっては「甘い蜜」であり、100%未然防止することは困難であります。不幸にして社内でインサイダー取引者が出てしまった場合には、企業としては体制整備を尽くしていたことを説明して「あくまでも不届き者の個人的所業」として抑え込み、法人あるいは役員に法的責任が及ばないようにしたいところです。

ただ、本当に(不幸な社員を作らないために)未然防止に注力するのであれば、役職員への研修においてインサイダー取引に関する知識を理解してもらうよりも、「わかっちゃいるけどやめられない」根本原因についてストーリー仕立てで解説するほうが実効性が高いのではないでしょうか。たとえば情報伝達行為や取引推奨行為を防止するためには、①義理人情シリーズ、②派閥争い、お家騒動シリーズ、③「ええかっこしい」シリーズあたりかと。

①は当ブログでも過去に何度か登場したビジネス上の貸し借りの対象になるというもの。「これだけの借金を返す気があるなら誠意をみせろ」と言われて、とりあえずインサイダー情報を教えることで誠意をみせた、という事例がありましたね。②はM&AやTOBといった重大インシデントを目論む一派とこれを阻止したい反対派での情報合戦に巻き込まれて、思わず(支持者を増やすことに躍起となり)関係者以外にも漏らしてしまったという事例です。関係者にとってはインサイダー取引どころではなくても、情報を受領してしまった者を違法行為に誘うことになります。③はスナックでの会話「ママ、いいから何にも聞かずに〇〇株を買っておけよ。悪くない話だって。年末のハワイ旅行の費用くらい、すぐにできちゃうかもよ」というのが典型例かと(いずれも過去の課徴金事例がありますね)。

上場企業の社員ともなれば、インサイダー取引が法令違反として処罰対象とされることくらいは理解しておられるはず。取引推奨行為についても勉強すればすぐに理解できると思うのです。ただ、理解したとおりに行動できないのが人間の性(さが)でして、甘い蜜の誘惑に負けないためのイメージ作りが未然防止にとっては不可欠であります。一度、検討してみてはいかがでしょうか。

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2021年2月 1日 (月)

インサイダー取引規制ーガバナンス改革で「重要事実の決定時期」は変わるか?

(最終更新2021年2月1日11:44)

先週は三菱自動車燃費偽装の集団訴訟で購入代金の一部返還が認められた判決(大阪地裁)、土曜日にご紹介した株式譲渡契約の無効確認判決(東京地裁)など、コンプライアンス経営に関わる重要判決が多かったのですが、本日ご紹介する判決もそのひとつです。

少し前ですが1月27日の日経朝刊(社会面)に「課徴金命令取り消し モルフォ役員インサイダー認めず(東京地裁)」との見出しで、上場会社役員に下されていた課徴金納付命令が裁判で取り消されたことが報じられていました。2015年12月、東大発ベンチャー企業のモルフォがデンソーと業務提携することを公表しましたが、金融庁は同社役員が同年8月末にこの事実を知りながらモルフォ株式を買い付けたとして130万円余りの課徴金納付を命じており、これを不服として会社役員側が課徴金納付命令の取消訴訟を提起していた事例です。

訴訟では業務提携することの決定(重要事実の決定)時期がいつだったのか、という点が争点となったようで、国側は「両社の交渉が緊密になった、おそくとも8月4日には決定していた」と主張していましたが、裁判所は「8月4日までには業務提携の規模や内容について具体的に検討された形跡はなかった」として、国側の主張を排斥したそうです(最高裁のHPで確認しましたが、まだ本件判決は公表されていません)。記事中では、会社役員側の代理人のコメントとして、

企業間交渉の経緯や社内での議論を丁寧に検証し、実質的な観点からインサイダー情報の決定時期を慎重に判断する司法の姿勢を示したといえる。企業のインサイダー情報管理の在り方を考える上でも大変参考になると思われる

と述べておられます。インサイダー取引規制といえば、最近は平成25年の金商法改正によって新たな規制対象となった「取引推奨」事例が話題となりましたが、本件では従来からの典型論点である「重要事実の決定時期」が争点となっています。ご承知のとおり、インサイダー取引規制の趣旨が証券市場における不公平な取引防止という点にあることから、会社法上の機関決定(たとえば取締役会設置会社であれば「取締役会での決議」)の時期よりももっと前の「実質的に会社意思が決定された時期」と解されるのが判例・通説となっています。※1

※1 たとえば日本織物加工事件最高裁判決 平成11年6月10日刑集53巻5号415頁。

今回の裁判では、会社役員側から業務提携に関する意思決定プロセスが丁寧に主張立証されたものと思われます(ちなみに会社役員側の代理人は3年間ほど金融庁(証券取引等監視委員会)で勤務経験があり、インサイダー取引規制に精通された方ですね)。これまでの判例理論の変更ではなく、判例理論に沿って個別の事情を積み重ねて処分取り消し判決を勝ち取ったものと思料いたします。

そういった「意思形成プロセス」に光を当てて、裁判所が「実質的に重要事実が決定された時期」を認定するためには、社内における重要事実を誰がどこまで情報を共有していたかを、(立証責任を負担する)課徴金処分の対象とされた側が立証できなければならないと考えられます。上記代理人のコメントから推察するに、おそらくモルフォでは、そのあたりのインサイダー情報の管理体制がしっかりしていたからこそ、役員の処分取り消しに至ったのではないでしょうか。

ところで、今年3月にはコーポレートガバナンス・コードの改訂が予定されており、上場会社ではますます独立社外取締役の人数が増えます。また、経営上の重要な意思決定にはその関与が強く要請されるようになります。そうなると、どんなオーナー経営者が君臨していたとしても、複数の独立社外取締役の力によってオーナー経営者の判断も取締役会でひっくり返る可能性が高まるわけですから、実質的な重要事項の決定時期と、当該事項の法律上の機関決定の時期とは重なり合うことになってくるのではないでしょうか。

「理屈上ではそうかもしれないけど、たとえ社外取締役が3人いたとしても、みんな社長のお友達だから実際にはありえないよなぁ」という反論もありそうです。そして、その反論の根拠は、今まではインサイダー情報の漏えいをおそれてM&A案件は事実上決定するまではごく一部の役員間のみで共有しておこう、といった考え方に共感を得られたからです。

しかし、昨今の企業統治改革の主流は「取締役会改革」です。おそらくモニタリングモデルの取締役会が(国をあげて)推奨されるのであれば、独立社外取締役は、企業の命運を握る業務提携の内容を(できるだけ早期から)しっかりと把握をして、その意思形成プロセスにも「監督」という形できちんと関与することが求められるように思います。きちんとした監督者が存在するのであれば、取締役会で審議が尽くされるまでは「重要事実が決定された」とは認定できないケースが増えるのではないかと。

2020年10月29日の日経ニュースによりますと、2019年に役職員がインサイダー取引(取引推奨)に関わったとして勧告を受けた9社について、証券取引等監視委員会が調べたところ、取引推奨を禁止する社内規程を定めていた会社は皆無だったそうです。上場会社においては、あまりインサイダー情報管理の重要性が認識されていないのかもしれませんが、「会社の役職員を不幸な事件に巻き込まない」ためにも、インサイダー情報管理は今一度徹底するべきであり、またモルフォ事例をみるに、情報管理のメリットも十分にありそうです。

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2020年12月 7日 (月)

ドンキホーテ前社長によるインサイダー取引疑惑-義理人情の世界への司法関与

すでに報じられているとおり、ドンキホーテホールディングス(現パンパシフィック・インターナショナルホールディングス社)の前社長さんが、金融商品取引法167条の2、第1項(会社関係者による公表前の重要事実に関する情報伝達・取引推奨行為の禁止)違反の容疑で逮捕されました。

ご承知のとおり、金商法の平成25年改正(公募増資インサイダー取引事案等を踏まえた対応)に基づく法律に違反したものとして立件されたものです。当ブログでも過去に詳述しておりましたが、平成22年から23年頃に公募増資上の問題案件が頻発しまして(たとえば国際石油開発帝石事件、日本板硝子事件、みずほフィナンシャルグループ事件、東京電力事件、エルピーダメモリ事件等)株式売買の当事者による取引行為だけでなく、(取引の端緒となる)情報漏えい行為自体についても規制を強化する必要性が高まり、25年の法改正に至りました。

上記金商法167条の2(1項)では、重要事実を知りうる会社関係者による「特定の者」に利益を得させる等の目的を持った行為は、①重要事実の公表前の有利な取引を引き起こす点で「証券市場に対する一般投資家の信頼を損なう恐れのある行為」であると評価できること、②そうした一般投資家の信頼を損ねかねない状況を当該会社関係者自らが作り出していること等から、「自らインサイダー取引を行うことに準ずる行為」として金商法上の違法行為と評価されています。

なお、取引を推奨した相手方が実際にインサイダー取引を行わずとも、取引推奨者には違法行為が認められますが、刑事罰の条件(処罰条件)として実際に取引伝達を受けた者が推奨行為「によって」取引を行ったことが必要です。したがって金商法167条の2に基づく違法な行為を行ったとしても、刑事罰が科されないケースも生じます。

そして立件上の法的な問題は(すでにニュースでも報じられているとおり)、目的要件の該当性です。たとえば取引推奨規制の場合「他人に対し、重要事実の公表前に売買等をさせることにより当該他人に利益を得させ、または当該他人の損失の発生を回避させる目的があること」が犯罪成立の要件とされています。これまで新聞等で報じられているところからしますと、ドンキホーテ前社長さんはラインで何度も同社株式の購入を勧めており、とりわけ(ユニー・ファミマがTOBを公表する)10月11日までに株式を購入するように勧めていたそうです(12月5日朝日新聞朝刊記事より)。ちなみに、平成25年9月12日付金融庁「情報伝達・取引推奨規制に関するQ&A」問6等を読むと、こういったケースは目的要件を満たすものとされております。

しかし、未だ報道からはよくわからないのが「ドンキホーテ前社長と取引推奨を受けた相手方」との関係です。たとえば167条の2に定められた「情報伝達行為」についても、重要事実を知っている会社関係者が自分の家族に伝えたとしても犯罪行為にはならないわけでして(平成24・25年インサイダー取引規制関係改正資料-別冊商事法務 No. 384 148頁参照)、しかるべき「特定の相手方」への情報伝達行為でなければ実行行為性が認められません。

これは「取引推奨行為」についても同様です。上記のとおり法改正の原因となった公募増資インサイダーの事例は、どれも証券会社の営業マンと顧客の関係が前提です。たとえ重要情報の漏えいがなくても「ともかく買っといて損はないですよ」と営業マンから勧められれば、顧客も「これはいい話がある」と推測できます。このような関係が、ドンキホーテ前社長と相手方との間でも認められるのかどうか、そこは新聞を読んでもわかりません。

たとえドンキホーテ前社長から「10月11日までに購入するように」と言われたとしても「ともかくうちの会社の株を買っておけ」と言われた相手方は「ひょっとして相場操縦の片棒を担ぐことが期待されているのではないか」「株価をどうしても上げる目的のために利用されているのではないか」と(相手方が)疑うような関係であれば犯罪は成立しないのではないでしょうか。重要情報の伝達がなくても「ドンキの社長さんが『買っておけ』と勧めるということは、まちがいなく得する」と相手方が理解できるような両者の関係がなければ金商法167条の2違反行為の実行行為とは評価できないのではないかと。

ところでドンキホーテ前社長の方は「私には相手を儲けさせる動機がない」と抗弁されていますが、これも「目的要件」を満たさないことの理由として述べられているものと推測されます。ただ、私は「動機なく相手に儲けさせるからこそ、この方は社長にまで上り詰めるほどの実績を残したのではないか」と思います。明確な「見返り」などなくても、まずは相手に贈与する(利益を付与する)。その贈与は何が何でも拒否させない。そのことによって「義理人情の世界」では立派な「貸し」を作ったことになります。関西電力の有力幹部と元助役との「金品受領問題」も、よく似た関係が成り立っていたのではないでしょうか。

目的要件を立証するために、客観的な証拠から「動機」を解明する必要がありますが、そもそも義理人情の世界で「貸し」を作るための贈与であれば、客観的な証拠などは存在しないように思います。むしろ先に述べたように、時間軸の中で、この前社長さんと取引を推奨された相手方との人間関係を解明していくことが最も重要な立件のポイントだと考えます。

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2017年5月22日 (月)

事件の広がりを予感させる東芝インサイダー取引事件の調査

東京都内の40代の男性医師が、2015年に発覚した東芝の会計不正事件に関連してインサイダー取引を行っていた疑いがあるとして強制調査を受けているそうです(5月19日産経新聞ニュースはこちらです)。そういえば昨年8月、免震ゴム偽装の対策本部から情報を入手した東洋ゴム子会社の取引先の方がインサイダー取引によって課徴金処分を受けましたが、企業不祥事に関する情報を知った役職員、役職員から情報を得た第三者もインサイダー取引規制の対象になるのがあたりまえになってきた、ということでしょうか。

ところで、2015年4月、最初に東芝会計不正事件がリリースされたこちらの適時開示書面をあらためて眺めてみますと、「これって、株価に影響があるような問題なのか?」と感じます。このリリースを読んだだけでは、「特別調査委員会って、なんぞある!?」とは感じるものの、「粉飾」はおろか「不適切な会計処理」がなされた、ということも断定できません。かりに当該リリースに関連する未公表の内部情報を得ていたとしても、東芝全体の売上規模からみれば公表する程度の問題かどうかもわからず、株を借りて「空売り」までしてインサイダー取引を行うような「おいしい重要事実」とも思えないはずです。2年後の現在だからこそ「東芝粉飾事件」「東芝会計不正事件」といいますが、2015年4月の時点に戻ってこの開示書面を読んでも、その後、東芝さんの事件がこんな展開になるとは、当時はだれも予想もできなかったのではないかと。

ただ、この当時、実は東芝事件の真相(奥の深さ)を知っている人がいたとすれば、たしかにその人から情報を受領した者にとっては、インサイダー取引はおいしいと感じることができたかもしれません。本件強制調査の一番の目的は、情報受領者に対する強制調査を端緒にして、当時「東芝事件の真相」を熟知していた「その人」を特定することにあるのではないでしょうか。そして「その人」を通して、「検察庁vs金融庁」で話題になっていた「金商法違反容疑での東芝歴代経営者に対する立件問題」の最終判断が下されるのではないかと(個人的には勝手に)予想しております。

本件に関連するマスコミ報道をいくつかチェックしましたが、まだ未公表事実の情報伝達者や情報伝達ルート、そして伝達された情報の内容が明らかになっていない模様です。もし、このあたりが明らかになるようでしたら、東芝会計不正事件も、新たな広がりをみせるかもしれません。本件は「重大な不祥事を公表することまでを知ってインサイダー取引を行った」とされる東洋ゴム工業子会社取引先の事件とは、様相が異なるように感じるのは私だけでしょうか。このインサイダー取引疑惑が今度どのような展開をみせるのか、注目しておきたいと思います。

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2017年3月10日 (金)

グループ会社の不祥事公表と親会社株式に関するインサイダー規制

今日は自宅近くや事務所近くのオッチャン、オバチャンとの会話がとても弾みました。老若男女を問わず、共通の話題で盛り上がるというのは本当にひさしぶりでした。あの星野リゾートが新今宮に高級リゾートを建設するということは驚きを超えて「驚愕」です。「二度漬け禁止」を誇るコテコテの南大阪人として、この想像を絶する高邁な「西成の星のや計画」に素直に拍手を送りたいと思います(ホントに信じて良いのでしょうか・・・、いや正直まだ信じられません・・・)。

(ここから本題ですが)旭化成建材社のくい打ちデータ偽装事件に関する調査を担当していた同社50代の社員に対して、データ偽装に関する不正公表の直前に同社員が保有していた親会社株式(旭化成株式)を売却したとして、SESC(証券取引等監視委員会)は63万円の課徴金処分を勧告したそうです。上場会社のグループ社員への規制強化か?と、すでに東洋経済さんでは記事が掲載されています(旭化成建材、63万円インサイダー摘発の深謀)。

本件は、SESCのHPでも紹介されているとおり、上場会社の子会社の重要事実として、バスケット条項(※)-金商法166条2項8号、が初めて適用されたという点ですね(ちなみに上場会社の重要事実に関する刑事処分、課徴金処分事例、そして子会社の事実に関する刑事処分事例ではすでに2項4号のバスケット条項を活用した事案が存在しますので、今回の件は、あくまでも子会社の重要事実に対する「課徴金勧告」にバスケット条項が適用された初めての事例・・・という意味だと思います)。また、昨年の東洋ゴム工業株式のインサイダー取引に関する課徴金処分は親会社である東洋ゴムさんの重要事実に関するインサイダー情報が問題とされたので、こちらは2項4号事例です。

※・・・バスケット条項(インサイダー取引規制における)とは、重要事実のなかで決定事実、発生事実、売上等のほかに「当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であつて投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」と規定されている部分を指す。具体的な類例に当てはまらなくても、投資者の投資判断に著しい影響があれば(その意味では株価が動きそうな材料であれば)全て重要事実と見なされることになるので注意が必要である。(野村インベスター・リレーションズさんのHP用語解説より)

上記東洋経済さんの記事でも疑問視されているとおり、子会社(旭化成建材)の不祥事発生事実が親会社株式取引に関する「重要事実」に該当するかどうかは、やや微妙な気もします。会計不正事実であればまだ定量的な「重要性」の認識も可能ですが、重要とまでは言えない子会社で発生した「性能偽装」のような不祥事がどれほど親会社株式の投資判断に対して重要な影響を及ぼすのか、正直言ってフタを開けてみないとわかりませんし、また株価にどのような影響を及ぼすのか、という点についても流動的ではないかと思います(旭化成グループ全体の売上比率からみれば、旭化成建材さんは2,5%にすぎません)。

SESCとしては、不正調査を担当した社員自身がインサイダー取引にかかわったという点を重く見ているのかもしれませんが、現に旭化成社の株価は、不祥事公表によって一旦下落したものの、すぐに回復しました。このような状況において、子会社社員が(不祥事公表を)重要事実と知っていた(認識していた)といえるかどうか、実際に課徴金審判で争う価値はありそうです(なお、法解釈上は争いのあるところですが、バスケット条項を適用する場合には「軽微基準」のような概念は存在しないと私的には考えています)。

ただ、子会社における不正事実を金商法166条2項8号による「重要事実」として子会社社員にインサイダー規制の網をかける意味は、企業実務に与える影響がとても大きいように感じます。インサイダーの調査はほとんどすべて証券取引所売買審査部の監視・調査が端緒となるわけですが、このようにバスケット条項が適用されることになると、結果として証拠不十分で課徴金勧告に至らない可能性のある事案でも、上場会社に対する調査協力要請はとてもスムーズに行えます。調査対象とされた社員は、金商法166条違反との関係では「グレー」であったとしても、調査に協力した上場会社からは「かぎりなくブラック」と認識されることになります。自社(グループ会社)の株式売買に関する自主ルールに違反していたことも判明することになりますし、かなり厳しい社内処分が科されるかもしれません。これは脅威かもしれません。

ところでSESCは2月24日にはモルフォ社の役員、従業員合計10名に対してインサイダー取引規制違反として課徴金処分の勧告を行いました(SESCのHPをご参照ください)。こちらも上場会社の従業員持株会による買付けがインサイダー取引違反として課徴金勧告の対象となる初めてのケースです。通常、インサイダー規制違反行為は、私利私欲にかられた役職員の個人的不正としての印象が強いのですが、このモルフォ社のケースでは個々の従業員の課徴金算定金額は極めて低くなっています。ただここまで集団的なインサイダー取引への関与となりますと、取締役さんの内部統制(情報管理体制)構築義務違反まで問題になる可能性がありそうです。

インサイダー取引規制の強化方針が示された・・・とまでは申し上がるつもりはありませんが、行政による規制の運用が変化することで、対象者の提訴リスク、親会社役員の提訴リスクが高まりつつあることは間違いなさそうです。

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2013年7月 1日 (月)

インサイダ-取引規制における重要事実の「公表」の内容について

5月28日に、エルピーダメモリの増資などを巡るインサイダー取引に関する金融商品取引法違反の事件で、東京地裁は、経済産業省元審議官の方に有罪との判決を下したそうです(なお、判決直後に被告人側は控訴されたとのこと)。

この事件では、被告人側は、2009年4~5月にエルピーダ社など2社の株を購入する前に、2社の増資や合併に関する複数の報道があったり、会社側が「増資を検討したい」と発表したりしたことから、「重要事実は既に公表されている」と主張していたのですが、裁判所はこの主張を採用しなかったようで、「検討する」という程度では、いまだ会社側が重要事実を公表したことにはならず、会社関係者と一般投資家との間における情報の格差が生じていた、として被告人側の主張を排斥したそうです。

どの程度の事実が公表されれば「公表」がなされたといえるかは、インサイダー取引規制の趣旨に照らして解釈されるべきですから、被告人側の主張を採用しなかった地裁の判断は正当だと思います。しかし、実際のところ金商法166条4項における「公表」の内容については、いったい重要事実がどの程度まで明らかにされていれば「公表」にあたるのかは明記されていません。したがって、どの程度の事実が開示されれば金商法166条の「公表」がなされた、といえるかは法律上の論点になりうるものと考えます。ちなみに金商法166条の関連条文は以下のとおりです。

第166条 次の各号に掲げる者(以下この条において「会社関係者」という。)であつて、上場会社等に係る業務等に関する重要事実(当該上場会社等の子会社に係る会社関係者(当該上場会社等に係る会社関係者に該当する者を除く。)については、当該子会社の業務等に関する重要事実であつて、次項第5号から第8号までに規定するものに限る。以下同じ。)を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け又はデリバティブ取引(以下この条において「売買等」という。)をしてはならない。当該上場会社等に係る業務等に関する重要事実を次の各号に定めるところにより知つた会社関係者であつて、当該各号に掲げる会社関係者でなくなつた後1年以内のものについても、同様とする。

4 第1項、第2項第1号、第3号、第5号及び第7号並びに前項の公表がされたとは、上場会社等に係る第1項に規定する業務等に関する重要事実、上場会社等の業務執行を決定する機関の決定、上場会社等の売上高等若しくは第2項第1号トに規定する配当、上場会社等の属する企業集団の売上高等、上場会社等の子会社の業務執行を決定する機関の決定又は上場会社等の子会社の売上高等について、当該上場会社等又は当該上場会社等の子会社(子会社については、当該子会社の第1項に規定する業務等に関する重要事実、当該子会社の業務執行を決定する機関の決定又は当該子会社の売上高等に限る。以下この項において同じ。)により多数の者の知り得る状態に置く措置として政令で定める措置がとられたこと又は当該上場会社等若しくは当該上場会社等の子会社が提出した第25条第1項に規定する書類(同項第11号に掲げる書類を除く。)にこれらの事項が記載されている場合において、当該書類が同項の規定により公衆の縦覧に供されたことをいう。

たとえばA社とB社が合併する、という重要(と思われる)事実についても、「A社とB社が近々合併することを決定した」との事実を開示するだけでは足りず、合併の条件等も具体的に明らかにされることが必要とされています。単に合併の事実だけが開示されたとしても、一般投資家がどのような判断を下すべきかは明らかにならないからです。とりわけ会社にとって重要と思われる事実であっても、インサイダー規制の上では「軽微基準」の対象とされる場合があります。売上高基準などが軽微基準とされている場合には、合併事実によって当社の売上高にどれだけの影響が出るのか、そこまでの情報が明らかになる必要があるのではないか、といった問題も生じます(このあたりは争いのあるところです)。

実際のところ、重要事実の「公表」がなされたと認められるためには、一般投資家の投資判断に影響を及ぼすべき事実の内容がすべて具体的に明らかにされ、一般投資家において会社関係者等と対等な立場で投資判断をおこなうことができる状態にすることが必要だと考える立場がある一方で、一般投資家において会社関係者と対等な立場で投資判断を行うことができるまでの情報開示は必要とはいえない、とする立場もあります。本事件の例ではそれほど異論が出ないかもしれませんが、「公表」の内容について真剣に考えますと、取引関係者の不公平感というものをどう考えるのか、市場の秩序維持という点からみればどちらが妥当か、といったあたりの主観的な考え方によって見解が分かれるものと思いますし、かなり難しい問題を含んでいるように感じます。

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