2008年10月18日 (土)

NOVA被害対策弁護団、複数の監査法人を提訴へ

(18日午後;追記あり)

本日は岡山にて、日本内部監査協会と岡山大学による共同セミナーの基調講演をさせていただきました。260名程度の方が参加され、盛況だったようです。(こちらのセミナーです)セミナー終了後の懇親会では中国銀行の監査室の方やキャノンの監査室長の方、そして「企業会計」の論稿や著書を拝読させていただいている北大の蟹江章教授とも、ガバナンスに関するお話などさせていただき、たいへん有意義な一日でした。(また、主催者の皆様、たいへんお世話になりました)

さて読売新聞(大阪版夕刊)によりますと、NOVA(破産手続き中)の元経営陣(社長だけでなく、他の取締役、監査役も含まれていますね)を相手として、20数名の被害者の方々が損害賠償請求訴訟を大阪地裁へ提起された、という記事が掲載されておりました。(ネットニュースはこちら)また、記事によりますと、被害者の方々はNOVAの法定監査を担当していたあずさ監査法人(ほか一監査法人)についても、NOVAによる授業料の前払金に関する不適切な会計処理を容認していたことで「粉飾決算を見逃していた」ものとして損害賠償責任を追及されているそうであります。

たしかNOVAの元代表者については、従業員の積立金を資金繰りに流用していたことについて業務上横領事件として立件されているにすぎず、受講生の方々を被害者とする事件については立件されていなかったと記憶しております。つまり受講生らの前払金の使途についてはまったく不明なままになっているはずであります。このままですと、たとえ刑事事件が進行したとしても、受講生の方々の前納金の行方は刑事事件の記録上でも明らかにされない可能性がありますので、被害者対策弁護団としましても、こういった民事訴訟を提起することになったのではないかと推測されます。若干読売新聞記事を引用させていただきますと、

原告側は、長期契約を勧誘し(1)契約金を莫大な宣伝広告費や教室数拡大の経費などに流用、(2)前払い受講料の45%を売上に計上していたのは利益を水増しした粉飾決算、(3)監査法人については違法な会計処理に反対意見(不適正意見)をつけることなく破たん必至の拡大路線に加担した、と訴えている

ところで、あずさ監査法人の粉飾見逃しに関する責任問題ですが、以前ご紹介した細野祐二氏の「法廷会計学VS粉飾決算」のなかでも公認会計士である細野氏が「NOVA社の財務報告に対するあずさの監査には大いに疑問あり」「日本有数の大監査法人によって行われた組織的粉飾事件」と指摘されているところであります。原告側はこの細野氏の問題提起を中心にあずさ監査法人さんの会計監査人としての責任を追及していく方針なのでしょうか。再度、上記著書の該当箇所を確認のうえ、あらためて問題点を追記しておきたいと思っております。

(18日午後;追記)

朝日新聞ニュースによりますと、NOVA元受講生の方々(弁護団)が提訴している相手方につきましては、当時の監査役5名と監査法人2社を含む、とありますので、この2社というのは1996年から2006年まで監査を担当されていた「あずさ監査法人」と、2006年以降担当されていた「アクティブ監査法人」ということでしょうね。監査役の方々は大手商社ご出身の常勤監査役の方のほか、3名は国税OBのエリートの方々と、あと1名は中央青山出身の公認会計士さんだと思われます。みなさま「財務会計的知見」はとんでもなくお持ちの方々ばかりのようですから、監査役の不法行為(過失)を基礎づける注意義務のレベルがどの程度と判断されるのか(たとえ社外監査役たる地位にある者としても、その会計監査業務を遂行するにあたり、「一般的な会計専門家としての高度の注意義務」が要求されるのかどうか)注目されるところであります。

10月 18, 2008 迷走するNOVA | | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年10月26日 (金)

迷走するNOVA(倒産手続へ)

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(26日午前9時半 追記あります)

(ご承知のとおり、26日早朝にNOVA社より会社更生手続き開始の申立および保全管理人選任に関する開示情報がでております。また、深夜4時台には、取締役解任等に関するリリースもあったようです。以下のエントリーは、会社更生法申立前に書かれたものでありますことをご承知おきください)

ここのところ、日経新聞すらまともに読めないほど、諸事情で忙しかったのでありますが、やっと一息ついて「まとめ読み」しておりましたら、やっぱりNOVAの件、ずいぶんとたいへんなことになっているようであります。新株予約権の発行に関する「迷走」が水曜日の日経朝刊なら、木曜日には監査役3名全員が辞任届けを提出、とあります(日経ニュースはこちらこちら。新聞では10月初旬に監査役の皆様が辞任届けを提出した、とありますので、10月9日に決議されました新株予約権発行決議とも関係があるかもしれませんね。そういえばEDINETで開示されております新株予約権発行届出書に添付されておりました取締役会議事録に、監査役3名の記名押印がありませんでしたので、「おかしいなぁ」と思っておりましたが(会社法369条3項、会社法施行規則101条)、すでに取締役会にはどなたも出席されていなかったのかもしれません。なお26日には、監査役不在の件で、緊急取締役会が開催されるようであります。(注 25日の報道ではそのようになっておりましたが、26日時点の報道内容のとおりです)上場企業において、取締役と対立した監査役が全員辞任する、というのはクレイフィッシュ社の件以来ではないでしょうかね。あのときは、大株主の通信会社主導で役員派遣を行って事態が収拾されたわけでありますが、NOVAの場合は70%以上の株式を代表者(グループ)が保有しているわけですから、すこし状況が異なるようであります。(会計監査人も困ってしまうでしょうね)

なお、常勤監査役と社外監査役合計3名全員が辞任届けを提出されたようですが、ご承知のとおり、会社法上は監査役さん方は辞任をしたとしましても、後任の方が決まるまでは監査役としての権利義務を有するわけですので(会社法346条1項)、とりあえず職務は継続する必要があります。本日(25日)、第三者割当てによります新株予約権の払込も完了したようでありますし、また緊急の役員会等も開催されるでしょうから、監査役として出席して、意見を述べる機会もあろうかと思います。ただ、監査役さんの発言によりますと、役員会を招集するよう社長に求めていたにもかかわらず、これを社長さんが無視しておられた、ということですから、もしこれが本当だとしますと、会社法383条2項違反のおそれもありますし、かなりヤバイ状況になっているのかもしれません。(なお、これは私自身の憶測にすぎません。投資行動におきましては、皆様方ご自身の責任においてご判断いただきますよう、お願いいたします)

詳細はまた追って検討することとして、ひとつ気になることがございます。私がオックスHDのMSワラントに関するエントリーは書けても、こっちの新株予約権についてはちょっと書きにくかった理由は、こちらの経営改革委員会がNOVA社には存在するからであります。(6月28日付け経営改革委員会設置のお知らせ)今年春の四季報におきましても、今年こそNOVA社はコンプライアンス体制の改善に尽力をする予定、とありましたので、このお知らせを読みまして、「これはスゴイ体制だなぁ。本腰を入れるんだなぁ」といたく感心をしていた次第であります。(改革委員として名前があがっておられる方の面子がスゴイです・・・・・汗)こういった方々が目を光らせて、NOVAのコンプライアンス体制を支援している、ということであれば、私などが頭をかしげるようなファイナンスであったとしましても、「きっとスキーム自体にはなんら法的な問題が発生しないという自信があるに違いない」(のでは?)と心の隅で考えていたからであります。しかしながら、この「お知らせ」では中間報告書や最終報告書の内容を公表するとあるにもかかわらず、その後リリースされました2つの「改善報告書」を詳細に確認しましても、どこにもそのような報告書が上がってきた形跡がないのであります。さらに、この「お知らせ」によりますと、この経営改革委員会というのは、取締役会もしくは経営トップが委嘱するものではなくて、委員会の公正性を担保するために監査役会が委嘱をするものとされております。ということは、今回、監査役全員が辞任されてしまいますと、監査役会自体が構成できなくなってしまいますので、この経営改革委員会はほとんど「宙ぶらりん」の状態になってしまうわけでありまして、存在自体、曖昧なものになってしまっております。さて、この経営改革委員会は現状どうなっているんでしょうかね?こういった日本を代表する著名な方々の報告書をぜひとも勉強させていただきたいと思っているのでありますが。。。

このメンバーの方々の信頼性からみて、株主のなかには、NOVAがコンプライアンス体制を本気で構築しているものと(私のように)確信している方も多いでしょうし、それが株価維持にも関連しているところが大きいように思えます。しかしながら8月、9月ころに予定されておりました中間報告も最終報告もなされていない、といった状態は、どう考えればよいのでしょうか。少なくとも、今回辞任届けを提出されていらっしゃる監査役の皆様方には、この経営改革委員会を直轄する監査役会の構成メンバーとして、せめてこの委員会の活動状況だけでも、至急株主に対して公開して説明すべきではないでしょうか。これは特別にNOVA社特有の問題ではなく、上場企業における監査役の職責として検討してほしいところであります。

(26日正午追記)全国の教室が一時閉鎖される、とのことで、たいへん深刻な状況でありますので、NOVAを揶揄するような題名を変更させていただきました。

10月 26, 2007 迷走するNOVA | | コメント (10) | トラックバック (3)