2012年7月 5日 (木)

食品偽装との闘い~ミスターJAS10年の告白~

32778124当ブログもすでに8年目を迎えておりますが、これまで多くの偽装事件についてエントリーの中で取り上げてきました。なかでも食品偽装事件につきましては、私自身が関与した事件などもあり、企業コンプライアンスを考えるうえで貴重なテーマとなっております。

ここ数年、食品Gメンと呼ばれる農水省の職員の方の活躍が時々新聞等で報じられるところでありますが、その食品Gメン(正確には「食品表示Gメン」と呼ばれるそうですが)のグループリーダーでいらっしゃった方が、退職を機に、監視専門官(及びその指揮官)として活躍されたこの10年を振り返る本を出されました。7月4日の発売日と同時に書店で購入し、一気に読みました。

食品偽装との闘い-ミスターJAS10年の告白-(中村啓一著 文芸社 1400円税別)

日本の食品メーカーが、まさか故意に原産地表示を偽装することなんてありえない、といった意識で平穏な公務員生活を送っておられた著者が、2002年に発覚した雪印食品牛肉産地偽装事件の調査を命ぜられ、名門企業の生々しい偽装の実態に触れるところから本書は始まります。著者はここで雪印食品の社員が「これくらい、ほかのとこでもやっている」「肉の世界は、部外者にはわからない」といった言葉に衝撃を受け、食品偽装と闘う覚悟を決めることになります(最近の金融機関におけるインサイダー騒動にも通じるところがあるように思いますね)。

雪印食品事件をきっかけとして、農水省は「食品偽装を暴く」、つまり性善説から性悪説へと行政の発想の転換をします。つまり「パンドラの箱」を開けてしまうわけですが、そこから素人の調査集団の苦悩の日々が綴られていきます。著者は食品表示Gメンのリーダーとして、ミートホープ事件、不二家事件、白い恋人事件、赤福事件、船場吉兆事件などを手掛けることになるわけですが、新聞で報じられるところとは少し異なり、取締行政の立場からみた各事件は、「なるほど、取締る側からすると、このように映っていたのか・・・」と思うところの連続でありまして、非常に興味深い内容であります。たとえば著者からみて、食品偽装に手を染めた赤福という会社は(その抵抗ぶりから)「とんでもない企業だ」といった印象を当初抱くわけですが、ある時点から、「この会社なら大丈夫。かならず再生できる」と認識を改めることになります。どうして認識を改められたのかは、またお読みいただくとおわかりになるかと。

読んでいて、すこしドキッとしましたのは、私が会社側で関与していた事件についてもズバリの記述があったことであります(会社名が記載されていなかったのでホッとしましたが)。このブログでも過去に若干ふれておりますし、私の2~3年前のコンプライアンスセミナーにお越しになられた方がお読みになると、「ああ、あの件ね」とおわかりになるかもしれません(もちろん、具体的な社名についてはセミナーでも伏せておりますが)。行政官からみても、あの事件は特殊な事例だったのかな・・・と。また業界独特の「隠語」の使い方によって、「この内部告発はホンモノかもしれない」とか「この不正は組織ぐるみだ」といった推定が働くというあたりも、「なるほど・・・」と感心いたしました。

そういった著名な食品偽装事件の記述もさることながら、個人的におもしろかったのは後半部分の「ウナギ産地偽装事件」と「事故米転売事件」です。これはスキルアップした食品Gメンの方々が、組織としてどれくらい熱意をもって調査にまい進するものかを理解するにはたいへん貴重な記録であります。とりわけ事故米問題では、普段から検査活動に関与している組織と、そうでない元食糧庁の方々との調査内容の比較が興味深く、性悪説をもって調査を続けてきた検査官達が、いかにスキルアップをしてきたかが認識できます。食品Gメンと対峙する、ということは、このとてつもない組織を相手にしなければならない、ということがよくわかりました。

食品Gメンという行政官と政治との葛藤、法律との葛藤が最後に述べられていますが、これらは昨年8月に退職された立場だからこそ、お書きになれたのではないかと想像いたします。このブログでは何度も書いておりますが、やはり権力というものは、若い時から使い慣れた方々が「謙抑的に」行使するのが一番だと改めて思います。パンドラの箱を開けてしまったがゆえに、裏社会から何度も脅迫された、といったお話にも驚かされました。

法律家として、デュープロセスの観点から調査に問題が生じかねない部分もあるように感じましたが、なによりも強制調査権を持たない監視専門官が、企業の不正をどのような視点から眺めているのか、国民の生命・身体・財産の安全を守るために、どういった規制手法を実施するのか、という「行政的発想」を学ぶためにも、たいへん有益な一冊であり、企業コンプライアンスに関心をお持ちの方にはぜひともご一読をお勧めいたします。

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2008年9月10日 (水)

食品偽装事件にみる企業コンプライアンスとは?(その2)

金融庁開示課の皆様方は、日本公認会計士協会における「内部統制監査セミナー」において会計士の方々にどのようなご講演をされたのでしょうか?いままでどおりの金融庁のご見解だったのか、それとも何か新たな指針(らしきもの)が提言されたのでしょうか?(興味津津・・・笑)

さて、7月11日の食品偽装事件にみる企業コンプライアンスとは?(その1)の続編であります。(自ら会社責任者として、農水省による(JAS法違反)調査に3日間立ち会ったAさんのお話の続きであります。)食品偽装で大きく新聞報道された今、食品偽装問題について現在Aさんはどういった感想を抱いているのか、お聞きしました。Aさん曰く、

④自主公表について

会社への帰属意識が低下し、かつてはタブーだった「内部告発」に対する抵抗がなくなりつつある今、偽装はいつかバレルと考えるべきです。また、消費者からの通報も盛んです。(かつての消費者通報は、企業に対し賠償金目当てで行なわれるものでしたが。)また、上場企業の場合はもちろんですが、非上場の場合でも報道された場合の痛手は相当なものがあります(経験者ですから...)当社の場合は、会社が認識せずしかも担当者に悪意がなかったと当局から言われましたが、そんな事は一切報道されません。プレスは定型書式ですし報道後はかなりの痛手を被ります。

よって、これまでバレなかった企業は、単にラッキーだっただけであること。それと先に述べましたように調査が終わると今は必ず警察に通報されますので、自ら公表した方が軽くすみます。

「信義」とか「コンプライアンスの問題」とかは、これまで黙っていた企業には通用しませんが、バレる確率が非常に高いこと&バレたら必ず刑事事件になることを踏まえさっさと公表しないとあとで大変な事になる!のですが、多分依然として黙っている企業には通用しないでしょうね。

Aさんは警告を発しつつも、少しあきらめムードでありますが、最近の三笠フーズ社の事故米(汚染米)騒動につき、農水省は2度にわたる告発があったにもかかわらず、なかなか事故米目的外使用の事実をつかむことができなかったと報道されているようです。何十回と調査が行われたにもかかわらず、目的外使用の事実が発覚しなかった、ということはもはや完全にナメられていたのでは?たしかに最近の事件をみておりまして、食品偽装事件につきましては、告発があったとしても偽装発覚を免れるチャンスもあるように思いますし、「偽装は必ずバレる・・・」とは一概には言えないようでもあります。ということは、やはり商品の偽装は競争に打ち勝つために「やり得」であり、発覚した業者は単に「運が悪かった」といったことなのでしょうか?

1 立ち入り調査の「抜き打ち」化は奏功するか?

今朝の読売新聞ニュースによりますと、このたびの三笠フーズ社の件で、農水省の調査が何度も空振りに終わったことを反省して、今後の「抜き打ち」検査が検討されている、とのことであります。しかしながら、当ブログでAさんが証言されているように、Aさんの会社には、調査員が会社到着の10分前に電話をかけてきた、とのことでした。つまり、任意調査の方法として、会社到着10分前に調査への協力要請があった、というのは、ほとんど抜き打ち検査と言っても過言ではないと思いますし、これが任意調査の限界ではないでしょうか。農水省の調査に強制処分が検討されることはないと思いますので、これ以上の対応を検討されても、あまり実効性が高まるようには思えませんが、いかがなものでしょう。

2 偽装業者の「自主申告」のインセンティブを考える

以下の事実は、(事案を特定されないように若干修正したうえで記述することで)関係者の皆様にご迷惑をおかけしないよう十分に配慮をして語りますが、実は、このAさんの会社が農水省から調査を受けていたときに、別のB社についても、ある行政機関から調査を受けておりました。このB社こそ、すでに2年以上もの間、某行政機関の調査のターゲットになっており、担当職員も「ハラワタが煮えくり返るほど」にしっぽをつかませない業者でありました。そのB社がある日突然、某取締法違反事件によって行政処分を受けることになりました。なぜ、正式な行政処分を受けることになったかと言いますと、なんとB社は偽装の事実を自主申告してきたからであります。度重なる調査をかいくぐって商品偽装の事実を隠ぺいしてきたB社でありますが、何故「自主申告」してきたか、皆様想像つきますでしょうか?ひょっとして経営者のコンプライアンス意識の高揚によるものでしょうか?それとも関係官庁の調査に「もはや逃れられない」と観念してのことでしょうか?それとも、もしかして「行政と手打ちがあった?」

実は別の理由からであります。(これはAさんから聞いたものではなく、B社に近い関係者からの情報であります。あまりツッこんで詮索しないでくださいね。)つまり反社会的勢力からの裏取引の強要であります。 (これは私が最近相談を受けておりましたC社の場合もほぼ同様の展開をみせておりました。)私自身も内部通報の外部窓口をしておりますが、内部告発は弁護士事務所やマスコミ、行政機関や国民生活センターだけではなく、いわゆる「裏社会窓口」にも届くことがありますよね。つまり、最近はずいぶんと「偽装問題が金になる」といった情報が裏社会でも出回っているそうであります。おそらくB社やC社の場合にも、かなり長期間にわたって「あそこの商品は産地偽装や品質偽装している」といったうわさが流れておりましたので、そういったうわさを裏付ける証拠を反社会的勢力に握られてしまって、裏取引が要求される。そして、やむにやまれず自主申告に至る、というパターンになってしまうようであります。経営者が「不正競争防止法違反で警察に捕まるほうがまだまし」と考えて、自主申告すればまだいいとしましても、ここでも経営者が「裏取引」を選択したり、支店レベルで偽装が行われ、その隠ぺいを支店責任者が裏取引で処理していたとなりますと、当然のことながら(会社が反社会勢力と癒着するといった)「二次不祥事」に至るわけでして、企業の存続にかかわる問題に発展する事態となります。

おそらく現時点でも、商品の偽装を継続している企業もたくさんあると推測いたしますが、偽装問題に対する消費者の意識が高くなればなるほど、また裏社会での「偽装問題」の取引価値も上がっているはずであります。数年前とは比べモノにならないほど、偽装は「見つかったら運が悪かった」では済まない時代になってきたと思われます。ずいぶんと生臭い話になってしまいましたが、「これも商品偽装事件の現実」としてご理解いただけましたら幸いです。

(追記)「関係者に迷惑をかけないように記述する」というのはかなりしんどい作業です。いろいろと問い合わせを受けましたが、内部通報に関連るお話は一切取材をお受けすることはできませんので、ご了承ねがいます。<m(__)m>

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2008年7月11日 (金)

食品偽装事件にみる企業コンプライアンスとは?(その1)

6月27日付けのエントリー「食品偽装事件と企業の公表義務違反」をご覧になったAさん(仮名)よりご意見を頂戴しました。農水省による立ち入り検査の実態に関する当ブログの記述にかなり誤りがあるとのことで、最近のうなぎ偽装問題を含め、メールをいただいたAさんと、とりあえず面談のうえ(やはり直接お会いしてお聞きしなければブログにも書けませんので)、詳細をうかがってまいりました。ちなみにAさんの勤務する企業(上場企業ではありません)もうなぎ偽装同様、農水省より立ち入り調査を受け、新聞報道もされました。Aさんは担当者として、農水省とすべての対応をされた責任者であります。(当ブログが実名ブログとして『まじめに』食品偽装問題をとりあげている、ということで協力してもらえることになりました。どうもありがとうございます)以下は、今後の当局による調査や、AさんおよびAさんの勤務する企業にご迷惑のかからない範囲で、インタビューの一部を紹介いたします。(なお、当ブログは当局およびAさんの企業に対する何らの意図もなく、今後の商品偽装問題に対する企業コンプライアンスのあり方を研究する趣旨で公開し、皆様のご意見をうかがうものでありますので念のため申し添えいたします)

1 報道されない偽装事件の数について

先生は、6月27日のエントリーで、立入調査があった事件でも報道されないものがけっこう多いのではないか、と書いておられますが、それはありません。違反が確認されたものは、すべて公表され報道されています。違反企業が反省していようが、いまいが見せしめの目的もあってか公表しています。

ただ、どういった事情がわかりませんが、違反事実が確認される前に調査が終了してしまうことがあります。この場合にはもちろん公表はされません。なお、調査についてはそんなに簡単に終了するわけではありません。事案によっては2年以上かかる場合もあります。おそらくこれは執念だと思います。また、今年4月以降は、かならずといっていいほど農水省は警察に通報するようにしているようです。

報道されない可能性については、意外でした。私は相当数の「厳重注意」で終了しているものがあるのでは?と推測しておりましたので、違反が確認された事例では必ず公表される・・・ということで驚いております。同時並行して調査を行う数がそれほど多くない、ということなんでしょうか。(端緒はものすごい数だと思いますが)違反事実が確認される前に調査が終了するケースもあるようですが、確認のための証拠収集不足、ということであれば、それほど簡単には終了しないようであります。「2年以上も調査を継続している」ケースもあるようでして、おそらくこういった事例は多方面から情報が農水省に集まってくるのでしょうね。また最後の「警察との連携」ですが、これは業者間取引についてもJAS法違反が問われるようになったことと、その違反事実について警察管轄である不正競争防止法違反が問題となるケースが増えていることに関係があるんじゃないでしょうか。

2 今回のうなぎ偽装問題に関して

私が知っている限り、農水省が午前10時に、しかも記者会見で発表するというのはきわめて異例です。普通は休日前の午後3時過ぎに、ポスト投函の方法で公表します。さらに調査終了から公表まで時間的に短いうえに、公表前に警察へ連絡をされていたようです。おそらく、これは事案があまりにも悪質であったことと、昨年秋の福岡で起きた偽装で取り逃した相手であったことによるものだと思います。したがって、調査は相当長期間にわたって水面下で継続していたものだと思います。

これはAさんの推測も含まれた会話の一部ですが、私がリスクコンサルタントの方からお聞きしている内容ともほぼ一致しておりますので、あえて掲載いたしました。本当はもう少し詳しい具体的な内容も聞いておりますが、関係者の方々への配慮として、この程度にとどめておきます。こういった話から推測するに、「調査が終了した」⇒「自主公表すべきか?」なる公式はあまりにも短絡的のようであります。実際のところ、企業にとって農水省の調査が終了したのかどうかはわからず、そもそも「疑惑情報」は悪質なものほど次から次へと農水省に届くわけですから、新たな証拠が見つかった場合には、ふたたび調査が再開される、ということなんでしょうね。Aさんのお話をお聞きしての印象でありますが、「立ち入り調査があった場合には」というよりも、内部告発や、消費者情報の存在が企業に判明した場合には、かなり高い確率で「食品偽装はばれる」と考えておくほうが妥当ではないかと思われます。

3 公表までの空白期間に関して

これも、先生の指摘には誤りがあります。農水省のチェックは担当役員や営業担当者へのヒアリングと、それに関する書類提出(コピーの任意提出)に関するものです。当社としては、商品を特定したうえで過去3年間にわたって、表示ミスがなかったかどうかを念入りにチェックしました。おそらく「空白期間」が発生するようにみえるのは、自主チェックに要する時間、それに基づき農水省がプレスのための書面を作成する期間、農水省の他の事件発表との調整などによるものであり、このような事情からみて、公表までの期間は短くなるときもあれば長くなるときもある、というものです。とくに1か月から2か月を空ける、という理由はありません。

これも私自身の拙い経験を一般化してしまったようです。(これは訂正をいたします)強制権限のない調査であるがゆえに、農水省側としても被対象企業側の任意の協力は不可欠だと思われます。そうしますと、過去の不祥事がなかったかどうかを企業側に調査させることになるわけで、これに真摯に対応するとなると、その自主的な調査の期間が必要になってくるわけであります。これであれば「空白の時間」ではないですね。また、お話では農水省の発表資料の作成には相当の時間を要するようであり、これにも時間がかかるとのこと。霞が関と地方事務局との間で、確認事実に関する綿密な打ち合わせがあるのかもしれません。(以下、不定期ではありますが「その2」につづく)

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2008年5月28日 (水)

船場吉兆の廃業報道について思うこと

本日の読売新聞の一面トップ記事として「船場吉兆、廃業へ」とありました。読売のネットニュースはこちらです。(関西版だけがトップ記事だったのかもしれませんが)何名かの方より、エントリーのご要望がありましたので、仕事中ではありますが、ほんのひとこと、感想だけ書かせていただきます。

民事再生開始を申し立てたころは、おそらく顧客の方々さえ来店いただければ、事業規模を縮小することによって営業を継続できるだろう・・・との期待があったと思われます。しかしながら、やはり「つかいまわし」は痛かった。これは最後の砦である「長年にわたる顧客からの信頼」を裏切ったことになってしまったことは間違いないでしょう。これでは接待で使うにも使えないですよね。不祥事の種類にもいろいろありますが、この企業体質を如実に表現するタイプの不祥事の怖さを痛感しました。

それと、関係者の方々にご迷惑をおかけしてはいけないので、これはあくまでも私個人の感想(といいますか推測)にすぎませんが、廃業と刑事捜査との関係はどうなったのでしょうかね?不正競争防止法違反容疑で大阪府警の捜査が継続していたと記憶しておりますが、もし経営者の方々の刑事問題が微妙なところに来ているのでしたら、「廃業」はまちがいなく不起訴処分(起訴猶予)と結びつく事情になります。あまり報道はされておりませんが、私はむしろこっちのほうが大事だったのかなぁと。企業コンプライアンスに身を置く立場として、ギリギリの司法警察との交渉は過去に何度か経験がありますので、ただ私個人の感想として読み流していただければ幸いです)

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2007年12月18日 (火)

(続)船場吉兆記者会見から何を学ぶべきか

(本業中ですので、追記とさせていただきます。本エントリーに関しましては、こういったご事情をブログに書かせていただくことを了承いただけた調査委員会の方に感謝いたします。おそらく、独立第三者という立場上、かなりトーンを落として述べておられたものと推測いたしますし、私自身も伝聞という形で、かなりソフトにお伝えしていることを付言させていただきます。また朝から多くの有益なご意見を頂戴している方にも厚くお礼申し上げます。しかしいろいろな見方、見解があるものですね。私自身たいへん勉強になります。ぜひ、コメント欄のご意見をご覧いただければと。また、このような立派な意見でなくても結構ですので、こういったギリギリの場面において、企業やマスコミ等がどうあるべきか、感想をお持ちでしたら気軽にコメントをいただければ幸いです。仕事の関係でアップ時間が遅れますが、どうかよろしくお願いいたします)

17日深夜になりまして、立て続けに架空取引や不正請求など、「財務報告に係る内部統制制度の制度趣旨や、その限界論」と結びつきそうな事件の開示情報が流れておりますが、お約束のとおり、船場吉兆社の記者会見に関する続報をアップしておきたいと思います。とりわけ、企業コンプライアンス、クライシスマネジメントに関心のある方にとりましては、参考事例としてご検討いただければ幸いです。

以下は、私が船場吉兆社の外部第三者委員会の委員である弁護士の方より(第二弾として)お聞きしたところを要約したものであります。(伝聞ですので、文責はすべて私にありますので、内容の真偽に関しますご批判は私自身がお受けいたします。なお、下線は私の判断で付しております)

今回の後追い報道で、マスコミの記事の間違いがあまりに多いのに、正直驚いている。数え上げればきりがないのだが、攻撃されている側には、反論することもできない現実、(反論することそのものが反省していないと断罪されかねない現実)がそこにはある、いずれにせよ、これが現実だということであろう

いくつか具体例を上げると、

①「マニュアル」報道

新聞等で、会見にて「消費期限表示貼り替えマニュアルがあった」と認めたという報道がなされているが、そのような会見回答事実は一切ない。少なくとも、調査委員会による従業員調査でも、マニュアルなどの存在は認定されていない。 思い当たるのは、会見で、ある記者が、しつこく何回も「マニュアルがあっただろう」と重ねて聞いてきて、役員から何回も「マニュアルなどはない」と答えていたのに、最後に、「期限表示ラベルの張り方を従業員が自ら書いた簡単なメモみたいなものは、店にあったかも」と答えたのが、たぶん、「マニュアル」存在報道になってしまったのかと推測される。これなどは、思いこみ取材の典型である。

②全体のトーン

報告書でも触れており、会見でも強調していたと思うが、期限表示の張り替えを行った商品数は、全体からしたらごく一部であるのに、報道のトーンや、有識者のコメント、町中の批判でのイメージは、「全ての販売商品において、期限経過のものを、貼り替えて売っていた」かのような印象である。100個のうちの1個の行為に対して、100個とも偽装だったかのような、大げさな表現となって流布されている。もちろん、1個でも行ってはならないことは言うまでもないのだが、ここで言いたいのは、100個全部が偽装であったかのような報道こそ、読者に対する誤誘導報道だと思うのだが、いかがなものか。(ここでの個数表現は、わかりやすくするための工夫で、正確ではない、念のため)

③偽装商品数

局によってまちまちで、一番多い数41とか、45とかいう数字がどこから出たのか、分からなかったので、調べてみたら、どうも、あの混乱の中で出たデマ的なものが一人歩きしたようだ。そもそも、商品の原材料表示の表示順ミスという極めて微細なミス(微細とは言え法令違反だが)と、期限表示貼り替えというケースの数など、種類の異なる問題を、単純に合計数で表記して報道しようとする発想にはついて行けない。読む人は、その全部が極めて悪質な行為という印象を持つであろう。実は、ほとんどが、ミリグラム単位での重量違いで内容表示の順序が変わってしまうなどの極めて微細なミスや、行政側でも法令解釈で意見が分かれて、結局、調査委員会側で厳しく判断してミスとしたものまで含めたものまで、期限表示貼り替え事案と同じレベルのものとして、全てが「悪質偽装」と言われているのは、とうてい疑問である。

④一部のテレビ報道について

お女将が「父に申し訳ない」と答えた内容について、有識者たるコメンテーターが、「父にだけ謝っているが、誤るべき対象は父だけではないだろう、誤る相手を間違っている」と述べていたのには、気の毒を超えて腹が立った。実は、この答えの前に質問者たる記者からの質問内容は、「父たる湯木貞一さんへの気持ち」を聞いたものである。ところが、テレビ放映では、その質問部分を切り取って、答えの部分だけを流して、コメンテーターに意見を言わせていたものである。これなど、報道のミスリード以外、なにもない。

お読みになる方にとりましては、少し船場吉兆寄りの意見ではないか・・・と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、私がお聞きした弁護士の方は、あくまでも外部の第三者委員であります。もちろん船場吉兆社の顧問弁護士でもありません。ただ、こういったマスコミ報道は、今後も企業不祥事発生直後の記者会見では「普通に」行われるでしょうし、新聞テレビ等においては、有識者のコメンテーターの方々の批判にさらされる「きっかけ」になってしまうわけであります。私自身、こういった批判を最小限度に抑えるためには、たとえば外部第三者委員会は、船場吉兆社のHP等を利用して、報告書の全文もしくは要約文を掲載したほうがよかったのではないか・・・とも思っておりますが、まぁいかんせん(DMORIさんのコメントにも代表されますように)「何を答えたか」ということよりも、「どのように答えたか」のほうに世間の関心が向かってしまいましたので、今となっては、なんとも(最小限度に抑える効果的な方策があったかどうかは)いえないところではありますが。

また、赤福や石屋製菓社のように、一般消費者が口にするものと、船場吉兆社のように「ある程度の富裕層のみ」が口にするものとでは、後者の場合、こういった不祥事発覚の際にも、立ち直りのための「後押し」が期待できないところもムズカシイ点かもしれません。

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2007年12月16日 (日)

見えてきた「赤福再生への道」とその教訓

300年の歴史上、未曾有の危機に直面していた赤福社が、なんとか創業者社長を残したままで、再生を果たす道が開かれたようであります。不二家、石屋製菓は、赤福社同様「消費者に愛されてきた銘菓」を作り続けてきた企業であるにもかかわらず、経営者トップが変わらなければ、その看板を掲げ続けることは困難でありました。しかしながら、赤福社は(同族色が薄められたとはいえ)、「組織ぐるみ」「経営トップの不正関与」をあいまいにしたままで、なおかつ経営トップは変わらることなく、見事再生への道を選択することを可能としたようであります。(12月14日に三重県に改善報告書を提出した段階で、突然マスコミのトーンも「赤福への期待」などと、少し前までとは180度変わっております)「組織ぐるみ」であることを曖昧にしたままでの再生といえば、日興コーディアル社による不正会計事件が記憶に新しいところでありますが、あのときも、経営トップはすべて入れ替わることで、「統制環境の変化による再発防止」を印象づけたわけでありまして、日興コーデ社の件と比較しましても、このたびの赤福社の再生への道は、見事というほかはありません。石屋製菓の元経営者の方も、この赤福社の復活への兆しや、「白い恋人」の売り切れ続出のニュースをみながら、「あぁ、俺も銀行から会長さんを迎え入れて、自分は社長にとどまっていればよかったのかも・・・」などと後悔をされているのかもしれません。

もちろん、今後の改善計画の実践には、まだまだ赤福社による必死の努力を要するものと推察いたします。しかしながら、このたびの赤福社の経過をみて、今後同じような「食品偽装事件」を起こしてしまった企業にとりましては、「あぁ、赤福のように振舞えば、なにも経営トップが辞任しなくてもだいじょうぶなんだ。要は行政から『組織ぐるみ』と断定されても、最後まで粘って否定していれば、世の中はなんとか許してくれるんだ」と認識された方も多いと思います。こういった前例を赤福社が築いたことは今後の食品偽装を含めた不正行為への対応としては大きな意義があると思います。誤解のないように申し上げますが、「不正は最後まで認めるな」というような短絡的な教訓を、私が強調しているわけではございません。要するに今回の事件の意義につきましては、「不正の程度と企業の対応とのバランス」を冷静に考えること、および不正への疑惑が報道され、社会的信用が毀損されてしまうリスクが大きくなったとしても、「最後まで、あきらめずに事実は事実として企業の主張をまげない」ことの重要性を世間に知らしめた点であります。

消費者を騙す(消費期限表示の偽装)ことが(現場での行動なのか、経営トップの指示によるものかはわかりませんが)長年行われてきたとしましても、「マスコミによる非難」という社会的制裁によって、とりあえず「すでに制裁を受けたもの」といった感覚がわれわれの意識に根付いてきたこともあるのかもしれません。「不正行為があったとしても、とくに国民に実質的な被害が発生していないのだから、無期限営業禁止とマスコミによる相当程度の非難の嵐でバランスがとれているのではないか」といった一般消費者の意見がここのところ、多くなってきていたように感じます。つまり、国民を騙すような不正があったとしても、健康被害を出すほどではないのだから、今後再発防止策を徹底することを誓約すれば、経営者が辞めるほどではない・・・といったあたりが「罪と罰」のバランスだといったところでしょうか。また、赤福社の場合はどうだったのかは最後までわかりませんが、少なくとも今後、食品偽装事件が発覚した企業において、「組織ぐるみ」でない場合には、マスコミの非難を過度におそれることなく「組織ぐるみではなかった」と粘ることの成功例と認識すべきであります。この意義は非常に大きいと思います。なんといいましても、今後、内部通報や内部告発によって、不祥事を社内で発見した場合に、「こんなことが発覚したら、俺はやめなければならなくなる」といった間違った隠匿への誘惑を断ち切る動機となるからであります。

「辞めなくてもだいじょうぶ・・・」

赤福餅の消費期限切れ製品の販売が発覚した当初、記者会見のたびに、新しい問題点が発覚し、その都度、マスコミの非難を浴びておりましたが、あれはいったいなんだったのでしょうか。それでも社長は交代しなくてもいいわけで、このことが、企業の不祥事の早期公表を促進し、いわゆる二次不祥事を防止することへとつながることになれば幸いです。そして、もうひとつ忘れてはならないのが元住友銀行副頭取の方の会長就任であります。これはビックリでした。あの阪神電鉄・村上ファンド株式買取事件のときに、話題の中心におられた方です。メインバンクか、近鉄さんか、そのあたりのつながりなんでしょうか。最後に300年の歴史の重みを見せつけられたようであります。このような方を赤福会長に迎え入れることができた「赤福の人脈」。やはり最後は「人と人とのつががり」こそ、企業防衛の「キモ」のような気がしてまいりました。

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2007年12月13日 (木)

「船場吉兆記者会見」から何を学ぶべきか

会計専門職であるtomさんより、金融商品取引法193条の3と粉飾発見義務に関する渾身のコメントを頂戴いたしました。まだ私もすべてをきちんと読めておりませんが、またご意見のある方は、ご遠慮なくコメントいただければ・・・と思います(tomさん、ありがとうございました。)

さて、日本漢字検定協会によります「今年の漢字」大賞として、一位には「偽」が選ばれたそうであります。12月11日、同12日と、日経新聞朝刊でも偽装問題の発端となりました「内部告発」の現状を取材した特集記事が掲載されておりました。私自身、「外部窓口」の仕事や、内部通報制度(ヘルプライン)の導入指導、および内部告発者の代理人などをさせていただいた経験からしまして、この連日の日経の特集記事は、かなり客観的に内部告発の現状や内部通報制度が機能していない状況等を伝えており、ほぼ正確な実態が浮き彫りにされているものと思いました。「こうすれば内部通報制度は実効性が上がる」といった意見は私自身、いくつか持ち合わせてはおりますが、本日はその点については触れるつもりはございません。ただ、法律事務所やコンプライアンスコンサル企業を外部窓口として備え、むしろ立派な「内部通報制度」を整備しながら、なぜ機能しないのか?社内不正の兆候がまったくないから、ということはおよそありえないわけでして、その原因は、やはり「形だけのコンプライアンス」にある、と言われても仕方がないのが現実のところのように思います。

ここ数日の船場吉兆社の記者会見に関するマスコミの報道などをみて、経営者の皆様はどう思われたでしょうか。「あの女将さんの手控えノートはなんやねん」とか「女将さんからヒソヒソと模範答弁を耳打ちされるマザコン社長」といった印象を受けて、「あぁ、あれじゃ仕方ないわなぁ。俺だったら、あんな答弁はしないわなぁ」といった、ある意味、自信をもってホッとされた方が多いのではないでしょうか。ただ、私はもうすこし、「当社でも起こりうる社会的信用毀損の事態」として、危機意識をおもちいただいたほうがよろしいかと思います。危機意識という言葉が、不用意に「あおるような」言葉であって不適切でありましたら、「リスク管理」と言い換えてもいいかもしれません。たとえば、下記内容は、船場吉兆社の外部調査委員会(7名の弁護士によって構成されております)の委員を務める弁護士の方より、本日いただいたメールの一部であります。ご本人の了解のもとで、ここに転記させていただきます。(誤字は若干修正をしております。また下線は私が付したものです)

このたび、船場吉兆の外部調査委員を務め、報道対応のこわさ、大変さ、難しさを身にしみて体験しました。報告書を出す直前の取材合戦は過激で、直前の土・日は、休日の事務所の電話は鳴りっぱなし、さらに驚いたのは、どこで調べるのか、 自宅の電話も鳴りっぱなしで、朝ズバ等のテレビ局からはFAXまで入っていました。  実際に自宅に数社が来ました。ここで、マスコミの怖い点は、たくさん学びました。調査委員会の弁護士7名で従業員からも聞いて判断した事実関係、特に、本店役員の違法性認識の部分は、委員会が公表した内容が「認定事実」なのに、「違法性の明確な認識を持って行った悪意性のある偽装であったはずという絶対的真実」という大前提での取材や、結論押しつけには、本当に閉口しました。弁護士として、調査して判断した事実をねじ曲げてまで、マスコミの「希望事実」に合わせないと、本人等が結局たたかれるのは、不合理に思いました。愚痴です。山口さん、ブログでは遠慮なく、意見を述べてください。

私は外部委員会の弁護士でもありませんし、事実関係も調査した立場ではございませんので、とくに船場吉兆社を擁護するわけでもなく、またマスコミの対応を非難するつもりもございません。(このブログで何度か申し上げておりますとおり、マスコミも短時間のうちに記事としてまとめなければならないわけでして、聞き取り以前の段階で、ある程度の記事のストーリーを予想されているのもいたしかたないものと思われます)ただ、上記の弁護士の方は、いわゆる「外部調査委員会」の委員であり、おそらく会社側、従業員側、取引先側など、かなり独立公正な立場から、事実認定を試みたものと思います。(経営者ら自身の、あのような会見における失態を事前に止められなかったのも、「指導する立場にはない」独立公正といった立場からだと思われます)船場吉兆社の顧問弁護士という立場であれば、「弁明」への非難や疑惑といったものが飛んでくるのも当然かとは思いますが、独立第三者である立場でありましても、上記のような感想を抱かれるわけです。独立調査委員会が、時間をかけて、結論を出してきたにもかかわらず、その直後に、その認定事実とは異なる結論を(経営者から直接)引き出すために、多くの質問が投げかけられ、あのような失態に至ったとなりますと、委員の方々が無力感を抱かれることにも、私は素直に納得できるところであります。しかしこれが現実であります。おそらく、こういった記者会見に臨む経営トップの方々は、もはや孤立無援の状態で、針のむしろに座らなければならないわけでして、「何を言っても、マスコミのストーリーに反する内容の事実であれば報道されないこと」への覚悟が必要であります。

すべての内部告発を抑止できるものではありませんが、内部通報制度に実効性があれば、不祥事が「進んで公表できる程度」に小さな段階で情報として把握することが可能となりますし、「取引先に迷惑をかけない程度」に自社のみの判断で公表できますし、また、なによりも二次不祥事に発展することなく、一次不祥事のみで会社の信用毀損を最小限度に抑えることが可能となります。孤立無援の状態で、頭が真っ白になってしまう事態は、誰にも想定されるところであります。平時にこそ、先のようなリスクを想定していただき、せっかくの立派なシステムに「魂を入れて」いただければ・・・と思います。

PS アルファブロガー2007を受賞して以来、いろいろなご意見、ご質問をメールにて頂戴しておりますが、なかなか回答する時間がありませんので、お返事もできずに申し訳ございません。本業の時間にブログを書くわけにもいかず、忘年会が終わってから、とりあえずエントリーを仕上げるのに精一杯の状態です。もうすこし時間的に余裕ができましたら、じっくりと拝見させていただきます。

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2007年12月11日 (火)

食品会社の「二次不祥事」を考える

ひさしぶりの企業コンプライアンスネタであります。11月29日に「GODIVAのアマい危機管理」と題するエントリーをアップしておりまして、そこでGODIVA社の被害拡大防止に向けての広報の甘さについて「少々不誠実ではないか」と意見を述べておりました。ところで、同社は12月3日付けにて追加告知をされ、混入金属片の種類が特定されたこと、同金属片を専門家によって分析し、健康被害が出にくいものであること、発見された場合には食することなく、ただちに返送願いたいことを広報することにより、ほぼ当ブログにて問題としていた箇所に関する対処をされたようであります。(まさか、このブログをご覧になられたのか、それとも同様の苦情が寄せられたのかは不明でありますが)わずか5日後のことではありますが、この告知が当初より同社のHPにて開示されていれば、有事における対応としてはある程度誠意あるものと受け止めていただけたのではないかと思います。しかしながら、昨日pussさんよりいただいたコメントを拝見いたしますと、現実に被害に遭われた方への同社の対応には、やはり混乱がみられるようですし(pussさん、ご報告ありがとうございました)、当初の「フランス工場の責任による不祥事」を原因としまして、GODIVAジャパン独自の「二次不祥事」を発生させかねないリスクに直面することとなったわけであります。

最近の食品不祥事をみておりまして、この「一次不祥事(消費期限偽装、消費期限切れ原材料の使用等)」への対応がまずかったために、「説明虚偽、書類隠蔽」などが発覚する「二次不祥事」や、マスコミの追い討ちや行政の周辺調査のために、「一次不祥事さえなければ、なんら問題にもならず放置されていた不祥事(やぶへびコンプライアンス)」が大きくとりあげられ、むしろそちらの副次的な不祥事のほうが企業の社会的信用を毀損するケースが目立ちます。船場吉兆社のように、岩田屋さんと一緒に謝罪したときに、「偽装マニュアルの存在」まで含めて、全容を開示していれば、取引先や従業員、家主の方々を敵に回すことなく、まだ再生への道を模索することができたかもしれません。マスコミによって長期間にわたり報道されるに至った原因は、そのほとんどが「二次不祥事」に起因するものであります。本日の改善報告書提出の際における記者会見をみましても、おそらく社会的信用は回復どころかますます毀損される原因になってしまったような印象を受けます。(ここまで来ますと、今後は別の吉兆グループの対応に注目が集まってきそうですよね)

また、一昨日「無期休園」となってしまいましたエキスポランドにつきましても、あの凄惨な事故の後、①営業再開の翌日にも事故があった、②再開1ヵ月後には、別のコースターが停止してしまった、という事故が重なっていたにもかかわらず、大阪市当局へなんらの報告もしていなかったことが判明し、そこに至り、周辺住民からの「再開への期待」は完全に途絶えてしまいました。もしあの凄惨な事故さえ起こっていなかったら、それほど問題にもならなかった故障だったかもしれませんが、これが「やぶへびコンプライアンス」の重要性であり、社内の常識と社外の常識がくいちがってしまったケースであります。

こういった事例を見るにつけ、食品会社にかぎらず、経営トップの方々としては、この「二次不祥事」への対処方法を平時よりリスクマネジメントの一環として検討しておくことが近時の不祥事対策としては不可欠だと考えております。先のGODIVA社の件につきましても、海外親会社の不祥事までは防ぐことはできないとしても、日本における販売会社独自の不祥事は防止することができるわけでして、平時からの対応ができていれば、こういった告知自体が信用を毀損することは防げるはずであります。

Comply002

一次不祥事は回避不可と書きましたが、これは企業につきまとうリスクであり、完全になくすことはできません。何度も申し上げておりますように、①発生頻度を下げる、②早期発見システムを構築する、③発見した後に被害が最小限度に抑えられるシステムを構築する、といったリスク管理手法でリスクを低減化する以外にはないと思います。(これは経営トップの関与する場合にも適合します。たとえば社外取締役や、監査役システムにおける統制環境の問題であります。昨日ご紹介した「公認会計士VS特捜検察」におきましても、キャッツ社内におけるインサイダー取引蔓延の危機をいったん沈静化したシステムは、「顧問会」なる公認会計士、弁護士による組織の存在にありました)

一次不祥事の発生で頭が混乱している経営トップにとりまして、こういった二次不祥事への対応や、やぶへびコンプライアンスへの対応を冷静に検討することを要求することはかなり酷であります。だからこそ、平時からの対応が必要となるわけでありまして、その具体的な対応方法は、もはや当ブログで再三、申し上げているところでありますし、今後も具体的な不祥事が発生しましたら、折々に検討していきたいと思います。

さて、いよいよ14日は赤福社が三重県に「改善報告書」を提出する期限であります。すでに農水省には報告書は提出されておりますが、三重県のほうは明確に「赤福社は組織ぐるみだった」と断言しておりまして、赤福社は今度こそ、これに回答する必要が出てまいります。(三重県側は、過去に「検査で見逃してしまった」ことがあり、そのことに対する批判もありますので、「赤福社が組織ぐるみで隠蔽した」と認定できればなんとか県の面目も立つのでありましょうが、「現場での慣行だった」とされてしまえば、今度は三重県側の検査自体の問題が浮上するおそれもあるかもしれません)どういった改善報告書の中身となるのか、組織ぐるみ、トップの関与はないとされるのであれば、どのような具体的な説明によって証明されるのか、大きな関心をもって見守りたいと思っております。

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2007年10月30日 (火)

食品表示偽装と内部統制システムの整備

(30日お昼 追記あり)

昨日はニフティのトップページでも当ブログを紹介していただきましたので、7500アクセス(PV)を超える新記録となりました。(どうもありがとうございますm(_ _)m )ただ、当ブログはアフィリエイトもございませんし、ブログランキングにも参加していない、普通のマニアックな法務ブログでありますので、また平常どおりのアクセス数に戻るような話題で参りたいと思っております。

さて、いつも内部統制の最新情報を発信しておられる丸山満彦先生のブログで「食品表示偽装と内部統制」に関するエントリーがアップされておりまして、たいへん参考になります。なるほど、米国のCOSOではなくカナダのCoCo基準では、内部統制の重要な目的のひとつとして「財務報告の信頼性」ではなく「情報の信頼性確保」が掲げられているのですね。(私は存じ上げませんでした)食品の消費期限に関する表示につきましても、これを企業が消費者に向けて発信する情報だと捉えますと、その表示の信頼性を確保することも内部統制システムの整備運用に関する問題と言えそうであります。最近の企業不正事例からしますと、財務報告の信頼性確保というよりも、もっと広く企業の発信する情報の信頼性確保のための内部統制・・・と捉えたほうがイメージが連想しやすいですし、会社法上の内部統制との親和性も高いのではないでしょうか。投資家が安心して市場に参加するための企業情報、消費者が安心して商品を選択できるための商品情報(製品情報)、改正会社法が積み残した問題とされている企業結合に関する情報など、どれをとりましても「何を開示するか」といった開示内容(実体)に関する統制と、「どうやって開示するか」といった開示手続きに関する統制は、企業情報の虚偽表示リスクを低減するためには欠かせないシステムだと考えております。そうは申しましても、とりあえず、J-SOX(財務報告に係る内部統制報告制度)は待ったなしの状態になっておりますので、財務報告に係る内部統制の整備運用については各企業におかれましては監査法人さんと協議のうえで尽力されることとして、J-SOXを超えた開示統制問題につきましても、コンプライアンスの視点から検討していただきたいところであります。

CoCo基準 カナダ勅許会計士協会の統制規準委員会(Criteria of Control Committee of the Canadian Institute of Chartered Accountants)が発表した「CoCo-統制モデル」(1995年)

ところで、昨日の船場吉兆の商品表示偽装問題でありますが、創業者一族の方々がそれぞれ(福岡と大阪で)謝罪会見を行い、商品販売を委託していた百貨店の社長も謝罪されておりまして、かなり対応は評価すべきものだと追記をしておりましたが、どうも私のなかでは、追加報道された内容からみましても、その謝罪会見における偽装に関する原因事実について未だ疑問を抱いているところであります。会社側の説明では、消費期限偽装が行われた天神フードパークに勤務していたアルバイト社員たちが、一存でラベルの取替えを行っていた、とのことのようでありまして、社員たる店長ですら表示の改ざんは知らなかった、とのことであります。しかし、本当にアルバイト社員の方々だけでそのような表示偽装が実行されるものでしょうか?アルバイトという立場にもかかわらず、商品在庫をできるだけ抱えないように・・・といった本部からの意向がプレッシャーとなっていたことのようでありますが、はたして消費期限切れ商品へ2000回以上も偽装表示を繰り返すインセンティブはアルバイト社員のどこにあるのでしょうか?普通はありえないはずですよね。このあたり、まだマスコミからのツッコミの要因となるような疑問点が解消されていないように思えますが、皆様いかがでしょうか。

(追記)上記疑問に関連する記事が朝日新聞ニュースに掲載されているようです。販売責任者のアルバイトの方が、天神フードパーク店のすべてを任されていたようですが、ただこういった販売体制のなかで商品一個一個の管理まで要求することは果たして可能なのでしょうか。内部統制の構築は現場のプロセスに実現困難な作業まで要求するべきではありませんし、それで販売体制における法令違背を厳守できないのであれば抜本的な販売体制の見直し(これは赤福問題でも議論されるところですが)が必要になってくるはずです。

私の住む堺の町には、千利休の時代から何代にもわたって和菓子を作り続けている老舗が何軒かありますが、「売り切れゴメン」体制でして、ひどいときにはお昼すぎにお店に行っても「もう売り切れました」。「あいかわらず時代遅れの大名商売やね・・・」と皮肉を言って帰ってくるときもあります。お客様に迷惑をかけないように、在庫や配送に気を遣うのか、お客様に評判が悪くても消費期限を守り、在庫は残さない体制を守るのか、基本的には二者択一の世界なんでしょうか、それともその調和点をどこかで見出すことはできるのでしょうか。赤福餅の販売休止をうけて、追い風が吹いたかにみえた伊勢の「御福餅」さんにもJAS法違反と食品衛生法違反の疑いで調査が入った、との報道に触れますと、本当にどこも組織的な関与がなかったとはいえないような気がしてまいりました。そのうち、健康被害が認められなかった食品衛生法違反、JAS法違反に関するマスコミや国民の関心が薄れていき、報道する価値も薄れ、そのころになって我も我もと自主申告が始まるような時代が到来するのかもしれませんし、そのような時期をすでに待っている企業もあるかもしれませんね。

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2007年10月29日 (月)

「吉兆」グループ会社に商品の偽装表示疑惑

(29日午後追記あり)

日曜深夜の朝日新聞ニュースで知りましたが、吉兆グループ会社の船場吉兆さん が消費期限の偽装表示で食品衛生法およびJAS法違反で調査を受けているとのこと。(こちらが朝日ニュースです。読売ニュースはこちら です。)本吉兆さんの高麗橋店は、ちょっと私のような者では、到底お昼さえ暖簾をくぐることはできませんが、船場吉兆さんのほうは、ときどき心斎橋OPA(オーパ)のお店は寄せていただいております。もちろん、関西におきましては、高級料亭の知名度はナンバー1でしょうから、このニュースはちょっと信じがたいところであります。匿名の通報に基づいて調査が開始されたようでありますが、これが社員の方によるものなのか、食品購入者等外部からの通報によるものかはまだ明らかではありません。また現時点での報道内容によりますと、従業員の一人が勝手に消費期限を偽装していたものであって、店長さんは知らなかったとのことでありますが・・・(?)

赤福社の消費期限切れ商品疑惑の第一報が報じられたときにも、同様のことを申し上げましたが、現場の担当者の判断による法令遵守違反行為が発覚した場合に、まさにこの第一報の時点こそ「これだけで事件が終結して、時の流れとともに消費者から企業不祥事の記憶が消えていくのか(たとえばホルスタイン牛を「和牛」と表示したいかりスーパーさんが典型的ではないでしょうか)」、それとも「別の不祥事が発覚したり、組織ぐるみの違反行為が判明することで、マスコミの標的となり、赤福社のような大きな問題に発展するか」の分水嶺でありまして、もしこのまま終結するということであれば、いったいどのような対応が功を奏したのか、といったあたり、企業の危機管理として注視すべきところであります。とくに最近の企業不祥事におきましては、たとえ第一報の不祥事報道疑惑に該当する事実だけが調査結果として認められる場合でも、その時点における行政機関やマスコミへの対応に不手際があった場合には、その「不手際」自体が「不祥事」と同等に評価されて、企業の信用を毀損するケースがありますので要注意だと思われます。

(29日午後 追記)

読売新聞ニュースによりますと、吉兆グループの創業家の方と、店舗の入っている百貨店トップの方お二人で謝罪会見を行ったそうであります。(大阪本店でも謝罪会見が行われた・・・とのこと)しかも、調査結果の数値も遡及性が認められるうえに具体的であり、現時点における偽装の原因事実も表明しておられるようです。今後のことはまだ流動的ではありますが、生命身体への消費者被害が報告されていない段階における不祥事企業の対応としてはほぼ100点満点に近いものではないでしょうか。「企業経営においてあってはならないこと」を企業自身が十分認識していることを、親会社のトップが(直ちに)自ら謝罪されたことで社会的にも誠意は理解してもらえそうです。しかし驚くべきことは、店舗のある百貨店の経営トップが同席されていることですよね。いままでこのような謝罪会見はありましたでしょうか?ちょっと私の記憶にはないのですが。岩田屋の経営理念に通じるところがあったり、「岩田屋で販売しているから信用しているのに・・・」と感じている消費者への謝罪の意味かもしれませんし、またほかの入店企業にも心してもらいたい・・・との気持ちからかもしれません。

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