2024年9月19日 (木)

スコーピオン・キャピタルの不正会計疑惑への指摘は教訓とすべきである

9月18日、大手生保会社が機関投資家としての行動規範であるスチュワードシップ活動報告書(2024年)を公表されたそうで、その中で、性加害問題のあった旧ジャニーズ事務所と取引のあった投資先企業62社に対し、人権問題への対応状況を確認中であることを明らかにしたそうです(ブルームバーグニュースはこちらです)。旧ジャニーズ事務所創業家の方が、最近すべての関連会社の役員を退任されたことが報じられていますが、こういった経緯を取引先もモニタリングされているのでしょうね(以下本題です)。

さて、7月16日に「空売りファンドの戦略-監査役員こそ見習うべきでは?」なるエントリーでスコーピオン・キャピタルによってレーザーテック社が不正会計疑惑を指摘された事例をご紹介しました。その後、9月17日の日経ニュース記事「レーザーテック、空売りファンド『サソリの毒』広げた甘さ」で会社側の対応が紹介されているように、会社側の危機対応にややタイミングが悪かった問題もありましたが、調査委員会を設置して「不正は認められなかった」との調査結果を公表し、ほぼ一件落着となったようです。

上記日経記事では、レーザーテック社の平時からの脇の甘さを指摘していますが、同社CFO退任にまで至った経緯は決してレーザーテック社固有の事情とも言えず、他社も教訓とすべきと表現しています。これまでも不正会計疑惑をファンドによって指摘される事例はありましたが、スコーピオンのレポートはかなり精緻な指摘もあり、風説の流布(金商法上の不適切行為)とも言えないところがありますので、こういった事案も株主との対話が重視される時代には留意が必要ですね。

といいますか、(私の勝手な意見ですが)そもそも今回のスコーピオンの不正会計疑惑の指摘は政府(とりわけ金融庁)も(表だっては言わないものの)ウエルカムなのではないか、と考えるところもあります。すでに何度も申し上げているように、2013年から始まった企業統治改革がそれなりに実効性を発揮するに至ったのは、昨年3月の東証「PBR1倍割れ改善要請」から金融庁・アクションプログラムの公表、経産省企業買収行動指針の公表に連なる一連のハイリスク・アプローチ(民間の力を借りた行政施策の推進)によるところが間違いなく大きいわけです。今回の一件も、このハイリスクアプローチによる施策の具体化とみることができるのではないかと。

企業情報開示の健全化は金融庁も推進しているところであり、これをいちいち行政処分の発動によって対処することは金融庁のもつ資源からみて困難です。当然、民間の力を活用して健全化を図るという方向性は十分に考えられるわけでして、スコーピオンのレーザーテック社へのポジティブなアクションはまさにその方向性にありそうです。ということで(?)、ファンドによる同様のアクションは制度会計への関心が薄い上場会社にとっては要注意ではないかと思うところです。

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2024年8月26日 (月)

SCOPE3開示で15年ぶりによみがえるJ-SOX(財務報告内部統制)

今週は大型台風が近畿に接近する可能性が高いので、東京出張はキャンセルしてリモートによる面談とさせていただきます。ちなみに事務所もお休みにして、自宅からのリモートの可能性もありそうです。

さて先週、某団体の講演でも申し上げましたが、サステナビリティ情報開示の一環としてサプライチェーンにおけるGHG排出量開示(いわゆるSCOPE3)が義務化されることになりますね。東証プライム企業にとってもハードルが高いわけでして、第三者のデータに依存せざるを得ないところもあるので民事上および刑事上の虚偽記載責任については「セーフハーバー・ルール」が適用されることはご存じの方も多いと思います。

ということは「なんちゃってSCOPE3」疑惑については、SNSや同業他社・アクティビストから指摘することが容易となり、事実上の制裁はレピュテーションリスクの顕在化(社会的課題解決に後ろ向きの企業)ということになります。第三者保証が行われるとなれば、監査法人も批判されることになりますね。たとえばこちらの電通のレポートにも見られるように、民事・刑事上の有報虚偽記載責任が問われずとも日本よりも海外で企業の信用が毀損されるリスクは高いはずです。

こういったリスクを想定すると、財務報告内部統制(いわゆるJ-SOX)の有効性確認の重要性が高まるものと思われます。昨年のJ-SOX改訂により、財務報告内部統制の基本的枠組みが「財務報告の信頼性」から「報告の信頼性」に訂正され、サステナビリティ情報開示における内部統制にも通用する考え方となりました。

つまり、SCOPE3の情報開示にはデータ分析上の限界があるために、どうしても推論や見積りが必要となるわけですが、J-SOXにおける内部統制の実施基準に沿った整備・運用のもとで公表された情報であるならば、虚偽記載責任は問われない、つまり重要な部分において投資判断を誤らせないだけの合理的な理由があると主張でき、事実上の制裁(レピュテーションリスクの顕在化)からも解放される確率が高くなります。

もちろんサステナビリティ情報のすべてがセーフハーバー・ルールによるものではありませんが(財務報告と同様、虚偽記載の法的責任が問われるものもありますが)、GHG排出量開示という極めて重要な非財務情報についての金融庁判断が示されたわけですから、いよいよ15年ぶりにJ-SOXの重要性が見直される契機となりそうであります。

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2024年2月 7日 (水)

「重要な契約」開示規制違反に対するエンフォースメント

ちょっと本業が忙しいので、短めのエントリーとなります。昨年12月22日に開示府令が改正され、企業・株主間のガバナンスに関する合意、コベナンツ(財務上の特約)等を有価証券報告書で開示しなければならない、とされました(2025年3月31日以降に終了する有価証券報告書等から適用。なお財務上の特約に関する臨時報告書への開示は原則2025年4月1日以降に提出されるものから適用)。なにか新しい開示ルールを新設した、というものではなく、むしろ「投資者の判断にとって重要な情報を開示する」といった既存の開示ルールを明確化することで、これまで不十分だった開示しかされてこなかった事項について適切な開示を促すという趣旨のようです。

ただ、いつも非財務情報の開示ルールが追加されるたびに思うのですが、規則に違反した上場会社に対してはどんなエンフォースメント(制裁)が待ち受けているのでしょうか?もちろん有価証券報告書の虚偽記載罪とか、金商法上の虚偽記載責任が思い浮かぶのですが、そもそも適用される可能性はあるのか。たとえば「合意はしたけど『重要』とは思っていませんでした(重要性がない場合は適用除外)」とか「話し合いはしたけど、まだ『合意』とまでは至っていませんでした」といった抗弁が出されても国家権力は動くのでしょうかね?

なんとなくの「思いつき」にすぎませんが、こういった開示違反についてもプライベート・エンフォースメント、つまり同意なき買収案件などにおいて「モノ言う株主」の主張と会社側の反論という形で(総会における賛否を通じて)規制の実効性が確保される、というところが狙いではないかと(たしか今までの大量保有報告制度違反なども、事実上は同様の使われ方がされていますね)。そうなると、また社外取締役の活動場面、さらには「第三者委員会の活動場面」が増えることになるような気がいたします。←「行政活動の効率性重視」というタテマエが幅を利かせる風潮のなかで、今後様々な場面でプライベート・エンフォースメントが重用されるとなれば、社外取締役にとっては近時の開示府令の改正内容は理解しておいたほうが良いです。

手続法も含めた「経済刑法」の適用は、企業による自由な経済活動を委縮させてはならない、できるだけ謙抑的に行使されるべき、というのが通常の考え方なので、行政処分も含めてパブリック・エンフォースメントの適用場面は限られてくると思うのです。では「グレーゾーン」に規制の趣旨をどのように浸透させていくべきか(放置しておけば「正直者が馬鹿を見る」資本市場となるけど、それでよいか?)、非財務情報の開示規制やM&A規制の改正の場面でかならず考えておかねばならない課題だと思います。同じ金商法上のJ-SOXの世界でも「正直者が馬鹿を見る(モラルハザード)」を改正するまで15年もかかりましたね。

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2022年1月17日 (月)

企業における人権対応の重要課題は「救済メカニズムの実践」にある

1月15日の日経デジタル記事(法務・ガバナンス)に「取引先の人権リスク調査、実施4割弱 質には課題も」との見出しで、取引先などでの人権侵害のリスクを調べる人権デューデリジェンス(人権DD)を実施する企業が増えていることが報じられています。国内主要企業への日本経済新聞社の調査では、すでに回答企業の4割弱が人権DDを実施しているそうですが、有識者からは「実施率や調査の質の点で課題は多い」と指摘する声も多いとのこと。

ご承知のように、欧米で人権DDを求める法令が相次いでおり、日本企業も対応は急務ですが、「やらされ感」による対策がほとんどではないかと思います。国連指導原則、OECD多国籍企業行動指針、ILO多国籍企業宣言等をもとに対策を検討するのであれば、対策の重要ポイントは(1)人権方針の策定、(2)人権デューディリジェンスの実施・運用、(3)救済メカニズム(苦情処理・問題解決制度)の構築・運用ということになりますが、このうち(1)と(2)は「やらされ感」でもなんとかなりそうですが、(3)については本気で人権への取り組みが持続的成長につながると考えないとむずかしいと思います。デューデリジェンスの結果として、調達先の問題行為が疑われた場合に、その排除へのイニシアチブをとるだけの勇気があるのか、ないのか。

上記日経記事で紹介されていた先進的な取組みを行う5社のうち、この(3)まで「やっています!」と宣言しているのは花王さんだけのように読めました(インドネシアのパーム油農園労働者からのスマホによる苦情受付を2022年から開始)。おそらく花王が始める「苦情受付」までやらないと国連の指導原則にある「マルチステークホルダー・エンゲージメントの実践」とは評価されないのではないでしょうか。

もし機関投資家や銀行が(フィデューシャリー・デューティーの一環として)企業のESG評価を行うのであれば、企業が(3)について言及しているかどうかを(同業他社との比較において)チェックすることで効率性を向上させるような気がいたします。結局のところ「人権DDをやっています」と開示しても、「ではDDの結果として、問題があればどうするのか」というところへの答えが用意されていなければ、DDの本気度が伝わらないと思います。

 

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2019年12月13日 (金)

「コーポレートガバナンスの虚偽報告」への課徴金勧告-実務上の影響は大きい(と思う)

すでに有識者のSNSで話題となっており、出遅れ感は否めないエントリーではありますが、12月6日、証券取引等監視委員会(SESC)が日本フォームサービス社の有価証券報告書等に虚偽記載があったとして、同社への課徴金納付命令を勧告しています。

なにが「話題」かといいますと、おそらく課徴金勧告として初めてとなる「ガバナンスの状況」に関する虚偽記載を認定している点です。本日、監視委員会で勤務経験のある某会計士の方とお話をしていて「SESCがガバナンスの整備ではなく、運用面に注目するようになった画期的な判断」とおっしゃっていましたが、私も同感です。認定された「ガバナンスの虚偽報告」の一部をご紹介しますと・・・

「取締役会は有価証券報告書提出日現在、3名の取締役で構成され、原則月1回開催の定例の取締役会を開催し、重要事項はすべて付議され、業績の進捗についても議論し、対策を検討しております。」と記載していたが、当社は、取締役会を年3回しか開催しておらず、また、取締役会において重要事項の大部分が付議されていなかった

当社の監査役は、「取締役会をはじめ、経営会議、開発会議等の重要な会議に出席し、取締役の業務執行について厳正な監査を行っております」と記載していたが、常勤監査役は、これらの会議に出席してはいるものの、取締役の業務執行に関して何ら監査していないなど、当社の監査役は厳正な監査を行っていなかった

当社が実施している内部統制システムの内容について「コンプライアンス担当取締役を任命し、監査室を設け全社のコンプライアンスの取組みを横断的に統括することとし、同部を中心に役職員教育を行う。監査室は、コンプライアンスの状況を監査する。これらの活動は定期的に取締役会及び監査役に報告されるものとする。」と記載していたが、当社は、コンプライアンス担当取締役を任命したことはなく、また、監査室も業務分掌規程で規定したのみで実体がなかった

なるほど・・・ん?しかし、このような虚偽記載は(通常であれば)会計監査人から指摘されるのでは?と思っておりましたら、虚偽記載がなされた当時の監査法人さんも処分勧告を受けておられるようです。

私の内部告発代理人の経験からしますと、このように「ガバナンスの虚偽報告」が課徴金勧告の対象となるのであれば、当局や会計監査人への情報提供はかなり容易になりますね。間違いなく「真実相当性」の要件を満たす事案が増えることにより、公益通報者保護法上も内部告発(第三者への通報)が保護される可能性が高まります。

もちろん日本フォームサービス社への勧告では、ガバナンスの虚偽報告だけでなく、他の不適切な会計処理についても根拠とされていますが、強制調査の端緒にはなりうるでしょうから、不適切な会計処理に関する証憑が不十分なケースでも、ガバナンスの虚偽記載に関する証憑さえ揃えれば内部告発が受理される可能性も高くなると思われます。

さあ、ここまで来たら、次は「内部統制報告書の虚偽記載」による課徴金勧告ですよね。ここ数年、J-SOX実務の見直しに関する議論が高まってきましたが、実効性を高めるためには「抜かずの宝刀」(内部統制報告書の虚偽記載による刑事罰、民事賠償責任)を活用するとともに、内部統制報告書の虚偽記載に行政処分(課徴金処分)に関する規定を創設する時期に来ているのではないでしょうか。「ガバナンスの虚偽記載」に課徴金処分が活用される時代になったのですから、ぜひとも当局の皆様にはご検討いただきたいところです。

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2019年7月16日 (火)

ガバナンス改革の焦点となるか-有価証券報告書の総会前提出

週刊経営財務の7月15日号(3416号)に、野村総研の上級研究員の方の連載論稿「投資家が求める開示(シリーズ)」が掲載されていまして、毎回(といっても年に1回か2回程度ですが)取り上げるテーマがとても興味深く、いつも楽しみにしております。昨年末、ACGA(アジア企業に投資する投資家団体)の国別ガバナンス達成度ランキングが発表されましたが、日本は2年前にはアジアで4位だったにもかかわらず、今回は7位に転落。その原因を探るべく、当該研究員の方も含めてワークショップを開催し、そこにACGA関係者の方もお招きして議論されたそうです。最終的な結論としては、

どんなに良い開示をして、KAMが導入されても、有報が株主総会後に出てくるのでは残念すぎる。それに有報がたとえ総会前に提出されたとしても、ギリギリのタイミングでは分厚い情報も活かされない。むずかしいかもしれないが、これができれば日本の開示は海外と比べても優れたものであるという評価は得られるかもしれない

とのこと。たしかに制度としては有報を総会前に提出することは、総会の時期を遅らせることも含めて「やろうと思えばできる」。しかし、実際には監査時期の問題や、期末日からあまり総会の時期を延ばしたくないといった事情から、企業自身が前向きではなく、また金商法監査と会社法監査の一元化が「縦割り省庁」の慣行などによって議論が進んでいない、といったところが現実ではないでしょうか。

ただ、今年の6月総会の特徴として、株主提案権の行使(可能性)を前提とした「株主との対話」が進みました。また、開示府令の改正によって有価証券報告書の非財務情報(記述情報)の充実や開示情報の信頼性、適時性確保に向けた取り組みが2020年3月期の有報から施行されることになりました。そうなると、企業統治改革を「形式から実質へ」と深化させるための次の施策としては、この対話と非財務情報の開示を結びつけることに目が向けられることになります(これでようやく「担当者に丸投げ」でなく、CEOもしくはCFO自身が開示情報に責任を持つ状況が実現するかも・・・)。ということで、有報の総会前提出がACGAのランキング分析を待つまでもなくガバナンス改革の関心事になるのではないかと。

ところで、最近、上場会社のCEOやCFOの方々、そして機関投資家の方々と意見交換をする中で、日本企業が「株主との対話」に臨む際に大きなギャップ(認識における齟齬)があり、これは「企業統治改革を阻むミゾ」ではないか、という点に思い至りました(まだ仮説であり私案にすぎないので、今後の実務における検証作業が必要ですが・・・)。ただ、海外における不祥事によって、日本企業が海外当局や集団訴訟で追い詰められるときにも同じ感覚を抱いておりまして、企業のレピュテーションを維持するためには乗り越えるべきミゾではないかと。またそのあたりの「分かり合えないミゾ」についてブログでも解説をしたいと思います。

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2019年6月19日 (水)

IR担当者受難の時代?-法務と会計の狭間で悩む実務担当者

山形沖地震で被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。いまのところ津波の被害は出ていないようですが、余震の可能性はありますので、どうかご注意ください(ちょうど1年前の大阪北部地震を思い出しました)。

さて、定期購読している旬刊商事法務と週刊経営財務ですが、いつも楽しみにしているのが「時事談論」(経営財務)と「スクランブル」(商事法務)。どちらも時事ネタについて企業会計、企業法務の視点から有益な意見が述べられ、ブログの参考にさせていただいておりますが、両誌の最新号ではいずれも「IRの重要性」が話題となっておりました。

経営財務(時事談論)のほうは「時価評価、将来見積もり、M&Aによる無形資産評価等、会計基準が複雑になりつつある時代、開示された内容だけで会社の実体表現がわかりづらいのであれば、会社の会計処理をわかりやすく説明しなければならず、そのためにもっと(企業側が)会計基準の有用性を理解しなければならない(経営者側の分析内容も開示する等)」とのこと。いっぽう旬刊商事法務(スクランブル)では「IR担当者はESGやガバナンスに関するリテラシーが乏しい、IRは数字ばかりではなく、会社法を含めた法務やガバナンスへの理解がなければ説明責任を尽くせない」というもの。いずれも経営者の意識を高める必要がある、といった主張では一致しています。

「株主との対話」に光があたり、総会シーズンの新聞ネタとして株主提案権や議決権行使に関する話題が多いのですが、企業法務の実務家や会計の実務家の視点からはIRの重要性が説かれるのですね。「とりあえずルールに従って必要事項を開示しておけばよい」というわけにもいかず、投資家への説明責任を尽くすことが要請されるようになりますと、なるほど、上記のような要望が出てくることも頷けます。ちなみに私、最近「経営陣に伝えるための『税効果会計と財務諸表の視点』」(荻窪輝明著 税務研究会出版局 2019年3月 2,000円税別)を読みましたが、本書のように(仕訳の解説を省略して、読み手の視点から)「どう説明すれば経営者にわかってもらえるか」といった視点で難しい会計基準を(ご専門の方に)解説していただくと、とてもありがたいと思いました。

ただ、「わかりやすい会計基準、決算数値の説明」がなされたからといって、会社の実態の真実に迫れるかというとちょっと違うような気もしますし、ESGを理解しているからといって、当該「部分最適」の理解が全体最適(中長期の企業価値向上)の理解と矛盾しないかどうか、IR担当者が判断できるかどうかもわからないので、IR担当者に定量・定性情報への理解をどこまで要求すべきか、もうすこし議論が必要かもしれませんね(巷の噂によりますと、最近、旬刊商事法務の発行部数が頭打ち、とのこと。法務担当者だけでなくIR担当者も購読するような論稿を増やすことで購読者を増やすべきかもしれませんね。余計なお世話ですが-笑)。

以前、私は(個人投資家や運用担当者が集まる)東京の某開示研究会に参加しておりまして、「同じ適時開示情報を読んでいるのに、こんなにも『会社を読む力』に差があるのか」と愕然としたことがありました(自分の実力の乏しさに情けなくなりました)。IRに対する経営者の意識を高めることも重要ですが、市場の活性化、健全化に必要な法務や会計のリテラシーを磨くことによってトクをするのは株主の方々ではないでしょうか。「株主との対話」が進むのであれば、その充実に向けて会社、投資家双方が勉強する必要があると思います。

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2019年4月 5日 (金)

目立ち始めた「統合報告書の二極化傾向」

朝日新聞はLIXILの第三者委員会報告書の全文を(極秘に?)入手したそうですね。開示された要約版と全文を比較した記事を読むと、いかに社外取締役制度が脆弱であるかがわかります(もちろん自戒をこめて・・・)。久保利先生が厳しいコメントを述べておられますが、たしかに問題がありそうです。ぜひともLIXILの社外取締役の方々の力で全文を公開していただきたい。以下、本題です。

今朝(4月4日)の日経産業新聞では、「統合報告書 発行4倍に」と題する記事が掲載されています。上場会社において統合報告書を発行する企業が増加しており、KPMGジャパンの調査によると東証1部企業の18%、非上場を含めた全体では400社を超える企業が発行しているそうで、この数は5年まえの4倍に相当。スチュワードシップ・コード(具体的には改訂版 指針3-3)の影響で、機関投資家が対象企業の「サステナビリティ経営の一環としてのリスクマネジメント能力」を真剣に評価するようになったので、この傾向は今後ますます強まるものと予想します。

調査を行ったKPMGのパートナーの方が「非財務情報に対する企業の意識は高まっている。一方、優れた統合報告書とそうでないものの差が開き、内容の優劣で二極化傾向がある」と述べておられますが、私も同様の意見です。コーポレートガバナンス・コードへの対応状況をみていて、同じような視点から、私なりに二極化傾向が生じる要因について、以下の図表のとおりまとめてみました。詳しい解説はいたしませんが、おおよそこんな感じではないでしょうか(図表が見にくい場合は、図表をクリックしてください)。

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統合報告書も「形式から実質へ」と深化しているものと考えています。

 

 

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2018年10月 3日 (水)

企業不祥事対応-広報vs法務の「仁義なき戦い」?

今朝(10月2日)の日経朝刊に「海外の投資家と企業の対話支援 経団連・経産省」なる小さな記事が掲載されています。経団連と経産省が、環境配慮や企業統治といった日本企業の経営戦略について、海外の機関投資家に売り込む場を作ることになったと報じられています。投資マネーを日本に呼び込むため、「企業と機関投資家との対話促進」を図るということのようです。ここのところ、ESG投資に対応したESG情報開示の方策なども法律雑誌で特集されています。中国や韓国の企業に競争で勝つためには差別化(技術革新)は不可欠ということで、経産省も対日投資促進には本腰を入れてますね。

ところで、投資促進ということとは直接結び付きませんが、企業不祥事が発覚した場合、企業のどの部署が情報開示の主導権を握るのか・・・という点については「対話促進の時代」が進むにつれてホットな話題になりつつあります。できるだけわかりやすく説明責任を果たすことを重視するならば広報・IR担当者が広報コンサルタントの支援を受けながら対応したいところです。しかし一方で「余計なことまで話してしまう」ことによる企業や役員のリーガルリスクを排除したいのであれば法務部門が大手法律事務所の支援を受けながら対応したいはずです。

そういえばISS日本法人の石田猛行氏も、ご著書「日本企業の招集通知とガバナンス」(商事法務2015)において(株主総会対応についてではありますが)「議決権行使担当者にとっては、法務部門の情報コントロールが(今後の)大きな課題である」と述べておられました。

このあたりについて、最近は(法務部門の方々の団体である)経営法友会でも話題になっているようですが、最近の「経営法友会レポート」2018年6月号でも、小林製薬さんの広報・IR部長の方が論稿を掲載しておられました(「企業不祥事の記者会見における法務部門・広報部門の対応」)。この方は、以前は同社法務部門に在籍され、旬刊商事法務に論稿を公表したり、同誌の法務担当者座談会に出席されておられたので、いわば広報も法務も責任者を歴任されました。ということで、ご論稿をたいへん興味深く拝読させていただきました。

法務と広報とでは、想定しているステイクホルダーが異なるということで、この方の結論としては「双方が連携協力することが理想ではあるが、なかなかむずかしい。企業不祥事対応としては広報・IR部門が経営トップの理解を得ながら主導するほうがよいのでは・・・」とのことです。まぁ、おそらくいろいろと意見は分かれるところかと。

実は私も(ある事件について)企業不祥事対応の支援をしておりまして、広報vs法務の仁義なき戦いが繰り広げられるところを目の当たりにしたことがございます。ただ、最後は「双方の連携と協力」によって記者会見やその後の情報開示がなされたわけですが、なぜ和解に至ったかのは「専門家の知恵(企業秘密)」として、ここでは差し控えさせていただきます(笑)。

先日も、スルガ銀行さんの6月総会を前に、会社上程にかかる取締役選任議案に対する機関投資家(信託銀行)の賛否が大きく分かれたことをご紹介しましたが(こちらのエントリーをご参照ください)、「組織力学のバランス」が、このような場面においても重要課題となるのかもしれません。上記広報・IR部長さんのご論稿は、広報や法務の責任者としての悩ましい内面にも言及されており(注-けっして小林製薬さんが大きな不祥事を経験した、というわけではございません)、たいへん参考になります。もし入手可能な方がいらっしゃいましたら(こういった問題に触れる論文などあまりないと思いますので)ご一読をお勧めいたします。

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2018年8月20日 (月)

相談役・顧問制度の開示と任意の指名委員会の役割

今週の日経ビジネス誌(8月20日号)特集記事は、なかなかスゴイですね。「第3の森加計問題」ですか。経済界に君臨する名誉会長への2時間インタビューはおもしろいですし、今後の展開に期待します。

さて「名誉会長」ではございませんが、8月19日の東京新聞朝刊3面「核心」におきまして、「相談役・顧問 廃止の動き鈍く」と題する特集記事が掲載されており、東証一部企業の調査結果をもとに、上場企業は(相談役制度に関する)情報公開すら後ろ向きであること、この制度が経営不透明を招き、東芝事件のような不正を生む温床にもなりかねないことが(意見として)述べられていました。

今年5月にPwCあらた有限責任監査法人さんの調査では、過去1年間の「相談役・顧問制度」に関する見直しの取組を上場会社(882社)に質問したところ、「処遇を見直した、役割を明確にした」と回答した企業は合わせて12%にすぎず、「特に実施していない」と回答した企業が62%にのぼったそうです。さらに、これは7月13日時点ではありますが、改訂されたコーポレートガバナンス報告書の記載要領にしたがって、相談役制度に関する開示を行った企業は、東証1部887社のうちの47%であり、半数以上の東証1部上場企業が相談役や顧問が存在するかどうかを明らかにしていない、とのこと(東証調べ-ただし、東証のルールでは元代表取締役の方のみ開示の対象です)。

記事でコメントをされている日本総研の有識者の方がおっしゃるように、投資家からは開示制度に後ろ向きに見えるかもしれませんので、私も(たとえ罰則規定がないとしても)相談役・顧問制度に関する開示は前向きに検討すべきと思います。私は当ブログで何度も申し上げているとおり「相談役・顧問制度」にも長所があり、けっして不正の温床になるようなものではないと思いますが、投資家の皆様との対話の前提として、社内の慣行を正しく理解していただく必要はあると考えております。

なお、今年8月1日に日本取締役協会さんがリリースした「上場企業のコーポレートガバナンス調査」によれば、東証1部上場企業の45%において3人以上(もしくは3分の1以上)の社外取締役が選任され、また約4割の企業において任意(もしくは強制)の指名・報酬委員会を設置しているそうです。もし、相談役・顧問制度の弊害を議論するのであれば、むしろこのような社外取締役が中心とされている委員会が「見直し」についてどのように考えているのか、段階的な見直しを進めるのであれば、どのように関与するのか、という点について説明をすべきだと考えます。また、最近は取締役会の実効性評価を行う上場企業が多数を占めていますので、実効性評価結果の概要を開示する際に、自社の相談役・顧問制度の評価も含めて開示する、ということも検討すべきではないでしょうか。

もし、実際に社外取締役を中心に、自社の相談役・顧問制度の見直しを進めている企業さんがいらっしゃったら、またその取り組み内容などご教示いただければ幸いです。

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