2018年2月 8日 (木)

青学の八田進二教授はホントのマジシャンだった(というお話)

28896603_1 日本内部統制研究学会、ACFE(公認不正検査士協会)ほか、様々な団体でお世話になっております八田進二教授(青山学院大学専門職大学院会計プロフェッション研究科)が、今年3月で退官されるそうです。先日(1月27日)、八田教授の最終講義が行われたそうで、残念ながら聴講できませんでしたが、この本はいち早く入手し、とりいそぎ読了いたしました。

「会計。道草 寄り道 回り道」 (八田進二著 泉文堂 2,200円税別)

本書は、これまで八田先生が会計・監査の専門誌「税経セミナー」「アカウンタンツマガジン」「JFAELジャーナル」「青山アカウンティングレビュー」等で連載していたご論稿に、現時点版としての解説文を加えた「八田ワールド」の集大成です。「教育者たる者は、むずかしいことをわかりやすく伝えなければならない」という八田先生の言葉どおり、会計・監査の問題点・課題がわかりやすく書かれています。会計・監査の世界を、時間軸を通して鳥瞰できる本にはなかなか出会うことはないため、文句なしおススメの一冊です。ちなみに東日本震災時の社会貢献活動の一環として、こちらのご著書を48名の会計研究者名「AKB48(Accounting Knowledge Board48)」で出版され、(ごく一部の方から)ウケておりましたので、(それに気を良くされたのか)本書のタイトルも(2012年当時の連載タイトルの転用ですが)おそらく「モーニング娘。」あたりに由来するのではないかとひそかに推測しております。

八田教授といえば、どうしても「内部統制」というイメージが強いのですが、グローバルな視点から「会計士は会計テクニシャンになるな!会計プロフェッションたれ!」というメッセージを繰り返し発信され、公認会計士の職業倫理について長く研究を続けてこられたことを本書で知り、たいへん感銘を受けた次第です(まさに職業倫理は精神論ではなく、職業的懐疑心を実践するための研究対象なのですね)。本書のタイトルも「監査。」ではなく「会計。」です。世間では八田教授の辛口の意見が定評ですが、職業倫理や職務への誠実性に裏付けられた意見だからこそ世間的にも賛同者が多く、また企業の社外取締役や社外監査役を数多くお務めになるなど、企業実務の方々からも高い支持を得ておられたものと思います。

本書は全章で56話から成り、それぞれ3頁以内の小稿で構成されているので、どこからでも興味の湧くテーマから読み進められます。私は会計監査の話題に関する最新事情について「八田先生ならどう考えているのだろう」といった興味で読み進めておりました(たとえば監査報告書の透明化・長文化についても、ご意見を述べておられます)。また職業倫理を研究することの意義(倫理は「エチケット」なのか?)なども、勉強になりますし、そこから派生して、最近の話題「会計監査とAI問題」へのご意見なども、将来の会計専門職を担う方々には、とても勇気を与えるものとなるはずです。そしてなんといっても「会計の原点に戻れ!」ということで、会計とは説明責任を尽くすことである、というご主張が何度も出てきます(だから「監査法人」という名称も「会計法人」と変えるべきだ、とのこと)。

27067284_1800378766659929_172431330 ところでこのブログのタイトルですが・・・、それは本書をお読みになればわかります。私は最初にお会いしたときから「あのヒゲはどうもウサンクサイなぁ」と感じておりましたが、実は本当にマジシャンだったのですね(笑・・・最近は写真のようにヒゲはなくなっておりますが・・・)。※ 本写真は八田先生の最終講義の様子です。青学専門職大学院のFBから引用させていただきました。

内部統制ブームのころ、八田先生は会計監査の世界を飛び越えて、法曹界にも太いパイプを築かれました(私も、そのころお声をかけていただいた一人です)。いままで会計監査の世界と法律の世界が一緒になって研究をする、ということはなかったのではないかと。最近では「第三者委員会格付委員会」の委員にも就任されています。そういったところが道草をされ、寄り道をされ、そして回り道をされてきた八田先生の(余人をもって代えがたい)パーソナリティだと確信しています。青学を去って、これからどのような要職におつきになるのか存じ上げませんが、これからも会計監査の世界、法律の世界、そして企業実務の世界に対して、温かくも厳しい意見を送り続けていただきたいと思います。また、できれば八田先生に続く、いや、超えるような会計プロフェッションを、これからも育てていかれることを切に希望しております。

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2013年9月 2日 (月)

「内部統制」への関心がふたたび高まる時代が到来

拙ブログも立ち上げから8年半が経過しましたが、その間に内部統制ブームが到来しました。2006年から2009年ころ、いわゆるJ-SOX(金商法上の内部統制報告制度)の施行前後の時期でした。しかしながら、最近はめっきりJ-SOXに関連する話題が登場することもなくなり、制度の簡素化ということも検討されています。

しかし20年ぶりのCOSO報告書の全面改訂、リーマンショック以降の世界の企業観や規制手法の変遷、そして安倍内閣による成長戦略の方針といった企業を取り巻く経営環境のなかで、ふたたび「内部統制の時代」が到来しつつあります。アメリカの規制改革の影響を受けていることは事実ですが、私はどうも我が国における行政による規制手法の変遷によるところが大きいものと考えています。

ひとつめは国税庁が今年から大企業向けに進めている「税務に関するコーポレートガバナンス充実に向けた取り組み」ですね。詳しいことは、税務に詳しい大手法律事務所さんの広報にお任せすることにしますが、企業の税務に関する内部統制を整備することによって税務調査が減免される(調査間隔が広くなる)、というのはインセンティブとしては大きいはずです。税務調査に関する説明責任などの問題もあるため、サポートする側にとってもビジネスになります。大手の監査法人さんも法律事務所を開設するところが出てくるようですが、こういった税務コンプライアンスも弁護士のビジネス領域になる、というところかと。

ふたつめは8月9日に施行された東京証券取引所の有価証券上場規則の改訂です。粉飾決算の疑いが強い企業に対して、監査法人は「おかしい」(不適正意見、意見不表明)と、監査報告を出しやすいようにするための取引所ルールが改訂されました。不適正意見が出たらすぐに上場廃止になるのではなく、原則として特設注意市場銘柄に指定され、そこで上場廃止にすべきかどうか、慎重に取引所が判断する、というもの。指定された企業の内部管理体制が有効か否かによって上場廃止か上場維持かが決まるわけですが、これまで3年だった審査期間が1年に短縮されました。つまり目に見える形で内部統制が変わらなければ廃止になってしまう可能性が高いということです。東証は指定銘柄については、救済措置ではない(つまり厳格に運用していく)と述べているので、まさに内部統制の構築が重点項目とされます。

そしてみっつめは消費者庁の動向です。消費者庁にとって、今回の「まだら美白問題」は相当にショックな出来事だったようです。消費者集団訴訟制度の策定がひと段落となった今、つぎの消費者制度としては企業コンプライアンスの向上による消費者被害の防止ということになりそうで、消費者の声、社員の声を企業コンプライアンスの向上にどう生かすか、というところが焦点になろうかと。当然のことながら、公益通報者保護法や企業の内部通報制度の制度運用に関心が向くことになるので、こういった施策に熱心な企業に対して何らかのインセンティブを付与する方向性もありうるかと(これはあくまでも私の推測ですが・・・)。

最後になりますが、不正リスク対応監査基準の施行によって、内部統制報告制度(J-SOX)の評価方法が見直されることもありますね。株主が短期的利益よりも持続的成長を重視するようになったことから、株主エンゲージメント(企業と株主との対話)が中心となってきた上場会社と株主との関係にとって、リスク管理の方法も株主の対話項目のひとつになりました。経営者と監査人とのコミュニケーションツールとして内部統制報告制度が活用されるようになることが予想されます。

企業の自助努力(内部統制)を活用したい行政当局のホンネとタテマエの内容、さらに、行政当局では、どういったインセンティブが考えられているか、といったことは追って検討していきたいと思います。また、本日は、とりあえず項目だけを列挙しただけですが、今後ふたたび内部統制関連のテーマが登場するときに、それぞれの項目について詳説していく予定です。最後になりますが、本文中で意見にわたる部分は私個人の意見にすぎず、どこかから公表されたものではないことを申し添えます。

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2012年8月10日 (金)

内部統制:そのあるべき姿と現実(第五回学会開催のお知らせ)

ロンドンオリンピックも終盤戦、毎日寝不足で出勤されていらっしゃる方も多いかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。さて、今年も(私が理事を務めております)日本内部統制研究学会の年次大会(第5回)が開催されることになりました。今年は例年よりも時期が少し早まりまして、9月3日(月)、開催場所は日大商学部(世田谷キャンパス)です。

「内部統制のブームは去った」と言われることもありますが、たしかに「内部統制を商売のネタにするブームは去った」ことは間違いありません。しかし裁判例や第三者委員会報告書などでは、平時の内部統制システム構築の巧拙が、取締役の有事対応に関する善管注意義務の判断にどのように影響を及ぼすか、という点を示したものが複数出てきております。また企業実務としてのJ-SOX対応も、システムの構築や評価に慣れてこられたところも出てきて、法律対応だけでなく、経営管理手法としての有効性を向上させることに取り組んでおられるところもあるようです。そこで今大会は、内部統制のあるべき姿をあらためて見直し、現実とのギャップを整理しておく必要があるのではないか、とのことから、「内部統制:そのあるべき姿と現実」というテーマで議論を進めていくことになりました。

今回の学会で中堅・中小規模上場会社の内部統制(海外子会社の内部統制を含め)をここ5年ほど、熱心に整備・運用をされてこられたS氏(今回も発表担当者のおひとり)と、昨夜(すきやきを食べながら)お話をする機会がありました。S氏は内部統制報告制度施行当初から、法対応としての内部統制だけではなく、経営管理手法としての有効性・効率性向上のための内部統制に取り組んでこられました。さすがに4年間、まじめに取り組んでこられただけあって、「内部統制システムの整備運用によって、社内にいったいどのような変化がみられたのか」という点を、実務家として堂々と話しておられました。そしてその内容は、私にとって本当に興味深いものでした(ここで書くことは控えておきます)。これは「どうすれば監査役監査が経営者にとって役立つものになるのか」という、私の考える課題への対応と非常に似たものであり、とても「現実的かつ人間臭い」お話でした。このたびの学会での講演では、この「内部統制によって当社がこの4年でどのように変わったのか」という点をS氏に披露していただけるそうです。当ブログで過去に何度か申し上げましたが、法曹界や経営学の世界、会計監査の世界から、いろいろと批判を受け、これに真摯に耳を傾けながら、「経営手法としての有効性・効率性向上のための内部統制構築」に取り組んでこられた会社と、そうではなく、あくまでも経営者評価として「内部統制は有効」という評価結果を得るためだけの対応に終始してきた会社とでは、大きな差が生じてきたものと思われます。どうしても巧拙は属人的なスキルに依拠していることは否めないとは思いますが、「まじめにやればこうなる」といったわかりやすいイメージを提案することはとても重要かと思います。

なお、同時刻に別会場にて東洋電機製造社の内部監査責任者の方が「内部監査人の経験と、経営への貢献度自己評価の関係」をご発表されます。ちなみにGさんは、東京CFE(公認不正検査士)研究会のメンバーの方で、内部監査に認知心理学を採り入れる研究をされておられるとのこと(研究会のメンバーの方より教えていただきました)。こちらも、題名からして、やはりここ数年の取り組みが、どのように経営に生かされているかをご披露されるものと思いますので、「目に見える成果」が堂々と発表される時期になってきたことを感じさせます。

また、研究部会の報告では、内部統制に関する判例および処分事例の研究について、法律家と会計実務家との共同研究の成果をご披露申し上げます。鳥飼重和弁護士を中心に、青山学院の町田教授、西村あさひの武井一浩弁護士などの豪華メンバーも加わり、合計7回ほどの研究会の成果を発表いたします。まだ最終報告書の詰めの段階ではありますが、判例研究報告としては、かなりレベルの高いものではないかと(私も当研究会メンバーとして、平成22年に最高裁で判決が確定したヤクルト本社株主代表訴訟事件の検討結果をまとめました。地裁判決、高裁判決とも長文の判決なので、かなり苦労しました)。なお、この研究部会の成果品は、(かなり分厚いものとなるため)当日お越しになられた方々への配布のみとなります。私自身も、この研究会での意見交換がたいへん勉強になりましたし、また新たに内部統制を企業の実務家的な視点、法律家としての視点から研究する意欲が湧いてまいりました。ぜひ当日は、研究報告を聴講いただければと思います。当日は、町田教授から研究部会の報告がなされる予定です。

午後の統一論題につきましても、これまで内部統制の第一線で活躍されてこられた方々の発表と討論は、今後の実務レベルへの影響を考えるうえで貴重な機会かと思います。企業が否応なしにグローバルに事業を展開せざるをえない時代はますます企業の自律的機能に注目が集まります。内部統制と①ガバナンス、②ペナルティ、③職業倫理、④役員の法的責任、⑤ディスクロージャー、そして⑥財務報告の信頼性確保などなど、どれをとっても自社の自律的機能をどう組み立てるべきか、それぞれの企業において整理する必要があります。その整理のためのヒントになれば幸いです。

お申し込みは、上記リンク先の日本内部統制研究学会のHPをご覧ください。まだまだ暑い時期ではございますが、どうか多数の方のご参加をお待ちしております。

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2010年11月 2日 (火)

第2回内部統制ラウンドテーブルのお知らせ

金融庁のホームページに、企業会計審議会内部統制部会10月28日開催部会資料が掲載されております。そこで制度改正に関する議論の方向性が見て取れると思われますが、「簡素化・明確化」といったあたりが中心テーマ、ということになりそうです。今年6月に閣議決定された「新成長戦略」に答える形で改正案を出すことになりますので、四半期報告制度と同様に、簡素化・明確化はその流れに沿った形のように思えます。

しかし「簡素化・明確化」ということは注意が必要です。そもそもこの制度が導入された趣旨については誰も反論されていないのでありますから、かならずどこかに簡素化・明確化の「しわ寄せ」が来るはずです。それは会計監査人であったり、監査役であったり、内部監査人だったりするはずであります。「費用対効果の見直し」といっても、そこで見直されたのは、目に見える効果(無駄な承認手続が多すぎる 等)に関するものであって、「発生したかもしれない不正を防いだ」という「目に見えない効果」については誰も検証していないからであります。

これは内部統制報告制度の元になっているCOSOの流れをみても明らかです。1992年にモデル化されたCOSOフレームワークにつきましては、2006年に「簡易版COSO内部統制ガイダンス」が公表されて、中小上場会社向けのガイダンスが示され、2009年には「COSO内部統制システム・モニタリングガイダンス」が公開されており、内部統制システムの有効性確保のためには、効果的なモニタリングの必要性が認識されつつあることと通じるものであります。財務報告の信頼性を確保すべき要請については、これまでと同じものが企業に要求されるわけですので、J-SOXの負担が軽減される分、それではその負担(法的責任も当然に含む)は誰が負うのだろうか・・・という問いが生まれてくることになります。

さて、そんな改訂作業の真っ只中、今年も内部統制ラウンドテーブルが11月24日に東京で開催されます。(ご案内は、内部統制研究学会HPにて)ちなみに、私は今年は登壇いたしません(笑)。ただ、この3年から4年ほど、多くの企業の内部統制担当者の方々、内部統制監査人の方々と「内部統制狂想曲」の真ん中におりましたので、改正の方向性を含めて、意見はたくさん持っております(なお、私の意見につきましては、到底ブログでは書けませんので、書籍のなかで申し上げる予定であります)。この制度が導入時の初心を忘れることなく、さらに有効に活用されることを願いつつ、今年のテーブルの開催を楽しみにしております。

ぜひご関心のある方は、テーブルの傍聴にお越しくださいませ。

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2007年6月 9日 (土)

内部統制を語る人との出会い(その2)

さて、先月のまるちゃんこと丸山満彦さんに続き、今月も「内部統制を語る」ブロガーとして、行方(なめかた)洋一弁護士と本日(6月8日)お会いしました。昨日、行方先生は大阪で金融財政事情研究会主催のセミナー講演をされたそうですが、そのまま大阪に滞在され、夕方より食事をご一緒させていただきました。(第一印象・・・年齢よりも「見た目」かなり若いですね。。しかし、この「きんざい」さんのセミナー予定を見て驚きましたが、行方先生は、文字通り北海道から沖縄まで、全国ツアーの真っ最中だったんですね。どうもご苦労さまです。)

任期付公務員(金融検査官)を経験されても、元の事務所に戻ってくると、また普通の弁護士としての職務に忙殺されてしまい、なかなか経験を生かす機会がない・・・とは、よく聞く感想でありますが、この行方先生の場合には、(メリルリンチでの経験も含めて)ご自身の経験をそのまま専門性の高い業務(金融機関の内部統制コンサル)に生かそうと努力されているところにたいへん関心を持ちました。(うーーーん、私もあと10才若かったら、そういった経験を積みたかったんですけど、かなりうらやましいですね)金融機関も、そして監督する行政庁も、まだまだ縦割りに近い組織運営が残っていると思いますので、こういった外部第三者的な人間が、横串を刺すように問題を提起することはかなり貴重かもしれません。内部からみてきた矛盾点などを認識しているからこそ、そういった問題提起が金融機関等に受容されるんじゃないかと思います。たとえば、金融機関に限られるものではありませんが、公認コンプライアンス・オフィサーといった資格があるわけですけど、一般事業会社におきましても、こういった縦割り組織の活性化を自由な発想で考える立場とか、そういった資格者がいれば向いている分野かもしれません。(このあたりはまた別エントリーで考えてみたいところでありますが)

行方先生は、まるちゃんのように「濃いーぃ」方ではいらっしゃいませんでしたが、予想以上に「外向き」ですね。宴席の途中で、若い仲居さんが「おだし」をすこしこぼしちゃったんですけど、女将さんといっしょに平身低頭謝る仲居さんに対しても、おもしろい話を持ちかけて、雰囲気を和らげて、すぐに仲居さんと仲良くなっちゃうところなんか、さすが「ソフィア出身」(?あんまり関係ないですかね?)などと思わず感心してしまいました。(笑)

3時間半ばかりの短い意見交換ではありましたが、金融機関独特の「内部統制構築上の悩み」も聞けましたし、内部統制システム支援機構の活動なども参考になり、たいへん有意義な時間を過ごさせていただきました。今後の行方先生の活躍にますます期待いたしますし、また東京でも意見交換の時間をいただきたいと思っております。(しかし、うまく帰れたんですかね?)

     お知らせ

さて、この「内部統制を語る人との出会い」シリーズ、来月もある方を東京からお招きして、いろいろと意見交換をさせていただこうかと思っておりますが、そろそろお約束どおり、「ビジネス法務の部屋」オフ会をやりたいですね。このブログをご覧の関西人の方々は、おそらく6月いっぱいはお忙しい(って、私もそうですが)と思いますので、7月初旬ころに大阪キタあたりでどうでしょうか?いや、もう少しディープに天満あたりでおいしい韓国料理を食べながら・・・というのもいいかもしれませんね。(あっ、もちろん会費制ね(^^;))また、このブログで広報させていただこうかと思っておりますので、どうか気軽にご参加いただければ・・・と思っております。(最小催行人数は私含めて3人くらいで・・・笑)

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2007年5月23日 (水)

内部統制を語る人との出会い(その1)

内部統制コンサルをされていらっしゃる某会計士さんのご紹介で、トーマツ在籍の丸山満彦さん と心斎橋の小料理屋で4時間ほどお酒を飲みながら「内部統制」について語り合いました。・・・・・と文字にしてみますと、ずいぶん上品に聞こえますが、実際には「しゃべりまくっておりました。」  いやいや、「まるちゃん」実に「濃いーぃ」方です。。。キャラが熱いというか・・・(^^; お仕事でも、今までたくさんの会計士さんとお会いしましたが、もともと関西の方ということもあってか、最初から「タメ口」で話しができる会計士さんというのは初めてであります。(こういったタイプの会計士さんというのは、大手監査法人にはどの程度の割合でいらっしゃるのでしょうか?)それにしましても、この方の「人生における内部統制のあり方」には非常に関心を抱かざるをえませんでした(私もあまり偉そうなことは言える立場ではございませんが。)

講演をされたり、管理基準案策定に関与されておられるからか、よく勉強されてますね。ERS(エンタープライズ・リスク・サービス)の件、システム管理基準追補版の件、経営者評価の方法に関する件、このブログでも話題になりましたサンプリングの件、会計士さんと「法律や政省令の解釈」との距離感などなど、いろんな意見交換ができて、たいへん楽しい時間を過ごしました。「まるちゃんがこんなことを言ってた」みたいな引用は控えますが、これからのエントリーの題材をたくさん頂戴いたしましたし、感謝しております。(明日はまた東京でお仕事とのことだそうですが、講演後、夜遅くまでミナミでお付き合いいただき、ありがとうございました。また貴重な機会を作っていただきましたS先生に厚くお礼申し上げます)

大阪でコンサルをされているS先生や、まるちゃんのお話をお聞きして思うのは、「これからの上場企業と監査人との『立ち位置』って、これまでと同じなんだろうか、それとも変わるんだろうか」といった素朴な疑問であります。おそらく監査法人で実際に監査をされていらっしゃる先生方も、同じような感想をお持ちではないでしょうか?社外監査役として、ときどき思うのが「なんでそこまでアプリオリに監査法人さんの見解に従わないといけないのだろうか?それが唯一の会計基準なのだろうか?」「監査法人さんのおっしゃることに従わないといけない、といった心理的強制力はどこからくるんだろうか?ルールや会計知識への気後れ?それとも粉飾の後ろめたさ?会社の信用問題?」私は内部統制監査、といった切り口ぐらいしか存じ上げませんが、これからの両者の立ち位置というものも、微妙に変化が生じてくるのではないかな・・・と、ふと考えたりしておりました。ひょっとすると、誰かがその「パンドラの箱」を開ける日が来るのかもしれません。

さて、「内部統制を語る人との出会い」シリーズ、つぎは6月になりますが、また東京から、これまた大阪講演の後にお会いする予定の方がいらっしゃいます。まるちゃんほど濃いキャラの方ではないと想像しておりますが、また意見交換できることを楽しみにしております。(いやいや、ブログから想像いたしますと、これまた濃いーぃ方かもしれません・・・)

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