2007年11月20日 (火)

赤福、ついに正念場(組織ぐるみ認定)

三重県の食品衛生法違反による調査で、大阪地域での売れ残り全品が再利用されていたことが認定されてしまったようです。これまで、このブログでは「組織ぐるみ」とはいえない、としてきましたが、ここまできますと、私の主張を撤回せざるをえないようです。(県も、赤福は組織ぐるみだった、と発表したようですね。)

組織ぐるみであると三重県が判断した理由は、過去2年間の商品廃棄率が2%から3%ときわめて低く(これはハイテク企業が環境ビジネスプランを導入している場合の廃棄物廃棄とほぼ同じレベルですね・・・・(^^;; )、これは企業として再利用する体制がなければ達成できない割合だから、とのことです。なお、これに対して赤福社は12月14日までに報告書を提出する必要があるそうで、いよいよ赤福社にとっての正念場となりそうであります。

さて、「組織ぐるみ」と認定された今、赤福はどうやって現経営陣が立て直していけるのでしょうか。「地域の雇用」「三重県発展のための事業会社の継続」「赤福そろそろ食べたい症候群」「300年の歴史」「百五銀行(メインバンク)の支援条件」などなど・・・

業務中にて、とりいそぎ備忘録程度で失礼します。

11月 20, 2007 不当(偽装)表示問題について | | コメント (6) | トラックバック (1)

2007年11月19日 (月)

公取委の不当表示警告への疑問

11月16日、公正取引委員会はNTTドコモとKDDI(AU)に対しまして、「料金割引サービスに関するチラシの表示方法が、景品表示法4条1項2号(有利誤認)に違反する」ものとして、厳重注意処分を下したそうであります。(公取委の公表内容はこちら。)本日(11月18日)、自宅近くのAUショップに出かけまして、現在通用中である「フルサポート割引チラシ」の現物を眺めてきましたが、やはり公取委の処分対象となっております「誰でも割」と同様、チラシの一番下のところに細かい文字で解約料の発生する場合に関する条件の記載がありました。(現実にこうやってチラシを見たところ、たしかにこれは説明を受けなければ誰も読む気にはなりませんね・・・)NTTもKDDIも、公取委に対して当初反論をされたようですが、最終的には厳重注意を真摯に受け止める、ということになり、おそらく業界の自主ルールも改訂されることになるんじゃないでしょうか。

今回の公取委の処分につきましては、一般消費者にとっては意味のあるところだとは思いますが、すこし気になりましたのが、そもそも公取委は上記2社に対して広告の訂正を求める排除勧告でのぞむはずでありましたが、(1)判読しづらいとはいえ、いちおう解約料発生条件に関する記述があること、(2)契約時において、口頭での条件説明がなされていることから、(排除勧告までは出さずに)厳重なる注意、という処分ということにした ようであります。(これは公取委の公式意見ではありませんが、こちらの西日本新聞ニュースの記事や、11月17日土曜日の日経新聞3面解説記事にも掲載されているところなので、ある程度たしかなものと思われます)

以前、金融機関における「金利表示」について、公取委が不当表示を問題にしたときにも疑問に感じたところでありますが、なぜチラシの表示自体の違法性(景表法違反)を問題としているにもかかわらず、「店頭における口頭説明の良し悪し」を持ち出すのでしょうか?そもそも景表法違反はチラシの表示自体から悪性判断をすべきであり、説明義務を尽くしたかどうかは、なんら公取委が問題とすべき判断基準にはなりえないはずだと思われます。こういった他事考慮(チラシの違法性を判断するにあたり、販売方法の是非を考慮すること)につきましては、行政処分の恣意性を高めることになってしまって、業界の自主ルールを改訂したり、社内における行動基準を定めるにあたって、違反行為の予測可能性を低減させることになるのではないかと思います。また、説明義務を尽くしたかどうかは、契約法の法理に関わる問題であって(たとえば金融商品の場合であれば、金融商品販売法の問題)、これに公取委が軽々に踏み込むことにつきましては民々の紛争解決にも影響を与えてしまうおそれがあり、妥当な対応とはいえないものと思われます。逆にいえば、公取委が不当表示について排除勧告を出そうとしているときに、対象企業側としては、各店舗において有利誤認を防止するための説明義務を尽くしていることや、別のチラシ等において、誤認防止のための表示をしていることなどを持ち出して、排除勧告を免れることは検討されてもいいのでしょうかね?こうなりますと、もはや「不当表示」と「説明義務違反」との区別が曖昧になってしまうような気がいたします。

商品表示の適正を求めるといいましても、スーパー等の小売店で販売している商品のように、表示そのものしか問題にできない場合と、金融商品や携帯電話、不動産のように、商品表示はあくまでも購入のための誘引にすぎず、その先の商品説明によって購入されるような場合とでは、その意味が少し異なるのかもしれませんが、ただいずれにしましても、「表示」そのものが一般の人からどのように受け止められるか、といった観点から適正性は判断されるべきであり、商品販売方法の是非につきましては、これと峻別して検討すべきではないでしょうか。

(参考 不当景品類及び不当表示防止法 関連条文)

(目的)第1条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)の特例を定めることにより、公正な競争を確保し、もつて一般消費者の利益を保護することを目的とする。

(定義)第2条 2 この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行なう広告その他の表示であつて、公正取引委員会が指定するものをいう。

(不当な表示の禁止)第4条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。 2.商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

(お知らせ)ところで「アルファブロガー2007ノミネート」の件ですが、たくさんの応援メッセージを頂戴しております。(こちらでご覧になれます)また、初めて知りましたが、ノミネートされております60ブログのなかで、中間集計ではありますが、当ブログがベスト20に含まれている、とのこと。驚きです・・・・・・。これもひとえに皆様方のご支援の賜物以外にありません。本当にどうもありがとうございます。これを励みに、これからもマニアックなブログとして頑張ってまいります。

11月 19, 2007 不当(偽装)表示問題について | | コメント (3) | トラックバック (1)

2007年11月15日 (木)

「うっかり表示」と「悪意の表示」

定量分析実践講座につきましては、続々とコメントをいただき、またそのコメントがけっこう「熱いもの」なんで、ぜひ続編を書かせていただきます。私も、もうすこし先まで読み進めてみたいと思います。(リスク、という言葉ひとつとりましても、この本を読んでいろいろな発見があって、ホントおもしろいですよね。)そして、もうひとつの話題であります「赤福再生」につきましても話題が尽きまないところですが、監査役サポーターさんがおっしゃるように、あまりにも「船場吉兆」さんの対応がフォローできないほどに支離滅裂なため、マスコミの矛先がそっちに向いてしまいましたね。不当表示発覚当初、一緒に謝罪会見を行っていた岩田屋さんにまで「もう、あんたとはやってられまへんわ」とそっぽを向かれてしまったようで、どうにもフォローできない状況になってまいりました。(しかし、資本関係にない、別の吉兆グループの会社も相当のダメージを受けているんではないでしょうか)船場吉兆さんの「沈み具合」を見ておりまして、ますます「組織ぐるみ」であることの印象が強くなるのでありますが、それに引き換え、いろいろと不当表示の事例が明るみになるわりには赤福さんの「組織ぐるみ」といった印象を強くする報道は出てこなくなりましたよね。これ、皆様は、どこに違いがある・・・とお思いになるでしょうか?

不二家に始まる今年一年の偽装(不当)表示問題でありますが、赤福再生プログラムに関するエントリーを書き、また皆様方からのコメントを拝見しておりまして、インサイダー取引と同様、不当表示問題にも「うっかり不当表示」と「悪意に満ちた不当表示(偽装表示)」があるように思いますし、区別して考えることに、それなりの意義がありそうです。「うっかり不当表示」というのは、たとえば現場担当者のミスもしくは現場担当者の故意による不当表示事案であり、偽装表示といいますのは、ミートホープ社に代表されるような、いわゆる「組織ぐるみ」の不当表示と区別するものであります。現時点では違法とは評価されませんが、消費期限切れの加工原材料を(それと知らずに)使用して食品を製造した場合も、この「うっかり不当表示」に含まれるかもしれません。悪意の不当表示ということであれば、まさに経営トップが積極的に関与しているようなケースであり、その修正はガバナンスの問題に発展するであろうと容易に想像がつきます。皆様ご指摘のとおり、ここまでくると、もはや内部監査あたりでは有効に機能しないのかもしれません。しかし、うっかり不当表示というものが(もし一般的に)区別できるものであるならば、やはりガバナンスの問題というよりも、内部統制の問題として検討されてしかるべきではないでしょうか。

最近の読売ニュースによりますと、競争法分野(景表法)におきましても、不当表示(他社製品よりも性能、品質等において優っていると誤信させるような)には課徴金が課されることになるようでして、売上の3~5%(!)という高額なものとなるそうであります。これは経営トップの関与には関係なく当該企業に課されることになるでしょうから、現場担当者の判断に基づくような場面でも大きな損失を企業が負担することになりそうであります。こういったことから考えられることは、今後は「表示」だけでなく、企業情報の開示などの全てを含めて「不当表示防止」のプログラムを社内で検討すべき時期に来ていると思いますね。景表法、不正競争防止法、JAS法、その他諸々の行政取締法規など、企業が開示する情報の正確性を担保することが、企業の社会的信用を維持するために重要な施策になってきたことは否めないところであります。ひとつの基準としましては、社内における事実認定→情報管理→開示、非開示判定作業→開示手続き、といった一連の開示統制システムの整備が、コンプライアンス経営のきわめて有力な手法であると考えております。

ひとつの考え方としては、不当表示を防止するために、食品の安全を保証する民間機関を設けまして、「JASマーク」の付いていない食品はスーパーには置かない・・・といった手法も考えられるところではあります。しかし昨今の改正建築基準法に由来するところの建築業界の不況問題のように、消費者の安全に大きく重心が置かれますと、過度の経済萎縮効果を生み出すことにもなりかねませんので、消費者の安全を確保しつつ、消費者の選択の期待に沿うように、機動的に経済活動が活性化していくこととの間での調和を求めるためには、やはり現状のように企業自身による表示の適正確保に期待をかけるしか方法がないと思います。そして、企業自身における「品質表示システム」のようなものを企業自身がPRすることで、はじめて消費者の自己責任に頼ることができるのではないかな・・・と思います。ということで、赤福再生プログラムではありますが、私は元従業員や取引先の証言のように、赤福社が「組織ぐるみ」「トップ関与」といった明らかな認定材料でも飛び出してこない限り、たとえ長年にわたる「まき直し」「先付け」が存在しましても、なんとか内部統制問題で検討してみたいと思っているところであります。(こんなこと言っているうちに、「経営トップ関与」が判明するような証言が飛び出してきたりして・・・(^^;  )

※ 今日は(今年の株主総会のなかで一番盛り上がったと思えます)パトライト社の創業者TOBや、夜になってオートバックスセブン社の新株予約権発行の中止など、きわめて興味深い開示情報が出ておりまして、そっちの話題にも触れたかったのでありますが、時間切れとなってしまいました。。。しかしこういった興味ある情報が開示されるのは、早朝か深夜が多いですね。

11月 15, 2007 不当(偽装)表示問題について | | コメント (10) | トラックバック (1)