2016年8月29日 (月)

自社監査役監査基準に注意義務のレベル表示を付する企業登場

8月25日、26日と、毎年恒例の日本監査役協会主催の夏期合宿(通称長浜合宿)に参加しました。琵琶湖畔長浜での夏期合宿は、もう30年以上続いている伝統のある行事です。「参加」といいましても、(研修を受けるほうではなく)全体講演の講師、2年目研修チームの講師として、ということですが、毎年楽しみにしているのは、夜の懇親会です。190社の監査役の皆様が一同に会しての立食パーティですが、多くの企業の監査役実務をお聴きできる「またとない機会」でして、とりわけ今年は取締役監査等委員の方、女性監査役の方の参加が急増していたのが特徴的でした。またガバナンス・コードが「トレーニング」に触れているせいか、社外監査役の方も多く参加されていましたね(頭が下がります)。

なかでも某会社では、今年から自社の監査役監査基準に1~5までのレベル感を表示しているそうです。「これは絶対にやらねばならない」「これは原則としてやらねばならない」「これはできる範囲でやるべき」「時間があればやるべき」等々。昨年、日本監査役協会が策定している監査役監査基準にレベル感が表示されるようになりまして、レベル1、レベル2と規定されている項目のみ自社監査役基準に盛り込む・・・といった会社はありましたが、すべて取り込んで、なおかつレベル表示まで(監査役協会の基準を参考にして)自社基準に付する会社さんは、あまり聞いたことがありません。

ここまで読んでピンときた監査役さんもいらっしゃるかもしれません。そうです。あのセイクレスト事件大阪高裁判決を意識した行動です。取締役に対して社長の暴走を防止すべき内部統制構築を勧告する義務、社長を解任するための臨時株主総会を開催することを取締役に勧告する義務などが認められたセイクレスト事件判決(今年2月に最高裁で不受理決定)ですが、なぜこんなキビシイ義務が監査役さんに認められたかというと、自社の監査役監査基準や内部統制システムの監査基準等に、そういった行動規範が盛り込まれていたからだ・・・という意見も出ているところでして、この判決をもとに自社の監査役監査基準を(たとえば日本監査役協会のモデル基準でレベル1と2と表示されている条項のみ自社に取り入れる等)見直している会社も多いようです。

そこで某社では、「そんな判決が出たんじゃたまらない。でも、だからといって後ろ向きの自社基準を作ったって監査役としての仕事がおもしろくない。だったら、ベストプラクティスとしての監査基準を策定する中で、自社の監査役監査基準にも、善管注意義務の判断基準の元になるレベルを自分たちで決めて、それを明記しておこうではないか」ということで、基準へのレベル感の表示に至ったようです。私個人のセイクレスト事件判決の見方としては、決して自社の監査役監査基準の規定ぶりが決め手になったのではないと解釈していますが、なかなか前向きな監査役さんもいらっしゃるなぁと感心いたしました。

また、別の監査役さんからは、三菱自動車工業さんの燃費偽装事件に関する第三者委員会報告書に対する詳細な感想をお聴きし、似たようなご経験をされたこともあり、かなり三菱自動車さんに同情的な意見を拝聴いたしました。これも「なるほど」と思わせる内容でしたので、またあらためて別のエントリーでご紹介させていただきます。いずれにしても、現役の監査役さんからナマの監査実務をお聴きすることはたいへん有益でして、今後も機会があればまた夏期合宿に参加させていただきたいと思いました(参加された監査役の皆様、どうもお疲れ様でした)。

8月 29, 2016 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年9月17日 (水)

イオンの「監査役育成アカデミー」は企業価値を向上させるか?

9月13日の日経電子版に、コーポレート・ガバナンスに関連する少々驚きのニュースが掲載されていました。流通大手のイオンさんが、監査役候補者を社内で育成する機関「イオン監査役アカデミー」を設置する、とのことです。アカデミーを修了した幹部人材の方々は、海外を含め260社以上ある子会社の監査役に順次配置されるそうです。アカデミー受講者は、財務・経理、人事、顧客サービスなど各部署から部次長クラスの社員を毎年10人以上選抜し、外部から講師を招き、週末を利用して1年間で100時間強の授業を受けてもらうとのこと。修了後はグループ会社の常勤監査役に就任させる、と報じられています。

企業グループ全体のレピュテーションを毀損するような企業不祥事は、グループ内の子会社で発生するケースが多く、たとえば4年前に不適切な会計処理が子会社で発生した近鉄さんが、大幅に子会社の常勤監査役さんを増やすということもありましたが(朝日新聞ニュースはこちらです)、年間100時間を超える研修によって常勤監査役さんを子会社に設置する、という試みは、これまであまり聞いたことがありません。

もちろん日経の記事にあるように、「グループとして監査役の機能を強化し、子会社が自律的に法令順守や不祥事防止に取り組むよう促す」ということが主たる目的だと思いますが、やはり会社法改正の影響が、ここにも出ているように思います。企業集団内部統制が法文化され、親会社による子会社管理が強化される傾向が出てくるのでは・・・、といった流れから、即戦力となる常勤監査役さんを、幹部候補から抜粋・育成し、いわゆる「キャリアパス」の一環に位置づけようとされているのではないかと推測します。そしてもうひとつ、会社法改正によって親会社・兄弟会社の「支配人その他の使用人」は子会社(兄弟会社)の社外監査役に就任することができなくなります(会社法2条15号ハ 参照)。これまで親会社の幹部社員の方々が、グループ子会社の非常勤監査役に就任していたケースも多いわけですが、改正によって兼任に制限が生じますので、こちらの対策も必要になります。

リスク管理の視点からすると、こういった監査役育成プログラムは不正リスクを低減するものとして、グループとしての企業価値向上に貢献するものと予想されます。ただ、当ブログでも何度かご紹介した「ずる-嘘のごまかしの行動経済学」(ダン・アリエリー著)の中に登場する「カギの効用」で説明したように、いくらガバナンスの仕組みを整えたとしても、本気で不正をやろうとする者の不正行為を未然に防止することは至難の業です。むしろ、社員の98%を占める「ふだんは誠実だが、誘惑があると不誠実に走ってしまう『まじめな社員』」が、不誠実に走ってしまわないように「性弱説」に立った監査活動こそ、ここで期待されるものと言えるのではないでしょうか。

「安全」は外から見えませんが「安心」は外から判断することができます。リスク管理の巧拙は、本来は組織の品質管理に依拠するものですが、企業不祥事が発生しているのか、していないのか、その組織の現在価値を外から判断することはできません。したがって、リスク管理の巧拙は、「将来、その組織において不正が発生した場合、これを早めに止めることができるのか」といった将来価値をもって判断せざるをえません。多くの子会社に常勤監査役さんが増えれば、またグループ全体として「監査役連絡協議会」のようなものが出来て、子会社不正を親会社が早期に発見できる機能も高まるでしょう。このような監査役育成アカデミーは、まさに「将来価値」に関わるものであり、企業の自浄能力が求められている昨今、企業価値の向上に資するものになると考えています。

9月 17, 2014 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2014年9月 8日 (月)

コーポレートガバナンス・コードにおける監査役制度の位置づけ

当ブログの論客のおひとりでいらっしゃる「いたさん」から、先週の日本内部統制研究学会に対する厳しいご意見をコメント欄でいただきました(どうもありがとうございます<m(__)m>)。ご指摘のとおりで、たくさんの監査役さん(監査役OBの方も含め)にお越しいただいたにもかかわらず、またガバナンス改革というテーマであったにもかかわらず、監査役さんへの期待についてほとんど触れずじまいだったこと、たいへん反省をしております。すべて仕切り役だった私の責任です。

そのぶん(まったく関係はありませんが)、第2回の金融庁・コーポレートガバナンス有識者会議(コーポレートガバナンスコード策定のための会合です)では、コードにおける監査役の記述に関してかなり盛り上がったそうです(ロイターの記事はこちらです)。経済界や投資家から「日本の監査役の役割はわかりにくい、そもそもきちんと活用されていない」との意見が出されたそうで、序文に監査役の役割を記述したり、丁寧に説明することが要望されていた、とのこと。

監査役の職務(権利と義務)は、会社法で定められていますので、その内容を超えて「期待される役割」をコードに書き込むというのは、かなりむずかしいのでしょうね。もちろん事業戦略に意見を述べ、妥当性監査ということまで積極的に行っておられる監査役さんもいらっしゃいますが、中小の上場会社では、そこまで期待できないところも多いと思います。最近ではセイクレスト事件判決やニイウスコー事件判決のように、日本監査役協会が策定した監査基準をもとに監査役の善管注意義務違反の有無を判断する事例などもみられるので、強制力のないガバナンスコードといえども、監査役の職務について詳細に記述されてしまうことの「気持ち悪さ」みたいなものはあるかもしれません。記述にあたっては、仕組み(監査と監督の区別)と機能(どういった目的のために何をすべきか)をしっかり分けて議論しなければいけませんね。

あと、上記有識者会議では、監査役(会)設置会社と対比して(会社法改正で新た認められる)監査等委員会設置会社について話題に上っていたようです。私はあいかわらず監査等委員会設置会社への移行には懐疑的でありまして、監査等委員である取締役さんのリーガルリスクは監査役に比べてかなり高いように思っているのですが、あまりそのあたりには関心が向けられてないようです。個人的意見の詳細は、また講演等でお話しますが、上記のセイクレスト事件第一審判決(監査役の法的責任認容)、昨年の愛知高速交通事件第一審判決(いま債権法改正で話題となっている身元保証法5条に関連した監査役の過失認定)、少し古いですが平成18年の青森住宅供給公社事件(いわゆる「アニータ事件」ですね)第一審判決(監事の責任を否定)などを参考にしますと、監査等委員たる取締役の内部統制構築義務違反(構築指摘義務違反)が、そのまま「任務懈怠」と認定されやすいように思います。

9月 8, 2014 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2013年9月 6日 (金)

会社法の視点による「親子会社規制」と監査役監査

昨日(9月4日)、伝統ある産業経理協会にて監査役さん向けの講演をさせていただきました。当研究会にお招きいただいたのは初めてでしたが、もう40年近くの歴史のある監査役さんの研究会(正式には監査役業務研究会)ということで、250名ほどの監査役の方々がお越しになられてビックリしました。コメンテーターも酒巻俊雄先生が務められて、伝統を感じる研修会でした(コーディネーターは、同じ大阪弁護士会の村中徹先生が務められたので、少し安心できました)。

親子会社規律と企業集団内部統制に関する講演だったのですが、講演の冒頭で申し上げましたとおり、監査役の皆様方が研究されるテーマとしては、最近話題の海外リスクと並んで、かなりハイレベルなものではないかと思っています。

まず、このテーマは論じる方の立ち位置によって、いろんな切り口があります。たまたま私は弁護士という立場なので会社法という視点から語るわけですが、コンサルタント的な立場の方からすると、取引法(企業間契約)という視点から語る方もいらっしゃいますし、また経営者の方であればマネジメント(投資-独立当事者間取引か否か)という視点から語ることになるのではないかと思います。監査役さんは、いずれのタイプの方々とも業務上で接することになるわけで、頭が混乱しないだろうか・・・と思ってしまうわけです。なので、昨日は、まず会社法に基づくお話、という視点を明確にするところからお話させていただきました。

つぎに、ミクロの視点とマクロの視点がありますよね。ミクロの視点とは、会社法上は親子会社といえども別々の法人格がありますし、それぞれに会社の機関があるわけで、これを無視して法律的なお話はできないのです。しかし、経済実態的にとらえれば、企業グループというひとつの完結した組織が存在するわけですから、その実態に沿った形で株主や債権者保護を考えないと妥当な結論が導き出せません。そこで、このバランスをとることを、親会社取締役の行為規範とどう結び付けるのか・・・というところが難問です。

そしてもうひとつは、企業経営の効率性の問題でして、これは私が社外取締役をしていて、最も配慮しなければならない点だと思っています。大きな企業として経営したほうが効率的なのか、それともリスクを分散して分社化したほうが効率的なのか、機関投資家に説明するにはとても重要な視点なのです。とりわけ海外の機関投資家には「日本の会社法ではこうなってるから」という説明は通用しないので、理屈(論理)と数と倫理で企業価値の向上に合致するガバナンスを説明しなければなりません。いわば内部組織的にみたらどうか、グループ間取引の視点からみればシナジーが発揮できるか、というあたりの問題です。

監査役さんは、取締役の職務執行を監視・検証する立場にあるので、取締役の善管注意義務の履行としてのグループ会社経営の執行に配慮するわけですが、どうしても二つ目、三つ目の視点も法解釈の中に顔を出してくるわけで、このあたりは「審議される事項ごとに親会社取締役の指揮監督権を重視する場面や、子会社取締役の裁量に任せる場面などを検討せざるをえないのではないか」とお伝えせざるをえませんでした。(答えになっているのか、なっていないのか、ちょっとわかりませんが・・・・すみません<m(__)m>)。企業集団内部統制についての関心が高まっているところですが、企業集団内部統制を考えるにあたっても、同様の配慮が必要なのが「親子会社規制」のむずかしいところではないでしょうか。

なお、酒巻先生から、平成2年の商法改正のころの、とくに企業会計審議会と法制審議会の様々なやりとりについて、たいへん興味深い話をお聴きすることができました。そのころの法と会計の融和(対立?)に関する問題を理解する参考資料などもわかりましたので、また資料にあたった後に別途エントリーでご紹介したいと思います。

9月 6, 2013 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年5月24日 (金)

監査役の意見表明が期待される場面-ベリテ社の株主提案

昨年からガバナンス上の混乱が継続していたと思われるベリテ社ですが、5月23日のリリースにおきまして、議決権の過半数を保有する株主より①常勤監査役の解任議案、および②現常勤監査役解任決議が可決されることを条件としての新たな監査役選任議案が提出されることが明らかにされています。そして、この株主提案に対して会社側が「取締役会の意見」として、賛同意見を付記しておられます。ちなみに①の解任理由としては、

2012 年3月19 日に開始された調査委員会による調査及びその対応等により、当社に少なからず損失及び混乱が生じたところ、監査役による業務監査が日ごろから適切に遂行されていれば、かかる事態を防止することは十分に可能だったと思料されることから、当社監査役大竹章彦氏は常勤監査役として適任でないと判断し、その解任を求める。

とされております。

昨年から会社側としては「常勤監査役の交代を検討します」と述べておられたと記憶しておりますので、今回のリリースは、昨年来の騒動の終局段階ではないかと推測いたします。株主提案による解任議案、選任議案なので、法律上はとくに議案上程にあたり監査役会の同意が必要、というわけではございません。

ただ、株主提案の理由としては「監査役会が調査委員会設置を決める等の行動によって会社の信用を毀損させたが、これは日ごろの業務監査が適切になされていれば防げたものである」とのこと。つまり監査役の監査に問題があったからこそ解任する、というものですが、取締役の不祥事の疑惑について調査を決定したのは常勤監査役さん個人ではなく、「監査役会」なので(たとえばこちらのリリース)、この解任議案については他の監査役さん方がどのように考えておられるのか、これはぜひとも意見をお聴きしてみたいところです。他の監査役さん方も、会社を混乱させたのは常勤監査役個人の監査の懈怠に起因するものと考えておられるのかどうか、これは一般株主にとっては重要なポイントではないでしょうか。

あのトライアイズ社の元監査役だったF氏は「監査役としての資質を欠く」と会社側から指摘され、裁判の末(和解という形ではありますが)訂正・謝罪公告を勝ち取りました。いわば「監査役が任務を怠った」という理由で解任されることは監査役にとっては屈辱であり、名誉にかかわる問題であります。また、(記憶違いで間違っていれば訂正いたしますが)監査役会が設置した第三者委員会の報告書については、(取締役会は当初、委員会活動に全面的に協力すると発表しながら)開示することを拒否し、別の第三者委員会を設置したように記憶しています。だとすると、会社の混乱を生ぜしめたことに取締役会も寄与しているもののようにも思われますので、常勤監査役の業務監査の懈怠と会社の混乱が、どのように結びつくのか、株主提案理由だけでは全く不明です。

監査役解任には特別決議を要するとはいえ、過半数の議決権を保有している株主さんの提案ですから、可決されることはかなり濃厚ではありますが、それでも多数の個人株主さんがいらっしゃる会社なので、会社側による監査役解任議案の上程との平仄を合せるためにも、そういった配慮が求められるように思います。株主総会の招集通知には当該常勤監査役さんの意見は表明される可能性がありますが、取締役会と監査役会が対立した事例であるがゆえに、こういったリリースの段階においても、取締役会の賛成意見と合せて、監査役会(または当該常勤監査役さん以外の監査役さん)の意見表明も開示していただけたらなぁと思うところです。

5月 24, 2013 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2012年12月20日 (木)

「監査役の乱」ならぬ「監査役の権限濫用」?

来年早々にも出版予定の新刊書の原稿チェックに追われておりまして、あまりブログを更新する時間もないまま過ごしております。お寄せいただいている常連の皆様のコメントにも満足にご回答できず誠に申し訳ございません<m(__)m>。年末年始も原稿チェックが続きそうなので、もうしばらくお待ちいただければ幸いです。

(さてここから本題になりますが)3年ほど前、監査役が経営執行部と対立し、会社法上の監督権限を行使する企業紛争事例が目立ちました。当ブログでも、そういった事例をご紹介するたびに「監査役の乱」といったフレーズを用いて、マスコミや法務関係者の方々にも(そこそこ)ウケていたことを記憶しています。

ところが最近は「監査役の乱」というよりも、「監査役の権限濫用」といったほうがよいのではないか・・・と考えられる問題も発生していることが報じられています。本日(12月19日)にTDNETでリリースされておりますダイヤ通商さんの「不正調査委員会の終了に関するお知らせ」を読みますと、元監査役の善管注意義務違反の有無が委員会の調査対象となっていたようです。結論としては大株主と会社側が和解的解決を図ることができたため、調査委員会を続行する意味がなくなり、当該元監査役さんの職務執行の法的責任の有無は判断されずじまいになりました。ただし、同調査委員会からは「監査役は党派的な行動を慎み、特定の株主ではなく、株主共同利益の観点から、その職務を執行しなければならない」とのコメントが出されています。

この元監査役の方は、調査委員会設置に関するお知らせを読みますと、取締役会等に何等の報告もなく営業活動を行ったり、社内ルールに従わずに自社株式を市場で売却していたことが、そもそも監査役の職務として善管注意義務違反にあたるかどうか、が問題となっていたようです。大株主からの推薦で社外監査役として選任されていましたので、おそらく大株主の利益になる行動が目立っていたものと思われます。

実は同様の監査役の行動については、私自身も「噂」として耳に入ることもありますし、また最近発売された金融法務事情1958号の巻頭でも「監査役制度への過度の期待は禁物」とのテーマで、某著名な弁護士の方が、類似の「監査役リスク」を紹介されておられます。監査役の持つ監査権限は会社法の度重なる改正によって強大なものになっています(ただ、現実にはなかなか行使されないというだけのことでして)。もし、この監査役の目が取締役にではなく、大株主に向いている、ということになりますと、時として大株主の利益を最優先するために強大な権限が行使される、ということも十分に考えられるところです。たとえ権限が行使される、というほどのことでなくても、監査役であるがゆえに優先的に入手しえたビジネス情報を、大株主側に有利に活用してしまう、ということもありえます(これは監査役の忠実義務違反?)。

このたびの会社法改正の話題のなかで、親会社監査役が子会社の社外監査役に就任できなくなる、といったことが実務上で大きな影響を及ぼすものとされています。親会社の監査役であれば独立性に問題がないのだから、子会社の社外監査役に就任してもよいのでは・・・とも思えるのですが、いくら独立性があるとしても、親会社出身の社外監査役であれば、やはり親会社の利益を優先して子会社の監査活動を行ってしまうのではないか、との危惧が残りますので、そのあたりが「親会社監査役もダメ」となった趣旨ではないかと思われます。

もちろん監査役は非業務執行役員たる立場にありますので、自ら会社の業務執行に勤しむというのは監査役の権限の枠内では収まりきれない行動です。自らの権限行使に付随した職務執行であれば問題がないのですが、そもそもすべての株主の共同利益のために行動すべきなのですから、出身母体に有利な取引を画策する、ということになると善管注意義務に反する行動に該当することも十分に考えらると思います。問題は、だれがこういった監査役の権限濫用行動に待ったをかけることができるか、ということころかと。取締役の違法行為については監査役が指摘する立場にありますが、監査役が善管注意義務に反するおそれのある行動に出ている場合、仲間である監査役からの指摘がないと口に出して問題化する、ということがむずかしいのかもしれません。

監査役の権限が強化され、また実際にモノ言う監査役さんが増えれば増えるほど、今度は当該権限を「濫用」してしまう悩ましい事案も増えてくるようです。他にも同様の事案があれば、また過去に振り返って検証してみたいと思っています。

12月 20, 2012 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月20日 (火)

常勤監査役による責任限定契約の締結は普及するか?

(11月20日午後 追記あります)

監査役の皆様向けに、11月28日に開催される岩原東大教授(会社法制部会長)の会社法改正要綱解説会は、あっという間に満席となり(日本監査役協会主催 1300名定員)、代わりにライブの模様を伝える上映会が2回に分けて別途開催されることになったそうです。ガバナンス関連の論点が中心となるそうですが、それにしても会社法改正への関心の高さはスゴイですね。

ところで監査役さん向け論点になろうかと思うのですが、会社法改正要綱のなかで、あまり議論になっていないところの問題が取締役・監査役の責任の一部免除(会社法427条1項 責任限定契約)に関する改正ではないかと。ご承知のこととは存じますが、取締役・監査役の任務懈怠による対会社責任が発生するような場合において、社外性要件が業務執行要件に変わり、とくに監査役の場合には(これまで社外監査役のみ認められていたものが)すべての監査役に責任限定契約が締結できることになる、というものです(現時点の会社法改正要綱を基準としています)。旬刊商事法務の岩原教授解説を拝読し、法制審の審議会議事録を再度見直しましたが、この論点についてはほとんど議論もされることなく、すんなりと要綱案として改正が盛り込まれているようです。

ただ、公表されているパブリックコメントには、理論的に筋が通っていると思われる反対意見もあります。改正理由としては、取締役の社外性要件が(改正によって)厳格化されることに伴い、これまで責任限定契約を締結できた人たちができなくなってしまう・・・ということが挙げられます。この理由は、経済団体からの強い意見を採り入れた、という政策的判断のもとではなんとか納得できそうですが、しかし監査役すべてに責任限定契約締結を認める理由にはなりません。中間試案の補足説明にあるように「自ら業務執行に関与せず、専ら経営に対する監査・監督を行うことが期待される者については、その責任が発生するリスクを自ら十分にコントロールすることができる立場にあるとは言えない」という理屈についても、業務執行取締役についても、自らの担当業務以外の会社業務については十分にリスクをコントロールすることができる立場とは言えないのではないか、とも思えるわけでして、説得力に欠けるように思います。※

※・・・なお、かならずしも社外監査役を置かなければならない会社の場合には、親会社監査役の方が、社外監査役に就任していたものを、非常勤社内監査役に改編することが検討されるので、そういった場合には監査役全般に責任限定契約を締結させる意味がある、というご意見もあります。しかし、私的には、これもあまり積極的な理由とは言えないように思います(11月20日追記)。

そういったことから、なんとなく積極的な改正理由が見つからない「監査役すべてについて責任限定契約の締結を認める」改正ですが、ともかく監査役さん方にとっては実務上の大きな課題になりそうな予感がいたします。果たして常勤監査役さん方にとって、この改正会社法が施行された場合には、定款を変更して責任限定契約を会社と締結する、という実務は定着するのでしょうか?

素直に考えますと、監査役さんが任務懈怠責任を問われにくくなる制度ということになりますので(ただし、最近は対第三者責任追及や金商法に基づく不法行為責任追及がなされるケースも増えていることに注意)、十分な監視・監督を行うインセンティブが機能しなくなってしまうのではないか、緊張感が欠けて怠けてしまうのではないか、との不安が出てきそうです。ただ、最近日経新聞にもご登場されましたトライアイズ社の元監査役F氏の「闘争の歴史」を振り返りますと、監査役が真剣に経営執行部と対峙した際、社長から「そんなことしたら会社として損害賠償請求するぞ」と威嚇される場面が何度もありました。「そんなことは監査役のやることではない。もしやるんだったら、あなたの個人資産がすべてなくなりますよ」と怒鳴られ、それでも株主総会開催の差止めや違法行為の差止めを裁判所に求めるには、監査役さんにかなりの勇気が必要です。おそらく監査役の立場からすれば、「自分が間違っていたらどうしよう」と逡巡し、会社法上の権限行使を控えるケースも出てくるのではないかと。

私の個人的な意見からしますと、そもそも監査役さんが会社法上の権限として行使されることが期待されているものについて、たとえ結果的に取締役の行動が違法だと認定されないものであったとしても、これを違法と指摘した監査役さんについては、合理的な理由がある限り任務懈怠などにはならないと考えています。しかし一般の監査役さんにとってみれば、不安がいっぱいになるのも無理からぬところがあり、違法行為を積極的に指摘する勇気を与えるためには、こういった責任限定契約も必要とされる場面もあるのかもしれません。つまり「監査環境の整備」という視点からみれば、社内の監査役さん方も責任限定契約を締結することが、むしろ監査役の権限行使のインセンティブになりうる、との考え方です。理屈のうえで考えれば、これまでの「社外役員の導入を促進するため」という理由に代わりうる積極的な理由はないものの、監査環境整備という政策的な理由から責任限定契約の存在を肯定的に考える、というところでしょうか。

いずれにしましても、株主総会できちんと説明できる理由がなければ一般的に定着するものではないはずです。このあたりは法制度化されることを前提に、議論をしておくべきものと思います。

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2012年8月24日 (金)

退任監査役が新任監査役へプレッシャーをかける事案

東京大学の研究成果を活用した創薬事業を営むECI社(セントレックス)の8月15日付適時開示「監査役の辞任・選任に関するお知らせ」がなかなかスゴイことになっているなぁと感心しておりましたところ、8月22日付適時開示「訴訟提起に関するお知らせ」によりますと、辞任予定の監査役さんが会社を代表して社長と専務を相手に損害賠償請求訴訟を提起した、とのことであります(会計監査人との契約を解除しているような状況にある同社なので、ゴタゴタがあることは予想できるところではありますが)。

常勤監査役と社外監査役の一名(合計2名)が8月下旬の定時株主総会をもって辞任されるそうですが、その理由が「両監査役ともに、取締役の経営方針に対して同意しえない状況が続いており、監査役としての職務の遂行が困難になったため」とのこと。この時点で、私は「ひさしぶりの物言う監査役さんの登場」と思っておりましたが、それだけでは済まず、22日の適時開示のとおり、常勤監査役さんが会社を代表して社長さん、専務さんを訴えるということになったようです。あと1週間ほどで監査役を退任するにもかかわらず、なにゆえ今になって会社を代表して取締役個人の責任追及に出たのでしょうか?

上記開示情報によりますと、常勤監査役さんは、株主からの提訴請求を受けて監査役会で協議をして、その決議によって社長らに損害賠償請求訴訟を提起することになったとのことであります。監査役会は多数決で決議しますので、おそらく3名のうち、今回辞任される2名が「提訴やむなし」とのことで訴訟提起に踏み切ったものと思われます。そして「株主からの提訴請求により」とありますが、常勤監査役さんは昨年の有価証券報告書によりますと同社の株主たる地位にもありますので、自ら提訴請求をして、自ら審議を行ったのではないかと推測されます(これはあくまでも私個人の推測です、念のため)。

社長らの責任を会社が追及するわけですから、株主代表訴訟が提起されたわけではありませんが、会社と役員とで「なれあい訴訟」にならないよう、株主は会社が提起した訴訟に共同訴訟人として参加することができます。おそらくこの常勤監査役さんは、株主たる地位をもって責任追及訴訟の共同訴訟人として参加されることが予想されます。ただし、会社が役員の責任を追及する訴訟における会社と(共同訴訟人たる)株主とは、類似必要的共同訴訟の原告として取り扱われるものと考えられますので、各共同訴訟人の判断で訴訟を取り下げることが可能であります。ということは、新しい監査役が選任された場合、その監査役の判断をもって「社長らには何らの任務懈怠もない」として会社としては、社長らに対する訴訟を取下げることができます(共同訴訟人たる株主は、そのまま訴訟を遂行することができ、その判決の効力は会社にも及ぶ、ということになりますが)。

ただ、ここで問題なのは、いったん株主からの提訴請求を受けた監査役さんが、監査役会の審議を経て「社長や専務には任務懈怠責任あり」と判断した以上、これを取り下げる新任監査役さん方にも、それなりの十分な判断理由が求められることになります。とりわけ当該常勤監査役さんが、監査役会として選任した弁護士の意見に照らして提訴判断を下したような場合にはなおさらではないかと。同じような事案ですが、2010年に細谷化工社の元監査役さんが、同様の場面において、十分な理由も示さずに自分が提起した取締役責任追及訴訟を取り下げた新任監査役さんに対して「善管注意義務違反である」として、株主代表訴訟を提起しました。上記ECI社のケースでも、新任監査役の方々にとっては、自分たちも株主代表訴訟の被告になる、という覚悟をもって臨まねばならないのではないかと推測いたします。

オリンパス事件でもそうですが、第三者委員会が責任判定まで行うようなケースでは、監査役が第三者委員会の判断に沿って、会社を代表して役員の責任を追及することも増えてくると思います。株主が共同訴訟人として参加するケースも出てくるでしょうし、そういったケースにおいて、会社の取締役や監査役が訴訟遂行についてどのような判断を行うべきなのか、今後も悩ましい問題が生じるのかもしれません。もちろんECI社の件については、会社側からみたリーガルリスクという視点から検討したものであり、当該常勤監査役さんとしては、自らの任務懈怠を回避するために訴訟を提起したまでに過ぎない、ということなのかもしれません。しかしこうやって考えますと、監査役には強大な権限が付与されている以上、たった一人の監査役さんでも、一度経営執行部に反旗を翻すような事態となりますと、会社経営に重大な影響を及ぼすほどの内紛劇を演出することができることになりそうです。さて、定時株主総会で選任される予定の3名の新任監査役候補の方々は、いまどのような気持ちでこの適時開示情報を眺めておられるのでしょうか。

8月 24, 2012 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 2日 (木)

会社法改正-監査役監査の実効性確保のための整備事項復活!

(8月2日 追記あり)

本日、法制審議会会社法制部会において、会社法改正要綱案(最終案)が確定したようです。法務省HPに公表されていますが、前のエントリー「監査役の監査環境の整備に関する議論はいずこへ?」で懸念していたことが杞憂に終わったようであり、安心いたしました(注記事項として、監査環境の整備に関する条項、内部統制システムの運用の概要を事業報告に盛り込むことに関する条項が施行規則で整備されるようです)。タイトルでは「復活」と書きましたが、要綱案(第一次案)作成段階では、注記として挿入することが所与の前提だったのかもしれません。。。

社外取締役制度の義務付けについては見送られていますが、以下のような付帯決議がついたのですね。

 1 社外取締役に関する規律については,これまでの議論及び社外取締役の選任に係る現状等に照らし,現時点における対応として,本要綱案に定めるもののほか,金融商品取引所の規則において,上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設ける必要がある。
 2 1の規律の円滑かつ迅速な制定のための金融商品取引所での手続において,関係各界の真摯な協力がされることを要望する。

最近の会社法改正手続きにおいては、取引所ルールの活用問題とも連動していますので、付帯事項2でも述べられているところですが、取引所ルールの改訂が実現する可能性は高いものと思われます。努力義務ではあるものの、取引所の企業行動規範において独立社外取締役の選任に向けた各企業の取組みが「開示規制」ではなく「行為規制」として求められることになります。この取引所ルールの改正が実現した場合、有価証券報告書提出会社においては、会社法改正における開示規制(罰則付き)-当社では社外取締役を選任することが相当でないと判断する理由の開示-とを並べますと、コメント欄でChuckさんがおっしゃるとおり、実質的には義務付けに等しい状況になってくるのではないでしょうかね?そもそも「ウチの会社は社外取締役がいないほうが企業価値が上がる(だから社外取締役は不要なのだ)」と開示することと、独立社外取締役を一人以上確保するよう努力します、といった企業の行動は、果たして矛盾せず両立するものなのでしょうか?

さて、こうなりますと、俄然「監査・監督委員会会社」に移行する会社が出てくることも現実味を帯びてくると思いますので、要綱案の中身をしばらく検討していきたいと思います。

(8月2日 午後追記)今朝の朝日新聞経済面の記事「社外取締役導入促す」は、関係者からの率直な意見が反映さえていて、内容もとてもわかりやすかったと思います。「19年ぶりの規制強化を主体とした会社法改正」「原則、社外取締役を置くべきだとの趣旨。社外取締役がいない会社はつらい制度」という法制審委員の方々のお話や、「(義務付けを)要綱に入れても国会審議で紛糾しかねない」との法務省のホンネなど、興味深いところです。

8月 2, 2012 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月 7日 (火)

監査役は会計監査人の情報をどこまで入手できるのか?

会社法改正に関するネタでございますが、日本公認会計士協会、日本監査役協会とも、会社法改正中間試案に対する意見のなかで、監査役による会計監査人選任権、報酬決定権付与につき、賛成の意見を述べておられます。会計監査人の職務の独立性確保、監査役の権限強化ということで、両協会の意見としては妥当なものと思われます。また、これは昨今の企業不祥事で問題となっております「監査役と会計監査人の連係・協調」を推進するものとしても意義があるものと思われます。

しかし、理念としては賛同するものの、監査役の現実の職務環境に鑑みて、果たして「選任権、報酬決定権」の実効性には疑問が呈されるのではないでしょうか?そもそも選任権にしても、報酬決定権にしても、監査役と会計監査人の対立の構図が予想されなければ絵に描いた餅になってしまいます。「連係と協調」が謳われることは良しとしても、ときには「緊張関係」もあるわけで、その緊張関係が現実化した場合、監査役としては本当に別の監査法人を選任する権利を行使できるのでしょうか。つまり会計監査人選択の自由が監査役に担保されているからこそ、選任権も報酬同意権も活かされるはずです。

たとえば監査人の報酬が高いから他の監査法人に監査を委任したい、監査方針に意見の対立があるため、他の監査法人の監査方針を聞いてみたい、といった気持ちが監査役(会)にあったとしても、現実に監査役会で他の監査法人を探してきて、どこの監査法人がふさわしいのか、決定できるだけの力があるのでしょうか。最近は会計監査人の交代というリリースが開示情報として目にすることが多くなりましたが、現実には経営執行部や総務・財務部門が一生懸命情報を入手して、様々な交渉を重ねることによって変更されているのが実務の現状だと思います。とくに上場会社の場合、会計監査人の空白は許されないわけですから、短時間に監査法人を見つけてくる必要があるわけでして。果たしてその人的・物的資源が監査役に存在するか、といいますとかなりの困難が伴うように思います。しかも会計監査の責任は今後、監査法人と監査役の連帯責任、という流れが強まるなかで、監査人選任の決定権が監査役にあるとなりますと、その選定の根拠も明確にしておかねばならない、ということになり、監査役にとってキビシイ事態も予想されます。

オピニオンショッピングではありませんが、監査法人を自由に選択できるだけの情報を監査役が入手できるのかどうか、その環境が整わなければ、会社法が改正されたとしても、結局はいままでどおり経営執行部が監査法人を選定し、その報酬も実質的に決めてしまって、形だけ監査役が関与する、ということになってしまうような気がしております。現在でも、監査法人の内部統制を監査役が審査する・・・というのが実務ですが、実際にはほとんどが監査法人が作成したペーパーを確認するだけの形骸化したものになっているのではないでしょうか。財務会計的知見を有する社外監査役の存在もこれまで以上に要請されてくるのではないかと。ともかく「会計監査人は監査役が決めたことだから」として、会計監査上の法的責任だけが監査役に厳しくのしかかる・・・・・という風潮だけは避けていただきたい、と思います。

PS 活字フェチ弁護士さんのブログで知りましたが、ISSの議決権行使ポリシー(2月1日施行)が変更され、日本企業に対する議決権行使助言の態度がずいぶんと厳しいものになっておりますね。外国人株主が多い上場会社の社外監査役さんは、ちょっと理解しておいたほうがよろしいのではないかと。

2月 7, 2012 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年9月10日 (金)

監査役スタッフ全国会議で講演させていただきました!(感謝!)

前から監査役スタッフ(会社法上は「監査役補助使用人」←会社法施行規則100条3項1号)の方々とお会いする機会がもてれば・・・と思っておりましたところ、やっと念願かなって第32回監査役スタッフ全国会議(日本監査役協会主催)で講演をさせていただきました。(場所は神戸ポートピアホテルの大ホール)

タイトルは「監査役スタッフのベストプラクティスとは?」というものでして、監査役監査の実効性を向上させるための監査役補助者のあるべき姿について考える・・・というものであります。全国から1泊2日でお越しになった約600名ほどの監査役スタッフさんの前でお話いたしましたが、最初の5分ほどは「はりきりすぎて」レジメと話している内容とがうまくかみ合いませんでした。正直、スベリました(^^;; その後は、なんとか持ち直しまして、とりあえず監査役スタッフの方々にお話したいことの8割くらいは伝えることができたかなぁと思っております。最近はIR書類に示されている「コーポレートガバナンス概要図」のなかに「監査役室」なるロゴが挿入されている大手上場会社さんもあり、監査役スタッフの重要性を認識しておられる企業も増えていることに嬉しくなりました。

懇親会では、当ブログで「不祥事企業」として登場する企業の方ほど、ご挨拶に来られるのが早かった(^^;; 「先生、ブログに掲載された日は社内でたいへんでしたよ!」「あのリリースに登場するMは不肖、私です(笑)」などなど、ここでは書けないような内容のお話もたくさんお聞きして盛り上がりました。

先日の長浜合宿での新任監査役さんに続き、またまた「核心に迫る質問をさせていただきたく」今回も懇親会の最後まで、多くの監査役スタッフの方とお話させていただきました。私が監査役スタッフの方にどうしてもお聞きしたかったことは「監査役スタッフとキャリアパス」の問題であります。法の理想からいえば、監査役スタッフさんは(とくに専任スタッフの場合)、監査役(監査役会)が人選を行い、その人事評価も監査役が行うというものであります。監査役は執行部を監視監督するために、独立した地位にあるわけですから、これを補助する監査役スタッフの方々の職務の独立性を確保するためには監査役さんがスタッフを選び、その人事評価も行うことが不可欠のように思えます。

しかし実際のところ、監査役スタッフに選任される方々は、長い社内の人事昇級制度のなかで、「たまたま監査役スタッフになっちゃった」方がほとんどであります。もし監査役さんが人選して、その評価も監査役さんが行う、ということになりますと、「あれ?俺って、もうエリートコースからはずれてしまったんじゃないの?」「人事から評価されない立場って、もうこれからの私のキャリアプランはどうなっちゃうの?」といった不安を抱くのが当然ではないでしょうか。「法の理想と現実とのギャップ」が一番噴出してしまう場面ではないかと想像いたします。そこで、そもそも会社において「監査役スタッフ」というものがキャリアプランのなかで確立しているのかどうか、確立していないとしたら、いったい監査役スタッフは執行部へ戻ったとしても、それほど社内昇格において不利に働かないのか・・・・・というあたりを、ぜひとも知りたいと思った次第であります。

結論としましては、監査役がスタッフの人選を行うということはほとんどなく、人事評価につきましては、人事部が行う、というところが多かったものの、いちおう形式的にせよ監査役が行う(もしくは監査役が評価手続きに関与する)、というところもございました。また、キャリアパスにつきましては、ある傾向がみられるものの(この傾向につきましては、別途お話させていただきます)、企業規模や専任スタッフの数の多少、配属時の年齢等によって様々でありまして、とくに監査役スタッフなる職歴がキャリアパスとして不利な立場にあるわけではない、ということが理解できました。実際、人事部、経営企画室、総務、財務、経理、法務など、いろいろな部署から監査役スタッフに配属されているわけで、なかには技術部門からお越しの方もおられます。要は経営陣が、監査役自身に不足しているところを補えるよう、監査の充実に配慮して人選しているケースが多いようでして、会社側としてはまじめに経営の向上に向けて尽力していることがうかがわれました。また監査役を補佐することで、社内の全社リスクを概観し、管理能力を向上させる、という会社の意思をけっこう明確にされている企業もあるようです。(でもなんで俺が??といった不満を漏らしておられた方もいらっしゃいましたが・・・)

お昼は監査役協会の会長さんとご一緒させていただき、法制審議会会社法制部会や経産省企業統治研究会の雰囲気についてお聞かせいただきました。当ブログを初期からお読みいただいている愛知県の某自動車関連会社の監査役室の方ともひさしぶりにお会いできました。ひとつだけ悔いが残ったのは、女性の監査役スタッフの方が多数お見えになっていたにもかかわらず、企画責任者の方を除き、ほとんど名刺交換できなかったこと。。。泣  監査役スタッフの皆様、こちらもたいへん勉強になりました。(ありがとうございます。m(__)m)明日は法制審委員の著名な学者の方の講演で締めくくりですね。私もいちおうレジメだけもらって帰りました。どうかあと1日、頑張ってください。

9月 10, 2010 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年5月26日 (水)

これも「監査役の乱」?(社外監査役が解任される・・・の巻)

つい先日、監査役(監査役会)が会計監査人を解任した・・・という事例をご紹介いたしましたが(結構反響がありましたです。。。)、今日は社外監査役が解任される(解任議案を定時株主総会に上程される)というお話。昨日(5月24日)のシルバー精工社(東証一部)のリリースによりますと、弁護士資格をお持ちの社外監査役さんについて、取締役の職務執行に関する透明性、合理性についての業務監査が十分でないことから、監査役としての適格性を欠いているもの認識し、当該社外監査役を解任することの議案を上程する、とのことであります。シルバー精工社独自のお家事情等もあるでしょうし、他の役員の方々にもかなり異動があったようですから、先日の会計監査人解任事案と同じく、当該具体的事例について軽々に論じることはできません。しかし「辞任」ではなく「解任」となりますと、やはり監査役さんの方にも納得できない諸事情があるのでしょうから、これもやはり「監査役の有事」のひとつに含まれることになりそうであります。(ちなみに、他のおふたりの監査役の方々は「辞任」ということのようです。)

以前トライアイズ社の件でも書きましたが、監査役が解任されるのは株主総会の特別決議が必要です。しかし、とくに正当な理由が必要となるものでもなく、一応何らかの理由があって、特別決議の要件が満たされれば解任されることになります。もちろん解任が上程された定時株主総会において、当該監査役さんは意見陳述の機会が付与されるわけですが、上場会社の場合、議決権行使書面の提出に対しては無力であります。書面投票制度を用いる株主総会の運営においては、招集通知にあたり事前に株主に対して参考書類を交付する必要があり(会社法301条1項)、会社法施行規則80条のとおり、参考書類には解任理由を記載することになりますが、後日解任決議の取消事由にならない程度のほぼ抽象的な表現が用いられることが多いものと思われます。また、平成21年会社法政省令改正によって参考書類の各議案には「提案理由」の記載が必須となりましたが、解任議案では元々「解任理由」の記載が求められていたので、とくに別途「提案理由」は不要と思われます。また、解任議案について監査役の意見があるときは、その意見内容の「概要」が記載されることになりますが、ここでも「概要」ですから、監査役さんの意見がそのまま参考書類に記載されるわけではありません。

このようなことから、監査役の思いが一般株主に伝わることがなかなか困難であるというのが正直な印象であります。「○○氏は監査役として不適格」と言われて、とても悔しい思いをする社外監査役さんとしては、「監査役の乱」を起こしても株主総会で屈辱的な思いを味わうだけに終わってしまうのでしょうか。トライアイズ社の元監査役の方のように、自らWEBページを立ち上げて直接株主に語りかけて、自らの意見を情報開示する、という手法に出なければ、解任議案への反論を実質的に試みることができないように思います。

しかし今回の件がトライアイズ社の件と異なるのは、監査役3名が同時に退任する可能性がある、ということであります。つまり他のお二人の監査役は辞任され、そして当該社外監査役の方は解任議案が上程される、ということですので、この様子(社内事情)からすれば(たいへん失礼ですが)他のおふたりも監査役として不適切であったということなのか、あるいは「不適切」という理由が本当なのか(辞任を要請したにもかかわらず、あくまでも辞任を承服しなかったために、やむをえず経営陣としては解任の手段に出たのか)疑問が残る、ということであります。私は監査役の有事にあたり、他の監査役と対立関係にあるのか、監査役間で協調関係が保たれているのかは非常に大きな差があるものと思います。先週、東京のある場所で金融庁ガバナンス連絡会議のメンバーでもいらっしゃるある方(複数の上場会社の社外取締役を務めておられます)と1時間半ほどガバナンスに関する意見交換をさせていただきましたが

社外取締役の人数は、その数の二乗分の勢力を持つ

というご意見に全く同感でありました。つまり、取締役会に1人の社外取締役がいるのと、2人いるのとでは4倍ほどの勢力の差があり、3人いれば9倍程度の勢力差になる、というわけです。ちなみに牛島弁護士の新刊書「利益相反(コンフリクト)」では、社長が安心できそうな知人3名を社外取締役に迎えいれますが、これも3名だからこそ、お世話になってきた社長を裏切るような行動に出ることができるのであります。

これは以前、私がある「監査役の乱」に関与した事案での経験からでありますが、監査役会として経営陣と対峙した場合には、相当に監査役らの影響力は強く、監査役らの意見を取り上げざるをえない場合が多いかと思われます。(この場合には社外からは、社内で何があったのかは窺い知ることはできないです)そこで、経営陣の常とう手段としては、監査役ひとりひとりに圧力を加え、監査役会としての結束を弱めることが最も効果的であります。結局「監査役の乱」の中心人物だけが孤立してしまう、というパターンであります。監査役は独任制の機関である、というのが法のタテマエではありますが、現実には監査役ですら、共同戦線がなければ無力に等しい・・・というのが監査役の有事対応の原則ではないかと思います。

あくまでも(私が解任議案を出された場合・・・というように)一般論でありますが、今回のように同時期に退任が予定されるような監査役さんがいらっしゃるのであれば、株主総会では、それぞれの事情について、株主総会で意見を開示することが可能です。たとえば当該社外監査役の方は、おふたりが辞任に至った事情を述べることもできますし、また辞任される監査役さんも、当該社外監査役解任に関して意見を述べることができます。本当に業務監査の能力に欠け、監査役として不適格だったのかどうか、他の監視役の意見も聞いてみたいところですし、後日の損害賠償請求や解任決議取消の訴え等、法的手段に出るための「証拠作り」のためにも、辞任される監査役さん方のご意見をお聞かせ願えるようであれば、「監査役の乱」も無力とはいえないような状況が残るのではないかと思われます。

5月 26, 2010 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2010年5月16日 (日)

監査役の有事対応(監査法人を解任する・・・の巻)

(追記:本事件については、いくつかのブログでも取り上げられており、また有識者の方よりメールなども頂戴しておりますので、若干追記いたしました。)

いつも拝見している武田先生(会計士)のブログで知りましたが、TLホールディングスさん(大証ヘラ)が、スゴいリリースを出しておられます。同社は 1Qの四半期報告書提出遅延および監理銘柄指定のお知らせ のなかで、当四半期報告書の提出遅延理由を述べておられますが、同社の監査を担当されていたS監査法人の会計監査がひどすぎて話にならないから解任しました、本日一時会計監査人にG監査法人を選任しました、いまG監査法人による監査が未了のため、報告書の提出をやむをえず遅延します、とのこと。また、会計監査人異動に関するリリースのなかでも、同様のことが述べられておりますが、S監査法人からはとくに意見はないとの回答を得た、とあります。つまり、ここだけ読むと、四半期報告書の提出遅延の責任は、会計監査人の対応が悪かったためだ、監査法人は何ら反論もしないので、自らの責任を認めているのだ・・・ということになりそうであります。会計監査人たる監査法人さんが、ここまでボロクソに被監査企業から指摘されたリリースは、これまであまり記憶にありません。「辞任」ではなく「解任」ですから、これはよほどのことが両者間にあったのではないかと推察されます。

追記:小石川経理研究所さんのブログで知りましたが、平成17年5月にヤオコー社(東証1部)において監査役会が監査法人を解任した事例があるそうです。会計監査人の変更に関する補足について  なお、このヤオコーさんの事例をみると、監査法人の指摘事項と、それに対する自社の見解が書かれており、相当程度は対立点が明らかにされております。

会計監査人たる地位の解任のほかに、金商法監査に関するS監査法人の地位はどのような手続きで解任されたのだろうか・・・といった問題など、TL社のリリースからは、いくつか手続き上の疑問も残るところでありますが、ともかく監査役が会計監査人を解任する、というめずらしい事案であります。(ちなみに会計監査人の解任には監査役全員の同意による監査役会決議が必要であります-下記条文を参照)本来、ご承知のとおり会社法上の会計監査人は株主総会で選任され、また解任されるのでありますが、会社法340条1項所定の事由があれば監査役が会計監査人を解任することが可能であります。

(監査役等による会計監査人の解任)
第340条  監査役は、会計監査人が次のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
   一  職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
   二  会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。
   三  心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
2  前項の規定による解任は、監査役が二人以上ある場合には、監査役の全員の同意によって行わなければならない。
3  第一項の規定により会計監査人を解任したときは、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)は、その旨及び解任の理由を解任後最初に招集される株主総会に報告しなければならない。
4  監査役会設置会社における前三項の規定の適用については、第一項中「監査役」とあるのは「監査役会」と、第二項中「監査役が二人以上ある場合には、監査役」とあるのは「監査役」と、前項中「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、監査役の互選によって定めた監査役)」とあるのは「監査役会が選定した監査役」とする。
(以下省略)

条文を読む限りでは、個人としての公認会計士ではなく、監査法人に適用されるのは同1項1号、つまり「職務上の義務に違反し、または職務を怠ったとき」に該当する場合であります。これらの事由に該当せず、会計監査人の解任が無効とされた場合の法律効果については法律学者の間でも意見が分かれているところでありますが、いずれにしましても「監査役が会計監査人を解任するのはよほどのこと」ですから、おそらく会計監査人の解任事由は厳格な認定のもとでなされる必要があり、解任権を持つ監査役としても、非常に難しい判断を迫られる場面であります。とくに金商法監査と会社法監査はいちおう区別されるべきものではありますが、同一の監査法人が担当するのが実務であり、会計監査人の独立性が要請される昨今の状況では、解任事由が認められるケースというのはかなり制限されるのではないでしょうか。(監査役としては、実際には取締役らとの協議がもたれることになると思いますが)

本日は、この会社法340条に関連する法律論のお話(および監査契約を解除した場合の法律問題など)は省略いたしますが、このように会社側から「おたくの監査法人は、職務上の義務に違反し、任務懈怠があったからクビだ」と言われて、監査法人さんのほうは果たして何も言い返さなくてもよろしいのでしょうか?職務上の懈怠があったと言われて、黙っていて株主代表訴訟のリスク(会社法847条1項、同423条1項)は負わないのでしょうか?辞任ということであれば、なんとなく守秘義務への配慮ということも考えられるのですが、ここではあくまでもS監査法人さんは自ら辞めることはなかったので、解任という結果となったはずです。それであれば、(会社側リリースの内容からも推察されるとおり)当然に反論したいこともたくさんあるとは思うのですが、果たして適時開示ではなく、法定開示(臨時報告書)のなかで、反論は出るのでしょうか。(しかし大阪証券取引所適時開示規則第2条第1項第1号ae該当例などをみても、開示府令第19条第2項9号記載事由とはあまり変わらないように思われますので、臨時報告書もほぼ同様の開示がなされるような感じですが)

たとえばこのS監査法人さんは、HPの法人概要などからみても、50法人以上の法定監査を担当されていらっしゃいます。金商法監査を担当されている株式会社も10社以上あるようですから、他の被監査企業やその株主から「なんだあの監査法人は」といった目でみられることはないのでしょうか?私は単に野次馬的な立場ですから、勝手な物言いで恐縮ですが、こういった場合こそ、監査法人さんは守秘義務が解除される正当な理由があって、被監査企業の株主や投資者のためにも、何らかの情報開示が必要になってくるのではないか、と思うのでありますが、いかがなものなのでしょうか?ちなみに、大証さんは、おそらく既にS監査法人さんや当該企業さんに事実関係の調査を始めておられるのでしょうね。

追記:なお、有識者の方より、会計監査人異動時における意見表明についての統計的な数値を紹介した記事を教えていただきました。(Lotas21の記事はこちら)やはり今回も、監査法人さんは「大人の対応」といいますか、(ターナーさんが指摘されているように)自ら被監査企業に対して引導を渡したくない、との配慮が働いているのでしょうか。しかし、会計監査人異動時における臨時報告書等の開示事項の改訂は、まさに今回のようなことで、株主や投資家が困惑するであろうことを想定しているのであり、本件でも何ら監査法人さんからの意見表明がないということになりますと、結局「会計監査人の制度改正は、どんなに整備しても適切な運用は期待できない」ということで、今後の会計監査人制度の改正に関する協議にも影響が出てくるように思われますが、どうなんでしょうか。(金商法193条の3による監査証明業務における不正届出制度などの運用実績などについても、同様のことが言えると思いますが)

5月 16, 2010 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (8) | トラックバック (0)

2009年11月28日 (土)

監査役は辞任すれば免責されるのだろうか?

ここのところ連日のように重要な意義を有する最高裁判決が出ております。昨日(11月26日)は行政官(厚生省女性局長)ご出身の裁判長のもと、条例に対する取消訴訟が認められ、「紛争の成熟性」と「法の保護する利益(原告適格)」が最高裁において柔軟に判断される方向性が明らかになりました。

そして本日(11月27日)もまた、会社法上のコーポレート・ガバナンスに重要な意義を有する(と思われる)最高裁逆転判決が第二小法廷から出されております。(全文はこちら)監事監査については、私も不案内ではありますので、勘違いがございましたら指摘していただきたいのでありますが、おそらく農協の監事さんは、株式会社における監査役とほぼ同様の立場にあるものと思いますので、この最高裁判決の考え方は株式会社における監査役の任務懈怠に関する判断にも大きな影響を与えるのではないでしょうか?(金融機関の役員たる地位にあるため、経営判断原則の適用については厳格に解する場面もあろうかとは思いますが、ここではとくに金融機関の役員たる地位にあることは、あまり結論を左右する要素ではないものと思われます。また、「監事の忠実義務」が明文化されておりますが、監事の善管注意義務との関係では、あまり固有の意味があるものではないと思われます。)

小さな協同組合における監査慣行が存在していたとしても、監事は法律上、理事の職務執行の適法性を監査し、おかしなところがあれば理事会に報告し、さらに自ら調査を行い、理事の違法行為を差し止めることもできるのであるから、単に監査慣行に従っていればよいというわけではない、もし理事の職務において「善管注意義務違反が疑われることが明白な場合には」これを調査し、場合によっては義務違反行為を阻止するべきであり、これを怠った場合には監事に忠実義務違反(善管注意義務違反)の「任務懈怠」責任が発生する、という内容であります。

つまり、監査役は、目の前に取締役の善管注意義務違反が疑われるに十分な事態があれば、取締役会に出席して、当該取締役の職務には疑義があることを述べ、必要があれば自ら調査・確認する義務がある、そしてもし、この義務履行を怠った場合には損害賠償責任を負う、ということになりそうです。ここでは非常勤監事の任務懈怠が問題となっておりますが、常勤監査役のケースにおいても、基本的には「取締役の職務執行が善管注意義務違反の疑義を抱かせる明白な事情が存在していたかどうか、というあたりが検討すべき点であります。もし、監査役の業務監査において、その調査や報告受領により、取締役の職務執行の問題点を発見した場合には、自らの責任を免れるために「辞任」という道を選択して済む問題ではない、ということが結論としては言えそうな気がいたします。

今後、法律雑誌等で紹介されるかもしれませんが、監査役が業務監査上の任務懈怠として法的責任を負うためのメルクマールを(抽象的にでも)定立する判例として、たいへん貴重な判決となるのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。

11月 28, 2009 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (11) | トラックバック (0)

2009年9月22日 (火)

監査役の「常勤性」に関するビミョーな問題(監査役の乱?)

連休明けの金曜日(9月25日)、ひそかに注目している定時株主総会が開催されます。マニアックに商事法務さんのメールマガジンをチェックしていらっしゃる方ならばご承知かもしれませんが、ビューティ花壇社(東証マザーズ、以下「B花壇」といいます)の株主総会における株主提案権の行方がたいへん気になっております。 花卉(かき)業は、このところ景気の波に押されて業績悪化のところが多いと聞いておりますが、唯一、婚礼や葬儀などの分野では利益が厚く今後の生花の伸びも期待できる、ということで今後の業績が期待できる会社のように思われます。現在、B花壇社のガバナンスは取締役3名、監査役3名(監査役会設置会社)体制でありますが、昨年の総会で退任された創業者(大株主)のA氏が(1)A氏自身を含む取締役2名追加選任の件、(2)今総会で退任予定の2名の監査役の再任の件を株主提案しており、現執行部はこれに猛反対、ということだそうであります。大株主(創業者であるA氏)側は、親族を含めますと42%の議決権を有しておりまして、昨年のB花壇社の総会実績(議決権行使状況)からみますと、もし昨年同様の総会出席者数と仮定しますと創業者側が過半数を握ることになりそうですし、さらに別の大株主の方(元常務)の動向もかなり現執行部には苦しいのではないか、という状況でありますので※1、今後の経営支配権の行方はかなり微妙なところではないでしょうか。B花壇社のヤフー板などを拝見しますと、この9月15日から17日ころにかけて、双方から一般株主宛てに意見書が送られている模様でして、いよいよバトルが本格化しているようであります。

※1 B花壇社はたいへんIRに熱心な会社のようで、昨年の株主総会における株主からの質問と、会社側回答の要旨が閲覧できます。元常務の方は、この株主総会に欠席されていたようでして、このことからの推測であります。

私は現執行部にも、また創業者側にも中立公平な立場でありますので、どちらかに肩入れする気持ちはまったくございませんが、監査役という職務に関心のある者として、このB花壇社の株主総会で非常に注目されるのは、退任予定のおふたりの監査役さんの後任が決まらないおそれがある、ということであります。会社側リリースを読みますと、会社は新しい事業展開をはかろうとしたところ、ことごとく現監査役のおふたりに妨害された、これでは適切な経営ができないと判断して、新たに弁護士(48歳)と公認会計士(38歳)に社外監査役として就任してもらう予定であった、ところが監査役の選任議案については監査役会の同意が必要であるところ、このお二人の監査役さんは、株主提案として自分たちの再任議案が上程される予定であり、自分たちはこれを受諾する予定である、そしてそのような立場にある以上は、新任監査役の選任議案に立場上同意はできない、として多数決(2対1)により、監査役会の同意が得られなかったそうであります。つまり退任する監査役に代わる新たな監査役さんの選任議案を上程できない、といった珍しいケースとなったわけであります。※2(これもやっぱり監査役の乱と呼ぶべきなんでしょうね・・・)そして、もし大株主側(A氏)の提案しているお二人の監査役再任議案が否決された場合には、結局監査役会設置会社において必要な監査役の人数(3名)が欠けることになりますので、会社側としては一時監査役選任を裁判所に申し立てる事態になってしまいます※3。(補欠監査役さんの任期も、この定時総会終了時までですので、こちらも役に立たないことになってしまいます)

※2 新たな監査役を選任する場合、監査役会は、その選任手続きに関与することができます。

※3 なお、一時的に監査役の法定員数が欠ける場合には、それが監査役の退任によるものであっても、退任監査役は(たとえば仮監査役選任に至るまで)監査役としての権利を有し義務を負うものであります(いわゆる権利義務監査役)。

会社側の株主提案に対する反対意見の中身(監査役2名は私利私欲のために選任議案に反対しているので、これは許されない・・・・とか、現執行部は若返りをはかったのだから、72歳の監査役が2名就任していることは経営のスピードを欠く・・・など)につきましては、この会社のこれまでの経営状況を詳細に知らなければコメントはできないものと思っております。(本当は自説を述べたいのでありますが、ちょっと差し控えさせていただきます)ただ、ちょっと私が気になりましたのが、会社法上も少し漠然としていて微妙な問題が横たわっている(と思える)監査役さんの「常勤性」に関する点であります。B花壇社は、昨年の総会で経営陣の若返りを図ると同時に、監査役として1名、IPO(新規株式公開)コンサルティング会社の代表取締役のC氏(40代前半の方)に就任してもらい、そのまま常勤監査役となっておられます。つまり今回退任される監査役の1名の方に代わってC氏は昨年B花壇社の「常勤」監査役に選任されたものであります。ところで、今回会社が監査役選任議案において候補とされていた弁護士の方と会計士の方につきましては、まちがいなく「非常勤社外監査役」として就任予定だったものと思われますので、このコンサルタント会社の社長でいらっしゃるC氏はそのまま常勤社外監査役として就任される予定だったものと思われます。

しかし、この常勤社外監査役の方は、バリバリのIPOコンサルティング会社(2社)の代表取締役を務めていらっしゃるうえに、さらに別の3社の非常勤監査役も兼務されていらっしゃる、ということで、その職務内容は本当に「常勤監査役」なのでしょうか?ちなみに、江頭「株式会社法(第2版)」485頁によりますと、常勤監査役(会社法390条3項)とは、他に常勤の仕事がなく、会社の営業時間中原則としてその会社の監査役の職務に専念する者である、とされております。もちろん、「常勤性」に反する勤務形態の常勤監査役さんがいらっしゃったとしても、監査行為自体の有効性には影響することはなく、ただ監査役の善管注意義務違反の問題が生じるだけであります(上記江頭485頁)が、やはり法令違反の問題は生じうることになりますし、そもそも監査役の職務というのは、実質的な常勤監査役さんがいらっしゃらない状態で公開会社における一般株主から委託された趣旨を全うできるものなのでしょうか?たしかに会社法における事業報告の記載内容からすれば、他社役員が社外監査役を兼務することは当然に認められているところでありますので、その旨きちんと開示されていれば問題はなさそうにも思われます。しかし、それは通常、非常勤監査役の兼務に関するものであり、「常勤監査役」が他社の代表取締役やグループ外の複数の監査役を兼務する・・・ということは通常考えられるところなのでしょうか?フルタイムを常勤監査役に努める会社で過ごすのであれば、むしろ代表者をしている会社の業務について、クライアントから専心義務違反を問われることはないのでしょうか?私はB花壇社の監査役さん方の職務内容を十分に認識しているわけではございませんが、もし今後、純粋な非常勤社外監査役さんを2名選任するような事態となる場合、この「常勤性」に関する株主への説明責任はきちんと尽くすべきではないかと思います。いずれにせよ、連休明けの24日時点での議決権行使書面のとりまとめによって、ほぼ総会の行方(株主提案の可否)は判明するのでしょうね。

9月 22, 2009 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2009年8月26日 (水)

監査役に対する責任追及訴訟(レックス事件)

最近、「監査役の有事対応」のひとつとして、監査役が法的な責任を追及される事件が増えておりますが、またまたレックスHDのMBOに関連する事件におきまして、当時のレックスHD社の監査役に対する損害賠償の訴えが提起されたようであります。(フジサンケイビジネスアイの記事はこちら)ネットニュースの報道内容以外に事実の詳細は不明でありますが、先日話題となりました価格決定申立事件(非訟事件)におきまして、レックスHD社のTOB価格(23万円)よりも10万円ほど高い価格が株式買取の「公正価格」と判断された(最高裁で確定した)ことから、このたびは公開買付会社が提示した価格でTOBに応じたり、第三者へ売却してしまったレックス社の元株主ら(104名だそうです)がレックス社の当時の取締役、監査役を相手として、不当に安い値段のTOBによって損害を被ったとして、その賠償を求める訴訟を提起した、とのこと。

この訴訟についてはいろいろとご意見もあるかもしれませんが、私的には価格決定申立事件とほぼ同じ、いやひょっとするともっと重要な意味を持つ訴訟になるのではないか、と考えております。そもそも一般の株主が公開買付会社によるTOBに応じるか否かは原則として自己責任であり、TOBに応じることに納得がいかない株主には、最終的に(どのような価格が公正か、といった協議もしくは裁判の結果に対するリスクを負いつつ)株式買取請求権を行使する道が確保されている、ということであります。しかしながら、この「自己責任」というものも、株主が自己責任を負うのが当然といえるほどの「会社側からの情報開示」がなされていることが当然の前提でありますので、適時適切な情報開示が不足しているような場合には自己責任を問いえないのではないか?と考えられるわけであります。先の株式価格決定申立て事件では、東京高裁が(会社側からの)情報開示の不備を、非訟事件特有の「裁判所による価格決定」のプロセスと結びつけることによって会社側に不利な事情として斟酌しましたが、今回はモロに「株主に対する不法行為」(本来開示すべき情報を開示しなかったことを不法行為と構成するのでしょうか?)として開示違反を構成しているところが注目すべきところかと思われます。

あまり事件内容に深入りすることはルール違反と思いますので、これ以上は申し上げませんが、損害賠償請求の対象となった監査役さんの法的責任を議論するにあたっては、問題を少し整理する必要があるのではないでしょうか。要は監査役の善管注意義務違反もしくは注意義務違反(不法行為責任のケース)を基礎付けるものは何か?ということでありますが、ひとつはTOB価格の相当性に対する監査役の「適法性監査」の問題であり(そもそも監査役はTOB価格の妥当性について監査する権限はあるのか、あるとしても、どの程度に著しく不当である場合に適法性を欠くといえるのか)、もうひとつは法定開示もしくは適時開示の適法性に関する監査の問題であります。後者は株主に対する(会社法上の)監査報告の問題ではなく、上場会社の金商法もしくは取引所ルールにおける開示の適切性が問題となっておりますので、取締役の業務執行(投資家や株主に対する開示行為はそもそも取締役による業務執行です)の適法性監査の問題になろうかと思われます。これらを厳密に分けて検討することが必要だと思われます。

前者についてはMBOが「構造的利益相反行為」に該当するものであり、取締役による利益相反取引が行われやすい状況において、監査役がどこまで実質的なMBO価格の妥当性に踏み込んで監査役意見を述べるべきか、といったあたりが議論されるところかと思います。また後者の開示プロセスの適法性監査の観点からは、レックスHD社を対象会社とするTOBが開始された時期は、2006年12月施行にかかる改正金商法の適用直前の時期であったかと記憶しておりますが(まちがっておりましたらご指摘いただければと)、たとえ改正金商法適用後であっても、たとえば公開買付会社が依拠した第三者評価書面の開示は法的に要求されていたとしても、対象会社が賛同するか否かを決するための(自己が依拠すべき)第三者評価書面の開示までは要求されていなかったのでありまして、この金商法の趣旨をどう捉えるか、といったあたりが議論されるのではないでしょうか。いろいろと書きたいことがございますが、とりあえず「監査役とMBO」という非常に興味深い論点が提示された裁判でありますので、今後注目していきたいと思っております。とりいそぎ速報版のみにて失礼いたします。

8月 26, 2009 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2007年7月22日 (日)

監査役の権限強化は第2のJ-SOXとなるか?

(日曜午前 追記あります)

監査役サポーターさんも思わず唸った・・・という土曜日日経一面記事でありますが、私もかなり驚いております。法制審議会を経て、早ければ来年の臨時国会に会社法改正案が提出され、監査法人(公認会計士)さんの選任権および報酬決定権を監査役固有の権限とする、といった内容になる模様であります。先日の監査法人改革の際にも、金融庁サイドでは監査制度に内在する矛盾(監査される者が監査法人の選任権や報酬決定権限を有しているのであれば、厳正な監査は制度的になしえない・・・といった「ねじれ現象」のこと)を解消するために、会社法を改正して独立性を有する監査役へそれらの権限を移すべきである、との意見が出されておりましが、まぁ、現実の監査役のあり方からみて、法務省が監査法人の独立性強化のために監査役制度を改正することは当分ないだろう、と思っておりましたので、「これはひょっとして米国SOX法301条の到来か?」(ちょっと大袈裟ですが・・・)と、この日経朝刊の見出しをみて、ちょっとビックリした次第であります。(ただし「日興上場廃止へ」のときも、「内部統制ルール実質緩和」のときもたしか大見出しの一面記事だったはずでして、このエントリーもなにげにおそるおそる・・・といったトーンになってしまいますが)

本当にこういった制度改革が実現するとなりますと、とても短いエントリーでは書けないほどの多くの論点があると思っておりますが、私自身の第一印象の感想としましては以下の2点であります。ひとつはそろそろ管理行為(注 会社の活動自体を収益獲得行為と管理行為に分類した場合の管理行為のことを指しております)の一貫としての「監査役制度」といったものが上場企業に出来上がってもいいのではないか、というものであります。大企業の場合であれば、それこそ監査役事務局の体制も整備され、外部専門家を監査役自身が選任できるようなところもあるかもしれませんが、それはほんの一握りの企業に過ぎないと思っております。一昨日の村上ファンド事件の東京地裁判決のなかで、裁判所はMACの監査役が村上氏に対して、アクティビストとしての活動と、投資顧問業としての活動とは(インサイダー取引や利益供与禁止規定違反などに触れるリスクが高まることを回避するために)分断すべきである、との意見を述べていたにもかかわらず、(村上氏は)これを聞き入れなかったことをたいへん重要視しております。監査役の存在というものが、あまり明るみに出ないことが多いなかで、このように経済刑法が問題とされている裁判例として、監査役の社内における意見陳述の事実を大きく採り上げられたところはたいへん新鮮に感じました。チャイニーズウォールが敷かれているかとか、アームズレングス・ルールが取引上で守られているか等、おそらく今後の上場企業の業務監査においては、とりわけ監督責任を果たせるプロの監査役が必要ではないかと考えておりますし、たとえば会計監査の部分においては、監査法人と連携協調して不正監査を防止していけるかどうか、といったところも重要なプロとしての要素だと思われますので、監査法人の選任権や報酬決定権の保持といったところも、「プロの監査役」が期待されている制度改革の一部分であると考えております。

もうひとつの感想は、「これまでの監査役の権限強化の歴史と、今回とはどこが違うの?どんなに変更してもなにも変わらないのでは?」といった問いに対する答えであります。これまでの1974年以降の監査役制度の変遷は、会社不祥事が社会問題となるたびに生じたものでありますので、このたびも「会計不正への対応」という点では同じようにも思われます。しかしながらこのたびはコーポレート・ガバナンスに関する世界的潮流(ガバナンスは企業パフォーマンスに影響を与える)に合わせての監査役制度改正という面も大きいのではないでしょうか。※1 ガバナンスに対する社内、社外からの「評価」というものを気にしないわけにはいかない時代になりつつあると思いますし、不祥事対策も「不正者への責任追及」から「プロセスチェック(リスク管理)による未然防止」へといった傾向にありますので、監査役会の構成(たとえば、財務専門家の監査役が存在するか)とか、監査役スタッフの構成(常勤監査役の周囲のスタッフはどうか、外部専門家によるサポートはどうか)など、いわゆる「プロとしての監査役制度が整っているかどうか」が、企業価値そのものへの評価のひとつになる時代が来るのではないか、と考えております。したがいまして、会社法や規則が改正されれば完結するものではなく、証券取引所規則によって、あるべき監査役制度の構成とか、その開示方法を提示したり、監査法人側からはあるべき連携協調のためのシステムが提案されたり、いろいろな民間レベルでのルール作りのなかで、監査役制度のあり方が模索されていくのではないかと思います。今回(もし本当に法改正があるのでしたら)の監査役権限強化への法改正が、そういった流れになる「きっかけ」となれば、これまでの「不祥事防止対策」とは少し違った「監査役制度の変遷」になるのでは・・・と期待をしております。(それにしましても、最近よく話題になります「公開会社法制定への動き」との関係はどうなるんでしょうかね?)

※1 7月20日まで、35回にわたって日経新聞に「新時代の企業統治」といった「やさしい経済学」が連載されておりました。こちらでも、企業統治の評価と企業パフォーマンスの関係がひとつの論点として採り上げられておりました。

(追記)メールにて、監査役制度が会社の「管理行為」とは、そもそも不適切な陳述である・・とのご意見をいただきました。もちろん私は「執行機関に管理されている」という意味で使っているものではありませんが、誤解を招くおそれがありますので、注記を付加いたしました。ただし本文で述べておりますとおり、最近のガバナンスの問題が業績や株価に影響を与える、といったことを前提といたしますと、厳密に収益獲得と管理行為を分けることができるかどうかは異論もありかもしれませんが。

7月 22, 2007 監査役の権限強化と会社法改正 | | コメント (12) | トラックバック (0)