定量分析実践講座につきましては、続々とコメントをいただき、またそのコメントがけっこう「熱いもの」なんで、ぜひ続編を書かせていただきます。私も、もうすこし先まで読み進めてみたいと思います。(リスク、という言葉ひとつとりましても、この本を読んでいろいろな発見があって、ホントおもしろいですよね。)そして、もうひとつの話題であります「赤福再生」につきましても話題が尽きまないところですが、監査役サポーターさんがおっしゃるように、あまりにも「船場吉兆」さんの対応がフォローできないほどに支離滅裂なため、マスコミの矛先がそっちに向いてしまいましたね。不当表示発覚当初、一緒に謝罪会見を行っていた岩田屋さんにまで「もう、あんたとはやってられまへんわ」とそっぽを向かれてしまったようで、どうにもフォローできない状況になってまいりました。(しかし、資本関係にない、別の吉兆グループの会社も相当のダメージを受けているんではないでしょうか)船場吉兆さんの「沈み具合」を見ておりまして、ますます「組織ぐるみ」であることの印象が強くなるのでありますが、それに引き換え、いろいろと不当表示の事例が明るみになるわりには赤福さんの「組織ぐるみ」といった印象を強くする報道は出てこなくなりましたよね。これ、皆様は、どこに違いがある・・・とお思いになるでしょうか?
不二家に始まる今年一年の偽装(不当)表示問題でありますが、赤福再生プログラムに関するエントリーを書き、また皆様方からのコメントを拝見しておりまして、インサイダー取引と同様、不当表示問題にも「うっかり不当表示」と「悪意に満ちた不当表示(偽装表示)」があるように思いますし、区別して考えることに、それなりの意義がありそうです。「うっかり不当表示」というのは、たとえば現場担当者のミスもしくは現場担当者の故意による不当表示事案であり、偽装表示といいますのは、ミートホープ社に代表されるような、いわゆる「組織ぐるみ」の不当表示と区別するものであります。現時点では違法とは評価されませんが、消費期限切れの加工原材料を(それと知らずに)使用して食品を製造した場合も、この「うっかり不当表示」に含まれるかもしれません。悪意の不当表示ということであれば、まさに経営トップが積極的に関与しているようなケースであり、その修正はガバナンスの問題に発展するであろうと容易に想像がつきます。皆様ご指摘のとおり、ここまでくると、もはや内部監査あたりでは有効に機能しないのかもしれません。しかし、うっかり不当表示というものが(もし一般的に)区別できるものであるならば、やはりガバナンスの問題というよりも、内部統制の問題として検討されてしかるべきではないでしょうか。
最近の読売ニュースによりますと、競争法分野(景表法)におきましても、不当表示(他社製品よりも性能、品質等において優っていると誤信させるような)には課徴金が課されることになるようでして、売上の3~5%(!)という高額なものとなるそうであります。これは経営トップの関与には関係なく当該企業に課されることになるでしょうから、現場担当者の判断に基づくような場面でも大きな損失を企業が負担することになりそうであります。こういったことから考えられることは、今後は「表示」だけでなく、企業情報の開示などの全てを含めて「不当表示防止」のプログラムを社内で検討すべき時期に来ていると思いますね。景表法、不正競争防止法、JAS法、その他諸々の行政取締法規など、企業が開示する情報の正確性を担保することが、企業の社会的信用を維持するために重要な施策になってきたことは否めないところであります。ひとつの基準としましては、社内における事実認定→情報管理→開示、非開示判定作業→開示手続き、といった一連の開示統制システムの整備が、コンプライアンス経営のきわめて有力な手法であると考えております。
ひとつの考え方としては、不当表示を防止するために、食品の安全を保証する民間機関を設けまして、「JASマーク」の付いていない食品はスーパーには置かない・・・といった手法も考えられるところではあります。しかし昨今の改正建築基準法に由来するところの建築業界の不況問題のように、消費者の安全に大きく重心が置かれますと、過度の経済萎縮効果を生み出すことにもなりかねませんので、消費者の安全を確保しつつ、消費者の選択の期待に沿うように、機動的に経済活動が活性化していくこととの間での調和を求めるためには、やはり現状のように企業自身による表示の適正確保に期待をかけるしか方法がないと思います。そして、企業自身における「品質表示システム」のようなものを企業自身がPRすることで、はじめて消費者の自己責任に頼ることができるのではないかな・・・と思います。ということで、赤福再生プログラムではありますが、私は元従業員や取引先の証言のように、赤福社が「組織ぐるみ」「トップ関与」といった明らかな認定材料でも飛び出してこない限り、たとえ長年にわたる「まき直し」「先付け」が存在しましても、なんとか内部統制問題で検討してみたいと思っているところであります。(こんなこと言っているうちに、「経営トップ関与」が判明するような証言が飛び出してきたりして・・・(^^; )
※ 今日は(今年の株主総会のなかで一番盛り上がったと思えます)パトライト社の創業者TOBや、夜になってオートバックスセブン社の新株予約権発行の中止など、きわめて興味深い開示情報が出ておりまして、そっちの話題にも触れたかったのでありますが、時間切れとなってしまいました。。。しかしこういった興味ある情報が開示されるのは、早朝か深夜が多いですね。
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