2021年2月 1日 (月)

インサイダー取引規制ーガバナンス改革で「重要事実の決定時期」は変わるか?

(最終更新2021年2月1日11:44)

先週は三菱自動車燃費偽装の集団訴訟で購入代金の一部返還が認められた判決(大阪地裁)、土曜日にご紹介した株式譲渡契約の無効確認判決(東京地裁)など、コンプライアンス経営に関わる重要判決が多かったのですが、本日ご紹介する判決もそのひとつです。

少し前ですが1月27日の日経朝刊(社会面)に「課徴金命令取り消し モルフォ役員インサイダー認めず(東京地裁)」との見出しで、上場会社役員に下されていた課徴金納付命令が裁判で取り消されたことが報じられていました。2015年12月、東大発ベンチャー企業のモルフォがデンソーと業務提携することを公表しましたが、金融庁は同社役員が同年8月末にこの事実を知りながらモルフォ株式を買い付けたとして130万円余りの課徴金納付を命じており、これを不服として会社役員側が課徴金納付命令の取消訴訟を提起していた事例です。

訴訟では業務提携することの決定(重要事実の決定)時期がいつだったのか、という点が争点となったようで、国側は「両社の交渉が緊密になった、おそくとも8月4日には決定していた」と主張していましたが、裁判所は「8月4日までには業務提携の規模や内容について具体的に検討された形跡はなかった」として、国側の主張を排斥したそうです(最高裁のHPで確認しましたが、まだ本件判決は公表されていません)。記事中では、会社役員側の代理人のコメントとして、

企業間交渉の経緯や社内での議論を丁寧に検証し、実質的な観点からインサイダー情報の決定時期を慎重に判断する司法の姿勢を示したといえる。企業のインサイダー情報管理の在り方を考える上でも大変参考になると思われる

と述べておられます。インサイダー取引規制といえば、最近は平成25年の金商法改正によって新たな規制対象となった「取引推奨」事例が話題となりましたが、本件では従来からの典型論点である「重要事実の決定時期」が争点となっています。ご承知のとおり、インサイダー取引規制の趣旨が証券市場における不公平な取引防止という点にあることから、会社法上の機関決定(たとえば取締役会設置会社であれば「取締役会での決議」)の時期よりももっと前の「実質的に会社意思が決定された時期」と解されるのが判例・通説となっています。※1

※1 たとえば日本織物加工事件最高裁判決 平成11年6月10日刑集53巻5号415頁。

今回の裁判では、会社役員側から業務提携に関する意思決定プロセスが丁寧に主張立証されたものと思われます(ちなみに会社役員側の代理人は3年間ほど金融庁(証券取引等監視委員会)で勤務経験があり、インサイダー取引規制に精通された方ですね)。これまでの判例理論の変更ではなく、判例理論に沿って個別の事情を積み重ねて処分取り消し判決を勝ち取ったものと思料いたします。

そういった「意思形成プロセス」に光を当てて、裁判所が「実質的に重要事実が決定された時期」を認定するためには、社内における重要事実を誰がどこまで情報を共有していたかを、(立証責任を負担する)課徴金処分の対象とされた側が立証できなければならないと考えられます。上記代理人のコメントから推察するに、おそらくモルフォでは、そのあたりのインサイダー情報の管理体制がしっかりしていたからこそ、役員の処分取り消しに至ったのではないでしょうか。

ところで、今年3月にはコーポレートガバナンス・コードの改訂が予定されており、上場会社ではますます独立社外取締役の人数が増えます。また、経営上の重要な意思決定にはその関与が強く要請されるようになります。そうなると、どんなオーナー経営者が君臨していたとしても、複数の独立社外取締役の力によってオーナー経営者の判断も取締役会でひっくり返る可能性が高まるわけですから、実質的な重要事項の決定時期と、当該事項の法律上の機関決定の時期とは重なり合うことになってくるのではないでしょうか。

「理屈上ではそうかもしれないけど、たとえ社外取締役が3人いたとしても、みんな社長のお友達だから実際にはありえないよなぁ」という反論もありそうです。そして、その反論の根拠は、今まではインサイダー情報の漏えいをおそれてM&A案件は事実上決定するまではごく一部の役員間のみで共有しておこう、といった考え方に共感を得られたからです。

しかし、昨今の企業統治改革の主流は「取締役会改革」です。おそらくモニタリングモデルの取締役会が(国をあげて)推奨されるのであれば、独立社外取締役は、企業の命運を握る業務提携の内容を(できるだけ早期から)しっかりと把握をして、その意思形成プロセスにも「監督」という形できちんと関与することが求められるように思います。きちんとした監督者が存在するのであれば、取締役会で審議が尽くされるまでは「重要事実が決定された」とは認定できないケースが増えるのではないかと。

2020年10月29日の日経ニュースによりますと、2019年に役職員がインサイダー取引(取引推奨)に関わったとして勧告を受けた9社について、証券取引等監視委員会が調べたところ、取引推奨を禁止する社内規程を定めていた会社は皆無だったそうです。上場会社においては、あまりインサイダー情報管理の重要性が認識されていないのかもしれませんが、「会社の役職員を不幸な事件に巻き込まない」ためにも、インサイダー情報管理は今一度徹底するべきであり、またモルフォ事例をみるに、情報管理のメリットも十分にありそうです。

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2020年12月 7日 (月)

ドンキホーテ前社長によるインサイダー取引疑惑-義理人情の世界への司法関与

すでに報じられているとおり、ドンキホーテホールディングス(現パンパシフィック・インターナショナルホールディングス社)の前社長さんが、金融商品取引法167条の2、第1項(会社関係者による公表前の重要事実に関する情報伝達・取引推奨行為の禁止)違反の容疑で逮捕されました。

ご承知のとおり、金商法の平成25年改正(公募増資インサイダー取引事案等を踏まえた対応)に基づく法律に違反したものとして立件されたものです。当ブログでも過去に詳述しておりましたが、平成22年から23年頃に公募増資上の問題案件が頻発しまして(たとえば国際石油開発帝石事件、日本板硝子事件、みずほフィナンシャルグループ事件、東京電力事件、エルピーダメモリ事件等)株式売買の当事者による取引行為だけでなく、(取引の端緒となる)情報漏えい行為自体についても規制を強化する必要性が高まり、25年の法改正に至りました。

上記金商法167条の2(1項)では、重要事実を知りうる会社関係者による「特定の者」に利益を得させる等の目的を持った行為は、①重要事実の公表前の有利な取引を引き起こす点で「証券市場に対する一般投資家の信頼を損なう恐れのある行為」であると評価できること、②そうした一般投資家の信頼を損ねかねない状況を当該会社関係者自らが作り出していること等から、「自らインサイダー取引を行うことに準ずる行為」として金商法上の違法行為と評価されています。

なお、取引を推奨した相手方が実際にインサイダー取引を行わずとも、取引推奨者には違法行為が認められますが、刑事罰の条件(処罰条件)として実際に取引伝達を受けた者が推奨行為「によって」取引を行ったことが必要です。したがって金商法167条の2に基づく違法な行為を行ったとしても、刑事罰が科されないケースも生じます。

そして立件上の法的な問題は(すでにニュースでも報じられているとおり)、目的要件の該当性です。たとえば取引推奨規制の場合「他人に対し、重要事実の公表前に売買等をさせることにより当該他人に利益を得させ、または当該他人の損失の発生を回避させる目的があること」が犯罪成立の要件とされています。これまで新聞等で報じられているところからしますと、ドンキホーテ前社長さんはラインで何度も同社株式の購入を勧めており、とりわけ(ユニー・ファミマがTOBを公表する)10月11日までに株式を購入するように勧めていたそうです(12月5日朝日新聞朝刊記事より)。ちなみに、平成25年9月12日付金融庁「情報伝達・取引推奨規制に関するQ&A」問6等を読むと、こういったケースは目的要件を満たすものとされております。

しかし、未だ報道からはよくわからないのが「ドンキホーテ前社長と取引推奨を受けた相手方」との関係です。たとえば167条の2に定められた「情報伝達行為」についても、重要事実を知っている会社関係者が自分の家族に伝えたとしても犯罪行為にはならないわけでして(平成24・25年インサイダー取引規制関係改正資料-別冊商事法務 No. 384 148頁参照)、しかるべき「特定の相手方」への情報伝達行為でなければ実行行為性が認められません。

これは「取引推奨行為」についても同様です。上記のとおり法改正の原因となった公募増資インサイダーの事例は、どれも証券会社の営業マンと顧客の関係が前提です。たとえ重要情報の漏えいがなくても「ともかく買っといて損はないですよ」と営業マンから勧められれば、顧客も「これはいい話がある」と推測できます。このような関係が、ドンキホーテ前社長と相手方との間でも認められるのかどうか、そこは新聞を読んでもわかりません。

たとえドンキホーテ前社長から「10月11日までに購入するように」と言われたとしても「ともかくうちの会社の株を買っておけ」と言われた相手方は「ひょっとして相場操縦の片棒を担ぐことが期待されているのではないか」「株価をどうしても上げる目的のために利用されているのではないか」と(相手方が)疑うような関係であれば犯罪は成立しないのではないでしょうか。重要情報の伝達がなくても「ドンキの社長さんが『買っておけ』と勧めるということは、まちがいなく得する」と相手方が理解できるような両者の関係がなければ金商法167条の2違反行為の実行行為とは評価できないのではないかと。

ところでドンキホーテ前社長の方は「私には相手を儲けさせる動機がない」と抗弁されていますが、これも「目的要件」を満たさないことの理由として述べられているものと推測されます。ただ、私は「動機なく相手に儲けさせるからこそ、この方は社長にまで上り詰めるほどの実績を残したのではないか」と思います。明確な「見返り」などなくても、まずは相手に贈与する(利益を付与する)。その贈与は何が何でも拒否させない。そのことによって「義理人情の世界」では立派な「貸し」を作ったことになります。関西電力の有力幹部と元助役との「金品受領問題」も、よく似た関係が成り立っていたのではないでしょうか。

目的要件を立証するために、客観的な証拠から「動機」を解明する必要がありますが、そもそも義理人情の世界で「貸し」を作るための贈与であれば、客観的な証拠などは存在しないように思います。むしろ先に述べたように、時間軸の中で、この前社長さんと取引を推奨された相手方との人間関係を解明していくことが最も重要な立件のポイントだと考えます。

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2017年5月22日 (月)

事件の広がりを予感させる東芝インサイダー取引事件の調査

東京都内の40代の男性医師が、2015年に発覚した東芝の会計不正事件に関連してインサイダー取引を行っていた疑いがあるとして強制調査を受けているそうです(5月19日産経新聞ニュースはこちらです)。そういえば昨年8月、免震ゴム偽装の対策本部から情報を入手した東洋ゴム子会社の取引先の方がインサイダー取引によって課徴金処分を受けましたが、企業不祥事に関する情報を知った役職員、役職員から情報を得た第三者もインサイダー取引規制の対象になるのがあたりまえになってきた、ということでしょうか。

ところで、2015年4月、最初に東芝会計不正事件がリリースされたこちらの適時開示書面をあらためて眺めてみますと、「これって、株価に影響があるような問題なのか?」と感じます。このリリースを読んだだけでは、「特別調査委員会って、なんぞある!?」とは感じるものの、「粉飾」はおろか「不適切な会計処理」がなされた、ということも断定できません。かりに当該リリースに関連する未公表の内部情報を得ていたとしても、東芝全体の売上規模からみれば公表する程度の問題かどうかもわからず、株を借りて「空売り」までしてインサイダー取引を行うような「おいしい重要事実」とも思えないはずです。2年後の現在だからこそ「東芝粉飾事件」「東芝会計不正事件」といいますが、2015年4月の時点に戻ってこの開示書面を読んでも、その後、東芝さんの事件がこんな展開になるとは、当時はだれも予想もできなかったのではないかと。

ただ、この当時、実は東芝事件の真相(奥の深さ)を知っている人がいたとすれば、たしかにその人から情報を受領した者にとっては、インサイダー取引はおいしいと感じることができたかもしれません。本件強制調査の一番の目的は、情報受領者に対する強制調査を端緒にして、当時「東芝事件の真相」を熟知していた「その人」を特定することにあるのではないでしょうか。そして「その人」を通して、「検察庁vs金融庁」で話題になっていた「金商法違反容疑での東芝歴代経営者に対する立件問題」の最終判断が下されるのではないかと(個人的には勝手に)予想しております。

本件に関連するマスコミ報道をいくつかチェックしましたが、まだ未公表事実の情報伝達者や情報伝達ルート、そして伝達された情報の内容が明らかになっていない模様です。もし、このあたりが明らかになるようでしたら、東芝会計不正事件も、新たな広がりをみせるかもしれません。本件は「重大な不祥事を公表することまでを知ってインサイダー取引を行った」とされる東洋ゴム工業子会社取引先の事件とは、様相が異なるように感じるのは私だけでしょうか。このインサイダー取引疑惑が今度どのような展開をみせるのか、注目しておきたいと思います。

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2017年3月10日 (金)

グループ会社の不祥事公表と親会社株式に関するインサイダー規制

今日は自宅近くや事務所近くのオッチャン、オバチャンとの会話がとても弾みました。老若男女を問わず、共通の話題で盛り上がるというのは本当にひさしぶりでした。あの星野リゾートが新今宮に高級リゾートを建設するということは驚きを超えて「驚愕」です。「二度漬け禁止」を誇るコテコテの南大阪人として、この想像を絶する高邁な「西成の星のや計画」に素直に拍手を送りたいと思います(ホントに信じて良いのでしょうか・・・、いや正直まだ信じられません・・・)。

(ここから本題ですが)旭化成建材社のくい打ちデータ偽装事件に関する調査を担当していた同社50代の社員に対して、データ偽装に関する不正公表の直前に同社員が保有していた親会社株式(旭化成株式)を売却したとして、SESC(証券取引等監視委員会)は63万円の課徴金処分を勧告したそうです。上場会社のグループ社員への規制強化か?と、すでに東洋経済さんでは記事が掲載されています(旭化成建材、63万円インサイダー摘発の深謀)。

本件は、SESCのHPでも紹介されているとおり、上場会社の子会社の重要事実として、バスケット条項(※)-金商法166条2項8号、が初めて適用されたという点ですね(ちなみに上場会社の重要事実に関する刑事処分、課徴金処分事例、そして子会社の事実に関する刑事処分事例ではすでに2項4号のバスケット条項を活用した事案が存在しますので、今回の件は、あくまでも子会社の重要事実に対する「課徴金勧告」にバスケット条項が適用された初めての事例・・・という意味だと思います)。また、昨年の東洋ゴム工業株式のインサイダー取引に関する課徴金処分は親会社である東洋ゴムさんの重要事実に関するインサイダー情報が問題とされたので、こちらは2項4号事例です。

※・・・バスケット条項(インサイダー取引規制における)とは、重要事実のなかで決定事実、発生事実、売上等のほかに「当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であつて投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」と規定されている部分を指す。具体的な類例に当てはまらなくても、投資者の投資判断に著しい影響があれば(その意味では株価が動きそうな材料であれば)全て重要事実と見なされることになるので注意が必要である。(野村インベスター・リレーションズさんのHP用語解説より)

上記東洋経済さんの記事でも疑問視されているとおり、子会社(旭化成建材)の不祥事発生事実が親会社株式取引に関する「重要事実」に該当するかどうかは、やや微妙な気もします。会計不正事実であればまだ定量的な「重要性」の認識も可能ですが、重要とまでは言えない子会社で発生した「性能偽装」のような不祥事がどれほど親会社株式の投資判断に対して重要な影響を及ぼすのか、正直言ってフタを開けてみないとわかりませんし、また株価にどのような影響を及ぼすのか、という点についても流動的ではないかと思います(旭化成グループ全体の売上比率からみれば、旭化成建材さんは2,5%にすぎません)。

SESCとしては、不正調査を担当した社員自身がインサイダー取引にかかわったという点を重く見ているのかもしれませんが、現に旭化成社の株価は、不祥事公表によって一旦下落したものの、すぐに回復しました。このような状況において、子会社社員が(不祥事公表を)重要事実と知っていた(認識していた)といえるかどうか、実際に課徴金審判で争う価値はありそうです(なお、法解釈上は争いのあるところですが、バスケット条項を適用する場合には「軽微基準」のような概念は存在しないと私的には考えています)。

ただ、子会社における不正事実を金商法166条2項8号による「重要事実」として子会社社員にインサイダー規制の網をかける意味は、企業実務に与える影響がとても大きいように感じます。インサイダーの調査はほとんどすべて証券取引所売買審査部の監視・調査が端緒となるわけですが、このようにバスケット条項が適用されることになると、結果として証拠不十分で課徴金勧告に至らない可能性のある事案でも、上場会社に対する調査協力要請はとてもスムーズに行えます。調査対象とされた社員は、金商法166条違反との関係では「グレー」であったとしても、調査に協力した上場会社からは「かぎりなくブラック」と認識されることになります。自社(グループ会社)の株式売買に関する自主ルールに違反していたことも判明することになりますし、かなり厳しい社内処分が科されるかもしれません。これは脅威かもしれません。

ところでSESCは2月24日にはモルフォ社の役員、従業員合計10名に対してインサイダー取引規制違反として課徴金処分の勧告を行いました(SESCのHPをご参照ください)。こちらも上場会社の従業員持株会による買付けがインサイダー取引違反として課徴金勧告の対象となる初めてのケースです。通常、インサイダー規制違反行為は、私利私欲にかられた役職員の個人的不正としての印象が強いのですが、このモルフォ社のケースでは個々の従業員の課徴金算定金額は極めて低くなっています。ただここまで集団的なインサイダー取引への関与となりますと、取締役さんの内部統制(情報管理体制)構築義務違反まで問題になる可能性がありそうです。

インサイダー取引規制の強化方針が示された・・・とまでは申し上がるつもりはありませんが、行政による規制の運用が変化することで、対象者の提訴リスク、親会社役員の提訴リスクが高まりつつあることは間違いなさそうです。

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2013年7月 1日 (月)

インサイダ-取引規制における重要事実の「公表」の内容について

5月28日に、エルピーダメモリの増資などを巡るインサイダー取引に関する金融商品取引法違反の事件で、東京地裁は、経済産業省元審議官の方に有罪との判決を下したそうです(なお、判決直後に被告人側は控訴されたとのこと)。

この事件では、被告人側は、2009年4~5月にエルピーダ社など2社の株を購入する前に、2社の増資や合併に関する複数の報道があったり、会社側が「増資を検討したい」と発表したりしたことから、「重要事実は既に公表されている」と主張していたのですが、裁判所はこの主張を採用しなかったようで、「検討する」という程度では、いまだ会社側が重要事実を公表したことにはならず、会社関係者と一般投資家との間における情報の格差が生じていた、として被告人側の主張を排斥したそうです。

どの程度の事実が公表されれば「公表」がなされたといえるかは、インサイダー取引規制の趣旨に照らして解釈されるべきですから、被告人側の主張を採用しなかった地裁の判断は正当だと思います。しかし、実際のところ金商法166条4項における「公表」の内容については、いったい重要事実がどの程度まで明らかにされていれば「公表」にあたるのかは明記されていません。したがって、どの程度の事実が開示されれば金商法166条の「公表」がなされた、といえるかは法律上の論点になりうるものと考えます。ちなみに金商法166条の関連条文は以下のとおりです。

第166条 次の各号に掲げる者(以下この条において「会社関係者」という。)であつて、上場会社等に係る業務等に関する重要事実(当該上場会社等の子会社に係る会社関係者(当該上場会社等に係る会社関係者に該当する者を除く。)については、当該子会社の業務等に関する重要事実であつて、次項第5号から第8号までに規定するものに限る。以下同じ。)を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け又はデリバティブ取引(以下この条において「売買等」という。)をしてはならない。当該上場会社等に係る業務等に関する重要事実を次の各号に定めるところにより知つた会社関係者であつて、当該各号に掲げる会社関係者でなくなつた後1年以内のものについても、同様とする。

4 第1項、第2項第1号、第3号、第5号及び第7号並びに前項の公表がされたとは、上場会社等に係る第1項に規定する業務等に関する重要事実、上場会社等の業務執行を決定する機関の決定、上場会社等の売上高等若しくは第2項第1号トに規定する配当、上場会社等の属する企業集団の売上高等、上場会社等の子会社の業務執行を決定する機関の決定又は上場会社等の子会社の売上高等について、当該上場会社等又は当該上場会社等の子会社(子会社については、当該子会社の第1項に規定する業務等に関する重要事実、当該子会社の業務執行を決定する機関の決定又は当該子会社の売上高等に限る。以下この項において同じ。)により多数の者の知り得る状態に置く措置として政令で定める措置がとられたこと又は当該上場会社等若しくは当該上場会社等の子会社が提出した第25条第1項に規定する書類(同項第11号に掲げる書類を除く。)にこれらの事項が記載されている場合において、当該書類が同項の規定により公衆の縦覧に供されたことをいう。

たとえばA社とB社が合併する、という重要(と思われる)事実についても、「A社とB社が近々合併することを決定した」との事実を開示するだけでは足りず、合併の条件等も具体的に明らかにされることが必要とされています。単に合併の事実だけが開示されたとしても、一般投資家がどのような判断を下すべきかは明らかにならないからです。とりわけ会社にとって重要と思われる事実であっても、インサイダー規制の上では「軽微基準」の対象とされる場合があります。売上高基準などが軽微基準とされている場合には、合併事実によって当社の売上高にどれだけの影響が出るのか、そこまでの情報が明らかになる必要があるのではないか、といった問題も生じます(このあたりは争いのあるところです)。

実際のところ、重要事実の「公表」がなされたと認められるためには、一般投資家の投資判断に影響を及ぼすべき事実の内容がすべて具体的に明らかにされ、一般投資家において会社関係者等と対等な立場で投資判断をおこなうことができる状態にすることが必要だと考える立場がある一方で、一般投資家において会社関係者と対等な立場で投資判断を行うことができるまでの情報開示は必要とはいえない、とする立場もあります。本事件の例ではそれほど異論が出ないかもしれませんが、「公表」の内容について真剣に考えますと、取引関係者の不公平感というものをどう考えるのか、市場の秩序維持という点からみればどちらが妥当か、といったあたりの主観的な考え方によって見解が分かれるものと思いますし、かなり難しい問題を含んでいるように感じます。

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2013年2月 4日 (月)

インサイダー規制に関する検察のジレンマと罪刑法定主義の呪縛

私事で恐縮ですが、今月23日、24日に東京大学で開催されます「法曹倫理国際シンポジウム」にて基調講演をさせていただきます。英語が堪能ではございませんので、どなたかに私のレジメを英訳していただくことになっております(すみません・・・<m(__)m>)私が発表しますのは、(企業不祥事発生時の)第三者委員会と職業倫理に関するテーマでございます。

ところで、企業価値判断に関する第三者委員会委員の職業倫理が問題となりそうなところですが、第三者委員会委員が情報を提供したとされるインサイダー事件に関する記事が読売新聞の1月29日付け朝刊に掲載されておりました。記事だけでは真実かどうかは即断できませんが、会計専門職にある委員の方がTOB情報を昔からの知り合いに漏えいしたのではないか、との疑惑だそうであります。情報提供者、ということなので、現行のインサイダー規制の上では処罰が難しい、と報じられています。

最近は、インサイダー規制、とりわけインサイダー情報を他人に提供した者のモラルに関する話題が増えておりますが、FACTA誌でも取り上げられておりますSMBC日興証券元執行役員と知人の会社役員のインサイダー刑事裁判がスゴイことになっております。会社役員側の刑事裁判において、裁判所は予定していた判決言い渡しを延期して、訴因変更を促したそうであります。裁判所が訴因変更を促す・・・ということは実務的には生じるところでありますが、判決言渡し直前という時期においては異例のことかと思います。裁判所は「このままでは会社役員を有罪にはできない」とのことだそうですが、被告人側としてはなんとも・・・(会社役員の弁護人は東京地検特捜部出身の著名な方ですが、当然怒り心頭だったようで)。

証券会社の執行役員の方がインサイダー情報を漏えいするということなので、検察側はこの会社役員よりも証券会社の執行役員側の悪質性を強調したい、とのことだったと推測いたします。裁判では、双方をTOBの「公開買付け等関係者」によるインサイダー取引の共同正犯として起訴されていました。執行役員と会社役員がこの取引によって「ギブ&テイク」の利益状況にあるところから、共謀共同正犯が立件できると検察側は見ていたのではないかと。とりわけ真正身分犯については身分のない者も共同正犯が成立する、というのが判例・通説の立場なので、なんとかなるだろう・・・との見込みがあったものと推測いたします。

しかし裁判所は「検察の立件には無理がある」と感じたようであります。たしかに真正身分犯の共同正犯は非身分者にも成立する、というのが判例の立場ではありますが、本件は、そもそもインサイダー規制の中に別途「一次情報受領者」によるインサイダー取引規制の条文が存在します。この条文があるということは、一次情報受領者たる共犯的立場の者は、この条文に該当する場合のみ処罰の対象とされることを法が予定しているのではないか・・・とも考えられそうであります。いや、そう考えることが刑法の大原則たる罪刑法定主義の考え方に合致するのではないか、と。そう考えますと、会社役員側の刑事判決直前になって、裁判所が訴因変更を促した、というのもナットクできるような気がいたします。

検察側が、裁判所の指示に従って訴因を変更するとなると、会社役員側を第一次情報受領者によるインサイダーとして処罰を求めることになりますが、そうなると元執行役員についてもこの「ほう助犯」として処罰を求めることになりそうです。しかしこれでは「元執行役員の情報漏えいこそ悪質」と捉えた検察の立件構想は不発に終わってしまいます。それだけでなく、ほう助犯として捉えるとしても、情報提供行為は構成要件該当性の問題なので、なにをもって正犯者の犯行を容易にしたのか、そのあたりの具体的な事実が明確に主張されなければ成立しないのかもしれません(このあたりは、ちょっと私も自信がありませんが)。検察としては、控訴審の裁判官は共同正犯を認めてくれる、ということに賭けて、このまま訴因を維持するのでしょうか、それとも変更するのでしょうか。

元執行役員側も、公開買付け等関係者によるインサイダー取引の共同正犯として立件されているそうですが(ただしこちらは否認事件)、会社役員側に共同正犯が否定される以上は、防御の対象となる事実自体が変わってきますので、こちらも否定されることになるものと思われます。こういった検察のジレンマも、やはり現行のインサイダー取引に関する条文構造の「建てつけの悪さ」によるものかと。現在、インサイダー取引規制については情報提供者も正犯として立件できるように改正が検討されておりますが、身分犯、不真正身分犯の共犯に関する最高裁の考え方と矛盾しないような条文を検討しなければ、将来的に同様の問題が生じることも考えられるのではないでしょうか。

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2012年12月12日 (水)

新しいインサイダー取引規制と事前規制的抑止力

きょう(12月11日)は金融審議会作業部会において、新しいインサイダー取引規制(現行法の改正)の大筋がまとまったことが報じられました。証券仲介会社や事業会社の役職員による情報伝達行為・取引推奨行為が新たに規制対象に含まれるようですが、そのかわり(情報伝達者が)インサイダー取引を行わせる目的を有すること、実際に当該情報によってインサイダー取引が行われたことなどが成立要件とされるそうなので、企業実務に過度の萎縮的効果を与えないように配慮されているようです。また繰り返し情報伝達行為等を行った悪質な証券会社の社員等については、氏名の公表もあるとのこと。ネット検索が当たり前の時代に「公表」というのはかなりツライ行政処分ですね。その他には西友インサイダー事件で行政当局側が苦労したTOBで買収される側の企業関係者も「公開買付関係者」に該当することが明確にされるようです(詳しくは金融庁の こちらのページをご参照ください)。

そもそもインサイダー取引規制は刑事罰、課徴金を課すということですから、事後規制的な色合いが強いものと思います。エンフォースメントを厳格にすることで、利得行為への抑止力が働き、市場の健全性を確保することが図られるものと考えられます。しかし情報伝達行為や取引推奨行為までインサイダー取引規制の対象となりますと(他人の利益のためにインサイダー行為を勧める、ということなので)、「情報伝達者の利得をはく奪するというよりも、制裁的な課徴金で抑止しよう」といったところが問題になってきます。今回の作業部会でも、「他人の計算によるインサイダー規制」が、憲法の禁止する二重処罰にあたらないかどうかが真剣に議論されていたようで、このあたりは著名な刑法学者、行政法学者の代表的なご意見をもってしても、インサイダー規制への適用ということについてはっきりしていません。現に経団連の意見書でも、「課徴金の引き上げは不当利得の剥奪の趣旨を逸脱しない範囲において行われることが望ましい」とされているようです。

また今年10月にはJDQのSJI株に関わるインサイダー取引について、証券取引等監視委員会の勧告にもかかわらず金融庁が処分をしないとする、インサイダー取引では初めての不処分決定も出ました。ペナルティを引き上げても、(法律家の支援の下で)とことんまで争うような事案も出てくるでしょうし、確信犯的な者に対して多少ペナルティを重くしたとしても「やる奴はやる!」と予想されます。また「俺は二次情報受領者だ」といった主張をしてくる人たちも増えるかもしれません。したがって事後規制的効果というものは、抑止力に一定の限界があるでしょうし、そもそもインサイダーによる事後規制の効果(引き上げ)については、ハコ(企業)そのものが反市場的な場合にこそ(そこそこの)実効性があるのではないでしょうか。まじめな会社の「出来心による」社員のインサイダー行為には、現行法上のペナルティでも十分抑止効果はあると考えています。

ということで、まじめな上場企業にとってインサイダー取引規制が改正された場合の問題は、やはり実務上は事前規制的効果ではないでしょうか。これまでのインサイダー防止体制の構築といえば「自己完結型」でした。ともかく身内から不幸な犯罪者を出さないために、情報管理体制を構築する、「やれば必ずバレる」という実態を社員間で周知徹底する、という自助努力が中心でした。しかし今回の情報伝達行為・取引推奨行為の規制化や「公開買付関係者」の範囲の拡大は「連携・協調型」、つまり他社との連携・協調による防止体制が求められるように思います。自社で努力していたとしても、他社関係者の行動次第では通常の業務遂行に支障を来すこともありますし、また不要なインサイダー疑惑に巻き込まれる恐れも生じます。先の経団連意見書でも「業務遂行上の必要がある場合には適用除外にすべし」と主張されているそうですが、このあたりになんとかインサイダーリスクを自社のみでコントロールしたい、との気持ちが表現されているように思います。このあたりが事前規制的効果としてはとてもやっかいかなぁと感じます。

また、オリンパス事件では行政当局が刑事罰と課徴金、いずれの適用も視野に入れていたように記憶していますが(間違っていたらごめんなさい)、今後、証券取引等監視委員会が、「多少の不処分事案は出たとしても、とことんやる!」といった政策的判断を行うことによる実務上の影響も無視できないと思います。まじめな上場会社としては、そもそも疑惑の渦中に巻き込まれること自体を避けたいわけです。インサイダー取引の可能性が疑われるような未公表重要事実の管理を徹底するためにはどうすべきか、当局の取締の動向などにも配慮したうえでどこまで未然防止を進めていくべきか、ということの検討も、一般の事業会社にとっては必要かと思われます(ただし友好的TOBの買付対象会社のように、いきなり関係者に重要情報が届く、ということもあって、万全の準備などはできないかもしれませんが)。

我々弁護士は、ときどき何か都合が悪いことがあると、つい「これは守秘義務だから」などと安易に守秘義務を持ち出すことがあります(私はそんなことはありませんが・・・)。他者からの執拗な追及を免れるには非常に便利な言葉です。今後、企業間の情報伝達において「これはインサイダーだから」などと、ときには自社にとって都合の悪い情報を開示しない理由として、またときには相手に妄想を抱かせるようなセールストークとして活用されることを懸念するのは私だけでしょうか。。。

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2012年8月21日 (火)

インサイダー取引における情報提供者に共謀共同正犯は成立するか?

SMBC日興証券社の元執行役員の方がインサイダー取引(金商法違反)被疑事件で逮捕されたことはご承知のとおりかと思いますが、その元執行役員の方は、実際に株式の売買を行った金融会社社長と同様に「正犯」として起訴されたそうであります。つまり共謀共同正犯として立件された、ということであります。インサイダー取引規制は主に情報受領者が自らの利益を得るために未公表事実を用いて株取引を行うことを罰するものでありまして、情報提供者は処罰の枠外であります。もちろん、情報提供者を助けるという意味での「ほう助犯」が成立することはありうるとしましても、「正犯」として立件するということはおそらく初めてのことであり、検察側の並々ならぬ意欲が窺われます。

ただ、インサイダー取引規制(金商法違反)の実行行為としては、実際に株取引で利得を得ることが可能な地位にあることが必要かと思われます(実際に株取引で利益を得ずともインサイダー取引違反は成立しますが、少なくとも利益を得ることができる立場にあることは必要)。元執行役員の方は、自ら株取引をやるわけではないので、そもそも利得を得ることが可能な地位にはないように思われます。そうしますと、果たして元執行役員の方が、インサイダー取引規制の実行行為を遂行できない(厳密にいえば、共謀によっても、インサイダー取引の実行行為者と同等に評価できるほとの主観的な意思を持ちえない)ことになります。

この点検察側は、(元執行役員は)利益を得ることが可能な地位にあったものと捉えているようでして、それは金融会社社長が株取引でもうけることができれば、自分が金融会社社長に負っている損失補償分もまた減少するという意味において、元執行役員も利得を得る地位にあったものと評価されているようであります。しかしそもそも顧客の損失を補てんすることは禁止行為であり、損失補てんの合意が直ちに取締法規違反として無効になるわけではありませんが、おそらく公序良俗違反となり私法上も無効になる可能性が強いと思われます。そうなると、法律上の利得を元執行役員が得ることができる地位にあったわけではなく、単純に「やっかいなトラブルから逃れられる」という事実上の利益を得るにすぎないものと考えられます。

しかし、果たして「事実上の利益」を得ることが可能な地位にあれば、情報提供者もインサイダー規制違反の実行行為者になりうる、ということが妥当なのでしょうか。もし事実上の利益を得ることができるだけで正犯性が認められるのであれば、(各証券会社の報告書にも出てきますように)この元執行役員の方以外にも、各証券会社において「顧客サービスの一環として」情報を流した営業社員の方々がいるわけで、そこでも「情報提供者の事実上の利益」を認めることはできるように思われます。「元執行役員については正犯性が認められるが、その他の営業社員には認められない」という区別を説明するには、事実上の利益というだけでは説得力に乏しいのではないでしょうか。

元執行役員側は、共謀共同正犯としての起訴事実について争う方針のようでありますが、かりに裁判所が未公表事実の情報提供者について共同正犯の成立を認めるということになりますと、法律の改正を待たずともその適用範囲は相当に広がる可能性があるわけでして、少なくとも上場会社の役職員に対する影響力は高いものになろうかと思います。情報受領者が正犯となり、情報提供者はその「従犯(教唆、ほう助)」にすぎないと考えれば、検察側はまず情報受領者を捕まえて、その正犯を確定することが前提となりますが、情報提供者にも正犯が成立するとなれば、まず情報提供者から捕まえて、情報受領者のインサイダー取引は補助的に活用する、という手法もとれることになります。つまり検察側の捜査手法にバリエーションが増えるわけで、下からではなく(見せしめ的に)上から規制の網をかぶせることができることになるのではないかと。課徴金制度と刑事罰処分とをうまく組み合わせることによって、相当に弾力的な摘発が可能になるものと予想されます。

こうなりますと、インサイダー取引を規制する意味は「抜け駆け的な不届き者への処罰」というよりも「投資家に対する信任義務違反への処罰」という意味合いが強いものになっていくように思われます。このようにインサイダー取引規制の趣旨を変化させることによって、①証券会社に対する事前規制的手法(証券会社に「市場の番人」たる責任を加重させる施策)と、②一般上場会社に対する事後規制的手法(エンフォースメントを活用した企業の自主規制へのインセンティブ)とを協働させる妙味があるように思われます。インサイダー取引規制の在り方は、多くの不公正取引の温床となっている要因を取り除き、市場の健全性を確保するためにも、その実効性をどのように確保すべきか、これからも注目されるところであります。

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2012年3月22日 (木)

公募増資インサイダー事件に思う「信託銀行の法令遵守態勢」

(3月22日午前 追記あります)

本日(3月21日)東証ホールにて「企業不祥事への早期対応に向けた処方箋」なる講演をさせていただきました。ご聴講、誠にありがとうございました。不祥事への早期対応にとって重要なのが「不正の兆候への気づき」と「有事意識の共有」であることを講演で申し上げましたが、本日報じられている中央三井アセット信託銀行によるINPEX(国際石油開発帝石)公募増資に絡むインサイダー事件は、まさに担当者の「気づき」が欠如したことに起因するもののようであります(日経新聞ニュースによると、中央三井の社長さんが「担当者は『重要情報』ではないと判断した」と記者会見で述べたことが報じられております)。課徴金の金額こそ数万円にすぎませんが、一昨年から噂されていた重大なインサイダー疑惑に関するものであり、信託銀行の今後の業務に重大な影響が出ることは想像に難くなく、社会的信用毀損の程度を併せ考えますと、同銀行にとっては極めて重大な不祥事に発展してしまったように思います。

私の妻も長年信託銀行に勤務しておりますので、ときどき「コンプライアンス研修」なるものを受けております。その研修内容をときどき妻から聞いておりますが、あまりにも形式的なものであることに愕然としております。いわゆるWEB研修というものが主流のようですが、基礎的な法令の知識や顧客資金の取扱い等、チェック形式によるもの。もちろん支店職員とホールセール業務を扱う職員とでは、求められるリーガルリスク対応は異なるものだとは思いますが、いわば「金融検査ありき」の法令遵守態勢の構築ではないでしょうか。社員の法令遵守態勢はこうやって確保していますよ、といった履歴を残すための対応ではないかと。いや、金融検査よりももっと手前の社内監査に耐えうるコンプライアンス研修、といったほうがよいかもしれません(支店サイドとしては、本部から臨店する内部監査部のチェックのほうがピリピリするようです)。

社長さんの記者会見でのご発言のように、本当に主幹事証券会社と接触した担当者は「プレヒアリングに関する情報提供は重要情報にはあたらない」と判断したのでしょうか?相手は著名証券会社でありますし、にわかには信じがたいところではありますが、もし本当だとするならば、当信託銀行の法令遵守態勢はどうなっているのでしょうか?このあたりは金融コンプライアンスに詳しいご専門の方のご意見もお聴きしてみたいところであります。そのご担当者の方が、普段どのようなコンプライアンス研修を受けておられたのか。本日、ある取引所関係者の方から「昔は取引所の職員は積極的に株を買ってリスク感覚を理解するよう勧められた。今ではとても考えられないですね」と述べておられましたが、銀行のコンプライアンス感覚も10年で大きく変わったと思います。以前であれば許されていたようなことも、経営環境の変化とともに「絶対に許されない」と理解されなければならないわけでして、そのあたりの環境の変化と金融機関の担当者の意識にズレが生じてしまっていて「気づく」ことができなかったのでしょうか?

もちろん行員の横領事件や説明義務違反(適合性原則)の防止も重要なコンプライアンス研修の中身ではありますが、毎度申し上げておりますとおり、事後規制手法への対応(行員や役員の行為による民事、刑事事件の防止)から事前規制手法への対応(法令遵守違反による信用毀損のリスク。つまりリスクベースで法令違反を回避する対応)へ「態勢整備」の重点をシフトさせていかなければ、今回のような重大な法令違反を早期に回避することは困難ではないかと考えます。このあたりは、金融機関といえども、また厳格な金融検査が存在するといえども、一般の企業と同じではないかと思います。

3月22日午前 追記

毎日新聞ニュースでは情報提供者側である証券会社の営業部門担当者から増資情報が伝わったとされています(毎日新聞ニュースはこちら)。ということはチャイニーズウォールが機能していなかったということなんでしょうか?たしかこの証券会社の情報遮断統制は日本でもナンバーワンとお聴きしておりますが、結局、これも「人の問題」なのでしょうか。また、そうだとすると信託銀行側としても、当然に(プロとして)情報遮断統制のことはご存じのはずですから、「重要情報とは知らなかった」という言い訳が果たして通用するのでしょうか。。。

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2012年1月13日 (金)

家族を不幸にするインサイダー取引(その2)

もうかれこれ4年半前に書きましたエントリー「家族を不幸にするインサイダー取引」の続編であります。あれから味の素社員による日本初の否認審判事件があり、カルピス社員の妻による「聞いちゃったインサイダー」事件もあり、本当に妻名義による株取引が問題化した事案もありました。これまでは課徴金事案だったわけですが、経産省官僚の方によるインサイダー疑惑につきましては、妻名義(4口座)による取引が特捜部主導による刑事事件として取り扱われることとなったようです。

もちろん、日本で一番(インサイダー取引を)やってはいけない人がやってしまった、との疑惑があるわけですから、刑事処分、しかも否認事件とあって、身柄拘束ということになってしまうのも仕方ないかもしれません。しかし、私が一番心配するのは、ご本人が否認していることによって、どれほど親族が過酷な捜査に耐えなければいけないのか・・・・・ということであります。まぁ、ご本人については、たとえインサイダーに該当せずとも、組織内ルールに反する行動があったようですから(取扱い企業の株売買の禁止、売買時の報告義務違反等)、疑惑をもたれること自体、自己責任と言われてもやむをえないと思います。しかし家族の方々はどうなんでしょうか。

「俺はやってない。妻が自分の利益のためにやったんだ」との抗弁は、それが真実であれば奥様も耐えられるでしょうけど、夫をかばうために「私が自分の利益のために、たまたま聞いちゃった情報をもとに買っちゃいました」と虚偽の供述をされるのでしょうか?下手をすると共犯や証拠隠滅の刑事犯に該当してしまうわけで、普通は奥様をそのような窮地に陥らせてまで否認を貫く、ということはないんじゃないかと。いずれにしましても、家宅捜索を受ける奥様の境地、そして本日の経産省幹部逮捕の裏で、奥様は捜査機関に対してどのような供述をされているのか、とても関心があるところです。

ところで、以前のエントリーで、某社の資本提携に関する事案につき、株価と出来高を示して「明らかにインサイダー取引があったのでは?」といった感想を書きました。取引所も当局の方も、「絶対にインサイダーは見逃さない」といった解説をされますが、実際には摘発できないインサイダー取引も多いのではないかと(^^;;。

ただ、昨今はJ-IRISSに登録する上場会社も急増しておりますし、各企業とも内部統制の一貫としてインサイダー取引防止体制を構築され、社内ルールも整備されてきておりますので、おそらくピンポイントで審査や調査が絞られるケースも増えているのではないかと推測いたします。当局も人的資源が限られておりますので、リスクアプローチの手法により、嫌疑が濃厚なものを優先的に対象事案とされることが考えられます。やはり普段の株取引の時点において社内ルール違反の事実が認められるのであれば、重点的に調査や審査の対象になるのかもしれません。そう考えますと、社内から不幸な犯罪者を出さないためにも、インサイダー防止のための社内ルールはきちんと運用しておくことが企業のリスク管理の視点からも大切なことではないか、と思うわけであります。たとえ自身が株取引をしない方であっても、情報提供者となって周囲の者を不幸にしないことも心得ておく必要があろうかと思います。

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